JP4045819B2 - 照明光学素子の検査装置、および照明光学素子の検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源ランプから射出された光束を集光して光学像を形成する照明光学系を構成する照明光学素子の光学特性を検査する照明光学素子の検査装置およびこの照明光学素子としてのレンズアレイの検査方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、光源ランプと、この光源ランプから射出された光束を画像情報に応じて変調する電気光学装置と、この電気光学装置で変調された光束を拡大投写する投写光学系とを備えたプロジェクタがプレゼンテーション等に利用されている。
このようなプロジェクタでは、光源ランプから射出された光束により、電気光学装置の画像形成領域をムラなく均一に照明するために、光源ランプおよび電気光学装置の間に照明光学系が配置されることが多い。
このような照明光学系としては、複数の平面半円形状(平凸レンズ)の小レンズを光の射出方向に直交する面内でマトリックス状に配列して構成される光束分割素子としてのレンズアレイを用いるものが知られている。
このようにすると、照明光学系においては、光源ランプから射出された光束を、レンズアレイを構成する複数の小レンズにより複数の部分光束に分割し、各部分光束を電気光学装置の画像形成領域で重畳し、画像形成領域を均一に照明する機能を有する。このため輝度ムラのない鮮明な投写画像を得ることができる。
このレンズアレイは次のようにして製造される。まず、レンズアレイを構成する複数の小レンズの形状に応じた型に、溶解したガラスや樹脂材料を流し込んで成形したり、柔らかくしたガラスを型でプレス成形したりして小レンズを得る。つづいて、これらの複数個の小レンズを所定の位置に配置し、これらを熱処理することによって、小レンズが一体化したレンズアレイが製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして製造されたレンズアレイは、各小レンズが熱処理により変形したり、熱膨張、収縮の相違等により小レンズの位置ずれを生じている可能性があるため、レンズアレイが所定の仕様通りの光学特性を有しておらず、鮮明な投写画像が得られない場合がある。
このため、プロジェクタの製造時においては、プロジェクタとしての全ての部品を取り付けて完成品とした後に、レンズアレイが十分な光学特性を発揮しているかどうかを検査していた。
しかしながら、このような検品工程では、レンズアレイの機能が不十分であった場合に、折角組み立てた完成品を再度分解して、レンズアレイを交換しなければならず、検品作業が煩雑で製造コストアップに繋がっていた。
なお、このような問題は、レンズアレイに限らず、例えば、ロッド等のその他の光束分割素子や、光源ランプから射出された光束を平行な光束とする集光素子、偏光変換素子等のその他の照明光学素子においても同様であった。
【0004】
本発明の目的は、照明光学素子を効率良く検品でき、かつ製造コストを抑えることができる照明光学素子の検査装置および照明光学素子の検査方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願の第1発明である照明光学素子の検査装置は、光源から照明光学素子を介して射出された光束を検出して、前記照明光学素子の光学特性を検査する照明光学素子の検査装置であって、検査対象としての照明光学素子を保持するホルダと、このホルダに保持された照明光学素子から射出された光束の光学像を投影する投影板を備え、この投影板には、前記照明光学素子の照明領域に応じた見切り枠が形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
なお、照明光学素子としては、光源ランプから射出された光束を平行な光束とする集光素子や、レンズアレイやロッド等の光束分割素子、偏光変換素子等の各種光学素子が考えられ、これらの光学素子の組み合わせも考えられる。
また、検査すべき照明光学素子の光学特性としては、例えば、照明光学素子としてレンズアレイを検査する場合には、このレンズアレイを構成する各小レンズの焦点距離や光軸位置、形状等が考えられる。また、照明光学素子として集光素子を検査する場合には、射出する光束の平行度合い等が考えられる。
しかしながら、このような照明光学素子の光学特性は、最終的に全ての照明光学素子を備えた照明光学系によって形成される光学像が仕様通りとなっていればよいので、この光学像が所定範囲内において所定輝度を有するかどうかで判断できる。
【0007】
このような第1発明によれば、照明領域に応じた見切り枠を形成したので、見切り枠内で設計上の輝度よりも暗い部分が検出されたら不良品であると判定でき、簡単に照明光学素子の光学特性を検査できる。
このため、ホルダに照明光学素子を取り付けるだけで、照明光学素子の光学特性を検査できるので、従来実施されていたように、わざわざプロジェクタとして全ての部品を組み立ててから照明光学素子の検査をする必要がないから、検品作業の負担を軽減でき、製造コストを抑えることができる。
【0008】
本発明の照明光学素子の検査装置は、前記照明光学素子に光束を供給する光源装置を備えることが好ましい。
このような構成によれば、光源装置から常に一定の光束が射出されるので、光源装置による誤差を考慮しなくてよいから、検査対象としての照明光学素子を精度を高めて検査できる。
【0009】
前記光源装置は、平行光束を射出するように構成され、射出される平行光束の照明光軸に対して進退自在であることが好ましい。
このような構成によれば、検査対象としての照明光学素子の形状や大きさ等が変化しても、その変化に合わせて光源装置を照明光軸の方向に進退させることで、簡単に光学距離を調節でき、複数種類の照明光学素子に対応できる。
【0010】
前記ホルダおよび前記投影板は、一体化された検査対象設置ユニットとして構成され、この検査対象設置ユニットは、検査対象となる照明光学素子が用いられる光学機器の種類に応じて複数準備されていることが好ましい。
このような構成において、使用される光学機器の種類に応じて、照明光学素子の大きさや配置等が異なることを考慮すれば、光学機器の種類が変わる毎に、わざわざ照明光学素子の配置等を変える必要がないから、簡単に検査対象である照明光学素子を配置でき、検品作業の負担をより一層軽減できる。
【0011】
前記投影板に投影される光学像および前記見切り枠を検出する画像検出装置を備え、この画像検出装置は、撮像素子と、この撮像素子で検出される光学像を取り込む画像取込手段と、この画像取込手段で取り込まれた光学像を処理する画像処理手段とを備えることが好ましい。
このような構成によれば、投影された光学像および見切り枠を撮像素子で検出し、検出された光学像を画像取込手段で取込み、取り込んだ光学像を画像処理手段で処理する画像検出装置を設けたので、光学像の輝度を自動的に測定できる。このため、検出された見切り枠と処理された光学像とを比較するだけで、簡単に良否を判定でき、検品作業の負担を軽減できる。
【0012】
前記画像処理手段は、前記撮像素子から取り込まれた光学像の輝度値を判定する輝度値判定部を備えることが好ましい。
このような構成によれば、見切り枠内に投影された光学像が所定の輝度値以上であるかどうかを自動的に判別でき、検品作業の負担を軽減できる。
【0013】
前記照明光学素子は、光源から射出された光束を複数の部分光束に分割する光束分割素子であることが好ましい。
このような構成によれば、照明光学素子の中でも、特に光束分割素子の歩留りが良くないことを考慮すれば、この光束分割素子を検査するだけで、完成品の歩留まりを効率よく向上でき、より一層簡単に検品できる。
【0014】
本願の第2発明である照明光学系の検査方法は、光源から照明光学素子を介して射出された光束を検出して、前記照明光学素子の光学特性を検査する照明光学素子の検査方法であって、前記照明光学素子の照明領域に応じた見切り枠が形成された投影板上に、該照明光学素子を介して射出された光束の光学像を形成する光学像形成手順と、この光学像形成手順で形成された光学像を、撮像素子および画像取込手段を用いて取り込む画像取込手順と、取り込まれた光学像の輝度値を取得する輝度値取得手順と、この輝度値取得手順で取得された輝度値に基づいて、前記照明光学素子の良否を判定する良否判定手順とを備えることを特徴とするものである。
【0015】
このような第2発明によれば、前記第1発明と同様の効果が得られる。つまり、検査対象である照明光学素子をホルダに配置して検査を開始するだけで、簡単にかつ自動的に照明光学素子を検品でき、検品作業の負担を軽減できる。
