JP4042826B2 - Dna変異の検出法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば遺伝子多型を用いるヘテロ接合性の消失(ロス オブ ヘテロツァイゴシティ:LOH)の検出を、定量的で簡便かつ高感度に実施し、癌などの疾病の診断に応用することができる検出法に関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子操作法の進歩はめざましく、遺伝子を利用した疾病の診断法へも広がりつつある。例えば、機能蛋白(酵素や構造蛋白)の遺伝的な欠損や機能異常が原因とされる遺伝病の診断、癌化に伴う正常細胞から癌細胞への遺伝子変異を検出する癌の診断、感染菌やウイルスなどの遺伝子の検出や同定を利用する感染症の診断、組織の細胞中mRNAの検出から遺伝子の転写レベルの定量(蛋白発現レベルの予測)など広範にわたり、一部は、既に臨床に供されているものもある。
【0003】
癌の遺伝子診断とは、狭義には、癌遺伝子あるいは癌抑制遺伝子の発現や変異などの異常を遺伝子(DNAまたはmRNA)から特定するものであるが、広義には、ある種の癌に特異的に発現する蛋白を同定したり発現量を検索することも含んでいる。この癌化にかかわる遺伝子として多くの癌遺伝子や癌抑制遺伝子が報告されており、これらの遺伝子に欠失や突然変異などの何らかの変異が認められることも多い。しかし、これらの遺伝子のうち、診断的価値のある遺伝子、即ち、比較的多くの症例で共通の変異が認められている遺伝子の報告は少ないが、このような遺伝子として、癌遺伝子ではras遺伝子など、癌抑制遺伝子ではp53遺伝子などが知られている。
【0004】
ポリメラーゼチェーンリアクション法(PCR)は、点突然変異、遺伝子増幅、染色体欠失などの色々な遺伝子変異の分析に利用されてきた。染色体欠失は、悪性新生物の一般的な特徴であり、polymorphic base substitutions、variable number of tandem repeats (VNTR)、マイクロサテライト型多型などの種々の遺伝子多型マーカーを用いることにより、ヘテロ接合性の消失(LOH)として検出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
マイクロサテライト型多型を指標とするヘテロ接合体の検出には、PCRが利用され、広く遺伝子の連鎖分析に用いられてきた。しかし、固形癌を対象とする場合、この方法を用いるLOHの検出には、幾つかの問題点があった。(1) 一般に、癌組織中に含まれる癌細胞数は少なく、また、癌細胞によって引き起こされる間質系細胞の増殖や白血球の浸潤によって、欠失の判定が困難になる場合があった。(2) 常に、正常細胞との比較が必要であった。(3) フォルマリン固定パラフィン包埋切片のような保存材料では、DNAが断片化してPCRが難しく、LOHの検出は困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記したような問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、末端平滑化したDNA断片を例えば一本鎖DNA高次構造多型解析法(SSCP法)で分析すると、LOHが簡便かつ定量的に検出できることを見出し、本発明に至ったものである。即ち本発明は、癌の診断などに有用なLOHの簡便で高感度な検出法を提供するものである。
【0007】
本発明の第1の要旨は、試料中のDNA断片を検出する際に、あらかじめ該DNA断片の末端平滑化処理を行うことを特徴とするDNA断片中の変異の検出法である。
【0008】
本発明の第2の要旨は、試料中のDNA断片が、ポリメラーゼチェーンリアクション法(PCR)の産物である第1の要旨のDNA断片中の変異の検出法である。
【0009】
本発明の第3の要旨は、変異の検出法が一本鎖DNA高次構造多型解析法(SSCP法)である第1又は2の要旨のDNA断片中の変異の検出法である。
【0010】
本発明の第4の要旨は、遺伝子から遺伝子多型の存在する遺伝子領域のDNAを複製し、複製したDNA断片の3’末端側に平滑化処理を行い、得られたDNA断片を一本鎖DNA高次構造多型解析法(SSCP法)で分析することを特徴とするヘテロ接合性の消失(LOH)を検出する方法である。
【0011】
本発明の第5の要旨は、DNA断片として複製しようとする1遺伝子領域中における遺伝子多型は1箇所の塩基置換による多型である第4の要旨のLOHの検出方法である。
【0012】
本発明の第6の要旨は、遺伝子多型が、p53癌抑制遺伝子のイントロン1領域における制限酵素HaeIII 感受性の有無である第4又は5の要旨のLOHの検出方法である。
【0013】
本発明の第7の要旨は、複製するDNA断片が、オリゴヌクレオチドプライマー、5’TCTTAGCTCGCGGTTGTTTC3’(前向き)と5’ACTGGCGCTGTGTGTAAATG3’(逆向き)を用いるPCRで増幅される領域である第4又は5の要旨のLOHの検出方法である。
