JP4040354B2 - 充填治具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体を収容するドラム缶等の充填容器に液体を簡易に供給するための充填治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学工場では、反応槽や貯槽から、液状または固体状の原料、中間体、及び製品をドラム缶等の充填容器に抜き出す操作や作業が多く行われる。これら液状等の原料、中間体、及び製品は、ほとんどの場合、蒸気圧を持つので、ドラム容器への抜き出し等の作業中に製品等から臭気が発生する。このような臭気は、有害な場合が多く、抜き出し作業を行う作業者の健康を配慮する必要があり、また、環境汚染の原因になるような物質の拡散を回避する必要がある。
【0003】
このため、ドラム容器に製品等を充填する作業に際して、すなわち充填中やその前後において、フレキシブルダクトや携帯用吸引ダクトを用いて、製品等から発生する臭気性の蒸気を吸引するなどの簡易な方法がとられている。具体的には、フレキシブルパイプをドラム容器の充填口に挿入して製品等をドラム容器に導入しつつ、ドラム容器の充填口の近くにフレキシブルダクト等の吸引排気口を配置して、局部的な除害を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような簡易な方法では、フレキシブルダクトの吸引排気口を充填口の近くに手作業で配置するのみであることから、充填口の周辺を十分に吸引排気することができず、除害が不完全になりやすい。また、製品等の液体をドラム容器に充填する作業中に製品等を吐出させるフレキシブルパイプが充填口に対して位置ずれすると、吸引排気等の作用等によって充填口の周辺に製品等が飛散したり、結果として充填量の計量が不正確になったりする場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、原料、中間体、製品等の液体を充填容器に供給する際に、臭気または充填物の拡散を簡易な方法でほぼ完全防止できる充填治具を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、原料、中間体、製品等の液体等を充填容器に供給する際に、製品等が充填口の周辺に飛散することを簡易に防止でき、充填量の計量を簡易にすることができる充填治具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る充填治具は、液体若しくは固体の供給源から延びる配管に連結可能な連結部を根元側に有する充填パイプ部材と、当該充填パイプ部材の周辺のガスを吸引するため前記充填パイプ部材の周囲に延在する局所排気フードとを備える。
【0008】
上記充填治具では、局所排気フードが前記充填パイプ部材の周囲に延在するので、液体若しくは固体の充填に際して、支持パイプ部材を充填容器の充填口に対向して配置することで、充填容器の充填口の周辺を十分に吸引排気することができる。
【0009】
また、上記充填治具の具体的な態様では、前記局所排気フードを前記充填パイプ部材に対して所定位置に保持可能な保持手段をさらに備える。この場合、充填容器に液体若しくは固体を供給する前後においては、保持手段によって前記局所排気フードを前記充填パイプ部材に対して所定位置に保持させるだけで、例えば充填容器と前記局所排気フード等を離間させて簡易にこれらの干渉を回避できるので、充填中における計量や、複数の充填容器への充填操作が簡易なものとなる。
【0010】
また、上記充填治具の別の具体的な態様では、前記充填パイプ部材の先端側を内部に挿通させて当該充填パイプ部材に対して軸方向に移動するとともに、前記局所排気フードを支持して当該局所排気フードとともに移動する支持パイプ部材をさらに備える。この場合、支持パイプ部材を適宜昇降させて充填容器の充填口に挿入することにより、充填パイプ部材の先端を充填容器の充填口に対向して案内することができ、充填パイプ部材から吐出される液体や固体を充填容器中に確実に導入することができる。さらに、充填パイプ部材の先端から液体や固体を充填容器の充填口に吐出させる場合に、支持パイプ部材がガードとなって、充填パイプ部材の先端から吐出される液体や固体と干渉することなく、充填容器の充填口の周辺を十分に吸引排気することができる。
【0011】
また、上記充填治具の別の具体的な態様では、前記保持手段が、充填パイプ部材の周囲に形成されて鉤状部分を有するガイド溝と、前記支持パイプ部材の内面側に突起して前記ガイド溝に係合する突起部とを有する。この場合、ガイド溝の鉤部分に突起部を導くという簡易な機構及び操作によって、支持パイプ部材等を前記充填パイプ部材に対して所定位置すなわち退避位置に保持させることができる。
【0012】