【0016】
前記良否判定手順は、前記見切り枠に沿った走査線上で取得された輝度値のうち、予め設定された輝度閾値を境に変化する投影板上の輝度変化位置を取得する輝度変化位置取得ステップと、取得された輝度変化位置が前記見切り枠内であるかどうか判定する輝度変化位置判定ステップとを備えることが好ましい。
このようにすれば、走査線に沿って順番に判定するだけで、輝度変化位置が見切り枠内にあるかどうか簡単に判別でき、検査時間を短縮できる。
【0017】
本願の第3発明である照明光学素子の検査方法は、光源から照明光学素子を介して射出された光束を検出して、前記照明光学素子の光学特性を検査する照明光学素子の検査方法であって、前記照明光学素子の照明領域に応じた見切り枠が形成された投影板上に、該照明光学素子を介して射出された光束の光学像を形成する光学像形成手順と、形成された光学像を、撮像素子および画像取込手段を用いて取り込む画像取込手順と、取り込まれた光学像の輝度値を画素単位で取得する輝度値取得手順と、前記光学像の照明領域内外にわたって設定された走査線を選択する走査線選択手順と、選択された走査線上の画素位置に応じた輝度値の変化を表す輝度値変化曲線を取得する輝度値変化曲線取得手順と、取得された輝度値変化曲線から、照明領域外部を表す部分および照明領域内部を表す部分の間の輝度値変化部分を直線近似して近似直線を算出する近似直線算出手順と、得られた近似直線に基づいて、前記光学像の照明領域の境界点を取得する境界点取得手順と、取得された境界点が前記見切り枠内にあるか否かを判定する良否判定手順とを備えることを特徴とする。
【0018】
このような第3発明では、以下のような手順で良否の判定を行う。
(1)まず、光学像形成手順で投影板上に形成された光学像を、画像取込手順でCCD等の撮像素子およびビデオキャプチャボード等の画像取込手段で取り込み、輝度値取得手順で、この取り込んだ光学像の輝度値を、例えば、0〜255の256階調に分けて取得する。
【0019】
(2)次に、走査線選択手順で、例えば、光学像の照明領域内外にわたって横方向に延びる走査線を1つ選択し、輝度値変化曲線取得手順で、この選択した一走査線において、X軸(横軸)を各画素位置とし、Y軸(縦軸)をこれらの画素に対応する輝度値として、XY座標にプロットした輝度値変化曲線を取得できる。
【0020】
この取得した輝度値変化曲線は、光学像の照明領域の境界部分において、光学像の外側から中央部分に向かって、一般に、略クランク状またはS字状として取得される。つまり、輝度値変化曲線は、輝度値が略0である照明領域外部を表す部分と、輝度値が略255である照明領域内部を表す部分と、その間の輝度値変化部分とで構成されている。
なお、光学像の照明領域の中央部分から光学像の外側に向かう場合には、前述とは逆のクランク状または逆S字状の輝度値変化曲線を取得する。また、縦方向の走査線も、縦と横とを換えて同様に取得する。
【0021】
(3)次に、近似直線算出手順において、例えば、輝度値変化部分の全体を最小二乗法等の手段により直線近似して、近似直線を算出できる。また、輝度値変化部分全体を用いずに、輝度値変化部分の一部のみを取り出して、この一部の両端に基づいて直線近似して近似直線を算出することもできる。
【0022】
(4)この算出された輝度値変化部分において、例えば、この輝度値変化部分と輝度値255階調を示す線(輝度値255階調線)との交点を取得して、この交点を、照明領域の境界を示す点、すなわち、照明用に十分な輝度値を有する限界の位置を示す境界点とする。
なお、輝度値変化部分と輝度値255階調線との交点以外に、輝度値変化部分と輝度値255階調線との交点のX座標から所定画素シフトしたX座標を境界点の画素位置としてもよいし、また、輝度値変化部分と、照明領域内部を示す部分を直線近似した線との交点を境界点としてもよい。
【0023】
(5)このような操作を、照明領域の内外にわたる全ての縦横方向の走査線で実施し、全ての走査線での境界点を取得する。
(6)最後に、良否判定手順において、これらの取得された境界点のうち少なくとも1つが見切り枠内にあるか否かについて判定する。境界点が見切り枠内にある場合には不良品と判定し、見切り枠外にある場合には良品と判定する。以上のようにして、照明光学素子の検査を行う。
【0024】
ここで、照明光学素子を検査するにあたり、光源を構成するハロゲンランプ等の光源ランプは、基本的には一定輝度値の光束を放射しているが、検査時の外部環境等の影響によって、瞬間的に輝度値が小さくなる等の変化を起こす場合がある。このため、予め適正な輝度閾値を設定し、この設定された輝度閾値に基づいて良否の判定を行う場合には、画像を取り込むタイミングによって、前述した第2発明における輝度変化位置がばらつき、良否判定に重大な影響を及ぼす可能性がある。
【0025】
しかしながら、第3発明によれば、輝度値変化曲線の輝度値変化部分の傾きが光源ランプの変化等に影響されず、この影響を受けない輝度値変化部分を直線近似して境界点を特定したので、照明光学素子を正確に判定できる。従って、照明光学素子の検査効率を向上できて、検査作業の負担を軽減でき、ひいては、製造コストを抑えることができる。
【0026】
以上のような第3発明において、前記境界点取得手順は、前記輝度値変化曲線の照明領域内部を表す部分の略直線部分を延長し、前期近似直線算出手順で得られた近似直線との交点を求めることにより、前記光学像の照明領域の境界点を取得することが好ましい。
【0027】
以上において、前記近似直線算出手順は、基準となる輝度値を設定する輝度基準値設定ステップと、この輝度基準値に対応する画素位置に対して所定の画素数ずれた前後2つの画素位置を取得する前後画素位置取得ステップと、得られた2つの画素位置における輝度値を取得する輝度値取得ステップと、取得した画素位置および輝度値に基づいて近似直線を算出する近似直線算出ステップとを備えることが好ましい。
【0028】
この場合には、輝度基準値設定ステップにおいて、基準となる輝度値を輝度値変化部分の略中央等の直線性の高い部分に設定し、前後画素位置取得ステップにおいて、例えば、この略中央から、前後の所定画素数として10画素離れた位置を取得し、輝度値取得ステップにおいて、この取得した画素位置での輝度値を取得し、近似直線算出ステップにおいて、これらの画素位置およびその輝度値に基づいて近似直線を算出する。このように輝度値変化部分の略中央等の直線性の高い部分に基づいて近似したので、近似直線算出ステップにおいて、より一層正確な近似直線を取得でき、照明光学素子を正確に判定できる。
【0029】
本願の第4発明である照明光学素子の検査装置は、光源から照明光学素子を介して射出された光束を検出して、前記照明光学素子の光学特性を検査する照明光学素子の検査装置であって、検査対象としての照明光学素子を保持するホルダと、このホルダに保持された照明光学素子から射出された光束の光学像を投影するとともに、前記照明光学素子の照明領域に応じた見切り枠が形成された投影板と、この投影板に投影された光学像および前記見切り枠を検出する撮像素子と、この撮像素子で検出された光学像を取り込む画像取り込み手段と、取り込まれた光学像を処理する画像処理手段とを備え、前記画像処理手段は、取り込まれた光学像の輝度値を画素単位で取得する輝度値取得部と、前記光学像の照明領域内外にわたって設定された走査線を選択する走査線選択部と、選択された走査線上の画素位置に応じた輝度値の変化を表す輝度値変化曲線を取得する輝度値変化曲線取得部と、取得された輝度値変化曲線から、照明領域外部を表す部分および照明領域内部を表す部分の間の輝度値変化部分を直線近似して近似直線を算出する近似直線算出部と、得られた近似直線に基づいて前記光学像の照明領域の境界点を取得する境界点取得部と、取得された境界点が前記見切り枠内にあるか否かを判定する良否判定部とを有することを特徴とする。
【0030】
第4発明によれば、前述した第3発明と同様の作用、効果を奏することができる。すなわち、光源ランプの変化等に影響されない輝度値変化部分に基づいて、この輝度値変化部分を直線近似することにより境界点を特定したので、照明光学素子を正確に判定できる。このため、照明光学素子の検査効率を向上できて、検査作業の負担を軽減でき、ひいては、製造コストを抑えることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
<1>照明光学素子としてのレンズアレイが使用されるプロジェクタの構造
