JP4043737B2 - ディスクへのフランジの軸方向固定リング - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスクの径方向の面で環状フランジを固定する装置に関する。
【０００２】
より詳しくは、本発明は、ディスクの径方向の面で環状フランジを固定するための装置に関し、このディスクが、前記径方向の面に、複数の壁によって画定される環状のくり抜きを有し、壁の一つが、径方向外側に延びる縁の一面から形成され、フランジが、径方向内部に、くり抜きの径方向外側の壁でたとえば摺動式に支持される環状基部と、基部の内側の端からくり抜き内に径方向内側に延びる脚とを有し、前記装置が、くり抜きに配置されたスリット入りの環状固定リングを含み、固定リングが、縁の面に当たる面を有し、この固定リングが、ディスクの径方向の面でフランジを固定するために、脚の一部を収容する溝を径方向外側の面に有する。
【０００３】
【従来の技術】
このような装置は、特にＦＲ−Ａ−２４８５１１７から知られている。この文献において、フランジは、樅(SAPIN)連結タイプの羽根が軸方向に移動しないように構成されており、フランジの脚部は、ディスクの周辺に設けられた切欠きに取り付けられる。
【０００４】
フランジを取り付けるには、まず、スリット入りの環状固定リングをディスクのくり抜きに配置し、次いで、リングの周辺壁を支持する工具を用いて、この工具が縁を支持するまで、くり抜きの径方向内側にリングを圧縮する。その後、くり抜きの径方向外側の壁に沿って台座のベースをスライドさせる。フランジに対して軸方向の力を及ぼし、脚部が、くり抜きの軸方向内側の壁で支持されるようにする。そこで、環状リングを圧縮していた工具をゆるめる。環状リングは、径方向外側に膨張する。次にフランジに及ぼしていた軸方向の力を除去する。フランジの脚部は、環状リングの溝を画定する２個の壁で支持される。
【０００５】
このように、ＦＲ−Ａ−２４８５１１７によりフランジの固定装置を実施するには、フランジを設置可能にするために、固定リングを圧縮する特別な工具が必要である。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フランジを簡単に組み立てられるフランジの軸方向固定装置を提案することにある。
【０００７】
本発明の別の目的は、固定リングを圧縮するための特別な工具なしに、ディスクにフランジを組立可能にすることにあり、これによって、メンテナンスに必要な設備費用を低減することができる。
【０００８】
本発明の別の目的は、ディスクの寿命を延ばすことができるフランジの軸方向固定装置を提案することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明は、実際には、フランジの脚と、固定リングとが、対向する環状の面取り部（ｃｈａｎｆｒｅｉｎ）を含み、これらの面取り部が、ディスクにフランジを組み立てる場合、くり抜きに基部を軸方向に摺動する間、くり抜きに予め配置されたリングを径方向に圧縮可能にするように構成されることで、この目的を達成する。
【００１０】
好適には、さらに、以下の構成が採り入れられる。
【００１１】
面取り部が、ディスクの軸に対して１０°〜６０°の角度だけ傾斜している。
【００１２】
溝が、脚の一端で径方向に支持される面と、くり抜きの開口部に向かい合った脚の面で支持される径方向の面とによって画定され、前記径方向の面が、固定リングの面取り部に結合される。
【００１３】
溝に収容される脚の一部が、切欠きを含む。
【００１４】
溝が、脚の切欠きに挿入される突起を含む。
【００１５】
切欠きの深さが、突起の高さよりも深い。
【００１６】
この最後の構成により、突起の頂部と切欠きの底との間に含まれるスペースに工具を滑り込ませて、メンテナンス操作中のフランジの分解時に、固定リングを圧縮することができる。しかし、フランジの再組立は、特別な工具なしに実施される。
【００１７】
切欠きおよび突起があるために、固定リングは、フランジに対して相対回転不能に固定できる。フランジは、その場合、羽根の脚部でディスクに対して固定される。ＦＲ−Ａ−２４８５１１７では、固定リングが、くり抜きを画定する縁に設けられた切れ込み位置でディスクに固定される。この切れ込みは、本発明では不要であるので、ディスクの構造を簡素化し、寿命を延ばすことができる。
【００１８】
本発明の他の特徴および長所は、添付図面に関して例としての以下の説明を読めば、明らかになるであろう。
【００１９】
【発明の実施の形態】
