JP4040122B2 - 変倍光学系及びそれを用いた撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は変倍光学系及びそれを用いた撮像装置に関し、特に偏心反射面を有した群を変倍群として用いることによりビデオカメラやスチールビデオカメラ、そして複写機等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
変倍光学系として、従来より知られているものとして、屈折レンズのみで構成した光学系がある。これらは、球面あるいは回転対称非球面の屈折レンズが、光軸に対して回転対称に配置されている。
【0003】
また、従来より凹面鏡や凸面鏡等の反射面を利用した撮影光学系が種々と提案されているし、反射系と屈折系とを両方使用した光学系もカタディオプトリック系としてよく知られている。
【0004】
図38は1つの凹面鏡と1つの凸面鏡より成る所謂ミラー光学系の概略図である。同図のミラー光学系において、物体からの物体光束104 は、凹面鏡101 にて反射され、収束されつつ物体側に向かい、凸面鏡102 にて反射された後、レンズ110 で屈折され、像面103 に結像する。
【0005】
このミラー光学系は、所謂カセグレン式反射望遠鏡の構成を基本としており、屈折レンズで構成されるレンズ全長の長い望遠レンズ系の光路を相対する二つの反射ミラーを用いて折りたたむ事により、光学系全長を短縮することを目的としたものである。
【0006】
また、望遠鏡を構成する対物レンズ系においても、同様な理由から、カセグレン式の他に、複数の反射ミラーを用いて光学系の全長を短縮する形式が多数知られている。
【0007】
この様に、従来よりレンズ全長の長い撮影レンズのレンズの代わりに反射ミラーを用いる事により、効率よく光路を折りたたんで、コンパクトなミラー光学系を得ている。
【0008】
しかしながら、一般的にカセグレン式反射望遠鏡等のミラー光学系においては、凸面鏡102 により物体光線の一部がケラレると言う問題点がある。この問題は物体光束104 の通過領域中に凸面鏡102 がある事に起因するものである。
【0009】
この問題点を解決する為に、反射ミラーを偏心させて使用して、物体光束104 の通過領域を光学系の他の部分が遮蔽することを避ける、即ち光束の主光線を光軸105 から離すミラー光学系も提案されている。
【0010】
図39は米国特許3、674、334 号明細書に開示されているミラー光学系の概略図であり、光軸に対して回転対称な反射ミラーの一部を用いることによって上記のケラレの問題を解決している。
【0011】
同図のミラー光学系は光束の通過順に凹面鏡111 、凸面鏡113 そして凹面鏡112 があるが、それらはそれぞれ図中二点破線で示す様に、もともと光軸114 に対して回転対称な反射ミラーである。このうち凹面鏡111 は光軸114 に対して紙面上側のみ、凸面鏡113 は光軸114 に対して紙面下側のみ、凹面鏡112 は光軸114 に対して紙面下側のみを使用する事により、物体光束115 の主光線116 を光軸114 から離し、物体光束115 のケラレを無くした光学系を構成している。
【0012】
図40は米国特許5,063,586 号明細書に開示されているミラー光学系の概略図である。同図のミラー光学系は反射ミラーの中心軸自体を光軸に対して偏心させて物体光束の主光線を光軸から離して上記の問題を解決している。同図において、被写体面121 の垂直軸を光軸127 と定義した時に、光束の通過順に凸面鏡122 ・凹面鏡123 ・凸面鏡124 そして凹面鏡125 のそれぞれの反射面の中心座標及び中心軸(その反射面の中心とその面の曲率中心とを結んだ軸)122a,123a,124a,125a は、光軸127 に対して偏心している。同図ではこのときの偏心量と各面の曲率半径を適切に設定することにより、物体光束128 の各反射ミラーによるケラレを防止して、物体像を効率よく結像面126 に結像させている。
【0013】
その他米国特許4,737,021 号明細書や米国特許4,265,510 号明細書にも光軸に対して回転対称な反射ミラーの一部を用いてケラレを避ける構成、或は反射ミラーの中心軸自体を光軸に対して偏心させてケラレを避ける構成が開示されている。
【0014】
ところで、反射鏡と屈折レンズとを両方使用したカタディオプトリック光学系で、変倍機能を有したものとして例えば米国特許4,477,156 号明細書、米国特許4,571,036 号明細書に開示されるディープスカイ望遠鏡がある。これは、主鏡に放物面反射鏡を用い、エルフレ接眼鏡を使って倍率を可変にしたものである。
【0015】
また、上記ミラー光学系を構成する複数の反射面を相対的に移動させることにより、撮影光学系の結像倍率(焦点距離)を変化させる変倍光学系も知られている。
【0016】
例えば米国特許4,812,030 号明細書においては、図38に示すカセグレン式反射望遠鏡の構成において、凹面鏡101 から凸面鏡102 までの間隔と凸面鏡102 から像面103 までの間隔を相対的に変化させることにより撮影光学系の変倍を行う技術が開示されている。
【0017】
図41は同公報に開示されている別の実施例である。同図において、物体からの物体光束138 は第一凹面鏡131 に入射してこの面で反射され収束光束となって物体側に向かい第一凸面鏡132 に入射し、ここで結像面側へ反射され略平行な光束となって第二凸面鏡134 に入射し、この面で反射されて発散光束となって第二凹面鏡135 に入射し、ここで反射されて収束光束となり像面137 上に結像する。この構成において第一凹面鏡131 と第一凸面鏡132 間の間隔を変化させるとともに、第二凸面鏡134 と第二凹面鏡135 間の間隔を変化させてズーミングを行い全系のミラー光学系の焦点距離を変化させている。
【0018】
また、米国特許4,993,818 号明細書においては、図38に示すカセグレン式反射望遠鏡にて結像した像を後段に設けた別のミラー光学系にて二次結像し、この二次結像用のミラー光学系の結像倍率を変化させることにより撮影系全体の変倍を行っている。
【0019】
これらの反射型の撮影光学系は、構成部品点数が多く、必要な光学性能を得る為には、それぞれの光学部品を精度良く組み立てることが必要であった。特に、反射ミラーの相対位置精度が厳しい為、各反射ミラーの位置及び角度の調整が必須であった。
【0020】
この問題を解決する一つの方法として、例えばミラー系を一つのブロック化することにより、組立時に生じる光学部品の組み込み誤差を回避する方法が提案されている。
【0021】
従来、多数の反射面が一つのブロックになっているものとして、例えばファインダー系等に使用されるペンタゴナルダハプリズムやポロプリズム等の光学プリズムがある。これらのプリズムは、複数の反射面が一体成形されている為に、各反射面の相対的な位置関係は精度良く作られており、反射面相互の位置調整は不要となる。但し、これらのプリズムの主な機能は、光線の進行方向を変化させることで像の反転を行うものであり、各反射面は平面で構成されている。
【0022】
これに対して、プリズムの反射面に曲率を持たせた光学系も知られている。
【0023】
図42は米国特許4,775,217 号明細書に開示されている観察光学系の要部概略図である。この観察光学系は外界の風景を観察すると共に、情報表示体に表示した表示画像を風景とオーバーラップして観察する光学系である。
【0024】
この観察光学系では、情報表示体141 の表示画像から射出する表示光束145 は面142 にて反射して物体側に向かい、凹面より成るハーフミラー面143 に入射する。そしてこのハーフミラー面143 にて反射した後、表示光束145 は凹面143 の有する屈折力によりほぼ平行な光束となり、面142 を屈折透過した後、表示画像の拡大虚像を形成するとともに、観察者の瞳144 に入射して表示画像を観察者に認識させている。
【0025】
一方、物体からの物体光束146 は反射面142 とほぼ平行な面147 に入射し、屈折して凹面のハーフミラー面143 に至る。凹面143 には半透過膜が蒸着されており、物体光束146 の一部は凹面143 を透過し、面142 を屈折透過後、観察者の瞳144 に入射する。これにより観察者は外界の風景の中に表示画像をオーバーラップして視認する。
【0026】
図43は特開平2-297516号公報に開示されている観察光学系の要部概略図である。この観察光学系も外界の風景を観察すると共に、情報表示体に表示した表示画像をオーバーラップして観察する光学系である。
【0027】
この観察光学系では、情報表示体150 から射出した表示光束154 は、プリズムPaを構成する平面157 を透過しプリズムPaに入り放物面反射面151 に入射する。表示光束154 はこの反射面151 にて反射されて収束光束となり焦点面156 に結像する。このとき反射面151 で反射された表示光束154 は、プリズムPaを構成する2つの平行な平面157 と平面158 との間を全反射しながら焦点面156 に到達しており、これによって光学系全体の薄型化を達成している。
【0028】
次に焦点面156 から発散光として射出した表示光束154 は、平面157 と平面158 の間を全反射しながら放物面より成るハーフミラー152 に入射し、このハーフミラー面152 で反射されると同時にその屈折力によって表示画像の拡大虚像を形成すると共にほぼ平行な光束となり、面157 を透過して観察者の瞳153 に入射し、これにより表示画像を観察者に認識させている。
【0029】
一方、外界からの物体光束155 はプリズムPbを構成する面158bを透過し、放物面より成るハーフミラー152 を透過し、面157 を透過して観察者の瞳153 に入射する。観察者は外界の風景の中に表示画像をオーバーラップして視認する。
【0030】
さらに、プリズムの反射面に光学素子を用いた例として、例えば特開平5-12704 号公報や特開平6-139612号公報等に開示されている光ピックアップ用の光学ヘッドがある。これらは半導体レーザーからの光をフレネル面やホログラム面にて反射させた後、ディスク面に結像し、ディスクからの反射光をディテクターに導いている。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
従来の屈折光学素子のみの光学系は、絞りが光学系の内部に配置され、しかも入射瞳が光学系の奥深くにある場合が多く、絞りから見て最も物体側に位置する入射面までの間隔が大きいほど、入射面の光線有効径は画角の拡大に伴って大きくなってしまう問題点があった。
【0032】
又、前記米国特許3、674、334 号明細書、米国特許5,063,586 号明細書、米国特許4,265,510 号明細書に開示されている偏心ミラーを有するミラー光学系は、いずれも各反射ミラーを異なる偏心量にて配置しており、各反射ミラーの取り付け構造が非常に煩雑となり、また取り付け精度を確保する事が非常に難しいものとなっている。
【0033】
又、米国特許4,812,030 号明細書、米国特許4,993,818 号明細書に開示されている変倍機能を有する撮影光学系は、いずれも反射ミラーや結像レンズなどの構成部品点数が多く、必要な光学性能を得る為には、それぞれの光学部品を精度良く組み立てる必要があった。
【0034】
また特に反射ミラーの相対位置精度が厳しくなる為、各反射ミラーの位置及び角度の調整を行うことが必要であった。
【0035】
又、従来の反射型の撮影光学系は、光学系全長が長く画角の小さい所謂望遠タイプのレンズ系に適した構成となっている。そして、標準レンズの画角から広角レンズの画角までを必要とする撮影光学系を得る場合には収差補正上必要とされる反射面数が多くなる為、更に高い部品精度、高い組立精度が必要となり、コストが高くなる或は全体が大型化する傾向があった。
