JP2004150433A - 蒸気タービンの反動式バケット用の連続形半径方向付勢装置及びその方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 タービンロータ溝（２６）内でタービンバケット（１０）を半径方向に付勢するための付勢ばねセグメント（３８）。
【解決手段】 該付勢ばねセグメント（３８）は、その対向する端縁間に間隙（４２）を備えかつ該ばねセグメントの円弧形の長さ方向に円弧形のセグメントを形成するほぼ円形の金属薄板と、円弧形の長さ方向に沿って間隔を置いて配置され、それによって前記円弧形のセグメント内に複数の個別のばね（４４）を形成している、該薄板内の複数の半径方向スロット（４６）とを含む。
【選択図】 図１

Description

本発明は、蒸気タービンバケット技術に関し、より具体的には、蒸気タービンの反動式バケットを蒸気タービンロータ溝内に取付けるのに用いられる半径方向付勢ばねに関する。

蒸気タービンの反動式バケットを半径方向に付勢（荷重付加）するための現在の常法は、蒸気タービンロータ内の保持溝の中に各バケットを挿入し、バケットの底面とロータ溝との間の厳密に管理された半径方向間隙に付勢ピンを挿入し、次いでピンがロータ半径方向に塑性変形してバケットを保持溝のフックに対して半径方向に付勢するように、ピンを打ち込むことを含む。各バケットについて、付勢ピンがあり、また各付勢ピンは、バケットがロータ溝内で動かなくなるまで人手で打ち込まなければならない。しかしながら、この打ち込み作業は、バケット及びロータに損傷を与える機会を持ち込む。

従って、部品数の減少及びロータ組立て時間の削減をもたらし、かつバケット及び／又はロータを損傷させる恐れなくバケットをロータ溝のフックに対して一定の半径方向荷重で付勢することができる改善された半径方向付勢技術の必要性がある。

本発明は、付勢ピン技術を、打ち込み作業を排除し、かつバケット取付けに必要とされる別個の部品の数を減少させる半径方向付勢ばねセグメントで置き換える。この例示的な実施形態では、新型の半径方向付勢ばねセグメントは、「Ｃ」形状の断面を有することができるが、最終的なばねの断面は、バケットに作用する所望の付勢力を得るために変化させることができる。ばねセグメントのスパン、すなわち円弧形長さは、３６０度もの大きさにすることができるが、このことは、環状のばね溝当たりただ１つのみのばねセグメントが必要となることを意味することになる。バケットに作用するより大きい付勢力を得るために、１つ以上のばね溝（例えば、１対の並列の環状溝）を用いることができ、また各タービン段における１つ又はそれ以上の３６０度のばね溝を埋めるために１つ以上のばねセグメントを用いることができる。より短いばねセグメントを用いることの１つの利点は、ばね溝内にばねセグメントを取付けることが容易であり、またロータ溝内にバケットを取付けることが容易であることである。

この好ましい構成では、多数の半径方向のスライス（スロットとも呼ばれる）が、各ばねセグメント内に作られ、従って各セグメント内に多数の別個のばねを効果的に形成するので、１つの特定のバケット下方のばねの圧縮力は、そのバケット下方に局所化されて、隣接するバケットへのばねの付勢には影響を及ぼさない。半径方向スライスは、セグメント中心線に対して垂直に、又はバケットダブテールの菱形の傾斜角と同じ傾斜角で作ることができる。

従って、１つの態様では、本発明は、タービンロータ溝内のタービンバケットを半径方向に付勢するための付勢ばねセグメントに関し、該付勢ばねセグメントは、その対向する端縁間に間隙を備えかつ該ばねセグメントの円弧形の長さ方向に円弧形のセグメントを形成するほぼ円形の金属薄板と、円弧形の長さ方向に沿って間隔を置いて配置され、それによって円弧形のセグメント内に複数の個別のばねを形成している、薄板内の複数の半径方向スロットとを含む。

別の態様では、本発明は、タービンロータ及びバケット組立体に関し、該組立体は、その周辺の周りにバケット保持溝が形成されたロータと、各々がバケット保持溝内に受けられた、半径方向内面を含む取付け部分を有する複数のバケットと、バケット保持溝の底面部分に設置された環状のばね溝と、バケット保持溝の底面部分と複数のバケットの少なくとも１つの半径方向内面部分との間に半径方向に挿置された状態で、環状のばね溝内に装着された少なくとも１つの半径方向付勢ばねセグメントとを含み、半径方向付勢ばね要素は、ほぼ円形断面の金属薄板を含み、該金属薄板は、その対向する端縁間の間隙と、円形の薄板内の少なくとも１つの半径方向スロットとを備え、それによってばねセグメント内に少なくとも２つの別個のばねを形成している。

