JP4037322B2 - グランドピアノの譜面台支持装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、譜面台を支持するためのグランドピアノの譜面台支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のグランドピアノの譜面台支持装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。図8に示すように、このグランドピアノの譜面台支持装置51は、本持左右板52,52と、本持左右板52,52の前部間および後部間にそれぞれ固定された本持棹53および後本持棹54を備えている。この本持棹53には、ラワン合板などからなる譜面台55が、その下端部において、3つの蝶番56を介して、回動自在に取り付けられている。また、ピアノ本体の側板(ともに図示せず)の左右には側左右板57,57が設けられており、側左右板57,57に本持左右板52,52がそれぞれ載せられている。
【0003】
譜面台支持装置51はさらに、鳥居61および左右の本持元木62、62を備えている。鳥居61は、逆門形のものであり、左右の脚63,63と、それらの下端部間に連結された横材64で構成されている。各脚63は、その上端部において、譜面台55の裏面に、蝶番65を介して回動自在に取り付けられている。他方、左右の本持元木62,62は、本持棹53と後本持棹54の間に固定されており、各本持元木62の上面には、複数(この例では3個)の係止溝66が前後方向に並ぶように形成されている。
【0004】
この構成により、譜面台55を立てる場合には、一方の手で譜面台55を手前(前方)に引くとともに、他方の手で鳥居61の横材64を各本持元木62の1つの係止溝66に係止させる。これにより、譜面台55は斜めの姿勢で保持される。また、横材64を係止する係止溝66を変えることによって、譜面台55の角度が、複数段階(この例では3段階)に調整される。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−258833号公報(第3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来のグランドピアノの譜面台支持装置51によれば、譜面台55を立てる場合には、一方の手で譜面台55を持ち、他方の手で鳥居61を持つため、両手を使わなければならない。また、操作時における譜面台55の後方への倒れを防止するためには、横材64が係止溝66に確実に係止されたことを確認した後に、譜面台55から手を離すことが好ましいが、横材64や係止溝66が譜面台55の裏面側にあるため、正面からは確認を行いにくく不便である。また、係止溝66の数が限られているため、譜面台55の角度を係止溝66で設定される3段階以外の角度に設定することができず、譜面台55を所望の任意の角度に設定できない。さらに、本持元木62に、係止溝66を形成するための加工や成形が必要であり、その分、製造コストが上昇するなどの欠点がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、譜面台を片手で容易に立てることができるとともに、任意の角度で確実に支持することができるグランドピアノの譜面台支持装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、下端部を中心として回動自在の譜面台を支持するためのグランドピアノの譜面台支持装置であって、譜面台の裏面に上端部が回動自在に取り付けられた支持部材と、譜面台の下端部よりも後方に配置され、前後方向に延びる下台と、支持部材の下端部に回転自在に取り付けられ、下台の表面上を転動するローラと、を備え、ローラには、譜面台の前方への回動に伴うローラの転動を許容し、譜面台の後方への回動に伴うローラの転動を阻止するワンウェイクラッチ機構が設けられていることを特徴とする。
【0009】
このグランドピアノの譜面台支持装置によれば、譜面台の上部または側部を片手で持ち、譜面台を手前(前方)に引くことによって、譜面台が下端部を中心として前方に回動し、これに伴い、支持部材のローラが下台の表面上を前方に転動しながら、支持部材が上端部を中心として前方に回動する。このように、ローラを転動させながら譜面台を回動させるので、譜面台を片手で容易に立てることができる。また、譜面台が後方に回動する際には、ローラの転動がワンウェイクラッチ機構によって阻止されるので、支持部材が後方へ回動できなくなり、それに伴い、支持部材に支持された譜面台もまた後方へ回動できなくなる。