JP4045990B2 - コーティング方法及びコーティング用治具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物品の表面に部分的にコーティングを行なうためのコーティング方法及びコーティング用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車用の圧力センサは、図8に示すような形状の金属ハウジング1を備えている。この金属ハウジング1は、やや径大な円筒状をなす主部1aの上部に径小なポート部1bを一体に有しており、そのポート部1bの基端側には、取付用のねじ部1cが形成されている。この場合、使用時において、金属ハウジング1のポート部1bの先端部(図でねじ部1cよりも上の部分)は、腐食環境に曝されるため、耐食性の向上を図るべく、樹脂コーティングが施されるようになっている。
【0003】
この場合、樹脂コーティングは、例えばポリパラキシリレン樹脂を用いた化学蒸着(CVD)法により行なわれるのであるが、このとき、従来では、一般に、樹脂コーティングを行なわない部分全体にマスキングテープ2(片面に接着剤が塗布されたプラスチック製のフレキシブルなテープ)を貼付けてマスキングし、このマスキング状態で樹脂コーティングを行い、その後、マスキングテープ2を剥がすことが行なわれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したマスキングテープ2を用いたマスキングでは、マスキングする部分が多い場合や、マスキングする部分の形状が複雑な場合などにおいては、作業効率が悪く、非常に手間がかかる欠点がある。また、マスキングテープ2を剥がす際に、ねじ部1c等に接着剤残りが生ずることがあるといった不具合もあった。
【0005】
尚、樹脂コーティングはマスキングテープ2の表面にまで渡って施されるため、樹脂コーティング後、そのままで(カットせずに)マスキングテープ2を剥がそうとすると、樹脂コーティング層に剥れが起こる事情がある。そのため、樹脂コーティング後に、樹脂コーティング層をマスキングテープ2の縁部部分(境界部)で切断する必要があるが、その際、樹脂コーティング層を傷付けない(ささくれや引きつり等の生じない)ように綺麗に切断することが望まれる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、物品の表面に部分的にコーティングを行なう場合の、作業性の向上を図ることができるコーティング方法及びコーティング用治具を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のコーティング方法は、一度に多数個の物品に対してその表面に部分的にコーティングを行なうにあたり、多数個の物品を固定部材により固定的に保持させ、各部品のコーティング部と非コーティング部との境界部の該非コーティング部側に沿って夫々パッキンを配置し、それら各パッキンに押え部材により押圧力を加えて変形させることにより、物品の表面に密着させて非コーティング部のマスキングを行うようにしたところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0008】
これによれば、コーティング部と非コーティング部との境界部に沿ってパッキンを密着させることによってマスキングを行なうものであるから、非コーティング部が大きかったり、複雑な形状であったりしても、パッキンは、境界部の形状に対応していれば済む。従って、マスキング作業が容易に行えるようになり、マスキングテープで非コーティング部全体をマスキングする場合と比較して、作業性の大幅な向上を図ることができる。しかも、多数個の物品に対し、一度にマスキングひいてはコーティングの作業を行うことができる。また、マスキングテープを使用しないので、接着剤残りが発生することもない。
【0009】
このとき、コーティングを実行した後、境界部にてコーティング層を切断する工程を実行することが望ましく(請求項2の発明)、これにより、パッキンによるマスキングを解除する際の境界部におけるコーティング層の剥れを防止することができる。
【0010】
そして、本発明のコーティング用治具は、上記したコーティング方法における非コーティング部のマスキングを行なうためのマスキング治具を有し、そのマスキング治具を、多数個の物品を固定的に保持する固定部材と、この固定部材にセットされる多数個のパッキンと、前記固定部材に取付けられパッキンに押圧力を加えて変形させることにより物品の表面に密着させる押え部材とを備えて構成したところに特徴を有する(請求項3の発明)。
【0011】
