JP4036945B2 - 電気機器の電磁輻射評価方法・装置と電磁輻射対策方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機械、器具、つまり各種の電気要素や電気回路を持った、種々の電気機器の電波の輻射の電解強度を評価する電磁輻射評価方法とその装置、およびその評価に基づき輻射電波を抑える電磁輻射対策方法に関し、各種電気機器からの電磁気的な電磁輻射の電解強度を評価して、そのような輻射によるEMI(Electoromagnetic Interference)を抑える対策を行い、他の電気機器のEMC(Electoromagnetic Compatibility)を損なわないようにするのに利用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、このようなEMI対策には、図10、図12に示すようなオープンサイト、あるいは、図示しない簡易電波測定室に設置したターンテーブルaと、このターンテーブルaの近傍に設置した電磁波測定アンテナcが用いられている。具体的には、このターンテーブルaの上に評価対象物である電気機器、例えばノートパソコンbなどを、これへの通電機器dなどとともに置き、これをターンテーブルaによって回転させながら通電し、そのときのノートパソコンbなどからの輻射電波をアンテナcによりキャッチし、アンテナcがキャッチした輻射電波を測定器に入力してその周波数成分を測定することにより電磁輻射の電解強度を評価し、測定される輻射電波を所定の電磁輻射の電解強度レベルにまで抑えるように、電気機器に装備した電気回路の電波輻射要素の電気的係数を調整し、EMI対策をするようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電気機器からの輻射電波をアンテナcで捉えるための、上記従来のサイト方式や簡易電波測定室は、特殊な設備が必要であるし、評価対象は完成された電子機器であるので、各種の電子部品を回路基板に装着ないしは実装して電子回路基板を製造する実装機など大きく重い機器を対象とするときは、ターンテーブルaやこれを設置するサイト、簡易測定室など、特に大きな設備が必要となり、例えばオープンサイト方式では数億円、簡易電波測定室では数千万円と言った高額な設備費が要る。
【0004】
また、大型で複雑な機器などは各種のロジック回路や駆動回路が多数複合して用いられていることが多く、アンテナcで捉えられた輻射電波からは電気機器全体としてのEMIの程度は評価できても、個々のロジック回路や駆動回路について区別し難く、評価したEMIの程度を所定の強度レベルまで下げるのに対症療法となってしまい、作業は試行錯誤し、調整し切るのに長い時間を費やす。特にオープンサイト方式では外部ノイズの影響もあるので特に長期化することが多い。従って、評価コストおよびそれに基づく調整コストも共に高くつく。
【0005】
さらに、設備費が高くつきすぎるので、電気機器の製造品種に見合うだけの数の設備を用意できず、前記作業能率の悪さと相まって、EMI評価、調整待ちになることが多々生じ、新製品の開発や製品化の面でも問題になっている。
【0006】
そこで、本発明者等は、これらにつき種々な実験をし、研究を重ねたところ、電気回路の帰還電流の波形やその周波数成分と、電気回路からの電磁輻射エネルギーを閉ボックスで捉えた輻射電流の波形やその周波数成分が、従来行われているサイトや簡易電波測定室を利用し、電磁波測定アンテナによって捉えられる実際の輻射電波の電界強度と相関性があることを知見した。
【0007】
本発明の目的は、そのような新たな知見に基づいて、輻射の電解強度の評価が容易かつ迅速に、しかも安価に達成することができ、電気回路の単体から、これを種々に組み合わせていく各中途段階での途中部品や機器を含み、最終製品である電気機器までのどの段階のものをも対象として短時間で評価し、対策できる電気機器の電磁輻射評価方法と装置、およびそれらによる電磁輻射対策方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気機器の電磁輻射評価方法は、電気機器の評価対象となる電気回路に通電して、そのときに電源またはアースに戻る電流を帰還電流として検出し、その帰還電流の波形データまたは周波数成分を測定して得られた周波数解析データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価することを特徴とするものである。
【0009】