図1は、本発明の実施形態に係る照明光学素子の検査装置の検査対象となる照明光学素子としてのレンズアレイが採用されたプロジェクタ100の構造を示す模式図である。
このプロジェクタ100は、照明光学系としてのインテグレータ照明光学系110、色分離光学系120、リレー光学系130、電気光学装置140、色合成光学系150、および投写光学系160を備えている。
【0032】
インテグレータ照明光学系110は、光源ランプ111Aおよびリフレクタ111Bを含む光源装置111と、第1レンズアレイ113と、第2レンズアレイ115と、反射ミラー117と、重畳レンズ119とを備えている。
【0033】
光源ランプ111Aから射出された光束は、リフレクタ111Bによって射出方向が揃えられた平行な光束として射出され、第1レンズアレイ113によって複数の部分光束に分割され、折り返し反射ミラー117によって射出方向を90°折り曲げられた後、第2レンズアレイ115の近傍で結像する。第2レンズアレイ115から射出された各部分光束は、その中心軸(主光線)が後段の重畳レンズ119の入射面に垂直となるように入射し、さらに重畳レンズ119から射出された複数の部分光束は、後述する電気光学装置140を構成する3枚の液晶パネル141R、141G、141B上で重畳する。
【0034】
色分離光学系120は、2枚のダイクロイックミラー121、122と、反射ミラー123とを備え、これらのミラー121、122、123によりインテグレータ照明光学系110から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
前記リレー光学系130は、入射側レンズ131、リレーレンズ133、および反射ミラー135、137を備え、この色分離光学系120で分離された色光、例えば、青色光を液晶パネル141Bまで導く機能を有している。
【0035】
電気光学装置140は、3枚の液晶パネル141R、141G、141Bを備え、これらは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、色分離光学系120で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル141R、141G、141Bによって、画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
色合成光学系150は、クロスダイクロイックプリズム151を備え、前記3枚の液晶パネル141R、141G、141Bから射出された各色光ごとに変調された画像を合成してカラー画像を形成するものである。
なお、クロスダイクロイックプリズム151には、赤色光を反射する誘電体多層膜と、青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に形成され、これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成される。そして、色合成光学系150で合成されたカラー画像は、投写光学系160から射出され、スクリーン上に拡大投写される。
【0036】
<2>検査対象となるレンズアレイの構造
前述のプロジェクタ100に採用される第1レンズアレイ113は、図2に示すように、2種類の小レンズ11A、11Bを各小レンズ11A、11Bの光の射出方向に直交する面内でマトリックス状にM行N列に配列することにより構成されている。
詳しくは、第1レンズアレイ113の中央部分に小レンズ11Aが配置され、この小レンズ11Aの周りに当該小レンズ11Aを囲むように小レンズ11Bが配置されている。各小レンズ11A、11Bは、光源装置111から射出された平行な光束を、複数(M×N個)の部分光束に分割し、分割された部分光束は、前述のように、第2レンズアレイ115の近傍で結像する。
【0037】
ここで、小レンズ11Aの形状は、正面視で、電気光学装置140を構成する液晶パネル141R、141G、141Bの画像形成領域の形状と略相似形となるように設定されている。例えば、液晶パネル141R、141G、141Bのアスペクト比(縦と横の寸法の比)が4:3であれば、小レンズ11Aのアスペクト比も4:3に設定される。また、小レンズ11Aは、平面半円形状に形成され、図3(A)に示すように、光軸位置が当該小レンズ11Aの中央に設定されている(図中、一点鎖線A1)。
【0038】
一方、各小レンズ11Bの形状は、図2に示すように、小レンズ11Aと同様に、正面視で、電気光学装置140を構成する液晶パネル141R、141G、141Bの画像形成領域の形状と略相似形となるように設定されている。また、小レンズ11Bは、平面円弧状に形成され、図3(B)に示すように、光軸位置が当該小レンズ11Bの幾何学的な中心からずれた偏心レンズとなっている。
【0039】
詳しくは、光軸位置は、幾何学的な中心から、X軸方向およびY軸方向に所定寸法ずれている。この小レンズ11Bの焦点位置は、当該小レンズ11Bの幾何学的中心位置(各小レンズ11Bの平面上の中心位置)を通る幾何学中心線Dと、前記光軸位置を通る光軸線A2との交点Q2となっている。ここで、小レンズ11Bの幾何学的中心位置(各小レンズ11Bの平面上の中心位置)とは、光軸線A2に直交する方向における当該小レンズ11Bの幅寸法Lに対して、その半分のL/2となる位置である。尚、図2および図3では図示を略したが、小レンズ11Bは、小レンズ11Aから離れるに従って偏心量(幾何学中心線Dと光軸線A2との距離)が大きくなっている。
【0040】
第2レンズアレイ115も、前述した第1レンズアレイ113と同様に、2種類の小レンズ11A、11BがM行N列のマトリクス状に配列された構成である。但し、第2レンズアレイ115は、前述したように、第1レンズアレイ113により分割された複数の部分光束の主光線を、後段の重畳レンズ119の入射面に垂直に入射させるために設けられているため、第1レンズアレイ113と同じ構成とする必要はない。要するに、複数の部分光束が重畳レンズ119の入射面に垂直に入射することができれば、小レンズの形状を種々の形状に設定できる。すなわち、第2レンズアレイ115を構成する小レンズは、第1レンズアレイ113のように、液晶パネル141R、141G、141Bの画像形成領域のアスペクト比と相似形である必要はないが、本実施形態では、製造上の便宜から小レンズ11A、11BをM行N列マトリックス状に配列して、第2レンズアレイ115を構成している。
【0041】
このような第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115は、複数の小レンズ11A、11Bの形状に応じた型に、溶解したガラスや樹脂材料を流し込んで成形したり、柔らかくしたガラスを、複数の小レンズ11A、11Bの形状に応じた型でプレス成形し、その後、徐冷することによって製造される。
従って、第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115を構成する各小レンズ11A、11Bが変形したり、第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115内での小レンズ11A、11Bの位置ずれ等が発生することがあるため、これらの現象に伴う第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115の光学特性の変化が、設計上の光学特性とどの程度のずれがあるかを検査装置を用いて検査しなければならない。
【0042】
なお、第1レンズアレイ113を検査する際には、第2レンズアレイ115には所定の仕様を満足する標準サンプルが使用される。また、逆に、第2レンズアレイ115を検査する際には、第1レンズアレイ113には所定の仕様を満足する標準サンプルが使用される。このため、検査対象である第1レンズアレイ113および第2レンズアレイ115は、所定の仕様を満足する標準サンプルを備えている。
【0043】
<3>レンズアレイの検査装置の構造
図4は、前述した第1レンズアレイ113、および第2レンズアレイ115を検査するレンズアレイの検査装置2を示す。
照明光学素子の検査装置であるレンズアレイの検査装置2は、図4に示すように、検出装置310と、光源装置320と、画像処理装置330と、これらの装置を支持する載置台500とを備える。
【0044】
検出装置310は、図5に示すように、遮蔽板で覆われた暗箱としての機能を有しており、取っ手300A(図4)が形成された蓋部310Tを有する略直方体状のケース311と、このケース311内部の下面310Bに固定配置される検査対象設置ユニット317とを備えて構成される。