【0014】
本発明の第8の要旨は、遺伝子多型が、p53癌抑制遺伝子のエクソン4領域における制限酵素BstUI感受性の有無である第4又は5の要旨のLOHの検出方法である。
【0015】
本発明の第9の要旨は、複製するDNA断片が、オリゴヌクレオチドプライマー、5’AGCTCCCAGAATGCCAGAG3’(前向き)と5’CTGGGAAGGGACAGAAGATG3’(逆向き)を用いるPCRで増幅される領域である第4又は5の要旨のLOHの検出方法である。
【0016】
本発明の第10の要旨は、遺伝子多型が、p53癌抑制遺伝子のイントロン7領域における制限酵素ApaI感受性の有無である第4又は5の要旨のLOHの検出方法である。
【0017】
本発明の第11の要旨は、複製するDNA断片が、オリゴヌクレオチドプライマー、5’AGGTCAGGAGCCACTTGCC3’(前向き)と5’GTGATGAGAGGTGGATGGGT3’(逆向き)を用いるPCRで増幅される領域である第4又は5の要旨のLOHの検出方法である。
【0018】
本発明の第12の要旨は、p53癌抑制遺伝子内の複数個の遺伝子多型のそれぞれを、第4又は5の要旨のLOHの検出法で検出し、その結果を組み合わせることによる癌の検査方法である。
【0019】
本発明の第13の要旨は、第7,9,11の要旨のLOHの検出方法により得られる検出結果を2以上組み合わせることによる第12の要旨の癌の検査方法である。
【0020】
本発明の第14の要旨は、2組以上のプライマーを同時に用いる第4又は5の要旨のLOHの検出方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明における試料中のDNA断片とは、組織、血液、細胞、体液、精子、感染菌、ウイルスなどから抽出したDNAを制限酵素などで適当なサイズに切断したDNA断片、または、組織、血液、細胞、体液などから抽出したDNAを鋳型として適当なDNA領域のみをPCRなどで増幅したDNA断片を意味する。
【0022】
本発明の末端平滑化処理とは、2本鎖DNA断片の末端1本鎖部分を平滑にすることであり、KlenowフラグメントやT4 DNAポリメラーゼのような3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、1本鎖部分を修復する酵素で処理するか、平滑に切断する制限酵素で処理して1本鎖部分を含む末端部を取り除けばよい。3′→5′エクソヌクレアーゼ活性有する耐熱性ポリメラーゼを用いてPCR法を施行する等の方法を用いることが可能である。分析しようとする2本鎖DNA断片のセンス鎖とアンチセンス鎖の長さが異なったり不揃いの場合、熱変成して1本鎖にして分析すると、DNA断片に由来するピークは分裂し、多重となる。これに対し、2本鎖DNA断片を平滑化して分析すると単一ピークに収束し、遺伝子変異を起こしたDNA断片との識別が、極めて容易となる。
【0023】
本発明のDNA断片中の変異とは、点突然変異あるいは遺伝子多型等の塩基の置換、塩基の欠損や挿入とそれに伴うフレームシフト、数塩基の欠損や挿入、遺伝子全体の脱落などが含まれる。
【0024】
本発明のDNA断片中の変異の検出法としては、SSCP(single-stranded conformation polymorphism) 法、HET(hetero duplex analysis)法、DGGE (denaturing gradient gel electrophoresis)法、DS(direct sequence) 法、CCM(chemical cleavage mismatch)法、CDI(carbodiimide modification) 法などがあげられる(バイオマニュアルシリーズ1,遺伝子工学の基礎技術,山本 雅編,羊土社(1993))。
【0025】
本発明における遺伝子とは、被験者の組織、血液、細胞、体液、感染菌、ウイルスなどから抽出したDNAである。特に、癌患者の診断の場合は、癌組織、癌細胞あるいは尿、膵液、十二指腸液等の体液から抽出したゲノムDNAが対象になる。
【0026】
本発明の遺伝子多型とは、ヒト染色体の遺伝的多型であり、遺伝子上の塩基配列の個体差に由来する。平均して数百塩基に1箇所程度そのような遺伝子多型が存在すると言われており、遺伝子多型を解析することにより、父方由来の染色体(アレル)と母方由来の染色体(アレル)を区別することができる。従って、遺伝子多型を利用し、ヘテロ接合体における一方のアレルの消失(LOH)を測定すれば、遺伝子の欠失を検出することができる。しかし、一塩基の置換による遺伝子多型は、ヘテロ接合体である頻度が最大でも50%であり、1つの遺伝子の欠失を調べるためには、ヘテロ接合体の出現頻度の高い、複数の遺伝子多型を組み合わせるのが望ましい。また、遺伝子多型には民族間差が存在するので、欠失を診断したい遺伝子のなかから、その民族で出現頻度の高い遺伝子多型を選択する必要がある。
