JP4049548B2 - 光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミンの精製方法 - Google Patents

光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミンの精製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬および農薬の重要中間体である光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミンを高い光学純度で得るための精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミンは、医薬および農薬の重要中間体である。
【0003】
光学活性パラ−フルオロ体(4−フルオロ体)の製造方法については、Tetrahedron, 56, 6651-6655 (2000)、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 1339-1348 (2000)、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 95-99 (1978)において、それぞれ(S)-3',4'-methylenedioxymandelic acid、(S)-2-naphthylglycolic acid、(+)-tartaric acidによる光学分割が報告されている。しかしながら、これらの方法では、特別な分割剤を必要としたり、また、分割効率が必ずしも高くないため、工業的製法として効率の良いものではなかった。これ以外の化合物の光学活性体の合成法は報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミンの合成中間体を無機酸または有機酸の塩にして再結晶精製することにより、高い光学純度の1−(フルオロフェニル)エチルアミンを得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミンの合成中間体を無機酸または有機酸の塩にして再結晶精製することにより、高い光学純度の1−(フルオロフェニル)エチルアミンが得られることを明らかにした。
【0006】
すなわち、本発明は、一般式[1]
【0007】
【化4】
Figure 0004049548
【0008】
[式中、nは1から5を表し、任意の置換位置をとる。但し、nが1でオルト位を除く。RはC*HMeArで示される光学活性α−アリールエチル基を表し、Arはフェニル基または1もしくは2−ナフチル基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類を無機酸または有機酸の塩にして再結晶精製することを特徴とする精製方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミンの精製方法について詳細に説明する。
【0010】
本発明の一般式[1]で示される光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類としては、一般式[2]
【0011】
【化5】
Figure 0004049548
【0012】
[式中、nは1から5を表し、任意の置換位置をとる。但し、nが1でオルト位を除く]で示されるフルオロフェニルメチルケトンと、一般式[3]
【0013】
【化6】
Figure 0004049548
【0014】
[式中、Arはフェニル基または1もしくは2−ナフチル基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性一級アミンを酸性条件下、脱水縮合することにより得られる一般式[4]
【0015】
【化7】
Figure 0004049548
【0016】
[式中、nは1から5を表し、任意の置換位置をとる。但し、nが1でオルト位を除く。Arはフェニル基または1もしくは2−ナフチル基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性イミンをハイドライド還元剤を用いて不斉還元することにより製造することができ、下式に示す3化合物を挙げることができる。その中でも、N−α−フェニルエチル体(1−a)がより好ましい。
【0017】
【化8】
Figure 0004049548
【0018】
*は、不斉炭素を表し、1−a、1−bおよび1−cの立体化学にはR−R体、S−R体、R−S体またはS−S体の組み合わせがあり(ハイフンの前に示した絶対配置は、1−(フルオロフェニル)エチル基側の絶対配置を表し、ハイフンの後に示した絶対配置は、キラル補助剤であるα−アリールエチル基側の絶対配置を表し、通常、98%ee以上のR体またはS体のキラル補助剤を用いる)、そのジアステレオマー過剰率が10%de以上のものを用いることができる。
【0019】
本発明で用いられる無機酸としては、炭酸、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、沃化水素酸、リン酸、ホウ酸、過塩素酸等を挙げることができる。その中でも、塩酸、臭化水素酸がより好ましい。
【0020】
本発明で用いられる有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、オクタン酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸等の脂肪族カルボン酸類、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、2−クロロプロピオン酸、3−クロロプロピオン酸等のハロアルキルカルボン酸類、アクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、cisまたはtrans−ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸類、安息香酸、o,mまたはp−トルイル酸、o,mまたはp−フルオロ安息香酸、o,mまたはp−クロロ安息香酸、o,mまたはp−ブロモ安息香酸、o,mまたはp−ヨード安息香酸、o,mまたはp−ヒドロキシ安息香酸、o,mまたはp−アニス酸、o,mまたはp−アミノ安息香酸、o,mまたはp−ニトロ安息香酸、o,mまたはp−シアノ安息香酸、o,mまたはp−ベンゼンジカルボン酸(フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸)、α,βまたはγ−ピコリン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、1または2−ナフトエ酸等の芳香族カルボン酸類、メタンスルホン酸、クロロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸等のスルホン酸類、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