JP4041693B2 - 真空容器と電磁遮蔽体とを有する高温超伝導ロータ及びその組み立て方法 - Google Patents

真空容器と電磁遮蔽体とを有する高温超伝導ロータ及びその組み立て方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的に、同期回転機械における超伝導ロータに関する。より具体的には、本発明は、同期機械のロータにおける超伝導界磁巻線のための電磁遮蔽体及び真空容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
界磁コイル巻線を有する同期電気機械は、それに限定するわけではないが、回転発電機、回転モータ及びリニアモータを含む。これらの機械は、一般的に、電磁的に結合されたステータとロータとを備える。ロータは、多極ロータコアと、ロータコアに取り付けられた一つ又はそれ以上のコイル巻線とを含むことができる。ロータコアは、鉄製コア(鉄心)ロータのような、透磁性の中実材料を含むことができる。
【0003】
従来の銅巻線が、同期電気機械のロータに一般に使用されている。しかしながら、銅巻線の電気抵抗は、(従来の尺度では小さいが)ロータの大きな加熱の一因となり、機械の出力効率を減少させる程である。近年、ロータのための超伝導(SC)コイル巻線が開発されてきた。SC巻線は、実効的には抵抗を持たず、非常に有利なロータのコイル巻線である。
【0004】
鉄心ロータは、約2テスラの空隙磁界強度で飽和する。公知の超伝導ロータは、ロータ内に鉄がない空コア設計を利用して3テスラ又はそれ以上の空隙磁界を達成する。このような高い空隙磁界は、電気機械の出力密度を増大させ、機械の重量と寸法の著しい減少をもたらす。空コア超伝導ロータは、多量の超伝導線を必要とする。多量のSC線は、所要コイル数を増加させ、コイル支持体を複雑にし、SCコイル巻線及びロータのコストを増加させる。
【0005】
高温SC(HTS)コイル界磁巻線は、脆性の超伝導材料で形成されており、超伝導を達成しこれを維持するためには、例えば27°Kの臨界温度又はそれ以下の温度まで冷却しなければならない。SC巻線は、BSCCO(BixSrxCaxCuxx)ベースの導体のような、高温超伝導材料で形成することができる。
【0006】
超伝導コイルは、例えば液体ヘリウムによって、極低温温度まで冷却されてきた。ロータの巻線を通過して温められた使用済みのヘリウムは、気体ヘリウムとして戻される。極低温冷却に液体ヘリウムを使用するには、戻された室温の気体ヘリウムを連続的に再液化することが必要であり、このような再液化は、信頼性に関する大きな問題を提起し、大きな補助出力を必要とする。
【0007】
さらに、HTSコイルは、大きな曲げ歪み及び引張歪みによる劣化に対して敏感である。これらのコイルは、コイル巻線に応力を加え歪みを与える大きな遠心力に耐えなければならない。電気機械の通常の作動は、数年にわたって何千回もの始動及び停止サイクルを伴い、その結果、ロータの低サイクル疲労負荷を生じる。さらに、HTSロータ巻線は、周囲温度におけるロータの平衡時に25%の過速度作動に耐えなければならず、また発電作動時の極低温において時たま起こる過速度状態にもやはり耐えなければならない。これらの過速度状態は、通常作動状態における巻線に作用する遠心力負荷をかなり増大させる。
【0008】
SCコイルは、一般的に、超伝導特性を生じさせるために、真空によって熱的に隔離されなければならない。真空は、温かいロータコアからの熱が、SCコイルに対流によって移送されるのを防止する。SC界磁コイルは、真空によって完全に包囲されなければならない。真空は、真空容器及び関連した気密シールをロータ上で維持することを必要とする。
【0009】
電気機械のHTSロータの界磁巻線として使用されるSCコイルは、冷却及び通常作動時に応力及び歪みを受ける。それらは、遠心荷重、トルク伝達及び過渡的欠陥状態に曝される。力、応力、歪み及び周期的荷重に耐えるため、SCコイルは、コイル支持システムによってロータに適当に支持され、動的及び過渡的な磁界に抗して遮蔽されなければならない。これらの支持システムは、SCコイルをHTSロータ内に保持し、ロータの回転による非常に大きな遠心力に抗してコイルを固定しなければならない。さらに、コイル支持システムは、SCコイルを保護するものであり、コイルに早期に亀裂を生じたり、疲労その他の破壊を生じたりしないことを保証するものである。
【0010】
HTSコイルのための遮蔽体及びコイル支持システムの開発においては、SCコイルをHTSロータに適合させるのが難しい課題であった。以前に提案されているHTSロータ用のコイル支持システムの例が、米国特許第5,548,168号、同第5,532,663号、同第5,672,921号、同第5,777,420号、同第6,169,353号、及び、同第6,066,906号に開示されている。しかしながら、これらのコイル支持システムは、高価である、複雑である、甚だしい数の構成部品を必要とする等の種々の課題に苦慮している。低コストで製造し易い構成部品で作られるコイル支持システムへの要請がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
HTS界磁コイル巻線のための構造支持体は、SCコイルをロータに組み込む主要な課題の1つであった。構造体は、大きな熱を巻線に伝えることなしにSCコイル巻線を支持しなければならない。開示した新規な概念では、コイル支持構造体は、ロータコアからの熱を冷却されたSC巻線に伝える大きさを減少させるように、最小にされてきた。しかしながら、コイル支持体を最小にすることはまた、支持体が耐えることができる力の大きさを制限する。ロータに作用する力がコイル支持体の力支持能力を超える場合には、コイル支持体が破損し或いはコイル巻線が損傷する大きな危険性がある。
【0012】