【0027】
本発明の複製すべき遺伝子の領域とは、1つの遺伝子多型を含む範囲であれば特に制限はないが、PCRで増幅し易くSSCPに適した長さと範囲を選ぶ必要がある。長さは通常 100〜200bp で、範囲はPCRに適したオリゴヌクレオチドプライマーの設計から決めればよい。
【0028】
DNA断片の検出のために、DNA断片のラベル化をすることもできる。DNA断片のラベル化としては、プライマーとして予めラベル化したプライマーを使用する方法、又は、PCRを実施する際にラベル化した塩基成分(例えば燐の放射性ラベル)を用いる方法、又は、PCRを実施した後にラベル化する方法がある。
【0029】
ラベル化処理方法としては、SSCP後に検出し易いものであれば特に制限はなく、放射性物質、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン(酵素標識アビジンで検出)などで例えば、DNAの5’末端側を標識化すればよい。特に好ましくは、PCR用のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端をあらかじめA.L.F.red(Cy5TM)amidite試薬(ファルマシア社)で蛍光ラベル化したものを用いればよい。これをSSCP法に応用したのが蛍光SSCP法である。
【0030】
本発明によれば、LOHの判定を簡便かつ高感度で行なうことができ、例えば大腸癌、膵癌、膀胱癌などの各種癌等の診断に利用することができる。又、同一遺伝子座位に存在する2個以上の好ましくはお互いに重複しない複数個の遺伝子多型についてそれぞれLOHを検出し、その検出結果を組み合わせることにより、即ち、それら検出結果のいずれかひとつがヘテロ接合でありかつLOH陽性であれば仮に他がホモ接合であっても「陽性」と判定することにより、遺伝子欠失の判定可能な症例をより増加させることができ、癌等の疾病の診断効率の向上に一層寄与することができる。
【0031】
【実施例】
実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例のみによって限定されるものではない。
【0032】
実験例
p53癌抑制遺伝子のイントロン1における制限酵素HaeIII 遺伝子多型の検出(オリゴヌクレオチドプライマー、5’TCTTAGCTCGCGGTTGTTTC3’(前向き)と5’ACTGGCGCTGTGTGTAAATG3’(逆向き)を用いるPCRで増幅される124bpのDNA断片のSSCP)
1.オリゴヌクレオチドプライマーの調製
PCR用のオリゴヌクレオチドプライマー、5’TCTTAGCTCGCGGTTGTTTC3’(前向き)と、5’末端をA.L.F.redTM(Cy5TM)amidite試薬(ファルマシア社)で蛍光ラベルした5’ACTGGCGCTGTGTGTAAATG3’(逆向き)は、Oligo 1000 DNAsynthesizerTM(ベックマン社)を用いて合成した。
【0033】
2.ゲノムDNAの抽出
手術で入手した新鮮な大腸癌および膵癌患者検体から癌組織と正常組織を入手した。また、正常者の組織として末梢血の白血球を用いた。これらの組織からのDNAの抽出は、プロテナーゼKで消化後、フェノール・クロロフォルムで抽出するデイビスら(Basic Method in Moleular Biology, Elsevir Science Publishing 社出版)や菅野ら(Lab. Invest. 68 361 (1993) )の方法で行った。
【0034】
3.PCR
組織より抽出したゲノムDNA(鋳型) 0.5μg 、各オリゴヌクレオチドプライマーを12.5pmoleずつ、各ヌクレオチド3リン酸(dNTP)を10nmoleずつ、TaqDNAポリメラーゼ(東洋紡(株))1.25units を、KCl50mM、MgCl2 1.0 mM、トリトンX−100 0.1%を含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH 9.0)50μl に加え、その上にミネラルオイル(シグマ社)50μl を重層した。この溶液について、次の条件下でPCRを行った。最初の変成条件のみは94℃で5分間、その後の反応は、94℃で1分間、50℃で1分間、72℃で1分間のサイクルを40回繰り返し、最後は72℃で7分間の反応を行った。
【0035】
また、DNAポリメラーゼの違いによるPCR産物の3’末端側の状態(ゲノムDNA非依存性の伸長部分)を比較するため、TaqDNAポリメラーゼ(東洋紡(株))をTaqDNAポリメラーゼ(パーキンエルマー・シータス社)又はPfuDNAポリメラーゼ(ストラタジン社)に変え、同様に反応させた。反応の緩衝液は、TaqDNAポリメラーゼ(パーキンエルマー・シータス社)についてはKCl50mM、MgCl2 1.5mM、ゼラチン 0.001%を含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.3)を、PfuDNAポリメラーゼ(ストラタジン社)についてはKCl10mM、(NH4 2 SO4 6mM、MgCl2 2mM、トリトンX−100 0.1%、ヌクレアーゼの混入がないBSA10μg/mlを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.2)を用いた。