これによれば、押え部材によりパッキンが変形されることにより、固定部材に保持された物品のコーティング部と非コーティング部との境界部に沿って夫々パッキンが密着され、マスキングが行なわれる。従って、非コーティング部が大きかったり、複雑な形状であったりしても、パッキンは境界部の形状に対応していれば良いので、マスキング作業が容易に行えるようになり、マスキングテープで非コーティング部全体をマスキングする場合と比較して、作業性の大幅な向上を図ることができる。しかも、多数個の物品に対し、一度にマスキングひいてはコーティングの作業を行うことができる。
【0012】
このとき、パッキンの物品の表面に密着される先端部を、先細りのテーパ状に構成することができ(請求項4の発明)、これによれば、パッキンの基端側を肉厚として十分な変形量を確保することができ、パッキンの変形前におけるセットの作業を容易としながらも、変形時つまりマスキング時における物品の表面に対するパッキン先端部の密着性を高めることができる。
【0013】
また、本発明のコーティング用治具においては、上記したマスキング治具に加えて、物品の表面のコーティング部と非コーティング部との境界部にてコーティング層を一括して切断するためのカット治具を設けることができる(請求項5の発明)。これによれば、コーティングを実行した後、境界部にてコーティング層を切断する工程を実行することができ、マスキングを解除する際の境界部におけるコーティング層の剥れを防止することができる。
【0014】
この場合、本発明者らの研究によれば、カット治具の刃先部の角度を、20〜30度とすることにより、境界部にてコーティング層を切断する作業を、良好且つ確実に行なうことができた(請求項6の発明)。更に、パッキンの先端部に、カット治具による切断時に該パッキンの先端部の逃げ方向の変形を容易とするための段差部を設けることにより、パッキンの先端部が切断作業の障害となることなく、コーティング層の切断を確実に行なうことができる(請求項7の発明)。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1ないし図6を参照しながら説明する。本実施例では、図2に示すように、物品としての、自動車用の圧力センサの金属ハウジング11に対して、コーティングを行なう場合を具体例としている。詳しい図示及び説明は省略するが、この金属ハウジング11は、例えば低炭素鋼からなり、やや径大な円筒状をなす主部11aの上部に径小な円筒状のポート部11bを一体に有しており、そのポート部11bの基端側には取付用のねじ部11cが形成されている。
【0016】
この場合、使用時において、金属ハウジング11のポート部11bの先端部は、腐食環境に曝されるため、耐食性の向上を図るべく、その表面に例えばポリパラキシリレン樹脂からなる樹脂コーティング(コーティング層12)が施されるようになっている。このコーティング層12は、例えば3μmの厚みで形成されるようになっている。
【0017】
この樹脂コーティングは、図2に細線で示す高さ位置(図でねじ部11cよりもやや上)の境界部bの上側に対してのみ行われる。従って、境界部bより上部がコーティング部とされ、境界部bより下部が非コーティング部とされる。尚、本実施例では、金属ハウジング11のポート部11bの先端部の直径寸法Iは、15.6mmΦとされている。
【0018】
さて、上記金属ハウジング11のコーティングを行なうにあたっては、後述するような、本実施例に係るコーティング方法が採用されるのであるが、このコーティング方法を実行するためには、本実施例に係るコーティング用治具が用いられる。このコーティング用治具は、前記非コーティング部のマスキングを行なうためのマスキング治具13(図1等参照)、及び、コーティング後にコーティング層12を境界部bで切断するためのカット治具14(図5等参照)を有して構成される。以下、このコーティング用治具について述べる。
【0019】
まず、図1に示すように、前記マスキング治具13は、前記金属ハウジング11を固定的に保持する固定部材15、この固定部材15にセットされ前記金属ハウジング11の表面の境界部bの該非コーティング部側に沿って配置されるパッキン16、前記固定部材15の上面側に取付けられ前記パッキン16に押圧力を加えて変形させる押え部材17、前記固定部材15の下面側に取付けられる底蓋18等を備えて構成される。
【0020】
そのうち固定部材15は、例えばアルミ等の金属から、全体として円形に構成され、その外周側に位置する厚肉なリング状のベース部19と、その内周側に位置する薄肉な仕切板部20とを一体に有している。前記ベース部19の上面部には、外周側の複数箇所に位置して前記押え部材17の取付用のねじ穴19aが形成されており、ベース部19の下面部には、外周側の複数箇所に位置して前記底蓋18の取付用のねじ穴19bが形成されていると共に、その内周側に位置して、Oリング21収容用の溝19cがリング状に形成されている。
【0021】
