JP4042818B2 - 自溶炉の高温部隙間測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高温部隙間測定方法に関し、特に非鉄金属製錬に用いられる銅製錬炉反応塔に設置されている精鉱バーナーにおいて、反応塔天井部の内側に配置されている送風空気の流路となる、送風空気管の内壁と送風空気管の中心に配置されている精鉱ノズルの外壁との円周方向での間隙を測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
銅製錬炉では、主に硫化物精鉱に溶剤としての珪酸鉱等を加えた微粉の銅原料を補助燃料、酸素富化空気と共に反応塔に設置した精鉱バーナーを通して炉内反応部に吹き込み、気−固相あるいは気−液−固相中で酸化反応させる。この酸化反応の生成物として銅等の有価金属を濃縮したマットと、鉄分が酸素と反応したFeOとSiO2が造かん反応して生成ずるスラグが融体として得られる。これらはセットラでセットリングすることで、比重差で分離し、セットラ内では比重の小さいスラグ層が上に、マット層は下に滞留する。
【0003】
この反応の際、局部的に酸素富化空気が銅原料に対して過剰に供給されるか、あるいは、その逆の不均一な反応状態が生じることがある。前者のケースでは、原料中の鉄の酸化が進行しFeOからFe3O4に過酸化(Fe2+→Fe3+)される。Fe3O4は融点が高い為、スラグ中での濃度が上昇すると、スラグの粘度を増加させる。
【0004】
またFe3O4は比重が大きく、スラグと懸濁しだ場合はスラグ層の下層に滞留する。この層のFe3O4含有率が高くなるとスラグ層と明確に区別できるようになる。この層を、マット層とスラグ層との間に存在することになるので中間層と呼ぶ。前記のように不均一反応の為Fe3O4の生成が増加すると、中間層も増大し、スラグ中に懸垂している有価金属の沈降分離を阻害する。
【0005】
以上より、不均一反応によるFe3O4の生成は、スラグ中への有価金属ロスやマット、スラグタップ孔の閉塞トラブルを惹起させるとともに、溶湯温度、マット中の有価金属品位の変動などの要因となり後工程への操業にも悪影響を与える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
精鉱バーナーは中心の精鉱ノズルとその外側に中心を同じく配置した送風空気管で構成されており、バーナーの形式によっては送風空気管は二重管で構成されている。この外側に配置した送風空気管の中心が精鉱バーナーの中心からずれた場合には、送風空気流路の間隙が円周方向で変化し、円周方向で反応塔内部に吹込まれる空気量も変化する。その場合、中心を流れる精鉱の円周方向の分布が均一であっても、炉内に吹込まれた段階で精鉱と反応空気の比率に分布ができ、局部的に酸素富化空気が銅原料に対して過剰に供給される部位と、あるいは、その逆の部位が生じ、不均一な反応状態を助長することになる。従来は、精鉱バーナーは反応塔天井部に設置されており、その先端は天井部内面に下向きに配置されている点検孔からは容易にみることができなかった。そのため、定期修理などで長期に停止し、炉内を冷却して内部に入って初めて送風空気流路の状態を確認できるだけであり、操業中に反応塔内の反応熱等により、送風空気管が歪んで送風空気流路の間隙が変化していても、これを測定し、最適間隙にすることができなかった。本発明は、高温部隙間測定方法に関し、特に操業炉が炉内点検等のために精鉱の装入を停止する短時間の停止時において、この送風空気流路の間隙を測定する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、操業炉が炉内点検等のために精鉱の装入を停止する短時間の停止時において、自溶炉に設置されている精鉱バーナー周囲に設置されている点検口から、棒状支持部材の先端に、数種類の大きさが異なる球状測定端子を着脱可能に取付けることができ、前記棒状支持部材が、該測定端子の接続部直下で略90度屈曲し、さらに前記屈曲部から数cmのところで30〜50度屈曲してなる隙間測定器具を、自溶炉反応塔の天井部に設けられた送風空気管内壁と、該送風空気管内壁の内側に中心を同じく配置されている精鉱ノズルの外壁との間に形成された送風空気流路の直下まで挿入し、さらに、前記球状測定端子の前記送風空気流路への挿入を試みるとともに、鏡面仕上げしたステンレス鋼板を鏡として使用する観察器具により前記挿入位置を確認し、挿入可能・不可能の境界を確定することにより、円周方向における隙間を測定することを特徴とする自溶炉の高温部隙間測定方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明は、高温部隙間測定方法に関するが、特に本発明に係る操業炉が炉内点検等のために精鉱の装入を停止する短時間の停止時において、この送風空気流路の間隙を測定する方法に関して、図面を参照して詳細に説明する。