ロータに作用する力の潜在的な源は、グリッド故障によるトルクである。界磁巻線SCコイルを有する高温超伝導(HTS)発電機は、電気的なグリッド故障を受けやすい。グリッド故障は、機械のステータが結合される電力システムグリッドにおける電流スパイクである。グリッド故障状態の下では、過剰な電流がステータに流れる。この電流は、ステータ巻線に電気妨害を引き起こし、これが強力な磁束を誘起し、この磁束が、ロータ界磁巻線コイルに浸透する。
【0013】
この潜在的な可能性のあるロータ界磁巻線コイル内への磁界の浸透は、ロータコイル巻線に大きなトルクを生じさせる。このトルクは、SCコイル及び脆弱なコイル支持構造体を傷つけることがある。この機械的作用に加えて、ロータへの磁界浸透は、ロータ構造体、特にHTS線における交流(AC)損失を引き起こすことがある。誘起されるグリッド故障及び他の磁界によるロータの浸透を最少にするのが有利である。グリッド故障によるロータのトルクの減少は、コイル構造支持体を最小にするのを可能にする。ロータへの磁界浸透の最少化はまた、HTSロータにおけるAC電流損失を減少させる。
【0014】
ロータの遮蔽は、ステータの交番及び時間変動する磁界がロータに浸透するのを阻止する。ロータの界磁巻線コイルが十分に遮蔽されていない場合には、ステータからの磁束がロータに浸透し、磁気ロータ及びSCコイルにトルクを生じさせる。トルクを生じさせるこのようなステータの磁束が一般的には従来の延性の銅ロータコイルを傷つけないとしても、このようなトルクは、脆いSCコイルを傷つけることがある。SCコイルを有するロータが適当に遮蔽されていない場合には、故障を引き起こすトルクに耐えるように、コイル支持体を補強しなければならない。しかしながら、コイル支持体を補強する欠点は、それが支持体の大きさを増大させ、冷たいSCコイルへの大きな熱伝達を伴う問題となり得ることである。
【0015】
コイル支持体の大きさを増大させる代わりに、交番磁束がロータに浸透してコイルにトルクを生じさせるのを阻止する電磁(EM)遮蔽体を設けることが好ましい。ロータコア全体を被覆する円筒形のEM遮蔽体及び真空容器は、その寸法故に、大きなSC機械に対して製造するのが困難である。厳密な公差に合わせて銅又はアルミニウムの大きな円筒体を形成することには、円筒形のEM遮蔽体及び真空容器を作る点で別の難しさがある。EM遮蔽体及び真空容器が、一方が他方の上を摺動する円筒体である場合には、真空を維持し交番磁束がロータに入るのを阻止するために、両方の円筒体を接合するのが好ましい。ステンレス鋼の真空容器と銅又はアルミニウムで形成されたEM遮蔽体のような、異なる金属の接合は、問題がある。
【0016】
円筒形のEM遮蔽体と真空容器の組合せに伴う問題は、それらの物理的寸法のため大きな機械の場合に生じる。しかしながら、円筒形のEM遮蔽体と容器は、EM円筒体と円筒形の真空容器を比較的容易に製造することができる程に小さいロータを有する小さな機械については適当である。
【0017】
大きな機械については、EM遮蔽体又は真空容器に必要とされる所要の精度及び公差を備えた円筒形遮蔽体の大きな連続した片を製造し、組み立て、釣合わせることには大きな問題がある。円筒形電磁遮蔽包囲体が真空境界部としても使用される場合には、ロータ本体は、真空容器によって被覆されるものとなる。従って、ロータの表面は、一般的に接近不能であり、ロータの適切な釣合いをとるために該ロータに接近することができない。
【0018】
ロータの釣合いをとることは、一般的に、ロータ本体にその軸線方向長さ全体に沿ったその周囲の周りの種々の個所において、釣合い重りを加えることを伴い、これらの理由のため、ロータ本体の表面全体への接近を必要とする。真空容器が鍛造品全体を被覆する場合には、容器をロータに取り付ける前にロータを釣合わさなければならない。しかしながら、真空容器及びEM遮蔽体の組み立て前におけるロータの事前釣合わせは、製造サイクル時間と処理コストを増大させる。さらに、ロータの事前釣合わせは、周囲温度において行われることになるが、ロータは、極低温温度で作動する。ロータの釣合いは、SC巻線に必要とされる低温状態によって影響を及ぼされることがある。従って、冷たい極低温状態の下でロータを釣合わせるのが好ましい。
【0019】
【課題を解決するための手段】
新規なEM遮蔽体及び真空容器の概念が、モータ又は発電機のような大型の超伝導機械に使用するために開発されてきた。この機械は、鉄製コアを有するロータと、超伝導ロータ界磁巻線コイルとを含む。コイルは、コイルを覆って嵌まる真空チャネル形ハウジングによって形成される真空により絶縁される。真空チャネルは、ロータコアの表面全体を被覆しない。従って、冷たいロータの釣合い作業時にロータに接近することができる。
【0020】
SCコイルはまた、電磁遮蔽体によっても保護される。遮蔽体は、真空容器とは別のものである。EM遮蔽体は、交番或いは時間変動する磁束のロータ内への浸透を阻止する。これらの磁界は、突然の短絡又はグリッド故障のような過渡現象によって、及び機械荷重の不釣合いによる負の連続磁界によって発生する。さらに、EM遮蔽体は、ステータ起磁力の空間と時間の調和によって発生される調和磁界を減衰させる。
【0021】
HTSロータは、SCコイルを含むように独自に設計された同期機械のためのものとすることができる。別の構成では、HTSロータは、従来の発電機のような既存の電気機械の銅コイルロータと置き換えるものでもよい。ロータ及びそのSCコイルは、ここでは発電機に関連して記載されているが、HTSロータはまた、他の同期機械に使用するのにも適している。
【0022】
コイル支持システムは、コイルとロータが一体化されているのが好ましくい。さらに、コイル支持システムは、最終のロータ組み立ての前の該コイル支持システムとコイルとロータとの事前組み立てを容易にする。事前組み立てにより、コイル及びロータの組み立て時間が減少され、コイル支持品質が向上し、コイル組立体のばらつきが減少される。
【0023】
