JP4050551B2 - 水性スタンプインキ組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性スタンプインキ組成物に関し、更に詳細には、熱を加えることで塗膜が膨らむ機能を持つ水性スタンプインキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性スタンプインキ組成物は、フェルトやスポンジなどのインキ収蔵体(インキパッド)に吸収させて用いられている。例えば、ゴム印やプラスチック印などの印鑑又は判子を押すためのスタンプパッドは、インキ収蔵体にインキを吸収させ、当該インキ収蔵体を基台に設けて、印鑑又は判子の印面にインキを展延させて用いている。また、ステンシルパッドは、例えば、ペン状の軸体を構成している基体に、インキ収蔵体が取り付けられており、その基体から飛び出たインキ収蔵体の開放端面を軽く叩くようにして紙や布などの面に押さえつけてスタンプし、ステンシルプレートに形成された文字、記号、図形又は模様などの切り抜き部を通して、インキ収蔵体に吸収されているインキを紙や布などの面に移して刷り込む構造となっている。そして、かかるステンシル用のインキ収蔵体としては、例えばポリウレタンなどのスポンジが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の水性スタンプインキは、その塗膜はスタンプしたままのもので平面的な塗膜しか得られず面白みに欠けるものであった。
【0004】
本発明の目的は、スタンプした塗膜に熱を加えるだけで該塗膜が膨張して立体的な画面となり面白みを与えることができる水性スタンプインキ組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、定着性に優れる水性スタンプインキ組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、熱膨張性物質及び最低造膜温度が20℃以下の樹脂エマルションを含む水性スタンプインキ組成物にすることで(請求項1)、スタンプ塗膜が膨らみ、且つ該塗膜に定着性が得られることを見出した。
また、チクソトロピー性増粘剤を含む水性スタンプインキ組成物にすることで(請求項2)、インキ粘度を高くできインキ保持体におけるインキ洩れを防止できる。
さらに、湿潤剤を含む水性スタンプインキ組成物にすることで(請求項3)、キャップを開いたままでもインキが乾燥しないという所謂キャップオフ性がよくなる効果がある。
【0006】
上述の通り、本発明は、熱膨張性物質及び最低造膜温度が20℃以下の樹脂エマルションを含むことで、スタンプ塗膜が膨らみ、且つ該塗膜に定着性が得られる水性スタンプインキ組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
(熱膨張性物質)
本発明の熱膨張性物質は、スタンプ塗膜に加熱処理を施すことにより、スタンプ部分を膨らませる発泡剤として用いられている。また、本発明の熱膨張性物質はスタンプ面の盛り上がりを有する。
【0008】
本発明で用いられる熱膨張性物質は、経時的に安定な発泡したスタンプ塗膜を得るために添加するのであり、発泡剤をマイクロカプセル内に内包し、該発泡剤を加熱により気化又は化学反応で体積を膨張させることで該マイクロカプセル壁が膨張するマイクロカプセル型熱膨張性物質と、発泡剤を単に混合し発泡剤が加熱により気化し膨張する非マイクロカプセル型熱膨張性物質がある。マイクロカプセル型熱膨張性物質は発泡性の点で優れる。一方、非マイクロカプセル型熱膨張性物質は、発泡性の点でマイクロカプセル型熱膨張性物質よりやや劣るが、金属光沢色顔料や光干渉性顔料等の光輝性顔料の特性効果を発揮させる点で優れる。
【0009】
マイクロカプセル型熱膨張性物質の具体的なものとしては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリルニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等の共重合体の熱可塑性樹脂微粒子中にブタン、イソブタンなどの低沸点炭化水素の液体発泡剤、炭酸水素ナトリウムやヒドラジン誘導体等の熱分解性化学薬剤などの発泡剤を密封内包したものが好ましく、市販されている商品としては、マツモトマイクロスフェアーF−30、同F−30VS、同F−46、同F−50、同F−55、同F−77、同F−80シリーズ、同F−100(以上、松本油脂製薬株式会社製)、未膨張エクスパンセルマイクロスフェアー051、同053、同092シリーズ、同009−80、同551シリーズ、同461(以上、日本フィライト株式会社製)、セルパウダーシリーズ、エマーセルBA(以上、永和化成工業株式会社製)等を例示することができる。
