JP4042443B2 - 移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式に関し、特に、車載のネットワーク上のクライアント端末を修正せずに車載ルータの修正によりTCP(Transmission Control Protocol) の転送性能を改善することができる、移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式は一般に、端末と路側ネットワークのサーバとの間のTCP(Transmission Control Protocol) コネクションは、移動とは無関係に動作する。図3は、従来の接続動作例を説明するための図である。本図3において、従来の移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式における接続動作例をより具体的に説明する。
【0003】
車載ネットワークを管理する移動ルータは、無線回線の移動を検知することができる。この移動ルータにおいて、車載ネットワークに接続する端末と路側ネットワークのサーバとの間のTCPコネクションは、移動とは無関係に動作する。このため、移動によって生じたパケットロスから再送にかかるまでの時間が、既存のTCPタイマによって制御される。
【0004】
本発明と技術分野の類似する先願発明例1として、特開平11−112576号公報がある。本先願発明例1では、TCPのフロー制御による回線使用率の低下を検出すると、相手ホストに代わって隣接ホストに対して受信確認セグメントを送ることにより、相手ホストとの間に生じる遅延時間を克服する、としている。これは、対応する2台のルータ間で肯定応答のアックとデータを管理する方法であり、接続先ルータが変わったり移動側だけで処理しデータを保持しない本方式とは異なる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、移動ルータの無線回線が再接続しても、インターネット標準プロトコルであるTCPコネクションの通信が再開するまでに時間を要している。場合によっては、パケットロスによりコネクション切断を引き起こす問題を伴う。
【0006】
本発明は、通信再開に要する時間を短縮化し、TCPコネクションの転送性能を改善した移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明の移動ルータ装置は、路側ネットワークと車載ネットワークとで構成される移動ルータ装置であって、路側ネットワークと車載ネットワークとのコネクションに係わるアック情報を、車載ネットワークを構成する移動ルータ内にて記憶させるメモリと、移動ルータがTCPコネクションを管理し、無線リンクの確立時に同じ路側ネットワークに再接続したかを判定する機能を備え、判定の結果が同じ場合は最後の肯定応答のアックとシーケンス番号とを送信することにより、TCPコネクションの再送の迅速化を可能としたことを特徴としている。
【0008】
また、上記のアック情報は、第1のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、第2のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、第2のサーバとの第2のコネクションに係わるアック情報とを含む情報であるとよい。
【0009】
請求項3記載の発明の移動ルータ装置のリンク確立方式は、路側ネットワークと車載ネットワークとで構成される移動ルータ装置における移動ルータ装置のリンク確立方式であって、路側ネットワークと車載ネットワークとのコネクションに係わるアック情報を、車載ネットワークを構成する移動ルータ内にて記憶させ、移動ルータがTCPコネクションを管理し、無線リンクの確立時に同じ車載ネットワークに再接続したかを車載ルータソフト部に判定させ、判定の結果が同じ場合は最後の肯定応答のアックとシーケンス番号とを送信することにより、TCPコネクションの再送の迅速化を可能としたことを特徴としている。
【0010】
また、上記のアック情報は、第1のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、第2のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、第2のサーバとの第2のコネクションに係わるアック情報とを含む情報であるとよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明による移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式の実施の形態を詳細に説明する。図1および図2を参照すると、本発明の移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式の一実施形態が示されている。図1は、ネットワークの構成を説明するための図である。また、図2は、図1における接続動作例を説明するための図である。
【0012】
図1において、短い距離で電波を用いた通信を行うDSRC(Dedicated Short Range Communication/侠域通信)無線基地局RSU(Road Side Unit)1〜3の複数をLAN(Local Area Network)で接続したネットワーク、ルータ(Router)1、およびルータ1に繋がるサーバ(Server)1、サーバ2とから路側ネットワークが構成される。路側ネットワークには、ルータ2を介してRSU4〜5を接続したり、外部のネットワーク経由でサーバnを接続したりしてもよい。
【0013】
車両内のネットワーク(通称;車載ネットワーク)10は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)無線端末OBE(On Board eqipment) 、ルータ3およびルータ3に繋がるクライアント(Client)1やクライアント2から構成される。このRSUとOBEは、DSRC用のイーサネット(登録商標)ブリッジ機能を持ち、ルータ1とルータ3との間はDSRC無線を介してバス型のLANであるイーサネット(登録商標)(Ethernet (登録商標))により通信する。
【0014】
また、ルータ3は、メモリ11を装備しており、メモリ11はACK情報を記憶可能に構成する。このACK情報は、第1のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、第2のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、第2のサーバとの第2のコネクションに係わるアック情報とを、含む情報である。図1中の矢印と「移動」は、RSU1〜3に対する車両の移動方向例を示している。
【0015】
(動作例)
