JP4039724B2 - 遊技機 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機やアレンジボール遊技機等の遊技機に関し、特に、遊技機前面に灰皿を設けた遊技機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の技術を代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて説明する。
このパチンコ遊技機では、喫煙をしながら遊技を行う遊技者のために、前面側に灰皿部材を設けてある。
この灰皿部材は、下皿と一体に設けるのが一般的である。例えば、下皿の左側部分を左側に延出形成し、この延出形成した部分の一部を切り出したブロック状の部分に、上面が開放した凹室形状の灰収納部を形成することにより、灰皿部材を形成している。
この灰皿部材は、左右両側部にて軸支されており、この軸支部分を中心にして回動可能に取り付けてある。また、この軸支部分は、灰皿部材の前後中央よりも前方寄りに配置してある。これは、灰皿部材を反転した際に灰収納部が前方に突出するようにするためであり、これにより、店員等が掃除をする際に、灰皿内の吸い殻等を容易にバケツに受けることができる。
【０００３】
ところで、この灰皿部材は、灰収納部の開口の面積が狭い上に開口が略垂直上方を向いていたので、遊技中の遊技者の位置からは開口が小さく煙草を置き難いものであった。また、遊技店の店員からすれば、吸い殻等の収納量が比較的少ないため、灰収納部内に溜まった吸い殻を頻繁に掃除する必要があり、面倒であった。
【０００４】
このため、パチンコ遊技機に設けた灰皿部材を使わずに、パチンコ遊技機を設置する島設備内に吸い殻等の回収機構を設けた遊技店や、比較的多くの吸い殻等を貯めておける灰皿を灰皿部材の他に別途備え付ける遊技店も少なくない。
また、喫煙しない遊技者も増えてきており、この遊技者のために禁煙コーナを設けた遊技店もある。
【０００５】
そして、吸い殻等の回収機構を設けた島設備に設置された遊技機、別途灰皿を備え付けた遊技店における遊技機、及び、禁煙コーナーに設置された遊技機にとっては、灰皿部材は、通常使用することがない補助的なものであり、誤って使用されてしまうと、店員等に掃除等の更なる負担を強いることになる。
このため、遊技店では、例えば、使用を禁止する旨を記載したプレートで灰収納部の開口を塞ぐことにより、灰皿部材を使用できないようにしている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、灰収納部の開口を塞いで灰皿部材を使用できないようにした場合には、灰皿部材の体裁が悪くなってしまうという問題があった。
また、仮に、灰皿部材を裏返して使用できないようにした場合には、常態、即ち使用状態において後方側に位置していた灰皿部材の後部が前方側に位置し、この部分が他の部分よりも前方や上方に突出してしまうので、この場合にも、体裁が悪くなってしまうという問題があった。
【０００７】
そこで、本発明は、灰皿部材を有する遊技機において、この灰皿部材の非使用状態における遊技機の体裁を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した目的を達成するために提案されたものであり、前面枠の前面下部パネルに灰皿部材を取り付けた遊技機において、
前記灰皿部材は、
前記前面下部パネルに取り付けられる取付ベース部と、
前方に突出した状態で前記取付ベース部の左右に各々取り付けられる支持腕部と、
該支持腕部に回動可能な状態で左右側部が支持されると共に灰収納部を形成した灰皿本体と、
前記灰収納部の開口を遊技者側に傾かせた使用状態と、前記開口を下側に向けた非使用状態とに、灰皿本体の姿勢を安定させる姿勢安定手段と、
を有し、
前記取付ベース部は、前記前面下部パネルに形成された取付空部内に嵌合した状態で止着され、 灰皿本体が使用状態又は非使用状態の何れかに拘わらず、当該灰皿本体の後方に位置する部分を収納可能な収納窪部を有し、