【0036】
又、前記米国特許4,775,217 号明細書に開示されている観察光学系は、平面屈折面と凹面のハーフミラー面によって小型の観察光学系を構成しているが、情報表示体及び外界からの光束の射出面62は、この面を情報表示体61からの光束の全反射面として使用する関係上、この面に曲率を持たせることは困難であり、射出面62において収差補正を行ってはいなかった。
又、前記特開平2-297516号公報に開示されている観察光学系は、平面屈折面と放物面反射面と放物面より成るハーフミラーによって小型の観察光学系を構成しているが、外界からの物体光束の入射面及び射出面は、その延長面上を情報表示体70からの光線を導く為の全反射面として使用する関係上、それぞれの面に曲率を持たせることは困難であり、入射面及び射出面において収差補正を行ってはいなかった。
又、特開平5-12704 号公報や特開平6-139612号公報等に開示されている光ピックアップ用の光学系は、いずれも検知光学系の使用に限定されており、撮影光学系、特にCCD 等の面積型の撮像素子を用いた撮像装置に対する結像性能を満足するものではなかった。
【0037】
本発明は、物体側より固定群と複数の変倍群を配置し、該複数の変倍群の相対的移動により変倍を行う変倍光学系において、広画角でありながら厚さが薄く、所定方向の全長が短く、偏心収差を全変倍域に渡って良好に補正した高性能の変倍光学系及びそれを用いた撮像装置の提供を目的とする。
【0038】
又、
(1−1) 絞りを変倍光学系の物体側若しくは第1面近傍に配置し、且つ
該変倍光学系の中で物体像を少なくとも1回結像させる構成とすることにより、広画角でありながら変倍光学系の厚さを薄くする。
(1−2) 各群に複数の反射面に適切な屈折力を与えた光学素子を用いると共に該反射面を偏心配置することにより、変倍光学系内の光路を所望の形状に屈曲し、該変倍光学系の所定方向の全長を短縮する。
(1−3) 変倍光学系を構成する複数の光学素子を複数の反射面を一体的に形成して構成する際、各反射面を偏心配置すると共に、各反射面に適切な屈折力を与えることにより、偏心収差を全変倍域に渡って良好に補正する。
(1−4) 変倍群として複数の曲面や平面の反射面を一体的に形成した光学素子を用いることにより変倍光学系全体の小型化を図りつつ、反射面を使用する際にありがちな反射面の厳しい配置精度(組立精度)の問題を解決する。等の少なくとも1つの効果を有する変倍光学系及びそれを用いた撮像装置の提供を目的とする。
【0039】
【課題を解決するための手段】
(2−1)請求項1の発明の変倍光学系は、
物体側より順に、固定群としての第1群と2つの変倍群を配置し、該2つの変倍群の相対的移動により変倍を行う変倍光学系において、
該第1群は正の屈折力であり、該2つの変倍群はそれぞれの群中で軸上光束を1回中間結像すると共に1回瞳結像し、
変倍群iの焦点距離をfi、該変倍群中での軸上光束の中間結像の回数をkとする時、各変倍群は条件式:
fi×(−1)k>0 (kは1以上の整数)
をそれぞれ満足し、物体よりでて該変倍光学系に入り、該変倍光学系内の絞り中心を通って最終像面の中心に至る光線を基準軸光線とし、該変倍光学系の各面又は各群に入射する基準軸光線をその面又はその群の入射基準軸、各面又は各群から射出する基準軸光線をその面又はその群の射出基準軸、該入射基準軸と各面の交点を基準点、該入射基準軸、射出基準軸において該基準軸光線が物体側から像面に向かって進む方向を入射基準軸の方向、射出基準軸の方向とするとき、
各変倍群はそれぞれ、入射・射出基準軸がその面の基準点における法線に対して傾いている3つの凹反射面と2つの折り返し反射面とを有し、各変倍群における最も物体側の面の入射基準軸の方向と最も像側の面の射出基準軸の方向とを180°異なるように構成され、
該3つの凹反射面の入射・射出基準軸を含む面内における断面形状は非対称な形状であることを特徴としている。
【0040】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記変倍群はそれぞれの最も物体側の面の入射基準軸と最も像側の面の射出基準軸は互いに平行であり、前記変倍群はそれぞれ入射基準軸に平行に移動して変倍を行うことを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記3つの凹反射面はその入射基準軸と射出基準軸を含む平面に対して面対称な形状であることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記第1群の物体側から数えて第1面から変倍光学系の最終像面までの光路長は変倍に際して変化することを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項4の発明おいて、前記変倍群はいずれも連続して光線を反射する5つの反射面を有し、該反射面中の物体側から数えて第1、3、5面が前記凹反射面であることを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、各変倍群中の任意の隣接する反射面間の面間隔は、基準軸上で第(i−1)反射面から第i反射面までの面間隔をD(i−1)、第i反射面から第(i+1)反射面までの面間隔をDiとしたとき、条件式:
【数4】
を満たすことを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項5又は6の発明において、物体側の変倍群の移動量をd1、像側の変倍群の移動量をd2、変倍光学系の第1面から最終像面までの光路長の広角端での値をLW、望遠端での光路長の値をLTとしたとき、条件式:
LT=LW+2(d2−d1)
を満たすことを特徴としている。
請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれか1項の発明において、各変倍群中の前記3つの凹反射面の各々において、該面の前記基準点における入射・射出基準軸を含む平面(yz平面)内の該凹反射面の近軸領域の曲率半径をRy、該基準点と曲率半径Ryの曲率中心を含みyz平面に垂直な平面(xz平面)内の近軸領域の曲率半径をRx、入射基準軸と射出基準軸のなす角度を2θとしたとき、条件式:
【数5】
を満たすことを特徴としている。
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記変倍中の連続して光線を反射する反射面中の物体側から前記凹反射面i・折り返し反射面(i+1)・前記凹反射面(i+2)の順に構成される任意の部分系において、
該凹反射面i,(i+2)の夫々の前記基準点における入射・射出基準軸を含む平面(yz平面)内の近軸領域の曲率半径を各々Ry,i、Ry,i+2としたとき、条件式:
【数6】
を満たすことを特徴としている。
請求項10の発明は、請求項5〜9のいずれか1項の発明において、 物体側の変倍群の最も物体側の面から像側の変倍群の最も像側の面までの広角端での横倍率をβWとしたとき、条件式:
0.5 <|βW|< 1.5
を満たすことを特徴としている。
【0041】
(2−2)請求項11の発明の撮像装置は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の変倍光学系と、該変倍光学系により撮像面上に物体の像が形成される撮像媒体とを有することを特徴としている。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の変倍光学系は偏心反射面を用いている所謂偏心光学系(Off-Axial 光学系)である。このような偏心系では各面共通の光軸を有さない、そのため近軸計算が一般的でないという問題がある。そこで、本発明では共軸系の光軸に相当する基準軸という概念を導入し、この基準軸まわりに近軸理論を展開することにより偏心光学系の設計を行なっている。以下、偏心光学系(ここではOff-Axial 光学系とも呼ぶ)の近軸理論について説明する。
【0047】
《Off-Axial 光学系の近軸理論》
1.Off-Axial光学系と構成面の表現方法
1-1.Off-Axial光学系
従来多く用いられている共軸光学系に対し、Off-Axial 光学系とその骨組みとなる基準軸を以下の様に定義する。
★基準軸の定義
一般的には物体面から像面にいたる基準となる基準波長の或る光線の光路をその光学系における”基準軸”と定義する。これだけでは基準となる光線が定まらないので、通常は以下の2 つの原則のいずれかに則り基準軸光線を設定する。
【0048】
(1) 光学系に部分的にでも対称性を有する軸が存在し、収差のとりまとめが対称性よく行なうことができる場合にはその対称性を有する軸上を通る光線を基準軸光線とする。
(2) 光学系に一般的に対称軸が存在しない時、あるいは部分的には対称軸が存在しても、収差のとりまとめが対称性よく行なえない時には、物体面中心(被撮影、被観察範囲の中心)から出て、光学系の指定される面の順に光学系を通り、光学系内の絞り中心を通る光線、又は光学系内の絞り中心を通って最終像面の中心に至る光線を基準軸光線と設定し、その光路を基準軸とする。
【0049】
このようにして定義される基準軸は一般的には折れ曲がっている形状となる。( 図32参照)
ここで、各面において各面と基準軸光線との交点を各面の基準点とし、各面の物体側の基準軸光線を入射基準軸、像側の基準軸光線を射出基準軸とする。さらに、基準軸は方向(向き)を持つこととし、その方向は基準軸光線が結像に際して進行する方向とする。よって、入射、射出側に各々入射基準軸方向、射出基準軸方向が存在する。このようにして基準軸は設定された各面の順番に沿って屈折若しくは反射の法則に従ってその方向を変化させつつ、最終的に像面に到達する。
【0050】
なお、複数の面で構成された光学素子(光学系)においては、その最も物体側の面へ入射する基準軸光線をこの光学素子(光学系)の入射基準軸、最も像側の面から射出する基準軸光線をこの光学素子(光学系)の射出基準軸とする。又、これらの入射・射出基準軸の方向の定義は面の場合と同じである。
【0051】
★Off-Axial 光学系の定義
上記のように定義した基準軸が曲面と交わる点において、面法線が基準軸と一致しない曲面(Off-Axial曲面) を含む光学系をOff-Axial 光学系と定義し、その例を図32に示す。( 但し、平面反射面によって基準軸が単純に折れ曲がっている場合も面法線が基準軸と一致しないが、その平面反射面は収差の対称性を損なわないので、Off-Axial 光学系の対象から除外する。)
この定義は共軸光学系の一部が大きく偏心した光学系も含むが、一般的に非対称非球面の系では" 偏心" の" 心" の意味の対称性を持った点や線が存在しない。そこで、この近軸理論においては" 偏心" という言葉はあえて用いず、Off-Axial という言葉を用いることにする。
【0052】
1-2.Off-Axial 光学系の構成面に適した面形状表現方法
Off-Axial光学系を構成する面は一般に対称性を持たない。対称性を持たない面の表現法としては展開の中心に対する2 変数べき級数展開が最も一般的である。ここでは展開の中心は面と基準軸との交点とし、その面形状を表現するローカル座標系としては面法線にz 軸をあわせたものを用いる。そして形状を表わす式をz=f(x,y)の形に表現する。その際その点での面法線が、面形状の変化に伴っても変化しないように展開は2 次から始め、次式のように表す。
【0053】