【0010】
一方、非マイクロカプセル型熱膨張性物質としては、4.4´オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ヒドラゾンカルボンアミド等のヒドラジン誘導体、炭酸水素ナトリウム等の重炭酸塩、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物等が使用できる。発泡ガスの安全性の点でヒドラジン誘導体又は重炭酸塩が好ましい。市販される商品としては、ヒドラジン誘導体では、4.4´オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)の化学名である永和化成工業株式会社製のネオセルボンシリーズがあり、そのグレードとしてネオセルボンN#1000S、同N#5000、同N#1000M、同N#1000SW、同N#5000W、同R#700、S−250、S−250Wがある。また、重炭酸塩としては、同炭酸水素ナトルウムの化学名である永和化成工業株式会社製のセルボンシリーズがあり、そのグレードとしてセルボンSC−855、同SC−P、同SC−K、同SC−850、同SC−857、FE−507がある。なお、熱膨張性物質は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0011】
本発明の熱膨張性物質は、インキ組成物全量中2〜20重量%含まれていることが好ましい。上記熱膨張性物質がインキ組成物全量中2重量%未満の場合は、加熱処理を施したスタンプ面の盛り上がりが充分ではない。熱膨張性物質がインキ組成物全量中20重量%を超えると、熱膨張性物質の定着性が悪くなる。熱膨張性物質の最適配合量は、3〜15重量%である。
【0012】
(定着剤)
本発明の樹脂エマルションは熱膨張性物質および着色剤を定着させる定着剤として用いられ、最低造膜温度(MFT)が20℃以下のものが使用できる。具体的にはアクリル系エマルション、酢酸ビニル系エマルション、ポリウレタン系エマルション、などが好ましく、市販されている商品としては、ニカゾール A-02、同KE-259、同FX-332、同FX-327(以上、日本カーバイド工業株式会社製)、モビニール DM5、同630、同662、同771H、同787、同DM772、同116、同128、同135、同421(以上、ヘキスト合成株式会社製)、エマーセル(以上、永和化成工業株式会社製)、ポリゾール AD-68、同AD-88、同AD-96、同AD-72、同P-20、同P-550、同P-300、同P-400B(以上、昭和高分子株式会社製)等を例示することができる。
【0013】
本発明の定着剤は、インキ組成物全量中10〜50重量%含まれていることが好ましい。上記定着剤がインキ組成物全量中10重量%未満の場合は、熱膨張性物質または着色剤の定着性が悪くなる。定着剤がインキ組成物全量中50重量%を超えると、インキの乾燥性が早くなる。定着剤の最適配合量は、20〜50重量%である。
【0014】
(湿潤剤)
湿潤剤としては、インキの粘度に影響を及ぼさず、湿潤効果を有するものを用いることができる。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなど)などが挙げられる。好ましい湿潤剤には、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコールが含まれる。湿潤剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0015】
本発明の湿潤剤の使用量は、インキ組成物全量中10重量%〜70重量%含まれていることが好ましい。上記湿潤剤がインキ組成物全量中10重量%未満の場合は、インキの乾燥性が早くなる。湿潤剤がインキ組成物全量中70重量%を超えると、インキの乾燥時間が長くなる。より好ましい湿潤剤の範囲は15〜50重量%であり、さらに最適配合量は、18〜35重量%である。
【0016】
(着色剤)