前記灰皿本体は、使用状態において前記灰収納部の開口面が前記支持腕部の上縁よりも上方に位置するように前記支持腕部に支持され、
前記姿勢安定手段は、
前記灰皿本体の後部に形成された係合溝部と、前記収納窪部の表面に形成されて係合溝部又は灰皿本体の開口前端部分と当接可能な段差部と、前記灰皿本体の左右両側部にそれぞれ板形状に突設した支持軸部と、前記支持腕部に形成され前記支持軸部が嵌合する支持溝部と、からなり、
前記支持溝部は、
前記灰皿本体の回転を規制して前記使用状態又は前記非使用状態への変換を不能にする規制溝部と、前記灰皿本体の回転を許容して前記使用状態又は前記非使用状態への変換を可能にする回転許容溝部と、からなり、
前記規制溝部は、
前方から後方に向かって下り傾斜する溝であり、その溝幅が前記支持軸部の厚みよりも大きく且つ前記支持軸部の幅よりも狭く形成され、
前記回転許容溝部は、
前記規制溝部の前端部分に連続して形成され、前記支持軸部の幅よりも大きい直径を有する略円形状に形成され、
前記灰皿部材が前記使用状態である場合には、前記灰皿本体の自重により前記支持軸部が前記規制溝部の傾斜下端部分に位置し、この状態では、灰皿本体の後端部が前記収納窪部内に収納されて係合溝部が段差部と当接すると共に、支持軸部が規制溝部に嵌合して灰皿本体の姿勢を安定させる一方、
前記灰皿部材が前記非使用状態である場合には、前記灰皿本体の自重により前記支持軸部が前記規制溝部の傾斜下端部分に位置し、この状態では、灰皿本体の開口前端部分が収納窪部内に収納されて開口前端部分が段差部と当接すると共に、支持軸部が規制溝部に嵌合して灰皿本体の姿勢を安定させることを特徴とする遊技機である。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機１を例に挙げて説明する。ここで、図１はパチンコ遊技機１の正面図である。
【００１１】
図１に示すように、パチンコ遊技機１は、パチンコ機本体２と、遊技カードに記憶された情報の読み書き等を行うカードユニット３とから概略構成してある。
【００１２】
パチンコ機本体２は、機枠４により囲われ、この機枠４に、大きい開口部を有する額縁状の前面枠５を開閉可能に取り付けてある。この前面枠５の背面には、前面枠５の開口に後方から臨むように遊技盤６を配設してある。そして、この遊技盤６の表面には、ガイドレール等の区画部材７によりほぼ円形に区画された遊技領域８を設けてあり、この遊技領域８内には、可変表示装置９や各種の入賞具１０等を配設してある。
また、前面枠５の前面には、開口部を前方から塞ぐようにして、透明部材の一種である前面ガラス１１を保持した額縁状の前面カバー部材１２と、前面に上皿１３を設けた開閉パネル１４とを、ともに開閉可能な状態で取り付けてある。そして、前面カバー部材１２が閉じた閉止状態では、遊技領域８が前面カバー部材１２の開口部から臨み、前面ガラス１１を通して遊技者側から視認できる。
【００１３】
また、開閉パネル１４の下方に設けた前面下部パネル１８には、上皿１３に入りきらずにオーバーフローした遊技球や、ファール球を受けるための下皿１５を設けてある。さらに、この下皿１５の左側には灰皿部材１６を、右側には遊技球を発射させる際に操作する発射操作部１７をそれぞれ設けてある。
なお、前面下部パネル１８は、前面枠５の前面下部に取り付けられる部材であり、パチンコ機本体２の前面の一部を構成する。
【００１４】
そして、本実施形態においては、灰皿部材１６と発射操作部１７とを、下皿１５を挟んで左右対称の位置に配設してある。また、灰皿部材１６の一部を構成する灰皿本体２１（後述）と発射操作部１７の一部を構成する操作ハンドル１７ａとに関し、灰皿本体２１については略半球形状とすると共に、操作ハンドル１７ａの頭部、即ち遊技者により把持される部分については略球形状とし、さらに、両者の大きさをほぼ等しく設けてある。
また、前面下部パネル１８に取り付けられる灰皿部材１６の取付ベース部２２と、同じく前面下部パネル１８に取り付けられる発射操作部１７のハンドル取付ベース部１７ｂとについても、正面側から見て、直径がほぼ等しい略円形状の部材により構成してある。
