JP4044371B2 - 光ファイバシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二枚の樹脂フィルムが、コイル状に束巻されたコイル型光ファイバを介して接着されてなる光ファイバシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ファイバ増幅器、分散補償ファイバモジュールなどの機器においては、その素子として長尺の光ファイバが用いられる。このような長尺の光ファイバを装置に組み込む場合、光ファイバをひとまとめにして機器内に収納する必要がある。そのため、従来では、長尺の光ファイバをボビンに巻き取ったものが用いられていたが、このような巻き取りを行うと、光ファイバ同士が重なり合う部分で、局部的に微小な屈曲、いわゆるマイクロベンティングが起こって、光ファイバの損失が増大するという問題があった。またボビンを使用した場合、取扱い性が悪いとともに、コストがかかってしまっていた。
【0003】
これらの問題を解決すべく、上記ボビンの使用に換えて、樹脂フィルム上に光ファイバを一列状に並列させ、所定の面積内に配線した光ファイバシートが開発された。しかしながらこのような光ファイバシートは、その構造に起因して比較的大型なものになってしまうため、近年の機器のコンパクト化が進むなか、このような機器内への収納が困難となってきている。
【0004】
そこで、かかる省スペース化、低コスト化、マイクロベントロス低減の一環として、二枚の樹脂フィルムがコイル状に束巻されたコイル型光ファイバを介して接着された構造を有する光ファイバシートが開発された。図3は、従来の典型的な一例の光ファイバシート11を簡略化して示す断面図である。図3に示す光ファイバシート11は、二枚の樹脂フィルムのうち、一方のベースフィルム12が難燃性のポリエチレンテレフタレート(PET)にて形成され、残る他方のカバーフィルム13がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂にて形成された例を示す。ベースフィルム12のコイル型光ファイバ14が載置される側の面には、コイル型光ファイバ14を固定するための粘着剤層15が設けられる。光ファイバシート11は、ベースフィルム12とカバーフィルム13とを、コイル型光ファイバ14を間に挟んだ状態で熱融着(ヒートシール)して形成される。
【0005】
しかしこのようにフッ素樹脂製のカバーフィルム13を用いた光ファイバシート11では、カバーフィルム13の剛性が高いため可撓性に劣り、光ファイバシート11を形成すると、カバーフィルム13とベースフィルム12との間に隙間16が生じ、耐熱性試験(80℃)を行う際に空気が膨張して、フィルム同士の剥れが起こる。また、コイル型光ファイバ14が潰されたようなかたちでカバーフィルム13とベースフィルム12との間に挟み込まれてしまい、光ファイバにかかる側圧によって伝送損失を大きくする問題(マイクロベントロス)が発生する。さらにこのような光ファイバシート11では、カバーフィルム13が融点の高い(300℃〜340℃程度)フッ素樹脂にて形成されているため、上記のようにコイル型光ファイバ14を介してベースフィルム12に熱融着(ヒートシール)しようとすると、コイル型光ファイバ14が熱劣化してしまう(光ファイバは、通常、170℃以上の温度で劣化する。)。
【0006】
図4は、従来の典型的な他の例の光ファイバシート21を簡略化して示す断面図である。図4に示す光ファイバシート21は、カバーフィルム22が難燃性のシリコーンゴムで形成された以外は、図3に示した光ファイバシート11と同様である(同様の構成を有する部分については図2と同じ参照符を付している。)。光ファイバシート21は、カバーフィルム22が難燃性のシリコーンゴムで形成されてなるため、上記の図3に示した光ファイバシート11とは異なり、カバーフィルム22が充分な可撓性を有し、ベースフィルム12とでコイル型光ファイバ14を挟んで光ファイバシート21を形成した状態で、カバーフィルム22とベースフィルム12との間に上記隙間が生じない。しかしこのような光ファイバシート21では、シリコーンゴムは架橋されているため延伸した状態で固定すると元の形状に戻ろうとする性質を有し、これによりカバーフィルム22がコイル型光ファイバ14を潰すようなかたちでシールされてしまい、光ファイバにマイクロベントロスが発生する問題があった。
【0007】