【0045】
ケース311は、自身の左側面(図中左側)には、光源装置320が挿入される左側開口部310Lが形成され、自身の右側面(図中右側)には、後述する画像処理装置330が挿入される右側開口部310Rが形成される。
蓋部310Tは、図示しないヒンジによって、Z軸方向を軸にしてその径方向に回動可能な構成となっている。取っ手300Aを握って蓋部310Tを回動させることにより、検出装置310の上部側が開閉可能となっており、内部に収納される検査対象設置ユニット317を簡単に取り替えることができる。
【0046】
検査対象設置ユニット317は、検査対象としての第1レンズアレイ113が取り付けられる第1レンズアレイホルダ312と、検査対象としての第2レンズアレイ115がを取り付けられる第2レンズアレイホルダ313と、重畳レンズ119と、この重畳レンズ119が取り付けられる重畳レンズホルダ314と、投影板としてのすりガラス170と、すりガラス170が取り付けられるすりガラスホルダ315と、これらのホルダ312〜315が取り付けられる直方体状の保持台316とが一体化されて形成される。
なお、この検査対象設置ユニット317は、使用されるプロジェクタの種類に応じて、各ホルダ312〜315の大きさや配置が異なる複数種類の検査対象設置ユニットが準備されている。
【0047】
重畳レンズ119は、一般的な集光用のレンズであり、第2レンズアレイ115を介して射出された部分光束の主光線を集光して、すりガラス170の表面に光学像600(図12)を形成する機能を有する。
【0048】
すりガラス170は、図6に示すように、その表面にけがき状に形成された見切り枠171を有する長方形板状の所定のすりガラスであり、表面に投影された光学像がその裏面側から透けて見えるようになっている。
見切り枠171は、前記プロジェクタ100においてインテグレータ照明光学系110を介して液晶パネル141R,141G,141Bに重畳される光学像の設計上の照明領域を示す枠であり、その形状は略長方形状である。つまり、この見切り枠171の内側の範囲が、実際に投写される光学像を示すことになる。なお、重畳レンズ119は、所定の仕様を満足する標準サンプルを備え、検査時にはその標準サンプルが使用される。
【0049】
各ホルダ312〜315は、光源装置320に近い方から、第1レンズアレイホルダ312、第2レンズアレイホルダ313、重畳レンズホルダ314、すりガラスホルダ315の順番に保持台316に配置される。
また、各ホルダ312〜315は、検査対象となる第1レンズアレイ113や第2レンズアレイ115、重畳レンズ119、すりガラス170のそれぞれが対向するとともに、それらの中心軸が揃うように保持台316に取り付けられる。
【0050】
より具体的には、各ホルダ312〜315は、取り付けられる対象によってその大きさが異なるが、図7に示すように、枠本体21A内に形成された開口21Bの端縁に沿って設けられ、かつ第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115、重畳レンズ119、すりガラス170を保持する4つの保持突起21C、および当該第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115、重畳レンズ119、すりガラス170を対角線方向で付勢する可動突起21Dを備えている。
【0051】
なお、図示を略したが、これらの突起21C、21Dの第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115、重畳レンズ119、すりガラス170との当接部分は、弾性体が介在し、第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115、重畳レンズ119、すりガラス170を傷つけないような構成となっている。
また、可動突起21Dは、第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115、重畳レンズ119、すりガラス170の対角線方向に移動可能となっていて、ホルダ312〜315は、異なる大きさの第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115、重畳レンズ119、すりガラス170にも対応している。
【0052】
光源装置320は、図5に示すように、平行な光束を射出する機能を有し、長方形の2つの角隅部分を切り欠いた略T字形状の断面を有する箱状であるとともに、その右端縁320Rが開口されたケース321と、このケース321の内部に固定配置される光源ランプ111Aと、ケース321の右端縁320Rに配置されるコリメータレンズ112とを備える。
【0053】
ケース321は、その下端部320Bが載置台500の上面においてZ軸方向に延びるレール501に取り付けられており、このレール501に沿って摺動自在となっている。また、ケース321は、レール501に沿う任意の位置で固定可能となっている。
なお、このケース321は、後述する本体402からの制御によって、検査開始前にレンズアレイ113,115の形状等の各種条件に合わせて適性な光学距離となるように、その位置が自動的に調整される。
【0054】
光源ランプ111Aは、光束を射出する機能を有するハロゲンランプである。検査用の光源ランプ111Aは、製品のランプより、かなり暗いランプでも検出精度を確保できるため、消費エネルギが少ないランプを採用している。
コリメータレンズ112は、光源ランプ111Aから射出された光束を平行な光束に変換し、この平行光束を第1レンズアレイ113に向けて射出する。
光源ランプ111Aとコリメータレンズ112は、それらの中心軸が揃うように対向して配置される。
【0055】
画像処理装置330は、画像検出装置331と、ディスプレイ401および本体402を有するパソコン(パーソナルコンピュータ)400(図4)を備える。
画像検出装置331は、長方形の1つの角隅部分を切り欠いた略L字形状の断面を有する箱状であるとともに、その左端縁330Lが開口されたケース331Aと、このケース331Aの内部に固定配置される画像検出装置332とを備える。
【0056】
ケース331Aは、その下端部330Bが載置台500の上面においてZ軸方向に延びるレール502に取り付けられており、このレール502に沿って摺動自在となっている。また、ケース331Aは、レール502に沿う任意の位置で固定可能となっている。
なお、ケース331Aは、後述する本体402からの制御によって、検査開始前に重畳レンズ119の形状等の各種条件に合わせて適性な光学距離となるように、その位置が自動的に調整される。
【0057】
画像検出装置332は、エリアセンサであるCCD(Charge Coupled Device)カメラ333と、このCCDカメラ333を下側から支えるとともに、ケース331A内側の下部に固定配置される支持台334とを含んで構成される。
CCDカメラ333は、光源装置320から第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115、重畳レンズ119を経てすりガラス170に投影された光学像および見切り枠171を、そのすりガラス170の裏面側から複数個の画素に分割して検出し、電気信号に変換する撮像素子としてのCCD333A(図8)を有し、この電気信号をパソコン400に出力する機能を備える。
【0058】
また、CCDカメラ333は、検査時には動かないように固定されたままとされるが、当該CCDカメラ333にはZ軸方向への移動を可能とするマイクロメータ335と、Y軸方向の回動を可能とする調整つまみ336とが設けられている。これらのマイクロメータ335および調整つまみ336は、例えば、画像処理装置330のレール502に沿う摺動のサポート等として使用されることにより、CCDカメラ333位置の微調整を可能としている。
【0059】
パソコン400は、図4に示すように、一般的なパソコンであり、ディスプレイ401と本体402とを備え、CCDカメラ333と図示しない所定の接続ケーブルで電気的に接続されている。
ディスプレイ401は、一般的な液晶型ディスプレイであり、後述するように本体402で各種処理された結果が表示される。
【0060】
本体402は、CPUやメモリ等を有する所定のマザーボード(図示せず)と、このマザーボードに接続されたキャプチャカード(図示せず)とを備え、これらのマザーボードおよびキャプチャカードによって、光学像600の画像処理や各種制御が可能となっている。