、2−フェニルプロピオン酸、マンデル酸、カンファー酸、シス−2−ベンズアミドシクロヘキサンカルボン酸等の光学活性カルボン酸類、フェニルエタンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等の光学活性スルホン酸類、2,2’−(1,1’−ビナフチル)リン酸等の光学活性リン酸類、4−アミノ酪酸、フェニルグリシン、アスパラギン酸等の光学活性アミノ酸類、ピログルタミン酸、N−アセチル−3,5−ジブロモ−チロシン、N−アシル−フェニルアラニン、N−アシル−アスパラギン酸、N−アシルグルタミン酸、N−アシルプロリン等の光学活性N−アシルアミノ酸類(N−アシル基としては、アセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等を表す)、その他の有機酸としては、ギ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、シアノ酢酸、クエン酸、グリコール酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、レブリン酸、オキサロ酢酸、メルカプト酢酸、フェノキシ酢酸、ピクリン酸等を挙げることができる。光学活性カルボン酸類、光学活性スルホン酸類、光学活性リン酸類、光学活性アミノ酸類または光学活性N−アシルアミノ酸類には、光学異性体が存在するが、両方の光学異性体を用いることができる。その中でも、フタル酸がより好ましい。
【0021】
本発明で用いられる酸の使用量としては、一般式[1]で示される光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類に対して、0.3モル当量以上使用すればよく、0.3〜5モル当量が好ましく、特に、0.3〜3モル当量がより好ましい。
【0022】
本発明の塩の調製方法は、光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類と酸の組み合わせにより適宜決めればよく、通常、再結晶溶媒に該光学活性アミン類と酸を直接加え混合することにより、または、それぞれの溶液を予め準備し溶液同士を混合することにより調製することができる。
【0023】
本発明で用いられる再結晶溶媒としては、光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類、酸またはその塩と反応しないものであれば特に制限はなく、精製前のジアステレオマー過剰率、または、目標とする精製後のジアステレオマー過剰率および回収率等により適宜決めればよい。
【0024】
かかる再結晶溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、c−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール系、水等を挙げることができる。その中でも、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、t−ブチルメチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールがより好ましい。これらの溶媒は単独または組み合わせて用いることができる。
【0025】
本発明で用いられる再結晶溶媒の使用量としては、精製前の塩が、熱時、完全にまたは部分的に溶解する範囲であれば特に制限はなく、精製前のジアステレオマー過剰率、または、目標とする精製後のジアステレオマー過剰率および回収率等により適宜決めればよい。通常、一般式[1]で示される光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類の塩に対して、1容量以上使用すればよく、1〜100容量が好ましく、特に、1〜50容量がより好ましい。
【0026】
本発明の再結晶操作においては、種結晶を添加することにより、円滑に且つ効率良く結晶を析出させることができる。用いられる種結晶の使用量としては、精製前の塩に対して、1/10〜1/10000重量の添加が好ましく、特に、1/20〜1/5000重量の添加がより好ましい。
【0027】
本発明の再結晶操作の温度条件は、使用する溶媒の沸点および凝固点により適宜決めることができ、通常、室温(25℃)から再結晶溶媒の沸点付近の温度で、精製前の塩を溶解させ、−40〜80℃で結晶を析出させることができる。
【0028】
本発明においては、析出した結晶のジアステレオマー過剰率が向上するため、析出した結晶を濾過等で回収することにより、高い純度の1−(フルオロフェニル)エチルアミン類の塩を得ることができる。また、再結晶操作を繰り返すことにより、さらに高い純度のものを得ることができる。得られた塩を、そのままで、または、アルカリ性水溶液で遊離塩基にした後で、加水素分解することにより、ラセミ化することなく、目的とする高い光学純度の式[1− d ]で示される1−(フルオロフェニル)エチルアミン
【化9】
Figure 0004049548
[式中、nは1から5を表し、任意の置換位置をとる。但し、nが1でオルト位を除く。*は不斉炭素を表す]
を得ることができる(塩のままで加水素分解を行った場合には、反応終了後、アルカリ性水溶液で中和し、有機溶媒で抽出することにより、該光学活性アミンを遊離塩基として回収することができる)。また、得られた該光学活性アミンの粗生成物は、必要に応じて、活性炭、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、精製することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例にある%de、%eeは、それぞれジアステレオマー過剰率、エナンチオマー過剰率を表し、キラルGC(CP−Chirasil−Dex CB)により決定した。
【0031】
[実施例1]/S−S−パラ−1−aの塩酸塩による再結晶精製
メタノール 3mlに、光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類(S−S−パラ−1−a、ジアステレオマー比/S−S体:R−S体=93:7)1.00g(4.11mmol、1eq)と37%塩酸 0.4ml(4.87mmol、1.18eq)を加え、80℃で30分間撹拌し、減圧下濃縮した。残留物に、i−プロパノール 5mlとn−ヘプタン 3mlを加え、熱時溶解し、室温まで放冷しながら18時間撹拌した。析出した結晶を濾過し、少量のn−ヘプタンで洗浄し、真空乾燥後、下式に示す構造の結晶 0.85gと母液 0.26gを得た。それぞれのdeは、0.5N−NaOH水溶液で遊離塩基にして、キラルGC分析したところ、95.8%de(メジャー体はS−S体)、47.6%de(メジャー体はS−S体)であった。
【0032】
【化10】
Figure 0004049548
【0033】
1H−NMR(TMS、CDCl3):1.91(d、6.6Hz、6H)、3.75−4.00(m、2H)、7.00−7.80(Ar−H、9H)、10.52(br、2H).