第1の実施形態では、本発明は、ロータコアと、ロータコアの少なくとも一部の周りに延びる超伝導コイルとを含み、超伝導コイルが、ロータコアの対向する側面にコイル側部分を有し、真空ハウジングが、コイルの側部分のうち少なくとも1つを被覆し、導電遮蔽体が、真空ハウジング及びコイルの側部分を覆って設けられる、同期機械のためのロータである。
【0024】
別の実施形態では、本発明は、コイル巻線とロータコアを組み立てる段階と、端シャフトをコアに同軸に取り付ける段階と、コイル巻線の側部分を覆って真空ハウジングを跨がせ、真空ハウジングをロータコアに対してシールする段階と、真空ハウジングを端シャフトに対してシールして、コイル巻線の周りに真空領域を形成する段階とを含む、同期機械のロータコアにおける超伝導コイル巻線の周りに真空を形成するための方法である。
【0025】
本発明の別の実施形態は、軸線を有するロータコアと、コアの両端部から軸線方向に延び、コアの端部に隣接するスロットを各々が有する一対の端シャフトと、コア軸線に対して平行でコアの対向した側部に隣接するコイル側部を有する超伝導コイルとを含み、コイルが、コア軸線に対して直交し、コアの端部に隣接するコイル端部分を有し、コイル端部分の各々が、端シャフトのスロットの1つを貫通して延び、真空ハウジングが、各コイル側部分を覆って設けられ、スロットの1つに対して各々がシールされる端部を有し、コイルの周りの真空領域が、対の端シャフトのスロット及び各コイル側部分を覆って設けられた真空ハウジングによって形成される、ロータである。
【0026】
本発明の更に別の実施形態は、軸線を有するロータコアと、コアの端部から軸線方向に延び、コア端部に隣接するスロットを有する端シャフトと、コア軸線に対して平行な少なくとも1つのコイル側部と、コア軸線と直交する少なくとも1つのコイル端部とを有する超伝導ロータコイルとを含み、コイル端部が端シャフトのスロットを貫通して延び、真空ハウジングが、コイル側部を覆って設けられ、スロットに対してシールされて、コイルの周りに真空領域を形成する、ロータである。
【0027】
【発明の実施の形態】
本明細書に関連する添付図面に、本発明の実施形態を記載する。
【0028】
図1は、ステータ12とロータ14とを有する例示的な同期発電機械10を示す。ロータは、ステータの円筒形のキャビティ16内に嵌まる界磁巻線コイルを含む。ロータは、ステータのキャビティ16内に嵌まる。ロータがステータ内で回転すると、磁界18は、ステータを通って回転する。ロータとロータコイルによって発生する磁界線は、図1の断面に対して直交する平面内にあり(従って、図1に示すことができず)、ステータを通って移動し回転し、ステータコイル19の巻線に電流を生じさせる。この電流は、発電機によって電力として出力される。
【0029】
ロータ14は、ほぼ長さ方向に延びる軸線20と、全体的に中実のロータコア22とを有する。中実のコア22は、大きな透磁率を有し、鉄のような強磁性材料で形成するのが普通である。低電力密度の超伝導機械では、ロータの鉄心を使用して、起磁力を減少させ、従ってコイル巻線に必要とされる超電導(SC)線の量を最小にする。例えば、中実の鉄製ロータコアは、約2テスラの空隙磁界強度で磁気的に飽和させることができる。
【0030】
ロータ14は、少なくとも1つの長さ方向に延びるレーストラック形の高温超伝導(HTS)コイル巻線34(図2参照)を支持する。別の構成では、HTSコイル巻線は、サドル形にしてもよく、或いは、特定のHTSロータ設計に適した幾つかの他の形状を有してもよい。レーストラック形SCコイル巻線のためのコイル支持システムがここに開示される。このコイル支持システムは、中実のロータコアに取り付けられたレーストラック形コイル以外のコイル形態に適合させることができる。
【0031】
ロータは、コレクタ端シャフト24と、駆動端シャフト30とを含む。これらの端シャフトは、ロータコアに取り付けられてこれを支持し、それら自体は、軸受25によって支持される。コレクタ端シャフトは、SCロータコイルに対して外部電気接続を行うコレクタリング78を含むことができる。コレクタ端シャフト24はまた、ロータのSCコイル巻線を冷却するのに使用される極低温冷却流体の源への極低温剤移送継手26を有する。極低温剤移送継手26は、極低温冷却流体の源に結合される固定セグメントと、HTSコイルに冷却流体を供給する回転セグメントとを含む。ロータの反対側の端シャフト30は、動力タービン継手32によって駆動させることができる。例示的な目的のため、図1は、十分なトルク伝達に適した寸法ではないコレクタ側の端シャフトを示しており、該端シャフトは、発電機が一方のシャフト端のみからタービンによって駆動される動力伝達形態を代表するものである。しかしながら、ここに開示される概念は、発電機の両端シャフトが大きなトルクを伝達する2つのタービンの間に取り付けられる発電機にも同様に適用できる。
【0032】
図2は、例示的なHTSレーストラック形の界磁コイル巻線34を示す。ロータのSC界磁巻線34は、高温超伝導(SC)コイル36を含む。各々のSCコイルは、固体状エポキシ含浸巻線複合材料で積層されたBSCCO(BixSrxCaxCuxx)導線のような、高温超伝導導体を含む。例えば、一連のBSCCO2223線を、積層し、互いに接着し、巻いて中実のエポキシ含浸コイルとすることができる。
【0033】
SC線は、脆くて、傷つき易い。SCコイルは、一般的に、エポキシ含浸されたSCテープが巻かれた層である。SCテープは、厳密な寸法公差を得るために、精密なコイル形態に巻かれている。テープは螺旋に巻かれ、レーストラック形SCコイル36を形成する。しかしながら、幾つかのパンケーキ状コイルによって、SCパンケーキ状コイルを構成することもできる。
【0034】
レーストラック形コイルの寸法は、ロータコアの寸法で決まる。一般的に、各々のレーストラック形SCコイルは、ロータコアの磁極を囲み、ロータ軸線に対して平行である。コイル巻線は、レーストラックの周りで連続している。SCコイルは、ロータコアの周り及び該コアの磁極の間に、無抵抗の電流路を形成する。コイルは、該コイルをコレクタ78に電気的に接続する電気接点79を有する。