本体402は、図8に示すように、CCDカメラ333から出力された光学像600および見切り枠171の電気信号を、データとして取り込む画像取込手段405と、取り込んだ画像の処理を行う画像処理手段410とを備えて構成される。
【0061】
画像処理手段410は、取り込まれた光学像600および見切り枠171を比較して、見切り枠171内における光学像600の輝度値が所定の輝度値以上かどうか判定する輝度値判定部420と、判定された結果等をディスプレイ401に表示させる画像表示部430とを備えて構成される。なお、具体的な処理手順については後述する。
【0062】
<4>検査装置によるレンズアレイの検査
前述したレンズアレイの検査装置2による第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115の検査は、予め検査対象となるレンズアレイが使用されるプロジェクタの種類に応じた各種データの登録をした後に、光源装置320位置および画像処理装置330(CCDカメラ333)位置が自動的に調整されてから、画像検出装置332およびパソコン400によって自動的に行われる。具体的には、図9に示す手順で第1レンズアレイ113、第2レンズアレイ115の検査が実施される。
【0063】
<4-1>プロジェクタ種類毎のデータ登録(処理S1)
プロジェクタの種類に応じた各種光学素子のデータおよび必要とする輝度閾値を示すデータを予め登録する処理であり、プロジェクタの種類に応じて異なる値が登録される。後述する自動検査(処理S6)では、この処理で登録された複数のプロジェクタから検査するプロジェクタ100の輝度値データが選択されて自動的に検査される。
具体的なデータとしては、液晶パネル141R,141G,141Bの画像形成領域の大きさや、機種毎の輝度閾値データが登録される。
このように作成されたプロジェクタ機種毎のデータは、テキストファイルで保存され、必要に応じてパソコン400の本体402で使用される。
【0064】
<4-2>検査対象設置ユニットの設置(処理S2)
プロジェクタ100に対応する検査対象設置ユニット317を準備し、検査対象である第1レンズアレイ113を第1レンズアレイホルダ312にセットし、その他のホルダ313,314,315には、それぞれに対応する第2レンズアレイ115、重畳レンズ119、すりガラス170で、所定の規格を満たす標準サンプルをセットする。
続いて、取っ手300Aを握って蓋部310Tを回動させてケース311の上側を開口し、この検査対象設置ユニット317をケース311内部の所定位置に設置してから、再び蓋部310Tを戻すように回動させて、ケース311の上側を閉じる。このように蓋部310Tを閉じることで、ケース311内部からの光の漏れ、およびケース311の外乱光の影響を受けないようになっている。
【0065】
<4-3>光源装置および画像検出装置の位置調整
処理S1で登録されたプロジェクタ100の機種データから、今回の照明光学素子113,115,119,170の組み合わせに対応する機種データを呼び出し(処理S3)、この呼び出された機種データに応じて、設計上の光学距離に応じた距離となるように光源装置320の位置が調整され、さらに、すりガラス170の見切り枠171が中心となるように、CCDカメラ333を含む画像検出装置331の位置が調整される(処理S4)。この際、選択された機種データに応じた輝度閾値が本体402のメモリ上に読み込まれる。
【0066】
<4-4>検査時の走査線数の特定(処理S5)
次に、複数個の画素として検出された光学像600を検査する走査線610(図13)の数を特定する。この走査線610とは、所定の方向に並んだ画素の集合であり、図13においては、上下方向に並んだ画素からなる縦走査線611と、左右方向に並んだ画素からなる横走査線612とが実線で示されている。
このような走査線610の数を増加させると、検査される画素の数が増えるため、精度を高めて検査できる。一方、走査線610の数を少なくすると、検査される画素の数が少なくなるため、短時間で検査できる。つまり、これらの走査線の数は、検査対象に応じて任意に設定すればよい。
【0067】
<4-5>自動検査(処理S6)
このような設定を終了して検査開始ボタン700(図16)をクリックすると、自動的に検査が開始される。このような自動検査は、図10および図11に示すフローチャートに基づいて行われる。
【0068】
<4-5-1>光学像の形成(処理S61:光学像形成手順)
光源装置320から射出された平行光束は、レンズアレイ113,115、重畳レンズ119を経て、すりガラス170に投影されて光学像600(図12)を形成する。
【0069】
<4-5-2>光学像の取込(処理S62:画像取込手順)
投影された光学像600は、CCDカメラ333で撮像され、画像取込手段405によりコンピュータに適合する信号に変換されて画像処理手段410に出力される。
画像表示部430は、この信号に基づいて、ディスプレイ401に光学像600と見切り枠171を表示させる(図12)。なお、この光学像600は、その中心軸に対応する部分の輝度が最も大きく、中心から離れるにしたがって輝度が小さくなる。つまり、検出された光学像600は、図12に模式的に示すように、外側に向かって段々暗くなっている。
【0070】
<4-5-3>走査線の検査
(a)横方向に走査線検査(処理S63)
図11および図13に示すように、画像取込手段405で取り込まれた画像データをもとに、画像処理手段410は、横走査線612の中から一番上側の横走査線612Aを選択し(処理S631)、この選択された横走査線612A上の各画素の輝度値を取得する(処理S632:輝度値取得手順)。
【0071】
輝度値判定部420は、横走査線612A上の各画素において取得した輝度値と、予め登録された閾値とを比較する。そして、横走査線612A上の画素において、所定の閾値以上となる画素の範囲を検出し、閾値以上となる画素と閾値未満となる画素との境界位置としての輝度変化点を検出する(処理S633:輝度変化位置取得ステップ)。
なお、画像表示部430は、ディスプレイ401上の輝度変化位置に「+」の印を表示させる。例えば、横走査線612Aにおいては、図14中の「+」の印602,603が輝度変化点である。
【0072】
次に、画像処理手段410は、このような横走査線612の輝度検出が全て終了したかどうかを判定する(処理S634:走査線検査判定ステップ)。
全ての横走査線612の検査が終了したと判定された場合には、画像処理手段410は、(処理S63)を終了し、次の処理である(処理S64)へと進む。一方、全ての横走査線612の検査が終了していないと判定された場合には、画像処理手段410は、次の横走査線612を選択して(処理S635)、前述の(処理S632)へと進み、最終的には図14中の横走査線612Zまで検査されることになる。
以上のようにして、横方向の走査線の検査が行われる。
【0073】
(b)縦方向に走査線検査(処理S64)
前述の横方向の走査線検査と略同様であって、図11の手順にしたがって行われるものであり、相違するのはその検査の方向が横方向であるか縦方向であるかにある。
具体的には、図14においては、縦走査線611の中から一番左側の縦走査線611Aを選択し(処理S641)、この選択された縦走査線611Aの各画素の輝度値を取得し(処理S642)、縦走査線611A上の輝度変化点を検出する(処理S643)。このような検出を、一番左側の縦走査線611Aから右端の縦走査線611Zまで同様にして行う(処理S644)。より具体的な手順については、前述と同様であるので省略する。
【0074】
<4-5-4>輝度変化点の位置判定
以上のようにして、全ての走査線610の検査が行われると、輝度値判定部420は、これらの輝度変化点を示す「+」の印が、見切り枠171の内側の範囲にあるかどうかを判定する(処理S65:輝度変化位置判定ステップ)。
つまり、所定の輝度を必要とする見切り枠171内に、不充分な輝度の部分があると判定される場合には検査対象である第1レンズアレイ113が不良品であることとなり(処理S66)、ないと判別される場合には検査対象である第1レンズアレイ113が良品である(処理S67)ことを示している。
【0075】
輝度値判定部420が、図14に示すように、見切り枠171の内側の範囲に輝度変化点を示す「+」の印がないと判別した場合には、画像表示部430は、図16に示すように、ディスプレイ401に「OK701」を表示し、検査対象である第1レンズアレイ113が、良品であることを示している。