図2は、銅製錬炉の一例であるオートクンプ式自溶炉の側面図であり、図1は、前記のような自溶炉の精鉱バーナーが設置されている反応塔天井部の内面に配置されている送風空気の流路となる、送風空気管の内壁と送風空気管の内側に中心を同じく配置されている精鉱ノズルの外壁との円周方向での間隙の測定方法の一実施例を示す断面図及び平面図である。自溶炉は頂部中心に精鉱バーナ(5)を設置した反応塔(1)と、セットラ(2)、およびアップテイク(3)の3つの部位で構成される。いずれの炉においても、精鉱バーナーは反応塔天井部に設置され、その精鉱バーナーの先端は反応塔天井部内面に下向きに配置されている。尚、銅製錬炉で使用されている精鉱バーナーの形式、設置本数、点検孔の配置は様々である。しかし、本発明の内容は、反応塔天井部内面に下向きに配置されており、精鉱ノズルと送風空気管が中心を同じくする複数管構造となっている全ての精鉱バーナーの送風空気流路の最適な間隙を測定する場合に対応するものである。
【0009】
以下に、本発明の隙間測定法で使用する器具の構造について説明する。特に銅製錬における製錬炉における精鉱バーナーに関する間隙測定に関して説明する。本発明に係る測定器具は先端に精鉱バーナー(5)の送風空気流路の間隙測定に使用する測定端子、測定端子を支持する支持棒を含んで構成されている。測定端子を支持する支持棒は、測定対象である送風空気流路の間隙が反応塔天井部内面に配置されているため、測定端子で前記間隙を測定できるように支持棒を屈曲させた形状を特徴とするが、例えば、精鉱バーナの間隙を測定する場合、図1に示すように、測定端子部(14)の接続部直下で略90度屈曲部(15)を有し、ついで前記屈曲部から数cmのところで30〜50度好ましくは35〜45度屈曲した屈曲部(16)を有したものである。この形状により精鉱バーナーの隙間を用意に測定できる材質は支持棒を反応塔内部の高温雰囲気内に曝すことから、高温雰囲気に耐え得るものであれば何でもよい。例えば、鉄、ステンレス鋼などが挙げられる。
【0010】
また、測定端子は反応塔天井部の内面に配置されている送風空気流路の間隙を測定するため、高温雰囲気に耐え得る材質であれば何でもよいが、形状は前記の間隙挿入でき得る機構を備えさせる必要があり、例えば23mm〜28mmの直径が1mmずつ異なったものを8つ作るとよい。球形端子による間隙の測定には、設計上の間隙値を基準として適当な幅で大きくした複数の端子と逆に小さくした端子が必要となる。
【0012】
以下に、本発明に係る観察器具の構造について説明する。
本発明に係る観察器具の一態様の構造としては、先端に研磨によって鏡面仕上げを施したステンレス製鏡と前記鏡を固定する固定端子、そして前記鏡を支持する支持棒を含んで構成されている。
ステンレス製鏡を支持する支持棒は、測定対象である送風空気流路の間隙が反応塔天井部の内面に配置されているため、前記鏡で前記間隙を観察できるように支持棒を屈曲させた形状を特徴とするが、材質は支持棒を反応塔内部の高温雰囲気内に曝すことから、高温雰囲気に耐え得るものであれば何でもよい。
【0013】
また、ステンレス製鏡は反応塔内に挿入可能な大きさのステンレス板で、厚みは高温雰囲気に曝されるため容易に変形しない程度の厚み以上を必要とする。
前記ステンレス板は研磨によって鏡面仕上げを施すことで鏡として使用するものであるが、反応塔内に何回か曝すことにより鏡面の高温酸化が進行するため、定期的に鏡面仕上げを施すか、前記鏡の交換を要することから前記ステンレス板は脱着式とする必要がある。但し、前記ステンレス板の固定方法は前記ステンレス板が落下したりずれたりしなければどんな方法でもよい。
【0014】
以下に、本発明に係る測定の実施例を示す。
図2は、銅製錬炉の一例であるオートクンプ式自溶炉の側面図であり、図1は、前記のような自溶炉の精鉱バーナーが設置されている反応塔天井部の内面に配置されている送風空気の流路となる送風空気管の内壁と送風空気管の内側に中心を同じく配置されている精鉱ノズルの外壁との円周方向での間隙の測定方法の一実施例を示す断面図と平面図である。