このような構成では、評価対象である電気回路に通電して、そのときに電源またはアースに戻る電流を帰還電流として検出し、この帰還電流の波形データまたは周波数成分を測定して得られた周波数解析データと電気回路からの実際の輻射電波の電界強度との相関性から、前記得られた各データをその電気回路の各種電波輻射要素の電波の電磁輻射強度の相関データとして評価することができ、電気回路への通電と、通電時に検出される帰還電流の波形データまたは周波数成分を測定する簡易な方法によって簡単かつ短時間に達成され、安価に実施できる。この評価に基づき、本発明の電磁輻射対策方法のように、前記評価方法で得られた波形データのレベルまたは周波数解析データにおける各周波数部分でのレベルが、所定のレベルにまで抑えられるように、電気回路の電波輻射要素の電気的係数を調整することによりEMI対策が行える。
【0010】
しかも、特に前記評価のための通電時の帰還電流の波形データまたは周波数解析データは測定しやしく、電気回路の単体から各段階の中途部品や機器、および最終製品である電気機器までの各段階のものにつき、短時間に評価していき、その評価の都度、前記のような対策をしていくことにより、検出により得られた周波数解析データと評価対象となる電気回路の電磁輻射特性との、電気回路のどの電気的係数がどの周波数成分に対応するかの相関性が読取りやすく、最終製品である電気機器を含む各段階において評価および対策が試行錯誤なく容易かつ短時間に達成される。
【0011】
本発明の電気機器の電磁輻射評価方法は、また、電気機器の評価対象となる電気回路に通電し、この電気回路をアース接地した導電性材料製の閉ボックス内に電気的絶縁状態で収容して、電気回路の帰還電流を、この閉ボックス外で検出し、その帰還電流の波形データまたは周波数成分を測定して得られた周波数解析データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価することも特徴としている。
【0012】
このような構成では、閉ボックスによって電気回路から実際に輻射される電波をまわりに逸散させることなく捉え、電気回路からの帰還電流を閉ボックス外で、電気回路からの電磁輻射ノイズの影響を抑えてより正確に検出し、これにより正確な帰還電流の波形データまたは周波数成分を測定して得られた周波数解析データにて、電気回路からの電磁輻射を相関評価するので、評価精度が高まる。
【0013】
この閉ボックスからアースまたは電源に戻したときに流れる電流を輻射電流として検出し、その輻射電流の波形データまたはその輻射電流の周波数成分を測定して得られた周波数解析データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価することもできる。
【0014】
前記の電気回路からの帰還電流の波形データと、閉ボックスからの輻射電流の波形データを重畳した波形データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価すると、電気回路からの実際の輻射電波の周波数成分との相関性がより高まり、電磁輻射の評価精度が向上する。
【0015】
検出された帰還電流または輻射電流の波形データは、オシログラフで測定して評価することができる。帰還電流または輻射電流の周波数解析データはスペクトラムアナライザで測定して、より微細に評価することができ、この場合、評価対象が、ロジック電気回路であるのが好適である。
【0016】
本発明の電気機器の電磁輻射評価装置は、評価対象となる電気回路に接続されて、その電気回路に通電する電源回路と、電気回路から電源回路の0Vまたはマイナス電位またはアースへ流れる電流を検出する帰還電流検出部と、電気回路を電気的絶縁状態で収納するアース接地した導電性材料製の閉ボックスと、この閉ボックスから電源回路の0Vまたはマイナス電位またはアースへ流れる輻射電流を検出する輻射電流検出部と、前記帰還電流検出部および輻射電流検出部で検出された帰還電流および輻射電流の波形データおよび周波数解析データを測定、解析し表示する計測器と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
このような構成では、電源回路を評価対象となる電気回路に接続すれば、帰還電流検出部で、電気回路の0Vまたはマイナス電位またはアースへ流れる帰還電流が検出されるのに併せ、電気回路を収納する導電性材料製の閉ボックスで捉えた電気回路からの電波が、輻射電流検出部で、閉ボックスから電源回路の0Vまたはマイナス電位またはアースへ流れる輻射電流として検出され、計測器によって前記帰還電流検出部および輻射電流検出部で検出された帰還電流および輻射電流の波形データおよび周波数解析データを測定して表示するので、上記のような電気機器の電磁輻射評価、およびそれに基づく対策の方法を容易に実現することができる。
【0018】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面によって明らかにされる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の幾つかの実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
