JP4052403B2 - ワイン及びその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイン及びその製造方法に関し、具体的には白ワイン用ぶどうに由来する特有の香りを有し、しかもその香りが長期に安定して保持されるワイン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
白ワインは、いわゆる白ワイン用ぶどうを除梗し破砕して得られる果汁を発酵して得られる。また、白ワインの製造方法としては、スキンコンタクト法といって、短時間白ワイン用ぶどうの果皮と果汁を接触させることにより果皮から香り成分を抽出し、その後果汁のみで発酵させる方法も行われている。一方、赤ワインは、いわゆる赤ワイン用ぶどうを除梗し破砕して得られる果皮、種子および果汁を共存させて醸し発酵させることにより果皮から赤色色素や渋味成分を抽出した後、果皮、種子を除いて後発酵して得られる。
【0003】
白ワイン用ぶどうの有する香りは、赤ワイン用ぶどうの持つ香りと異なり、それらを各々原料として製造される白ワインと赤ワインの香りにはかなりの差異が認められる。例えば、マスカット系品種である、トラミナー、ミュラー・トゥルガウ、リースリングなどの白ワイン用ぶどう品種を原料とした白ワインは、赤ワインにはない特有な香りを有する。これら香りの主成分としては、リナロール、α−テルピネオール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロールの5種類が知られている。
【0004】
しかし、白ワインの有する特有の香りは、ワインの保存によってすぐに変化してしまい、新酒ワインの持つ香りを長期間享受できないのが現状である。
また、白ワインの香りを有する赤ワインを製造する目的で白ワインと赤ワインを混合する方法が知られているが、充分な赤色を保持したまま白ワイン用ぶどう由来の香りの付与は困難である。
【0005】
ワインのポリフェノール類の含量は、白ワインではロゼや赤ワインより低く、通常700mg/l以下である(新版醸造成分一覧、日本醸造協会編集、昭和52年6月10日発行、313ページ)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、白ワインの有する特有の香りを有し保存期間中該香りの変化の少ないワインおよび該ワインの製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、白ワインの有する特有の香りが通常の白ワイン中では急激に変化するのに対し、白ワインの製造において赤ワインの果皮を共存させて製造したワインでは、その香りが長期間にわたり安定し、これが赤ワイン果皮中のポリフェノール類に起因することを見出し本発明を完成した。
【0008】
本発明は、白ワイン用ぶどうの果汁を含む発酵原料を用いて赤ワインを製造する工程において、赤ワイン用ぶどうの種子及び果皮の混合物、又はその混合物の抽出物を添加することを特徴とする赤ワインの製造方法に関する。また、本発明はゲラニオール、ネロール又はシトロネロールを含有し、前記の製造方法により製造されることを特徴とする赤ワインに関する。
【0009】
白ワイン用ぶどうとは、果皮が黄、緑色または褐色系のぶどう品種であり、例えば、シャルドネ、セミヨン、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュラー・トゥルガウ、マスカット、ヴェルデレ、甲州、トラミナー、デラウェアなどがあげられる。
【0010】
また、赤ワイン用ぶどうとは、果皮が赤色または黒色系のぶどう品種であり、例えば、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ、ピノ・ノワール、シラー、アリカント、ネビオロ、マスカット・ベリーA、ブラック・クィーンなどがあげられる。
白ワイン用ぶどうの果汁は、必要に応じて除梗したぶどうを破砕して得られる。該果汁には果皮、種子等が混在していてもよい。該果汁は常法によりぶどうから抽出できる。
【0011】