本発明に於いてマイクロカプセル型熱膨張性を用いる場合は、着色剤を用いずに熱膨張性物質単独で用いることができる。着色剤を併用せずに熱膨張性物質を用いると、白色を有するスタンプ塗膜の盛り上がりが得られるが、着色剤と熱膨張性物質を併用すると、着色剤の種類に応じて、種々の有色なスタンプ塗膜の盛り上がりが得られる。
【0017】
着色剤としては、公知の各種のものを使用することができる。例えば、無機顔料(例えば、酸化チタン、カ−ボンブラック、酸化鉄等)、有機顔料(例えば、アゾ系顔料、縮合ポリアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、メラミン系顔料等)、樹脂着色体、染料などを用いることができる。好ましい着色剤には顔料、樹脂着色体が含まれ、さらに好ましくは顔料、樹脂エマルション着色体である。着色剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、従来のアルミニウム顔料等の金属粉顔料や、パール顔料などの各種の光輝性顔料、ガラスフレーク顔料、二色性顔料を組み合わせて用いることもできる。
【0018】
顔料(無機顔料や有機顔料など)としては、粒径が細かく、経時安定性に優れるものが好ましい。本発明では、顔料は、予め、水などに分散させた顔料分散体として用いることができる。このような顔料分散体として用いる場合、分散体中の顔料の平均粒径は特に制限されないが、例えば、0.08μm〜0.4μm程度であることが好ましい。顔料分散体中の顔料の濃度は特に限定されない。
【0019】
なお、樹脂着色体には、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂を単独もしくは二種以上を用いて乳化重合して得られる水分散体に、染料(例えば、塩基性染料や蛍光性塩基染料など)及び/又は蛍光増白剤で染着(着色)した樹脂エマルション着色体が含まれる。
【0020】
着色剤の使用量は特に制限されず、好ましくはインキ組成物全量に対して3重量%〜30重量%であり、より好ましくは5重量%〜25重量%以下である。着色剤の使用量がインキ組成物全量に対して3重量%未満では着色が薄くなり、またインキ組成物全量に対して30重量%を超えると、着色剤の定着性が少し劣る。
【0021】
(増粘剤)
本発明では増粘剤、好ましくはチキソトロピー性増粘剤を含有することにより、インキ中における発泡剤および顔料の沈降を防止することができる。チクソトロピー性増粘剤としては特に限定されるものではなく、ボールペン用水性インキ組成物等で用いられている公知の増粘剤を用いることができる。
【0022】
しかし、水性スタンプインキ組成物としては、紙に素早く浸透して吸収され、シュードプラスチック性(擬塑性)を有し、顔料の分散を妨げない浸透性増粘剤を用いることが好ましい。浸透性を有するチクソトロピー性増粘剤を用いることによりインキの保存安定性を高めることができ、発泡剤および着色剤としての無機顔料などの保存安定性を高めることができる。
【0023】
浸透性のチクソトロピー性増粘剤としては、下記式(1)で表されるポリグリセリンと、炭素数8〜20の脂肪酸とのポリグリセリンモノ脂肪酸エステルや、ソルビタンと、炭素数8〜20の脂肪酸とのソルビタンモノ脂肪酸エステルが好適に用いられる。
【0024】
【化1】
Figure 0004050551
(式中、nは4〜8の整数である。)
【0025】
脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。より具体的には、脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸などが挙げられる。
【0026】
ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルやソルビタンモノ脂肪酸エステルにおいて、脂肪酸と反応するヒドロキシル基は、前記式(1)で表されるポリグリセリン又はソルビタンにおけるヒドロキシル基のうちどのヒドロキシル基であってもよいが、末端の炭素原子に結合しているヒドロキシル基が好ましい。すなわち、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルやソルビタンモノ脂肪酸エステルとしては、前記式(1)で表されるポリグリセリン又はソルビタンのどちらか一方の末端の炭素原子に結合しているヒドロキシル基が脂肪酸と反応したエステルであることが好ましい。