このように基準点を中心に面法線を固定して展開する手法を用いて構成面を定義しておけば、従来のOff-Axial 光学系の設計法とは異なり、図33に示すように光学配置の骨組み( 基準軸の配置) を変えることなく面形状を変化させることができる。また更に、2 次の展開係数も固定して3 次以降の係数のみを変化させれば各アジムスでの近軸量( 後述の (数式8)から (数式11) の結果参照) を変えることなく収差補正のみを行なうこともできる。
【0054】
2. 折れ曲がった基準軸に沿った近軸展開手法
図34に解析に用いた折れ曲がった基準軸に沿った近軸展開の座標系とそこで用いる諸量を示す。反射は屈折率が負の屈折と一般化できるので展開は屈折系で考えることにする。この図において物体及び像の部分では基準軸に沿ってローカル座標系がとられ、物体面、像面、入射瞳面、射出瞳面を基準軸に垂直に図に示すように定義する。面形状は前項で述べたように面法線をz 軸とするローカル座標系で表現している。このとき物線ベクトルb、入射瞳上の高さベクトルrを通る光線を考え、この物線ベクトルb,高さベクトルrが微小量として屈折の法則をべき級数展開することを考える。その手順は次のとおりである。
【0055】
i) 光線の方向ベクトルsを図中の距離s,物線ベクトルbの絶対値b および物線ベクトルbのアジムスξ(但し基準軸の屈折面をξ=0ととる)、距離 t,高さベクトルrの絶対値r およびξr=ξ+ φ(高さベクトルrのアジムス; φは相対アジムス)を用いて表わす。
ii) i)で求めた始点ベクトルと方向ベクトルおよび面形状の式を使って屈折面上の交点を求める。
iii) ii)の交点における面法線ベクトルnをベクトル解析の手法で求める。
【0056】
iv) iii)の結果と屈折の法則を用い、その交点における屈折後の方向ベクトルs’を求める。
v) 屈折面上の位置と屈折後の方向ベクトルs’とがわかったので距離s', t'が与えられれば像線ベクトルb’、射出瞳上の高さベクトルr’が求まる。
【0057】
この手順による像線ベクトルb’の距離 b、高さベクトルの絶対値r の1次量までの展開結果を (数式2)、(数式3)に示す。但しξ' は像面での像線の理想アジムスでξ'=ξととられる。
【0058】
この結果において像線ベクトルb’は図35に図示してあるように
b’= βb+Δ‖+Δ⊥ (数式 4)
の形に成分に分解して表現してある。但しβb+ Δ‖はアジムスξに対する平行成分ベクトル(βは後述の (数式11) で決められる投影の横倍率)、Δ⊥は垂直成分ベクトルを表わす。
【0059】
3. Off-Axial 光学系での結像の式と屈折の近軸量の導出
3-1 Off-Axial光学系での結像の式の導出
(数式2)と (数式3)の結果を使って近軸関係を求める場合は物高b は0 とおいてよい。従ってΔ‖とΔ⊥の rの1次の比例係数を調べればよいわけであるが、系の回転非対称性のために近軸光線が基準軸に対してねじれの位置にあることを反映して、これら2つの係数はアジムスξ依存を持ち一般的には同時に2つの係数を0 とすることはできない。一般にこうした近軸光線が基準軸に対してねじれの位置にあるアナモルフィックな光学系では、光路をアジムス断面に投影したΔ‖の係数=0により結像共役関係式と近軸量を定義し、Δ⊥に対し、Δ‖の係数=0の式から結像共役関係式を求めるとはいっても一般に相対アジムスφ=0の光線(メリディオナル光線に対応)とφ= π/2の光線(サジタル光線に対応)とでは結像位置が異なる(いわゆる非点収差を持つ)ことをこの係数の式は示している。
【0060】
この軸上の非点収差に対し本理論では相対アジムスφ=0の場合の結像面を近軸像面と定義し、φ≠0 の場合は軸上非点収差が残るとして理論を構築することにする。そうした像面の定義により投影された結像関係式として:
が求まるが、これはs 、s'をt 、t'に変えるだけで瞳面の結像式となるので、従来の共軸系の一般拡張となる合理的な定義であることがわかる。
【0061】
3-2 屈折面の近軸量の導出とガウシャンブラケットによる屈折の式の表現
次にこの投影された結像関係式を従来の共軸系での結像の式
(N'A)/s' −(ND)/s−Φ=0 (数式 6)
と比較することを考える。
【0062】
ここでA 、D は
【0063】
【数7】
で示される屈折のガウシャンブラケットの対角成分、Φはパワーを表わす( 但し成分のB=0, AD=1の場合) 。
【0064】
ただちにわかる通りこれら2つの式は全く同じ形式をしているので、比較によりこの結像式に対応するOff-Axial 屈折面の近軸量を決定することができる。つまり近軸光線を投影して考えれば共軸系の場合と同様に各アジムス毎に近軸量の計算ができることになる。その結果のA 、D 、Φを (数式8)から (数式10) に示す。
【0065】
【数8】
また屈折面での投影の横倍率は
β= α/ α' =Ns'D/(N's) (数式11)
と与えられることも示すことができる。
【0066】
ここで (数式8)から (数式11) に示された近軸量は従来の共軸系の近軸量の一般拡張になっていることは注目に値する。これはこれらの式に共軸、回転対称の条件のθ= θ'=0 、C11=0 、C20=C02=1/(2R)(Rは曲率半径) を代入すれば共軸系の場合の式が得られることで容易に確かめることができる。
【0067】
4. 近軸トレース
4-1 転送のガウシャンブラケット
以上のようにOff-Axial 系の各面においてガウシャンブラケットを用いた手法で屈折の近軸量を定義できたが、複数の面から構成される系においては面と面との間の転送項を定義しておく必要がある。Off-Axial 系の場合も簡単な幾何学的考察により、基準軸上に沿って長さd'を定義すれば従来と同様に換算面間隔
e'=d'/N'を用いて
【0068】
【数9】
の形でガウシャンブラケットを使った表現ができることがわかる。従ってOff-Axial 面が複数ある系においても従来と同様にアジムス毎に近軸トレースが可能である。つまりOff-Axial 光学系全体の骨組みも共軸系の場合と同様に近軸的に解析できるわけである。
【0069】
4-2 近軸トレースの手法
3-2 で求まった屈折の式
hi'= Ai・hi (数式13)
αi'= Φi・hi+Di・αi (数式14)
と、4-1 で求まった転送の式
hi+1=hi'- ei'・ αi' (数式15)
αi+1=αi' (数式16)
を使えば共軸系の場合と同様の近軸トレースが可能である。共軸系と違うのは屈折の式のAiとDiが一般に1 ではないこととAi、Di、Φi がアジムス依存があることである。従って各アジムスごとの近軸量を計算すれば近軸量のアジムス依存性を調べることが可能である。
【0070】
以下にある与えられたるアジムスξに対する近軸トレース計算のフローを示す。
【0071】
i) s1などの与えられた光学系のデータに対し近軸追跡の初期値h1、α1(α1= N1h1/s1)を設定する。
ii) 屈折面での近軸量 Ai 、Φi 、 Di を求める。
iii) 屈折の式を使って hi'、αi'を求める。
また必要があれば si 、 si'や屈折面での横倍率βi を
si =Ni・hi/ αi (数式17)
si'=Ni'・hi'/ αi' (数式18)
βi = αi/αi' (数式19)
を使って求める。
iv) 面番号i が最終面のものでなければ転送の式を用いて hi+1 、αi+1 を求める。
v) 面番号i が最終面の番号k になるまでii) からiv) までを繰り返す。
vi) 以上の計算で求められた面番号i が最終面の番号k でのhk',αk'が常に
hk'=Ah1+B α1 (数式20)
αk'= Φh1+Dα1 (数式21)
を満たすように全系のガウシャンブラケットの成分A 、B 、Φ、D を求める。
【0072】
vii) 求まった全系のA 、B 、Φ、D を用いて焦点距離f 、主点位置H 、H'およびバックフォーカスsk' を共軸系と同様の式
f=1/ Φ (数式22)
Δ1=(1-D)/Φ H=N1Δ1 (数式23)
Δk'=(A-1)/ Φ H'=Nk' Δk' (数式24)
sk'=Nk'(f+Δk') (数式25)
により求める。(図36参照: 図中、 Fは物体側焦点、H は物体側主点、
F'は像側焦点、H'は像側主点を表わす)
viii) 全系の横倍率βを
β= α1/αk' (数式26)
により求める。
【0073】
5. 簡単な面での分析・確認
ここで簡単な面について求まった近軸理論の適用を考える。
★Off-Axial 反射面
Off-Axial 反射面においてはθ=-θ' であるのでガウシャンブラケットのA 、D が1 と共軸系と同じになる。この場合反射面のパワーは曲率のほかに入射角θおよびアジムスξに依存するアナモルフィックなものとなる。ここで更に曲率に比例する面形状の係数C20 、C11 、C02が
C11=0、 C02=C20 cos2θ (数式27)
を満たす様に選ばれれば反射面のパワーがアジムスξに依存しないようにすることができる。
【0074】
つまり、Off-Axial 反射面においてはx,y 方向の面形状の係数がC11=0 、 C02=C20cos2θを満たすように選ぶことで近軸的には共軸回転対称系と同様な扱いができるようになる。
【0075】
特に図37に示すような基準軸が2 焦点を通るOff-Axial 反射2 次曲面では一般にこの関係が満たされている。このことはこの図の系の面頂点における曲率を求めてやれば、あるいは後述する基準軸が2 焦点を通るOff-Axial 反射2 次曲面の一般式 (数式28) をべき級数に展開して (数式1)の形にして係数を比較することにより、
C02=(1/a+1/b)cosθ/4, C20=(1/a+1/b)/(4cosθ), C11=0
が得られ容易に確かめることができる。またこの図の場合においてはa,b を2 つの焦点と面頂点との距離とすれば反射面のパワーは直観的に1/a+1/b と理解されるが、このことも同時に (数式10) を使った計算にて確かめることができる。
【0076】
なお、一般の球面式を級数展開したときの二次の項の係数は曲率半径をR としたとき1/(2R)で表されるから、 (数式1)における座標系においてxz面内での近軸領域の曲率半径をRx、yz面内での近軸領域の曲率半径をRyとすれば
C20=1/(2Rx) C02=1/(2Ry)
と表される。よって (数式27) より
(Rx/ Ry)・(1/cos2 θ)=1 (数式28)
なる関係を満たせば偏心反射面においてすべてのアジムスでの焦点距離が一致する。
【0077】
★Off-Axial 屈折面
Off-Axial 屈折面は反射面のように簡単にはならない。これはガウシャンブラケットの対角要素A 、D が1 ではない(A=1/D≠1 なる逆数関係) ためである。しかしながらこのことも屈折面を平面にして考えれば理解可能である。屈折面が平面の場合、屈折面のプリズム効果により系はアジムス依存性を持った角倍率を持つが、これは一般にガウシャンブラケットのD として表わされる。このことを念頭において考えれば一般のOff-Axial 屈折面のガウシャンブラケットの各成分はOff-Axial な屈折によるプリズム効果と曲面によって生じたパワー変化との複合された項であると理解することができる。
【0078】
6. 設計への応用
以上述べてきたようにして構築されるOff-Axial 系の近軸理論と近軸トレースの手法はOff-Axial 系の設計の際に応用することができる。一般に倍率がアジムスに依存しない等方的結像の場合、全系ではすべての近軸量がアジムス依存がないと考えられるので、設計は例えば次のような手順で行なえばよい。
i) 光学系を光路の干渉などを考慮しつつ、折れ曲がった基準軸に沿って配置する。
