現在、BSデジタル放送や広帯域CSデジタル放送をケーブルテレビに再送信する方式を定める運用仕様として、BSデジタル放送トランスモジュレーション運用仕様(JCL SPEC−001)(以下BS−TM方式と呼ぶ)と、東経110度CSデジタル放送トランスモジュレーション運用仕様(JCL SPEC−002)(以下110CS−TM方式と呼ぶ)と、が日本ケーブルラボ(JCL)によって既に規格化されている。
図10は、従来のSTB(Set−Top Box:セットトップボックス、即ち、デジタル放送受信装置)のハードウェア構成を示す概要図である。図10のSTB1000は前述の運用仕様に準拠するデジタル放送を受信することが出来る。本STB1000の動作を以下に説明する。まず、RF信号100aが入力されると、該RF信号100aは、チューナー110によって復調されてトランスポートストリーム110aが生成される。次に、デスクランブラ120によって暗号が解除され、暗号が解除されたトランスポートストリーム120aが生成される。更に、分離部130において、映像信号パケット130aと音声信号パケット130bとに分離される。映像復号部140においては映像信号パケット130aが復号されて映像出力140aが生成され、音声復号部150においては音声信号パケット130bが復号されて音声出力150aが生成される。
チューナー110、デスクランブラ120、分離部130、映像復号部140、音声復号部150は、バス105を通してCPU180と接続されており、CPU180がこれらのデバイスを制御する。バス105には更に不揮発性メモリ1060、揮発性メモリ1070が接続されている。これらのデバイスの制御をはじめとしたSTB1000全体の制御のために、CPU180は、不揮発性メモリ1060に格納されている(場合によっては、揮発性メモリ1070にも一部格納されている)STB制御ソフトウェア(即ちデジタル放送受信プログラム)1060aを実行する。
STB制御ソフトウェア1060aは、主に、リモコンの操作結果により動作し、リモコンを操作したリモコンキー押下情報を、バス105に接続されているリモコン受光部190によって受信し、受信した該リモコンキー押下情報に従って、サービスの選局、EPGの表示、各種付加情報の表示等の動作を実行する。なお、前述の運用仕様を満足するSTB1000は、更に多くの構成要素を含んでいるが、本発明の趣旨を簡潔に説明するために、本説明においては省略している。
分離部130は、トランスポートストリーム120aから、映像信号パケット130aや音声信号パケット130bを分離する他に、PAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、NIT(Network Information Table)等のPSI/SI(Program Specific Information / Service Information)の抽出を行なう。抽出されたPSI/SIは、揮発性メモリ1070に一旦保存され、更に、該PSI/SIの中から必要とする情報が取捨選択、加工され、STB1000の動作の基となる情報として用いられる。これらの動作も、同様に、STB制御ソフトウェア1060aによって制御される。
図11は、STB1000が受信するケーブルテレビ放送向けのデジタル放送の論理的な構成の一例を表すものであり、BS−TM方式と110CS−TM方式とのネットワーク構成を示す概念図である。即ち、図11に示すデジタル放送としては、BS−TM方式と110CS−TM方式との両者が運用されていて、デジタル放送は2個のネットワークから構成されている。それぞれのネットワークを識別するためのネットワークID(Network ID:以後NIDと呼ぶ)は、‘0x4’と‘0x7’である。ここで、「0x」と先頭に付与されている記号は、16進数であることを表している。NID=0x4のネットワーク1110はBS−TM方式により再送信されるネットワークであり、NID=0x7のネットワーク1120は110CS−TM方式により再送信されるネットワークである。
なお、110CS−TM方式により再送信されるネットワークには、他に更にNID=0x6のネットワークも存在しているが、本発明の趣旨を簡潔に説明するために、省略している。また、以下の説明においても、本発明の趣旨を理解し易くするために、他の部分も一部省略して説明しているため、実際に運用される方式とは、正確には異なる部分があることを予め断っておく。
ネットワーク1110は、トランスポートストリーム(Transport Stream:以後TSと呼ぶ)1111とTS1112とから、ネットワーク1120は、TS1121とTS1122とから構成される。各TSには、それぞれのTSを識別するためのトランスポートストリームID(Transport Stream ID:以後TSIDと呼ぶ)と、オリジナルネットワークID(Original Network ID:以後ONIDと呼ぶ)とが付与されており、例えば、TS1111については、TSID=0x40F0、ONID=0x4が付与されている。なお、一般的に、オリジナルネットワークIDは、該TSが最初に発生したところのネットワーク、即ち、該TSのオリジナルネットワーク、を識別するためのIDであり、オリジナルネットワークIDには、該TSが最初に発生したところのネットワークのネットワークIDが付与される。あるネットワークの中では、TSは、トランスポートストリームIDとオリジナルネットワークIDとを用いて一意に特定される。
各TSは、サービスを含んでいる。例えば、TS1111は1個のサービス1111bを含み、TS1112は2個のサービス1112b1,1112b2を含み、それぞれのサービスを識別するためのサービスID(Service ID:以後SIDと呼ぶ)は、SID=200,101,102である。また、各TSはSIDで識別されるサービス以外にも、様々なPSI/SI等を含む。図11では、様々なPSI/SIのうち、NIT(より正確に言えばテーブルID=0x40を持つNIT[actual])に注目して図示しており、例えば、TS1111のNIT1111aは、NID=0x4であり、TS1112のNIT1112aも、NID=0x4であることを示している。なお、NIT1111aとNIT1112aとは、同じネットワークに関する情報が記述されているので同じ内容である。
TSの伝送方式としては、1個のTSを1個の伝送周波数を用いて伝送する方式、複数のTSを1個の伝送周波数を用いて伝送する方式、1個のTSを2個の伝送周波数を用いて伝送する方式(TS分割方式)などがある。図11に示す本例においては、BS−TM方式のネットワークであるNID=0x4のネットワークにあっては、TS1111とTS1112とは、同一の伝送周波数767MHzを用いて伝送され、したがって、それぞれに含まれるサービス1111b,1112b1,1112b2、NIT1111a,1112a、は同一の伝送周波数767MHzを用いて伝送される。
一方、110CS−TM方式のネットワークであるNID=0x7のネットワークにあっては、TS1121の構成要素のうち、SID=100のサービス1121b1は761MHz、SID=201のサービス1121b2は755MHzの伝送周波数を用いてそれぞれ伝送され、NIT1121aは、761MHzと755MHzとの両方の伝送周波数で伝送される。TS1122も、TS1121と同様に、TS分割方式を用いて伝送され、TS1122の構成要素のうち、SID=220のサービス1122b1は749MHz、SID=221のサービス1122b2は743MHzの伝送周波数を用いてそれぞれ伝送され、NIT1122aは、749MHzと743MHzとの両方の伝送周波数で伝送される。なお、NIT1121aとNIT1122aについても、同じネットワークに関する情報が記述されているので、同じ内容である。
次に、図12は、BS−TM方式と110CS−TM方式とでそれぞれ用いられるNITの構成の概要を示す構成図である。NIT1210とNIT1220とは、図11に示すネットワーク1110とネットワーク1120とにそれぞれ含まれているNIT1111a,1112aと、NIT1121a,1122aとを示している。各NIT1210,1220には、当該NIT自身を含むネットワークに関する情報を記述する。例えば、NIT1210には、当該NIT1210を含む図11のネットワーク1110に関する情報を記述する。
NITの主要な構成要素は、ネットワークを識別するネットワークID即ちNIDと、該NIDのネットワークに含まれるTSに関する情報が記述されているTS記述部とであり、例えば、NIT1210の場合、NID1211と、TS記述部1212,1213とであり、NIT1220の場合、NID1221と、TS記述部1222,1223とである。NIT1210に含まれるNID1211には、当該NIT1210を含む図11のネットワーク1110のNIDである‘0x4’が記述される。また、当該ネットワーク1110には、図11に示すように、TS1111とTS1112との2個のTSが存在するので、NIT1210には、両者のTSにそれぞれ対応したTS記述部1212とTS記述部1213とが存在する。
ここで、TS記述部の主要な構成要素は、TS分割方式以外の伝送方式によって各TSが伝送されている場合、NIT1210にて示すように、各TSを識別するIDであるTSID1212a,1213aと、各TSのオリジナルネットワークを識別するIDであるオリジナルネットワークID即ちONID1212b,1213bと、各TSを伝送する伝送周波数1212c,1213cと、各TSに含まれるサービスを識別するSID1212d,1213dとから構成される。