このため、灰皿部材１６と発射操作部１７とは、遊技者側から見てほぼ同じ外観となり、下皿１５を挟んで左右対称となる。従って、パチンコ機本体２の前面下側部分に関し、洗練された印象を遊技者に与えることができる。
【００１５】
次に、上記した灰皿部材１６について詳細に説明する。ここで、図２は灰皿部材１６の構成を説明する分解斜視図、図３は灰皿部材１６の断面図、即ち、図１におけるＡ−Ａ断面図である。
【００１６】
図２に示すように、灰皿部材１６は、取付ベース部２２と、灰皿本体２１と、支持腕部２３，２３とから概略構成してある。そして、これらの取付ベース部２２、灰皿本体２１及び支持腕部２３，２３は、ユニット化してあり、前面下部パネル１８から一体で着脱可能に構成してある。
【００１７】
取付ベース部２２は、正面部分を、略円形状、より詳しくは、円の下端部分を左右方向に切断した形状に設けてあり、この正面部分の縁部から後方に向けて壁部を延出形成した部材である。そして、この取付ベース部２２は、前面下部パネル１８に設けた取付空部１８ａ内に嵌合した状態で止着される。
この取付ベース部２２は、耐熱性樹脂としての熱硬化性樹脂材料により成型してある。より具体的には、メラミンフェノール樹脂により成型してある。これは、遊技者が、煙草の火のついた部分を誤って取付ベース部２２に接触させてしまった場合等に、取付ベース部２２が傷むのを防止するためである。
【００１８】
この正面部分の略中央には、収納窪部２５を設けてある。この収納窪部２５は、灰皿本体２１における後方部分を収納可能とする部分である。即ち、灰皿部材１６の使用状態における灰皿本体２１の後端部、或いは、使用状態から灰皿本体２１を反転させた非使用状態における灰皿本体２１の前端部を収納可能とする部分である。
具体的には、図３に示すように、灰皿本体２１の後端部及び前端部の形状に応じて後向きに湾曲させた球面状の窪部である。
【００１９】
この収納窪部２５における表面のほぼ中心部分には、係止突部２６を設けてある。この係止突部２６は、本願発明における姿勢安定手段の一部を構成する段差部として機能する部分であり、図３に示すように、側面から見て、収納窪部２５の表面から前方に向けて上面２６ａを延出させると共に、この上面２６ａの先端から後方に向けて斜め下方に底面を下り傾斜させた略三角ブロック形状の部分である。なお、この係止突部２６は、取付ベース部２２と一体に成型される。
係止突部２６の上面２６ａには、灰皿部材１６の使用時にあっては灰皿本体２１の後部に設けた係合溝部２７が上方から当接し、非使用時にあっては灰収納部２８の開口前端部分２８ａが当接して、灰皿本体２１の姿勢を定めるとともに安定させる。そして、この係止突部２６は、前方から灰皿本体２１に覆われているので、通常、遊技者側から見えない。このため、灰皿部材１６の美観の向上を図ることができる。
【００２０】
また、この収納窪部２５の左右両脇部には、支持腕部２３，２３を取り付けるための支持腕部取付部２９，２９を設けてある。この支持腕部取付部２９は、取付ベース部２２の正面で略半円形状に開口し、この開口縁部を後方に向けて延出させると共に後端を後壁部により塞いだ空部である。そして、支持腕部取付部２９，２９には、支持腕部２３，２３の後端部分が嵌合する。
【００２１】
次に灰皿本体２１について説明する。なお、この灰皿本体２１の説明における上下及び前後は、特に記載がない場合には、灰皿部材１６の使用時における前後を意味する。
図２及び図３に示すように、灰皿部材１６は略半球状の部材である。即ち、球の中心を通らない平面により球状部材を２分し、尚且つ、切断面上に円形状の開口を有する凹室形状の灰収納部２８を、球の中心側に向かって形成した形状を備えた部材である。
なお、本実施形態においては、この灰皿本体２１を、取付ベース部２２と同じ熱硬化性樹脂材料により成型しており、図３に示すように、主に外側の部分を構成する外側部材２１ａと、主に上部や内側の部分を構成する内側部材２１ｂの２部材から構成してある。但し、この灰皿本体２１を単一の部材により設けても構わない。