本実施の形態1は、図1の第1の実施例、図2の第2の実施例に示すような、ロジック回路、具体的にはノートパソコンや各種電気機器の電子制御回路等である電子回路基板1を評価対象にしている。電子回路基板1はそれが制御する機能に応じたプリント配線および各種の電子部品が搭載されているが、駆動回路を持たない単体である。しかし、基本的にはどのような構成の電気回路、あるいはどのような組み合わせ段階の中間製品でも、あるいはどのように組み合わされ完成された電気機器でも評価対象とすることはできる。
【0021】
図1に示す第1の実施例では、電子回路基板1に電源回路2により通電する。
【0022】
この通電はその電子回路基板1に規定された電圧値および電流値で行い、実際に稼働される状態を試験的に作る。従って、電源回路2は種々な評価対象の電気回路に対応するためには、種々の電圧値、電流値の電流を供給できる電源回路に構成しておくのが好適である。しかし、本実施例では説明の簡単のために、電源プラグ3からACアダプタ4を介し電子回路基板1に規定の直流電流を供給して通電できるようにした単純な構成で示してある。
【0023】
この通電による疑似使用状態で、電子回路基板1からの帰還電流をプローブ6などによって検出し、検出された帰還電流の図1、図3に示すような周波数成分の解析データ5を計測器7で測定、解析し、測定した周波数成分の各周波数部分での波形レベルHを、その周波数部分の電波を輻射する輻射要素からの電磁輻射の相関データとして評価する。これがいわゆるEMI相関評価であり、このEMI相関評価のために検出される周波数成分から得られた周波数解析データ5の波形は計測器7でモニタできる。このような計測器7としてはスペクトラムアナライザや各種周波数分析装置がある。第1の実施例で評価対象となっているロジック回路からの帰還電流の周波数成分は、高い周波数であることが多く、これを明確に視認できるようにするには、スペクトラム・アナライザを用いるのが好適であり、図3に示すような明瞭な周波数解析データ5が得られる。
【0024】
ここに、図3に示す周波数解析データ5の波形レベルHを所定の電磁輻射の電解強度レベル程度まで抑え込むように電子回路基板1に搭載されている電磁輻射電気要素である電子部品ないしは回路の電気的係数を調整すれば、電子回路基板1などの評価対象からの輻射電波を所定の程度まで低減することができ、輻射によるEMIを抑え、他の電気機器のEMCを損なわないようにすることができる。
【0025】
このように、電子回路基板1に通電して、そのときの帰還電流の周波数解析データ5を評価すると、これが電子回路基板1からの実際の輻射電波の周波数成分との相関性があり、その測定した周波数解析データ5の波形レベルHをその電子回路基板1かの電波の電磁輻射の電解強度として相関評価することができ、電子回路基板1への通電と、通電時の帰還電流の検出との簡易な方法によって簡単かつ迅速に達成され、安価に実施できる。
【0026】
もっとも、電子回路基板1からの帰還電流が、電源回路2における0Vへの帰還電流であると、それから測定した周波数成分の前記実際の輻射電波の周波数成分との相関性が高くなり、評価精度が向上する。また、帰還電流を検出するのに、電源回路2の電子回路基板1から0Vへの帰還電流を検出する帰還電流検出部12には、抵抗8、あるいはこれに代わるCT(カップリング・コイルトランス)などを接続すると、検出される電子回路基板1からの帰還電流の周波数解析データ5の、前記実際の輻射電波の周波数成分との相関性を高めるように調整することができ、これによっても、評価の精度および精度が向上する。
【0027】
また、図1に示す第1の実施例では、評価対象を、従って、電子回路基板1を金属製の閉ボックス9に収容するとともに、このとき電子回路基板1と閉ボックス9は電気的に絶縁した状態にして、この閉ボックス9をアース11に接地し、帰還電流検出部12は閉ボックス9の外に出るようにしてある。これにより、電子回路基板1から実際に輻射している電波13は閉ボックス9に吸収されてアース11へ流れる輻射電波13が前記帰還電流検出部12に影響しないようにすることができ、その分評価精度が向上する。このような閉ボックス9はアルミニウム製であるのが好適である。しかし、前記のような機能を奏すればどのような材料の金属でもよい。なお、抵抗8は種々な評価対象に対応できるように抵抗値を調整できる可変抵抗とするのが好適である。
【0028】
図2に示す第2の実施例は、第1の実施例の閉ボックス9からアース11への輻射電流を、プローブ6によって検出して、その周波数成分をスペクトラム・アナライザである計測器7によって測定し、解析された周波数解析データ5dを、電子回路基板1からの帰還電流を前記ボックス9外で検出し、測定した周波数解析データ5に重畳し、この重畳した周波数成分の各周波数部分の波形レベルHを対応する輻射特性を持った電波輻射要素の電磁輻射の相関データとして相関評価する。
【0029】