ii) 次にガウシャンブラケットの手法を用いてアジムス毎に近軸トレースを行ない、全系の近軸量・像面位置がアジムス依存を持たないように各面の曲率を決めてやる。
このような近軸量のアジムス依存性に着目した設計手法は今までになかった考え方であり、Off-Axial 系の設計に大きな指針を与えるものである。
以上がOff-Axial 光学系に対する近軸理論およびそれを用いた光学系の骨組みの設計方法についての解説である。
以下、上記のOff-Axial 光学系の近軸理論の定義に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0079】
なお、本発明の各実施形態中の非球面反射面は前述のように面全体に対して対称性を持った点は存在しないのでOff-Axial 面と呼ぶことが適切であるが、ローカル座標の原点においては近軸的な曲率半径Rx,Ry が演繹でき、その曲率中心は基準軸の上にはないので、これから以後は”偏心”している面と呼ぶこととする。
【0080】
図 1は本発明の変倍光学系を共軸屈折系で表した説明図である。図中、11は絞り、12は変倍に際し固定で正の屈折力を有する第1群、13は第1群により形成される中間像、14、15は各々相対的に移動することにより変倍作用を行なう第2群、第3群、16は固体撮像素子等が配置される最終結像面(最終像面)である。図1(A),(B) は夫々広角端、望遠端の状態を表している。
【0081】
本変倍光学系の結像作用について述べる。まず絞り11を通過した入射光束は第1群12により中間像13を形成する。この中間像13を物点とし、第2、3群の合成系は有限距離結像系として最終結像面に再度像を形成する。ここで図1(B) に示すように第2、3群が相対的に移動して合成系の結像倍率を変化させることにより結像倍率が変化する。
【0082】
図 2は本発明の変倍光学系の実施形態1の光学配置図である。図中、12、14、15は夫々変倍光学系の第1、2、3群であり、各々複数の基準軸に対して傾いた反射面を備えている。図 2では各群を摸式的に示しており反射面そのものは不図示である。一点鎖線は前記基準軸光線を示しており不図示の反射面により各群内で反射を繰り返し各群を経て最終結像面16の中心に至る。このように本発明の変倍光学系は偏心反射面を有する群で構成しており、共軸系で言うところの光軸が明確に存在しない。よって、前述のように光学系の絞り中心を通って最終結像面の中心に至る光線を基準軸光線として基準軸を定義している。
【0083】
本発明の変倍光学系は第1群12の物体側若しくは第1面近傍に絞りを配置し、第1群中に反射面を用いて光束を集光させて第1群12を有効径が小さい薄型の群としている。更に、第2群14、第3群15を偏心反射面で構成することにより第1群12により形成された中間像をコンパクトな構成でリレー(再結像)して、後記の数値実施例に示すように広画角でありながら、薄型の変倍光学系となってでいる。なお、図 2において光学系の厚みは紙面に垂直な方向であり、この厚みが小さいという意味で薄型という言葉を用いている。
【0084】
次に、図 2の変倍光学系の変倍作用を説明する。図 2は変倍光学系が広角端の状態にある図であり、第2群14、第3群15は各々独立して図中、例えば矢印の方向に移動することにより変倍を行なう。ここで、第1群12、第2群14間の群間隔は広角端から望遠端に向って狭まり、第3群15、像面16間の間隔は広がる。このように変倍作用にあづかる各群を変倍群と呼び、最も物体側の変倍群から最も像側の変倍群までを変倍部と呼ぶことにする。
【0085】
ここで第2群14の移動量をd1、第3群15の移動量をd2、変倍光学系の物体側より数えて第1面から最終結像面16までの光路長の広角端での値をLW、望遠端での値をLTとすると、変倍をしても最終結像面16が一定位置に止まるためには図 2の構成において以下の条件式が成り立つようにすれば良い。
【0086】
LT=LW+2(d2−d1) (条件式 1)
この式においてd1、d2が等しくない場合、つまり第2群14、第3群15の移動量が等しくない場合には全系の光路長Lは変化する。本発明の変倍光学系では各変倍群の入射基準軸の方向と射出基準軸の方向が180 ゜異なるように構成して、組み合わせて条件式1を満たしている。このようにすると、全系光路長を変化させて最終結像面16は物理的に固定できるため電気配線等を施した撮像素子を移動させる必要は無くなり、撮像装置の構成が簡単になる。
【0087】
なお、本発明の変倍光学系は中間結像を繰り返して最終結像面に収差補正された像を形成している。また、中間結像面間には瞳が存在する為、本発明の変倍光学系は瞳結像を繰り返して最後に全系での射出瞳を形成している。このような系でOff-Axial 歪曲収差を補正するには、物体面から対称的に入射した各画角の主光線が各瞳結像において対称性を維持しながら結像を繰り返すことが好ましい。言い換えれば、物体像に関わる像結像と瞳結像の両者を良好にリレーしていくことが必要である。本発明では変倍群に夫々正の屈折力を有する偏心した凹反射面を少なくとも3面配置した構成を基本構成としてこの像結像と瞳結像を両立すると共に薄型を実現している。
【0088】
ここで、本発明の変倍光学系は偏心反射面を有するため、各種の偏心収差が発生する。この偏心収差を変倍全域で補正するには各群内で補正するか、各群同志でキャンセルすることが必要である。変倍群は変倍に際し物点が移動するが、物点移動に関わらず偏心収差を群内で補正するのは一般的に困難である。よって、本発明の変倍群は前記の凹反射面の紙面内の断面形状を非対称にする等により特定の物点に対して極力群内で偏心収差を補正し、物点移動で発生する偏心収差変動は各群間でキャンセルすることにより変倍全域に渡って偏心収差の補正された変倍光学系としている。
【0089】
以下、本発明の変倍群の基本構成について説明する。図 3は本発明の変倍光学系の変倍群の基本構成を共軸屈折系で示した図である。図 3は物点から入射した光束を平行光として射出する系である。図中、31は変倍群の物体面、32、34は正の屈折力を有する面、33は面32、34の合成系38における瞳面、35は面32、34の合成系38による結像面である。36は正の屈折力を有する面で結像面35からの光束を平行光とする。また37は面34、36の合成系39により瞳33の像として形成される瞳面である。ここで、面32、34、36の焦点距離が同じで各面の間隔もすべて該焦点距離と同じであれば合成系38、39いずれも等倍系で対称配置となる。この等倍結像系を繰り返して配置すれば、ある一定の有効径内で像をリレーできるため薄型の系に適している。また、パワー面を対称配置しているので軸外収差がキャンセル関係にあり、像結像、瞳結像ともに良好にリレーできる。
【0090】
図 4は図 3と同じく本発明の変倍光学系の変倍群の別の基本構成を共軸屈折系で示した図であるが、物体及び瞳の配置が図 3の逆になっているものである。図中、41は瞳面、42は無限遠にある変倍群の物体面からの平行光を結像する正の屈折力を有する面、43は面41により形成される結像面、44、46は正の屈折力を有する面、45は面42、44の合成系48により形成される瞳面、47は結像面43に対し面44、46の合成系49により形成される結像面である。図 4においても図 3と同様に面42、44、46の焦点距離が同じで各面の間隔もすべて該焦点距離と同じであれば合成系48、49いずれも等倍系で対称配置となり、像結像、瞳結像ともに良好にリレーできる。
【0091】
図 3、4 の系を各々図1の第2群14、第3群15に適用すれば、第2、3群合成系において横倍率1のリレー系が構成できる。全系を薄型とするにはこの状態を広角端に適用すればよい。そして、変倍比をZ とすれば望遠端での第2、3群合成系の横倍率をZ となるように移動すれば広角端での厚みを維持しながら変倍部が構成できる。本発明の変倍光学系は基本的にこのようなパワー配置をもとに偏心反射面を組み合わせて構成している。
【0092】
図 5は本発明の変倍光学系の変倍群の基本構成の説明図である。この変倍群は図 3の構成を偏心反射面で構成したものとなっている。図中、51は変倍群の物体面、52、54は凹反射面、53は凹反射面52、54の合成系における瞳、55は凹反射面52、54の合成系により形成される中間結像面、56は凹反射面、57は凹反射面54、56の合成系により形成される瞳面53の像としての瞳面である。図中の一点鎖線は前述の基準軸光線であり、図 5(A) は中心画角の物体光線の光路を、図 5(B) は瞳光線(主光線)の光路を示している。なお、図 5において物体面51、凹反射面52、瞳面53、凹反射面54、結像面55、凹反射面56、瞳面57の各々の間隔は等しい。
【0093】
図 5において反射面の焦点距離は前述のように基準軸の入射角と基準軸と交わる点での曲率で決定される。よって、ある焦点距離に対して入射角と曲率の組み合わせは無数にある。しかし、反射面52、54および反射面54、56による合成系において軸外収差をキャンセルさせる為には形状そのものが対称性をもつことが好ましい。よって、反射面52、54、56は同じ曲率を有するのが好ましい。そしてこのように各面の焦点距離を同じくするためには各面への基準軸の入射角を図 5に示すようにすべて等しく、θ(入射基準軸と射出基準軸との角度では2θ)としなければならない。
【0094】
しかし、このように構成すれば変倍群の入射基準軸の方向と射出基準軸の方向が 180゜異なるように構成できない。よって、これを変倍群として図 2中の第2群14には適用できない。
【0095】
そこで、本発明の変倍光学系の変倍群では図 5の3つの凹反射面間に折り返し反射面を挿入して反射面を5面とすることにより、各凹反射面での入射角を同じくしながら変倍群の入射基準軸の方向と射出基準軸の方向を 180゜異なるようにしている。以下図 6を用いて説明する。
【0096】
図 6は本発明の変倍光学系の変倍群の構成図である。図中の一点鎖線は前述の基準軸であり、図 6(A) は中心画角の物体光線の光路を、図 6(B) は瞳光線(主光線)の光路を示している。図 6は図 5の凹反射面52、54、56の間に折り返し平面反射面61、62を配置した構成であり、パワー配置は図 5と同じである。つまり凹反射面の曲率、基準軸の入射角は図 5と同じである。ここで、折り返し平面反射面61、62での基準軸の入射角を各々φ61、φ62としたとき
3θ=φ61+φ62
なる関係を満たせば、変倍群の入射基準軸の方向と射出基準軸の方向が 180゜異なるようにすることができるため、図 2の第2群14に適用可能である。
【0097】
同様に、図 6(A) の構成を瞳面57から物体面51に光束が進むように逆に配置すれば、もう一つの変倍群である図 2における第3群15に適用可能である。
【0098】
なお、変倍群の凹反射面(図 6では52、54、56)は基準軸が屈曲する面内(図 6ではYZ面−紙面内)の曲率半径Ryとこれに垂直で該凹反射面の基準点における法線を含む面内の曲率半径Rxとが異なるようにするのが好ましい。凹反射面に対する基準軸の入射角をθとすれば、凹反射面においてこれら2面内での焦点距離を一致させる為には前述の数式28が成り立つことが必要である。
【0099】
図 7は本発明の変倍光学系の実施形態1の構成図である。図中、71、73、75、76、78、80は凹反射面、72、74、77、79は折り返し反射面であり、反射面71から反射面75までが第2群14、反射面76から反射面80までが第3群15である。変倍群である第2群14、第3群15はいずれも焦点距離fが負であり、いずれも夫々の変倍群中で軸上光束が1回中間結像をしている。
【0100】