そして、この灰皿本体２１における切断面、即ち、灰収納部２８の開口面２８ｂ（図５参照）は、灰皿部材１６の使用時において、図４（ａ）に示すように、支持腕部２３の上縁よりも上方か、ほぼ同一高さに位置するように設けてある。これは、煙草の火のついた部分を、支持腕部２３に触れ難くするためである。
【００２２】
この灰皿本体２１の後部には係合溝部２７を設けてある。この係合溝部２７は、側面から見て倒Ｌ字状に窪んでいる。そして、この係合溝部２７における上部に位置した当接面は、灰皿部材１６の使用時において係止突部２６の上面２６ａに上方から当接して、灰皿本体２１の姿勢を定める。
また、灰皿本体２１の左右両側部には、それぞれ、支持軸部３１，３１を左右に突設してある。この支持軸部３１は、支持腕部２３の支持溝部３２に嵌合可能な板形状に扁平させた軸部である。
なお、これらの係合溝部２７及び支持軸部３１，３１及び支持溝部３２，３２は、何れも本願発明における姿勢安定手段の一部として機能する部分である。
【００２３】
灰収納部２８の開口前端部分２８ａには、煙草保持部３３を設けてある。この煙草保持部３３は、煙草３４を保持可能な溝部であり、煙草３４の直径に応じて底部を略半円形状に窪ませると共に前後方向に沿って延在させてある。そして、本実施形態における煙草保持部３３は、灰皿部材１６の使用状態において、煙草３４を略水平方向に保持可能なように、底部を水平或いは灰収納部２８側に向けて僅かに下り傾斜させてある。煙草３４を保持させ易く、又、保持させた煙草３４を取り易くするためである。これにより、遊技者は、意識を遊技に集中させることができる。
また、灰収納部２８内には煙草消し部３５を設けてある。この煙草消し部３５は、灰収納部２８内における後側部分の一部を、略階段状に屈曲させて設けた部分であり、この煙草消し部３５に煙草３４の火のついた部分を擦り付けて煙草３４の火を消す。
【００２４】
次に、支持腕部２３について説明する。この支持腕部２３は、灰皿本体２１の左右にそれぞれ配設した部材であり、取付ベース部２２と同じ熱硬化性樹脂材料により成型してある。この支持腕部２３は、略半円柱状の部材により構成してあり、灰皿本体２１側に位置する面の前端部分には、支持溝部３２を設けてある。
この支持溝部３２は、図２中に拡大して示すように、規制溝部３２ａと回転許容溝部３２ｂとから構成してある。規制溝部３２ａは、支持腕部２３が取り付けられた状態において、前方から後方に向かって下り傾斜した溝であり、その溝幅は、灰皿本体２１に設けた支持軸部３１の厚みよりも僅かに大きく、支持軸部３１の幅よりも狭く設定してある。このため、この規制溝部３２ａ内では、支持軸部３１は、前後方向への移動は許容されるが回転することができない。回転許容溝部３２ｂは、規制溝部３２ａの前端部分に連続して設けてあり、支持軸部３１の幅よりも僅かに大きい直径を有する略円形状の溝である。このため、この回転許容溝部３２ｂ内では、支持軸部３１は回転することができる。
【００２５】
そして、この支持腕部２３，２３は、後端部が支持腕部取付部２９，２９に嵌合した状態で取付ベース部２２に取り付けられて、取付ベース部２２から前方に突出する。さらに、前端部で灰皿本体２１を左右方向から挟んだ状態で支持する。
【００２６】
上記した灰皿部材１６を、前面下部パネル１８に取り付けるには、まず、灰皿本体２１の支持軸部３１，３１に支持腕部２３，２３に設けた支持溝部３２，３２を嵌合させ、支持腕部２３，２３により灰皿本体２１を左右から挟んだ状態で支持する。そして、この支持状態を維持しながら支持腕部２３，２３の後端部を取付ベース部２２の支持腕部取付部２９，２９内に嵌合して一体化する。支持腕部２３，２３を支持腕部取付部２９，２９内に嵌合したならば、一体化した状態を維持しながら、取付ベース部２２を、前面下部パネル１８の取付空部１８ａに前方から嵌合させる。取付ベース部２２を取付空部１８ａに嵌合させたならば、前面下部パネル１８の背面側からビス等により、取付ベース部２２の背面及び支持腕部２３，２３の後端面を止着して灰皿部材１６を固定する。