【0027】
浸透性のチクソトロピー性増粘剤としては、前記ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが最適である。浸透性増粘剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0028】
浸透性のチクソトロピー性増粘剤、例えば前記ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルやソルビタンモノ脂肪酸エステルの使用量は特に制限されず、インキ組成物全量中、5重量%〜60重量%、好ましくは10重量%〜40重量%である。この増粘剤の使用量がインキ組成物全量に対して5重量%より少ないとインキの浸透性が低下するとともに、チキソトロピー性が低下し、無機顔料など粒径の大きい顔料が沈降し易くなり、インキの保存安定性が低下する。一方、この増粘剤の使用量がインキ組成物全量に対して60重量%より多いとインキの粘度が高くなり、スタンプし難くなる。
【0029】
本発明の水性スタンプインキ組成物では、前記成分の他、必要に応じて水、さらには他に香料、防腐剤、防錆剤、防黴剤、酸化防止剤、光安定剤などの添加剤を用いることができる。
【0030】
(製造方法)
本発明の水性スタンプインキ組成物の調製方法は特に制限されない。例えば、水性スタンプインキ組成物は、浸透増粘剤、湿潤剤、必要に応じて、水或いは各種添加剤を、ディゾルバなどにより撹拌して混合し、これに樹脂エマルションを添加し攪拌、さらに熱膨張性物質、着色剤を添加し撹拌して、必要に応じて脱泡して調製される。着色剤として顔料を用いる場合は前述のように顔料分散体として用いてもよい。
【0031】
本発明のスタンプインキ組成物は、スタンプパッド、ステンシルパッドなどのインキとして有用である。なお、本発明の水性スタンプインキ組成物は、例えばフェルトやスポンジ(例えば、ポリウレタンからなるスポンジなど)などからなるインキ収蔵体に吸収させて用いることができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
表1に示す組成(表1中、各成分の割合はインキ組成物全量に対する重量%で示されている)の水性スタンプインキ組成物を調製した。より具体的には、常温で、チクソトロピー性増粘剤としてのポリグリセリンモノ脂肪酸エステルと、湿潤剤としてのグリセリンとを入れ、ディゾルバにより撹拌して混合し、これに樹脂エマルションを添加し、攪拌、そして熱膨張性物質、着色剤を添加し攪拌して、必要に応じて脱泡して調整した。着色剤として顔料を使用するときは、顔料分散体を用いてもよい。
【0034】
(実施例2〜5)
実施例1と同様にして、表1に示す組成の水性スタンプインキ組成物をそれぞれ調製した。
【0035】
(比較例1〜5)
比較例1〜5では、実施例1と同様にして、表1に示す組成の水性スタンプインキ組成物をそれぞれ調製した。なお、比較例1は実施例1の樹脂エマルションに替え最低造膜温度(MFT)が25℃のものを用いた。比較例2は実施例1の樹脂エマルションに替え最低造膜温度(MFT)が38℃のものを用いた。比較例3は実施例1の樹脂エマルションに替え最低造膜温度(MFT)が60℃のものを用いた。比較例4は実施例1の樹脂エマルションに替え最低造膜温度(MFT)が105℃のものを用いた。比較例5は実施例1より熱膨張物質を抜いたものである。
【0036】
【表1】
Figure 0004050551
【0037】
なお、実施例1〜5、比較例1〜5では、以下の原料を用いた。
ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル
商品名:SYグリスターML-500 (阪本薬品工業社製)
グリセリン
商品名:グリセリン (阪本薬品工業社製)
エマルション▲1▼ MFT:0℃
商品名:A-02(アクリル酸エステル樹脂) (日本カーバイド工業株式会社製)
エマルション▲2▼ MFT:0℃以下
商品名:エマーセル(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂) (永和化成工業株式会社製)
エマルション▲3▼ MFT:3〜4℃
商品名:DM5(酢酸ビニルアクリル共重合樹脂) (ヘキスト合成株式会社製)