本発明においては、第i 変倍群の焦点距離をfi、該変倍群に平行な軸上光束を入射させた時の該変倍群中での軸上光束の中間結像の回数をkとするとき、該変倍群は条件:
fi・(-1)k>0 (k は1以上の整数) (条件式 2)
を満たしている。変倍群がこの条件を満たせば、凹反射面により中間像をコンパクトに折りたたんで像をリレーでき、薄型の変倍部が構成できる。
【0101】
本実施形態は非球面形状の凹反射面3面、折り返し反射面2面で構成される2つの群の組み合わせで変倍部を構成している。これは図 2の構成において、第2群14、第3群15を上記構成の反射面群としたものである。
【0102】
なお、結像面13、反射面71、72、73、74、75の各々の面間隔は同じであり、さらに反射面76、77、78、79、80、最終結像面16の各々の面間隔についても同じである。すなわち前後の反射面の間にある反射面Riに対してその物体側の面間隔をD(i-1)、像側の面間隔をDiとしたとき
【0103】
【数10】
である。
【0104】
なお、軸外収差を良好に補正するには凹反射面71、73、75、76、78、80を基準軸が屈曲する面(YZ面)において非対称な形状とするのが良い。
【0105】
さて、図 7において最終結像面16の直前にローパスフィルター、赤外カットフィルター等のガラス部材を配置する為に、反射面80から結像面16までの間隔をもっとあける、すなわちバックフォーカスを長くしたい場合がある。このためには中間結像面13から最終結像面16まで複数回の等倍結像を繰り返す状態を全体的に崩せば良い。そして、折り返し反射面72、74、77、79に適当な曲率を持たせてパワー配置を各部でコントロールすれば良い。このとき反射面72、74、77、79は凹反射面と同様に基準軸が屈曲する面(YZ面)において非対称な形状とすれば軸外収差補正に対して有効である。
【0106】
このように、本発明中の変倍群では図 7における凹反射面71、73、75、76、78、80を回転非対称な非球面で構成し、変倍群の移動条件は前述の(条件式 1)を満たすものである。また各反射面の近軸領域の曲率半径Rx,Ry は数式28の条件を中心として微小変形した形状としており、具体的には
【0107】
【数11】
の範囲にある。
【0108】
本発明の変倍光学系においては、アジムスによる焦点距離変動が変倍全域にわたって全系で補正されていなければならない。このためにはなるべく一つの群中でこの焦点距離変動を補正し、補正不足分を変倍群間でキャンセルするようにするのが良い。
【0109】
(条件式 3)の上限、下限を越えるとアジムスによる焦点距離変動が大きくなり、各群内での補正が著しく不足するので、変倍全域で他の群によりキャンセルすることが困難となる。
【0110】
なお、このアジムスによる焦点距離変動の補正は折り返し反射面72、74、77、79に適当な曲率を持たせて行なうとさらに効果がある。また、折り返し反射面72、74、77、79を入射出基準軸を含む面内で非対称な非球面とすると軸外収差に関して補正効果がある。
【0111】
また、反射面間隔を数式29から変化させてパワー配置をコントロールして補正してもよい。本発明の変倍光学系の反射面間間隔は以下の条件を満たす範囲内で設定している。
【0112】
【数12】
(条件式 4)の上限、下限を越えると図 7において隣接する二つの凹反射面(例えば71と73)の合成系が像結像あるいは瞳結像に関して等倍結像から大きく崩れ、二つの反射面同志での収差のキャンセル関係が崩れるため特に軸外収差補正が困難となる。
【0113】
また、図 7の変倍群中の夫々3つの凹反射面の曲率半径は図 5において説明したように同じであることが望ましいが、このパワー配置をコントロールして軸外収差の補正をしてもよい。本発明の変倍光学系では各変倍群中の凹反射面i 、反射面(i+1) 、凹反射面(i+2) の順に構成される部分系において、該凹反射面i ,(i+2) の夫々の基準点における入射・射出基準軸を含む平面内の近軸領域の曲率半径を各々Ry,i,Ry,i+2としたとき、これらは以下の条件を満たす範囲内で設定されている。
【0114】
【数13】
(条件式 5)の上限、下限を越えると隣接する二つの凹反射面(例えば71と73)の合成系が像結像あるいは瞳結像に関して等倍結像から大きく崩れ、二つの反射面同志での収差のキャンセル関係が崩れるため特に軸外収差補正が困難となる。
また、すべての変倍群で構成される変倍部の広角端での横倍率を1近傍とすると変倍全域に渡って薄型でかつ収差補正された系とすることができる。図 7において最終結像面16における結像面サイズは変倍中一定であるから、変倍比をZ とすれば中間結像面13での有効像サイズは広角端で望遠端のZ 倍となる。よって、変倍群14、15中の面は基本的に広角端でその有効サイズが決定される。よって、広角端で変倍部全体での横倍率を1以下にするのがよい。
【0115】
また、前述のように各変倍群中で像結像と瞳結像を良好にリレーしていくには基本的に等倍結像でリレーしていくのが好ましい。このような事情から結局、変倍部の広角端での倍率は1近傍が好ましい。しかし、本発明ではバックフォーカスをのばすために、条件式 3から 5に示す範囲で等倍結像を崩してパワー配置をコントロールしている。これは、変倍部中の複数回の像結像、瞳結像において各々等倍結像から収差補正できる範囲内で変化させて調整しているものである。
【0116】
よって、等倍結像から外れた一つの像結像あるいは瞳結像を積算していった変倍部全体での横倍率は1を中心にしてある範囲で設定されるものである。本発明の変倍光学系の変倍部の広角端での横倍率は以下の条件を満たしている。
【0117】
0.5 <|βW |< 1.5 (条件式 6)
なお、偏心系の横倍率は (数式19) を用いて算出すれば良い。また、以上の横倍率βW は厳密には最も物体側の変倍群の最も物体側の面から最も像面側の変倍群の最も像面側の面までの範囲で計算される近軸値である。
【0118】
ところで、本発明の変倍群における反射面は反射前後の媒質が気体である表面鏡である場合と、1つの透明体の表面に複数の内面反射面を形成した場合、即ち気体以外の媒質で構成された透明体の内部で反射する場合のいずれでもよい。図
7は前者の場合である。
【0119】
また、図 8は実施形態1の別の構成図であり、後者の構成を採っている。図中、801 、802 は各々ガラス、プラスチック等の透明体で構成された光学素子であり、夫々は変倍群でもある。803 は中間結像面13からの光束が入射する光学素子801 の表面の屈折面、804 、805 、806 、807 、808 は光学素子801 の表面に形成した反射膜を有する内面反射面、809は光学素子801 から光束が射出する屈折面、810 は光学素子801 からの光束が入射する光学素子802 の表面の屈折面、811 、812 、813 、814 、815 は光学素子802 の表面に形成した反射膜を有する内面反射面、816 は光学素子802 から光束が射出する屈折面である。
【0120】
各々の反射面は基本的に図 7における反射面と同じ考え方で設定している。ただし、各光学素子中に形成される中間像および瞳の大きさは空気換算で図 7と同じように設定すると、実際の光学素子中での大きさは屈折率の比で小さくなる為、図 7の構成に比べより薄くできる。言い換えれば、同じ厚みでは特に瞳サイズを大きくできるため光量を増やすことが可能である。よって、明るい変倍光学系とするためには図 8に示す様に各変倍群を1つの透明体の表面に2つの屈折面と複数の内面反射面を形成して構成するのが良い。
【0121】
なお、図 7、8 に示す変倍光学系において第1、2、3群のいずれかを基準軸方向に移動することによりフォーカシングが可能である。至近物体に対して第1群は物体側に(紙面左側に)、第2群は第1群から離れる方向に(紙面右側に)、第3群は第2群から離れる方向に(紙面左側に)移動すればピント合わせが可能である。特に、第2、3群は変倍に際して夫々の入射基準軸に平行に移動する構成であるから、これをフォーカシング群とすれば変倍機構をそのまま使用してフォーカシングできるため部品点数削減の点から好ましい。このとき、第2群あるいは第3群単独で行なってもよいし、第2、3群ともに移動させて行なっても良い。
【0122】
なお、光学素子801 、802 は透明材料から各屈折面、反射面形状を削りだして製作してもよいし、屈折面、反射面の反転形状を有する金型を用いて成形して製作してもよい。このようにして製作すると各面を独立に配置するよりも面の位置精度が高まるため、位置、傾き等の調整が不要となる。また、反射面を支持する部材が必要ないため部品点数が削減される。
【0123】
また、図 9に示す様に透明体の光学素子に変倍移動用のガイドバーが入る穴をあけておけば光学素子のみでユニットを構成できるため、通常レンズを保持する鏡筒等の部材が必要なく一層の部品点数削減が図れる。
【0124】
なお、このような部品点数削減のみに着目するならば、図 7、8 における第1群12は中間結像面13に像を形成する系であれば基本的に如何なるものでもよい。但し、本発明の目的にあるように薄型の系を構成するには前絞り構成である必要がある。あるいは絞り11と共役な位置に絞りを配置して第1面近傍に入射瞳を形成する必要がある。
【0125】
また、第1群を偏心系とすれば、変倍群で残存する偏心収差を第1群でキャンセルさせることができるため、より偏心収差を低減した系とすることができる。後述の本発明の数値実施例では第1群中の或る光学素子を偏心反射面4面乃至5面用いて構成し、全系で偏心収差を良好に補正している。
【0126】
数値実施例の説明に入る前に、実施例の構成諸元の表し方及び実施例全体の共通事項について説明する。
【0127】
図10は本発明の光学系の構成データを定義する座標系の説明図である。本発明の実施例では物体側から像面に進む1つの光線(図10中の一点鎖線で示すもので基準軸光線と呼ぶ)に沿ってi番目の面を第i面とする。
【0128】
図10において第1 面R1は絞り、第2 面R2は第1面と共軸な屈折面、第3 面R3は第2 面R2に対してチルトされた反射面、第4 面R4、第5 面R5は各々の前面に対してシフト、チルトされた反射面、第6 面R6は第5 面R5に対してシフト、チルトされた屈折面である。第2 面R2から第6 面R6までの各々の面はガラス、プラスチック等の媒質で構成される一つの光学素子上に構成されており、図10中では第1光学素子B1としている。
【0129】
従って、図10の構成では不図示の物体面から第2面R2までの媒質は空気、第2 面R2から第6 面R6まではある共通の媒質、第6 面R6から不図示の第7 面R7までの媒質は空気で構成している。
【0130】
本発明の光学系はOff-Axial 光学系であるため光学系を構成する各面は共通の光軸を持っていない。そこで、本発明の実施例においては先ず絞りである第1 面の光線有効径の中心を原点とする絶対座標系を設定する。本発明では絶対座標系の各軸を以下のように定める。
【0131】
Z軸:原点を通り第2 面R2に向かう基準軸
Y軸:原点を通りチルト面内(図10の紙面内)でZ 軸に対して反時計回りに 90゜をなす直線
X軸:原点を通りZ、Y 各軸に垂直な直線(図10の紙面に垂直な直線)
又、光学系を構成する第i面の面形状を表すには、絶対座標系にてその面の形状を表記するより、基準軸と第i面が交差する点を原点とするローカル座標系を設定して、ローカル座標系でその面の面形状を表した方が形状を認識する上で理解し易い為、本発明の構成データを表示する実施例では第i面の面形状をローカル座標系で表わす。
【0132】