【0035】
極低温冷却流体のための流路38が、コイル巻線34に含まれる。これらの流路は、SCコイル36の外縁部の周りに延びることができる。流路は、コイルに極低温冷却流体を供給し、該コイルから熱を除去する。冷却流体は、SCコイル巻線において、該コイルに電気抵抗がない場合を含む超伝導状態をもたらすのに必要とされる低温、例えば27°Kを維持する。冷却路は、入口流体ポート39と出口流体ポート41を有する。これらの流体(気体)ポートは、SCコイル上の冷却路38を、極低温剤移送継手28に接続する。
【0036】
各々のHTSレーストラック形コイル巻線34は、ロータ軸線20に対して平行でほぼ真っ直ぐな一対の側部分40と、該ロータ軸線に直交する一対の端部分54とを有する。コイルの側部分は、最も大きな遠心応力に曝される。従って、その側部分は、コイルに作用する遠心力を打ち消すコイル支持システムによって支持される。
【0037】
図3は、高温超伝導コイルのためのロータコア22とコイル支持システムの一部切欠図である。支持システムは、コイルハウジング44に接合されるテンションロッド42を備える。ハウジングは、ロータ内にコイル巻線34の側部分40を保持し、支持する。図3において、一つのテンションロッド及びコイルハウジングが示されているが、一般的に、コイル支持システムは、一連のテンションロッドを含み、その各々が該ロッドの両端にコイル支持ハウジングを有する。さらに、図3は、例示の目的のため、コイルを超えて延びるテンションロッドの端部を示す。実用の用途では、テンションロッドの端部は、コアに面するコイルの表面に当接することになる。テンションロッド及びコイルハウジングは、ロータ作動中のコイル巻線の損傷を防ぎ、遠心力及び他の力に対してコイル巻線を支持し、該コイル巻線に防護のための遮蔽を与える。
【0038】
鉄製コアロータにおけるHTSコイル巻線34の主な荷重は、ロータの回転時の遠心加速度によるものである。効果的なコイル構造支持体が、遠心力を打ち消すために必要とされる。コイル支持体は、最も大きな遠心加速度を受けるコイルの側部分40に沿うことがとりわけ必要とされる。コイルの側部分を支持するため、テンションロッド42は、コイルの側部分の間を跨ぎ、コイルの対向した側部分を把持するコイルハウジング44に取り付けられる。テンションロッドは、ロータコアの導管46、例えば孔を貫通して延び、該ロッドは、同一コイルの側部分の間、又は隣接するコイルの間を跨ぐことができる。
【0039】
導管46は、真っ直ぐな軸線を有する、ロータコア内のほぼ円筒形の通路である。導管の直径は、ロータの凹状の表面付近における導管端部を除いて、ほぼ一定である。導管は、断熱チューブ52を受けるため、それらの端部のところで大きな直径に拡張することができる。このチューブは、ロッド42を導管内に整合させ、ロータコアとテンションロッドとの間の熱的絶縁を行う。
【0040】
導管46の数とロータコアにおけるそれらの位置は、HTSコイルの位置とコイルの側部分を支持するのに必要とされるコイルハウジングの数によって決まる。導管46の軸線は、レーストラック形コイルによって定められる平面内にほぼある。さらに、導管の軸線は、コイルの側部分に対して直角である。さらに、導管は、ここに示される実施形態では、ロータ軸線に対して直角で、これと交差している。
【0041】
ここに開示される例示的なコイル支持システムは、テンションロッド42及び関連するチャネル形ハウジング44が極低温又はその付近に維持される、低温支持体である。コイル支持部材が低温なので、これらの部材は、例えば断熱チューブ52によって、ロータコア及びロータの他の「高温」構成部品から熱的に隔離される。
【0042】
ロータコアは、周囲の「高」温度状態にある。コイル支持体は、熱がロータコアからHTSコイルに到達するのを許す熱伝導源となる可能性がある。ロータコアは、作動時に高温になる。コイル巻線を超冷却状態に保持しようとすると、コアからコイルへの熱伝導を回避しなければならない。
【0043】
コイル支持システムは、ロータコアから熱的に隔離される。例えば、テンションロッド及びボルトは、ロータと直接接触しない。このように接触しないことにより、ロータからテンションロッド及びコイルへの熱伝導が回避される。さらに、ロータコアから支持組立体を通るコイル巻線内への熱伝導を減少させるため、コイル支持システム構造体の大きさは最小にされてきた。
【0044】
各々のテンションロッド42は、レーストラック形コイルの平面内においてロッドの長さ方向に沿って連続したシャフトである。テンションロッドは、一般的に、チタニウム、アルミニウム又はインコネル合金のような、高強度の非磁性合金で作られる。テンションロッドの長さ方向の連続性は、コイルに対して横剛性を与え、これは、ロータに動的利点をもたらす。さらに、テンションロッドの横剛性は、コイル支持体をコイルと一体にするのを可能にし、ロータの最終的な組み立ての前にコイルをロータコア上にコイル支持体と共に組み立てることができる。
【0045】
テンションロッドの端部の平坦な面86は、コイル巻線の側部の内面を支持する。コイルハウジング44は、全体として、各コイルの側部分40のほぼ全体にわたってコイルに作用する力、例えば遠心力を分散させる。
【0046】
複数のコイルハウジング44は、遠心力による影響なしにコイルを適所に効果的に保持する。コイルハウジングが互いに密接しているものとして示されているが、ハウジングは、遠心荷重、トルク伝達及び過渡的な欠陥状態の際の大きな曲げ歪みと引張歪みによって引き起こされるコイルの劣化を防ぐのに必要とされる程度に近接させるだけでよい。
【0047】