エマルション▲4▼ MFT:12〜14℃
商品名:DM772(アクリル共重合樹脂) (ヘキスト合成株式会社製)
エマルション▲5▼ MFT:25℃
商品名:KE-281(特殊架橋型アクリル樹脂) (日本カーバイド工業株式会社製)
エマルション▲6▼ MFT:38℃
商品名:KE-282 (日本カーバイド工業株式会社製)
エマルション▲7▼ MFT:60℃
商品名:749J(アクリルスチレン共重合樹脂) (ヘキスト合成株式会社製)
エマルション▲8▼ MFT:105℃
商品名:XR-1142(アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂) (日本エイアンドエル株式会社製)
熱膨張性物質▲1▼
商品名:マツモトマイクロスフェアー F-46 (松本油脂製薬株式会社製)
(カプセル:ニトリル系熱膨張性マイクロカプセル、内包剤:イソブタン)
熱膨張性物質▲2▼
商品名:セルパウダーF-35L (永和化成工業株式会社製)
(カプセル:特殊オレフィン系樹脂マイクロカプセル、内包剤:4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH))
イオン交換水
【0038】
また、顔料分散体は以下の組成にて調整した。
顔料分散体
フタロシアニンブルー
商品名:ファーストゲンブルーBSW (大日本インキ工業社製) 25重量%
スチレンアクリル樹脂
商品名:ジョンクリル379 (ジョンソンポリマー社製) 5重量%
プロピレングリコール 5重量%
水酸化ナトリウム 0.06重量%
イオン交換水 残部
【0039】
(評価)
実施例1〜4、比較例1〜4で得られた水性スタンプインキ組成物について、発泡性及び発泡剤・着色剤の定着性の試験を行なった。
【0040】
(発泡性試験)
実施例1〜5、比較例1〜5で得られた水性スタンプインキ組成物を、スポンジで構成されたインキ収蔵体に吸収させた。このインキ収蔵体は、ペン状の軸体を構成している基体に飛び出る状態で取り付けられており、いわゆるステンシル用のパッドペンを構成している。次に、このパッドペンを用いて、基体から飛び出たインキ収蔵体の開放端面を軽く叩くようにしてハガキ用紙に水性スタンプインキをスタンプして、135℃〜150℃に加熱しその発泡の程度を目視にて下記基準で評価した。
(評価基準)
○ : 十分な立体感がある。
△ : 膨張しているが立体感が十分でない。
× : 膨張していない。
【0041】
(発泡剤・着色剤の定着性試験)
実施例1〜5、比較例1〜5で得られた水性スタンプインキ組成物を、発泡性試験と同様にしてハガキ用紙に水性スタンプインキをスタンプして、135℃〜150℃に加熱し発泡したスタンプ塗膜を手で擦りその剥がれ具合(定着性)を下記基準で評価した。
(評価基準)
○ : 全く剥がれない。
× : 剥がれる。
【0042】
(評価結果)
表1より、実施例1〜5に係る水性スタンプインキ組成物では、発泡性及び定着性に優れる。一方、比較例1〜4に係る水性スタンプインキ組成物は定着性が悪く、比較例5に係る水性スタンプインキ組成物は発泡性が悪い。
【0043】
【発明の効果】
本発明の水性スタンプインキ組成物は、熱膨張性物質及び最低造膜温度が20℃以下の樹脂エマルションを含むスタンプインキ組成物にすることで、スタンプ塗膜が膨らみ、且つ該塗膜に定着性が得られるという効果がある。

Claims (2)

  1. 発泡剤として、低沸点炭化水素よりなる液体発泡剤又は炭酸水素ナトリウム、ヒドラジン誘導体よりなる熱分解性化学薬剤を密封内包するマイクロカプセル型熱膨張性物質及びアクリル系エマルション、酢酸ビニル系エマルション及びポリウレタン系エマルションより選ばれる最低造膜温度が20℃以下の樹脂エマルションを含み、且つチクソトロピー性増粘剤として、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが、スタンプインキ組成物全量中、5重量%〜60重量%含有し、さらに 湿潤剤としてクリセリンを18重量%〜35重量%含まれるステンシル用水性スタンプインキ組成物。
  2. 着色剤が、スタンプインキ組成物全量中、30重量%以下にて含有している請求項1記載のステンシル用水性スタンプインキ組成物。
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