また、第i面のYZ面内でのチルト角は絶対座標系のZ 軸に対して反時計回り方向を正とした角度θi (単位°)で表す。よって、本発明の実施例では各面のローカル座標の原点は図10中のYZ平面上にある。またXZおよびXY面内での面のチルト、シフトはない。さらに、第i面のローカル座標(x,y,z) のy,z 軸は絶対座標系(X,Y,Z) に対してYZ面内で角度θi 傾いており、具体的には以下のように設定する。
【0133】
z 軸:ローカル座標の原点を通り、絶対座標系のZ 方向に対しYZ面内において反時計方向に角度θi をなす直線
y 軸:ローカル座標の原点を通り、z 方向に対しYZ面内において反時計方向に90゜をなす直線
x 軸:ローカル座標の原点を通り、YZ面に対し垂直な直線
また、Diは第i面と第(i+1) 面のローカル座標の原点間の間隔を表すスカラー量、Ndi 、νdiは第i面と第(i+1) 面間の媒質の屈折率とアッベ数である。なお、絞りや最終結像面も1つの平面として表示している。
【0134】
また、本発明の実施例の光学系は複数の光学素子の移動により全体の焦点距離を変化する(変倍をする)。本発明の数値データを挙げた実施例では広角端(W) 、望遠端(T) とこれらの中間位置(M) の三つの位置での光学系断面図、数値データを示す。
【0135】
ここで、図10の光学素子においてYZ面内で光学素子が移動すると各変倍位置で値が変わるのは各面の位置を表すローカル座標の原点(Yi、Zi)であるが、本実施例では、変倍のために移動する光学素子がZ 方向の移動の場合のみであり、座標値Ziを光学系が広角端、中間、望遠端の状態の順にZi (W) 、Zi(M) 、Zi(T) で表すこととする。
【0136】
なお、各面の座標値は広角端での値を示し、中間、望遠端では広角端との差で記述する。具体的には広角端(W) に対する中間位置(M) 、望遠端(T) での移動量を各々a,b とすれば、以下の式で表す。
【0137】
Zi(M)=Zi(W)+a
Zi(T)=Zi(W)+b
なお、a,b の符号は各面がZ プラス方向に移動する場合を正、Z マイナス方向に移動する場合を負としている。また、この移動に伴い変化する面間隔Diは変数であり、各変倍位置での値を別表にまとめて示す。
【0138】
本発明の実施例は球面及び回転非対称の非球面を有している。その内の球面部分は球面形状としてその曲率半径Riを記している。曲率半径Riの符号は、曲率中心がローカル座標のz 軸プラス方向にある場合をプラスとし、z 軸マイナス方向にある場合をマイナスとする。
【0139】
ここで、球面は以下の式で表される形状である。
【0140】
【数14】
また、本発明の光学系は少なくとも回転非対称な非球面を一面以上有し、その形状は前述の (数式1)からx の奇数次の項を削除し、各項にかかる2項分布係数を係数項に組み込んだ形式として以下の式により表す。
【0141】
z =C02y2+C20x2+C03y3+C21x2y+C04y4+C22x2y2+C40x4
上記曲面式はx に関して偶数次の項のみであるため、上記曲面式により規定される曲面はyz面を対称面とする面対称な形状である。さらに以下の条件が満たされる場合はxz面に対して対称な形状を表す。
【0142】
C03 =C21 =0
さらに
C02 =C20 C04 =C40 =C22/2
が満たされる場合は回転対称な形状を表す。以上の条件を満たさない場合は非回転対称な形状である。
【0143】
また、水平半画角uYとは図10のYZ面内において第1面R1に入射する光束の最大画角、垂直半画角uXとはXZ面内において第1面R1に入射する光束の最大画角である。
【0144】
また、光学系の明るさを示すものとして入射瞳の直径を入射瞳径として示す。また、像面上での有効像範囲を像サイズとして示す。像サイズはローカル座標の y方向のサイズを水平、 x方向のサイズを垂直とした矩形領域で表している。
【0145】
また、構成データを挙げている実施例についてはその横収差図を示す。横収差図は各実施例の広角端(W) 、中間位置(M) 、望遠端(T) の状態について、絞りR1への水平入射角、垂直入射角が夫々(uY,uX),(0,uX),(-uY,uX),(uY,0),(0,0),(-uY, 0) となる入射角の光束の横収差を示す。横収差図においては、横軸は瞳への入射高さを表し、縦軸は収差量を表している。各実施例とも基本的に各面がyz面を対称面とする面対称の形状となっている為、横収差図においても垂直画角のプラス、マイナス方向は同一となるので、図の簡略化の為に、マイナス方向の横収差図は省略している。
【0146】
数値実施例を以下に示す。
【0147】
[数値実施例1]
図11、12、13は各々数値実施例1のYZ面内での広角端、中間位置、望遠端での光学断面図である。本数値実施例は変倍比約3 倍の変倍光学系である。その構成データを以下に記す。
【0148】
本数値実施例の構成を説明する。B1は第1光学素子であり、第1 面R1及び第2 面R2で構成する凹レンズである。第3 面R3は絞り面である。B2は第2光学素子であり、1つの透明体の表面に第4 面R4(入射屈折面)と偏心した曲面の内面反射面である第5 面R5〜第8 面R8と第9 面R9(射出屈折面)を形成している。B3は第3光学素子で1つの透明体の表面に第10面R10 (入射屈折面)と偏心した曲面の内面反射面である第11面R11 〜第15面R15 と第16面R16 (射出屈折面)を形成している。B4は第4光学素子であり、1つの透明体の表面に第17面R17 (入射屈折面)と偏心した曲面の内面反射面である第18面R18 〜第22面R22 と第23面R23 (射出屈折面)を形成している。
【0149】
第24面R24 から第29面R29 まではフィルター、カバーガラス等のガラス部材の面である。そして第30面R30 は最終像面であり、CCD 等の撮像媒体の撮像面が位置する。
【0150】
本数値実施例の各光学素子は3群に分かれて変倍光学系を構成している。即ち第1光学素子B1、絞りR3、第2光学素子B2は第1群を構成し、第3光学素子B3は第2群を、第4光学素子B4は第3群を構成し、第2群と第3群は相対的位置を変化させて変倍を行う変倍群である。そして各変倍群中で前記の中間像及び瞳像のリレーに効果的に作用している凹反射面はR11,R13,R15,R18,R20,R22 である。
【0151】
以下、物体位置を無限遠としたときの結像作用について述べる。まず、第1光学素子B1、絞りR3の順に通過した光束は第2光学素子B2に入射する。第2光学素子B2内では第4 面R4で屈折、第5 面R5、第6 面R6、第7 面R7、第8 面R8で反射した後第9 面R9で屈折して第2光学素子B2を射出する。このとき、第6 面近傍の中間結像面に1次結像、第8 面R8から第9 面R9間に2次結像する。また、第7 面R7、第8 面R8間に瞳を形成している。
【0152】
次に光束は第3光学素子B3に入射する。第3光学素子B3内では第10面R10 で屈折、第11面R11 、第12面R12 、第13面R13 、第14面R14 、第15面R15 で反射、第16面R16 で屈折し、第3光学素子B3を射出する。このとき、広角端では第2光学素子B2中の第12面R12 、第13面R13 間に、望遠端では第13面R13 近傍に3次結像面を形成している。また、広角端では第14面R14 、第15面R15 間に、望遠端では第16面R16 近傍に瞳を形成している。
【0153】
次に光束は第4光学素子B4に入射する。第4光学素子B4内では第17面R17 で屈折、第18面R18 、第19面R19 、第20面R20 、第21面R21 、第22面R22 で反射、第23面R23 で屈折し、第4光学素子B4を射出する。このとき、広角端では第18面R18 、第19面R19 間に、望遠端では第19面R19 近傍に4次結像面を形成している。また、広角端では第22面R22 近傍に、望遠端では第22面R22 から第23面R23 間に瞳を形成している。
【0154】
そして、第4光学素子B4を射出した光束は第24面R24 から第29面R29 を透過した後第30面R30 上に5次結像面として最終的に結像する。
【0155】
本数値実施例の第2光学素子B2は、入射基準軸の方向と射出基準軸の方向とが同一方向になっている。又、第3光学素子B3および第4光学素子B4は、夫々入射基準軸の方向と射出基準軸の方向とが180 °異なっている。
【0156】
次に、変倍動作に伴う各光学素子の移動について説明する。変倍に際して第1群である第1光学素子B1、絞りR3、第2光学素子B2は固定であり、動かない。第3光学素子B3は広角端から望遠端に向って該光学素子の入射基準軸に平行にZ マイナス方向に移動する。又、第4光学素子B4は広角端から望遠端に向って該光学素子の入射基準軸に平行にZ マイナス方向に移動する。
【0157】
フィルター、カバーガラス及び最終像面である第30面R30 は変倍に際して移動しない。なお、これらの平行平板類は屈折力を持たないので本明細書では光学系を構成する群として考慮しない。
【0158】
そして、広角端から望遠端に向っての変倍に際して第2光学素子B2と第3光学素子B3との間隔は狭まり、第3光学素子B3と第4光学素子B4との間隔は広がり、第4光学素子B4と第24面R24 及び最終像面R30 との間は広がる。
【0159】
また、広角端から望遠端に向っての変倍に際して第1面R1から最終像面R30 間の全系の光路長は長くなる。
【0160】
図14、15、16は各々本数値実施例の広角端(W) 、中間位置(M) 、望遠端(T) での横収差図である。これらの横収差図は本数値実施例への光束の入射角が各々(uY,uX),(0,uX),(-uY,uX),(uY,0),(0,0),(-uY,0)の6つの光束について、Y 方向及びX 方向の横収差を示している。なお、各横収差図の横軸は各々入射瞳におけるY 方向、X 方向の入射光束の入射高さである。
【0161】
本数値実施例では図から判るように各ズーム位置においてバランスの取れた収差補正が得られている。
【0162】
また、本数値実施例は像サイズ3.76x2.82mm を前提として、光学系の厚さの寸法が7.6mm 程度となっている。よって、本数値実施例では各光学素子及び光学系全体の厚さが小さいこと、及び各光学素子を板状の透明体の側面に反射面を形成して構成できるので、1つの基板上に2つの光学素子を基板面に沿って移動する機構をとれば、全体として薄型の変倍光学系を容易に構成することができる。
【0163】
なお、本数値実施例では複数の屈折面により色収差が発生するが、各屈折面の曲率を適切に定めることにより変倍全域に渡って色収差補正を行なっている。特に絞りの直前に凹レンズを配置することにより第4面R4で発生する軸上色収差を良好に補正している。
【0164】
本数値実施例は図 8に示す実施形態1において、絞りより物体側に1つの凹レンズを設けたものである。
【0165】
[数値実施例2]
図17、18、19は各々数値実施例2のYZ面内での広角端、中間位置、望遠端での光学断面図である。本数値実施例は変倍比約3 倍の変倍光学系である。その構成データを以下に記す。
【0166】
本数値実施例の構成を説明する。B1は第1光学素子であり、第1 面R1及び第2 面R2で構成する凹レンズである。第3 面R3は絞り面である。B2は第2光学素子であり、1つの透明体の表面に第4 面R4(入射屈折面)と偏心した曲面の内面反射面である第5 面R5〜第9 面R9と第10面R10 (射出屈折面)を形成している。B3は第3光学素子であり、第10’面R10'及び第11面R11 で構成する凸レンズである。なお、第2光学素子B2と第3光学素子B3とは第10面R10 と第10’面R10'とで接合している。
【0167】