一方、TS分割方式によって各TSが伝送される場合、TS記述部の主要な構成要素は、NIT1220にて示すように、TSに含まれるサービスによって伝送されている伝送周波数が異なるため、NIT1210における伝送周波数1212c,1213cの代わりに、各TSの分割情報記述部1222e,1223eが記述される。分割情報記述部1222eと1223eとには、それぞれの伝送周波数1222ec1,1222ec2と、1223ec1,1223ec2、と、更に、それぞれの伝送周波数を用いて伝送される各サービスのSID1222ed1,1222ed2と、1223ed1,1223ed2との対応がそれぞれ記述された周波数記述部1222e1,1222e2と、1223e1,1223e2とが記述される。
なお、TS記述部、分割情報記述部及び周波数記述部という呼び方は一般的なものではなく、本発明の趣旨を簡潔に説明するために用いている。ARIB((社)電波産業会)やJCTEA((社)日本CATV技術協会)の規格で用いられている用語を用いれば、TS記述部1212,1213,1222,1223は、NIT1210,1220中の「トランスポートストリームループ」の1ループ分であり、分割情報記述部1222eと1223eとは、NIT1220中の有線TS分割システム記述子であり、周波数記述部1222e1,1222e2と、1223e1,1223e2とは、NIT1220中の有線TS分割システム記述子のfrequencyフィールドから始まるループの1ループ分である。
また、TS記述部1212,1213へのそれぞれの伝送周波数1212c,1213cの記述は、frequencyフィールドを備えるケーブル分配システム記述子をTS記述部に記述することによって実現し、TS記述部1212,1213,1222,1223へのそれぞれのSID1212d,SID1213d,SID1222d,SID1223dの記述は、SIDを備えるサービスリスト記述子を記述することによって実現している。以上のごとく、本発明の趣旨を簡潔に説明するために、他の部分でも適宜省略を行なっていることを予め断っておく。
次に、例えば図11に示すTS1111に関する情報の図12のTS記述部1212への記述については、TSID1212a、ONID1212bには、それぞれ当該TS1111のTSID、ONIDである‘0x40F0’、‘0x4’が記述される。また、当該TS1111はTS分割されていないので、伝送周波数1212cとして、伝送周波数である‘767(MHz)’が記述される。また、当該TS1111が含むサービスのSIDは‘200’の1個のみであるので、SID1212dとして‘200’が記述される。
2個のサービスを含む図11のTS1112に関する情報についても、同様であり、図12のTS記述部1213の、TSID1213a、ONID1213b、伝送周波数1213c、及び、SID1213dには、それぞれ、図11に示すように、‘0x40F1’、‘0x4’、‘767(MHz)’、及び、‘101’,‘102’が記述される。
また、例えば図11に示すTS1121に関する情報の図12のTS記述部1222への記述については、TSID1222a、ONID1222bには、それぞれ当該TS1121のTSID、ONIDである‘0x7040’、‘0x7’が記述される。また、SID1222dとしては、2個のサービスが存在するので、‘100’、‘201’の2個のSIDが記述される。更に、当該TS1121は、TS分割方式により伝送されているので、分割情報記述部1222eが設けられ、2つの伝送周波数に関する周波数記述部1222e1、周波数記述部1222e2が、分割情報記述部1222eの中に更に設けられる。周波数記述部1222e1,1222e2のそれぞれの伝送周波数1222ec1,1222ec2には、それぞれの伝送周波数である‘761(MHz)’,‘755(MHz)’が記述され、それぞれの伝送周波数を用いて伝送されるサービスのSIDである‘100’,‘201’が、それぞれ、SID1222ed1,1222ed2に記述される。
図11のTS1122に関する情報についても、同様であり、図12のTS記述部1223の、TSID1223a、ONID1223b、SID1223d、周波数記述部1222e1,1222e2のそれぞれの伝送周波数1222ec1,1222ec2、及び、SID1222ed1,1222ed2には、それぞれ、図12に示すように、‘0x7060’、‘0x7’、‘220’と‘221’、‘749(MHz)’,‘743(MHz)’、及び、‘220’,‘221’が記述される。
図13は、図10に示す従来のSTB1000のNIT受信時における動作を説明するフローチャートであり、STB制御ソフトウェア(デジタル放送受信プログラム)1060aの一部を説明している。まず、NITを受信すると(ステップS1301)、次に、受信したNITの内容を揮発性メモリ1070のネットワークデータ1070aに登録する(ステップS1302)。即ち、受信したNITは、主にネットワークデータ1070aを作成するために用いられる。
ネットワークデータ1070aは、NITを始めとしてPSI/SIに記述されている各種の情報を基にして作成され、選局やEPGの表示、付加情報の表示などの際に用いられる。ユーザが、リモコン等を操作して、選局やEPGの表示、付加情報の表示等を指示した際、かかる指示がなされてから、PSI/SIを受信して必要な情報を得るのではなく、普段、PSI/SIを受信した時に、必要な情報を予めネットワークデータ1070aとして揮発性メモリ1070に蓄えておく。これによって、ユーザの指示があった際には、直ちに選局や情報の表示が出来るようになる。電源OFF時には、ネットワークデータ1070aは、不揮発性メモリ1060に一旦退避されて保存され、電源ON時に、揮発性メモリ1070上に展開されて、利用される。
図14は、図10に示す従来のSTB1000が揮発性メモリ1070に保持するネットワークデータ1070aを示す概念図であり、主要な項目が示されている。図14のネットワークデータ1400に示す内容のように、或るサービスについて、当該サービスが属するネットワークを識別するNIDと、当該サービスを識別するSIDと、当該サービスが属するTSのオリジナルネットワークを識別するONIDと当該TSを識別するTSIDと、当該サービスが伝送される伝送周波数とが対応付けられて保存されている。ここで、サービスについては、NIDとSIDとを用いて特定することが出来るため、或るサービスに関するONID、TSID、あるいは、伝送周波数を知りたい場合、当該サービスのNIDとSIDとを用いて、揮発性メモリ1070に保持されているネットワークデータ1070a、即ち、図14に示すような内容のネットワークデータ1400を検索することによって、これを達成することが出来る。
一度もNITを受信したことが無い場合には、揮発性メモリ1070のネットワークデータ1070aは空であり、ここで、例えば、図12に示すNIT1210を受信すれば、STB1000の揮発性メモリ1070が保持するネットワークデータ1070aは、図15に示すような内容のネットワークデータ1500となる。ここに、図15は、従来のSTB1000が保持するネットワークデータを示す概念図であり、図12に示すTS記述部1212,1213とを有するNID=0x4のNIT1210を受信した場合に、揮発性メモリ1070に保持されるネットワークデータ1070aの内容を示している。更に、しかる後に、図12に示すNIT1220を受信すれば、図14に示すような内容のネットワークデータ1400となり、放送中に存在する全てのサービス、即ち、NIDが‘0x4’と‘0x7’という2個のネットワークの中に含まれる合計7個全てのサービスが揮発性メモリ1070のネットワークデータ1070aに登録される。
図16は、図10に示す従来のSTB1000が、受信したNITの内容をネットワークデータ1070aに登録する動作を説明するためのフローチャートであり、図13のフローチャートにおけるステップS1302の詳細な内容を示している。図16に示すフローチャートの処理内容の概要は、現在処理中の例えばNIT1210の中にある全てのTS記述部1212,1213を順番に処理していくことである。まず、初期状態として変数nに1を代入する(ステップS1601)。次に、現在処理中の例えばNIT1210の中に第n番目のTS記述部が存在するか調べ(ステップS1602)、存在すれば(ステップS1602のYES)、ステップS1603に進み、存在しなければ(ステップS1602のNO)、ステップS1605に進む。
存在している場合(ステップS1602のYES)、TS記述部1212,1213のいずれかである第n番目のTS記述部について処理を行ない、揮発性メモリ1070のネットワークデータ1070aに登録する(ステップS1603)。次いで、変数nに1を加えて(ステップS1604)、ステップS1602に戻り、該当するTS記述部がまだ存在しているか否かを確認する。
ステップS1602において、第n番目のTS記述部が存在していないと判断された場合(ステップS1602のNO)、後処理を行ない(ステップS1605)、図16のフローチャートの処理を終了する。ここで、ステップS1605において行なわれる後処理としては、現在処理中の例えばNIT1210中に存在しなくなったサービスをネットワークデータ1070aから削除すること、更には、NIDを第1キー、SIDを第2キーとして、ネットワークデータ1070aをソートすることなどがあるが、本発明の実施例の説明から外れるので、詳しい説明は省略する。