したがって、譜面台が所望の角度になったときに手を離すことによって、譜面台を、後方への倒れを生じることなく、所望の任意の角度で保持することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のグランドピアノの譜面台支持装置において、ローラの外周部および下台の表面の少なくとも一方が、摩擦性を有する材料で構成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ローラの外周部および下台の表面の少なくとも一方が有する高い摩擦性によって、ローラが下台に対して滑りにくくなるので、支持部材を介して、譜面台をより確実に支持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら、詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるグランドピアノの譜面台支持装置および譜面台を示している。同図に示すように、この譜面台支持装置1は、従来と同様、本持左右板2,2と、本持左右板2,2の前部間および後部間にそれぞれ固定され、左右方向に延びる本持棹3および後本持棹4を備えている。また、ピアノ本体の側板(ともに図示せず)の左右には側左右板5,5が設けられており、側左右板5,5には本持左右板2,2がそれぞれ前後方向にスライド自在に載せられている。
【0013】
譜面台6は、塗装したラワン合板などで構成され、その下端部において、3つの蝶番7を介して本持棹3の背面に回動自在に取り付けられている。
【0014】
譜面台支持装置1はさらに、支持部材11と、左右のローラ12,12と、左右の下台13,13を備えている。支持部材11は、逆門形のものであり、左右の脚14,14と、これらの脚14,14の下端部間を連結する横材15で構成されている。各脚14は、その上端部において、譜面台6の裏面に、ばね蝶番16を介して回動自在に取り付けられている。支持部材11の高さは、譜面台5の高さの約半分であり、各脚14は、譜面台6の裏面に、その上下方向の中央で、左右の側面よりもやや内側の位置に取り付けられている。また、ばね蝶番16は、ばね16aを取り付けたものであり、支持部材11を譜面台6の下端部側(図3(b)のA方向)へ付勢するように設けられている。
【0015】
図2に示すように、支持部材11の左右の側面の下端部には、穴17,17がそれぞれ形成されており、これらの穴17,17に、ローラ12,12が、ローラ軸18,18を介して取り付けられている。各ローラ軸18は、一端部が穴17に差し込まれた状態で固定されており、他端部が支持部材11の左右の側面の下端部から外方に突き出している。各ローラ12は、貫通した軸孔19を有するリング状のものであり、支持部材11から突き出しているローラ軸18に嵌め込まれている。また、各ローラ12の外周面には、高摩擦性部材20が巻かれており、この高摩擦性部材20は、高い摩擦性を有する材料(例えばシリコンゴム、ウレタンゴムまたはネオプレンゴム)で構成されている。
【0016】
また、ローラ12は、ワンウェイクラッチ機構(図示せず)を内蔵した市販のものである。このワンウェイクラッチ機構は、ローラ軸18に対するローラ12の所定の一方向への回転を許容する一方、逆方向への回転を阻止するように構成されており、各ローラ12は、ローラ軸18に、図3(b)のB方向には回転可能で、C方向には回転不能に取り付けられている。
【0017】
左右の下台13,13は、図1に示すように、長方形の板状のものであり、本持棹3と後本持棹4の間に前後方向に延びるように設けられていて、それらの表面上を各ローラ12が転動する。
【0018】
上記の構成の譜面台支持装置1は、次のようにして用いられる。図3(a)の状態から、ピアノを演奏するために譜面台6を立てる場合には、譜面台6の上部または側部を片手で持ち、譜面台6を手前(前方)に引く。それにより、譜面台6が下端部の蝶番7を中心として前方に回動し、立てられる。この譜面台6の回動中、ローラ12が下台13の表面上を前方に転動しながら、支持部材11が上端部のばね蝶番16を中心として回動する(同図(b)参照)。このように、ローラ12を転動させながら譜面台6を手前に回動させるので、譜面台6を片手で容易に立てることができる。
【0019】
次に、譜面台6が所望の角度に達したときに、譜面台6から手を離す(図3の(c)参照)。これに伴い、譜面台6は重力によって後方へ回動しようとするが、その場合、ローラ12のワンウェイクラッチ機構によって、ローラ12の後方への転動が阻止されるので、支持部材11が後方へ回動できなくなり、それに伴い、支持部材11に支持された譜面台6もまた後方へ回動できなくなる。したがって、譜面台6を所望の角度で立てた後、手を離すことによって、譜面台6を、後方への倒れを生じることなく、所望の任意の角度で保持することができる。