赤ワイン用ぶどうの果皮は、必要に応じて除梗したぶどうを破砕し果汁を除いて得られる。果皮には、果汁が含まれていてもよいが、果皮の比率として、好ましくは80w/v%、より好ましくは95w/v%まで果汁を除くことが好ましい。果汁は搾汁機で搾汁し除くことができる。該果皮には、種子が含有されていてもよい。また、通常の赤ワインを醸造した際に後発酵前に搾られて残った果皮も用いうる。
【0012】
ぶどう種子及び赤ワイン品種の果皮抽出物は、ぶどう種子及び赤ワイン品種の果皮を水又はエタノール含有水溶液で抽出できる。種子及び赤ワイン品種の果皮はあらかじめ常法により破砕することが好ましい。水で抽出する場合は、40〜100℃、好ましくは65〜95℃で行う。エタノール含有水溶液のエタノール含量は、1〜95w/v%、好ましくは10〜50w/v%である。該水溶液としては常法で製造されたワインも用いることができる。
【0013】
本発明で使用するポリフェノール類は、上述のぶどうから抽出したものを用いうるが、他の植物から抽出した抽出液又は精製ポリフェノール類も用いうる。例えば、茶、コーヒー、マメ、ゴマ、カカオ、ローズマリー等の植物から抽出された抽出液も用いうる。抽出は上述に準じて行うことができる。例えば、カテキンを主成分とする抽出物は、茶の茎を熱水にて抽出して得られる。市販品としては、ローズマリー抽出物RM−21A(東京田辺製薬社製)、茶抽出物サンフェノン100S(太陽化学製)、茶抽出物サンウーロン(サントリー社製)等があげられる。
【0014】
精製ポリフェノール類としては、二価のフェノール類、三価のフェノール類、多価のフェノール類があげられる。二価のフェノールとしては、カテコール、ヒドロキノン等のカテコール誘導体、クルクミン、デトラヒドロクルクミン、デオキシクロバミド等があげられる。三価のフェノールとしては、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸等があげられる。多価のフェノールとしては、リグニン、タンニン、タンニン酸、カテキン、エピカテキン、クロバミド、ケルセチン−3−グルコシド、ケルセチン等があげられる。市販品のタンニン又はタンニン酸としては、例えば、オイノータンニン ミックス(Oenotanin Mixte )[(シーバリエル アッペルト(Chevallier Appert)社製]、F−タンニン酸(大日本製薬社製)、アップルフェノン(ニッカ社製)等があげられる。
【0015】
精製ポリフェノール類及び抽出液の添加量は、没食子酸換算で、瓶づめワイン中濃度で好ましくは750mg/l以上10g/l以下、より好ましくは1g/l以上8g/l以下、特に好ましくは1.5g/l以上4g/l以下となるように添加する。ポリフェノール類の定量は、例えば没食子酸を標準物質とて、フォリン・シオカルト法[ワイン製造の化学(Chemistry Of Winemaking)、エイディンスムア ウエブ(A. Dinsmoor Webb)編、第165回アメリカ化学学会(165th Meeting Of the American Chemical Society )ダラス テキサス(Dallas, Texas )、184(1974)]で行うことができる。また、リナロール、α−テルピオレール、シトロネロール、ネロール及びゲラニオール等のテルペン類の定量は、ジクロロメタン抽出物をトルエンに溶解してガスクロマトグラフィーで行うことができる。
【0016】
赤ワイン用ぶどう品種の果皮を用いる場合は、製造するワインのタイプによっても異なるが、白ワイン用ぶどう品種の果汁に対して、好ましくは8〜35w/v%、より好ましくは10〜25w/v%が望ましい。
精製ポリフェノール類或いはぶどう種子、赤ワインぶどう果皮またはそれら抽出物は複数組合せて用いてもよく、またその添加時期は、ワインを濾過するまでのワイン製造工程中であればいずれの時期でもよいが、発酵開始直前から発酵開始後3日目以内が好ましい。
【0017】
ワインを製造する工程とは、白ワイン用ぶどうの果汁を含む発酵原料を製造する工程から製品として樽詰め又は瓶詰めする工程までを意味する。赤ワイン用ぶどうの果皮を添加する場合は、該果皮は発酵終了前に取り除くこともできるが、発酵終了時まで浸漬させるのが望ましい。浸漬期間の終了後は、搾汁機により、もろみから果皮あるいは果皮と種子を分離し、適宜後発酵させることができる。