また、カバーフィルムをポリエチレンで形成した光ファイバシートも提案されている。このような光ファイバシートでは、カバーフィルムがポリエチレンで形成されているため、カバーフィルムが充分な可撓性を有し、ベースフィルムとでコイル型光ファイバを挟んで光ファイバシートを形成した状態で、カバーフィルムとベースフィルムとの間に隙間が生じず、また光ファイバに悪影響を与えない温度(120℃程度)でカバーフィルムとベースフィルムとの熱融着が可能である。さらに、ポリエチレンを用いているため、コイル型光ファイバが潰れてしまうようなかたちで上記熱融着がなされてしまうようなことがない。
【0008】
しかし光ファイバシートは、機器内に設置されるものであるため、通常、UL94 V−0に規定される難燃性を有する必要があるが、上記カバーフィルムがポリエチレンで形成された光ファイバシートはかかる難燃性を満足しない。そのため、難燃性を満足すべくポリエチレンに臭素系難燃剤、金属水和物系難燃剤、リン酸化合物系難燃剤など適宜の難燃剤を添加することも考えられるが、たとえば厚み0.1mmのフィルムでUL94 V−0を満足するためには、多量に難燃剤を添加する必要が生じ、フィルム自体の可撓性を損なったり、脆くなってしまうといった問題が起こってしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、マイクロベントロスが発生せず、かつ光ファイバを熱劣化させない温度範囲で隙間なく熱融着することができる光ファイバシートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)ベースフィルムと、上記ベースフィルム上に載置され、コイル状に束巻されたコイル型光ファイバと、上記ベースフィルムに熱融着され、上記コイル型光ファイバの表面を覆うカバーフィルムとを備え、上記カバーフィルムは、80℃〜170℃の温度範囲で熱融着可能な難燃材料であって、JIS K 6922−2に準拠して測定した曲げ弾性率が10〜500MPaであり、かつUL94に規定される難燃性がV−0である難燃材料(難燃シリコーンを除く)で形成されたものであって、前記ベースフィルム又は前記カバーフィルムのいずれか一方が、難燃剤を添加した軟質ポリ塩化ビニルで形成されたものである光ファイバシート。
(2)ベースフィルムと、上記ベースフィルム上に載置され、コイル状に束巻されたコイル型光ファイバと、上記ベースフィルムに熱融着され、上記コイル型光ファイバの表面を覆うカバーフィルムとを備え、上記カバーフィルムは、80℃〜170℃の温度範囲で熱融着可能な難燃材料であって、JIS K 6922−2に準拠して測定した曲げ弾性率が10〜500MPaであり、かつUL94に規定される難燃性がV−0である難燃材料(難燃シリコーンを除く)で形成されたものであって、上記カバーフィルムが、難燃剤を添加した軟質ポリ塩化ビニルで形成されたものである光ファイバシート。
(3)上記難燃剤が、臭素系難燃剤または金属水和物系難燃剤である上記(1)又は(2)に記載の光ファイバシート。
(4)上記カバーフィルムの熱融着面に、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、粗面化処理、粘着剤塗布処理、ホットメルト樹脂の貼付、サンドブラスト処理のうちから選ばれる少なくとも1種の表面処理が施されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光ファイバシート。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の好ましい一例の光ファイバシート1を簡略化して示す断面図であり、図1(b)はその上面図である。図1(a)は、図1(b)の切断面線IB−IBからみた断面図である。本発明の光ファイバシート1は、二枚の樹脂フィルム(ベースフィルム2、カバーフィルム3)が、コイル状に束巻されたコイル型光ファイバ4を介して融着されてなる基本構造を有する。本発明は、かかる基本構造の光ファイバシート1において、二枚の樹脂フィルムのうちいずれか一方の樹脂フィルムであるカバーフィルム3が、可撓性を有し、80℃〜170℃の温度範囲で熱融着可能な難燃材料で形成されたものであることをその大きな特徴とするものである。本発明の光ファイバシート1は、80℃〜170℃の温度範囲でベースフィルム2とカバーフィルム3とを熱融着(ヒートシール)することができ、しかも熱融着後、ベースフィルム2とカバーフィルム3との間に隙間が生じない。このため、熱融着により光ファイバが熱劣化してしまうことがなく、また上記隙間が形成されることによって従来起きていた耐熱性試験時に発生していたフィルム同士の剥れを解消することができ、また光ファイバに側圧をかけることなく熱融着を行うことができるため、得られた光ファイバシート1にマイクロベントロスが発生しない。