【0020】
また、ローラ12の外周部に巻かれた高摩擦性部材20によって、ローラ12は下台13に対して滑りにくくなるので、支持部材11を介して、譜面台6をより確実に支持することができる。
【0021】
また、譜面台6を立てる際、ばね蝶番16のばね16aによって、支持部材11が付勢され、ローラ12が下台13に押し付けられる。したがって、ローラ12が下台13の表面上を安定して転動するとともに、ワンウェイクラッチ機構によるローラ12の後方への転動の阻止機能が確実に働かせることができ、それにより、譜面台6が後方に倒れるのを確実に防止することができる。
【0022】
一方、ピアノの演奏後、譜面台6を後方へ折りたたむ場合には、一方の手で譜面台6の上部または側部を持ち、他方の手で支持部材11を支えながら譜面台6を手前に少し引くことによって、ローラ12が下台13から離れ、ワンウェイクラッチ機構による係止が解除されるので、支持部材11をばね16aの付勢力に抗して譜面台6の上端部側に回動させながら、譜面台6を後方へ回動させることによって、譜面台6を容易に折りたたむことができる。
【0023】
図4および図5は、本発明の第2実施形態による譜面台支持装置31を示している。これらの図において、第1実施形態と同じ構成の部分については、同じ符号を用いて示している。この譜面台支持装置31は、第1実施形態と比較して、主として支持部材32の構成が異なるものである。この支持部材32は1本の棒状のものであり、その上端部は、第1実施形態と同様、譜面台6の裏面に、その上下方向かつ左右方向の中央の位置に、ばね蝶番16を介して回動自在に取り付けられている。支持部材32の下端部は、逆T字形に形成されており、その左右方向に延びるローラ軸33の両端部に、一対のローラ12,12が取り付けられている。なお、このローラ12は、第1実施形態で用いたのと同様に構成されており、ワンウェイクラッチ機構(図示せず)を有している。また、支持部材32の下側には、各ローラ12が転動する1枚の下台13が設けられている。
【0024】
以上の構成により、本発明の第2実施形態においても、前述した第1実施形態による効果を同様に得ることができる。これに加えて、支持部材32が簡略化および小型化するとともに、下台13の数が減少するので、その分、製造コストを減少させることができる。
【0025】
図6および図7は、本発明の第3実施形態による譜面台支持装置41を示している。これらの図において、第1実施形態と同じ構成の部分については、同じ符号を用いて示している。この譜面台支持装置41は、第1実施形態と比較して、主としてローラおよび下台の構成が異なるものである。図7に示すように、本実施形態のローラ42,42には、その外周面に沿って、ピニオン43,43が形成されている。なお、このローラ42は、第1実施形態と同様のワンウェイクラッチ機構(図示せず)を有している。一方、下台44,44の表面には、前後方向に延びるようにラック45が形成されている。このラック45にローラ42のピニオン43が噛み合っている。
【0026】
以上の構成により、譜面台6を立てるために譜面台6を手前に回動させると、それに伴いローラ42のピニオン43が下台44のラック45に噛み合いながらローラ42が下台44の表面上を前方に転動する。そして、所望の角度で譜面台6から手を離すと、ワンウェイクラッチ機構によってローラ42の後方への転動が阻止される。一方、譜面台6を後方へ折りたたむ場合には、第1実施形態と同様、支持部材11を支えながら譜面台6を手前に少し引くことによって、ローラ42を下台44から離し、ラック45とのピニオン43の噛み合いを解除した状態で、支持部材11を譜面台6の上端部側に回動させながら、譜面台6を後方へ回動させる。
【0027】
したがって、本発明の第3実施形態においても、前述した第1実施形態による効果を同様に得ることができる。これに加えて、下台44のラック45とローラ42のピニオン43の噛み合いによって、支持部材11の滑りを防止できるので、ワンウェイクラッチ機構の後方への転動の阻止機能と相まって、譜面台6をより確実に支持することができる。
【0028】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、第1および第2実施形態では、高摩擦性部材20をローラ12の外周面に設けているが、これに代えて、またはこれとともに、高摩擦性部材20を下台13の表面に設けてもよい。この場合にも、ローラ12は下台13に対して滑りにくくなり、支持部材11を介して、譜面台6をより確実に支持することができる。また、本実施形態では、譜面台6と支持部材11の間にばね蝶番16を設けているが、これに代えてばね16aを有していない通常の蝶番を用いてもよい。さらに、本実施形態では、支持部材に2つのローラを設けているが、3つ以上のローラを取り付けてもよい。また、ローラ12または42を取り付ける位置は、支持部材11の左右の両側部に限らず、例えば横材15の中央でもよい。