一方、灰皿部材１６を下部前面パネルから取り外す場合には、前面下部パネル１８の背面側からビスを取り外すことにより、一体化された状態で灰皿部材１６を取り外す。
【００２７】
上記したように、本実施形態では、灰皿部材１６を下皿１５と別部材に設けると共にユニット化し、前面下部パネル１８から、換言すれば、パチンコ機本体２の前面からユニットごと着脱可能に構成したので、万一、灰皿部材１６が破損した場合においても交換が容易である。さらに、従来のように、下皿１５ごと交換する必要がなく経済的である。
また、灰皿部材１６を使用できない状態にする際には、取付ベース部２２に代えてめくら蓋を用いることもできる。
【００２８】
このようにして取り付けられた灰皿部材１６では、灰皿本体２１を上下反転可能に支持している。そして、灰皿部材１６の使用状態においては、図４（ａ）に示すように、灰皿本体２１に設けた灰収納部２８の開口を遊技者側である上方側に位置させ、非使用状態においては、使用時の状態から反転させることにより灰収納部２８の開口を下方側に位置させて、図４（ｂ）に示すように、灰皿本体２１の底部を上方側に位置させることができる。なお、非使用状態においては、図６（ｃ）に示すように、灰収納部２８の開口前端部分２８ａが収納窪部２５の係止突部２６の上面２６ａに上方から当接し、この開口前端部分２８ａによっても灰皿本体２１の姿勢が定められる。
【００２９】
そして、灰皿本体２１を略半球形状に構成してあるため、灰皿部材１６の使用状態と、この使用状態から灰皿本体２１を反転させた非使用状態とにおいて、灰皿本体２１の外観形状は、さほど変わることがない。このため、遊技者は、灰皿部材１６の外観に関し、何れの状態においても同じ様な印象を受ける。従って、灰皿部材１６を使用状態と、非使用状態とに切り換えたとしても、パチンコ機本体２の美観を損なうことがない。
また、収納窪部２５の係止突部２６、灰皿本体２１の係合溝部２７及び灰収納部２８の開口前端部分２８ａ（第１の姿勢安定手段）や、灰皿本体２１の支持軸部３１及び支持腕部２３の支持溝部３２（第２の姿勢安定手段）が、使用状態及び非使用状態における灰皿本体２１の姿勢を安定させるので、灰皿部材１６の状態を切り換えても、使用状態の灰皿本体２１の姿勢や非使用状態の灰皿本体２１の姿勢は、常に一定の状態となる。このため、遊技者の使い勝手を向上させることができる。
また、使用状態においては灰皿本体２１の後端部、即ち、係合溝部２７を設けた側の端部が取付ベース部２２内の収納窪部２５内に収納され、非使用状態においては灰皿本体２１の前端部、即ち、煙草保持部３３を設けた側の端部が収納窪部２５内に収納されるので、灰皿本体２１の大きさを大きくしながらも、パチンコ機本体２における前面からの灰皿部材１６の前方への突出量を少なくすることもできる。さらに、図３に示す様に、灰皿本体２１の後端部と収納窪部２５との隙間を非常に狭く設定してあるので、灰皿本体２１と収納窪部２５との隙間内に、煙草３４の灰が入り難い。このため、遊技機を清潔に保つこともできる。
【００３０】
また、灰皿部材１６の使用状態においては、係合溝部２７と係止突部２６、並びに、支持軸部３１と規制溝部３２ａは、灰収納部２８の開口を、遊技者側である上方側に向けた状態で灰皿本体の姿勢を規制するが、本実施形態では、灰収納部２８の開口面を上皿１３の前端縁よりも遊技者側に向けた姿勢で規制している。
即ち、図５（ａ）及び図５（ｂ）に示すように、灰収納部２８の開口面２８ｂに対して略垂直方向である前方斜め上側から、掃除機のパイプ４０を挿入可能なように、灰収納部２８の開口を傾けている。これによりパイプ４０を灰収納部２８内に挿入する際に上皿１３が障害になり難く、パイプ４０を直線的に挿入することができる。このため、掃除が行い易い。さらに、掃除機のパイプ４０は、通常円形であるので、この灰収納部２８内に丁度収まる。このため、灰収納部２８内の吸い殻を掃除機に確実に吸い取らせることができる。