【0036】
PCR産物の収率は、8%アクリルアミドゲルで電気泳動後、エチジウムブロマイドで染色して求めた。
【0037】
4.PCR産物の3’末端の平滑化
0.5 units の Klenow fragment(宝酒造(株))を、TaqDNAポリメラーゼ(東洋紡(株)又はパーキンエルマー・シータス社)で調製したPCR反応液5μl に添加し、37℃で30分間反応した。
【0038】
5.蛍光SSCP分析
分析は、A.L.F.redTMDNA sequencer(ファルマシア社)を用い、トリス・グリシン緩衝液(トリス25mM、グリシン 192mM)を含む15%アクリルアミド(ビスアクリルアミド/アクリルアミド=1/30)ゲル(高さ 200mm×幅 345mm×厚さ 0.5mm)を用いた。PCR反応液、もしくは、3’平滑化処理したPCR反応液の1μl を、SSCP用のローディング液10μl に加えて80℃で5分間加熱変成後、このうちの1μl をゲルにチャージし泳動した。
ローディング液の組成は、EDTA20mM、ブロムフェノールブルー0.05%を含む脱イオン処理した90%ホルムアミド溶液である。電気泳動の緩衝液は、トリス25mM、グリシン 192mMを含む溶液である。電気泳動は、24℃で20W×10時間行った。測定データの解析は、解析用のソフトFragment ManagerTM(ファルマシア社)を用いた。
【0039】
下記の比較例は、実験例の各操作に従って行った。
【0040】
比較例1
大腸癌患者検体と正常者白血球から抽出したゲノムDNAを、TaqDNAポリメラーゼ(パーキンエルマー・シータス社)を用いてPCRで増幅後、蛍光SSCP分析を行った結果を図1Aに示した。図中のラインは、それぞれ、1:HaeIII 感受性ホモ接合体の健常者、2:HaeIII 耐性ホモ接合体の健常者、3:ヘテロ接合体の大腸癌患者の正常組織部、4:同一大腸癌患者の癌組織部(LOH+)を示した。
【0041】
比較例2
DNAポリメラーゼとしてTaqDNAポリメラーゼ(東洋紡(株))を用い、比較例1と同様にして行った。結果を図1Bに示した。
【0042】
比較例3
DNAポリメラーゼとしてPfuDNAポリメラーゼ(ストラタジン社)を用い、比較例1と同様にして行った。結果を図1Dに示した。
【0043】
図1A,B,Dのいずれにおいても、ピークが2つに分裂したり、多数のピークが出現し、遺伝子欠損の判定が煩雑であった。
【0044】
実施例1(PCR産物の3’末端平滑化の効果)
実験例の操作法に従い、比較例2のPCR反応物に Klenow fragment(宝酒造(株))を加えて3’末端を平滑化後、蛍光SSCP分析を行った。その結果を図1Cに示した。PCR産物の3’末端を平滑化処理することにより、図1A,Bの様なピークの分裂が収束しLOHの判定が、極めて容易になった。概念図で示すと図15の様になる。即ち、末端平滑化処理により、ピークの分裂が収束する。また、DNAポリメラーゼを変えた比較例1のPCR反応物についても Klenow fragment(宝酒造(株))を加えて3’末端を平滑化後、蛍光SSCP分析を行い、図1Cと同様な結果を得た。
【0045】
実施例2(LOHの検出感度)
LOH+の癌細胞の検出感度を調べるため、ヘテロ接合体の健常者の白血球ゲノムDNA(LOH−の正常細胞に相当)に、LOH+のDNAモデルとして、HaeIII 感受性ホモ接合体の健常者の白血球ゲノムDNA(モデルとしてホモ接合体のLOH−細胞を用いているので、片方のアレルが欠損した癌細胞としては1/2量のDNAでよい)を20:0(癌細胞の含量は0%に相当)、18:1(10%)、16:2(20%)、14:3(30%)、12:4(40%)、10:5(50%)、8:6(60%)、6:7(70%)、4:8(80%)、2:9(90%)、0:10(100 %)の比率で混合し、実験例に従ってPCR反応、PCR産物の3’末端の平滑化、蛍光SSCP分析を行った。測定データは、解析用のソフトFragment ManagerTM(ファルマシア社)を用いて解析し、その結果を図2に示した。図2では、HaeIII 耐性アレル(A1)とHaeIII 感受性アレル(A2)をそれぞれ 100bpと 200bpに設定し、A2の高さを合わせて重ね書きした。また、癌細胞の割合とA1/A2の比をプロットしたところプロットは、良好な直線に乗った(図3)。このことから、PCR産物の3’末端側を平滑化処理してA1/A2比を求めることにより、アレル欠損の量、即ち、正常細胞の中に含まれる癌細胞数を正確に測定できることが分かる。