B4は第4光学素子であり、1つの透明体の表面に第12面R12 (入射屈折面)と偏心した曲面の内面反射面である第13面R13 〜第17面R17 と第18面R18 (射出屈折面)を形成している。B5は第5光学素子であり、1つの透明体の表面に第19面R19 (入射屈折面)と偏心した曲面の内面反射面である第20面R20 〜第24面R24 と第25面R25 (射出屈折面)を形成している。
【0168】
第26面R26 から第31面R31 まではフィルター、カバーガラス等のガラス部材の面である。そして第32面R32 は最終像面であり、CCD 等の撮像媒体の撮像面が位置する。
【0169】
本数値実施例の各光学素子は3群に分かれて変倍光学系を構成している。即ち第1光学素子B1、絞りR3、第2光学素子B2及び第3光学素子B3は第1群を構成し、第4光学素子B4は第2群を、第5光学素子B5は第3群を構成し、第2群と第3群は相対的位置を変化させて変倍を行う変倍群である。そして各変倍群中で前記の中間像及び瞳像のリレーに効果的に作用している凹反射面はR13,R15,R17,R20,R22,R24 である。
【0170】
以下、物体位置を無限遠としたときの結像作用について述べる。まず、第1光学素子B1、絞りR3の順に通過した光束は第2光学素子B2に入射する。第2光学素子B2内では第4 面R4で屈折、第5 面R5、第6 面R6、第7 面R7、第8 面R8、第9 面R9で反射した後第10面R10 で屈折して第3光学素子B3に入射し、第11面R11 で屈折して第3光学素子B3を射出する。このとき、光束は第6 面R6近傍に1次結像する。更に、第9 面R9と第10面R10 との間で2次結像する。また、第6 面R6、第7 面R7間に瞳を形成している。
【0171】
次に光束は第4光学素子B4に入射する。第4光学素子B4内では第12面R12 で屈折、第13面R13 、第14面R14 、第15面R15 、第16面R16 、第17面R17 で反射、第18面R18 で屈折し、第4光学素子B4を射出する。このとき、広角端では第15面R15 近傍に、望遠端では第15面R15 、第16面R16 間に3次結像面を形成している。また、広角端では第16面R16 、第17面R17 間に、望遠端では第18面R18 近傍に瞳を形成している。
【0172】
次に光束は第5光学素子B5に入射する。第5光学素子B5内では第19面R19 で屈折、第20面R20 、第21面R21 、第22面R22 、第23面R23 、第24面R24 で反射、第25面R25 で屈折し、第5光学素子B5を射出する。このとき、広角端では第21面R21 近傍に、望遠端では第21面R21 、第22面R22 間に4次結像面を形成している。また、広角端では第24面R24 近傍に、望遠端では第25面R25 近傍に瞳を形成している。
【0173】
そして、第5光学素子B5を射出した光束は第26面R26 から第31面R31 を透過した後第32面R32 上に5次結像面として最終的に結像する。
【0174】
本数値実施例の第2光学素子B2、第4光学素子B4及び第5光学素子B5は夫々の入射基準軸の方向と射出基準軸の方向が180 °異なっている。
【0175】
次に、変倍動作に伴う各光学素子の移動について説明する。変倍に際して第1群である第1光学素子B1、絞りR3、第2光学素子B2、第3光学素子B3は固定であり、動かない。第4光学素子B4は広角端から望遠端に向って該光学素子の入射基準軸と平行にZ プラス方向に移動する。第5光学素子B5は広角端から望遠端に向って該光学素子の入射基準軸に平行にZ プラス方向に移動する。
【0176】
フィルター、カバーガラス及び最終像面である第32面R32 は変倍に際して移動しない。
【0177】
広角端から望遠端に向っての変倍に際して第3光学素子B3と第4光学素子B4との間隔は狭まり、第4光学素子B4と第5光学素子B5との間隔は一旦狭まった後広がり、第5光学素子B5と第26面R26 及び最終像面R32 との間は広がる。
【0178】
また、広角端から望遠端に向っての変倍に際して第1 面R1から最終像面R32 間の全系の光路長は一旦短くなった後長くなる。
【0179】
図20、21、22は夫々本数値実施例の広角端(W) 、中間位置(M) 、望遠端(T) での横収差図である。これらの横収差図は本数値実施例への光束の入射角が各々(uY,uX),(0,uX),(-uY,uX),(uY,0),(0,0),(-uY,0)の6つの光束について、Y 方向及びX 方向の横収差を示している。なお、各横収差図の横軸は各々入射瞳におけるY 方向、X 方向の入射光束の入射高さである。
【0180】
本数値実施例では図から判るように各ズーム位置においてバランスの取れた収差補正が得られている。
【0181】
なお、本数値実施例では複数の屈折面により色収差が発生するが、各屈折面の曲率を適切に定めることにより変倍全域にわたって色収差補正を行なっている。特に絞りの直前に凹レンズを配置することにより第4面R4で発生する軸上色収差を良好に補正している。また、第2光学素子B2にこれと屈折率が異なるレンズ(第3光学素子B3)を貼り合わせることにより倍率色収差を良好に補正している。又、本数値実施例は像サイズ4.8x3.6mm を前提として、光学系の厚さの寸法が10.0mm 程度となっている。よって、本数値実施例では各光学素子及び光学系全体の厚さが小さいこと、及び各光学素子を板状の透明体の側面に反射面を形成して構成できるので、1つの基板上に2つの光学素子を基板面に沿って移動する機構をとれば、全体として薄型の変倍光学系を容易に構成することができる。
【0182】
本数値実施例は図 8の実施形態1において第1群を入射基準軸と射出基準軸が180 °異なる群で構成し、絞りの物体側に1つの凹レンズを設けたものである。
なお、本数値実施例の基準軸は全てYZ面内に存在するが、固定群である第1群の中に基準軸光線を適切に反射させる斜設反射面を設けることにより該変倍光学系へ入射する基準軸の方向を任意の方向に設定できて、撮像装置の構成の自由度を増すことが出来る。
【0183】
図23は数値実施例2の第2光学素子B2をプリズム化して基準軸の方向を変える方法の説明図である。図は数値実施例2の第2光学素子B2の第4面の直後にX 軸に平行に入射する基準軸光線をZ 軸に平行な方向に反射する反射面R4,1を設けたものである。このように第2光学素子B2をプリズム化すれば固定群である第1群を基準軸の入射方向と射出方向が90゜異なる群として構成できる。このようにすると光線の入射方向の厚みを薄くすることができるため、被写体から光束が入射する方向に極めて薄い撮像装置を構成できる。
【0184】
[数値実施例3]
図24、25、26は各々数値実施例3のYZ面内での広角端、中間位置、望遠端での光学断面図である。本数値実施例は変倍比約3 倍の変倍光学系である。その構成データを以下に記す。
【0185】
本数値実施例の構成を物体側から順に説明する。第1 面R1は絞り面である。B1は第1光学素子であり、第2 面R2及び第3 面R3で構成する凸レンズである。B2は第2光学素子であり、夫々表面鏡である第4 面R4、第5 面R5、第6 面R6、第7 面R7、第8 面R8で構成している。B3は第3光学素子であり、第9 面R9及び第10面R10 で構成する凸レンズである。
【0186】
B4は第4光学素子であり、夫々表面鏡である第11面R11 〜第15面R15 で構成している。B5は第5光学素子であり、第16面R16 及び第17面R17 で構成する凹レンズである。B6は第6光学素子であり、夫々表面鏡である第18面R18 〜第22面R22 で構成している。
【0187】
第23面R23 から第26面R26 まではフィルター、カバーガラス等のガラス部材の面である。そして第27面R27 は最終像面であり、CCD 等の撮像媒体の撮像面が位置する。
【0188】
ここで第6光学素子B6中の反射面は一体で移動できるように配置されている必要がある。そこでこれらは例えば図27に示すように一体成形部品としている。また第4光学素子B4、第2光学素子B2についても一体成形部品としている。
【0189】
本数値実施例の各光学素子は4群に分かれて変倍光学系を構成している。即ち絞りR1,第1光学素子B1、第2光学素子B2、第3光学素子B3は第1群を構成し、第4光学素子B4は第2群を、第5光学素子B5は第3群を,第6光学素子B6は第4群を構成し、このうち第2群と第4群は相対的位置を変化させて変倍を行う変倍群である。又、第3群は2つの変倍群の間に配置した負の屈折力を有する固定レンズである。そして各変倍群で前記の中間像及び瞳像のリレーに効果的に作用している凹反射面はR11,R13,R15,R18,R20,R22 である。
【0190】
以下、物体位置を無限遠としたときの結像作用について述べる。まず、絞り、第1光学素子B1(凸レンズ1)を通過した光束は第2光学素子B2に入射する。第2光学素子B2では第4 面R4から第8 面R8で順次反射し第2光学素子B2を射出する。このとき、第4 面R4、第5 面R5間で1次結像、第8 面R8から第9 面R9間に2次結像する。また、第6 面R6、第7 面R7間に瞳を形成している。
【0191】
次に光束は第3光学素子B3(凸レンズ2)を透過して第4光学素子B4に入射する。第4光学素子B4では第11面R11 から第15面R15 で順次反射し第4光学素子B4を射出する。このとき、広角端では第12面R12 、第13面R13 間に、望遠端では第13面R13 、第14面R14 間に3次結像面を形成している。
【0192】
次に光束は第5光学素子B5(凹レンズ)を透過して第6光学素子B6に入射する。第6光学素子B6では第18面R18 から第22面R22 で順次反射し第6光学素子B6を射出する。このとき、広角端では第18面R18 、第19面R19 間に、望遠端では第19面R19 近傍に4次結像面を形成する。また、広角端では第21面R21 、第22面間に、望遠端では第22面R22 、第23面R23 間に瞳を形成している。
【0193】
そして、第6光学素子B6を射出した光束は第23面R23 から第26面R26 を透過した後第27面R27 上に5次結像面として最終的に結像する。
【0194】
本数値実施例の第2光学素子B2、第4光学素子B4および第6光学素子B6はいずれも入射基準軸の方向と射出基準軸の方向が180 °異なっている。
【0195】
次に、各光学素子の移動による変倍作用について説明する。変倍に際して第1群である絞りR1、第1光学素子B1、第2光学素子B2、第3光学素子B3は固定である。第4光学素子B4は広角端から望遠端に向って該光学素子の入射基準軸に平行にZ プラス方向に移動する。第5光学素子B5である凹レンズは移動しない。第6光学素子B6は広角端から望遠端に向って該光学素子の入射基準軸に平行にZ プラス方向に移動する。フィルター、カバーガラス、最終像面は変倍に際して移動しない。
【0196】
そして、広角端から望遠端に向っての変倍によって第3光学素子B3と第4光学素子B4との間隔は狭まり、第4光学素子B4と第5光学素子B5の間は狭まり、第5光学素子B5と第6光学素子B6との間は広がり、第6光学素子B6と第23面R23 との間は広がる。
【0197】
また、第1面R1から第27面R27 までの全系光路長は広角端から望遠端に向っての変倍において一旦短くなった後長くなる。
【0198】
図28,29,30は各々本数値実施例の広角端(w) 、中間位置(M) 、望遠端(T) での横収差図である。これらの横収差図は本数値実施例への光束の入射角が各々(uY,uX),(0,uX),(-uY,uX),(uY,0),(0,0),(-uY,0)の6つの光束について、Y 方向及びX 方向の横収差を示している。なお、各横収差図の横軸は各々入射瞳におけるY 方向、X 方向の入射光束の入射高さである。
【0199】
