JP4041943B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の色成分信号からなるカラー画像信号に対してエッジ強調処理を行う画像処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来のエッジ強調処理を行う画像処理装置の一例を示す構成図である。図中、21r,21g,21bはフィルタ処理部、22rはR強調量算出部、22gはG強調量算出部、22bはB強調量算出部、23r,23g,23bは加算部である。ここでは入力されるカラー画像は赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色成分から構成されている。以下、この場合を例にして説明してゆく。従来のエッジ強調処理を行う画像処理装置では、それぞれの色成分毎にフィルタ処理により強調量を算出し、それぞれの色成分に加算してエッジ強調処理を行っていた。
【0003】
すなわち、R成分については、入力されたR色成分に対してフィルタ処理部21rで例えばラプラシアンフィルタなどによりフィルタ処理を施し、R強調量算出部22rでR色成分に対する強調量を算出して、その強調量を元のR色成分に加算部23rで加算する。同様に、G成分については、入力されたG色成分に対してフィルタ処理部21gで例えばラプラシアンフィルタなどによりフィルタ処理を施し、G強調量算出部22gでG色成分に対する強調量を算出して、その強調量を元のG色成分に加算部23gで加算する。またB成分については、入力されたB色成分に対してフィルタ処理部21bで例えばラプラシアンフィルタなどによりフィルタ処理を施し、B強調量算出部22bでB色成分に対する強調量を算出して、その強調量を元のB色成分に加算部23bで加算する。
【0004】
このように、従来の画像処理装置では、それぞれの色成分信号毎にエッジ強調処理を行っていた。従って、ある色成分信号が大きく変化すると、その色成分信号のエッジが強調されてしまう。そのため、色の付いたエッジ部分ではエッジ強調処理によって色相が変化したり、無彩色部分が色づいてしまうなど、色再現性が低下して画質が劣化するという問題があった。
【0005】
また、色ノイズが混入したカラー画像信号が入力された場合には、色ノイズ部分でいずれかの色成分信号が大きく変化するため、混入している色ノイズを強調してしまい、色ノイズが目立ってしまうという問題もあった。図7は、従来のエッジ強調処理を行う画像処理装置において色ノイズが入力された場合の問題点の説明図である。図7(A)に示す例では暗色の画像に黄色のノイズが混入し、R成分とG成分が大きくなった場合を示している。この場合、図6に示す従来の画像処理装置におけるエッジ強調処理を行うと、R成分及びG成分については変化が大きいためその変化を大きくするように処理し、図7(B)に示すように色ノイズはさらに強調されることになる。特にデジタルカメラなどで取得されたカラー画像信号では、CCD感度がばらつくことにより暗部に色ノイズが混入しやすく、上述のように色ノイズが強調されてしまうことによる画質劣化の影響を受けやすいという問題があった。
【0006】
さらに、JPEG等のブロック毎に圧縮された画像は、伸長されたときにブロックの境界に色の段差が生じている場合がある。このような色の段差が生じていると上述のようなエッジ強調処理によってさらに段差が拡大してしまい、ブロックの境界が目立ってしまうという問題があった。
【0007】
これに対して、例えば特開平9−233343号公報に記載されている輪郭強調装置では、R,G,Bの各色信号毎に輪郭成分を算出し、その輪郭信号の最大値を注目画素に適用してエッジ強調処理を行っている。この技術によって色相の変化は少なくなるものの、上述の色ノイズやブロック境界における色の段差などに対してはそのまま強調してしまうため、依然として画質の劣化が生じてしまう。
【0008】