【0046】
実施例3(膵癌組織におけるp53遺伝子のLOH検出例)
14名の癌患者正常組織のp53遺伝子HaeIII 耐性アレル(A1)とHaeIII 感受性アレル(A2)を分析したところ、7名(50%)がヘテロ接合体で、LOHを測定する対象として適していた。そこで、これら7名の癌患者の正常組織と癌組織のゲノムDNAを、実施例1の蛍光SSCP法で分析した(表1)。対象者7名の正常組織のA1/A2比は、0.96±0.01(平均±SD)であった。平均±2SDの範囲0.94〜0.98を正常値(LOH−)とすれば、それを越える5/7(71.4%)が陽性(LOH+)であった。また、LOH+とK-ras遺伝子の突然変異との一致は、5/6(83.3%)であった。LOH+症例のA1/A2比の範囲は0.52〜1.48で、{A1/A2(正常組織) −A1/A2(癌組織) }/{A1/A2(正常組織)}の計算式から推定した癌組織中に含まれる癌細胞の割合は19〜37%であった。このように、本発明の方法を用いるLOHの検出法は、癌の診断に有用であることが分かる。ここで、A1は欠失する方のアレルを示し、A2は保存される方のアレルを示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004042826
【0048】
実施例4(膀胱癌患者のp53遺伝子のLOHの検出例)
1.ゲノムDNAの抽出
膀胱癌患者尿28例及び健常者尿12例を入手した。
【0049】
50mL用量のディスポの遠心管に集めた尿サンプルを、1000rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てて尿沈渣を集めた。この沈渣を40mLの生理食塩水に再分散し、再度1000rpmで5分間遠心分離して洗浄した。DNAを抽出するまでは、この沈渣の状態で、−80℃に凍結して保存した。実験例と同様に、洗浄沈渣をプロテナーゼKで酵素消化後、フェノール・クロロフォルム法でDNAを抽出した。
【0050】
膀胱癌患者19名の正常及び癌組織のDNAは、外科手術時に得られた対応組織のフォルマリン固定パラフィン包埋サンプルから、Leviらの方法(Cancer Res.,68,361(1993))に従って抽出した。
【0051】
2.プライマーの合成
オリゴヌクレオチドプライマーは、Oligo 1000 DNA synthesizerTM(ベックマン社)を用いて合成した。p53遺伝子のイントロン1、エクソン4、イントロン7部位の遺伝子多型を解析するためにデザインしたそれぞれのプライマーの組み合わせを、表2に示した。
【0052】
【表2】
Figure 0004042826
【0053】
前向き、または、後ろ向きプライマーのいずれか一方の5’末端は、A.L.F.red(Cy5TM)amidite試薬(ファルマシア社)を用いて、ヨウ化ジカルボシアニンで蛍光ラベル化した。
【0054】
3.PCR
p53遺伝子のイントロン1とエクソン4部位のPCRの条件は、次の通りであった。抽出したゲノムDNA(鋳型)を 0.1〜0.5 μg 、各オリゴヌクレオチドプライマーを12.5pmoleずつ、各ヌクレオチド3リン酸(dNTP)を10nmoleずつ、TaqDNAポリメラーゼ(東洋紡(株))1.25units を、KCl50mM、MgCl2 1.0mM、トライトンX−100 0.1%を含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH 9.0)50μl に加え、その上にミネラルオイル(シグマ社)50μl を重層した。一方、イントロン7部位については、抽出したゲノムDNA(鋳型)を 0.1〜0.5 μg 、各オリゴヌクレオチドプライマーを12.5pmoleずつ、dNTPを10nmoleずつ、TaqDNAポリメラーゼ(パーキンエルマー・シータス社)1.25units を、KCl50mM、MgCl2 1.5mM、ゼラチン 0.001%(W/V) を含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.3)50μl に加え、その上にミネラルオイル50μl を重層した。これらの溶液について、次の条件下でPCRを行った。イントロン1については、最初の変成条件のみは94℃で5分間、その後の反応は、変成条件94℃で1分間、アニーリング50℃で1分間、伸長反応72℃で1分間のサイクルを40回繰り返し、最後は72℃で7分間の伸長反応を行った。イントロン7については、最初の変成条件のみは94℃で5分間、その後の反応は、94℃で1分間、60℃で30秒間、72℃で1分間のサイクルを40回繰り返し、最後は72℃で7分間反応を行った。エクソン4については、最初の変成条件のみは94℃で5分間、その後の反応は、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間のサイクルを40回繰り返し、最後は72℃で7分間反応を行った。