ここで「融着」とは、得られた光ファイバシートにおいて二枚の樹脂シートのうち、上記温度範囲で熱融着可能な難燃材料で形成された一方の樹脂シートが溶融・固化することで互いに固着されたことをいう。また「可撓性を有する」とは、JIS K 6922−2の規定に準拠して測定された曲げ弾性率が、10MPa〜500MPaの範囲にあることをいう。また「難燃」とは、UL94 V−0に規定される難燃性試験の規格を満たすことをいう。
【0012】
本発明においてカバーフィルム3の形成に使用される、上記可撓性を有し、かつ80℃〜170℃の温度範囲で熱融着可能な難燃材料としては、軟質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などに難燃剤を添加したものが挙げられ、中でもベースポリマー自体が難燃性のため、所望の難燃性を得るのに多量の難燃剤の添加が不必要であり、難燃剤を添加しても可撓性が維持され、脆くならないという理由からは、軟質ポリ塩化ビニルに難燃剤を配合したものが好ましい。
【0013】
上記軟質ポリ塩化ビニルは、ポリ塩化ビニルに可塑剤を配合したものである。ポリ塩化ビニルは、下記式で表される単位を含有するものである。
【0014】
【化1】
【0015】
ポリ塩化ビニルは、市販のもの、たとえば、H−1300(日産化学株式会社製)、デンカビニルSS−130(電気化学株式会社製)、SG−1300(三菱化学株式会社製)、ニポリットSM(旭硝子株式会社製)、TH−1400(大洋塩ビ株式会社製)、TK1300(信越化学株式会社製)、ビニカKR800(三菱化学株式会社製)などを用いればよい。
【0016】
本発明に用いられる軟質ポリ塩化ビニルは、上述したポリ塩化ビニルに可塑剤を配合して調製される。可塑剤としては、特に制限されるものではないが、たとえば、ジブチルフタレート(DBP)、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート(DOP)、ジイソブチルフタレート(DIBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)などが例示され、中でも耐熱性の観点からは、TOTMが好ましい。
可塑剤の配合量は、用いる可塑剤によっても異なるが、上述した可撓性を達成し得る観点からは、ポリ塩化ビニル100重量部に対し可塑剤を10重量部〜100重量部配合することが好ましく、30重量部〜80重量部配合することがより好ましい。
【0017】
難燃剤としては、特に制限はなく、臭素系難燃剤(後述)、金属水和物系難燃剤(後述)、アンチモン系難燃剤(三酸化アンチモンなど)、リン酸化合物系難燃剤(トリス(クロロエチル)ホスフェートなど)、塩素系難燃剤(塩素化ポリオレフィン)などの従来公知の各種の難燃剤が挙げられ、中でも、より優れた難燃性を効果的に付与し得る観点からは、臭素系難燃剤または金属水和物系難燃剤が好ましい。
【0018】
臭素系難燃剤としては、具体的には、テトラブロモブタン、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、ヘキサブロモエチルベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ペンタブロモクロロシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA誘導体、テトラブロモビスフェノールS、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレートなどが例示され、中でも、より優れた難燃性を効果的に付与し得ることから、デカブロモジフェニルオキシドが特に好ましい。
臭素系難燃剤を使用する場合、上述した難燃性を有するカバーフィルム3を実現するためには、軟質ポリ塩化ビニル100重量部に対し1重量部〜50重量部であるのが好ましく、2重量部〜10重量部であるのがより好ましい。
【0019】
金属水和物系難燃剤としては、具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが例示され、中でも、より優れた難燃性を付与し得ることから、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