以上のごとき図16のフローチャートの動作に基づいて、例えば図12に示すNIT1210を処理すると、変数n=1の第1番目のTS記述部は、TS記述部1212となり、変数n=2の第2番目のTS記述部は、TS記述部1213となり、図15に示すようなネットワークデータ1500の内容からなるネットワークデータ1070aが作成される。
図17は、図10に示す従来のSTB1000が、受信したNITの第n番目のTS記述部についてネットワークデータ1070aに登録する動作を説明するためのフローチャートであり、図16のフローチャートにおけるステップS1603の詳細な内容を示している。図17に示すフローチャートの処理内容の概要は、現在処理中の例えば図12に示すTS記述部1213の中にそれぞれ存在しているSID1213dを順番に処理していくことである。まず、初期状態として変数mに1を代入する(ステップS1701)。次に、現在処理中の例えばTS記述部1213のSID1213dの項目中に、第m番目のSIDが存在するか調べ(ステップS1702)、存在すれば(ステップS1702のYES)、ステップS1703に進み、存在しなければ(ステップS1702のNO)、図17のフローチャートの処理を終了する。
第m番目のSIDが存在していた場合(ステップS1702のYES)、第m番目のSIDについてネットワークデータ1070aへの登録処理を行なう(ステップS1703)。次いで、変数mに1を加えて(ステップS1704)、ステップS1702に戻り、該当するTS記述部にまだSIDが存在しているか否かを確認する動作を繰返す。
以上のごとき図17のフローチャートの動作に基づいて、図12に示す例えばTS記述部1213を処理すると、変数m=1の第1番目のSIDは、SID=101、変数m=2の第2番目のSIDは、SID=102となり、それぞれのSIDについてネットワークデータ1070aへの登録が行なわれ、図15に示すような内容のネットワークデータ1500のうち、SID=101、SID=102の2つの内容が登録される。
図18は、図10に示す従来のSTB1000が、受信したNITの第n番目のTS記述部の第m番目のSIDについてネットワークデータ1070aに登録する動作を説明するためのフローチャートであり、図17のフローチャートにおけるステップS1703の詳細な内容を示している。図17に示すフローチャートの処理内容の概要は、現在処理中の例えば図12に示すTS記述部1222のSID1222dを持つサービスに関する情報、即ち、当該サービスを特定するNIDとSID、当該サービスを含むTSのONIDとTSID、当該サービスが伝送される伝送周波数、をネットワークデータ1070aに登録することである。
まず、現在処理中のSID例えば図12に示すSID1222dが含まれているNIT1220のNID1221を変数vnに代入する(ステップS1801)。次に、ステップS1802では、当該NIT1220中における現在処理中の例えばTS記述部1222のONIDとTSIDをONID1222bとTSID1222aとから取り出してそれぞれ変数vo、vtに代入する(ステップS1802)。更に、当該NIT1220中における現在処理中の例えばSID=100をSID1222dから取り出して変数vsに代入する(ステップS1803)。
次に、現在処理中のTS記述部1222に、図12の分割情報記述部1222e,1223eのごときTS分割方式による伝送を示す情報が存在するかを調べ(ステップS1804)、存在すれば(ステップS1804のYES)、ステップS1805に進み、一方、図12のTS記述部1212のように、TS分割方式による伝送を示す分割情報記述部が存在しなければ(ステップS1804のNO)、ステップS1806に進む。
現在処理中のTS記述部1222に分割情報記述部1222eが存在していた場合(ステップS1804のYES)、まず、現在処理中の例えばSID=100によって特定されるサービスが伝送される伝送周波数を、分割情報記述部1222eの伝送周波数1222ec1から取得し、変数vfに代入した後(ステップS1805)、ステップS1807に進む。一方、例えば、図12のTS記述部1212に示すように、TS記述部に分割情報記述部が存在していなかった場合(ステップS1804のNO)、当該TS記述部1212における現在処理中のSID1212dによって特定されるサービスが伝送される伝送周波数を、現在処理中のTS記述部1212の伝送周波数1212cから取得し、変数vfに代入した後(ステップS1806)、ステップS1807に進む。
次いで、変数vn、vsにそれぞれ代入されているNID、SIDの値に該当して、現在処理中のNID、SIDとするようなサービスを揮発性メモリ1070のネットワークデータ1070aの中から検索する(ステップS1807)。ステップS1807における検索の結果、該当するサービスが存在すれば(ステップS1808のYES)、ステップS1809に進み、存在しなければ(ステップS1808のNO)、ステップS1810に進む。
変数vn、vsに代入された現在処理中のNID、SIDに該当するサービスが既にネットワークデータ1070aの中に存在していた場合(ステップS1808のYES)、現在処理中のNID、SIDに該当するネットワークデータ1070aのサービスに関するTSID、ONID、伝送周波数の各項目に、変数vt、vo、vfにそれぞれ代入されていた値を書き込んだ後(ステップS1809)、図18のフローチャートの処理を終了する。
一方、変数vn、vsに代入された現在処理中のNID、SIDに該当するサービスがまだネットワークデータ1070aの中に存在していない場合(ステップS1808のNO)、変数vn、vs、vt、vo、vfにそれぞれ代入されていた値をNID、SID、TSID、ONID、伝送周波数とするようなサービスを、ネットワークデータ1070aの末尾に新たに追加登録した後(ステップS1810)、図18のフローチャートの処理を終了する。
以上のごとき図18のフローチャートの動作に基づいて、例えば図12に示すTS記述部1212のSID=200について処理を行なうと、ステップS1801からステップS1803において、変数vnには、NID1211より‘0x4’が代入され、変数voとvtとには、ONID1212bとTSID1212aとよりそれぞれ‘0x4’と‘0x40F0’とが代入され、変数vsにはSID1212dより‘200’が代入されて、ステップS1804からステップS1806へと進み、変数vfには伝送周波数1212cより‘767(MHz)’が代入される。
しかる後、NID、SIDが、それぞれ、‘0x4’、‘200’とされるサービスをネットワークデータ1070aの中から検索し(ステップS1807)、存在すれば(ステップS1808のYES)、ネットワークデータ1070aにおける該当サービスのONID、TSID、伝送周波数を、それぞれ、変数vo、vt、vfから取り出して、‘0x4’、‘0x40F0’、‘767(MHz)’と上書きして登録し直す(ステップS1809)。
一方、NID、SIDが、それぞれ、‘0x4’、‘200’とされるサービスがネットワークデータ1070aの中に存在しなければ(ステップS1808のNO)、NID、SID、ONID、TSID、伝送周波数が、変数vn、vs、vo、vt、vfにそれぞれ代入されている‘0x4’、‘200’、‘0x4’、‘0x40F0’、‘767(MHz)’であるようなサービスをネットワークデータ1070aの末尾に新たに追加登録する(ステップS1810)。
また、図12に示すTS記述部1222のSID=201について処理を行なうと、ステップS1801からステップS1803において、変数vn、vo、vtには、それぞれ、NID1221、ONID1222b、TSID1222aより‘0x7’、‘0x7’、‘0x7040’が代入され、第2番目のSID=201が処理されている場合は、変数vsには、SID1222dより‘201’が代入されて、更に、今度は、分割情報記述部が存在している場合であるので、ステップS1804からステップS1805へと進む。而して、ステップS1805において、変数vfには、分割情報記述部1222eの中で、SID=201に対応する伝送周波数1222ec2より、‘755(MHz)’が代入される。
しかる後、NID、SIDが、それぞれ、‘0x7’、‘201’とされるサービスをネットワークデータ1070aの中から検索し(ステップS1807)、存在すれば(ステップS1808のYES)、ネットワークデータ1070aにおける該当サービスのONID、TSID、伝送周波数を、それぞれ、変数vo、vt、vfから取り出して、‘0x7’、‘0x7040’、‘755(MHz)’と上書きして登録し直す(ステップS1809)。
一方、NID、SIDが、それぞれ、‘0x7’、‘201’とされるサービスがネットワークデータ1070aの中に存在しなければ(ステップS1808のNO)、NID、SID、ONID、TSID、伝送周波数が、変数vn、vs、vo、vt、vfにそれぞれ代入されている‘0x7’、‘201’、‘0x7’、‘0x7040’、‘755(MHz)’であるようなサービスをネットワークデータ1070aの末尾に新たに追加登録する(ステップS1810)。