また、上記充填治具の別の具体的な態様では、前記保持手段が、前記支持パイプ部材の内面側に前記突起部から前記支持パイプ部材の軸方向に離間して突起するとともに、前記ガイド溝に係合する補助突起部をさらに有する。この場合、突起部と補助突起部とによって、前記支持パイプ部材に対して充填パイプ部材が支持されることになるので、前記支持パイプ部材中で充填パイプ部材ががたつくことなく滑らかに移動することになる。
【0013】
また、上記充填治具の別の具体的な態様では、前記充填パイプ部材が、先端部の周囲に先端に向けて径が小さくなる段差を有する。この場合、充填パイプ部材の先端からの吐出が終了した液体や固体が先端の開口周辺から滴りやすくなり、液切れを良好なものとできる。
【0014】
また、上記充填治具の別の具体的な態様では、前記充填パイプ部材の先端の開口に掛け渡されて前記充填パイプ部材の先端方向に突出する棒状部材をさらに備える。この場合、充填パイプ部材の先端からの吐出が終了した液体を棒状部材を介して効率的に滴らせることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る充填治具の具体的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、実施形態の充填治具の使用状態を説明する図である。この充填治具100は、充填パイプ部材20を介して、原料タンク、反応容器等の液体供給源から延びる配管92に接続されており、下方に配置した充填容器であるドラム容器94中に配管92から供給される原料、中間体、製品等の液体を吐出する。
【0017】
配管92は、開閉バルブ92aを備え、充填治具100を介してドラム容器94中への液体の吐出を開始、又は停止させることができる。また、配管92は、図示を省略する流量計等を備えており、ドラム容器94中への液体の吐出量を監視することができる。
【0018】
ドラム容器94は、上部に充填用の開口94aを有し、この開口94aには、充填治具100の充填パイプ部材20の先端側を内部に案内する支持パイプ部材30の先端が挿入される。ドラム容器94の開口94aからは、周囲に臭気性のガスが発散するが、この種のガスは、充填治具100に設けた局所排気フード40及びこれから延びるフレキシブル・ホース96を介して、図示を省略するガス処理装置であるエゼクタに排出される。
【0019】
上記の充填治具100において、支持パイプ部材30及び局所排気フード40は、後に詳述するように、充填パイプ部材20に対して昇降可能になっており、図示の充填位置から上昇して、ドラム容器94の開口94aと干渉しない待機位置に移動可能になっている。
【0020】
図2は、充填治具100の構造を説明する斜視図であり、図3は、充填治具100の側面図である。この充填治具100は、図1の配管92に連結するための連結部であるフランジ21を根元側に有する充填パイプ部材20と、充填パイプ部材20のパイプ部23を内部に挿通させるとともに充填パイプ部材20に対して軸方向に移動する支持パイプ部材30と、支持パイプ部材30に固定されて周囲に延びて支持パイプ部材30とともに昇降する局所排気フード40と、支持パイプ部材30及び局所排気フード40を昇降させるための3つの棒状のハンドル50とを備える。
【0021】
充填パイプ部材20は、SUS304やSUS316等の金属で形成されており、締結用の孔21aを有する根元側のフランジ部21と、フランジ部21から直管状に下方に延びる先端側のパイプ部23とを備える。フランジ部21は、図1に示す配管92に孔21aを利用してボルト等で締結される。パイプ部23は、フランジ部21中央の開口21bに連通しており、例えば外径約34mm、長さ260mmといった寸法を有する。パイプ部23の周囲には、幅7mm程度の3つのガイド溝25が形成されている。各ガイド溝25は、パイプ部23の軸方向に延びる直線部分25aと、この直線部分25aから延びる一対の鉤状部分25b、25cとを有する。なお、後に詳述するが、これらのガイド溝25には、ハンドル50の根元側端部に形成した突起部(不図示)が嵌り込む。
【0022】
支持パイプ部材30は、SUS304やSUS316等で形成されており、例えば外径約43mm、長さ190mmといった寸法を有する。支持パイプ部材30の内径は、充填パイプ部材20のパイプ部23の外径よりもわずかに大きくなっており、このパイプ部23を支持パイプ部材30内で軸方向に摺動させることができる。また、支持パイプ部材30の内径は、ドラム容器94の開口94aの直径(通常60〜61mm)よりも小さなものとする必要がある。さらに、充填治具100とドラム容器94の位置合わせに際しての許容度を確保する観点から、実施形態のように、支持パイプ部材30をさらに20mm程度細くすることが好ましい。一方、支持パイプ部材30の長さは、局所排気フード40の下端から30〜40mm程度突出させる。これは、局所排気フード40がドラム容器94の上部に当接した段階(充填位置)で、支持パイプ部材30の先端が開口94a内に挿入されるようにしたものである。