【0029】
また、実施形態は、本発明をグランドピアノに適用した例であるが、本発明は、適当であれば、他のタイプのピアノ、例えばグランドピアノ型の電子ピアノにも適用することができる。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明のグランドピアノの譜面台支持装置によれば、譜面台を片手で容易に立てることができるとともに、任意の角度で確実に支持することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるグランドピアノの譜面台支持装置を後方から見た斜視図である。
【図2】図1の譜面台支持装置を部分拡大した(a)正面図および(b)側面図である。
【図3】図1の譜面台の(a)閉鎖状態、(b)開放操作の途中の状態、および(c)開放状態を示す側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態によるグランドピアノの譜面台支持装置を後方から見た斜視図である。
【図5】図4の譜面台支持装置の部分拡大図である。
【図6】本発明の第3実施形態によるグランドピアノの譜面台支持装置を後方から見た斜視図である。
【図7】図6の譜面台支持装置を部分拡大した(a)正面図および(b)側面図である。
【図8】従来の譜面台支持装置を後方から見た斜視図である。
【符号の説明】
1 譜面台支持装置
6 譜面台
11 支持部材
12 ローラ
13 下台
20 高摩擦性部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、譜面台を支持するためのグランドピアノの譜面台支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のグランドピアノの譜面台支持装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。図8に示すように、このグランドピアノの譜面台支持装置51は、本持左右板52,52と、本持左右板52,52の前部間および後部間にそれぞれ固定された本持棹53および後本持棹54を備えている。この本持棹53には、ラワン合板などからなる譜面台55が、その下端部において、3つの蝶番56を介して、回動自在に取り付けられている。また、ピアノ本体の側板(ともに図示せず)の左右には側左右板57,57が設けられており、側左右板57,57に本持左右板52,52がそれぞれ載せられている。
【0003】
譜面台支持装置51はさらに、鳥居61および左右の本持元木62、62を備えている。鳥居61は、逆門形のものであり、左右の脚63,63と、それらの下端部間に連結された横材64で構成されている。各脚63は、その上端部において、譜面台55の裏面に、蝶番65を介して回動自在に取り付けられている。他方、左右の本持元木62,62は、本持棹53と後本持棹54の間に固定されており、各本持元木62の上面には、複数(この例では3個)の係止溝66が前後方向に並ぶように形成されている。
【0004】
この構成により、譜面台55を立てる場合には、一方の手で譜面台55を手前(前方)に引くとともに、他方の手で鳥居61の横材64を各本持元木62の1つの係止溝66に係止させる。これにより、譜面台55は斜めの姿勢で保持される。また、横材64を係止する係止溝66を変えることによって、譜面台55の角度が、複数段階(この例では3段階)に調整される。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−258833号公報(第3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来のグランドピアノの譜面台支持装置51によれば、譜面台55を立てる場合には、一方の手で譜面台55を持ち、他方の手で鳥居61を持つため、両手を使わなければならない。また、操作時における譜面台55の後方への倒れを防止するためには、横材64が係止溝66に確実に係止されたことを確認した後に、譜面台55から手を離すことが好ましいが、横材64や係止溝66が譜面台55の裏面側にあるため、正面からは確認を行いにくく不便である。また、係止溝66の数が限られているため、譜面台55の角度を係止溝66で設定される3段階以外の角度に設定することができず、譜面台55を所望の任意の角度に設定できない。