【0034】
[実施例2]/S−S−パラ−1−aの臭化水素酸塩による再結晶精製
メタノール 3mlに、光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類(S−S−パラ−1−a、ジアステレオマー比/S−S体:R−S体=93:7)1.01g(4.14mmol、1eq)と47%臭化水素酸 0.5ml(4.30mmol、1.04eq)を加え、80℃で30分間撹拌し、減圧下濃縮した。残留物に、i−プロパノール 8mlとn−ヘプタン 3mlを加え、熱時溶解し、室温まで放冷しながら66時間撹拌した。析出した結晶を濾過し、少量のn−ヘプタンで洗浄し、真空乾燥後、下式に示す構造の結晶 0.91gと母液 0.28gを得た。それぞれのdeは、0.5N−NaOH水溶液で遊離塩基にして、キラルGC分析したところ、98.4%de(メジャー体はS−S体)、37.0%de(メジャー体はS−S体)であった。
【0035】
【化11】
Figure 0004049548
【0036】
1H−NMR(TMS、CDCl3):1.98(d、6.8Hz、6H)、3.80−4.10(m、2H)、7.00−7.80(Ar−H、9H)、10.01(br、2H).
【0037】
[実施例3]/S−S−メタ−1−aのフタル酸塩による再結晶精製
i−プロパノール 3mlとn−ヘプタン 3mlの混合溶液に、光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類(S−S−メタ−1−a、ジアステレオマー比/S−S体:R−S体=86:14) 1.00g(4.12mmol、1eq)とフタル酸 0.68g(4.09mmol、0.99eq)を加え、80℃で30分間撹拌し、減圧下濃縮した。残留物に、i−プロパノール 17.5mlを加え、熱時溶解し、室温まで放冷しながら18時間撹拌した。析出した結晶を濾過し、少量のn−ヘプタンで洗浄し、真空乾燥後、下式に示す構造の結晶 1.32gと母液 0.47gを得た。それぞれのdeは、0.5N−NaOH水溶液で遊離塩基にして、キラルGC分析したところ、99.2%de(メジャー体はS−S体)、46.0%de(メジャー体はR−S体)であった。
【0038】
【化12】
Figure 0004049548
【0039】
1H−NMR(TMS、CDCl3):1.78(d、7.0Hz、3H)、1.80(d、7.0Hz、3H)、4.05(m、2H)、7.04−7.70(Ar−H、11H)、8.45−8.58(Ar−H、2H)、10.48(br、3H).
【0040】
[実施例4]/S−S−3,5−1−aのフタル酸塩による再結晶精製
i−プロパノール 5mlとメタノール 6mlの混合溶液に、光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類(S−S−3,5−1−a、ジアステレオマー比/S−S体:R−S体=87:13) 1.01g(3.85mmol、1eq)とフタル酸 0.64g(3.83mmol、0.99eq)を加え、熱時溶解し、室温まで放冷しながら19時間撹拌した。析出した結晶を濾過し、少量のn−ヘプタンで洗浄し、真空乾燥後、下式に示す構造の結晶 1.05gと母液 0.54gを得た。それぞれのdeは、0.5N−NaOH水溶液で遊離塩基にして、キラルGC分析したところ、99.6%de(メジャー体はS−S体)、9.1%de(メジャー体はR−S体)であった。
【0041】
【化13】
Figure 0004049548
【0042】
1H−NMR(TMS、CDCl3):1.77(d、6.6Hz、3H)、1.81(d、6.6Hz、3H)、4.03(q、6.6Hz、1H)、4.10(q、6.6Hz、1H)、6.75−7.70(Ar−H、10H)、8.45−8.58(Ar−H、2H)、10.79(br、3H).