【0018】
本発明においてワインの製造は、白ワイン用ぶどうの果汁を用い、ポリフェノール類、ぶどう種子の抽出物、赤ワイン用ぶどうの果皮又はそれらの抽出物を添加する以外は、通常のワインを製造する方法に従い行うことができる。
発酵温度は、アルコール発酵に支障のない温度範囲ならばいずれも用いることができるが、好適には15〜30℃である。
【0019】
白ワイン用ぶどうの果汁にポリフェノール類又はぶどう種子の抽出物を添加し発酵させることにより、ポリフェノール類の含量が高い白ワインを製造することができる。
また、白ワイン用ぶどうの果汁に赤ワイン用ぶどうの果皮又はその抽出物を添加し発酵させることにより、白ワイン特有の香りを有する赤ワイン又はロゼワインを製造することができる。
【0020】
以下に本発明の実施例を示す。
【0021】
【実施例】
【0022】
実施例1
ポリフェノール類の添加によるワイン中のモノテルペンの安定化試験
ミュラー・トゥルガウ品種ぶどう100gから、30gの果皮及び種子を得た。50%のエタノール60mlを添加し乳鉢にて破砕した。遠心分離により得られた上澄みをぶどう抽出のポリフェノール類として用いた。
【0023】
常法で製造された白マストワインに白ワイン特有の香り成分であるモノテルペンとして、リナロール1.2mg/l、α−テルピネオール1.0mg/l、ゲラニオール0.3mg/l、ネロール0.06mg/l及びシトロネロール0.09mg/lをそれぞれ単独で添加した。尚、本試験に用いた白マストワインにはこれらモノテルペン類は検出されなかった。試験は、上記のモノテルペンを添加した白マストワイン(無添加区)、更にタンニン酸を添加した該白マストワイン(タンニン酸添加区)及び上述のぶどう抽出液を添加した該白マストワイン(抽出液添加区)を、180mlのガラス瓶に充填しスクリューキャプにて密封し、55℃になるまで加熱し、その後5℃、25℃及び37℃の各条件下にて2週間保存して行った。なお、タンニン酸は1g/l、上述のぶどう抽出液のポリフェノールは前述のフォリン・シオカルト法で測定し、没食子酸換算で1g/lの濃度となるようにそれぞれ添加した。
【0024】
保存終了後、ワイン中のモノテルペン量をガスクロマトグラフィーにより定量し、初期濃度に対する残存率をパーセント(%)で示した。結果を第1表に示す。
ワイン中のモノテルペン類は、ジクロロメタン抽出物を3%炭酸ナトリウム、ついで蒸留水で処理し、ジクロロメタン層を回収し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後減圧濃縮し、トルエンに溶解して分析用の試料とした。ガスクロマトグラフィーは、GLサイエンス社製のGC−380及びTC−WAXカラムを用いて行った。
【0025】
【表1】
Figure 0004052403
【0026】
第1表に示すように、タンニン酸及びぶどう抽出液を添加した試験区では、各種モノテルペンの残存率は、無添加に比べ顕著に高い。
【0027】
実施例2
白ワイン用ぶどう品種である甲州種ぶどう10kgを、除梗、破砕、搾汁し、6リットルの甲州種ぶどう果汁を得た。このぶどう果汁に、ピロ亜硫酸カリウム100mg/lを添加し、さらに、糖度が22%となるまで砂糖を加えた。
また、赤ワイン用ぶどう品種であるカベルネ・ソーヴィニヨン種ぶどう10kgを除梗、破砕、搾汁し、3kgのカベルネ・ソーヴィニヨン種ぶどう果皮および種子の混合物を得た。
【0028】
得られたカベルネ・ソーヴィニヨン種ぶどう果皮および種子の混合物を甲州種ぶどう果汁中に浸漬し、同じ甲州種ぶどう果汁中であらかじめ、20℃、3日間培養したワイン酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)KY−5700株[化学と生物,28,800(1990)]の培養液を酒母として0. 5リットル加え、20℃で発酵を行った。
【0029】