本数値実施例では図から判るように各ズーム位置においてバランスの取れた収差補正が得られている。
【0200】
また、本数値実施例では主として表面鏡を使用しているのでこの部分では色収差の発生は無いが、第1光学素子B1( 凸レンズ1) で発生する色収差のうち、軸上色収差は第5光学素子B5( 凹レンズ) で、倍率色収差は第3光学素子B3( 凸レンズ2) で補正して変倍全域に渡って色収差補正を行なっている。また、第3光学素子B3(凸レンズ2)は第4光学素子B4の適切な位置に瞳を形成するためのフィールドレンズとしても機能している。
【0201】
又、本数値実施例は像サイズ4.8x3.6mm を前提として、光学系の厚さの寸法が12.8mm 程度となっている。よって、本数値実施例では各光学素子及び光学系全体の厚さが薄いこと、及び各光学素子内の反射面を1つの板上に形成し、1つの基板上に変倍群である2つの光学素子を基板面に沿って移動する機構をとれば、全体として薄型の変倍光学系を容易に構成することができる。
【0202】
本数値実施例は図 7の実施形態1において、第1群を入射基準軸と射出基準軸が180 °異なる群とし、第2群14と第3群15との間に固定の凹レンズを配置したものである。
【0203】
なお、本数値実施例の基準軸は全てYZ面内に存在するが、固定群である第1群の中に基準軸光線を適切に反射させる斜設反射面を設けることにより該変倍光学系へ入射する基準軸の方向をYZ面内以外の任意の方向に設定できて、撮像装置の構成の自由度を増すことが出来る。
【0204】
図31は数値実施例3の第1光学素子B1をプリズム化して基準軸の方向を変える方法の説明図である。図は数値実施例3の第1光学素子B1の第2面R2の直後にX 軸に平行に入射する基準軸光線をZ 軸に平行な方向に反射する反射面R2,1を設けたものである。このように第1光学素子B1をプリズム化すれば固定群である第1群を基準軸の入射方向と射出方向が90゜異なる群として構成できる。このようにすると光線の入射方向の厚みを薄くすることができるため、被写体から光束が入射する方向に極めて薄い撮像装置を構成できる。
なお、最後に各数値実施例の各条件式に関する値を示す。なお、(条件式 1、2)はすべての数値実施例について完全に成り立っている。但し、(条件式 4)に関してはすべての数値実施例の適合する反射面において1.0 であり、条件式内である。以下、(条件式 3)、(条件式 5)、(条件式 6)について値を示す。
(条件式 3)
数値実施例1 数値実施例2 数値実施例3
R11 面 1.06 R13 面 0.89 R11 面 0.93
R13 面 0.70 R15 面 0.59 R13 面 0.41
R15 面 0.73 R17 面 0.81 R15 面 0.86
R18 面 2.21 R20 面 0.98 R18 面 1.64
R20 面 1.00 R22 面 0.78 R20 面 1.17
R22 面 0.75 R24 面 0.91 R22面 1.21
(条件式 5)
数値実施例1 数値実施例2 数値実施例3
R11 面/R13面 0.64 R13 面/R15面 0.69 R11 面/R13面 0.52
R13 面/R15面 1.13 R15 面/R17面 1.24 R13 面/R15面 1.39
R18 面/R20面 1.23 R20 面/R22面 1.14 R18 面/R20面 1.13
R20 面/R22面 0.63 R22 面/R24面 0.89 R20 面/R22面 0.89
(条件式 6)
数値実施例1 数値実施例2 数値実施例3
R10 面〜R23 面 1.04 R12 面〜R25 面 0.81 R11 面〜R22 面 0.68
以上の各数値実施例は、変倍群の中で物体像を少なくとも1回結像させる構成となっているので、広画角でありながら変倍光学系の厚さが薄く、変倍群の中で偏心した凹反射面を設けて変倍光学系内の光路を所望の形状に屈曲して、該変倍光学系の所定方向の全長を短くし、該反射面を入射・射出基準軸を含む面内において非対称な断面形状とすること等により、偏心収差を全変倍域に渡って良好に補正し、小型で高性能の変倍光学系となっている。
【0205】
【発明の効果】
本発明は以上の構成により、物体側より固定群と複数の変倍群を配置し、該複数の変倍群の相対的移動により変倍を行う変倍光学系において、広画角でありながら厚さが薄く、所定方向の全長が短く、偏心収差を全変倍域に渡って良好に補正した高性能の変倍光学系及びそれを用いた撮像装置を達成する。
【0206】
又、
(3−1) 絞りを変倍光学系の物体側若しくは第1面近傍に配置し、且つ
該変倍光学系の中で物体像を少なくとも1回結像させる構成とすることにより、広画角でありながら変倍光学系の厚さを薄くする。
(3−2) 各群に複数の反射面に適切な屈折力を与えた光学素子を用いると共に該反射面を偏心配置することにより、変倍光学系内の光路を所望の形状に屈曲し、該変倍光学系の所定方向の全長を短縮する。
(3−3) 変倍光学系を構成する複数の光学素子を複数の反射面を一体的に形成して構成する際、各反射面を偏心配置すると共に、各反射面に適切な屈折力を与えることにより、偏心収差を全変倍域に渡って良好に補正する。
(3−4) 変倍群として複数の曲面や平面の反射面を一体的に形成した光学素子を用いることにより変倍光学系全体の小型化を図りつつ、反射面を使用する際にありがちな反射面の厳しい配置精度(組立精度)の問題を解決する。
等の少なくとも1つの効果を有する変倍光学系及びそれを用いた撮像装置を達成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の変倍光学系を共軸屈折系で表した説明図
【図2】 本発明の変倍光学系の実施形態1の光学配置図
【図3】 本発明の変倍光学系の変倍群の基本構成を共軸屈折系で示す説明図
【図4】 本発明の変倍光学系の変倍群の別の基本構成を共軸屈折系で示す説明図
【図5】 本発明の変倍光学系の変倍群の基本構成の説明図
【図6】 本発明の変倍光学系の変倍群の基本構成図
【図7】 本発明の変倍光学系の実施形態1の構成図
【図8】 実施形態1の別の構成図
【図9】 本発明の変倍光学系の1実施形態の要部斜視図
【図10】 本発明の数値実施例の座標系の説明図
【図11】 本発明の変倍光学系の数値実施例1の広角端での光学断面図
【図12】 数値実施例1の中間位置での光学断面図
【図13】 数値実施例1の望遠端での光学断面図
【図14】 数値実施例1の広角端での横収差図
【図15】 数値実施例1の中間位置での横収差図
【図16】 数値実施例1の望遠端での横収差図
【図17】 本発明の変倍光学系の数値実施例2の広角端での光学断面図
【図18】 数値実施例2の中間位置での光学断面図
【図19】 数値実施例2の望遠端での光学断面図
【図20】 数値実施例2の広角端での横収差図
【図21】 数値実施例2の中間位置での横収差図
【図22】 数値実施例2の望遠端での横収差図
【図23】 数値実施例2の第2光学素子をプリズム化して基準軸の方向を変える方法の説明図
【図24】 本発明の変倍光学系の数値実施例3の広角端での光学断面図
【図25】 数値実施例3の中間位置での光学断面図
【図26】 数値実施例3の望遠端での光学断面図
【図27】 数値実施例3の変倍群の斜視図
【図28】 数値実施例3の広角端での横収差図
【図29】 数値実施例3の中間位置での横収差図
【図30】 数値実施例3の望遠端での横収差図
【図31】 数値実施例3の第1光学素子をプリズム化して基準軸の方向を変える方法の説明図
【図32】 Off-Axial 光学系の一例を示す図
【図33】 本発明で用いているOff-Axial 光学系の基準軸と面との交点を原点にした表現方法の説明図
【図34】 折れ曲がった基準軸に沿った近軸展開の座標系とそこで用いられている諸量の説明図
【図35】 像点ベクトルの成分分解の説明図
【図36】 Off-Axial 光学系の主点と焦点と焦点距離
【図37】 基準軸が2焦点を通るOff-Axial 反射2次曲面の一例の説明図
【図38】 カセグレン式反射望遠鏡の基本構成図
【図39】 ミラー光学系における主光線を光軸から離しケラレを防止する第一の方法の説明図
【図40】 ミラー光学系における主光線を光軸から離しケラレを防止する第二の方法の説明図
【図41】 従来の反射ミラーを用いた変倍光学系の概念図
【図42】 プリズム反射面に曲率を持たせた観察光学系の概念図
【図43】 他のプリズム反射面に曲率を持たせた観察光学系の概念図
【符号の説明】
11 絞り
12 第1群
13 中間結像面
14 第2群
15 第3群
16 像面
Bi 第i光学素子
Ri 第i面
Ri 第i面の曲率半径
Di 第i面間隔
Claims (11)
- 物体側より順に、固定群としての第1群と2つの変倍群を配置し、該2つの変倍群の相対的移動により変倍を行う変倍光学系において、
該第1群は正の屈折力であり、該2つの変倍群はそれぞれの群中で軸上光束を1回中間結像すると共に1回瞳結像し、
変倍群iの焦点距離をfi、該変倍群中での軸上光束の中間結像の回数をkとする時、各変倍群は条件式:
fi×(−1)k>0 (kは1以上の整数)
をそれぞれ満足し、物体よりでて該変倍光学系に入り、該変倍光学系内の絞り中心を通って最終像面の中心に至る光線を基準軸光線とし、該変倍光学系の各面又は各群に入射する基準軸光線をその面又はその群の入射基準軸、各面又は各群から射出する基準軸光線をその面又はその群の射出基準軸、該入射基準軸と各面の交点を基準点、該入射基準軸、射出基準軸において該基準軸光線が物体側から像面に向かって進む方向を入射基準軸の方向、射出基準軸の方向とするとき、
各変倍群はそれぞれ、入射・射出基準軸がその面の基準点における法線に対して傾いている3つの凹反射面と2つの折り返し反射面とを有し、各変倍群における最も物体側の面の入射基準軸の方向と最も像側の面の射出基準軸の方向とを180°異なるように構成され、
該3つの凹反射面の入射・射出基準軸を含む面内における断面形状は非対称な形状であることを特徴とする変倍光学系。 - 前記変倍群はそれぞれの最も物体側の面の入射基準軸と最も像側の面の射出基準軸は互いに平行であり、前記変倍群はそれぞれ入射基準軸に平行に移動して変倍を行うことを特徴とする請求項1の変倍光学系。
- 前記3つの凹反射面はその入射基準軸と射出基準軸を含む平面に対して面対称な形状であることを特徴とする請求項2の変倍光学系。
- 前記第1群の物体側から数えて第1面から変倍光学系の最終像面までの光路長は変倍に際して変化することを特徴とする請求項3の変倍光学系。
- 前記変倍群はいずれも連続して光線を反射する5つの反射面を有し、該反射面中の物体側から数えて第1、3、5面が前記凹反射面であることを特徴とする請求項4の変倍光学系。
- 物体側の変倍群の移動量をd1、像側の変倍群の移動量をd2、変倍光学系の第1面から最終像面までの光路長の広角端での値をLW、望遠端での光路長の値をLTとしたとき、条件式:
LT=LW+2(d2−d1)
を満たすことを特徴とする請求項5又は6の変倍光学系。 - 物体側の変倍群の最も物体側の面から像側の変倍群の最も像側の面までの広角端での横倍率をβWとしたとき、条件式:
0.5 <|βW|< 1.5
を満たすことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項の変倍光学系。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の変倍光学系と、該変倍光学系により撮像面上に物体の像が形成される撮像媒体とを有することを特徴とする撮像装置。
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