さらに、本持元木62に、係止溝66を形成するための加工や成形が必要であり、その分、製造コストが上昇するなどの欠点がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、譜面台を片手で容易に立てることができるとともに、任意の角度で確実に支持することができるグランドピアノの譜面台支持装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、下端部を中心として回動自在の譜面台を支持するためのグランドピアノの譜面台支持装置であって、譜面台の裏面に上端部が回動自在に取り付けられた支持部材と、譜面台の下端部よりも後方に配置され、前後方向に延びる下台と、支持部材の下端部に回転自在に取り付けられ、下台の表面上を転動するローラと、を備え、ローラには、譜面台の前方への回動に伴うローラの転動を許容し、譜面台の後方への回動に伴うローラの転動を阻止するワンウェイクラッチ機構が設けられていることを特徴とする。
【0009】
このグランドピアノの譜面台支持装置によれば、譜面台の上部または側部を片手で持ち、譜面台を手前(前方)に引くことによって、譜面台が下端部を中心として前方に回動し、これに伴い、支持部材のローラが下台の表面上を前方に転動しながら、支持部材が上端部を中心として前方に回動する。このように、ローラを転動させながら譜面台を回動させるので、譜面台を片手で容易に立てることができる。また、譜面台が後方に回動する際には、ローラの転動がワンウェイクラッチ機構によって阻止されるので、支持部材が後方へ回動できなくなり、それに伴い、支持部材に支持された譜面台もまた後方へ回動できなくなる。したがって、譜面台が所望の角度になったときに手を離すことによって、譜面台を、後方への倒れを生じることなく、所望の任意の角度で保持することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のグランドピアノの譜面台支持装置において、ローラの外周部および下台の表面の少なくとも一方が、摩擦性を有する材料で構成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ローラの外周部および下台の表面の少なくとも一方が有する高い摩擦性によって、ローラが下台に対して滑りにくくなるので、支持部材を介して、譜面台をより確実に支持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら、詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるグランドピアノの譜面台支持装置および譜面台を示している。同図に示すように、この譜面台支持装置1は、従来と同様、本持左右板2,2と、本持左右板2,2の前部間および後部間にそれぞれ固定され、左右方向に延びる本持棹3および後本持棹4を備えている。また、ピアノ本体の側板(ともに図示せず)の左右には側左右板5,5が設けられており、側左右板5,5には本持左右板2,2がそれぞれ前後方向にスライド自在に載せられている。
【0013】
譜面台6は、塗装したラワン合板などで構成され、その下端部において、3つの蝶番7を介して本持棹3の背面に回動自在に取り付けられている。
【0014】
譜面台支持装置1はさらに、支持部材11と、左右のローラ12,12と、左右の下台13,13を備えている。支持部材11は、逆門形のものであり、左右の脚14,14と、これらの脚14,14の下端部間を連結する横材15で構成されている。各脚14は、その上端部において、譜面台6の裏面に、ばね蝶番16を介して回動自在に取り付けられている。支持部材11の高さは、譜面台5の高さの約半分であり、各脚14は、譜面台6の裏面に、その上下方向の中央で、左右の側面よりもやや内側の位置に取り付けられている。また、ばね蝶番16は、ばね16aを取り付けたものであり、支持部材11を譜面台6の下端部側(図3(b)のA方向)へ付勢するように設けられている。
【0015】
図2に示すように、支持部材11の左右の側面の下端部には、穴17,17がそれぞれ形成されており、これらの穴17,17に、ローラ12,12が、ローラ軸18,18を介して取り付けられている。各ローラ軸18は、一端部が穴17に差し込まれた状態で固定されており、他端部が支持部材11の左右の側面の下端部から外方に突き出している。各ローラ12は、貫通した軸孔19を有するリング状のものであり、支持部材11から突き出しているローラ軸18に嵌め込まれている。また、各ローラ12の外周面には、高摩擦性部材20が巻かれており、この高摩擦性部材20は、高い摩擦性を有する材料(例えばシリコンゴム、ウレタンゴムまたはネオプレンゴム)で構成されている。
【0016】