金属水和物系難燃剤を使用する場合、上述した難燃性を有するカバーフィルム3を実現するためには、軟質ポリ塩化ビニル100重量部に対し10重量部〜100重量部であるのが好ましく、30重量部〜80重量部であるのがより好ましい。
【0020】
カバーフィルム3の厚みD1としては、特に制限されるものではないが、後述するように真空プレス機で短時間の熱融着に供することから、50μm〜200μmであるのが好ましく、70μm〜150μmであるのがより好ましい。カバーフィルム3の厚みD1が50μm未満であると、上記難燃性(UL94 V−0)を満足しない傾向にあるためであり、またカバーフィルム3の厚みD1が200μmを超えると、真空プレス機を用いた短時間の熱融着ができなくなり、熱でファイバ被覆材が劣化してしまう虞があるためである。
【0021】
本発明におけるベースフィルム2を形成する材料としては、特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられ、特に制限はないが、コストの面から、PETが好ましい。PET、PCにてベースフィルム2を形成する場合、通常、難燃剤を配合する。難燃剤としては、特に制限はなく、たとえば、臭素系難燃剤、金属水和物系難燃剤、アンチモン系難燃剤、リン酸化合物系難燃剤、塩素系難燃剤が挙げられるが、より優れた難燃性を効果的に付与し得ることから、臭素系難燃剤が好ましい。難燃剤の配合量は、UL94 V−0に規定される難燃性試験の規格を満たすべく、PETの場合には、PET100重量部に対し1重量部〜50重量部であるのが好ましく、5重量部〜20重量部であるのがより好ましい。
【0022】
ベースフィルム2の厚みに特に制限はないが、難燃性、経済性、製品全体としてのサイズなどの観点からは、50μm〜1000μmであるのが好ましく、350μm〜450μmであるのがより好ましい。ベースフィルム2の厚みが50μm未満であると剛性が小さくなるため、真空プレス時に反りが発生する、難燃性PETを用いた場合にあっては難燃性がもたないといったような傾向にあるためであり、またベースフィルム2の厚みが1000μmを超えると、フィルムのコストが高くつき、経済性が悪化する傾向にあるためである。
【0023】
ベースフィルム2の一面には、コイル型光ファイバ4を固定するための粘着剤層5が設けられる。粘着剤層5を形成する粘着剤としては、特に制限はなく、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤など従来公知の各種の粘着剤が挙げられるが、難燃性の観点からは、シリコーン系粘着剤が好ましい。
【0024】
本発明に用いるコイル型光ファイバ4としては、従来公知の適宜の光ファイバをコイル状に束巻したものを特に制限なく用いることができる。特に、光増幅器用エルビウム添加ファイバ(EDF)、分散補償ファイバ(DCF)、シングルモードファイバ(SMF)、ゼロ分散ファイバ(DSF)、ノンゼロ分散ファイバ(NZ−DSF)などが挙げられ、かかる光ファイバで形成したコイル型光ファイバを用いた本発明の光ファイバシートは、光ファイバ増幅器、高出力広帯域(ASE)光源などの機器に好適に使用することができる。また、分散補償ファイバ(DCF)、シングルモードファイバ(SMF)、ゼロ分散ファイバ(DSF)、ノンゼロ分散ファイバ(NZ−DSF)などの通常光ファイバ長が1km程度の光ファイバも、本発明におけるコイル型光ファイバに好適に適用することができる。
【0025】
本発明の光ファイバシート1を製造する方法としては、特に制限されるものではないが、たとえば次のようにして製造することができる。
まず、光ファイバをコイル状に束巻してコイル型光ファイバ4を形成し、これをその一面に粘着剤層5が形成されたベースフィルム2に固定する。これに、カバーフィルム3を、80℃〜170℃の温度で熱融着(ヒートシール)する。かかる熱融着は、適宜の真空プレス装置を用い、たとえば30秒間〜10分間程度、上記温度範囲の熱をかけてプレスすることで行われる。熱融着後、目的に応じ、コイル型光ファイバ4を包含するかたちで所定の大きさおよび形状に切り出すことで、本発明の光ファイバシート1を製造することができる。
【0026】