図では、回転軸２を有するガスタービンエンジンのロータディスクを参照符号１で示した。このディスク１は、その径方向の面３に、径方向の外壁４と、軸方向の内壁５と、径方向の内壁６と、径方向の内壁６から径方向外側に延びる環状の縁８の内面７とによって画定される、くり抜き１０を有する。縁８の上端９は、径方向の外壁４から径方向に離れ、くり抜き１０にアクセス可能にする環状開口部１１を設けている。ディスク１は、その周辺に、羽根の脚部を収容するための軸方向の切欠き（図示せず）を含む。羽根の脚部は、環状フランジ１３の外側部分１２により軸方向に固定されており、フランジの径方向内側部分１４が、くり抜き１０の外側領域に軸方向に延びる環状基部１５と、環状基部１５の内側の端からくり抜き１０の内部に径方向に延びる脚１６とを含む。
【００２０】
環状基部１５の外径は、くり抜き１０の径方向の外壁４の直径にほぼ等しく、環状基部１５は、この外壁４でたとえば摺動支持される。脚１６の内径は、縁８の外径より大きく、くり抜き１０の開口部１１により環状基部１５と脚１６とを挿入できるようにしている。フランジ１３の径方向内部１４が、空洞１０に挿入されると、フランジ１３は、環状基部１５が径方向の外壁４でたとえば摺動支持されるので、ディスク１に対して径方向に固定される。
【００２１】
フランジ１３は、スリット入りの環状固定リング２０によりディスク１に軸方向に固定される。固定リング２０は、縁８の内面７で支持される軸方向正面の壁２１と、くり抜き１０の軸方向の内壁５からわずかに離れて配置される後壁２２と、面取り部２４により正面壁２１に結合され、かつ溝２５により後壁２２に結合されて、径方向の面２６と円筒面２７とにより画定される外周壁２３と、軸方向の内壁２８とを有する。軸方向の内壁２８の直径は、くり抜きの径方向の内壁６の直径よりも大きく、フランジ１３の設置時に圧縮により、縁８の後ろに固定リング２０を引っ込めることができる。
【００２２】
溝２５を画定する径方向の面２６は、図１に示した組立位置で、環状開口部１１に向かい合って配置される脚部１６の面により支持される。
【００２３】
溝２５を画定する円筒面２７の直径は、固定リング２０の休止位置で脚１６の内径にほぼ等しい。しかし、固定リング２０がディスク１の回転時に遠心力をうけると、円筒面２７が、脚１６の内端１７でスリップせずに支持される。
【００２４】
さらに、脚１６の内径は、休止状態で固定リングの正面壁２１の外径にほぼ等しい。
【００２５】
また、脚１６の内端１７は、面取り部１９により、くり抜き１０の軸方向の内壁５に向かい合って配置される脚１６の背面１８に結合される。
【００２６】
この面取り部１９と固定リング２０の面取り部２４とは、ディスク１の回転軸２に対して同じ角度を有し、１０°〜４５°である。
【００２７】
固定リング２０の軸方向の内壁２８は、さらに、くり抜き１０への挿入時に、固定リング２０を伸張可能にする第二の面取り部２９によって後壁２２に結合される。
【００２８】
図２Ａ〜２Ｆは、ディスク１へのフランジ１３の様々な組立段階を示している。スリット入りの環状固定リング２０は、くり抜き１０に挿入され、図２Ａに示したように休止位置にある。
【００２９】
次に、脚１６の端１７がくり抜き１０の開口部１１にくるように、フランジ１３を設置する。そのとき、脚１６の面取り部１９は、固定リング２０の面取り部２４で支持されるので、ディスク１の回転軸２に対して固定リング２０を心合わせすることができる。そこで、フランジ１３の内側部分１４に軸方向の力Ｆを及ぼす。この操作により、図２Ｂ、２Ｃ、２Ｄに示されているように固定リング２０が圧縮し、くり抜き１０の径方向の外壁４上を環状基部１５が摺動する。
【００３０】
図２Ｄでは、脚の端１７が、固定リングの外周壁２３で摺動支持されていることが分かる。フランジ１３の内側部分１４に軸方向の力Ｆを加え続ける。フランジ１３の外側部分１２は、ディスク１の径方向の面３と羽根とで支持され、脚１６の端１７は、溝２５の上に配置される。固定リング２０は、圧縮応力から解放されて通常の直径になる。溝２５の円筒面２７は、脚１６の端１７で支持され、径方向の面２６が、脚１６と開口部１１との間に配置される。フランジ１３の内側部分１４に及ぼされる軸方向の力Ｆをゆるめると、フランジ１３は、溝２５を画定する径方向の面２６でスリップせずに支持され、固定リング２０の正面壁２１が、縁８の内面７で支持される。
【００３１】
フランジ１３は、軸方向の圧縮応力によりディスク１に取り付けられる。
【００３２】
先に述べたように、ディスク１への組立中にフランジ１３が軸方向に移動するので、面取り部１９、２４によって固定リング２０が圧縮する。
【００３３】
反対に、フランジ１３を外すには、固定リング２０を予め圧縮して、固定リング２０の外周壁２３が、脚１６の端１７の下に引っ込むようにすることが必要である。
【００３４】