また、例えば特開平4−14383号公報に記載されている画像処理装置では、色別に入力された画像信号のうち少なくとも一つの画像信号に基づいてフィルタ処理を行って強調量を求めている。使用する画像信号としては、例えばG色信号や、R,G,Bの平均値などを用いた例が示されている。この技術によれば、上述の文献と同様に色相の変化は少なくなる。しかしこの技術では、例えばG色信号などの特定色の信号を利用すると、その特定色の色ノイズや色段差については依然として強調されてしまう。またR,G,Bの平均値を用いる場合にも、色ノイズにより1ないし複数成分の信号値が大きくなると平均値も大きくなり、結果として色ノイズなどについても強調されてしまうことになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、色ノイズや色段差などの不要な部分の強調を抑え、全体として良好なエッジ強調処理を行うことができる画像処理装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力された複数の色成分信号からなるカラー画像信号に対してエッジ強調処理を行う画像処理装置において、色成分信号毎に強調量を算出する強調量算出手段と、各色成分の強調量から絶対値が最小の強調量を選択する最小値選択手段と、該最小値選択手段で選択された強調量をそれぞれの色成分信号に対して適用する強調量適用手段を有していることを特徴とするものである。このように各色成分の強調量のうち、絶対値が最小の強調量を各色成分信号に適用することによって、特定の色成分が強くなる色ノイズについてはほとんど強調されなくなる。また、ブロック符号化された画像を伸長したときにブロック境界に発生する色の段差についても、全ての色成分が大きく異なることはなく、ほとんど強調されなくなる。一方、黒文字や黒の線画などについては全ての色成分が大きく変化するため良好にエッジ強調処理が施されることになる。従って、従来のように色ノイズや色境界が強調されて画質が劣化するという問題を解決し、より良好なエッジ強調処理を行って画質を向上させることができる。
【0011】
また、絶対値が最小の強調量をそれぞれの色成分信号に均等に適用するため色相の変化は発生せず、エッジ強調処理による色の変化や無彩色部分の色づきなどといった不具合は発生しない。また、色相が変化しないため、エッジ強調処理前にコントラストや明度、彩度などの色調整を行うことが可能である。なお、エッジ強調処理の前に平滑化処理を行っておくことが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の画像処理装置の実施の一形態を示すブロック図である。図中、1は平滑化部、2は色調整部、3はエッジ強調部である。平滑化部1は、入力された画像に対して、各色成分毎に平滑化処理を行う。平滑化処理は、例えば3×3程度の大きさの4近傍参照単純平均値フィルタなどを用いて行うことができる。もちろん、平滑化処理の方法は任意である。この平滑化処理によって、入力されたカラー画像に混入しているノイズなどを低減することができる。
【0013】
色調整部2は、入力されたカラー画像(ここでは平滑化処理後の画像)に対して、コントラスト調整や彩度調整、明度調整といった色調整を行う。もちろん色相調整など、各種の調整を行うことができる。この色調整は、利用者の希望に応じた色調整を行うほか、例えば画像入力装置や画像出力装置の色特性に応じた調整等を行ってもよい。
【0014】
エッジ強調部3は、入力されたカラー画像(ここでは色調整後の画像)に対してエッジ強調処理を行う。ここでは特に、黒の文字や線画部分などのエッジを強調する。黒の文字や線画部分などはエッジ部分のコントラストが高く、シャープな画像が好まれる傾向にあり、平滑化部1でぼかした分を含めてエッジ部分の強調処理を行う。
【0015】
図2は、エッジ強調部の一例を示すブロック図である。図中、図6と同様の部分には同じ符号を付してある。11は強調量算出部、12は最小値選択部、13は強調量適用部である。強調量算出部11は、エッジ強調部3に入力されたカラー画像の色成分毎に強調量を算出する。強調量算出部11はフィルタ処理部21r,21g,21bと、R強調量算出部22r、G強調量算出部22g、B強調量算出部22bを有している。
【0016】
フィルタ処理部21r,21g,21bは一般的に用いられている強調フィルタであり、例えばラプラシアンフィルタなどで構成することができる。図3は、ラプラシアンフィルタの一例の説明図である。この例では、図3(A)に示すように注目画素pを中心とする左右上下の4近傍の画素(a,b,c,d)を参照し、図3(B)に示した値を係数として乗算し、それぞれの乗算結果を加算してフィルタ結果を得るものである。すなわち、図3に示す例では、a+b+c+d−4pを計算することになる。もちろん、参照する画素の位置や個数、それに係数値は設計時に決定すればよい。また、ラプラシアンフィルタに限られるものではない。なお、フィルタ処理部21rは入力されたカラー画像のうちのR成分についてのフィルタ処理を行う。同様にフィルタ処理部21gはG成分についてのフィルタ処理を、フィルタ処理部21bはB成分についてのフィルタ処理をそれぞれ行う。