接続動作例を示す図2において、ルータ3は、クライアント1やクライアント2とサーバ1〜サーバnとのTCPコネクションを管理し、クライアント1やクライアント2からの最後の肯定応答のアックと、シーケンス番号とOBEに転送するのと同時に記録する。
【0016】
図2中の(ア)において、無線回線の切断が発生すると、クライアント1やクライアント2からの肯定応答のアック(ack/acknowledge)やサーバ1〜サーバnからのTCPセグメントを失う。
【0017】
同じく図2中の(イ)のルータ、MAC、経路情報において、新たな無線リンク確立後にルータ3は、OBEから移動通知を受ける。この移動通知を受けたルータ3は、移動通知に含まれるルータの、LANに接続される情報機器を識別するアドレスであるMACアドレスから、前回と同じルータ1がある路側のネットワークに接続したかどうかを判定する。
【0018】
同じく図2中の(ウ)において、ネットワークに接続したルータが前回と同じ場合は、記録してある最後の肯定応答のアック(ack)とシーケンス番号とを、サーバ1〜サーバnに送信する。ルータのMACアドレスが異なる場合でも、経路情報から路側ネットワークの経路制御上、ルータ3の経路に変更が無い場合は、同様に肯定応答のアックの送信処理をする。サーバ1〜サーバnからのTCPセグメントや肯定応答のアックが、クライアント1やクライアント2に到着し、通信処理が再開する。なお、図2中の符号Tは、TCPコネクションの再送時間を示す。また、符号t1は、OBEからルータ3への移動通知から、サーバ1からクライアントへのTCPコネクションの再送処理がされるまでの所要時間を表している。
【0019】
上記の処理手順によれば、移動ルータがTCPコネクションを管理し、無線リンクの確立時に同じネットワークに再接続したかを判定する。この判定の結果が同じ場合は、最後の肯定応答のアックとシーケンス番号を送信する。このことで、TCPコネクションの再送を早くする。また、車載ネットワーク10上のクライアント端末を修正せずに、車載ルータの修正によりTCPコネクションの転送性能を改善することができる。
【0020】
さらに、車載ルータの機能追加だけにより、クライアントとサーバのTCPコネクションの転送性能を改善できる。また、肯定応答のアックだけの通知処理なので、車載ルータが保持するメモリ量を節約できる。さらに、切断再接続を頻繁に繰り返しても通知時間が短いので、この処理による負荷や他の再送を必要とせず、プロトコルへの影響が少ない。これによる、所要時間Tおよびt2を、より短縮化させることができる。
【0021】
より具体的には、本願発明の実施例を示す図2と従来例を示す図3との動作の比較において、車載ネットワーク10と路側ネットワークとの通信処理再開に要する時間である、従来例のコネクション時間t1に対する実施例のコネクション時間t2が、短縮化される。
【0022】
(他の実施例)
TCPコネクションの高速再転送機能を利用し、ルータ3がサーバ1〜サーバnに対して直接3回肯定応答のアックを送信してもよい。
【0023】
上記の3回肯定応答のアックを送信する場合には、無線回線の通信コストを抑えるために、ルータ3は肯定応答のアックをカプセル化してルータ1に送信し、ルータ1はデカプセル化後、サーバ1〜サーバnに肯定応答のアックを3回送信してもよい。
【0024】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例である。ただし、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式は、路側ネットワークと車載ネットワーク10とのコネクションに係わるアック情報を、車載ネットワーク10を構成する移動ルータ内にて記憶させ、移動ルータがTCPコネクションを管理し、無線リンクの確立時に前回と同じルータ1がある路側のネットワークに再接続したかを判定させ、判定の結果が同じ場合は最後の肯定応答のアックとシーケンス番号とを送信する。このことにより、TCPコネクションの再送の迅速化を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式の実施形態に適用されるネットワークの構成例を示す。
【図2】移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式の接続動作例を説明するための図である。
【図3】従来の移動ルータ装置および同装置のリンク確立方式の接続動作例を説明するための図である。
【符号の説明】
10 車載ネットワーク
11 メモリ
ack(acknowledge) アック(肯定応答)
Client クライアント(装置)
RSU(Router Server Unit) ルータサーバ装置
Server サーバ
Claims (4)
- 路側ネットワークと車載ネットワークとで構成される移動ルータ装置であって、
前記路側ネットワークと前記車載ネットワークとのコネクションに係わるアック情報を、前記車載ネットワークを構成する移動ルータ内にて記憶させるメモリと、
前記移動ルータがTCPコネクションを管理し、無線リンクの確立時に同じ前記路側ネットワークに再接続したかを判定する機能を備え、
前記判定の結果が同じ場合は最後の肯定応答のアックとシーケンス番号とを送信することにより、前記TCPコネクションの再送の迅速化を可能としたことを特徴とする移動ルータ装置。 - 前記アック情報は、
第1のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、
第2のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、
第2のサーバとの第2のコネクションに係わるアック情報とを、含む情報であることを特徴とする請求項1記載の移動ルータ装置。 - 路側ネットワークと車載ネットワークとで構成される移動ルータ装置における移動ルータ装置のリンク確立方式であって、
前記路側ネットワークと前記車載ネットワークとのコネクションに係わるアック情報を、前記車載ネットワークを構成する移動ルータ内にて記憶させ、
前記移動ルータがTCPコネクションを管理し、無線リンクの確立時に同じ前記路側ネットワークに再接続したかを判定させ、
前記判定の結果が同じ場合は最後の肯定応答のアックとシーケンス番号とを送信することにより、前記TCPコネクションの再送の迅速化を可能としたことを特徴とする移動ルータ装置のリンク確立方式。 - 前記アック情報は、
第1のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、
第2のサーバとの第1のコネクションに係わるアック情報と、
第2のサーバとの第2のコネクションに係わるアック情報とを、含む情報であることを特徴とする請求項3記載の移動ルータ装置のリンク確立方式。
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