発酵開始後14日目に搾汁し、果皮および種子を分離後、ピロ亜硫酸カリウム150mg/lを添加し、遠心分離を行って発酵を停止させ、甲州種ぶどうからの赤ワイン(以下、甲州赤ワインという)約6リットルを得た。
同様に、甲州種及びカベルネ・ソーヴィニヨンを常法に従いそれぞれ白ワイン(以下、甲州白ワインという)及び赤ワイン(以下、カベルネ赤ワインという)を製造した。
【0030】
得られた甲州赤ワイン、甲州白ワイン及びカベルネ赤ワインの成分分析値を第2表に示す。
【0031】
【表2】
Figure 0004052403
【0032】
得られた甲州赤ワインのポリフェノール類の含量は、没食子換算で2010mg/lであり、通常の甲州ワインに比べ約8倍のポリフェノール類を含有する。また、該ワインの官能検査結果を第3表に示す。官能検査は熟練した7名よりなるパネルを用いて行った。
【0033】
【表3】
Figure 0004052403
【0034】
本方法によれば、白ワイン用ぶどう品種である甲州種ぶどう果汁を原料として、あざやかな赤色を呈し、さわやかな甲州ぶどうの香りを有する香味良好な甲州赤ワインが製造できる。
【0035】
実施例3
白ワイン用ぶどう品種であるシャルドネ種ぶどう10kgを、除梗、破砕、搾汁し、6リットルのシャルドネ種ぶどう果汁を得た。このぶどう果汁に、ピロ亜硫酸カリウム60mg/lを添加した。
また、赤ワイン用ぶどう品種であるメルロ種ぶどうを除梗、破砕し、常法通りかもし発酵した後、搾汁して残った果皮と種子の混合物(搾りかす)2kgを得た。
【0036】
得られたメルロ種ぶどうの果皮および種子の混合物をシャルドネ種のぶどう果汁に浸漬し、同じシャルドネ種ぶどう果汁中で、あらかじめ25℃、3日間培養したワイン酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)プリース・ド・ムース株[ラルマン(lallemand)社製]の培養液を酒母として0. 3リットル加え、25℃で発酵を行った。
【0037】
発酵開始後5日目に搾汁し、果皮および種子を分離後、さらに3日間後発酵させた後、ピロ亜硫酸カリウム150mg/lを添加し、遠心分離を行って発酵を停止させ、ベントナイト300mg/lを加えて、一晩放置し、ろ過を行って、シャルドネ種ぶどうからのロゼワイン(以下、シャルドネロゼワインという)約6リットルを得た。
【0038】
同様に、シャルドネ種及びメルロ種を常法に従いそれぞれ白ワイン(シャルドネ白ワインという)及び赤ワイン(メルロ赤ワインという)を製造した。
得られたシャルドネロゼワイン、シャルドネ白ワイン及びメルロ赤ワインの成分分析値を第4表に示す。
【0039】
【表4】
Figure 0004052403
【0040】
得られたシャルドネロゼワインのポリフェノール類の含量は没食子換算で781mg/lであり、通常のシャルドネワインに比べ約3倍のポリフェノール類を含有する。
また、該ワインの官能検査結果を第5表に示す。官能検査は熟練した7名よりなるパネルを用いて行った。
【0041】
【表5】
Figure 0004052403
【0042】
本方法によれば、白ワイン用ぶどう品種であるシャルドネ種ぶどう果汁を原料として、あざやかなロゼカラーを呈し、フルーティで味わい豊かなシャルドネ品種のぶどうの香味特性を持つ香味良好なシャルドネロゼワインが製造できる。
【0043】
実施例4
白ワイン用ぶどう品種であるマスカット種ぶどう10kgを、除梗、破砕し、10℃にて3時間スキンコントクトをさせた後、搾汁し、6リットルのマスカット種ぶどう果汁を得た。このぶどう果汁に、ピロ亜硫酸カリウム100mg/lを添加した。
【0044】
また、赤ワイン用ぶどう品種であるメルロ種ぶどう15kgを除梗、破砕、搾汁し、5kgのメルロ種ぶどう果皮および種子の混合物を得た。
得られたメルロ種ぶどう果皮および種子の混合物をマスカット種ぶどう果汁中に浸漬し、同じマスカット種ぶどう果汁中であらかじめ、28℃、3日間培養したワイン酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)プリース・ド・ムース株[ラルマン(lallemand)社製]の培養液を酒母として0. 5リットル加え、28℃で発酵を行った。