【００３１】
また、灰皿部材１６の非使用状態においては、この灰皿部材１６を遊技者の左手載置部として使用することもできる。即ち、灰皿本体２１と発射操作部１７の操作ハンドル１７ａと略同じ形状に設けてあるので、遊技者は、灰皿本体２１上に左手を置くこともできる。この場合、遊技者はパチンコ遊技機１の正面に向いた姿勢で遊技を楽しむことができる。
【００３２】
次に、灰皿部材１６の状態を変える際の手順について説明する。
図６（ａ）に示すように、灰皿部材１６の使用状態では、灰皿本体２１の係合溝部２７が収納窪部２５の係止突部２６に上方から当接するとともに、灰皿本体２１の自重により、支持軸部３１，３１が規制溝部３２ａ，３２ａにおける傾斜下端部分に位置する。この状態では、係合溝部２７と係止突部２６とが当接していること、並びに、支持軸部３１，３１が規制溝部３２ａ，３２ａに嵌合していることにより、灰皿本体２１の姿勢は所定の角度に規定される。さらに、規制溝部３２ａ，３２ａが支持軸部３１，３１の回転、即ち、灰皿本体２１の回転を禁止し、回転不能姿勢で灰皿本体２１をがたつきなく支持している。
【００３３】
灰皿部材１６の状態を変えるには、まず、灰皿本体２１を規制溝部３２ａに沿って前方斜め上に向けて引き上げて、支持軸部３１，３１を回転許容溝部３２ｂ，３２ｂ内に位置させる。支持軸部３１，３１が回転許容溝部３２ｂ，３２ｂ内に位置したならば、図６（ｂ）に示すように、灰皿本体２１を、支持軸部３１，３１を中心に約１８０度回して反転させる。なお、図６（ｂ）では、灰皿本体２１の後部を上側を通って前方に回動させた場合を示してある。そして、灰皿本体２１が反転すると、支持軸部３１，３１が規制溝部３２ａ，３２ａ内に嵌合可能な状態になり、尚且つ、規制溝部３２ａ，３２ａが後方に向かって下り傾斜しているので、灰皿本体２１から手を離すことにより、灰皿本体２１は、自重により規制溝部３２ａに沿った斜め下方に向かって後退する。そして、図５（ｃ）に示すように、規制溝部３２ａ，３２ａの傾斜下端部分に支持軸部３１，３１が当接することにより移動を停止し、非使用状態になる。
【００３４】
この非使用状態では、灰皿本体２１の前端部分が収納窪部２５内に位置して灰収納部２８の開口前端部分２８ａが係止突部２６に上方から当接して灰皿部材１６の姿勢を所定の角度に規定する。即ち、灰収納部２８の開口前端部分２８ａもまた、本願発明における姿勢安定手段の一部として機能する。
さらに、支持軸部３１，３１が規制溝部３２ａ，３２ａに嵌合した状態になる。この状態では、規制溝部３２ａ，３２ａが支持軸部３１，３１の回転、即ち、灰皿本体２１の回転を禁止し、尚且つ、回転不能姿勢で灰皿本体２１をがたつきなく支持する。
【００３５】
なお、非使用状態にある灰皿部材１６を使用状態に変える場合の手順も、上記した手順と同様である。
即ち、灰皿本体２１を前方斜め上に引き上げた後、灰皿本体２１を反転させて灰皿本体２１から手を離し、自重により灰皿本体２１を斜め下方に後退させればよい。
この様に、本実施形態では、灰皿本体２１を前方斜め上に引き上げて反転させ手を離すという一連の簡単な動作で、灰皿部材１６を使用状態と非使用状態とに変換することができる。
【００３６】
また、上記した実施形態では、本願発明における姿勢安定手段として、収納窪部２５の係止突部２６、灰皿本体２１の係合溝部２７及び灰収納部２８の開口前端部分２８ａからなる第１の姿勢安定手段と、灰皿本体２１の支持軸部３１と支持腕部２３の支持溝部３２とからなる第２の姿勢安定手段の双方を備えたものを例示したが、姿勢安定手段は、第１の姿勢安定手段或いは第２の姿勢安定手段の何れか一方のみでもよい。
【００３７】
また、上記した実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機１を例示したが、このパチンコ遊技機１の他に、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、パチコン遊技機等の遊技機にも本発明は適用することができる。