このようにして測定された重畳された周波数解析データ5のピークを任意プロットすると、図4に示すようなさらに単純化された周波数特性5bとなる。これは、図10に示した従来のサイトや、図示しない簡易電波測定室での電磁波測定アンテナにより実際の輻射電波につき検出された図11に示すような周波特性5cとよく相関していることが分かる。
【0030】
このようにすると、閉ボックス9によって電子回路基板1から実際に輻射される電波をまわりに逸散させることなくキャッチし、これをアース11に流したときの輻射電流を検出し、この輻射電流の周波数解析データ5dを計測器7によって測定するが、これを電子回路基板1に通電したときの輻射電流の周波数解析データ5に重畳することで、電子回路基板1からの実際の輻射電波13の周波数成分との相関性がより高まり、電磁輻射の電解強度の評価精度を高めることができる。このアース11への輻射電流の輻射電流検出部22にも抵抗18が設けられて、検出精度が向上するようにしている。この抵抗18も可変抵抗にするのが好適である。 ところで、検出された帰還電流や輻射電流から測定される周波数成分は、その周波数部分ごとに電子回路基板1などの評価対象における各種電気部品ないしは回路特性に対応したものであり、これが複合していると1つの周波数部分に対応した原因を解析しにくい。従って、本実施の形態1の評価と対策は、電子回路基板1のように最小単位である回路基板単体の段階から行うのが好適であり、どの周波数部分がどの電気部品や回路の係数が関与したものであるかを容易かつ迅速に判定し、対策することができる。
【0031】
また、評価および対策を終えた最小単位の回路基板単体などを、各種に組み合わせ装備していく各段階において、その各段階の中間部品や中間製品につき評価して最小単位の電気部品や回路の組み合わせが進行していく過程で新たに発生していく輻射電波の評価と対策を行うようにすると、各製造段階にて新たに発生する輻射電波についても容易に評価し対策することができる。これは、最終段階の完全な製品になっても同じである。
【0032】
結局、全体として、計測器以外の設備はほとんど不要でありその費用は数百万円程度と格段に低減し、しかも、試行錯誤なく容易かつ迅速に、電磁輻射の評価と対策が行えるもので、作業能率がよい上に計測機器や設備を多数持ちうるので、待ち時間などなく多種類の製品の開発および製造に好適である。
【0033】
なお、電子回路基板1などの電気回路に通電したときの帰還電流は、電源の0V、マイナス電位、またはアースに戻る電流にて検出することができるし、閉ボックスからの輻射電流も、電源の0V、マイナス電位、またはアースに流れる電流から検出することができる。
【0034】
(実施の形態2)
本実施の形態2は図5に示すように、モータ31を駆動する駆動回路32を評価対象とした場合を示している。駆動回路32はスイッチング回路32aや図6に示すゲート回路32bなどがモータ31と共に電磁輻射電波の発生源になりやすい。駆動回路32に対しても、0Vへの帰還電流をプローブ6にて検出し、その波形を計測器7によって測定する。駆動回路32での帰還電流の波形34はオシロスコープによっても人が視認できる程度に表示される。もっとも、図5、図7に示すような鋸歯状の周波数成分34における三角波ピーク点電流に対応する周波数成分34aやスパイク電流に対応する周波数成分34bの部分の微小な周波数成分を人が視認できるようにするには、計測器7として周波数解析データが得られるスペクトラム・アナライザを用いるのがよい。しかし、前記周波数成分34a、34bの各周波数部分の波形レベルHを所定の電磁輻射の電解強度レベル程度にまで抑えればよいので、これができる限りスペクトラム・アナライザは使用しなくてもよい。
【0035】
図6は1つの実施例を示すものであり、整流回路41、スイッチング回路32aで構成した三相インバータを介してモータ31を駆動する駆動回路32の場合を示し、スイッチング回路32aに接続したゲート回路32bを介したフィードバック制御回路46による2つのフィードバック制御系44、45が設けられている。フィードバック系44はモータ31の2相電流についてのものであり、フィードバック系45はモータ31の回転状態についてのものである。
【0036】
これらフィードバック系44、45は駆動回路32の帰還電流の周波数成分に影響して、上記のような評価を正しく行えない。そこで、図6の実施例ではゲート回路32bへのフィードバック系44、45のフィードバック制御回路46を介した接続を断った状態で、ゲート回路32bからモータ31の駆動パルスを電源回路2にて与え、そのときの駆動回路32の帰還電流の周波数成分の出力を得て、前記評価が行えるようにした。
【0037】
この実施例での、オシロスコープでの帰還電流の波形34は、図7に示す通りである。なお、カレントプローブによるモータ電流波形なまりが大きく、図8に示すような山形波形になり、正規な鋸歯状波形にならない。このため、駆動回路32からの実際の輻射電波の周波数との相関性のある周波数成分との相関性が弱く、精度よい評価および対策はできない。