前記仕切板部20の中心部には、前記金属ハウジング11のねじ部11cが螺合する雌ねじ部20aが上下に貫通して形成されている。また、この仕切板部20の上面側は、前記パッキン16がセットされる円形の凹部20bとされている。尚、この凹部20bの深さ寸法Hは、例えば2.3mmとされている。この仕切板部20の下面側は、前記金属ハウジング11の主部11aが収容可能な空間部とされている。
【0022】
前記パッキン16は、弾性変形可能な材料例えばウレタンゴムからなり、図4に示すように、中心に円形穴16aを有したリング状の薄板状をなしている。この場合、このパッキン16の外径寸法Aは、前記固定部材15の凹部20bの内径寸法に等しく、厚み寸法B(外周側の肉厚)は、前記凹部20bの深さ寸法Hよりもやや大きく構成されている。
【0023】
また、このパッキン16の上面の内周側部分は、前記円形穴16aの周縁部に向けて先細りとなるテーパ面16bが形成され、従って、前記金属ハウジング11の表面に密着する先端部が先細りのテーパ状とされている。さらに、このパッキン16の下面側には、前記円形穴16aの周縁部に段差部16cが形成されており、パッキン16の先端部がその分薄肉とされている。
【0024】
尚、本実施例では、図4に示すように、このパッキン16の直径寸法E(前記固定部材15の凹部20bの内径寸法に等しい)は、例えば30mmΦとされ、厚み寸法Bは、例えば2.5mmとされ、円形穴16aの直径寸法(内径寸法)Aは、例えば15.9mmΦとされ、段差部16cの高さ寸法Cは、例えば0.7mmとされ、段差部16cの直径寸法Dは、例えば18mmΦとされている。更に、このパッキン16の硬度Fは、例えば50°とされている。
【0025】
前記押え部材17は、図1等に示すように、例えばアルミ等の金属から、前記固定部材15と同等の外径を有し、中央部に円形穴17aを備えたリング状の薄板状に構成されている。また、この押え部材17の外周側には、前記ねじ穴19aに対応した複数個のねじ挿通孔17bが形成されている。この押え部材17は、前記固定部材15のベース部19の上面に載置された状態で、ねじ22が、ねじ挿通孔17bを通してねじ穴19aに締付けられることにより、固定部材15に対して着脱可能に取付けられるようになっている。
【0026】
このとき、後の工程説明でも述べるように、前記固定部材15の凹部20bにパッキン16がセットされた状態で、この押え部材17が固定部材15に取付けられる(ねじ22が締付けられる)ことにより、パッキン16に上下方向に押圧力が加えられて内径が縮まるように変形し、もってパッキン16の先端部が前記金属ハウジング11の表面(境界部bの非コーティング側)に密着されるようになっているのである。
【0027】
前記底蓋18は、やはりアルミ等の金属から、前記固定部材15と同等の外径を有する円板状に構成され、その外周側には、前記ねじ穴19bに対応した複数個のねじ挿通孔18aが形成されている。この底蓋18は、前記固定部材15のベース部19の下面に宛がわれた状態で、ねじ23が、ねじ挿通孔18aを通してねじ穴19bに締付けられることにより、固定部材15に対して着脱可能に取付けられ、以て固定部材15の下面側の開口を気密に塞ぐようになっている。
【0028】
次に、前記カット治具14は、例えばアルミ等の金属からなり、図5に示すように、円形の頭部14aと、その頭部14aから下方に延びる棒状部14bと、その棒状部14bの下端部に設けられた薄肉な円筒状のカッタ部14cとを一体に有して構成されている。前記カッタ部14cの先端(下端)は、外周側がテーパ面状に削られた断面が鋭利に尖った刃先部とされている。また、このカッタ部14cには、その下端(刃先部)から上方に延びて4本の切込溝部14dが90度間隔で形成されている。
【0029】
このとき、カッタ部14cの刃先部の角度Gは、20〜30度の範囲内この場合20度とされている。そして、前記カッタ部14cの内径寸法Jは、前記金属ハウジング11のポート部11bの先端部の直径寸法I(15.6mmΦ)よりも若干大きく構成され、例えば16.0mmΦとされている。また、前記各切込溝部14dは、例えば0.5mmの幅寸法で形成され、この切込溝部14dの幅寸法が縮まることにより、刃先部が縮径可能とされている。尚、カッタ部14cの外径寸法Kは、例えば20.0mmΦとされている。
【0030】
次に、上記のように構成されたコーティング用治具を用いた、金属ハウジング11のコーティング部に対する本実施例に係るコーティング方法について、図3も参照して述べる。図3は、金属ハウジング11のコーティング部に対するコーティングの作業手順を示している。尚、この図3では、便宜上、マスキング治具13の底蓋18の図示を省略している。
【0031】