【0023】
局所排気フード40は、透明な耐薬品性の樹脂材からなり、円錐状の傘部41と、ハンドル50を支持するネック部42とを備える。傘部41は、ネック部42と一体的に形成され或いは溶接されて接続されている。傘部41の本体41aの外周端には、ここから下方に延びる環状部41bが設けられており、本体41aの周辺端に近い部分には、表面から垂直方向に延びる円筒状の局部排気口41cが本体41aと一体的に形成され或いは溶接されて接続されている。局部排気口41cは、図1に示すフレキシブル・ホース96に接続される。ここで、傘部41の下端の直径は300mm程度であり、傘部41の上端すなわちネック部42の直径は80mm程度となっている。また、局所排気フード40の肉厚は、3mm程度としている。なお、傘部41の下端の直径は、ドラム容器94の上面から1/3〜1/5はみだすように設計している。また、ドラム容器94の上面外周には、環状の突起であるドラムシームが形成さており、局所排気フード40はドラム容器94の上面に密着していない。これらの条件により、局所排気フード40がドラム容器94に強く吸引されることを防止でき、ハンドル50による局所排気フード40の昇降の操作性が向上する。
【0024】
3つのハンドル50は、支持パイプ部材30を中心にしてその周りに角度を120゜づつずらした状態で、支持パイプ部材30に対して放射状に固定されている。各ハンドル50は、直径8mm程度であり、180cm程度の長さを有する。これらのハンドル50は、3つが協動して、局所排気フード40を支持パイプ部材30の周囲に固定する。作業者は、いずれか2つのハンドル50を手に持って上下させることにより、支持パイプ部材30及び局所排気フード40を一体として昇降させることができる。局所排気フード40が最も降下した実線で示す下端位置と、局所排気フード40が最も上昇した一点鎖線で示す退避位置と間の距離すなわちストロークは、例えば15〜30cmとするのが好適である。
【0025】
図4は、ハンドル50による、支持パイプ部材30と局所排気フード40等との固定を説明する図である。各ハンドル50の根元側の周囲には、雄ネジ50aが形成されており、各ハンドル50の根本側端部51は、支持パイプ部材30の上端部31に形成した雌ネジ31aにネジ止めされている。この根本側端部51の先端に形成した突起部52は、支持パイプ部材30の内面側に突起して図2及び図3に示すガイド溝25に係合する。各ハンドル50の根元側端部51よりも先端側であって雄ネジ50aを形成した部分は、局所排気フード40のネック部42に設けた孔42aに通されており、この孔42の外側には、一対のナット52が雄ネジ50aに螺合して固定されている。つまり、雄ネジ50aに固定したナット52により、ネック部42を周囲から位置決めして固定することができる。
【0026】
なお、支持パイプ部材30に形成した雌ネジ31aの下方にも、雌ネジ30aが形成されている。この雌ネジ30aには、短いネジ70がネジ込まれて固定されている。このネジ70の先端に形成した突起部72は、支持パイプ部材30の内面側に突起して図2及び図3に示すガイド溝25に係合する。この突起部72は、補助突起部を構成し、支持パイプ部材30中で充填パイプ部材20のパイプ部23ががたつくことを防止して、パイプ部23すなわち局所排気フード40の滑らかな昇降を可能にしている。
【0027】
図5は、充填治具100の構成部品の断面図であり、図5(a)は、充填パイプ部材20の側方断面図であり、図5(b)は、支持パイプ部材30の側方断面図であり、図5(c)は、局所排気フード40の側方断面図である。
【0028】
図5(a)に示すように、パイプ部23は、密着溶接された2重構造の管材26、27からなる。外側の管材27には、3つのガイド溝25に対応する切欠が打抜きによって形成されており、この切欠と内側の管材24の側面とによって、矩形状の断面を有するガイド溝25が形成される。なお、一点鎖線で示すガイド溝25は、紙面に垂直な手前方向に形成されており、各ガイド溝25は、パイプ部23の周囲の3方向に均等に配置されている。ガイド溝25に設けた一対の鉤状部分25b、25cの上下方向の間隔は、50mm程度となっており、図4に示す一対の突起部52、72の間隔と等しくなっている。つまり、一対の突起部52、72は、支持パイプ部材30とともに間隔を保ってガイド溝25内を移動する。そして、ハンドル50を利用して支持パイプ部材30を上端に移動させて、反時計方向に回転させた後に降下させることにより、一対の突起部52、72が一対の鉤状部分25b、25cの下端にそれぞれはまる。これにより、支持パイプ部材30すなわち局所排気フード40が上方の退避位置に保持される。
【0029】