本発明においては、上記いずれか一方の樹脂フィルムの表面に、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、粗面化処理、粘着剤塗布処理、ホットメルト樹脂の貼付、サンドブラスト処理のうちから選ばれる少なくとも1種の表面処理が施されていてもよい。これにより、図1のように熱融着させた状態での樹脂フィルム同士の接着性が向上される。上記表面処理を施す樹脂フィルムとしては、カバーフィルム3が好ましい。
たとえば、プライマー処理を行う場合、公知の適宜のプライマーを特に制限なく使用することができるが、カバーフィルムと粘着剤との間の接着強度が高いことからは、ウレタンプライマーを使用するのが好ましい。このようなプライマーを、適宜の溶剤に溶解したものを、カバーフィルム3のベースフィルム2に熱融着させる側の面に塗布すればよい。
また上記プライマー処理した上から、あるいは単独で、接着剤をカバーフィルム3のベースフィルム2に熱融着させる側の面に塗布してもよい。接着剤としては、特に制限はないが、カバーフィルムと粘着剤との間の接着強度が高いことからは、エチレンエチルアクリレート(EEA)系接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)系接着剤を好適に使用することができる。
またプラズマ照射処理、コロナ処理、粗面化処理(サンドペーパーなどを用いる)、サンドブラスト処理は、表面を粗くする(表面積を大きくする)処理として公知の方法であり、特に制限なく行うことができる。中でも、作業性が良好であることから、プラズマ処理によるのがよい。プラズマ処理の条件としては、当分野で従来より広く行われている適宜の条件で行えばよい。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例1
カバーフィルムに難燃軟質ポリ塩化ビニル(ポリ塩化ビニル(PVC)100重量部に、水酸化アルミニウム(難燃剤)を60重量部、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート(可塑剤)を60重量部配合)フィルム(厚み:100μm)を用い、ベースフィルムにその表面にシリコーン系粘着剤を30μmの厚みで塗工した難燃ポリエチレンテレフタレートフィルム(50mm×50mm、厚み:380μm)を用い、エルビウム添加ファイバコイル(内周:30mm、外周:40mm、ファイバ長:20m)を粘着剤付きベースフィルムに載置した。その上からカバーフィルムを被せ、真空プレス機を用いて140℃で1分間の熱融着を行って、光ファイバシートを作製した。
【0028】
実施例2
カバーフィルムの形成材料としてポリ塩化ビニル100重量部に、デカブロモジフェニルオキシド(難燃剤)を7重量部、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート(可塑剤)を60重量部配合してなる難燃軟質ポリ塩化ビニルを用いた以外は、実施例1と同様にして光ファイバシートを作製した。
【0029】
比較例1
カバーフィルムの形成材料としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム(厚み:80μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして光ファイバシートを作製した。
【0030】
比較例2
カバーフィルムの形成材料として、難燃シリコーンフィルム(厚み:100μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして光ファイバシートを作製した。
【0031】
比較例3
カバーフィルムの形成材料として、低密度ポリエチレン(低密度PE)フィルム(厚み:80μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして光ファイバシートを作製した。
【0032】
実施例1、2および比較例1〜3で得られた光ファイバシートについて、次のようにしてマイクロベントロスの発生の有無、難燃性ならびに可撓性の評価試験を行った。
【0033】
(1)マイクロベントロス
カバーフィルムを熱融着する前のコイルファイバの一方端から1550nmの波長の光を入射し、他方端から出射された光量を光パワーメータを用いて室温(25℃)で測定し、カバーフィルムを熱融着後、1550nmにおける光量を光パワーメータを用いて、室温で測定し、その光量差をマイクロベントロスとした。光量差が0.5dB未満を○、0.5dB以上を×と評価した。