コイル支持体は、ガスタービンの通常の始動/停止作動時に生ずる熱による長さ方向の膨張及び収縮に対してコイルを拘束しない。具体的には、熱膨張は、主として、側部分の長さに沿って向けられる。従って、コイルの側部分は、コイルハウジング及びテンションロッドに対して長さ方向に僅かに摺動する。
【0048】
U形のコイルハウジング44は、極低温において延性である軽量の高強度材料で形成される。コイルハウジングのための一般的な材料は、非磁性体であるアルミニウム、インコネル又はチタニウム合金である。U形ハウジングの形状を最適にして軽量かつ高強度にすることができる。
【0049】
止めピン80は、コイルハウジング及びテンションロッドの孔を貫通して延びる。重さを軽くするために、止めピンは中空としてもよい。ロックナット(図示せず)を、止めピンの両端にねじ込み、又は取り付けて、U形ハウジングを固定し、該ハウジングの両側面が、荷重を受けて別々に広がるのを防ぐ。止めピンは、高強度のインコネル又はチタン合金で作ることができる。テンションロッドの平坦な端部86は、ロッド、コイル及びハウジングが互いに組み立てられるとき、HTSコイルの内面に当接する。この組立体は、止め具を受けるテンションロッドの孔における応力集中を減少させる。
【0050】
ロータ端シャフトは、一般的には、ステンレス鋼のような非磁性材料で作られるが、ロータコア22は、一般的に、鉄のような磁性材料で作られる。一般的に、ロータコア及び端シャフトは、組み立てられ、かつボルト止め又は溶接のいずれかによって互いに固定的に接合されている別々の構成部品である。
【0051】
鉄製ロータコア22は、ステータ12のロータキャビティ16内で回転するのに適したほぼ円筒形状を有する。コイル巻線を受けるために、ロータコアは平らな又は三角形の領域又はスロットのような凹状の表面48を有する。これらの表面48は、円筒形のコアの湾曲した表面に形成され、ロータコアを横切って長さ方向に延びる。コイル巻線34は、凹状の領域48に隣接してロータに取り付けられる。コイルは、一般的に、凹状の領域の外表面に沿って長さ方向に、かつロータコアの両端の周りに延びる。ロータコアの凹状の表面48は、コイル巻線を受ける。凹状の領域の形状は、コイル巻線に一致している。例えば、コイル巻線が、サドル形状又は何らかの他の形状を有する場合には、ロータコアの凹みは、巻線の形状を受けるように構成されることになる。
【0052】
凹状の表面48は、コイル巻線の外表面がロータの回転によって定められる包絡面まで実質的に延びるように、コイルを受ける。ロータコアの湾曲した外表面50は、回転時に、円筒形の包絡面を定める。ロータのこの回転包絡面は、ステータにおけるロータキャビティ16(図1参照)とほぼ同じ直径を有する。
【0053】
ロータ包絡面とステータキャビティ16との間のギャップは、ロータが通風冷却を必要としないので、ステータのみの強制流通風冷却に必要とされるような比較的小さい隙間である。ロータのコイル巻線とステータの巻線との間における電磁的結合を増大させるため、ロータとステータとの間の隙間を最小にするのが望ましい。さらに、ロータによって形成される包絡面まで延びて、ロータとステータとの間の隙間ギャップのみによってステータから離されるように、ロータのコイル巻線を配置するのが好ましい。
【0054】
コイル巻線34の端部分54は、ロータコアの対向した端部56に隣接している。分割型クランプ58は、コイル巻線の端部分の各々をロータ内に保持する。各々のコイル端部54における分割型クランプは、コイル巻線34を間に挟む一対の対向するプレートを含む。クランププレートの表面は、コイル巻線34及び該巻線への接続部39、41及び79を受けるための溝59(図10)を備える。溝59は、コレクタ端シャフトを貫通して延びる薄肉チューブ76の端部に隣接するプレート60の側部に開口を形成する。コレクタリング78とコイル接続部79との間で冷却流路及び電気接点が、チューブ76を貫通して延びる。
【0055】
分割型クランプ58は、アルミニウム又はインコネル合金のような非磁性材料で形成することができる。同じ又は同様の非磁性材料を使用して、テンションロッド、溝ハウジング、及びコイル支持システムの他の部分を形成することができる。強磁性材料は、キュリー転移温度以下の温度では脆性になり、荷重支持構造体として使用することができないので、コイル支持システムは、極低温で延性を保持するために非磁性体であるのが好ましい。
【0056】
分割型クランプ58は、端シャフトのカラー62に囲まれている。しかしながら、分割型クランプ及びコイルは、カラー62と物理的に接触しない。図3には1つのカラーだけが示されているが、ロータコア22の各々の端部にカラー62が取り付けられる。カラーは、ロータのシャフトを形成する材料と同じ又は類似のステンレス鋼のような非磁性材料の厚いディスクである。実際には、カラーはロータシャフトの一部である。カラーは、ロータ軸線と直交し、分割型クランプ58を受け、かつ通過させるのに十分広いスロット64を有する。スロット付きカラーの高温の側壁66は、低温の分割型クランプからギャップによって離間して配置され、それらは互いに接触状態になることはない。コイルのスロット66の側壁とクランプ58及び端部分54との間のギャップは、真空に維持される。従って、ロータカラーと分割型クランプとの間の真空ギャップは、カラーと分割型クランプ及びSCコイルとの間の熱伝達を阻止する断熱体となる。
【0057】
カラー62は、ロータコアの隆起したディスク領域70(対向するカラー内に挿入される隆起したディスク領域については、ロータコアの反対側を参照)を受けるために凹状のディスク領域68(スロット64によって二分されている)を含むことができる。ロータコアの端部56の隆起したディスク領域を凹状のディスク68に挿入することにより、カラー内にロータコアが支持され、ロータコアとカラーとの位置合わせが容易になる。さらに、カラーは、該カラーを貫通し、該カラーのリムの周りを長さ方向に延びる円形配列のボルト孔72を有することができる。これらのボルト孔は、ロータコア中に部分的に延びるねじを切られた適合するボルト孔74に対応する。ねじを切られたボルト孔75が、これらの長さ方向のボルト孔72、74を貫通して延び、カラーをロータコアに固定する。