外側の管材27は、下端部分で、内側の管材26よりも2〜5mm程度短くなるように配置・固定されている。このように外側の管材27を短くして段差を形成しているのは、パイプ部23の下端を細くすることにより、ここから吐出される液体の液切れを良くするためである。また、内側の管材26の下端には、折れ曲がった直径2、3mm程度の棒状部材すなわち液垂れ誘導部材28が開口に渡されるように取り付けられている。一対の管材27、管材26の下端における寸法差や液垂れ誘導部材28の形状は、液の粘性等に応じて適宜変更することができる。
【0030】
図5(b)に示すように、支持パイプ部材30の上端部31の周囲には、等間隔で3つの雌ネジ31aが形成されている。これらの雌ネジ31aには、図2及び図3に示すハンドル50の根元側端部51がそれぞれねじ込まれる。また、各雌ネジ31aの下方には、等間隔で3つの雌ネジ30aが形成されている。これらの雌ネジ30aには、図4に示すネジ70がそれぞれねじ込まれる。
【0031】
図5(c)に示すように、局所排気フード40のネック部42の周囲には、等間隔で3つの孔42aが形成されている。これらの孔42aには、図2及び図3に示すハンドル50の根元側がそれぞれ通される。ネック部42の上部開口42cは、ネック部42の外径よりも30mm程度小さくなっており、臭気が局所排気フード40の上方に拡散することを防止している。傘部41に取り付けた局部排気口41cは、傘部41の内部空間に連通している。
【0032】
以下、図1〜図5に示す充填治具100の動作について説明する。まず、充填治具100をフランジ部21を利用して配管92に固定する(図1参照)。次に、ハンドル50を利用して支持パイプ部材30とともに局所排気フード40を上端まで移動させて、反時計方向に止まるまで回転させた後に、支持パイプ部材30及び局所排気フード40をともに自重で降下させることにより、支持パイプ部材30の内面に突出する一対の突起部52、72が一対の鉤状部分25b、25cの下端にそれぞれはまる。これにより、支持パイプ部材30すなわち局所排気フード40が上方の退避位置に保持される(図3の一点鎖線参照)。この際、支持パイプ部材30の下端から、パイプ部23の下端が露出する。
【0033】
次に、ドラム容器94を配管92の下方に移動させて、充填パイプ部材20の15〜30cm程度下方に開口94aが位置するように配置する。
【0034】
次に、ハンドル50を利用して支持パイプ部材30とともに局所排気フード40を一旦上昇させて、時計方向に止まるまで回転させた後に、支持パイプ部材30及び局所排気フード40をともに自重で降下させることにより、局所排気フード40の環状部41bの下端がドラム容器94の上端に当たる充填位置まで降下させる(図3の実線、図1参照)。これにより、支持パイプ部材30の下端がドラム容器94の開口94aを介してドラム容器94の内部に挿入される。この際、局所排気フード40が微妙に昇降可能になっているので、充填治具100とドラム容器94の高さが毎回同じでなくとも、支持パイプ部材30の下端をドラム容器94の開口94aに確実に挿入することができる。
【0035】
次に、局所排気フード40にフレキシブル・ホース96を介して連結されたエゼクタを動作させて、局所排気フード40の内部空間中のガスを吸引・排気する。
【0036】
次に、開閉バルブ92aを開放して、液体供給源からの原料、中間体、製品等の液体をパイプ部23すなわち支持パイプ部材30の下端からドラム容器94中に吐出させる。この際、ドラム容器94の開口94aから発散する臭気性のガスは、局所排気フード40を介してエゼクタに吸引されて適宜無害化の処理が行われる。また、ドラム容器94中への液体の吐出量を監視することにより、ドラム容器94に充填された液体の一応の計量が可能になる。
【0037】
さらに、正確な計量が必要な場合、一旦ハンドル50を利用して局所排気フード40を上方の退避位置に移動させる。これにより、支持パイプ部材30の下端がドラム容器94の開口94aから引き抜かれ、ドラム容器94と充填治具100との干渉がなくなる。その後、ドラム容器94の開口94aに蓋をして、充填治具100の下方から移動させて、別途設けた計量装置まで搬送する。ドラム容器94への充填量が不足する場合、最初に戻って、充填量が不足するドラム容器94を配管92の下方に移動させて、充填パイプ部材20の15〜30cm程度下方に開口94aが位置するように配置する。その後は、以上で説明した動作を繰り返す。
【0038】
ドラム容器94への液体の正確な充填が完了した場合、再度ハンドル50を利用して局所排気フード40を上方の退避位置に移動させる。これにより、支持パイプ部材30の下端がドラム容器94の開口94aから引き抜かれ、ドラム容器94と充填治具100との干渉がなくなる。その後、ドラム容器94の開口94aに蓋をして、充填後のドラム容器94を充填治具100の下方の充填位置から倉庫、搬送車等に移動させる。
【0039】