一方、輝度値判定部420が、図15に示すように、見切り枠171の内側の範囲に輝度変化点を示す「+」印があると判別した場合には(例えば、図中「+」印606)、画像表示部430は、図16に示すように、ディスプレイ401に「NG702」を表示し、検査対象である第1レンズアレイ113が、不良品であることを示している。
見切り枠171に対し、輝度変化点を示す「+」印範囲が大きくシフトしてNGと判定された場合には、このシフト量を計算し、あとどのくらい移動させれば良品となるかを表示させる。また、この値が規定値以内か否かを判定し、表示させることで光軸調整工程における調整可能なレンズを救済することができ、コスト削減が図れる。
【0076】
<4-6>検査データの保存(処理S7)
前述した自動検査が終了すると、得られた検査データ、および検査結果は、必要に応じて、所定のデータファイルとして本体402の記憶装置等に保存される。尚、保存した検査データ等は、必要に応じてリスト形式で表示したりプリンタ出力を行うことができるようになっている。
【0077】
<5>第1実施形態の効果
このような本実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
(1)照明領域に応じた見切り枠171を形成したので、見切り枠171内で設計上の輝度よりも暗い部分が検出されたら不良品であると判定でき、簡単に第1レンズアレイ113の光学特性を検査できる。このため、第1レンズアレイホルダ312に第1レンズアレイ113を取り付けるだけで、第1レンズアレイ113の光学特性を検査できるので、従来実施されていたように、わざわざプロジェクタとして全ての部品を組み立ててから第1レンズアレイ113の検査をする必要がないから、検品作業の負担を軽減でき、製造コストを抑えることができる。
【0078】
(2)光源装置320を備えて構成したので、光源装置320から常に一定の光束が射出されるから、光源装置320による誤差を考慮する必要がない。このため、検査対象としての第1レンズアレイ113を精度を高めて検査できる。
【0079】
(3)検査対象設置ユニットを、プロジェクタ100の種類に応じて複数準備したので、使用されるプロジェクタの種類に応じて、レンズアレイ113,115やすりガラス170等の照明光学素子の大きさや配置等が異なることを考慮すれば、プロジェクタの種類が変わる毎に、わざわざ照明光学素子の配置等を変える必要がないから、簡単に検査対象を配置でき、検品作業をより一層軽減できる。
【0080】
(4)CCD333Aで検出される光学像600を取り込む画像取込手段405と、この光学像600を処理する画像処理手段とを備えて構成したので、光学像600の輝度値を自動的に測定できる。このため、検出された見切り枠171と処理された光学像600とを比較するだけで、簡単に良否を判定でき、検品作業の負担を軽減できる。
【0081】
(5)輝度値判定部420を備えて構成したので、光学像600の見切り枠171内の輝度値が所定輝度以上であるかどうかを自動的に判別でき、検品作業を軽減できる。
【0082】
(6)光源装置320は、射出される平行光束の照明光軸に対して進退自在に構成したので、第1レンズアレイ113や第2レンズアレイ115等の照明光学素子の形状や大きさ等が変化しても、その変化に合わせて光源装置320を照明光軸の方向に進退させることで、簡単に光学距離を調節でき、複数種類の照明光学素子に対応できる。
【0083】
(7)検査対象を光束分割素子であるレンズアレイ113,115としたので、これらのレンズアレイ113,115が照明光学素子の中でも特に歩留まりが良くないことを考慮すれば、このレンズアレイ113,115を検査するだけで、完成品としてのプロジェクタ100の歩留まりを向上でき、効率よく検品が出来る。
【0084】
(8)検品結果や光学像600をディスプレイ401に表示するように構成したので、ディスプレイ401を目視で確認しながら、簡単に第1レンズアレイ113の検品ができる。
【0085】
(9)走査線610の数を選択可能に構成したので、検査対象に応じて数を変更でき、検査精度および検査時間を調節できる。
【0086】
(10)予めプロジェクタの種類に応じた各種データを登録するだけで検査できるので、例えば、新しい種類が増えた場合でも、その種類に相当するデータを入力するだけで、簡単に対応できる。その際には、検査対象設置ユニット317も、その種類にあわせて準備すればよい。
【0087】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るレンズアレイの検査装置4について説明する。第2実施形態に係るレンズアレイの検査装置4は、前記第1実施形態のレンズアレイの検査装置2とは、自動検査の手順、特に、前記第1実施形態でいう輝度変化点、すなわち、本実施形態でいう境界点の取得の仕方の点で相違している。このため、画像処理手段410には、境界点の取得に伴う新たなプログラム等の手段が設けられている。なお、その他の構成は、前記第1実施形態と同様であり、前記第1実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
【0088】
図17は、第2実施形態に係るレンズアレイの検査装置4を示すブロック図である。このレンズアレイの検査装置4を構成する画像処理手段410は、図17に示すように、前記画像表示部430を備えたうえで、図19を参照すれば、取り込まれた光学像600の輝度値を画素単位で取得する輝度値取得部461と、この光学像600の照明領域LA内外にわたって設定された走査線801を選択する走査線選択部462と、この選択された走査線801上の画素位置に応じた輝度値の変化を表す輝度値変化曲線900を取得する輝度値変化曲線取得部463と、この輝度値変化曲線900から輝度値変化部分903の近似直線を算出する近似直線算出部464と、この近似直線に基づいて光学像600の照明領域LAの境界点を取得する境界点取得部465と、取得された境界点が見切り枠171内にあるか否かを判定する良否判定部466とを備える。なお、具体的な処理手順については後述する。
【0089】
<6>検査装置によるレンズアレイの検査
次に、図18のフロー図に加えて、適宜、図17,19,20も参照しながら、第1レンズアレイ113の検査手順について説明する。
図18は、レンズアレイの検査装置4における第1レンズアレイ113の検査手順を示すフロー図である。
図19は、光源装置320から射出され、レンズアレイ113,115、重畳レンズ119を経て、すりガラス170上に投影された光束による光学像600がディスプレイ401上に表示された図であり、この光学像600において走査線801を選択して輝度値変化曲線900を取得する様子を示す図である。図20は、輝度値変化曲線900の一部を拡大して示す図である。
【0090】
(1)まず、前記第1実施形態と同様にして、すりガラス170上に光学像600を形成し(処理S101:光学像形成手順)、この光学像600をCCDカメラ333で撮像して、ビデオキャプチャボード等の画像取込手段405でコンピュータに適合する信号に変換して取り込む(処理S102:画像取込手順)。
【0091】
(2)次に、輝度値取得部461において、取り込んだ光学像600の輝度値を0〜255の256階調にわけて、画素単位で取得する(処理S103:輝度値取得手順)。
(3)次に、走査線選択部462において、光学像600の照明領域LAの内外にわたる横方向の横走査線の中から1つの横走査線を選択する(処理S104:走査線選択手順)。具体的には、図19(A)に示すように、光学像600の左端から中央部分にかけて、光学像600の照明領域LAの内外にわたる横走査線801の中から1つの横走査線801Aを選択する。
【0092】
(4)次に、輝度値変化曲線取得部463において、選択した横走査線801A上の画素位置に応じた輝度値(階調)の変化を示す輝度値変化曲線900を取得する(処理S105:輝度値変化曲線取得手順)。具体的には、図19(B)に示すように、横軸(X軸)を走査線上の画素位置とし、縦軸(Y軸)を対応する輝度値の階調として、XY座標にプロットした輝度値変化曲線900を取得する。
【0093】
この取得した輝度値変化曲線900は、図19(B)に示すように、光学像600の照明領域LAの境界部分において、光学像600の外側から中央部分に向かって、クランク状またはS字状に取得される。つまり、輝度値変化曲線900は、階調が略0であって照明領域LAの外部であることを示す部分である基準部分901と、階調が略255であって適正な照明領域を示す照明領域LA内部である照明部分902と、その間の輝度値変化部分903とで構成される。