更に別の態様では、本発明は、雄ダブテールが形成されたタービンバケットを、環状のばね保持溝が形成された底面部分を有する周辺雌ダブテール溝が形成されたロータに組み付ける方法に関し、該方法は、ａ）所定の円弧形長さの半径方向付勢ばねセグメントを、ばね保持溝内に配置する段階と、ｂ）雄ダブテールが雌ダブテール内に入るのを可能にするようにバケットを回転させる段階と、ｃ）バケットに半径方向力を加え、それによって半径方向付勢ばねセグメントを圧縮する段階と、ｄ）雄ダブテールが雌ダブテール内に完全に装着されるような所望の向きにタービンバケットを回転させる段階とを含む。

図１を参照すると、タービンバケット１０は、翼形部分１２と雄ダブテール１６として構成された根元すなわち基部部分１４とを含む。雄ダブテールは、薄いネック２２により半径方向に間隔を置いて配置された半径方向外側及び内側の突出部すなわちフック１８、２０を含む。

ロータ２４には、ホイールの周辺の周りに雌ダブテールスロット２６として構成された環状の保持溝が形成されており、該雌ダブテールスロット２６は、外側雄突出部１８を受けるための半径方向外側の幅広溝部分２８と、内側雄突出部２０を受けるための半径方向内側の幅広溝部分３０と、薄いネック２２を受けるための中間の幅狭溝部分３２を有する。幅狭溝部分３２の下面３３は、雄ダブテール１６上の内側突出部２０が係合する、いわゆる「フック」を形成する。雌ダブテールスロットの底面３４内には、ホイールの周辺全体の周りに延びる環状のばね保持溝３６が形成される。溝自体は、断面で見た（図１におけるように）とき、ほぼ１８０度延びる。付勢ばねセグメント３８は、ダブテールスロットの底面３４とバケットダブテールの半径方向内面４０との間に半径方向に挿置された状態で、溝３６内に示されている。上記したように、バケットに対する必要な半径方向付勢力に応じて、１つ以上の溝３６を用いることができる。ばねセグメント３８は、バケットを半径方向外向きに付勢して、フック３３に対してバケットを半径方向に押し付ける。

図２及び図３に移ると、付勢ばねセグメント３８は、ばね鋼薄板（例えば、Ｘ−７５０）で作られて、円形形状（断面が）に丸められ、薄板の対向する端縁の間に間隙４２を備える。この間隙は、本明細書中で更に説明するようにばねが圧縮されることを可能にし、またこの間隙は、バケットが溝に入れられたとき、ばねの対向する端縁が互いに接触しないほど十分に大きくしなければならない。

図２に示すように、ばねセグメント３８は、約８０度の円弧形の長さを有するが、この円弧形長さは、極めて短い長さ（好ましくは、単一のバケットの少なくとも円弧形の長さ）からほぼ３６０度まで変化させることができる。

個別のばね４４が、セグメントの円弧形長さに沿って間隔を置いた複数の深い半径方向スライスすなわちスロット４６を設けることにより、ばねセグメント３８内に効果的に形成される。換言すれば、半径方向スロット４６は、単一のばねセグメント３８内に多数の個別のばね４４を作り出す。図２から明らかなように、半径方向スロット４６は、セグメント３８の周りで１８０度以上延び、スロットの正確な深さは、所望のばね特性を得るために変化させることができる。

セグメント３８内の各ばね４４の円弧形長さは、ロータ２４上に取付けられた各バケットがそれ自身のばねを有するような長さである。従って、１つのセグメントが、例えば６つの隣接するバケットを支持するとした場合、セグメントの長さ及び個別のばねの長さは、それに応じてバケット毎に１つのばね４４を備えるように選択さることになる。より短いセグメントは、セグメント３６及びバケット１０の両方の取付けを容易にし、一方、より長いセグメント３６は、必要な部品数を一層減少させる。セグメント長さがどのように選ばれたとしても、上述のようなばねセグメント構成は、各バケット下方に局所化された圧縮力を与え、隣接するバケットへの半径方向のばね付勢力には何らの影響も及ぼさない。

取付け技法は次の通りである。１つ又はそれ以上の付勢ばねセグメント３８が、ロータ２４のばね溝３６内に配置される。間隙４２は、図１に示すようにばねセグメントがバケットの半径方向の内面４０に係合する位置から９０度の位置に配置されるのが好ましいことに注目されたい。バケット１０は、最初にロータのほぼ円周方向位置に該バケットを配置することにより取付けられる。次に、バケット１０は、バケット雄ダブテール１６がロータ溝の最小幅、すなわち幅狭溝部分３２内に嵌合するように回転される。バケットは、次にロータ中心線に向かって半径方向に押されて、雄ダブテールフック２０がロータフック３３の半径方向内側寄りに位置するまで付勢ばね４４を圧縮する。その後、バケット１０は、作動のための図１に示すような正しい向きに回転させて戻され、円周方向にその最終位置に移動される。