【００３８】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次の効果を奏する。
前面枠の前面下部パネルに灰皿部材を取り付けた遊技機において、前記灰皿部材は、前記前面下部パネルに取り付けられる取付ベース部と、前方に突出した状態で前記取付ベース部の左右に各々取り付けられる支持腕部と、該支持腕部に回動可能な状態で左右側部が支持されると共に灰収納部を形成した灰皿本体と、前記灰収納部の開口を遊技者側に傾かせた使用状態と、前記開口を下側に向けた非使用状態とに、灰皿本体の姿勢を安定させる姿勢安定手段と、を有し、前記取付ベース部は、前記前面下部パネルに形成された取付空部内に嵌合した状態で止着され、灰皿本体が使用状態又は非使用状態の何れかに拘わらず、当該灰皿本体の後方に位置する部分を収納可能な収納窪部を有し、前記灰皿本体は、使用状態において前記灰収納部の開口面が前記支持腕部の上縁よりも上方に位置するように前記支持腕部に支持され、前記姿勢安定手段は、前記灰皿本体の後部に形成された係合溝部と、前記収納窪部の表面に形成されて係合溝部又は灰皿本体の開口前端部分と当接可能な段差部と、前記灰皿本体の左右両側部にそれぞれ板形状に突設した支持軸部と、前記支持腕部に形成され前記支持軸部が嵌合する支持溝部とからなり、前記支持溝部は、前記灰皿本体の回転を規制して前記使用状態又は前記非使用状態への変換を不能にする規制溝部と、前記灰皿本体の回転を許容して前記使用状態又は前記非使用状態への変換を可能にする回転許容溝部とからなり、前記規制溝部は、前方から後方に向かって下り傾斜する溝であり、その溝幅が前記支持軸部の厚みよりも大きく且つ前記支持軸部の幅よりも狭く形成され、前記回転許容溝部は、前記規制溝部の前端部分に連続して形成され、前記支持軸部の幅よりも大きい直径を有する略円形状に形成され、前記灰皿部材が前記使用状態である場合には、前記灰皿本体の自重により前記支持軸部が前記規制溝部の傾斜下端部分に位置し、この状態では、灰皿本体の後端部が前記収納窪部内に収納されて係合溝部が段差部と当接すると共に、支持軸部が規制溝部に嵌合して灰皿本体の姿勢を安定させる一方、前記灰皿部材が前記非使用状態である場合には、前記灰皿本体の自重により前記支持軸部が前記規制溝部の傾斜下端部分に位置し、この状態では、灰皿本体の開口前端部分が収納窪部内に収納されて開口前端部分が段差部と当接すると共に、支持軸部が規制溝部に嵌合して灰皿本体の姿勢を安定させるので、灰皿本体の支持軸部及び支持腕部の支持溝部と、収納窪部の段差部、灰皿本体の係合溝部及び灰収納部の開口前端部分との両方の作用により、使用状態及び非使用状態における灰皿本体の姿勢を安定させることができる。したがって、灰皿部材の状態を切り換えても、使用状態の灰皿本体の姿勢や非使用状態の灰皿本体の姿勢は、常に一定の状態となる。このため、遊技者の使い勝手を向上させることができる。
そして、灰皿本体を前方斜め上に引き上げた後、灰皿本体を反転させて灰皿本体から手を離し、自重により灰皿本体を斜め下方に後退させるという一連の簡単な動作で、灰皿部材を使用状態と非使用状態とに変換することができる。
また、使用状態において灰皿本体の後端部、即ち、係合溝部を設けた側の端部が収納窪部内に収納され、非使用状態においては灰皿本体の前端部、即ち、灰収納部の開口前端部分が収納窪部内に収納されるので、灰皿本体の大きさを大きくしながらも、遊技機における前面からの灰皿部材の前方への突出量をその割りに少なくすることができる。
さらに、灰収納部の開口面が、灰皿部材の使用状態において、支持腕部の上縁より上方に位置するので、煙草の火のついた部分を支持腕部に触れ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 パチンコ遊技機の正面図である。
【図２】 灰皿部材の構成を説明する分解斜視図である。
【図３】 図１におけるＡ−Ａ断面図である。