図19は、図10に示す従来のSTB1000が、前述の図16乃至図18に示す動作により作成・修正されたネットワークデータ1070aを用いて、選局処理を行なう動作を説明するためのフローチャートである。まず、選局するサービスを特定するためのNIDとSIDとを入力する(ステップS1901)。入力されたNIDとSIDとにより特定されるサービスが伝送される伝送周波数と、当該サービスを含むTSのTSIDとONIDとをネットワークデータ1070aの中から検索し取得する(ステップS1902)。取得された伝送周波数、及び、TSID、ONIDを、それぞれ、図10に示すチューナー110が現在同調している周波数、及び、チューナー110が現在受信しているTSのTSID、ONIDと比較する(ステップS1903)。
ステップS1903における比較の結果、伝送周波数、TSID、ONIDの全てが一致していれば(ステップS1904のYES)、ステップS1906に進み、現在受信しているTSID、ONIDのTSからPATを受信する(ステップS1906)。そうでなければ(ステップS1904のNO)、ネットワークデータ1070aから取得された伝送周波数にチューナー110を同調させ、更にネットワークデータ1070aから取得されたTSID、ONIDで特定されるTSを受信して(ステップS1905)、ステップS1906に進み、PATを受信する(ステップS1906)。次いで、PAT内の情報を基にして、PMTを受信し(ステップS1907)、PMT内の情報を基にして、分離部130において必要な映像信号パケット130a、音声信号パケット130bを分離して、それぞれ、映像復号部140、音声復号部150において復号する(ステップS1908)。
ところで、現在試験放送が始まっている地上デジタル放送(地上デジタルテレビジョン放送)をケーブルテレビに再送信する方式のうち、トランスモジュレーション方式の運用仕様(地上−TM方式)のネットワークの構成については、以下のような構成が考えられる。
一つは、地上デジタル放送の運用仕様(電波産業会 地上デジタルテレビジョン放送運用規定 ARIB TR−B14)と同様のネットワーク構成(以下構成Aと呼ぶ)である。
図20は、現在のデジタル放送の運用仕様と同様の構成からなる地上−TM方式のネットワーク構成(構成A)の概要図である。構成Aのネットワークにおいては、1個のネットワークにはTSが1個のみ含まれ、1個のTS2011、1個のTS2021をそれぞれ含んでいるネットワーク2010、ネットワーク2020など複数のネットワークの集合により、地上−TM方式全体のネットワークを構成することを特徴とする。
ここに、構成Aのネットワークは、現在のデジタル放送の運用仕様と同じ考え方であり、複数のネットワーク2010,2020のデジタル放送をトランスモジュレーション方式によりそれぞれケーブルテレビに再送信する際、現在のデジタル放送の運用仕様に準拠したネットワークの構成をそのまま変更せずに、複数のネットワークをケーブルテレビに再送信する方式であると言い換えることが出来る。構成Aのネットワークはそれぞれのネットワーク2010,2020におけるNIT2011a,2021aに基づいて、ネットワーク毎にそれぞれ独立させて運用し易い点が利点である。
もう一つは、地上−TM方式全体で1ネットワークとする構成(以下構成Bと呼ぶ)である。
図23は、1ネットワークにより構成される地上−TM方式のネットワーク構成(構成B)の概要図である。1個のネットワーク2300のみが存在し、地上−TM方式によって再送信されるTS2301,2302がこの中に全て含まれていることを特徴とする。ここに、構成Bのネットワークは、複数のネットワークをケーブルテレビに再送信する際、TSのTSIDやONID、TSの内容のうち、NIT以外の部分、をそのまま変更しないようにしつつ、これらのネットワークを1個のネットワークに纏め、図23に示すように、NIT2301a,2302aのNIDを‘0xFFFC’のごとく、NITのNIDとして予め規定された特定の値を付与し、再送信する方式であると言い換えることが出来る。
構成Bのネットワークにおいては、CATV局でトランスモジュレーションを行なう際に1ネットワーク化された後では、ネットワーク構成を変化させることは、比較的難しくはなるが、NITが1個に纏められているため、いずれか1個の伝送周波数(図23に示す伝送周波数‘737(MHz)’又は‘731(MHz)のいずれか)を受信して、NIT(図23のNIT2301a又は2302a)を取得すれば、ネットワーク2300を構成する全ての伝送周波数などの情報が得られるという利点がある。
これら2つのネットワーク構成、即ち、構成Aと構成Bとのネットワークの間においては、含まれるTSやサービスは基本的に同じである。但しNITは異なる。つまり、図20のTS2011,2021のNIT以外の内容やTSID、ONIDは、それぞれ、図23のTS2301,2302のそれらと基本的に同じであり、また、図20の6個のサービスの内容やSIDは、それぞれ、図23の6個のサービスのそれらと基本的に同じである。異なるのは、構成Aにおいては、NIDが‘0x7FE0’、‘0x7FE1’の2つのネットワーク2010,2020に分離されているが、構成Bにおいては、NIDが予め規定された特定の値、本例では‘0xFFFC’、のネットワーク2300の1個に纏められている点である。よって、これに伴って、構成Aと構成Bとにおいては、NITは異なるものとなる。NITを除くその他のPSI/SIについては基本的に同じである。詳細には異なる点も存在することがあるかもしれないが、本特許の説明に当たっては、本質的ではないので省略する。
図21は、図20に示す地上−TM方式のネットワーク構成(構成A)において用いられるNITの概念図である。NIT2110、NIT2120は、それぞれ、ネットワーク2010、2020に含まれるNIT、即ち、それぞれ、図20のNIT2011a、NIT2021aの内容を示している。NIT2110、NIT2120には、それぞれ、図20に示すネットワーク2010、ネットワーク2020に関する情報が記述される。NIT2110、NIT2120には、NID2111とTS記述部2112、NID2121とTS記述部2122が、それぞれ記述される。NID2111とNID2121には、それぞれ、ネットワーク2010,2020のNIDである‘0x7FE0’、‘0x7FE1’が記述される。TS記述部2112、2122には、それぞれ、ネットワーク2010,2020に1個ずつ含まれるTS2112、TS2122に関する情報、本例では、該TSのTSID、ONID、伝送周波数、該TSに含まれるサービスのSID、がそれぞれ記述される。
一方、図24は、図23に示す地上−TM方式のネットワーク構成(構成B)において用いられるNITの概念図である。NIT2400は、ネットワーク2300に含まれるNIT、即ち、図23のNIT2301a及びNIT2302aの内容を示している。NIT2400には、図23に示すネットワーク2300に関する情報が記述される。NIT2400には、NID2401とTS記述部2402,2403が記述される。NID2401には、ネットワーク2300のNIDである‘0xFFFC’が記述される。TS記述部2402、2403には、ネットワーク2300に含まれる2個のTS、TS2301、TS2302に関する情報が、それぞれ記述される。
地上−TM方式は、未だ規格化されていないが、ネットワークの構成は、大枠で前述の2つの構成即ち構成Aと構成Bとのうちのいずれかになるか、または、両方の構成が並存することになった場合を考える。どちらかに決まる場合であっても、図10に示すようなSTB1000をタイミング良く市場に出すためには、規格化が終わる前に開発を開始する必要があるため、結局、両方の構成に対応可能なように、STB1000の基本的な設計を行なっておくことがSTB開発を行なう上で重要である。
而して、地上−TM方式のネットワークとして構成A及び構成Bの両方の構成に対応可能なSTBを考える。同時に、当該STBは、既に存在しているBS−TM方式、110CS−TM方式のネットワークのTSも受信できるように構成する。かかるSTBにおいては、まず、ハードウェアの構成は、ネットワークの構成Aと構成Bとの間の論理的なネットワーク構成の相違には、ほとんど依存していないので、構成A、構成Bのいずれのネットワークであっても、全く同じハードウェア構成で対応することが可能であると考えられる。
一方、ソフトウェアについては、例えば、STB全体を制御するSTB制御ソフトウェアのうち、ネットワーク構成に依存している処理部分、即ち、NITを受信し、かつ、受信したNITの内容に関して、ネットワークデータに登録する部分と、選局を行なう部分とに着目し、かかる各部分それぞれを実現するための処理内容としても、従来のSTB1000に適用されているSTB制御ソフトウェア1060aを出来るだけ流用することを考える。即ち、図13、図16、図17、図18、図19の各フローチャートに示した処理内容を出来る限り流用することを想定する。かくのごとき既存のSTB制御ソフトウェア1060aの流用は、新たなSTB制御ソフトウェアの開発コストを抑え、かつ、開発期間を短縮する観点から、非常に重要である。