【0034】
(2)難燃性(UL94垂直試験)
カバーフィルム単体を127mm×12.7mmの大きさに切断して5個のサンプルを作製し、これらを試験に用いた。図2は、難燃性の評価試験を模式的に示す図である。
図2に示すように、サンプルを所定のクランプに取り付け、サンプル下部9.5mmの位置から直径9.5mmのブンゼンバーナー(メタンガス:37MJ/m3、青炎:19mm)で10秒間着火し、炎が消えるまでの時間およびクランプ部分までの延焼の有無を確認した。消炎後のグローイング時間(炎なしで赤くなっている時間)も測定した。なお、サンプルが溶融して下に落下する場合、残ったサンプルの下部を追いかけるようにブンゼンバーナーを移動させる。また、1回目、2回目ともサンプルから305mm下に置いた外科用綿(51mm×51mm、厚み:6.4mm)上に落下させ、着火の有無を確認した。
当該試験の合格基準は、以下のとおりである。UL94 V−0の規格に合格したものを○、不合格であったものを×と評価した。
【0035】
【表1】
【0036】
(3)可撓性
可撓性の評価試験をJIS K 6922−2に準拠して曲げ弾性率を測定した。
・試料厚さ:4mm
・幅:10mm
・長さ:80mm
・試験速度:1mm/min
・支点間距離:40mm
・試験数:n=5
・合格基準:n=5の平均値が10MPa〜500MPaであったものを○と評価し、500MPaより大きかったものを×と評価した。
【0037】
結果を以下に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、マイクロベントロスが発生せず、かつ光ファイバを熱劣化させない温度範囲で隙間なく熱融着することができる光ファイバシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の好ましい一例の光ファイバシート1を簡略化して示す断面図であり、図1(b)はその上面図である。図1(a)は、図1(b)の切断面線IB−IBからみた断面図である。
【図2】難燃性の評価試験を模式的に示す図である。
【図3】従来の典型的な一例の光ファイバシート11を簡略化して示す断面図である。
【図4】従来の典型的な他の例の光ファイバシート21を簡略化して示す断面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバシート
2 ベースフィルム
3 カバーフィルム
4 コイル型光ファイバ
Claims (4)
- ベースフィルムと、
前記ベースフィルム上に載置され、コイル状に束巻されたコイル型光ファイバと、
前記ベースフィルムに熱融着され、前記コイル型光ファイバの表面を覆うカバーフィルムと
を備え、
前記カバーフィルムは、80℃〜170℃の温度範囲で熱融着可能な難燃材料であって、JIS K 6922−2に準拠して測定した曲げ弾性率が10〜500MPaであり、かつUL94に規定される難燃性がV−0である難燃材料(難燃シリコーンを除く)で形成されたものであって、
前記ベースフィルム又は前記カバーフィルムのいずれか一方が、難燃剤を添加した軟質ポリ塩化ビニルで形成されたものである
光ファイバシート。 - ベースフィルムと、
前記ベースフィルム上に載置され、コイル状に束巻されたコイル型光ファイバと、
前記ベースフィルムに熱融着され、前記コイル型光ファイバの表面を覆うカバーフィルムと
を備え、
前記カバーフィルムは、80℃〜170℃の温度範囲で熱融着可能な難燃材料であって、JIS K 6922−2に準拠して測定した曲げ弾性率が10〜500MPaであり、かつUL94に規定される難燃性がV−0である難燃材料(難燃シリコーンを除く)で形成されたものであって、
前記カバーフィルムが、難燃剤を添加した軟質ポリ塩化ビニルで形成されたものである光ファイバシート。 - 前記難燃剤が、臭素系難燃剤または金属水和物系難燃剤である請求項1又は2に記載の光ファイバシート。
- 前記カバーフィルムの熱融着面に、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、粗面化処理、粘着剤塗布処理、ホットメルト樹脂の貼付、サンドブラスト処理のうちから選ばれる少なくとも1種の表面処理が施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ファイバシート。
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