【図４】 灰皿部材の状態を説明する図であり、（ａ）は使用状態における灰皿部材を前方側から見た斜視図、（ｂ）は非使用状態における灰皿部材を前方側から見た斜視図である
【図５】 使用状態における灰皿本体と上皿との関係を説明する図であり、（ａ）は要部の平面図、（ｂ）は要部の左側面図である。
【図６】 灰皿部材の状態を、使用状態から非使用状態に変換する際の状態を説明する図であり、（ａ）は使用状態を示す図、（ｂ）は灰皿本体を回転させている状態を示す図、（ｃ）は非使用状態を示す図である。
【符号の説明】
１ パチンコ遊技機
２ パチンコ機本体
３ カードユニット
４ 機枠
５ 前面枠
６ 遊技盤
７ 区画部材
８ 遊技領域
９ 可変表示装置
１０ 入賞具
１１ 前面ガラス
１２ 前面カバー部材
１３ 上皿
１４ 開閉パネル
１５ 下皿
１６ 灰皿部材
１７ 発射操作部
１７ａ 操作ハンドル
１７ｂ ハンドル取付ベース部
１８ 前面下部パネル
１８ａ 取付空部
２１ 灰皿本体
２１ａ 外側部材
２１ｂ 内側部材
２２ 取付ベース部
２３ 支持腕部
２５ 収納窪部
２６ 係止突部
２６ａ 上面
２７ 係合溝部
２８ 灰収納部
２８ａ 開口前端部分
２８ｂ 開口面
２９ 支持腕部取付部
３１ 支持軸部
３２ 支持溝部
３２ａ 規制溝部
３２ｂ 回転許容溝部
３３ 煙草保持部
３４ 煙草
３５ 煙草消し部
４０ 掃除機のパイプ

Claims (1)

1. 前面枠の前面下部パネルに灰皿部材を取り付けた遊技機において、
   前記灰皿部材は、
   前記前面下部パネルに取り付けられる取付ベース部と、
   前方に突出した状態で前記取付ベース部の左右に各々取り付けられる支持腕部と、
   該支持腕部に回動可能な状態で左右側部が支持されると共に灰収納部を形成した灰皿本体と、
   前記灰収納部の開口を遊技者側に傾かせた使用状態と、前記開口を下側に向けた非使用状態とに、灰皿本体の姿勢を安定させる姿勢安定手段と、
   を有し、
   前記取付ベース部は、前記前面下部パネルに形成された取付空部内に嵌合した状態で止着され、灰皿本体が使用状態又は非使用状態の何れかに拘わらず、当該灰皿本体の後方に位置する部分を収納可能な収納窪部を有し、
   前記灰皿本体は、使用状態において前記灰収納部の開口面が前記支持腕部の上縁よりも上方に位置するように前記支持腕部に支持され、
   前記姿勢安定手段は、
   前記灰皿本体の後部に形成された係合溝部と、前記収納窪部の表面に形成されて係合溝部又は灰皿本体の開口前端部分と当接可能な段差部と、前記灰皿本体の左右両側部にそれぞれ板形状に突設した支持軸部と、前記支持腕部に形成され前記支持軸部が嵌合する支持溝部と、からなり、
   前記支持溝部は、
   前記灰皿本体の回転を規制して前記使用状態又は前記非使用状態への変換を不能にする規制溝部と、前記灰皿本体の回転を許容して前記使用状態又は前記非使用状態への変換を可能にする回転許容溝部と、からなり、
   前記規制溝部は、
   前方から後方に向かって下り傾斜する溝であり、その溝幅が前記支持軸部の厚みよりも大きく且つ前記支持軸部の幅よりも狭く形成され、
   前記回転許容溝部は、
   前記規制溝部の前端部分に連続して形成され、前記支持軸部の幅よりも大きい直径を有する略円形状に形成され、
   前記灰皿部材が前記使用状態である場合には、前記灰皿本体の自重により前記支持軸部が前記規制溝部の傾斜下端部分に位置し、この状態では、灰皿本体の後端部が前記収納窪部内に収納されて係合溝部が段差部と当接すると共に、支持軸部が規制溝部に嵌合して灰皿本体の姿勢を安定させる一方、
   前記灰皿部材が前記非使用状態である場合には、前記灰皿本体の自重により前記支持軸部が前記規制溝部の傾斜下端部分に位置し、この状態では、灰皿本体の開口前端部分が収納窪部内に収納されて開口前端部分が段差部と当接すると共に、支持軸部が規制溝部に嵌合して灰皿本体の姿勢を安定させることを特徴とする遊技機。

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