【0038】
そこで、図7に示す駆動回路32から0Vへの帰還電流の波形数成分34を測定し、その波形における、三角波ピーク点電流に対応する周波数成分34aやスパイク電流に対応する周波数成分34bの波形高さそれぞれについて、図9の(a)(b)に示す破線のように低く抑えるように、駆動回路32の各種電気的係数を調整することにより、実施の形態1の場合と同様に、駆動回路32の評価対象からの輻射電波を所定の程度まで低減することができ、輻射によるEMIを抑え、他の電気機器のEMCを損なわないようにすることができる。
【0039】
これも、図10、図12に示す従来のサイトや簡易電波測定室にて、電磁波測定アンテナcによりモータeの駆動回路fからの輻射電波を検出し、この検出された輻射電波につき測定した図13に示す周波数成分34cと、これの電磁輻射の電解強度高さを下げて対策した周波数成分34dと相関している。
【0040】
【発明の効果】
本発明の電気機器の電磁輻射評価方法の1つの特徴によれば、評価対象である電気回路に通電したときの帰還電流の周波数解析データと、その電気回路からの実際の輻射電波の周波数成分ととの相関性から、電気回路への通電と、通電時に検出される帰還電流の周波数解析データを測定、解析する簡易な方法によって、評価対象である電気回路の電波の輻射強度を簡単かつ短時間に評価し、安価に実施できる。この評価に基づき、検出された帰還電流の周波数成分における各周波数部分での波形レベルが、所定の電磁輻射の電解強度レベルにまで抑えるように電気回路の電波輻射要素の電気的係数を調整することによりEMI対策が行える。
【0041】
しかも、前記評価のための通電時の帰還電流の波形データまたは周波数解析データは測定しやしく、電気回路の単体から各段階の中途部品や機器、および最終製品である電気機器までの各段階のものにつき、短時間に評価していき、その評価の都度、前記のような対策をしていくことにより、検出により得られた周波数解析データと評価対象となる電気回路の輻射特性との、電気回路のどの電気的係数がどの周波数成分に対応するかの相関性が読取りやすく、最終製品である電気機器を含む各段階において評価および対策が試行錯誤なく容易かつ短時間に達成される。
【0042】
また、べつの特徴によって、導電性材料製の閉ボックスによって電気回路から実際に輻射される電波をまわりに逸散させることなく捉え、電気回路からの帰還電流を閉ボックス外で、電気回路からの電磁輻射ノイズの影響を抑えてより正確に検出し、このより正確な帰還電流の波形データまたは周波数成分を測定して得られた周波数解析データにて、電気回路からの電磁輻射を相関評価するので、評価精度が高まる。
【0043】
この閉ボックスからアースまたは電源に戻したときに流れる電流を輻射電流として検出し、その輻射電流の波形データまたはその輻射電流の周波数成分を測定して得られた周波数解析データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価することもできる。
【0044】
前記の電気回路からの帰還電流の波形データと、閉ボックスからの輻射電流の波形データを重畳した波形データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価すると、電気回路からの実際の輻射電波の周波数成分との相関性がより高まり、電磁輻射の評価精度が向上する。
【0045】
検出された帰還電流または輻射電流の波形データは、オシログラフで測定して評価することができる。帰還電流または輻射電流の周波数解析データはスペクトラムアナライザで測定して、より微細に評価することができ、この場合、評価対象が、ロジック電気回路であるのが好適である。
【0046】
本発明の電気機器の電磁輻射評価装置によれば、電源回路を評価対象となる電気回路に接続すれば、帰還電流検出部で、電気回路の0Vまたはマイナス電位またはアースへ流れる帰還電流が検出されるのに併せ、電気回路を収納する導電性材料製の閉ボックスで捉えた電気回路からの電波が、輻射電流検出部で、閉ボックスから電源回路の0Vまたはマイナス電位またはアースへ流れる輻射電流として検出され、計測器によって前記帰還電流検出部および輻射電流検出部で検出された帰還電流および輻射電流の波形データおよび周波数解析データを測定して表示するので、上記のような電気機器の電磁輻射評価、およびそれに基づく対策の方法を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の第1の実施例を示す概略構成の斜視図である。
【図2】実施の形態1の第2の実施例を示す概略構成の斜視図である。
【図3】第2の実施例において検出された帰還電流の周波数解析データの波形図である。
【図4】帰還電流と輻射電流の周波数解析データを重畳し、そのピークを任意プロットして得た波形図である。
【図5】本発明の実施の形態2を示す概略構成の斜視図である。