【0058】
図4は、ロータコア、コイル支持体及びコイルの第1の概略断面図である。さらに、この図は、真空ハウジング100及び電磁(EM)遮蔽体102の第1の実施形態の横断面を示す。真空ハウジングは、コイル巻線の長い側部40を覆って嵌まり、ロータの長さだけ延びるチャネルである。真空ハウジングは、ステンレス鋼のような、非磁性金属で形成することができる。コイル34の各々の長い側部分40は、真空チャネル形ハウジング100を有し、コイルの当該部分を覆って絶縁真空を形成する。
【0059】
ハウジング100は、一対の側壁104を有し、該側壁の各々は、ロータコアの平らな表面48の長さだけ延びるスロット106内に嵌まるダブテール脚部を有する。コイル巻線とコイル支持体の両側にスロット106が設けられる。側壁のダブテールとロータコアの表面48上のスロット106との間の係合は、気密シールを形成する。
【0060】
図4に示される実施形態では、EM遮蔽体102が、真空容器、コイル及びコイル支持構造体を覆って形成される。遮蔽体は導体であり、アルミニウムで形成することができ、構造支持体にもなる。遮蔽体は、ロータコア上の平らな表面48の一方の側から平らな表面の反対側まで延びる弧を形成する。遮蔽体の弧は、真空容器を覆って延びる。真空容器の頂部プレート108は、湾曲した表面を有し、EM遮蔽体に対して支持を与える。別の構成では、真空容器の頂部プレートは、ロータの他の部分を被覆するEM遮蔽体セグメントに取り付けるEM遮蔽体の一部を形成することもできる。
【0061】
EM遮蔽体はまた、EM遮蔽体の下面に及びコア表面48とチャネル形ハウジングの側壁とによって形成される隅部に嵌まる三角形ブレース110によっても支持される。ブレースは、EM遮蔽体及び真空チャネルのための構造支持体を形成するリブ112を有することができる。さらに、ブレースは、その質量を減少させるため、開放中央領域114を有することができる。ブレースは、真空チャネルの両側にあり、コアの長さに沿って間隔を置いて配置される。ブレースの数は、遮蔽体に作用する可能性がある大きな力に抗して遮蔽体を支持するように選定される。
【0062】
ロータ表面48及びチャネル形ハウジングの側壁104に当接するブレースの側部は、リップ116を有し、ロータ表面及びチャネルの側壁上の合致するリップに係合することができる。これらのリップの間の係合は、チャネル形ハウジングをブレース及びロータ表面のスロット106に固定するのを助ける。さらに、テンションボルト116は、ブレースを貫通してロータコア内に延び、ブレースをロータコアに取り付ける。真空ハウジングはまた、側壁と一体であり、SCコイル34及びコイル支持体を覆って延びる頂部プレート108を含む。真空チャネルの端部は、開放しており、コア22の両端部のところでカラー62のスロット66に対してシールされる。
【0063】
図4に示される実施形態では、ブレースとEM遮蔽体は一体である。EM遮蔽体102とブレースは、チャネル形ハウジング100上に嵌まり、ロータ表面48にボルト118で止められる単一の機械加工したアルミニウム構成部品で形成される。別の実施形態では、EM遮蔽体は、部分的に、真空容器の頂部プレート108によって形成することができる。EM遮蔽体はまた、ブレースを被覆し、頂部プレートの両側にある弧状片を含むようにすることがでできる。EM遮蔽体の弧状表面は、ロータコアの弧状表面50によって形成される円筒形表面に連続する。EM遮蔽体は、ロータコアの弧状表面50上には延びない。両方のEM遮蔽体102がロータコアに取り付けられるとき、ロータコア及び両方のEM遮蔽体によって完全な円筒形表面が形成される。図4には1つのEM遮蔽体102のみが示されているが、EM遮蔽体の実施にあたっては、コイルの両方の側部40を覆って遮蔽体を設けることになる。
【0064】
電磁(EM)遮蔽体は、真空境界部として機能することには関係ない。内部真空境界部、例えばチャネル形真空ハウジングが、超伝導コイルを取り囲むように構成される。シャフトの接続シームのところで、真空ハウジングは、シール片を使用して端シャフトのカラーのスロットにシールされる。これらのスロットは、分割型クランプ58及びコイルハウジングの端部分を収納する。EM遮蔽体及び遮蔽体支持体は、真空チャネル形ハウジングに隣接して或いは真空チャネル形ハウジング上に組み立てられる。遮蔽体は、EM保護を行うように電気的に接続される単一の又は多数の円筒形部分で形成される。
【0065】
図5は、ブレース122から分離したEM遮蔽体120の第2の実施形態を示す。図5に示されるチャネル形ハウジング100は、図4に示されるハウジング100と同じである。この実施形態では、EM遮蔽体120は、ロータコア上に嵌まり、コアの弧状表面50及び平らな表面48を被覆する円筒体である。ブレース122は、ロータの表面48にボルト118で止められた個々の三角形のアルミニウム片である。ブレースは、チャネル形ハウジングをロータコア上のスロット106に固定し、ハウジングの側壁104を支持する。さらに、ブレースは、EM遮蔽体120を支持する。ブレース122の数及び各真空ハウジングの両側に沿ったブレースの間隔は、設計上の選択事項である。内側ブレース122は、主として、構造的支持のためのものであり、アルミニウム又は非導電性材料で形成することができる。EM遮蔽体は、EM遮蔽体120の穴を介して釣合い用の鋼鍛造品への接近を可能にし、EM遮蔽体120に対するロータへの直接的な接近を可能にする。
【0066】