【0045】
発酵開始後7日目に搾汁し、果皮および種子を分離後、さらに3日間後発酵させた後、ピロ亜硫酸カリウム150mg/lを添加し、遠心分離を行って発酵を停止させ、ベントナイト300mg/lを加えて、一晩放置し、ろ過を行って、マスカット種ぶどうからの赤ワイン(以下、マスカット赤ワインという)約6リットルを得た。
【0046】
同様に、マスカット種及びメルロ種を常法に従いそれぞれ白ワイン(以下、マスカット白ワインという)及び赤ワイン(以下、メルロ赤ワインという)を製造した。
得られたマスカット赤ワイン、マスカット白ワイン及びメルロ赤ワインの成分分析値を第6表に示す。
【0047】
【表6】
Figure 0004052403
【0048】
得られたマスカット赤ワインのポリフェノール類の含量は没食子換算で1526mg/lであり通常のマスカットワインに比べ約5倍のポリフェノール類を含有する。
また、該ワインの官能検査結果を第7表に示す。官能検査は熟練した7名よりなるパネルを用いて行った。
【0049】
【表7】
Figure 0004052403
【0050】
本方法によれば、白ワイン用ぶどう品種であるマスカット種ぶどう果汁を原料として、あざやかな赤カラーを呈し、マスカットぶどう品種特有の香りを有する香味良好なマスカット赤ワインが製造できる。
さらに、得られたマスカット赤ワインおよび通常のマスカット白ワインを、720mlのガラスビンにつめ、スクリューキャップを打栓し、37℃に3ヶ月間おいて、保存テストを行った。その結果を第8表に示す。官能検査は熟練した7名よりなるパネルを用いて行った。
【0051】
【表8】
Figure 0004052403
【0052】
得られたマスカット赤ワインにはマスカット白ワインと同等のモノテルペン類が含有されている。マスカット白ワインを3ヶ月間保存するとこれらモノテルペン類の含量が大きく減少するのに対し、マスカット赤ワインでは、その低下が低く抑えられている。メルロ赤ワインでは、モノテルペン類の含量が低く、特にゲラニオール、ネロール及びシトロネールといったモノテルペン類は検出されない。
【0053】
また、該ワインを上述の条件で3ヶ月間保存した後のワインの官能検査結果を第9表に示す。官能検査は熟練した7名よりなるパネルを用いて行った。
【0054】
【表9】
Figure 0004052403
【0055】
本発明の方法によれば、上述の条件で3ヶ月保存後でも430nmにおける吸光度の上昇が少なく、あざやかな赤色を保持し、しかもマスカット特有の香りを保持する赤ワインが製造できる。なお、マスカット白ワインでは、上述の条件で3ヶ月保存すると製造直後に認められるマスカット特有の香りが変化しサツマイモ臭が認められるようになる。
【0056】
本発明の方法で製造されたワインは白ワイン由来の香りが長期間に渡り安定して保たれる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、白ワイン特有の香りを有し保存期間中該香りの変化の少ないワインおよび該ワインの製造方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 白ワイン用ぶどうの果汁を含む発酵原料を用いて赤ワインを製造する工程において、赤ワイン用ぶどうの種子及び果皮の混合物、又はその混合物の抽出物を添加することを特徴とする赤ワインの製造方法。
  2. 赤ワイン用ブドウの種子及び果皮の混合物の抽出物が、赤ワイン用ぶどうの種子及び果皮の混合物を水又はエタノール含有水溶液で抽出して得られる抽出液である請求項1記載の赤ワインの製造方法。
  3. 白ワイン用ぶどうがマスカット品種である請求項1記載の赤ワインの製造方法。
  4. ゲラニオール、ネロール又はシトロネロールを含有し、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されることを特徴とする赤ワイン。
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