図22は、図13及び図16乃至図19に示す従来のSTB制御ソフトウェア1060aのフローチャートによって、BS−TM方式、110CS−TM方式、構成Aの地上−TM方式のNITを処理した場合、即ち、図12にそれぞれ示されるBS−TM方式、110CS−TM方式のNIT1210、NIT1220、及び、図21に示される構成Aの地上−TM方式のNIT2110、NIT2120を処理した場合のネットワークデータを示す概念図である。
図22のネットワークデータ2200に示すように、図12にそれぞれ示されるBS−TM方式、110CS−TM方式のNIT1210、NIT1220については、図14に示すネットワークデータ1400と全く同一の内容が登録され、しかる後に、図21に示される構成Aの地上−TM方式のNIT2110、NIT2120を順次処理して、NIT2110の内容が追加登録された後、NIT2120の内容が追加登録されて、結果として、図14に示すネットワークデータ1400と同一の内容に、地上−TM方式のネットワークデータ2200aの内容が追加されて、ネットワークデータ2200が作成される。
一方、図25は、図22の場合と同様に、図13及び図16乃至図19に示す従来のSTB制御ソフトウェア1060aのフローチャートによって、BS−TM方式、110CS−TM方式、構成Bの地上−TM方式のNITを処理した場合、即ち、図12にそれぞれ示されるBS−TM方式、110CS−TM方式のNIT1210、NIT1220、及び、図24に示される構成Bの地上−TM方式のNIT2400を処理した場合のネットワークデータを示す概念図である。
図25のネットワークデータ2500に示すように、図12にそれぞれ示されるBS−TM方式、110CS−TM方式のNIT1210、NIT1220については、図14に示すネットワークデータ1400と全く同一の内容が登録され、しかる後に、図24に示される構成Bの地上−TM方式のNIT2400を処理して、NIT2400の内容が追加登録されて、図14に示すネットワークデータ1400と同一の内容に、地上−TM方式のネットワークデータ2500aの内容が追加されて、ネットワークデータ2500が作成される。
図22と図25とにそれぞれ示すネットワークデータ2200とネットワークデータ2500とにおいては、地上−TM方式の構成Aにおけるサービスを示すネットワークデータ2200aと構成Bにおけるサービスを示すネットワークデータ2500aとは、全く同じサービスであるにも関わらず、構成Aと構成Bとの2つのネットワーク構成の違いによって、ネットワークを識別するNIDが異なっている。このため、図19に示すような選局処理を行なう際に、図19のフローチャートのステップS1901において、同じサービスを選局する場合であっても、入力するNIDを、構成Aの場合と構成Bの場合とのいずれを採用しているかに応じて異なるものとしなければならなくなる。
よって、従来のSTB1000におけるSTB制御ソフトウェア1060aのフローチャートをそのまま流用することは出来ず、NIDの相違点を吸収するための変更が各所に必要となる。ここで、揮発性メモリ1070に作成されるネットワークデータ1070aは、STB制御ソフトウェア1060aが扱うデータ構造の主要な部分の一つであり、STB制御ソフトウェア1060aの多くの箇所から参照されるため、かくのごとき相違点を吸収するための変更量は相当な量になるものと考えられる。
このように、図10に示す従来のSTB1000において動作するSTB制御ソフトウェア1060aを変更して、地上−TM方式の2つのネットワーク構成即ち構成Aと構成Bとの両方に対応することを考えた場合、従来のSTB1000におけるSTB制御ソフトウェア1060aの、NITを受信し、受信したNITの内容をネットワークデータ1070aに登録する部分をそのまま用いることとすると、ネットワークデータ1070aを参照するSTB制御ソフトウェア1060aの多くの部分についての変更量が、相当な量に及ぶという開発上の問題が避けられない。
また、構成Bの地上−TM方式に対応するSTB制御ソフトウエアを、BSデジタル放送、広帯域CSデジタル放送、地上デジタル放送を全て直接受信可能な共通放送受信機の制御ソフトウェア(共通放送受信機用ソフトウエア)を基にして、これを改造することによって開発する際にも同様の問題が発生する。
即ち、従来のSTB1000のSTB制御ソフトウェア1060aで用いられている考え方(図13及び図16乃至図19)と同じ考え方に基づいて、共通放送受信機用ソフトウエアが設計されている場合、地上デジタル放送のネットワークの構成は構成Aのような構成となっているので、共通放送受信機用ソフトウェアによって作成されるネットワークデータは、伝送周波数の部分は異なるものの基本的に図22に示されるネットワークデータ2200のようなものになる。一方、共通放送受信機用ソフトウエアを構成Bの地上ーTM方式に対応するSTB制御ソフトウエアに改造する際、NITを受信し、受信したNITの内容をネットワークデータに登録する部分を、ほぼそのまま用いることとすると、構成Bの地上ーTM方式に対応するSTB制御ソフトウエアによって作成されるネットワークデータは、伝送周波数の部分は異なるものの基本的に図25に示されるネットワークデータ2500のようなものになる。
よって、前述の場合と同様に、ネットワークデータを参照する共通放送受信機用ソフトウェアの多くの部分についての変更量が、相当な量に及ぶという問題が発生する。なお、前記「ほぼそのまま用いる」とは、共通放送受信機用からCATV用に変更する点、即ち、衛星分配システム記述子や地上分配システム記述子の処理をケーブル分配システム記述子の処理に変更する点、等についての変更は行なうものの、これら以外のネットワークの構成に関する処理、即ち、ネットワークIDやオリジナルネットワークに関する処理についてはそのまま流用することを意味する。
本発明に係るデジタル放送受信装置は、NIT(Network Information Table)を用いるデジタル放送受信装置であって、受信したNITの内容をネットワークデータに登録するネットワークデータ登録手段を備え、前記NITは、ネットワークを識別するネットワークID1と、サービスを識別するサービスID1と、前記サービスを含むTS(Transport Stream)のオリジナルネットワークを識別するオリジナルネットワークID1と、前記サービスが伝送される伝送周波数1とを含み、前記ネットワークデータ登録手段により登録される前記ネットワークデータとして、少なくとも、サービスを識別する登録サービスIDと、該サービスを含むネットワークを識別する登録ネットワークIDと、該サービスが伝送される登録伝送周波数とを含むデジタル放送受信装置において、前記ネットワークデータ登録手段により前記ネットワークデータに登録する際に、前記NITの前記ネットワークID1が予め規定された特定の値である場合は、前記NITに含まれている前記サービスID1と、前記オリジナルネットワークID1と、前記伝送周波数1とを、それぞれ、前記登録サービスIDと、前記登録ネットワークIDと、前記登録伝送周波数として登録し、一方、前記NITの前記ネットワークID1が予め規定された前記特定の値ではない場合は、前記NITに含まれている前記サービスID1と、前記ネットワークID1と、前記伝送周波数1とを、それぞれ、前記登録サービスIDと、前記登録ネットワークIDと、前記登録伝送周波数として登録することを特徴とし、もって、従来のSTB制御ソフトウェアを新規のSTB制御ソフトウェアに流用する際の従来のSTB制御ソフトウェアの変更量を減少させ、新規のSTB制御ソフトウェアの開発コストを大幅に低減させ、かつ、開発期間を短縮させることができる。
本発明に係るデジタル放送受信装置、デジタル放送受信方法、デジタル放送受信プログラム及びプログラム記録媒体について、以下に、本発明に係るデジタル放送受信装置を例にとって、その具体的な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明に係るデジタル放送受信方法、デジタル放送受信プログラム及びプログラム記録媒体についても、以下のデジタル放送受信装置の説明から容易に理解することができる。
本発明に係るデジタル放送受信装置の第1の実施例は、BS−TM方式、110CS−TM方式、背景技術において前述した構成Aの地上−TM方式、及び、構成Bの地上−TM方式のいずれにも対応することができるSTB(Set−Top Box:デジタル放送受信装置)に関する技術である。但し、構成Aと構成Bとの双方の地上−TM方式は、同時に運用されていてはならないことを前提としている。かかるSTBを以後実施例1のSTBと呼ぶ。
実施例1のSTBにおけるハードウェアの主要部の構成は、図1に示すように、不揮発性メモリ160に格納されるSTB制御ソフトウェア(デジタル放送受信プログラム)160aと、該STB制御ソフトウェア160aによって作成され、揮発性メモリ170に格納されるネットワークデータ170aとを除いて、図10に示す従来のSTB1000の構成と同じである。ここに、図1は、実施例1のSTBとして、本発明に係るデジタル放送受信装置即ちSTB(Set−Top Box)のハードウェア構成の一例を示す概要図である。
また、図1に示す実施例1のSTB100におけるNIT受信時の処理内容を示すフローチャート(即ち、受信したNITの内容をネットワークデータ170aに登録するネットワークデータ登録手段の動作の一例を示すフローチャート)についても、従来のSTB1000と同じであり、図13に示すフローチャートをそのまま用いる。また、図13のステップS1302の詳細な処理内容である、受信したNITの内容をネットワークデータ170aに登録するための処理内容を示すフローチャートも従来のSTB1000の場合と同じであり、図16に示すフローチャートをそのまま用いる。更に、図16のステップS1603の詳細な処理内容である、受信したNITのn番目のTS記述部について処理するための処理内容を示すフローチャートも従来のSTB1000の場合と同じであり、図17に示すフローチャートをそのまま用いる。