【0055】
PCR産物の収率は、8%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動後、エチジウムブロマイドで染色して求めた。
【0056】
4.PCR産物の3’末端の平滑化
0.5units/μl のKlenow fragment (宝酒造(株))を、TaqDNAポリメラーゼ(東洋紡(株)又はパーキンエルマー・シータス社)で調製したPCR反応液5μl に添加し、37℃で30分間反応した。
【0057】
5.蛍光SSCP分析
分析は、A.L.F.redTMDNA sequencer(ファルマシア社)に、トリス・グリシン緩衝液(トリス25mM、グリシン 192mM)を含む15%ポリアクリルアミド(ビスアクリルアミド/アクリルアミド=1/30)ゲル(高さ 200mm×幅 345mm×厚さ 0.5mm)をセットして行った。3’末端平滑化処理したPCR反応液の1μl を、SSCP用のローディング液10μl に加えて80℃で5分間加熱変成後、このうちの1μl をゲルにチャージし泳動した。ローディング液の組成は、EDTA20mM、ブロムフェノールブルー0.05%を含む脱イオン化した90%ホルムアミド溶液である。電気泳動の緩衝液は、トリス25mM、グリシン 192mMを含む溶液である。電気泳動は、イントロン1とイントロン7については24℃、エクソン4では20℃のそれぞれの温度で、20W×10時間行った。測定データの解析は、解析用のソフトFragment ManagerTM(ファルマシア社)を用いた。
【0058】
ヘテロ接合体である患者の正常組織及び癌組織のアレルのシグナル比から、癌組織中に含まれる癌細胞の割合を推定する計算は、実施例3と同様にして行った。また、癌細胞の割合が10%を越えた場合、LOH+とした。
【0059】
6.分析例
p53遺伝子のイントロン1、エクソン4、イントロン7の3つともヘテロ接合体であった典型的な尿サンプルでの分析例を、図4〜7に示した。図4,5,6はそれぞれLOH+患者A25,A6,A1の例、図7は健常者B1の例である。矢印は、欠失の有るアレルのシグナルを示す。
【0060】
また、同一患者A6の尿と組織を分析し、その結果を比較した例を、図8〜10に示した。図8は尿、図9は癌組織、図10は対応組織の正常部位の分析結果を、それぞれ示している。図8のかっこ内は、アレルのシグナルの高さから計算した癌組織中に含まれている癌細胞の予想割合を示している。図8〜9のように、癌患者の尿の分析パターンと癌組織のパターンは、良く一致していた。
【0061】
7.分析結果のまとめ
40尿検体を分析して、p53遺伝子のイントロン1、エクソン4、イントロン7に存在する3つの遺伝子多型のうち、1つ以上がヘテロ接合体であった23尿検体(58%)が分析対象として有効であった。このうち、膀胱癌患者は16検体、健常者は7検体であった。健常者7検体の各遺伝子多型内のアレルのシグナルの比バラツキは、±2SDで5%未満と、極めて安定していた。癌患者16検体の測定結果を表3にまとめた。いずれかの遺伝子多型のLOHが陽性であるものは8検体(50%)であった。p53遺伝子の3ヶ所の遺伝子多型の中から選んだ、単一の遺伝子多型だけで判断した場合、LOH+は6〜7検体と、いずれの場合も、3つの組み合わせより劣っていた。従って、できるだけ重複の少ない遺伝子多型を選択し、それらを組み合わせることにより、LOHの検出効率を、さらに向上できることが示された。
【0062】
一方、癌組織レベルでは、測定できた9検体のうち、8検体(89%)がLOH+であった。また、尿検体とLOHの一致率は、6検体/8検体(75%)と高率であった。このことから、膀胱癌においては、尿検体を用いても、十分にLOHの検出が可能であることが分かった。
【0063】
【表3】
Figure 0004042826
【0064】
表3の結果を、さらに、ステージ、グレード別に分類し、表4にまとめた。Tis、Ta の初期ステージにおいては、LOHの陽性例はなく、ステージの進行とともに陽性化していくことが分かる。p53以外の遺伝子マーカーや細胞診の結果と組み合わせることにより、より詳細な癌の把握が可能になる。
【0065】
【表4】
Figure 0004042826
【0066】
実施例5(複数個のPCR反応を同時に行って複数個の遺伝子多型を同時に分析する方法)
大腸癌患者の検体を用い、実施例4のゲノムDNAの抽出とPCRを次のように変更してp53遺伝子のLOHを検出した。
【0067】
1.ゲノムDNAの抽出
大腸癌患者検体から癌組織と正常組織を入手し、実験例と同様にしてゲノムDNAを抽出した。
【0068】
2.PCR