図6は、部分的に組み立てられたロータコア22と端シャフト24との概略図である。ロータコア、巻線、真空ハウジング及び他の構成部品の寸法は、図6においては例示的な目的のため誇張されている。ロータコア22は、コイル巻線34(真空ハウジング100によって部分的に隠れている)がカラーのスロット64(図3参照)内に嵌まるように、端シャフトのカラー62に取り付けられる。シール124は、カラーとロータコアとの間に気密接合部を与える。シール124は、図7において横断面で示されている。シールは、真空チャネル形ハウジング100の端部とカラーとの間から空気が漏れないことを保証する。チャネル形ハウジングがロータコアの周りに延びる時コイル34の周りに真空が形成されることができるように、チャネル形ハウジングの端部は、カラーのスロット64の縁部にシールされる。
【0067】
図8、図9、図10及び図11は、コイル支持構造体とコイル巻線のロータ内への組み立て過程を概略的に示す。図9に示されるように、ロータコアがロータの端シャフト及びロータの他の構成部品と組み立てられる時、ロータコアを貫通して延びる導管46の各々に、テンションロッド42が挿入される。各テンションロッドの各端部における断熱チューブ52は、導管46の各端部のところの拡張端部88に置かれる。チューブ52は、保持用ロックナット84によって適所に固定される。ボルト43は、ロータコアの導管内にテンションロッドを挿入する前或いは挿入した後に挿入することができる。
【0068】
図9に示されるように、SCコイル34は、テンションロッド42の平らな端部86がSCコイルの側部分40の内面に当接するように、ロータコア上に挿入される。コイル巻線がテンションバーの端部上に挿入されると、コイルハウジング44が、SCコイルを覆って挿入される。テンションロッドとコイルハウジングのそれぞれの孔へ止めピン80を挿入することによって、コイルハウジングをテンションバーの端部に固定する。
【0069】
複数のコイルハウジングは、遠心力による影響を受けることなしに、コイルを適所に効果的に保持する。コイルハウジングが互いに密接しているものとして示されているが、ハウジングは、遠心荷重、トルク伝達及び過渡的な欠陥状態の際の大きな曲げ歪みと引張歪みによって引き起こされるコイルの劣化を防ぐのに必要とされる程に近接させるのみでよい。
【0070】
ロータコアとコイルをカラー及びロータの他の構成部品と組み立てる前に、コイルハウジング及びテンションロッドをコイル巻線と組み立てることができる。従って、ロータ及び同期機械の他の構成部材の組み立て前に、ロータコア、コイル巻線及びコイル支持システムを1つのユニットとして組み立てることができる。
【0071】
図10は、クランププレート60によって形成される分割型クランプ58の組立体を示す。クランププレート60は、それらの間に、コイル巻線の端部分54を挟む。分割型クランプは、コイル巻線34の端部に対して構造的支持を与える。分割型クランプのプレート60は、それらの内表面に、コイル巻線を受ける溝を含む。同様に、プレートは、ガスの入口/出口冷却ライン39、49、及び、コイルとの電気的接続部79のための溝59を含む。これらのライン及び接続部は、コレクタ端シャフト34内に設けられるチューブ76(図3)を貫通して延びる。
【0072】
図11は、コイルの側部分40を覆って組み立てられた真空チャネル形ハウジング100を示す。ブレース118は、ハウジングの両側に置かれ、ロータコアの表面48にボルト止めされる。コイルの端部と真空ハウジングがカラーのスロット64と整合するように、カラーは、ロータコアにボルト75で止められる。カラーとロータコア及び真空ハウジングとの間の接合部のところにシール124(図6参照)が配置される。コイル支持体、コイル、カラー及びロータコアが組み立てられると、側部分40及び端部分56を含むコイル34の周りに真空を形成することができる。真空は、コアの両側における一対の真空チャネル形ハウジング、カラー62のスロット64、及びカラーと真空ハウジングの端部との間のシール124によって形成される。組み立てられると、ロータは、低温コイル状態の下で釣合いを行うことができる状態になる。
【0073】
図4の形態では、EM遮蔽体は、極片22を被覆せず、従って、釣合い重りの配置のためロータ鍛造品への無制限の接近を与える。図5の形態では、EM遮蔽体は、ロータの全周囲の周りに延びる。EM遮蔽体が真空包囲体の機能を果たさないので、釣合い重りの配置のためロータ鍛造品22に接近する幾つかの穴をEM遮蔽体に形成することができる。従って、図4及び図5の両方の遮蔽体の概念では、EM遮蔽体は、釣合いの目的のためにロータへの無制限の接近を与える。その結果、極低温状態の下でロータを釣合わせることができる。
【0074】
本発明を、現在最も実用的かつ好ましい実施形態である考えられるものに関連して説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではなく、逆に、特許請求の範囲の技術思想に含まれる全ての実施形態を保護することを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 超伝導ロータ及びステータを有する同期電気機械の概略側面図。
【図2】 例示的なレーストラック形超伝導コイル巻線の斜視図。
【図3】 鉄製コアを備える高温超伝導(HTS)ロータの構成部品の分解図。
【図4】 真空チャネル及びEM遮蔽体の第1の実施形態を示すロータの横断面の概略図。
【図5】 真空チャネル及びEM遮蔽体の第2の実施形態を示すロータの横断面の概略図。
【図6】 真空チャネルを備えるロータの概略斜視図。
【図7】 ロータコアと端シャフトのカラーとの間のシールの概略拡大図。
【図8】 図3に示すHTSロータの組み立て過程を示す斜視図。
【図9】 図3に示すHTSロータの組み立て過程を示す斜視図。
【図10】 図3に示すHTSロータの組み立て過程を示す斜視図。
【図11】 図3に示すHTSロータの組み立て過程を示す斜視図。
【符号の説明】
10 同期発電機械
12 ステータ
14 ロータ
16 ロータキャビティ
19 ステータのコイル巻線
20 ロータ軸線
22 ロータコア