一方、図17のステップS1703の詳細な処理内容である、受信したNITの第n番目のTS記述部の第m番目のSIDについて処理するための処理内容を示すフローチャートは、従来のSTB1000で用いていた図18に示すフローチャートではなく、図2に示すフローチャートを用いる。ここに、図2は、本発明に係るデジタル放送受信装置即ちSTBが受信したNITの第n番目のTS記述部の第m番目のSIDについてネットワークデータ170aに登録する動作の一例を説明するためのフローチャートであり、実施例1のSTB100が受信したNITの内容をネットワークデータ170aに登録するSTB制御ソフトウェア160aの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図2に示すフローチャートについては、ステップS203からステップS212までの各ステップの処理内容は、従来のSTB1000における図18に示すフローチャートのステップS1801からステップS1810の処理内容とそれぞれ全く同じであり、新たにステップS201とステップS202との2つのステップが先頭に追加されている。即ち、まず、ステップS201では、現在処理中のNITのNIDが、予め規定された特定の値である‘0xFFFC’又は‘0xFFFB’のいずれかであるか否かを調べ(ステップS201)、NIDが該特定の値である‘0xFFFC’又は‘0xFFFB’のいずれかであれば(ステップS201のYES)、ステップS202に進み、一方、そうでなければ(ステップS201のNO)、ステップS203に進む。
即ち、現在処理中のNITのNIDが予め規定された特定の値である‘0xFFFC’又は‘0xFFFB’のいずれかであった場合、例えば図23に示すような‘0xFFFC’であった場合(ステップS201のYES)、現在処理中のTS記述部のONID、例えば図24に示すTS記述部2402のONID2402bを変数vnに代入し(ステップS202)、ステップS204に進む。一方、現在処理中のNITのNIDが予め規定された特定の値である‘0xFFFC’又は‘0xFFFB’のいずれでもなかった場合、例えば図20に示す‘0x7FE0’であった場合(ステップS201のNO)、図18に示すフローチャートのステップS1801と全く同じ処理を行ない、当該NITのNID例えば図21に示すNID2111の‘0x7FE0’を変数vnに代入し(ステップS203)、ステップS204に進む。ステップS204以降の処理は、前述のごとく、図18に示すステップS1802以降の処理と全く同様である。
従って、実施例1のSTB100の処理内容を示す図2に示すフローチャートにおいては、従来のSTB1000の処理内容を示す図18のフローチャートとは異なり、現在処理中のNITのNIDが予め規定された特定の値の‘0xFFFC’又は‘0xFFFB’であった場合には、変数vnには、現在処理中のNITのNIDを代入するのではなく、現在処理中のTS記述部のONID例えば図24に示すTS記述部2402のONID2402bの値(ONID=0x7FE0)を代入する。
図2のフローチャートを用いて、BS−TM方式、110CS−TM方式、構成Aの地上−TM方式のNITを処理した場合、例えば、図12に示されるNIT1210、NIT1220、及び、図21に示されるNIT2110、NIT2120を処理した場合、処理対象のNITのNIDは予め規定された特定の値‘0xFFFC’でも‘0xFFFB’でもないので、ステップS201からステップS203に進み、結局、従来のSTB1000の処理内容である図18に示すフローチャートと同じ処理を行なうことになり、作成されるネットワークデータ170aは、図22に示すネットワークデータ2200の内容のものになる。
一方、図2に示す同じフローチャートを用いて、構成Aではなく、構成Bの地上−TM方式のNITをBS−TM方式、110CS−TMのNITと共に処理した場合、例えば、図12に示されるNIT1210、NIT1220、及び、図24に示されるNIT2400を処理した場合、構成Bにおける地上−TM方式のNITのNIDは、図24に示すように予め規定された特定の値の‘0xFFFC’であるので、構成Bの地上−TM方式のNIT2400を処理する場合には、ステップS201からステップS202に進み、NITのNID2401ではなく、現在処理中のTS記述部2402のONID2402bを変数vnに代入することになる。
例えば、TS記述部2402のSID=0x400について処理を行なっている場合は、変数vnには、NIT2400のNID2401の値‘0xFFFC’ではなく、TS記述部2402のONID2402bの値‘0x7FE0’を代入する。変数vnに代入された値は、ステップS209においてネットワークデータ170aに登録されているサービスのNIDとして扱われて、ステップS212においてネットワークデータ170aに登録されるNIDとして扱われるので、結局作成されるネットワークデータ170aは、たとえ、構成Bのようなネットワーク構成の場合であっても、従来のSTB1000における図18のフローチャートの処理結果である図25のネットワークデータ2500の内容ではなく、構成Aのネットワーク構成の場合と同じく、図22に示すネットワークデータ2200の内容のものになる。
よって、図2のフローチャートに示すごとき処理を行なうことにより、地上−TM方式のネットワーク構成の如何によらず、作成されるネットワークデータ170aは全く同じものになる。而して、揮発性メモリ170のネットワークデータ170aを参照して動作するSTB制御ソフトウェア160aの様々な部分についても、ネットワーク構成の違いを吸収するようなソフトウェアを追加しなくても良いので、この分だけ、従来のSTB1000で用いられているSTB制御ソフトウェア1060aと共通化できる部分が増大し、結果、従来のSTB1000のSTB制御ソフトウェア1060aを実施例1のSTB100用のSTB制御ソフトウェア160aに流用する場合の変更量を減少させることが出来、STB制御ソフトウェア160aの開発コストを低減させることが出来る。
また、従来のSTB1000のSTB制御ソフトウェア1060aで用いられている考え方に基づいて、BSデジタル放送、広帯域CSデジタル放送、地上デジタル放送を全て直接受信可能な共通放送受信機のソフトウェアが設計されている場合、該ソフトウェアによって参照されるネットワークデータは、基本的に図22に示されるネットワークデータ2200のようなものになる。逆に言えば、かくのごとく、全てのデジタル放送を直接受信可能な共通放送受信機のソフトウェアを、CATV用である実施例1のSTB100に適用するSTB制御ソフトウェア160aに流用するような場合であっても、同様の理由により、共通化できる部分が多いため、結果として、共通放送受信機のソフトウェアの変更量を減少させることが出来、開発コストを低減させ、かつ、開発期間を短縮させることが出来る。
次に、本発明に係るデジタル放送受信装置の第2の実施例について説明する。第2の実施例も、第1の実施例と同じく、BS−TM方式、110CS−TM方式、構成Aの地上−TM方式、構成Bの地上−TM方式のいずれにも対応可能なデジタル放送受信装置即ちSTBに関する技術である。但し、第1の実施例の場合と同じく、構成Aと構成Bとの双方の地上−TM方式は、同時に運用されていてはならないことを前提としている。かかるSTBを以後実施例2のSTBと呼ぶ。
実施例2のSTBにおけるハードウェアの主要部の構成も、図3に示すように、不揮発性メモリ160′に格納されるSTB制御ソフトウェア(デジタル放送受信プログラム)160a′と、該STB制御ソフトウェア160a′によって作成され、揮発性メモリ170′に格納されるネットワークデータ170a′とを除いて、図10に示す従来のSTB1000の構成と同じである。ここに、図3は、実施例2のSTBとして、本発明に係るデジタル放送受信装置即ちSTBのハードウェア構成の異なる例を示す概要図である。
図3に示す実施例2のSTB100′におけるNIT受信時における動作を説明するためのフローチャート(即ち、受信したNITの内容をネットワークデータ170a′に登録するネットワークデータ登録手段の動作の一例を示すフローチャート)については、実施例1のSTB100の場合とは異なり、従来のSTB1000で用いていた図13に示すフローチャートではなく、図4に示すフローチャートを用いる。ここに、図4は、本発明に係るデジタル放送受信装置即ちSTBのNIT受信時における動作の異なる例を説明するためのフローチャートであり、実施例2のSTB100′のNIT受信時におけるSTB制御ソフトウェア160a′の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図4に示すフローチャートの処理内容としては、まず、従来のSTB1000における図13のフローチャートのステップS1301と同じく、NITを受信した後(ステップS401)、次に、受信したNITのNIDが予め規定された特定の値の‘0xFFFC’又は‘0xFFFB’のいずれかであるか否かを調べる(ステップS402)。いずれでもない場合は(ステップS402のNO)、ステップS408に進み、従来のSTB1000における図13のフローチャートのステップS1302と同じく、受信したNITの内容をネットワークデータ170a′に登録する(ステップS408)。