ここでは、まず図3(a)に示すように、金属ハウジング11をマスキング治具13にセットする(固定部材15に保持させる)工程が実行される。この工程では、マスキング治具13のうち、底蓋18を固定部材15から取外しておくと共に、押え部材17を取付けるねじ22を緩めておく(あるいは押え部材17を固定部材15から取外しておく)。これにより、固定部材15の凹部20bにセットされているパッキン16は、圧縮力を受けることなく変形のない状態とされている。
【0032】
その状態で、金属ハウジング11は、固定部材15の仕切り板部20に対して下方から差込まれ、ねじ部11cを雌ねじ部20aにねじ込むことにより、固定部材15に固定的に保持されるようになる。ねじ部11cを一杯までねじ込むことにより、金属ハウジング11のポート部11bの先端部が円形穴16a内に下方から挿入され、これにて、パッキン16の先端部が、金属ハウジング11のコーティング部と非コーティング部との境界部bの該非コーティング部側に沿って配置されるようになる。また、このときには、パッキン16の内径は、金属ハウジング11の先端部の外径よりも大きくなっており、それらの間にクリアランスが設けられている。
【0033】
次いで、固定部材15に底蓋18が取付けられる工程が実行され、これにて、図1に示すように、金属ハウジング11の主部11aが、仕切板部20の下面側と底蓋18との間の空間部に収容されるようになる。そして、図3(b)に示すように、押え部材17を固定部材15に取付ける(ねじ22を締付ける)ことにより、パッキン16の先端部を、金属ハウジング11の表面の境界部bの非コーティング側に密着させる工程が実行される。
【0034】
このとき、上述のように、パッキン16に上下方向に押圧力が加えられることによって内径が縮まるように変形し、パッキン16の先端部が金属ハウジング11の表面に密着されるようになるのである。この場合、パッキン16の基端側(外周側)を肉厚とし、先端部を先細りのテーパ状に構成することにより、パッキン16の十分な変形量を確保することができ、パッキン16の変形前における金属ハウジング11のセットの作業を容易としながらも、マスキング時におけるパッキン16先端部の密着性(シール性)を高めることができる。
【0035】
これにて、金属ハウジング11に対するマスキングが完了し、境界部bの上部のコーティング部のみが外部に露出し、それ以外の部分つまり非コーティング部がマスキング治具13内に密封されるようになるのである。この後、図3(c)に示すように、金属ハウジング11のコーティング部に対する樹脂コーティングの工程が実行される。
【0036】
この樹脂コーティングの工程は、例えばポリパラキシリレン樹脂を用いた化学蒸着(CVD)法により行なわれる。これにて、金属ハウジング11のコーティング部の表面に、ポリパラキシリレン樹脂からなるコーティング層12が形成されるようになる。このとき、金属ハウジング11の表面の境界部bの非コーティング側にパッキン16が密着しているので、境界部bよりも下方に樹脂が付着することはなく、また、マスキング治具13の下面側は、底蓋18及びOリング21により密封されているので、マスキング治具13の内部(非コーティング部側)に樹脂が侵入することもない。
【0037】
しかして、図3(c)に示すように、上記コーティング層12は、金属ハウジング11の表面のコーティング部だけでなく、パッキン16の表面(テーパ面16b)や押え部材17の表面にまでも連続した状態で形成されている。このため、このままでマスキング治具13から金属ハウジング11を外そうとすると、コーティング層12の剥れが生ずることになる。そこで、本実施例では、図3(d)及び(e)に示すように、上記カット治具14を用いてコーティング層12を境界部bにて切断する工程が実行される。
【0038】
この切断の工程では、まず図3(d)に示すように、前記カット治具14を、その先端部(カッタ部14c)が金属ハウジング11の上端部に被さるように、下方に嵌挿していくことが行なわれる。この時点では、カッタ部14cの内径寸法Jが、金属ハウジング11のポート部11bの先端部の直径寸法Iよりも大きいので、刃先部がコーティング層12に押当たることはなく、切断は未だ行なわれない。
【0039】
この状態から、カット治具14が押込まれて行くと、図1に示すように、カッタ部14cの刃先部がパッキン16の先端部に当接するようになる。さらにカッタ部14cが押込まれると、図3(e)に示すように、カッタ部14cが切込溝部14dの存在によって縮径しながら、その刃先部が、パッキン16の先端部と金属ハウジング11の表面との間に差込まれていくようになり、その部分つまり境界部bにてコーティング層12に押当てられて切断するようになるのである。このとき、コーティング層12を切断する作業を、コーティング層12を傷付けることなく(切断端部にささくれや引きつり等が生ずることなく)良好且つ確実に行なうことができた。