抽出したゲノムDNA(鋳型)を 0.1〜0.5 μg / 2.5μl、表2のイントロン1の各オリゴヌクレオチドプライマー 5pmoleずつを含む溶液1.25μl、表2のエクソン4の各オリゴヌクレオチドプライマー 5pmoleずつを含む溶液1.25μl、表2のイントロン7の各オリゴヌクレオチドプライマー1.25pmoleずつを含む溶液0.3125μl、各ヌクレオチド3リン酸(dNTP) 5nmoleずつを含む溶液4μl、KCl 500mM、MgCl2 10mM、トライトンX−100 1%を含む 100mMトリス塩酸緩衝液(pH 9.0) 2.5μl 、TaqDNAポリメラーゼ(東洋紡(株)) O.625units /0.125 μl、蒸留水 13.0625μlを混合した。
この反応液25μl上にミネラルオイル(シグマ社)50μl を重層し、PCR反応を行った。最初の変成条件のみは94℃で5分間、その後の反応は、変成条件94℃で1分間、アニーリング55℃で1分間、伸長反応72℃で1分間のサイクルを40回繰り返し、最後は72℃で7分間の伸長反応を行った。PCR産物の収率は、8%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動後、エチジウムブロマイドで染色して求めた。
【0069】
図11に分析結果を示した。図から明らかなように、一回のPCRだけで、大腸癌患者のエクソン4、イントロン7、イントロン1の各部位における3つの遺伝子多型が同時に分析でき(図11A)、大腸癌患者癌組織のLOH(図11B)が検出できることが分かる。
【0070】
図12から14は、図11のエクソン4、イントロン7、イントロン1部位の遺伝子多型をそれぞれ拡大したものである。それぞれの部位におけるアレルのピーク高さから計算した癌組織中に含まれる癌細胞の推定割合は、それぞれエクソン4が61.2%、イントロン7が52.3%、イントロン1が58.4%と、ほぼ同様の結果が得られた。このことから、PCRの条件を工夫することにより、複数個のPCR反応を同時に行って複数個の遺伝子多型を同時に分析できることが分かる。
【0071】
【発明の効果】
本発明により、LOHの判定が簡便かつ高感度(高い検出率)に行えるようになり、癌の診断に有用であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光SSCP分析法におけるPCR産物の3’末端平滑化の効果を示す。
【図2】本発明によるLOHの検出感度を示す。
【図3】癌細胞含量の検量線を示す。
【図4】末端平滑化SSCP法による癌患者A25の尿サンプルの分析結果を示す。
【図5】末端平滑化SSCP法による癌患者A6の尿サンプルの分析結果を示す。
【図6】末端平滑化SSCP法による癌患者A1の尿サンプルの分析結果を示す。
【図7】末端平滑化SSCP法による健常者B1の尿サンプルの分析結果を示す。
【図8】末端平滑化SSCP法による癌患者A6の尿サンプルの分析結果を示す。
【図9】末端平滑化SSCP法による癌患者A6の癌組織(Tumor)サンプルの分析結果を示す。
【図10】末端平滑化SSCP法による癌患者A6の対応正常部位組織(Normal)サンプルの分析結果を示す。
【図11】大腸癌患者組織から抽出したゲノムDNAを用いて、複数個のPCR反応を同時に行って複数個の遺伝子多型を同時に分析し、LOHを解析した結果を示す。
【図12】図11のエクソン4部位の遺伝子多型の拡大図である。
【図13】図11のレントロン7部位の遺伝子多型の拡大図である。
【図14】図11のイントロン1部位の遺伝子多型の拡大図である。
【図15】末端平滑化SSCP法による遺伝子欠失の高感度検出の概念図である。

Claims (28)

  1. 試料中のDNA断片を検出する際に、ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)法により該DNA断片を増幅した後に、標識された前記DNA断片に対して、平滑末端処理することを特徴とする一本鎖DNA高次構造多型解析(SSCP)法を用いたDNA断片中の変異の検出法
  2. 遺伝子から遺伝子多型の存在する遺伝子領域のDNAを複製し、複製したDNA断片の3’末端側に平滑化処理を行い、得られたDNA断片を一本鎖DNA高次構造多型解析法(SSCP法)で分析することを特徴とするヘテロ接合性の消失(ロス オブ ヘテロツァイゴシティ:LOH)を検出する方法。
  3. DNA断片として複製しようとする1遺伝子領域中における遺伝子多型は1箇所の塩基置換による多型である請求項記載のLOHの検出方法。
  4. 遺伝子多型が、p53癌抑制遺伝子のイントロン1領域における制限酵素HaeIII 感受性の有無である請求項又は記載のLOHの検出方法。
  5. 複製するDNA断片が、オリゴヌクレオチドプライマー、5’TCTTAGCTCGCGGTTGTTTC3’(前向き)と5’ACTGGCGCTGTGTGTAAATG3’(逆向き)を用いるPCRで増幅される領域である請求項又は記載のLOHの検出方法。
  6. 遺伝子多型が、p53癌抑制遺伝子のエクソン4領域における制限酵素BstUI感受性の有無である請求項又は記載のLOHの検出方法。