本発明を、現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものについて説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるべきではなく、また特許請求の範囲に示す参照符号は、本発明の技術的範囲を制限するのではなくそれらを容易に理解することを意図したものであることを理解されたい。

バケットとロータとの間に半径方向に配置された、本発明の例示的な実施形態による半径方向ばねセグメントを用いて、ロータ上に取付けられたタービンバケットを示す部分断面図。 本発明による半径方向ばねセグメントの側面図。 図２の線３−３に沿った断面図。

符号の説明

１０ タービンバケット
１２ 翼形部分
１４ 根元部分
１６ 雄ダブテール
１８ 半径方向外側フック
２０ 半径方向内側フック
２２ ネック
２４ ロータ
２６ 雌ダブテールスロット
２８ 半径方向外側の幅広溝部分
３０ 半径方向内側の幅広溝部分
３２ 中間の幅狭溝部分
３４ 雌ダブテールスロットの底面
３６ ばね保持溝
３８ 付勢ばねセグメント
４０ バケットダブテールの半径方向内面

Claims (10)

1. タービンロータ溝（２６）内でタービンバケット（１０）を半径方向に付勢するための付勢ばねセグメント（３８）であって、その対向する端縁間に間隙（４２）を備えかつ該ばねセグメントの円弧形の長さ方向に円弧形のセグメントを形成するほぼ円形の金属薄板と、前記円弧形の長さ方向に沿って間隔を置いて配置され、それによって前記円弧形のセグメント内に複数の個別のばね（４４）を形成している、前記薄板内の複数の半径方向スロット（４６）とを含むことを特徴とする付勢ばねセグメント（３８）。
2. 前記薄板は、ステンレス鋼を含むことを特徴とする、請求項１に記載の付勢ばねセグメント。
3. 前記円弧形のセグメント（３８）は、複数のバケットに沿って前記円弧形の長さ方向に延びていることを特徴とする、請求項１に記載の付勢ばねセグメント。
4. 前記複数の半径方向スロット（４６）は各々、前記薄板の周りで１８０度以上延びていることを特徴とする、請求項１に記載の付勢ばねセグメント。
5. タービンロータ及びバケット組立体であって、その周辺の周りにバケット保持溝（２６）が形成されたロータ（２４）と、各々が前記バケット保持溝内に受けられた、半径方向内面（４０）を含む取付け部分を有する複数のバケット（１０）と、前記バケット保持溝の底面部分（３４）に設置された環状のばね溝（３６）と、前記バケット保持溝（２６）の底面部分（３４）と前記複数のバケットの少なくとも１つの半径方向内面部分（４０）との間に半径方向に挿置された状態で、前記環状のばね溝内に装着された少なくとも１つの半径方向付勢ばねセグメント（３８）とを含み、前記半径方向付勢ばね要素（３８）は、ほぼ円形断面の金属薄板を含み、該金属薄板は、その対向する端縁間の間隙（４２）と、該円形の薄板内の少なくとも１つの半径方向スロット（４６）とを備え、それによって前記ばねセグメント内に少なくとも２つの別個のばね（４４）を形成していることを特徴とする組立体。
6. 前記薄板は、ステンレス鋼を含むことを特徴とする、請求項５に記載の組立体。
7. 前記円弧形のセグメント（３８）は、複数のバケットに沿って前記円弧形の長さ方向に延びていることを特徴とする、請求項５に記載の組立体。
8. 雄ダブテール（１６）が形成されたタービンバケット（１０）を、環状のばね保持溝（３６）が形成された底面部分（３４）を有する周辺雌ダブテール溝（２６）が形成されたロータ（２４）に組み付ける方法であって、
   ａ）所定の円弧形長さの半径方向付勢ばねセグメント（３８）を、前記ばね保持溝内に配置する段階と、
   ｂ）前記雄ダブテール（１６）が前記雌ダブテール（２６）内に入るのを可能にするように前記バケットを回転させる段階と、
   ｃ）前記バケット（１０）に半径方向力を加え、それによって前記半径方向付勢ばねセグメント（３８）を圧縮する段階と、
   ｄ）前記雄ダブテール（１６）が前記雌ダブテール（２６）内に完全に装着されるような所望の向きに前記タービンバケット（１０）を回転させる段階と、
   を含むことを特徴とする方法。
9. 前記半径方向付勢ばねセグメント（３８）は、その対向する端縁間に間隙（４２）を備えかつ該ばねセグメントの円弧形の長さ方向に円弧形のセグメントを形成するほぼ円形の金属薄板と、前記円弧形の長さ方向に沿って間隔を置いて配置され、それによって前記円弧形のセグメント内に複数の個別のばね（４４）を形成している、前記薄板内の複数の半径方向スロット（４６）とを含むことを特徴とする、請求項８に記載の方法。
10. 前記薄板は、ステンレス鋼を含むことを特徴とする、請求項８に記載の方法。

Images