【0017】
R強調量算出部22rは、フィルタ処理部21rによるフィルタ処理結果を受け取り、R成分における強調量を算出する。同様にG強調量算出部22gは、フィルタ処理部21gによるフィルタ処理結果を受け取り、G成分における強調量を算出する。またB強調量算出部22bは、フィルタ処理部21bによるフィルタ処理結果を受け取り、B成分における強調量を算出する。なお、フィルタ処理結果から強調量を算出する方法は任意であり、例えば最適に設定した重み付け演算などを行うことができる。
【0018】
最小値選択部12は、強調量算出部11のR強調量算出部22r、G強調量算出部22g、B強調量算出部22bでそれぞれの色成分ごとに算出された強調量から、絶対値が最小の強調量を選択する。そして、選択した絶対値が最小の強調量を各色成分の強調量として強調量適用部13に出力する。
【0019】
強調量適用部13は、最小値選択部12で選択された絶対値が最小の強調量を、エッジ強調部3に入力されたカラー画像の各色成分に対して適用する。強調量適用部13は、それぞれの色成分ごとに設けられた加算部23r,23g,23bによって構成されている。加算部23rは、入力されたカラー画像のうちのR成分に、最小値選択部12で選択された絶対値が最小の強調量を加算して出力するカラー画像信号のR成分とする。また加算部23gは、入力されたカラー画像のうちのG成分に、最小値選択部12で選択された絶対値が最小の強調量を加算して出力するカラー画像信号のG成分とする。加算部23bは、入力されたカラー画像のうちのB成分に、最小値選択部12で選択された絶対値が最小の強調量を加算して出力するカラー画像信号のB成分とする。
【0020】
上述のエッジ強調部3の動作について説明する。エッジ強調部3に入力されたカラー画像は、強調量適用部13に入力されるとともに、強調量算出部11に入力される。強調量算出部11では、R,G,Bの各成分ごとにフィルタ処理を行って、強調量を算出する。すなわち、R成分に対してフィルタ処理部21rでフィルタ処理を施し、R強調量算出部22rでR成分に対する強調量を算出する。同様に、G成分に対してフィルタ処理部21gでフィルタ処理を施し、G強調量算出部22gでG色成分に対する強調量を算出する。またB成分に対してフィルタ処理部21bでフィルタ処理を施し、B強調量算出部22bでB色成分に対する強調量を算出する。
【0021】
なお、フィルタ処理部21r,21g,21bでフィルタ処理を行う際には、処理対象となる注目画素のほかに、注目画素の周辺に存在する参照画素の値を使用する。例えば図3に示したラプラシアンフィルタの例では図3(A)に示す注目画素pのほかに、参照画素a,b,c,dを参照する。これらの参照画素の値は、例えば注目画素の値とともに強調量算出部11に入力されたり、複数ライン分のカラー画像を内部に保持するとともに注目画素の値が強調量適用部13に入力されるようにタイミングを合わせるように構成するとよい。
【0022】
強調量算出部11で算出された各色成分ごとの強調量は、最小値選択部12に入力される。そして最小値選択部12によって、入力された各色成分の強調量のうちから絶対値が最小の強調量を選択し、選択した絶対値が最小の強調量を各色成分の強調量として強調量適用部13に出力する。
【0023】
強調量適用部13では、最小値選択部12で選択された絶対値が最小の強調量を、エッジ強調部3に入力されたカラー画像の各色成分に対して加算部23r,23g,23bによって加算し、出力する。
【0024】
上述の動作を、具体例を用いて説明する。図4は、エッジ強調部の動作の第1の具体例の説明図である。図4に示す具体例では、暗色の画像中に黄色の色ノイズが混入したカラー画像が入力された例を示している。なお、この具体例は図7と同様の例である。
【0025】
図4(A)に示すカラー画像の各色成分は、強調量算出部11に入力されて、それぞれの色成分ごとに強調量が算出される。算出された強調量を図4(B)に示している。最小値選択部12は、強調量算出部11で算出された各色成分の強調量から、絶対値が最小の強調量を選択する。この例では、B成分の強調量の絶対値が最も小さいので、B成分の強調量を選択する。そして、このB成分の強調量を強調量適用部13に入力し、R,G,Bの各成分に対して適用する。これによって図4(C)に示すようなエッジ強調処理結果が得られる。
【0026】