24 コレクタ端シャフト
26 極低温剤移送継手
30 駆動端シャフト
32 動力継手
34 超伝導コイル巻線
78 コレクタリング

Claims (11)

  1. 同期機械におけるロータであって、
    ロータコアと、
    該ロータコア上に取り付けられ、
    前記ロータコアの円周方向外側に位置付けられかつ前記ロータコアの側部に沿って延びる側部を有する超伝導コイルと、
    前記コイルの前記側部分のうちの少なくとも1つを跨ぐ真空ハウジングと、
    該真空ハウジング及び前記コイルの側部分を覆って設けられた導電遮蔽体と、
    を含み、
    前記少なくとも1つの前記コイルの前記側部分が、3つの面において前記真空ハウジングに囲まれるように、前記真空ハウジングは、頂部プレートと、一対の対向する側壁を有しており、
    前記一対の側壁と前記ロータコアの前記側部との間に気密シールを形成していることを特徴とするロータ。
  2. 前記真空ハウジングが、前記ロータコアの前記側部に沿って長さ方向に延びるチャネル形ハウジングであり、前記ロータコアの前記側部は平坦であり、前記コイルの側部と前記真空ハウジングは、前記平坦な側部の半径方向外側において延びることを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
  3. カラーと該カラーのスロットとを有するロータ端シャフトを更に含み、前記真空ハウジングが前記スロットに対してシールされ、前記コイルの端部分が前記スロット内に延びることを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
  4. 前記ロータコアの側部は、前記ロータコアを横切って長さ方向に延びる平らな表面であり、前記真空ハウジング及び前記導電遮蔽体を支える複数のブレースを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
  5. 軸線を有するロータコアと、
    該コアの端部から軸線方向に延び、該コアの端部に隣接するスロットを有する端シャフトと、
    前記コア軸線に対して平行で、前記ロータコアの半径方向外側において延びる少なくとも1つのコイル側部と、前記コア軸線と直交する少なくとも1つのコイル端部とを有する超伝導ロータコイルと、
    前記コイル側部を覆って設けられ、前記スロットに対してシールされて、前記コイルの周りに真空領域を形成する真空ハウジングと、
    を含み、
    前記コイル端部が前記端シャフトの前記スロットを貫通して延び、
    前記真空ハウジングが、矩形の断面形状を有し、
    前記コイル側部が、複数の面において前記真空ハウジングに囲まれるように、前記真空ハウジングは、更に、頂部プレートと、一対の対向する側壁を有しており、
    前記一対の側壁と前記ロータコアとの間に気密シールを形成していることを特徴とするロータ。
  6. 前記コイル側部を覆って設けられた導電遮蔽体を更に含むことを特徴とする、請求項5に記載のロータ。
  7. 軸線を有するロータコアと、
    該コアの両端部から軸線方向に延び、前記コア端部に隣接するスロットを各々が有する一対の端シャフトと、
    前記コア軸線に対して平行で前記コアの対向する側面に隣接し、前記ロータコアの半径方向外側において延びる少なくとも1つのコイル側部分を有する超伝導ロータコイルと、
    を含み、
    前記コイルが、前記コア軸線と直交し、前記コアの前記端部に隣接するコイル端部分を有し、該コイル端部分の各々が、前記端シャフトの前記スロットの1つを貫通して延び、
    真空ハウジングが、前記各コイル側部分を覆って設けられ、前記スロットの1つに対して各々がシールされる端部を有し、
    前記コイル側部が、複数の面において前記真空ハウジングに囲まれるように、前記真空ハウジングは、更に、頂部プレートと、一対の対向する側壁を有しており、
    前記一対の側壁と前記ロータコアとの間に気密シールを形成し、
    前記コイルの周りの真空領域が、前記対の端シャフトの前記スロット及び前記各コイル側部分を覆って設けられた真空ハウジングによって形成される、
    ことを特徴とするロータ。
  8. 前記コイル側部分を覆って設けられ、前記端シャフトと部分的に重なる導電遮蔽体を更に含み、
    前記遮蔽体が、前記コアの周りの円筒体であることを特徴とする特徴とする、請求項7に記載のロータ。
  9. 前記コイル側部分を覆って設けられ、前記端シャフトと部分的に重なる導電遮蔽体を更に含み、
    前記遮蔽体が、前記コアの長さだけ延び、前記コアの円周の周りに部分的にのみ延びる弧状片であることを特徴とする、請求項7に記載のロータ。
  10. 同期機械のロータコアにおける超伝導コイル巻線の周りに真空を形成するための方法であって、
    a.前記ロータコアと前記ロータコアの半径方向外側において延びるコイル側部分を有する前記コイル巻線を組み立てる段階と、
    b.端シャフトを前記コアに同軸に取り付ける段階と、
    c.前記コイル側部分を覆って真空ハウジングを跨がせ、前記コイル側部分が3つの面において前記真空ハウジングに囲まれ、前記コイル側部分の4番目の面が前記ロータコアに近接するように該真空ハウジングを前記ロータコアに対してシールする段階と、
    d.前記真空ハウジングを前記端シャフトに対してシールして、前記コイル巻線の周りに真空領域を形成する段階と、
    を含むことを特徴とする方法。
  11. 端シャフトの間の各接合部のところにスロットを形成し、該スロットが、前記コイル巻線の端部分を受け、前記真空ハウジングを前記スロットに対してシールすることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
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