また、ローラ12は、ワンウェイクラッチ機構(図示せず)を内蔵した市販のものである。このワンウェイクラッチ機構は、ローラ軸18に対するローラ12の所定の一方向への回転を許容する一方、逆方向への回転を阻止するように構成されており、各ローラ12は、ローラ軸18に、図3(b)のB方向には回転可能で、C方向には回転不能に取り付けられている。
【0017】
左右の下台13,13は、図1に示すように、長方形の板状のものであり、本持棹3と後本持棹4の間に前後方向に延びるように設けられていて、それらの表面上を各ローラ12が転動する。
【0018】
上記の構成の譜面台支持装置1は、次のようにして用いられる。図3(a)の状態から、ピアノを演奏するために譜面台6を立てる場合には、譜面台6の上部または側部を片手で持ち、譜面台6を手前(前方)に引く。それにより、譜面台6が下端部の蝶番7を中心として前方に回動し、立てられる。この譜面台6の回動中、ローラ12が下台13の表面上を前方に転動しながら、支持部材11が上端部のばね蝶番16を中心として回動する(同図(b)参照)。このように、ローラ12を転動させながら譜面台6を手前に回動させるので、譜面台6を片手で容易に立てることができる。
【0019】
次に、譜面台6が所望の角度に達したときに、譜面台6から手を離す(図3の(c)参照)。これに伴い、譜面台6は重力によって後方へ回動しようとするが、その場合、ローラ12のワンウェイクラッチ機構によって、ローラ12の後方への転動が阻止されるので、支持部材11が後方へ回動できなくなり、それに伴い、支持部材11に支持された譜面台6もまた後方へ回動できなくなる。したがって、譜面台6を所望の角度で立てた後、手を離すことによって、譜面台6を、後方への倒れを生じることなく、所望の任意の角度で保持することができる。
【0020】
また、ローラ12の外周部に巻かれた高摩擦性部材20によって、ローラ12は下台13に対して滑りにくくなるので、支持部材11を介して、譜面台6をより確実に支持することができる。
【0021】
また、譜面台6を立てる際、ばね蝶番16のばね16aによって、支持部材11が付勢され、ローラ12が下台13に押し付けられる。したがって、ローラ12が下台13の表面上を安定して転動するとともに、ワンウェイクラッチ機構によるローラ12の後方への転動の阻止機能が確実に働かせることができ、それにより、譜面台6が後方に倒れるのを確実に防止することができる。
【0022】
一方、ピアノの演奏後、譜面台6を後方へ折りたたむ場合には、一方の手で譜面台6の上部または側部を持ち、他方の手で支持部材11を支えながら譜面台6を手前に少し引くことによって、ローラ12が下台13から離れ、ワンウェイクラッチ機構による係止が解除されるので、支持部材11をばね16aの付勢力に抗して譜面台6の上端部側に回動させながら、譜面台6を後方へ回動させることによって、譜面台6を容易に折りたたむことができる。
【0023】
図4および図5は、本発明の第2実施形態による譜面台支持装置31を示している。これらの図において、第1実施形態と同じ構成の部分については、同じ符号を用いて示している。この譜面台支持装置31は、第1実施形態と比較して、主として支持部材32の構成が異なるものである。この支持部材32は1本の棒状のものであり、その上端部は、第1実施形態と同様、譜面台6の裏面に、その上下方向かつ左右方向の中央の位置に、ばね蝶番16を介して回動自在に取り付けられている。支持部材32の下端部は、逆T字形に形成されており、その左右方向に延びるローラ軸33の両端部に、一対のローラ12,12が取り付けられている。なお、このローラ12は、第1実施形態で用いたのと同様に構成されており、ワンウェイクラッチ機構(図示せず)を有している。また、支持部材32の下側には、各ローラ12が転動する1枚の下台13が設けられている。
【0024】
以上の構成により、本発明の第2実施形態においても、前述した第1実施形態による効果を同様に得ることができる。これに加えて、支持部材32が簡略化および小型化するとともに、下台13の数が減少するので、その分、製造コストを減少させることができる。
【0025】
図6および図7は、本発明の第3実施形態による譜面台支持装置41を示している。これらの図において、第1実施形態と同じ構成の部分については、同じ符号を用いて示している。この譜面台支持装置41は、第1実施形態と比較して、主としてローラおよび下台の構成が異なるものである。図7に示すように、本実施形態のローラ42,42には、その外周面に沿って、ピニオン43,43が形成されている。なお、このローラ42は、第1実施形態と同様のワンウェイクラッチ機構(図示せず)を有している。一方、下台44,44の表面には、前後方向に延びるようにラック45が形成されている。このラック45にローラ42のピニオン43が噛み合っている。
【0026】