【0094】
(5)次に、近似直線算出部464において、輝度値変化部分903を直線として近似し、この近似直線を算出する(処理S106:近似直線算出手順)。具体的には、図21示すフロー図にしたがって近似直線を算出する。
ここで、図20は、図19(B)における輝度値変化曲線900の一部を拡大して示す図である。
【0095】
(5-1)図20,21に示すように、輝度値変化部分903で直線性の高い部分となるような基準となる輝度基準値、例えば、220階調を設定する(処理S106A:輝度基準値設定ステップ)。
(5-2)次に、この220階調を示す220階調線Y1と、輝度値変化部分903との交点Aの座標を取得する。そして、この交点AのX座標の前後10画素離れた画素位置を示す点である点B,Cを取得する(処理S106B:前後画素位置取得ステップ)。
(5-3)これらの取得した点B,Cの座標、つまり、点B,Cの画素位置および画素位置の階調に基づいて、点B,C間の輝度値変化部分903を直線として近似し、この変化部分近似直線903Aを算出する(処理S106C:近似直線算出ステップ)。
【0096】
(6)次に、図18,20に示すように、変化部分近似直線903Aに基づいて、境界点取得部465において、光学像600の照明領域LAの境界点を取得する(処理S107:境界点取得手順)。具体的には、図22示すフロー図にしたがって境界点Hを取得する。
【0097】
(6-1)図20,22に示すように、変化部分近似直線903Aと255階調線Y2との交点Gを取得する(処理S107A)。
(6-2)この交点Gから光学像600の中心側へ所定画素分、例えば、50画素分シフトした画素位置における照明部分902上の基準となる点Eを取得する(処理S107B)。
(6-3)次に、光学像600の略中心となる画素位置における照明部分902上の点Fを取得する(処理S107C)。
(6-4)これらの点E,Fの座標、つまり、点E,Fの画素位置および画素位置の階調に基づいて、点E,F間の照明部分902を直線として近似し、この照明部分近似直線902Aを算出する(処理S107D)。
(6-5)次に、算出された変化部分近似直線903Aと、照明部分近似直線902Aとの交点Hを取得する(処理S107E)。このようにして、取得された交点Hが境界点である。
【0098】
(7)このような手順で、左側の横走査線801の全ての境界点Hを取得した後に、同様な手順で、右側の横走査線および上下側の縦走査線についても境界点を取得する(処理S108)。
(8)次に、前記第1実施形態と同様に、これらの境界点Hが1つでも見切り枠171内に入っているか否かを、良否判定部466で判定する(処理S109:良否判定手順)。
【0099】
(9)ここで、図16を参照すれば、良否判定部466で、境界点Hが見切り枠171内に入っていないと判定した場合には、第1実施形態と同様にディスプレイ401に「OK」を表示し、検査対象である第1レンズアレイ113を良品と判定する。一方、境界点Hが1つでも見切り枠171内に入っていると判定した場合には、ディスプレイ401に「NG」を表示し、検査対象である第1レンズアレイ113を不良品と判定する。
以上のようにして、第1レンズアレイ113の検査を行い、これらの結果を前述同様に本体402の記憶装置等に保存する(処理S110)。
【0100】
<7>第2実施形態の効果
このような第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(10)と略同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
(11)輝度値変化曲線900の輝度値変化部分903の傾きは光源ランプの変化等に影響されず、この影響を受けない輝度値変化部分903を変化部分近似直線903Aとして直線近似してことに基づいて境界点Hを取得したので、第1レンズアレイ113を正確に判定できる。これにより、第1レンズアレイ113の検査効率を向上できて、検査作業の負担を軽減でき、ひいては、製造コストを抑えることができる。
【0101】
(12)直線性の高い部分である輝度基準値220階調線近傍の点Aを基準として、この点Aの前後10画素離れた点B,Cに基づいて、変化部分近似直線903Aを算出したので、画像取り込みのタイミングによる近似直線の傾きのばらつきを最小限に抑えた正確な近似直線を取得でき、第1レンズアレイ113をより正確に判定できる。
【0102】
(13)最も高輝度となる光学像600の略中央部分の画素位置の点Fに基づいて、照明部分近似直線902Aを算出したので、他の点に基づいて算出する場合に比べて正確な近似直線直線を取得できる。この際、右側の横走査線、縦走査線も光学像600の略中央部分の画素位置である点Fに基づいて、同様に近似直線を取得できるため、検査処理の簡素化と迅速化とを図ることができる。
【0103】
<8>実施形態の変形
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記各実施形態では、見切り枠171をすりガラス170にけがき状に形成したが、これに限らず、ペン等ですりガラス170に書き込まれたものや、選択されたプロジェクタの種類に応じて、ディスプレイ401に見切り枠171が表示されるように設定してあってもよい。ただし、前記各実施形態のほうが、設定ミス等が起こりにくく、確実に範囲を特定できる利点がある。
なお、投影板としてすりガラス170を採用したが、これに限らず、アクリル等の各種プラスチック製のものや樹脂製のもの等のその他の材料製のものであってもよい。
【0104】
前記各実施形態では、画像処理装置330を設けたが、これらは特になくてもよく、要するに見切り枠171内の輝度値を確認して良否を判別できるような構成となっていればよい。ただし、前記各実施形態のほうが、自動的に、かつ簡単に良否を判別できる利点がある。
【0105】
前記各実施形態では、光源ランプ111Aをハロゲンランプとしたが、これに限らず、その他のランプであってもよい。
また、光源装置320には、リフレクタを構成しなかったが、リフレクタを取付けた構成としてもよい。
さらに、コリメータレンズ112と光源ランプ111Aとを一体して光源装置320を構成したが、特に一体化されていなくてもよい。ただし、前記各実施形態のほうが、一度にそれぞれを配置できるので手間を省ける利点がある。
また、光源装置320を照明光軸に進退自在に構成したが、特に進退しない構成としてもよいし、例えば、種類に応じて光源装置自体を取り替え可能な構成としてもよい。
【0106】
前記各実施形態では、各ホルダ312〜315を一体化した検査対象設置ユニット317を構成したが、特に、このように一体化しなくてもよいし、例えば、レンズアレイホルダ312,313のみを一体化したような、一部のホルダを一体化した構成としてもよい。ただし、前記各実施形態のほうが、手間を省いて検品できる利点がある。
【0107】
また、前記各実施形態では、検査対象を第1レンズアレイ113としたが、これに限らず、第2レンズアレイ115でもよく、その際には、第1レンズアレイ113には標準サンプルを使用すればよい。
また、レンズアレイ113,115およびコリメータレンズ112を標準サンプルとして、重畳レンズ119を検査対象としてもよい。このようにすれば、第1レンズアレイ113に限らず、その他の照明光学素子の検品も簡単に実施でき、検品作業による製造コスト高を抑えることができる。
【0108】
前記各実施形態では、走査線610の数を選択可能に構成したが、走査線610の数が特定されている構成としてもよい。ただし、前記各実施形態のほうが、検査対象に応じて、変更できる利点がある。
前記各実施形態では、横走査線612から走査線検査を実施したが、縦走査線611から検査をおこなってもよい。
前記各実施形態では、検査対象となるレンズアレイ113、115は、プロジェクタ100のインテグレータ照明光学系110を構成する光学素子であったが、これに限らず、他の用途に使用されるレンズアレイについても、本発明に係る検査装置によって検査を行ってもよい。
【0109】
前記第2実施形態では、所定画素分として50画素分シフトするようにしたが、このシフト画素数は、特に限定されず、変化部分近似直線903Aの傾き(図20の角度φ)に応じて変化させることが好ましい。つまり、傾きが大きい場合(角度φ:大)には大きくシフトさせ、傾きが小さい場合(角度φ:小)には小さくシフトさせることが好ましい。このようにすれば、照明部分902上の点Eを、直線近似する際に、基準として適正な点を確実に特定できるからである。ただし、このシフトさせる画素数は特に限定されない。