なお、ドラム容器94の高さは、容量200Lで900mm前後であり、容量100Lで700mm前後であるので、ドラム容器94のサイズに合わせて、充填治具100の退避位置や充填位置を変更する必要がある。この場合、ドラム容器94の高さに応じて、複数のサイズの異なる充填治具100から適切なサイズを選択して治具を交換したり、充填治具100と配管92の間に高さ調節用の配管を挿入したり、ドラム容器94を設置する作業台の高さを調節したり、ドラム容器94を搬送するフォークリフト等の搬送装置自体によって直接的に高さを調節したりすることができる。
【0040】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、充填治具100を介して液体をドラム容器94中に充填する場合について説明しているが、この充填治具100で固体をドラム容器94中に充填することも可能である。すなわち、上記実施形態で説明した充填治具100を原料タンク、反応容器等の固体供給源から延びる配管に接続し、この配管から供給される原料、中間体、製品等の固体を充填パイプ部材20、支持パイプ部材30等を介してドラム容器94中に吐出させることができる。この場合、ドラム容器94に充填すべき固体からの臭気ガスを簡易かつ適切に処理することができる。
【0041】
また、局所排気フード40は、上記実施形態のように樹脂材に限らず、SUS等の金属材料で形成することもできるが、軽量化及び作業性の確保という観点から、透明樹脂が好ましい。なお、ドラム容器94に充填する液体が溶媒を含む場合、溶媒で局所排気フード40が膨潤する可能性もあるので、溶媒の種類に応じて局所排気フード40の材質を選択し、充填治具100による作業種類ごとに局所排気フード40を交換することもできる。
【0042】
また、支持パイプ部材30や局所排気フード40は、SS材、樹脂材等で形成することもできるが、耐薬品性、機械的耐久性の観点で、実施形態のようにSUS材で形成することが好ましい。
【0043】
また、ガイド溝25の数、配置形状、溝断面形状等も、充填治具100の使用状況、サイズ等に応じて適宜変更可能である。例えば、一対の突起部52、72が移動しやすいように、ガイド溝25において、部分A等の箇所(図2参照)で形状にR(丸み)を設けることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る充填治具によれば、局所排気フードが前記充填パイプ部材の周囲に延在するので、液体若しくは固体の充填に際して、支持パイプ部材を充填容器の充填口に対向して配置することで、充填容器の充填口の周辺を十分に吸引排気することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の充填治具の使用状態を説明する図である。
【図2】実施形態の充填治具を説明する斜視図である。
【図3】実施形態の充填治具を説明する側面図である。
【図4】ハンドルによる支持パイプ部材と局所排気フード等との固定を説明する断面図である。
【図5】(a)は、充填パイプ部材の側方断面図であり、(b)は、支持パイプ部材の側方断面図であり、(c)は、局所排気フードの側方断面図である。
【符号の説明】
20 充填パイプ部材
23 パイプ部
25 ガイド溝
30 支持パイプ部材
40 局所排気フード
50 ハンドル
52,72 突起部
94 ドラム容器
94a 開口
100 充填治具

Claims (5)

  1. 液体若しくは固体の供給源から延びる配管に連結可能な連結部を根元側に有する充填パイプ部材と、
    当該充填パイプ部材の周辺のガスを吸引するため、前記充填パイプ部材の周囲に延在する局所排気フードと
    前記充填パイプ部材の先端側を内部に挿通させて当該充填パイプ部材に対して軸方向に移動するとともに、前記局所排気フードを支持して当該局所排気フードとともに移動する支持パイプ部材と、
    前記局所排気フードを前記充填パイプ部材に対して軸方向に沿った所定位置に保持可能な保持手段と
    を備える充填治具。
  2. 前記保持手段は、充填パイプ部材の周囲に形成されて鉤状部分を有するガイド溝と、前記支持パイプ部材の内面側に突起して前記ガイド溝に係合する突起部とを有することを特徴とする請求項1記載の充填治具。
  3. 前記保持手段は、前記支持パイプ部材の内面側に前記突起部から前記支持パイプ部材の軸方向に離間して突起するとともに前記ガイド溝に係合する補助突起部をさらに有することを特徴とする請求項2記載の充填治具。
  4. 前記充填パイプ部材は、先端部の周囲に先端に向けて径が小さくなる段差を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の充填治具。
  5. 前記充填パイプ部材の先端の開口に掛け渡されて前記充填パイプ部材の先端方向に突出する棒状部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載の充填治具。
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