【図6】実施の形態2の1つの実施例を示す具体的な駆動回路での帰還電流の波形図の検出状態を示すブロック結線図である。
【図7】図6での検出波形の波形図である。
【図8】カレントプローブによるモータ電流の波形図である。
【図9】図7の波形の三角波ピーク点電流と、スパイク電流とに対応する周波数成分の波形高さHの評価結果と対策結果を示すグラフである。
【図10】従来のサイトでの評価対象の電気機器のの輻射電波検出方式の概略図である。
【図11】図10の方式で検出された輻射電波の周波数ごとの電解強度を示す波形図である。
【図12】従来のサイトでの駆動回路の輻射電波検出方式の概略図である。
【図13】図12の方式で検出された輻射電波の周波数ごとの電解強度を示す波形図である。
【符号の説明】
1 電子回路基板
2 電源回路
3 電源プラグ
4 電源のACアダプタ
5 周波数解析データ
6 プローブ
7 測定器または計測器
8、18 抵抗
9 閉ボックス
11 アース
12 帰還電流検出部
13 輻射電波
22 輻射電流検出部
31 モータ
32 駆動回路
34 波形
Claims (10)
- 電気機器の評価対象となる電気回路に通電して、そのときに電源またはアースに戻る電流を帰還電流として検出し、その帰還電流の波形データまたは周波数成分を測定して得られた周波数解析データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価することを特徴とする電気機器の電磁輻射評価方法。
- 電気機器の評価対象となる電気回路に通電し、この電気回路をアース接地した導電性材料製の閉ボックス内に電気的絶縁状態で収容して、電気回路の帰還電流を、この閉ボックス外で検出し、その帰還電流の波形データまたは周波数成分を測定して得られた周波数解析データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価することを特徴とする電気機器の電磁輻射評価方法。
- 電気機器の評価対象となる電気回路に通電し、その電気回路を導電性材料製の閉ボックス内に電気的絶縁状態で収容して、前記電気回路からの電磁輻射エネルギーを閉ボックスで捉え、これをアースまたは電源に戻したときに流れる電流を輻射電流として検出し、その輻射電流の波形データまたはその輻射電流の周波数成分を測定して得られた周波数解析データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価することを特徴とする電気機器の電磁輻射評価方法。
- 請求項1または2の評価対象となる電気回路の帰還電流の波形データと、請求項3の輻射電流の周波数解析データを重畳した波形データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価することを特徴とする電気機器の電磁輻射評価方法。
- 請求項1または2の評価対象となる電気回路の帰還電流の波形データと、請求項3の輻射電流の波形データを重畳した周波数解析データを、前記電気回路の電磁輻射との相関データとして評価することを特徴とする電気機器の電磁輻射評価方法。
- 検出された帰還電流または輻射電流の波形データは、オシロスコープで測定して評価する請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気機器の電磁輻射評価方法。
- 検出された帰還電流または輻射電流の周波数解析データは、スペクトラムアナライザで測定して評価する請求項1〜3、5のいずれか一項に記載の電気機器の電磁輻射評価方法。
- 評価対象は、ロジック回路、表示回路またはパワー回路である請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気機器の電磁輻射評価方法。
- 評価対象となる電気回路に接続されて、その電気回路に通電する電源回路と、電気回路から電源回路の0Vまたはマイナス電位またはアースへ流れる電流を検出する帰還電流検出部と、電気回路を収納するアース接地した導電性材料製の閉ボックスと、この閉ボックスから電源回路の0Vまたはマイナス電位またはアースへ流れる輻射電流を検出する輻射電流検出部と、前記帰還電流検出部および輻射電流検出部で検出された帰還電流および輻射電流の波形データおよび周波数解析データを測定、解析し表示する計測器と、を備えたことを特徴とする電気機器の電磁輻射評価装置。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気機器の電磁輻射評価方法で検出された帰還電流または輻射電流の波形データまたは周波数解析データを電磁輻射の相関データとして評価しそのデータのレベルを所定のレベルまで抑えるように電気回路の電磁輻射要素の電気係数を調整し対策することを特徴とする電気機器の電磁輻射対策方法。
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