【0015】
図1に沿って以下説明する。測定端子が例えば球形である複数の決定器具と観察器具とを用いた送風空気流路の間隙の決定の場合、精鉱バーナーの周囲に設置されている点検口(10)から反応塔内部に前記間隙の設計値、例えば精鉱ノズル(6)と内筒間の隙間(7)を27.5mmと設定している場合、より小さい球径、例えば27.0mmを測定端子とした決定器具と観察器具とを入れて前記間隙内に観察器具で挿入位置を確認しながら前記端子の挿入を試みる。
【0016】
その際、前記端子が前記間隙内に挿入された場合、次の段階として適当な変化幅、例えば1.0mmで球径を大きくした先程挿入された前記端子に近い球径をもつ前記端子、例えば28.0mmに変えて再び挿入し、この作業を前記端子が前記間隙に挿入されなくなるまで、例えば29.0mmまで繰り返す。
一方、前記端子が前記間隙内に挿入されなかった場合、次の段階として適当な変化幅、例えば1.0mmで球径を小さくした先程挿入された前記端子に近い球径をもつ前記端子、例えば26.0mmに変えて再び挿入し、この作業を前記端子が前記間隙に挿入されるまで、例えば25mmまで繰り返す。結果として、挿入された前記端子の最も大きい球径と挿入されなかった前記端子の最も小さい球径の間が前記間隙の値となって測定される。
例えば前者の場合、28.0〜29.0mm、後者の場合、25.0〜26.0mmとなる。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係る高温部測定方法において、効率的に隙間の測定が可能であり、適切な隙間を維持する部所において、適切な隙間の測定を行うことが出来る。例えば銅製錬炉反応塔に設置されている精鉱バーナーにおいて、反応塔天井部の内面に配置されている送風空気の流路となる、送風空気管の内壁と送風空気管の内側に中心を同じく配置されている精鉱ノズルの外壁との円周方向での間隙を測定する方法によれば、操業炉が炉内点検等のために精鉱の装入を停止する短時間の停止時においても、精鉱バーナーの送風空気流路の間隙の不均一の有無を確認することができる。
【0019】
本発明によって、精鉱バーナーの送風空気流路の間隙の不均一を確認した場合には、送風空気管または精鉱ノズルのいずれかの位置を任意の方向に可動できる構造とすることによって、その間隙の不均一を是正することが可能であり、これにより送風空気の円周方向での流量分布の均一化を達成することができ、それにより、スラグ層、中間層中のFe3O4を還元によって減少することが出来る。これにより中間層によって引き起こされてきたさまざまなトラブルが減少し、銅製錬炉のさらなる効率操業が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、図2のような自溶炉の精鉱バーナーが設置されている反応塔天井部の内面に配置されている送風空気の流路の円周方向での間隙の測定方法の一実施例を示す断面の模式図であり、上部が断面図であり、下部が平面図である。
【図2】は、銅製錬炉の一例であるオートクンプ式自溶炉の側面図である。
【符号の説明】
1.反応塔
2.セットラ
3.アップテイク
4.錬カン炉
5.精鉱バーナー
6.精鉱ノズル
7.精鉱ノズルと内筒間隙間
8.内筒と外筒ジャケット間隙間
9.内筒
10.点検口
11.精鉱バーナーの外筒水冷ジャケット
13.間隙測定器具
間隙測定端子
略90度屈曲部
略45度屈曲部

Claims (1)

  1. 操業炉が炉内点検等のために精鉱の装入を停止する短時間の停止時において、自溶炉に設置されている精鉱バーナー周囲に設置されている点検口から、棒状支持部材の先端に、数種類の大きさが異なる球状測定端子を着脱可能に取付けることができ、前記棒状支持部材が、該測定端子の接続部直下で略90度屈曲し、さらに前記屈曲部から数cmのところで30〜50度屈曲してなる隙間測定器具を、自溶炉反応塔の天井部に設けられた送風空気管内壁と、該送風空気管内壁の内側に中心を同じく配置されている精鉱ノズルの外壁との間に形成された送風空気流路の直下まで挿入し、さらに、前記球状測定端子の前記送風空気流路への挿入を試みるとともに、鏡面仕上げしたステンレス鋼板を鏡として使用する観察器具により前記挿入位置を確認し、挿入可能・不可能の境界を確定することにより、円周方向における隙間を測定することを特徴とする自溶炉の高温部隙間測定方法。
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