  7. 複製するDNA断片が、オリゴヌクレオチドプライマー、5’AGCTCCCAGAATGCCAGAG3’(前向き)と5’CTGGGAAGGGACAGAAGATG3’(逆向き)を用いるPCRで増幅される領域である請求項又は記載のLOHの検出方法。
  8. 遺伝子多型が、p53癌抑制遺伝子のイントロン7領域における制限酵素ApaI感受性の有無である請求項又は記載のLOHの検出方法。
  9. 複製するDNA断片が、オリゴヌクレオチドプライマー、5’AGGTCAGGAGCCACTTGCC3’(前向き)と5’GTGATGAGAGGTGGATGGGT3’(逆向き)を用いるPCRで増幅される領域である請求項又は記載のLOHの検出方法。
  10. p53癌抑制遺伝子内の複数個の遺伝子多型のそれぞれを、請求項又は記載のLOHの検出法で検出し、その結果を組み合わせることによる癌の検査方法。
  11. 請求項記載のLOHの検出方法により得られる検出結果を2以上組み合わせることによる請求項10記載の癌の検査方法。
  12. 2組以上のプライマーを同時に用いる請求項又は記載のLOHの検出方法。
  13. 一本鎖DNA高次構造多型解析法を用いた遺伝子分析方法であって、遺伝子多型の存在する遺伝子領域を複製した標識DNA断片を末端平滑処理し、DNA断片中の変異を検出し、遺伝子の欠失を調べる方法。
  14. 請求項13記載の遺伝子分析方法であって、DNA断片が、TaqDNAポリメラーゼを用いて複製されている方法。
  15. 請求項13記載の遺伝子分析方法であって、1本鎖部分を修復する酵素、又は1本鎖部分を平滑に切断する制限酵素を用い、DNA断片を末端平滑処理する方法。
  16. 請求項13記載の遺伝子分析方法であって、DNA断片中の変異からヘテロ接合体における一方のアレルの消失を測定し、遺伝子の欠失を調べる方法。
  17. 一本鎖DNA高次構造多型解析法を用いるDNA断片分析方法であって、複製後に末端平滑処理されたDNA断片を電気泳動分析し、DNA断片に由来するピークを表示する方法。
  18. 請求項17記載のDNA断片分析方法であって、DNA断片が、TaqDNAポリメラーゼを用いて複製されている方法。
  19. 請求項17記載のDNA断片分析方法であって、1本鎖部分を修復する酵素、又は1本鎖部分を平滑に切断する制限酵素を用い、DNA断片を末端平滑処理する方法。
  20. 請求項17記載のDNA断片分析方法であって、DNA断片に由来するピークを表示する単一ピークを表示する方法。
  21. 以下の試薬を含む、一本鎖DNA高次構造多型解析法を用いた遺伝子欠失判定用試薬セット:
    遺伝子多型の存在する遺伝子領域を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを含む核酸増幅用試薬;
    2本鎖DNA断片の末端一本鎖部分を平滑にする酵素を含む末端平滑化処理用試薬。
  22. 請求項21記載の遺伝子欠失判定用試薬セットであって、前記2本鎖DNA断片の末端一本鎖部分を平滑にする酵素が、1本鎖部分を修復する酵素、又は/及び1本鎖部分を平滑に切断する制限酵素である試薬セット。
  23. 請求項21記載の遺伝子欠失判定用試薬セットであって、前記遺伝子多型が、p53癌抑制遺伝子のイントロン1領域における制限酵素HaeIII感受性の有無である試薬セット。
  24. 請求項21記載の遺伝子欠失判定用試薬セットであって、前記核酸増幅用試薬が、5’TCTTAGCTCGCGGTTGTTTC3’の塩基配列を含む第1のオリゴヌクレオチドプライマーと、5’ACTGGCGCTGTGTGTAAATG3’の塩基配列を含む第2のオリゴヌクレオチドプライマーを含む試薬セット。
  25. 請求項21記載の遺伝子欠失判定用試薬セットであって、前記遺伝子多型が、p53癌抑制遺伝子のエクソン4領域における制限酵素BstUI感受性の有無である試薬セット。
  26. 請求項21記載の遺伝子欠失判定用試薬セットであって、前記核酸増幅用試薬が、5’AGCTCCCAGAATGCCAGAG3’の塩基配列を含む第1のオリゴヌクレオチドプライマーと、5’CTGGGAAGGGACAGAAGATG3’の塩基配列を含む第2のオリゴヌクレオチドプライマーを含む試薬セット。
  27. 請求項21記載の遺伝子欠失判定用試薬セットであって、前記遺伝子多型が、p53癌抑制遺伝子のイントロン7領域における制限酵素ApaI感受性の有無である試薬セット。
  28. 請求項21記載の遺伝子欠失判定用試薬セットであって、前記核酸増幅用試薬が、5’AGGTCAGGAGCCACTTGCC3’の塩基配列を含む第1のオリゴヌクレオチドプライマーと、5’GTGATGAGAGGTGGATGGGT3’の塩基配列を含む第2のオリゴヌクレオチドプライマーを含む試薬セット。
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