【0040】
またこの場合、切断時にパッキン16の先端部がカッタ部14cの外面(テーパ面)により下方への押圧力を受けるが、パッキン16の先端部の下面側に段差部16cが設けられていることにより、パッキン16の先端部の逃げ方向(下方)の変形が容易となり、パッキン16の先端部が切断作業の障害となることなく、刃先部が奥まで入り込んでコーティング層12の切断を確実に行なうことができるのである。
【0041】
この切断の工程の後、金属ハウジング11をマスキング治具13から取外す工程が行なわれる。この工程は、図3(f)に示すように、押え部材17を取付けるねじ22を緩めることによってパッキン16の圧縮力を解除し、これと共に、底蓋18を固定部材15から取外し、金属ハウジング11のねじ部11cを雌ねじ部20aから螺退させることにより行なうことができる。このときも、パッキン16の先端部と金属ハウジング11との間には、クリアランスが設けられているので、スムーズに取外しを行なうことができる。
【0042】
このように本実施例によれば、金属ハウジング11の表面に部分的にコーティングを行なうにあたり、コーティング部と非コーティング部との境界部bに沿ってパッキン16を密着させることによってマスキングを行なう構成としたので、マスキングテープ2で非コーティング部全体をマスキングするようにしていた従来と異なり、非コーティング部が大きかったり複雑な形状であったりしても、マスキング作業が容易に行えるようになり、作業性の大幅な向上を図ることができた。また、マスキングテープ2を使用しないので、金属ハウジング11の表面に接着剤残りが発生することもない。
【0043】
そして、本実施例では、金属ハウジング11の表面に対するコーティングを実行した後、カット治具14を用いて境界部bにてコーティング層12を切断する工程を実行するようにしたので、境界部bにおけるコーティング層12の剥れを防止することができることは勿論、樹脂コーティング層12を傷付けない(切断端部にささくれや引きつり等の生じない)ように綺麗に切断することができたのである。
【0044】
また、特に本実施例では、パッキン16の弾性変形を利用してマスキングを行なうようにし、そのパッキン16に関して、その先端部を先細りのテーパ状としたり、先端部に段差部16cを形成したりする等の、パッキン16の硬度や形状、各部の寸法などに工夫を施し、更には、カット治具14の刃先部の角度Gを20度とする等の工夫を施したことにより、シール性(金属ハウジング11の表面に対する密着性)や、カット治具14による切断性などを良好とすることができたのである。
【0045】
ちなみに、本発明者等は、パッキンについて、その先端部(内径部)の断面形状や各部の寸法、硬度などについて、様々に変化させたものを試作し、また、カット治具について、その刃先部の角度を変化させたものについて、シール性及び切断性を調べる試験を行なった。その結果を、図6に示す。図中、評価の欄では、○は良好、×は不良、−は評価不能(評価せず)を示している。尚、上記実施例に示したパッキン16は、No.8に相当している。
【0046】
この結果からも理解できるように、パッキンについては、適当な形状と、適当な硬度(50°)、内径寸法A(15.9mm)、厚み寸法B(2.5〜2.9mm)言い換えればつぶし代(0.2〜0.6mm)、段差部16cの高さ寸法C(0.3〜0.7mm)を有することにより、シール性を良好とすることができる。また、カット治具の材質としては金属が良く、特にアルミ製が適している。その刃先部の角度としては、20〜30度が適当である。上記実施例で示したパッキン16及びカット治具14については、総合的な評価が最も良いものであった。
【0047】
図7は、本発明の他の実施例を示すものであり、一度に多数個の物品(例えば圧力センサの金属ハウジング)に対してその表面にコーティングを行なうことが可能なマスキング治具31の構成を示している。このマスキング治具31は、やはり、物品を固定的に保持する固定部材32、この固定部材32にセットされ物品の表面のコーティング部と非コーティング部との境界部の該非コーティング部側に沿って配置されるパッキン33、固定部材32に取付けられ前記パッキン33に押圧力を加えて変形させることにより物品の表面に密着させる押え部材34、前記固定部材32の下面側を閉塞する底蓋(図示せず)等を備えて構成されている。
【0048】
前記固定部材32は、下面が開口した円筒容器状をなし、その上壁部には、物品が保持される多数個のねじ孔32aが形成されている。そして、各ねじ孔32aの上部周縁部に、リング状のパッキン33が配置されるようになっている。前記押え部材34は、円板状をなし、その板面には、前記各ねじ孔32aに対応して、物品のコーティング部を露出させるための孔34aが形成されている。詳しく図示はしないが、押え部材34は、固定部材32の上面に例えばねじ止めにより取付けられ、これによってパッキン33を上下に圧縮させて内径を縮めるように変形させ、パッキン33の先端部(内径部)を物品の表面(境界部)に密着させるようになっている。