以上の構成により、譜面台6を立てるために譜面台6を手前に回動させると、それに伴いローラ42のピニオン43が下台44のラック45に噛み合いながらローラ42が下台44の表面上を前方に転動する。そして、所望の角度で譜面台6から手を離すと、ワンウェイクラッチ機構によってローラ42の後方への転動が阻止される。一方、譜面台6を後方へ折りたたむ場合には、第1実施形態と同様、支持部材11を支えながら譜面台6を手前に少し引くことによって、ローラ42を下台44から離し、ラック45とのピニオン43の噛み合いを解除した状態で、支持部材11を譜面台6の上端部側に回動させながら、譜面台6を後方へ回動させる。
【0027】
したがって、本発明の第3実施形態においても、前述した第1実施形態による効果を同様に得ることができる。これに加えて、下台44のラック45とローラ42のピニオン43の噛み合いによって、支持部材11の滑りを防止できるので、ワンウェイクラッチ機構の後方への転動の阻止機能と相まって、譜面台6をより確実に支持することができる。
【0028】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、第1および第2実施形態では、高摩擦性部材20をローラ12の外周面に設けているが、これに代えて、またはこれとともに、高摩擦性部材20を下台13の表面に設けてもよい。この場合にも、ローラ12は下台13に対して滑りにくくなり、支持部材11を介して、譜面台6をより確実に支持することができる。また、本実施形態では、譜面台6と支持部材11の間にばね蝶番16を設けているが、これに代えてばね16aを有していない通常の蝶番を用いてもよい。さらに、本実施形態では、支持部材に2つのローラを設けているが、3つ以上のローラを取り付けてもよい。また、ローラ12または42を取り付ける位置は、支持部材11の左右の両側部に限らず、例えば横材15の中央でもよい。
【0029】
また、実施形態は、本発明をグランドピアノに適用した例であるが、本発明は、適当であれば、他のタイプのピアノ、例えばグランドピアノ型の電子ピアノにも適用することができる。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明のグランドピアノの譜面台支持装置によれば、譜面台を片手で容易に立てることができるとともに、任意の角度で確実に支持することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるグランドピアノの譜面台支持装置を後方から見た斜視図である。
【図2】図1の譜面台支持装置を部分拡大した(a)正面図および(b)側面図である。
【図3】図1の譜面台の(a)閉鎖状態、(b)開放操作の途中の状態、および(c)開放状態を示す側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態によるグランドピアノの譜面台支持装置を後方から見た斜視図である。
【図5】図4の譜面台支持装置の部分拡大図である。
【図6】本発明の第3実施形態によるグランドピアノの譜面台支持装置を後方から見た斜視図である。
【図7】図6の譜面台支持装置を部分拡大した(a)正面図および(b)側面図である。
【図8】従来の譜面台支持装置を後方から見た斜視図である。
【符号の説明】
1 譜面台支持装置
6 譜面台
11 支持部材
12 ローラ
13 下台
20 高摩擦性部材
Claims (2)
- 下端部を中心として回動自在の譜面台を支持するためのグランドピアノの譜面台支持装置であって、
前記譜面台の裏面に上端部が回動自在に取り付けられた支持部材と、
前記譜面台の前記下端部よりも後方に配置され、前後方向に延びる下台と、
前記支持部材の下端部に回転自在に取り付けられ、前記下台の表面上を転動するローラと、を備え、
当該ローラには、前記譜面台の前方への回動に伴う前記ローラの転動を許容し、前記譜面台の後方への回動に伴う前記ローラの転動を阻止するワンウェイクラッチ機構が設けられていることを特徴とするグランドピアノの譜面台支持装置。 - 前記ローラの外周部および前記下台の表面の少なくとも一方が、摩擦性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のグランドピアノの譜面台支持装置。
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- 2003-06-09 JP JP2003163875A patent/JP4037322B2/ja not_active Expired - Fee Related
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