一方、ステップS402において、受信したNITのNIDが予め規定された特定の値の‘0xFFFC’又は‘0xFFFB’のいずれかであると判定した場合(ステップS402のYES)、ステップS403に進み、まず、受信したNITから内部処理用NITを作成する(ステップS403)。ここで、内部処理用NITは、受信したNITのTS記述部の数に応じて、1個以上作成される。以下の各ステップにおいては、ステップS403において作成された1個以上の内部処理用NITを1個ずつネットワークデータ170a′に登録していく処理を行なう。
まず、変数kに1を代入する(ステップS404)。次いで、第k番目の内部処理用NITが存在するか否かを調べる(ステップS405)。存在しなければ(ステップS405のNO)、図4のフローチャートの処理を終了する。一方、第k番目の内部処理用NITが存在している場合(ステップS405のYES)、第k番目の内部処理用NITの内容をネットワークデータ170a′に登録し(ステップS406)、ステップS407に進む。ステップS407においては、次の内部処理用NITが存在しているか調べるために、変数kに1を加えて(ステップS407)、ステップS405に戻る。
ステップS408とステップS406との詳細な処理内容は、同じものを用いることが出来、かつ、従来のSTB1000においてNITの内容をネットワークデータ1070aに登録する処理を行なっている図16に示すフローチャートをそのまま用いることが出来る。即ち、図16のフローチャートで用いるNITが、ステップS408においては、従来のSTB1000と同様に、受信したNITであり、ステップS406においては、第k番目の内部処理用NITである点のみが異なっている。
また、図16のステップS1603の詳細な処理内容である、受信したNITの第n番目のTS記述部について処理するための処理内容を示すフローチャートは、従来のSTB1000における図17に示すフローチャートをそのまま用いる。更に、図17のステップS1703の詳細な処理内容である、受信したNITの第n番目のTS記述部の第m番目のSIDについて処理するための処理内容を示すフローチャートは、実施例1のSTB100の場合とは異なり、従来のSTB1000における図18に示すフローチャートをそのまま用いる。
以上のように、実施例2のSTB100′においては、受信したNITのNIDが、予め設定された特定の値、例えば‘0xFFFC’又は‘0xFFFB’である場合には、受信したNITから内部処理用NITを作成し、受信したNITの代わりに、該NITから作成された内部処理用NITを用いて、ネットワークデータ170a′が作成されることにその特徴がある。
図5は、実施例2のSTB100′が受信したNITから内部処理用NITを作成するための処理の一例を説明するフローチャート(即ち、受信したNITから当該STB100′の内部処理に用いる内部処理用NITを作成するNIT処理手段の動作の一例を示すフローチャート)であり、図4に示すフローチャートのステップS403の詳細な処理内容を示している。図5のフローチャートにおいて、まず、受信したNITを作業バッファwbに保存する(ステップS501)。次に、作業バッファwbに保存されたNITの中に、TS記述部例えば図24に示すようなTS記述部2402が存在するか否かを調べ(ステップS502)、存在しなければ(ステップS502のNO)、図5のフローチャートの処理を終了し、一方、TS記述部例えば図24に示すようなTS記述部2402が存在している場合(ステップS502のYES)、ステップS503に進み、作業バッファwbに保存されたNITから、内部処理用NITを1個作成した後(ステップS503)、作業バッファwbに保存されたNITにTS記述部がまだ存在しているか調べるために、ステップS502に戻る。
図6は、実施例2のSTB100′の作業バッファwbに保存されたNITから内部処理用NITを1個作成するための処理の一例を説明するフローチャートであり、図5に示すステップS503の詳細な処理内容を示している。図6のフローチャートにおいて、まず、作業バッファwbに保存されたNITの第1番目のTS記述部例えば図24のTS記述部2402のONID2402bを変数voに保存する(ステップS601)。次いで、変数voの値をNITのNID2401に持ち、TS記述部2402をまだ持っていない内部処理用NITを新しく1個作成する(ステップS602)。最後に、作業wbに保存されたNITに含まれている全てのTS記述部のうち、内部処理用NITに設定されるNID、即ち、変数voの値を、ONIDとして持つTS記述部の全て、例えば図24に示すONID2402bの値を有するTS記述部全て、即ち、本例の場合は、TS記述部2402の1個のみを、作業バッファwbに保存されたNITから内部処理用NITのTS記述部の部分に移動して、変数voの値をNITのNID2401に持ち、かつ、変数voの値をONID2402bとして持つTS記述部2402を有する内部処理用NITを1個作成して、図6のフローチャートを終了する。なお、以上の例では、作成される内部処理用NITは1個のTS記述部しか持っていないが、もちろん、変数voの値をONID2402bとして持つTS記述部が複数存在すれば、これらを移動することによって作成される内部処理用NITは複数のTS記述部を持つことになる。
図7は、図6のフローチャートに基づいて、実施例2のSTB100′が受信したNITから内部処理用NITを作成する時の、作業バッファwbの内容の変化を表す概念図である。図7においては、実施例2のSTB100′が受信したNIT710が、従来のSTB1000が受信したNITの例を示す図24の場合のNIT2400と全く同じ内容であった場合を例にとって示しており、図7(A)に示す作業バッファwbに保存されたNIT710は、図24のNIT2400におけるTS記述部2402,2403と同様の内容からなる、TS記述部712,713を有している。ここに、図7(A)に示すNIT710は、図5のステップS501において、受信したNITを作業バッファwbに保存した直後のNITの内容を示している。
当該NIT710には、TS記述部712,713が存在するので、図5のフローチャートにおいては、ステップS502からステップS503に進む。ここで、ステップS503の詳細な処理内容を示す図6のフローチャートが実行されて、図6の最初のステップS601に進む。ステップS601においては、NIT710の第1番目のTS記述部712におけるONID712bの値‘0x7FE0’が変数voに保存される(ステップS601)。次いで、図6のステップS602に進み、変数voに保存された‘0x7FE0’を、NITのNID751に持ち、かつ、TS記述部をまだ持たない内部処理用NIT750が新しく1個作成される(ステップS602)。
最後に、ステップS603において、図7(D)に示すように、作業バッファwbに保存されたNIT710に含まれる全てのTS記述部、即ち、TS記述部712、TS記述部713のうち、変数voに保存された値である‘0x7FE0’をONIDとして持つTS記述部全て、即ち、TS記述部712の1個、を、NIT710から、新たに作成された内部処理用NIT750のTS記述部752の部分に移動する(ステップS603)。
ここに、図7(D)に示すように、TS記述部752が作成された内部処理用NIT750は、図4のステップS406においてネットワークデータ170a′に最初に登録されるNITであり、図7(B)に示すNIT710′は、内部処理用NIT750に、NIT710の第1番目のTS記述部712を移動した後に作業バッファwbに保存されている残りのNITである。このようにして、第1番目の内部処理用NIT750が作成される。以上により図6のフローチャートの処理が終わり、図5のステップS503を経由して、次の内部処理用NITを作成すべきTS記述部がまだ作業バッファwbに存在しているか確認するために、ステップS502に戻る。
図7(B)に示すように、作業バッファwbのNIT710′には、まだTS記述部713が残っているので、更に、図5のステップS503、図6のステップS601へと進む。ステップS601においては、図7(B)に示すNIT710′の第1番目のTS記述部713におけるONID713bの値‘0x7FE1’が変数voに保存される(ステップS601)。次いで、図6のステップS602に進み、変数voに保存された‘0x7FE1’を、NITのNID761に持ち、かつ、TS記述部をまだ持たない内部処理用NIT760が更に1個作成される(ステップS602)。
最後に、ステップS603において、図7(E)に示すように、作業バッファwbに保存されたNIT710′に含まれる全てのTS記述部のうち、変数voに保存された値である‘0x7FE1’をONIDとして持つTS記述部全て、即ち、TS記述部713の1個、を、NIT710′から、新たに作成された内部処理用NIT760のTS記述部762の部分に移動する(ステップS603)。