【0049】
これにより、上記実施例と同様の作用効果を得ることができると共に、多数個の物品に対し、一度にマスキングひいてはコーティングの作業を行なうことができ、作業効率をより一層向上させることができるものである。
【0050】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば、物品としては圧力センサの金属ハウジングに限らず、各種の物品に本発明を適用することができる。この場合、物品の形状としても円筒状に限らず、その形状に合わせたパッキンを用いるようにすることにより、様々な外形形状のものに適用が可能である。また、固定部材に対する押え部材の取付け方法としても、ねじ止めに限らず、クランプを使用したいわゆるパッチン止め等、各種の取付け方法を採用することが可能である。
【0051】
さらには、上記実施例で示したパッキン16等の各部の寸法も、あくまでも一例を示したに過ぎず、さらには、コーティングの材料としても、ポリパラキシリレン樹脂に限らず、他の樹脂はもとより、金属、セラミック、塗料などのコーティングにも適用することができる。その他、マスキング治具やカット治具の構成などについても種々の変形が可能である等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示すもので、マスキング治具に金属ハウジングをセットした様子を示す縦断正面図
【図2】 金属ハウジングの外形を示す図
【図3】 コーティングの工程を順に示す図
【図4】 パッキンの縦断正面図
【図5】 カット治具の外観を示す正面図(a)及びカッタ部の拡大縦断面図(b)
【図6】 パッキンの先端部の様々な形状における評価結果を示す図
【図7】 本発明の他の実施例を示すマスキング治具の平面図
【図8】 従来例を示すものでマスキングの様子を示す図
【符号の説明】
図面中、11は金属ハウジング(物品)、12はコーティング層、13,31はマスキング治具、14はカット治具、14cはカット部、14dは切込溝部、15,32は固定部材、16,33はパッキン、16bはテーパ面、16cは段差部、17,34は押え部材、18は底蓋、bは境界部を示す。

Claims (7)

  1. 一度に多数個の物品に対してその表面に部分的にコーティングを行なうためのコーティング方法であって、
    前記多数個の物品を固定部材により固定的に保持させ、
    前記物品の表面のコーティング部と非コーティング部との境界部の該非コーティング部側に沿って夫々パッキンを配置し、
    それら各パッキンに押え部材により押圧力を加えて変形させることにより、前記物品の表面に密着させて前記非コーティング部のマスキングを行い、
    そのマスキング状態で前記コーティング部に対するコーティングを実行することを特徴とするコーティング方法。
  2. 前記コーティングを実行した後、前記境界部にてコーティング層を切断する工程を実行することを特徴とする請求項1記載のコーティング方法。
  3. 請求項1又は2記載のコーティング方法を実行するために用いられるコーティング用治具であって、
    前記多数個の物品の各非コーティング部のマスキングを一度に行なうためのマスキング治具を有し、
    このマスキング治具は、
    前記多数個の物品を固定的に保持する固定部材と、
    この固定部材にセットされ前記物品の表面のコーティング部と非コーティング部との境界部の該非コーティング部側に沿って配置される多数個のパッキンと、
    前記固定部材に取付けられ前記パッキンに押圧力を加えて変形させることにより前記物品の表面に密着させる押え部材とを備えて構成されることを特徴とするコーティング用治具。
  4. 前記パッキンの前記物品の表面に密着される先端部は、先細りのテーパ状に構成されていることを特徴とする請求項3記載のコーティング用治具。
  5. 前記物品の表面のコーティング部と非コーティング部との境界部にてコーティング層を一括して切断するためのカット治具を備えることを特徴とする請求項3又は4記載のコーティング用治具。
  6. 前記カット治具の刃先部の角度が、20〜30度とされていることを特徴とする請求項5記載のコーティング用治具。
  7. 前記パッキンの先端部には、前記カット治具による切断時に該パッキンの先端部の逃げ方向の変形を容易とするための段差部が設けられていることを特徴とする請求項5又は6記載のコーティング用治具。
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