【0043】
実施例5]/精製したS−S−パラ−1−a・塩酸塩の光学活性1−(パラ−フルオロフェニル)エチルアミンへの変換
実施例1で精製したS−S−パラ−1−a・塩酸塩(95.8%de) 309mg(1.10mmol、1eq)をメタノール 1.5mlに溶解し、5%パラジウム/活性炭(50重量%含水) 5.6mg(Pdとして0.05重量%)を加え、水素圧を0.5MPaに設定し、60℃で15時間撹拌した。反応終了液をセライト濾過し、濃縮、真空乾燥後、(S)−1−(パラ−フルオロフェニル)エチルアミン・塩酸塩を得た。この塩酸塩に、t−ブチルメチルエーテル 10mlと0.5N−NaOH水溶液 10mlを加え、室温で30分間撹拌し、静定分液後、回収水層をt−ブチルメチルエーテル 5mlで抽出し、合わせた回収有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮、真空乾燥後、下式に示す構造の(S)−1−(パラ−フルオロフェニル)エチルアミンの粗生成物を得た。粗生成物の変換率と光学純度は、キラルGC分析したところ、それぞれ>99%、95.6%eeであった。
【0044】
【化14】
Figure 0004049548
【0045】
1H−NMR(TMS、CDCl3):1.39(d、6.6Hz、3H)、2.10(br、2H)、4.11(q、6.6Hz、1H)、7.12−7.38(Ar−H、4H).
【0046】
実施例6]/精製したS−S−メタ−1−a・フタル酸塩の光学活性1−(メタ−フルオロフェニル)エチルアミンへの変換
実施例3で精製したS−S−メタ−1−a・フタル酸塩(99.2%de)615mg(1.50mmol、1eq)をメタノール 4.0mlに溶解し、5%パラジウム/活性炭(50重量%含水) 7.3mg(Pdとして0.03重量%)を加え、水素圧を0.5MPaに設定し、60℃で14時間撹拌した。反応終了液をセライト濾過し、濃縮、真空乾燥後、(S)−1−(メタ−フルオロフェニル)エチルアミン・フタル酸塩を得た。このフタル酸塩に、t−ブチルメチルエーテル 10mlと0.5N−NaOH水溶液 10mlを加え、室温で30分間撹拌し、静定分液後、回収水層をt−ブチルメチルエーテル 5mlで抽出し、合わせた回収有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮、真空乾燥後、下式に示す構造の(S)−1−(メタ−フルオロフェニル)エチルアミンの粗生成物を得た。粗生成物の変換率と光学純度は、キラルGC分析したところ、それぞれ99.5%、99.1%eeであった。
【0047】
【化15】
Figure 0004049548
【0048】
1H−NMR(TMS、CDCl3):1.40(d、6.6Hz、3H)、2.80(br、2H)、4.10(q、6.6Hz、1H)、6.86−7.42(Ar−H、4H).
【0049】
【発明の効果】
医薬および農薬の重要中間体である光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミンを工業的に効率良く高い光学純度に精製できる。

Claims (7)

  1. 一般式[1]
    Figure 0004049548
    [式中、nは1から5を表し、任意の置換位置をとる。但し、nが1でオルト位を除く。RはC*HMeArで示される光学活性α−アリールエチル基を表し、Arはフェニル基または1もしくは2−ナフチル基を表し、*は不斉炭素を表す]で示される光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類を無機酸または有機酸の塩にして再結晶精製することを特徴とする精製方法。
  2. 無機酸が塩酸または臭化水素酸からなる請求項1に記載した精製方法。
  3. 有機酸がフタル酸からなる請求項1に記載した精製方法。
  4. 一般式[1]で示される光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類が、下記式[1− a
    Figure 0004049548
    [式中、nは1から5を表し、任意の置換位置をとる。但し、nが1でオルト位を除く。*は不斉炭素を表す]
    で示される構造である、請求項1に記載の方法。
  5. 再結晶溶媒としてn−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、t−ブチルメチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることにより行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の方法。
  6. 一般式[1]の*の立体化学が、R体またはS体である請求項1乃至請求項5の何れかに記載の方法。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の方法で得られた、光学活性1−(フルオロフェニル)エチルアミン類の無機酸または有機酸の塩を、そのままで、または、アルカリ性水溶液で遊離塩基にした後で、加水素分解することを特徴とする、式[1− d ]で示される1−(フルオロフェニル)エチルアミン
    Figure 0004049548
    [式中、nは1から5を表し、任意の置換位置をとる。但し、nが1でオルト位を除く。 *は不斉炭素を表す]
    の製造方法。
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