ここに、図7(E)に示すように、TS記述部762が作成された内部処理用NIT760は、図4のステップS406においてネットワークデータ170a′に第2番目に登録されるNITであり、図7(C)に示すNIT710″は、内部処理用NIT760に、NIT710′の第1番目のTS記述部713(即ち、当初のNIT710の第2番目のTS記述部713)を移動した後に作業バッファwbに保存されている残りのNITである。この結果、第2番目の内部処理用NIT760が作成される。この時点では、図7(C)に示すように、作業バッファwbに保存されているNIT710″はTS記述部を持たないものとなるので、次のTS記述部の存在を確認する図5に示すステップS502においては、作業バッファwbにはTS記述部が全く存在していないものとして、図5のフローチャートの処理を終了する。
図4のフローチャートを用いて、BS−TM方式、110CS−TM方式、構成Aの地上−TM方式のNITを処理した場合、例えば、図12に示されるNIT1210、NIT1220、及び、図21に示されるNIT2110、NIT2120を処理した場合、処理対象のNITのNIDは予め規定された特定の値‘0xFFFC’でも‘0xFFFB’でもないので、ステップS402からステップS408に進み、結局、従来のSTB1000の処理内容である図18に示すフローチャートと同じ処理を行なうことになり、作成されるネットワークデータ170a′は、図22に示すネットワークデータ2200の内容のものになる。
一方、図4に示す同じフローチャートを用いて、構成Aではなく、構成Bの地上−TM方式のNITをBS−TM方式、110CS−TMのNITと共に処理した場合、例えば、図12に示されるNIT1210、NIT1220、及び、図24に示されるNIT2400を処理した場合、構成Bにおける地上−TM方式のNITのNIDは、図24に示すように予め規定された特定の値の‘0xFFFC’であるので、構成Bの地上−TM方式のNIT2400を処理する場合には、ステップS402からステップS403に進み、受信したNITから内部処理用NITを作成することになる。
ここで、作成される内部処理用NITは、例えば、図7(A)のNIT710を処理している場合、NIT710のNID711の値‘0xFFFC’ではなく、TS記述部712,713のそれぞれのONID712d,713dの値‘0x7FE0’,‘0x7FE1’をNIDとしてそれぞれ有する図7(D)の内部処理用NIT750、図7(E)の内部処理用NIT760のようなNITが作成される。かくのごとき手順により作成される内部処理用NIT750,760は、構成AにおけるNIT、即ち、図21に示すNIT2110、NIT2120と基本的に同じものとなる。結局、図4のステップS406において内部処理用NIT750,760の内容を順次ネットワークデータ170a′として登録することにより、作成されるネットワークデータ170a′は、たとえ、構成Bのようなネットワーク構成の場合であっても、従来のSTB1000における図18のフローチャートの処理結果である図25のネットワークデータ2500の内容ではなく、構成Aのネットワーク構成の場合と同じく、図22に示すようなネットワークデータ2200の内容のものになる。
よって、実施例1のSTB100の場合と同様に、実施例2のSTB100′の場合も、図4のフローチャートに示すごとき処理を行なうことにより、地上−TM方式のネットワーク構成の如何によらず、作成されるネットワークデータ170a′は全く同じものになる。而して、揮発性メモリ170′のネットワークデータ170a′を参照して動作するSTB制御ソフトウェア160a′の様々な部分についても、ネットワーク構成の違いを吸収するようなソフトウェアを追加しなくても良いので、この分だけ、従来のSTB1000で用いられているSTB制御ソフトウェア1060aと共通化できる部分が増大し、結果、従来のSTB1000のSTB制御ソフトウェア1060aを実施例2のSTB100′用のSTB制御ソフトウェア160a′に流用する場合の変更量を減少させることが出来、STB制御ソフトウェア160a′の開発コストを低減させ、かつ、開発期間を短縮させることが出来る。
図8は、BS−TM方式と110CS−TM方式として存在するネットワークを、予め規定されたNIDの値の一つであるNID=0xFFFBを有する1個のネットワークに纏めて運用する場合のネットワーク構成の一例を示す概念図である。図8に示すネットワーク800を衛星−TM方式と呼ぶこととする。図8に示す衛星−TM方式のネットワーク800においては、図11に示したBS−TM方式のネットワーク1110に含まれるTS1111、TS1112と、110CS−TM方式のネットワーク1120に含まれるTS1121、TS1122とが、それぞれ、TS801、TS802、TS803、TS804とされて、1個のネットワーク800に纏められて運用される場合を例示している。
図9は、図8に示す衛星−TM方式のネットワーク800の構成において用いられるNITの概念図である。前述した実施例1のSTB100や実施例2のSTB100′において、BS−TM方式と110CS−TM方式とのそれぞれのNIT、即ち、図12に示されるNIT1210、NIT1220を処理する代わりに、図9に示すような衛星−TM方式のNIT900を処理させた場合であっても、実施例1や実施例2において説明した場合と全く同様に、作成されるネットワークデータ170a又は170a′は、図22に示すようなネットワークデータ2200の内容のものになる。なお、実施例2によって作成される内部処理用NITの内容は、図12に示されるNIT1210、NIT1220の内容と基本的に同じようなものとなる。即ち、2個の内部処理用NITが作成され、これらの内部処理用NITはどちらも2個のTS記述部を持つ。
よって、実施例1のSTB100のSTB制御ソフトウェア160aや、実施例2のSTB100′のSTB制御ソフトウェア160a′と全く同一のソフトウェアを用いて、図8に示すような衛星−TM方式のネットワーク800にも対応することが可能である。かくのごとく、本発明に係るデジタル放送受信装置、デジタル放送受信方法、デジタル放送受信プログラム及びプログラム記録媒体は、地上−TM方式の構成Aと構成Bとの両方のネットワーク構成に容易に対応可能であるのみならず、同様の他の方式のネットワークについても容易に対応可能である。
100,100′…STB(Set−Top Box)、100a…RF信号、105…バス、110…チューナー、110a,120a…トランスポートストリーム、120…デスクランブラ、130…分離部、130a…映像信号パケット、130b…音声信号パケット、140…映像復号部、140a…映像出力、150…音声復号部、150a…音声出力、160,160′…不揮発性メモリ、160a,160a′…STB制御ソフトウェア(デジタル放送受信プログラム)、170,170′…揮発性メモリ、170,170a′…ネットワークデータ、180…CPU、190…リモコン受光部、710,710′,710″…NIT(Network Information Table)、711…NID(ネットワークID)、712,713…TS記述部(トランスポートストリーム記述部)、712b,713b…ONID(オリジナルネットワークID)、750,760…内部処理用NIT、751,761…NID、752,762…TS記述部、800…ネットワーク(衛星−TM方式のネットワーク)、801,802,803,804…TS(トランスポートストリーム)、900…NIT、1000…STB、1060…不揮発性メモリ、1060a…STB制御ソフトウェア(デジタル放送受信プログラム)、1070…揮発性メモリ、1070a…ネットワークデータ、1110…ネットワーク(BS−TM方式のネットワーク)、1120…ネットワーク(110CS−TM方式のネットワーク)、1111,1112,1121,1122…TS、1111a,1112a,1121a,1122a…NIT、1111b,1112b1,1112b2,1121b1,1121b2,1122b1,1122b2…サービス、1210,1220…NIT、1211,1221…NID、1212,1213,1222,1223…TS記述部、1212a,1213a,1222a,1223a…TSID(トランスポートストリームID)、1212b,1213b,1222b,1223b…ONID、1212c,1213c…伝送周波数、1212d,1213d,1222d,1223d…SID(サービスID)、1222e,1223e…分割情報記述部、1222e1,1222e2,1223e1,1223e2…周波数記述部、1222ec1,1222ec2,1223ec1,1223ec2…伝送周波数、1222ed1,1222ed2,1223ed1,1223ed2…SID、1400…ネットワークデータ、1500…ネットワークデータ、2010,2020…ネットワーク(地上−TM方式(構成A)のネットワーク)、2011,2021…TS、2011a,2021a…NIT、2110,2120…NIT、2111,2121…NID、2112,2122…TS記述部、2200…ネットワークデータ、2200a…ネットワークデータ(地上−TM方式(構成A)のネットワークデータ)、2300…ネットワーク(地上−TM方式(構成B)のネットワーク)、2301,2302…TS、2301a,2302a…NIT、2400…NIT、2401…NID、2402,2403…TS記述部、2402b,2403b…ONID、2500…ネットワークデータ、2500a…ネットワークデータ(地上−TM方式(構成B)のネットワークデータ)。