また、光学像600の略中央部分の画素位置の点Fに基づいて、照明部分近似直線902Aを算出したが、これに限らず、その他の画素位置の点に基づいて算出してもよい。
【0110】
前記第2実施形態では、変化部分近似直線903Aを取得するにあたり、220階調を輝度基準値として設定したが、これに限らず、例えば、100階調等のその他の階調を輝度基準値として設定してもよい。この際、輝度基準値は予め設定されていてもよい。
【0111】
また、前後10画素分離れた画素位置の点B,Cに基づいて、変化部分近似直線903Aを取得したが、これに限らず、例えば、前後20画素等のその他の画素数分離れた位置の点に基づいて取得してもよい。
さらに、変化部分近似直線903Aを取得する際に、2点B,Cに基づいて直線近似していたが、3点以上の複数の点を取得して、最小二乗法等の手法を用いて直線近似してもよい。要するに、輝度値変化部分903を適正に直線近似できればよい。
【0112】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明に係る照明光学素子の検査装置および照明光学素子の検査方法によれば、照明領域に応じた見切り枠を形成したので、見切り枠内で設計上の輝度よりも暗い部分が検出されたら不良品であると判定でき、簡単に照明光学素子の光学特性を検査できる。このため、ホルダに照明光学素子を取り付けるだけで、照明光学素子の光学特性を検査できるので、従来実施されていたように、わざわざプロジェクタとして全ての部品を組み立ててから照明光学素子の検査をする必要がないから、検品作業の負担を軽減でき、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る検査装置の検査対象となる照明光学素子が採用されるプロジェクタの構造を示す模式図である。
【図2】前記第1実施形態における照明光学素子の構造を示す正面図および側面図である。
【図3】前記第1実施形態における照明光学素子の焦点位置を示す部分平面図である。
【図4】前記第1実施形態における検査装置の外観を示す正面図である。
【図5】前記第1実施形態における検査装置の構造を示す正面図である。
【図6】前記第1実施形態における投影板を示す正面図である。
【図7】前記第1実施形態におけるホルダの構造を示す正面図である。
【図8】前記第1実施形態における検査装置の構成を示すブロック図である。
【図9】前記第1実施形態における検査装置による検査手順を示すフロー図である。
【図10】前記第1実施形態における検査装置による検査手順を示すフロー図である。
【図11】前記第1実施形態における検査装置による検査手順を示すフロー図である。
【図12】前記第1実施形態における検査装置の表示画面に表示された内容を示す模式図である。
【図13】前記第1実施形態における検査装置の表示画面に表示された内容を示す模式図である。
【図14】前記第1実施形態における検査装置の表示画面に表示された内容を示す模式図である。
【図15】前記第1実施形態における検査装置の表示画面に表示された内容を示す模式図である。
【図16】前記第1実施形態における検査装置の表示画面に表示された内容を示す模式図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係るレンズアレイの検査装置を示すブロック図である。
【図18】前記第2実施形態のレンズアレイの検査装置における第1レンズアレイの検査手順を示すフロー図である。
【図19】前記第2実施形態において、表示された光学像において走査線を選択して輝度値変化曲線を取得する様子を示す図である。
【図20】前記輝度値変化曲線の一部を拡大して示す図である。
【図21】前記第2実施形態において、近似直線を算出する手順を示すフロー図である。
【図22】前記第2実施形態において、境界点を取得する手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
2,4 照明光学素子の検査装置であるレンズアレイの検査装置
100 光学機器であるプロジェクタ
111A 光源である光源ランプ
113 照明光学素子である第1レンズアレイ
115 照明光学素子である第2レンズアレイ
119 照明光学素子である重畳レンズ
170 投影板であるすりガラス
171 見切り枠
300 検査装置本体
310 検出装置
312 第1レンズアレイホルダ
313 第2レンズアレイホルダ
314 重畳レンズホルダ
315 すりガラスホルダ
317 検査対象設置ユニット
320 光源装置
330 画像処理装置
332 画像検出装置
333 CCDカメラ
333A 撮像素子であるCCD
405 画像取込手段
410 画像処理手段
420 輝度値判定部
430 画像表示部
461 輝度値取得部
462 走査線選択部
463 輝度値変化曲線取得部
464 近似直線算出部
465 境界点取得部
466 良否判定部
600 光学像
610 走査線
801 横走査線
900 輝度値変化曲線
901 照明領域外部を示す部分としての基準部分
902 照明領域内部を示す部分としての照明部分
902A 照明部分近似直線
903 輝度値変化部分
903A 変化部分近似直線
H 境界点
LA 照明領域
Claims (4)
- 光源から照明光学素子を介して射出された光束を検出して、前記照明光学素子の光学特性を検査する照明光学素子の検査方法であって、
前記照明光学素子の照明領域に応じた見切り枠が形成された投影板上に、該照明光学素子を介して射出された光束の光学像を形成する光学像形成手順と、
形成された光学像を、撮像素子および画像取込手段を用いて取り込む画像取込手順と、
取り込まれた光学像の輝度値を画素単位で取得する輝度値取得手順と、
前記光学像の照明領域内外にわたって設定された走査線を選択する走査線選択手順と、
選択された走査線上の画素位置に応じた輝度値の変化を表す輝度値変化曲線を取得する輝度値変化曲線取得手順と、
取得された輝度値変化曲線から、照明領域外部を表す部分および照明領域内部を表す部分の間の輝度値変化部分を直線近似して近似直線を算出する近似直線算出手順と、
得られた近似直線に基づいて、前記光学像の照明領域の境界点を取得する境界点取得手順と、
取得された境界点が前記見切り枠内にあるか否かを判定する良否判定手順とを備えることを特徴とする照明光学素子の検査方法。 - 請求項1に記載の照明光学素子の検査方法において、
前記境界点取得手順は、前記輝度値変化曲線の照明領域内部を表す部分の略直線部分を延長し、前記近似直線算出手順で得られた近似直線との交点を求めることにより、前記光学像の照明領域の境界点を取得することを特徴とする照明光学素子の検査方法。 - 請求項1または請求項2に記載の照明光学素子の検査方法において、
前記近似直線算出手順は、基準となる輝度値を設定する輝度基準値設定ステップと、この輝度基準値に対応する画素位置に対して所定の画素数ずれた前後2つの画素位置を取得する前後画素位置取得ステップと、得られた2つの画素位置における輝度値を取得する輝度値取得ステップと、取得した画素位置および輝度値に基づいて近似直線を算出する近似直線算出ステップとを備えることを特徴とする照明光学素子の検査方法。 - 光源から照明光学素子を介して射出された光束を検出して、前記照明光学素子の光学特性を検査する照明光学素子の検査装置であって、
検査対象としての照明光学素子を保持するホルダと、このホルダに保持された照明光学素子から射出された光束の光学像を投影するとともに、前記照明光学素子の照明領域に応じた見切り枠が形成された投影板と、この投影板に投影された光学像および前記見切り枠を検出する撮像素子と、この撮像素子で検出された光学像を取り込む画像取り込み手段と、取り込まれた光学像を処理する画像処理手段とを備え、
前記画像処理手段は、取り込まれた光学像の輝度値を画素単位で取得する輝度値取得部と、前記光学像の照明領域内外にわたって設定された走査線を選択する走査線選択部と、選択された走査線上の画素位置に応じた輝度値の変化を表す輝度値変化曲線を取得する輝度値変化曲線取得部と、取得された輝度値変化曲線から、照明領域外部を表す部分および照明領域内部を表す部分の間の輝度値変化部分を直線近似して近似直線を算出する近似直線算出部と、得られた近似直線に基づいて前記光学像の照明領域の境界点を取得する境界点取得部と、取得された境界点が前記見切り枠内にあるか否かを判定する良否判定部とを有することを特徴とする照明光学素子の検査装置。
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