この操作を容易にするために、脚１６は、複数の切欠き４０を含み、その底部は、固定リング２０の外周壁２３の直径よりも大きい距離だけ軸２から隔てられている。かくして、図３に示されているように、適切な工具４１の端を隙間から滑り込ませて、固定リング２０を圧縮することができる。
【００３５】
有利には、固定リング２０は、溝２５の内部で切欠き４０に対応して、切欠き４０に挿入される突起４２を含み、突起４２の外面が、固定リング２０の外周壁２３と同高に置かれる。これらの突起４２は、工具４１の支持を最適化することができ、また、フランジ１３に対して固定リング２０の回転を止めることができる。フランジ１３の外側部分１２は、この場合、羽根の２個の脚部の間に挿入されるピン４３等の適切な手段により、ディスク１に対して固定される。
【００３６】
切欠き４０、突起４２、およびピン４３が存在することにより、ディスク１、フランジ１３および固定リング２０を相対回転不能に結合することができ、固定リング２０とディスク１との間で直接回転を止める装置は不要である。こうした構成により、寿命の短い部品であるディスク１の縁８にスリットを設けることによる、応力集中要因の導入が回避される。かくして、ディスク１の機械的な完全性が保たれ、その寿命が延びる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態を含むロータディスクの一部の断面図である。
【図２Ａ】ディスクにフランジを組み立てる様々な段階を示す図である。
【図２Ｂ】ディスクにフランジを組み立てる様々な段階を示す図である。
【図２Ｃ】ディスクにフランジを組み立てる様々な段階を示す図である。
【図２Ｄ】ディスクにフランジを組み立てる様々な段階を示す図である。
【図２Ｅ】ディスクにフランジを組み立てる様々な段階を示す図である。
【図２Ｆ】ディスクにフランジを組み立てる様々な段階を示す図である。
【図３】フランジを分解する第一段階を示す図である。
【図４】くり抜き内の固定リングを示す拡大断面図である。
【符号の説明】
１ ディスク
２ 回転軸
３ 径方向の面
４ 径方向の外壁
５ 軸方向の内壁
６ 径方向の内壁
７ 縁の内面
８ 縁
９ 縁の上端
１０ くり抜き
１２ フランジの外側部分
１３ フランジ
１４ フランジの内側部分
１５ 基部
１６ 脚
１７ 脚の内端
２０ 固定リング
１９、２４ 面取り部
２５ 溝
４０ 切欠き
４２ 突起

Claims (6)

1. ディスク（１）の径方向の面（３）で環状フランジ（１３）を固定する装置であって、ディスク（１）が、前記径方向の面（３）に、複数の壁によって画定される環状のくり抜き（１０）を有し、壁の一つが、径方向外側に延びる縁（８）の一面（７）から形成され、環状フランジ（１３）が、径方向内側部分（１４）に、くり抜き（１０）の径方向外側の壁（４）で支持される環状基部（１５）と、基部（１５）の内側の端からくり抜き（１０）に径方向内側に延びる脚（１６）とを有し、前記固定する装置が、くり抜き（１０）に配置されたスリット入りの環状固定リング（２０）を含み、固定リングが、縁（８）の面（７）に当たる面（２１）を有し、該固定リング（２０）が、ディスク（１）の径方向の面（３）で環状フランジ（１３）を固定するために、脚（１６）の一部を収容する溝（２５）を径方向外側の面に有し、環状フランジ（１３）の脚（１６）と、固定リング（２０）とが、対向する環状の面取り部（１９、２４）を含み、該面取り部が、ディスク（１）に環状フランジ（１３）を組み立てる場合、くり抜き（１０）に基部（１５）を軸方向に摺動する間、くり抜き（１０）に予め配置された固定リング（２０）を径方向に圧縮可能にするように構成されていることを特徴とする、ディスク（１）の径方向の面（３）で環状フランジ（１３）を固定する装置。
2. 面取り部（１９、２４）が、ディスク（１）の軸（２）に対して１０°〜６０°の角度だけ傾斜していることを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 溝（２５）が、脚（１６）の一端（１７）で径方向に支持される面（２７）と、くり抜き（１０）の開口部（１１）に向かい合った脚（１６）の面で支持される径方向の面（２６）とによって画定され、前記径方向の面（２６）が、固定リング（２０）の面取り部（２４）に結合されることを特徴とする請求項１または２に記載の装置。
4. 溝（２５）に収容される脚（１６）の一部が、切欠き（４０）を含むことを特徴とする請求項３に記載の装置。
5. 溝（２５）が、脚（１６）の切欠き（４０）に挿入される突起（４２）を含むことを特徴とする請求項４に記載の装置。
6. 切欠き（４０）の深さが、突起（４２）の高さよりも深いことを特徴とする請求項５に記載の装置。

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