この図4(C)に示したエッジ強調処理結果と、例えば図7に示した従来の画像処理装置によるエッジ強調処理結果とを比べると、従来は各色成分に対して加算する強調量が異なるため、色相が変化していた。しかし本発明では、それぞれの色成分に対して一様な強調量を加算するので、色相が変化することはほとんどない。そのため、図1に示すようにエッジ強調部3によるエッジ強調処理を行う前に色調整部2で色調整処理を行っても、その調整処理を活かすことができる。
【0027】
また、その強調量も、絶対値が最小の強調量を適用しているのでそれほど強調されない。従って、図4に示すような色ノイズが強調されることはなく、画質の劣化を抑えることができる。なお、平滑化部1による平滑化処理を行っておけば、エッジ強調部3に入力された時点で色ノイズはある程度抑えられており、強調量も少なくなるし、多少の強調処理を行ってもその影響は小さい。
【0028】
ここでは入力されたカラー画像に色ノイズが混入した場合について示したが、例えばJPEGなどのようなブロック符号化を行った画像を復号した場合などのように、ブロックの境界に色段差が発生したカラー画像が入力された場合についても同様である。ブロックの境界に発生する色段差も、それぞれの色成分ごとにその段差の発生量は異なっており、その色段差から求めた強調量の絶対値が最小の強調量をそれぞれの色成分に適用するので、色段差の拡大を抑えて画質の劣化を抑えることができる。
【0029】
図5は、エッジ強調部の動作の第2の具体例の説明図である。図5に示す具体例では、明るい地に黒の文字や線画などが描画された例を示している。黒の文字や線画などでは、図5(A)に示すように、すべての色成分について画素値が大きく変化する。そのため、それぞれの色成分ごとに求めた強調量も、図5(B)に示すようにいずれも絶対値が大きな値となる。従って、この中から絶対値が最小の強調量を選択しても、適用する強調量の絶対値はそれほど小さな値が選択されることはなく、すべての色成分に対して大きな強調量が適用されて、エッジが強調される。従って、黒の文字や線画などの部分に対しては良好にエッジ強調処理が施されることになる。もちろん、暗い地に白の文字や線画などが描画されたカラー画像の場合も同様である。
【0030】
なお、上述の説明では、カラー画像がR,G,Bの3成分により構成されている例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などの成分で構成されるカラー画像についても適用可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、簡単な構成によって、色ノイズや色段差などの不要な部分の強調を抑え、全体として良好なエッジ強調処理を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像処理装置の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】 エッジ強調部の一例を示すブロック図である。
【図3】 ラプラシアンフィルタの一例の説明図である。
【図4】 エッジ強調部の動作の第1の具体例の説明図である。
【図5】 エッジ強調部の動作の第2の具体例の説明図である。
【図6】 従来のエッジ強調処理を行う画像処理装置の一例を示す構成図である。
【図7】 従来のエッジ強調処理を行う画像処理装置において色ノイズが入力された場合の問題点の説明図である。
【符号の説明】
1…平滑化部、2…色調整部、3…エッジ強調部、11…強調量算出部、12…最小値選択部、13…強調量適用部、21r,21g,21b…フィルタ処理部、22r…R強調量算出部、22g…G強調量算出部、22b…B強調量算出部、23r,23g,23b…加算部。
Claims (3)
- 入力された複数の色成分からなるカラー画像に対してエッジ強調処理を行う画像処理装置において、色成分毎に強調量を算出する強調量算出手段と、各色成分の強調量から絶対値が最小の強調量を選択する最小値選択手段と、該最小値選択手段で選択された強調量をそれぞれの色成分に対して適用する強調量適用手段を有していることを特徴とする画像処理装置。
- 前記カラー画像信号は、平滑化処理を施した後のカラー画像信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記カラー画像信号は、色調整処理を施した後のカラー画像信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
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