JP4035598B2 - 微小領域散乱プローブの作製方法 - Google Patents

微小領域散乱プローブの作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は被測定物表面を光照射もしくは光励起することにより、固体表面のナノメートル領域における形状観察や光物性測定を行うことを目的とする走査型近接場顕微鏡に使用する光プローブとなる微小領域散乱プローブの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の近接場プローブについて、図2を参照しながら説明する。図2aはPtIr等で作製された先端Rの小さな針型形状のプローブがプリズム表面に近接した様子を示している。プリズム背面から全反射照明され、プリズム表面に生成するエバネッセント場を針の先端で散乱させることにより超解像を得るという手法で散乱型SNOM(Scanning Near-Field Optical Microscope)と呼ばれている。この手法によりIBMのWickermachineらは、基板表面上の油滴を3nmの分解能で観察できることを報告した。最近では、表面プラズモンの電場増強効果により吸光度が極めて小さい試料の測定も測定感度を増大させることができるという点で注目されている(H.Kano et al. Opt.Lett., 21-22,1848-1850 (1996))。
【0003】
図2bはこれとは別の手法で、(USPatent No.4469554)(特開平6−130302号公報)(特開平7-174542号公報)、(特開平6-160719号公報)などに記載されており開口型SNOMと呼ばれるものである。プローブとしてはガラスキャピラリおよび光ファイバーを尖鋭化し、さらに周囲を金属コートして作製する。これらのプローブはマイクロ加工技術の発達に伴い先端部が非常に尖ったプローブを作製することができるようになっている。プローブの端からレーザー光を先端の開口まで導き、そこに作製された微小な穴(開口)から試料表面を励起することにより超解像を得るという手法である。
【0004】
また開口型のプローブ先端に有機色素を修飾する事により波長変換するタイプのプローブが報告されている(USPatentNo.5546223, PatentNo.5105305,USPatentNo.5479024)。
【0005】
また、発光機構をプローブ内部にもった自己発光タイプの光プローブが報告されている(特開平11-29227号公報)。
【0006】
またSTMとAFMとを組み合わせた装置構成の高密度メモリに関しては、STM制御によりプローブ―記録媒体間に電圧を印加することにより記録を行い、AFM構成で記録ビット形状を検出することにより再生を行う記録再生装置や、記録及び再生中の探針位置制御をAFMの原理を応用して行う記録再生装置や、探針を支持する弾性体の変形を利用して、記録及び再生中に探針を記録媒体表面を追従させる記録再生装置の提案もなされている(特開平1−245445号公報、特開平4−321955号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これまでの散乱型SNOMは試料下(プリズム側)から光を照明する必要があるために、試料が透明であるという制限があった。また試料に絶えず光を照明するために試料が光退色してしまうという問題があった。
【0008】
一方開口型SNOMの場合、プローブ内部の光のスループットが小さいために、利用できる光量が少なく測定におけるS/Nが問題であったし、記録や加工は現実問題として困難であった。さらに光ファイバー等で作製されたプローブは、細くて折れやすいファイバーを扱う操作が非常に煩雑であった。また目的によって、異なる波長の光を利用したい場合、ファイバーにカットオフ波長があるために、波長ごとにそれぞれ異なる光ファイバーでプローブを作る必要があった。レーザー光源は単色性の良い光を発振することから、広い波長範囲の光を得るためには、非線形光学効果を使った波長変換が必要であるが、ファイバー自体の透過する光の波長制限があるために、走査型近接場顕微鏡における試料の吸収測定などは行えなかった。
【0009】
光の偏光実験を行いたい場合、プリズムの全反射を使う散乱型SNOMでは界面の影響のため使用に制限が生じ、開口型SNOMの場合は開口の形を制御することが難しいという問題があった。
【0010】
有機EL素子のような電界発光機構で微小開口点だけ発光させる方式(特開平11-29227号公報)も提案されているが、プローブとしては光量が少ないという欠点があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するため励起光を効率よく利用でき、かつ電場の増強効果も利用でき、さらに容易に交換可能なプローブシステムを提案する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
光ファイバー等の導波路を用いた開口型のプローブでは導波路内への光結合の際の損失や開口付近での光のロスのため、光の利用効率は極めて悪くなる。
【0013】
散乱型プローブは欠点として試料が透明であることや試料を絶えず照明してしまう問題があった。本発明では、薄板状の散乱型プローブを開発した。励起光学系を工夫し、試料側ではなくプローブ側から光を導くことにより開口型同様の微小領域励起を行い、かつ強い電場強度の光を利用できるということが特徴である。またマイクロマシンプロセスで作製することによりプローブの生産効率を上げ、均質なものを作り出すことが可能となる。チップ状の形体のため取り扱いも容易なものとなる。
【0014】
本発明による作製方法により作製されるプローブは光の励起(照明)側にプローブがあるために試料とプローブが離れているときには試料に光が照明されず、従来の散乱型プローブとは異なり、試料の光退色を生じさせることはない。このことはバックグラウンドの光レベルを下げることになるため光記録等、光検出のS/Nをあげる場合に有利な方法である。また開口型プローブのようにプローブ先端に金属をコーティングする必要がないので、先端サイズを小さく作製することができ、空間分解能を落とすことも無い。また、プリズムや対物レンズとプローブを組み合わせたことにより、顕微鏡を使うのと同様、光学系の操作や観察位置の調整が非常に扱いやすくできる。散乱型のプローブであるため、光の波長・偏光面の条件は光源側で設定できる。また試料―プローブ間の距離制御に新しい制御法を提案する。探針の機械的特性でなく、光で制御を行うため、材料が受ける環境の影響による不安定性は生じない。異なる波長の光や広い波長範囲の光を使用することができ、吸収測定なども可能となる。
【0015】
【発明の実施形態】
以下に本発明の実施形態例について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の第一実施形態例である微小領域散乱プローブ1の構造を説明する図である。図1aではナノメートルスケールで平坦化した誘電体2表面に幅50nm、高さ50nmの微小突起3が作製されている。部材としての誘電体2は市販され安価で容易に入手できる屈折率1.52のガラス板を用いるが、この屈折率の値は大きいことが望ましい。微小突起3部分の材質は誘電体でもよいし金属であってもよい。金属の場合には後に示すように表面プラズモンの電場増強効果が利用できる。表面プラズモンの共鳴条件を微小領域散乱プローブ1と試料の光距離制御に用いることもできるし、励起光の場合には、さらに高い励起密度を実現できる。突起形状は、AFMとして試料の表面凹凸を計測するためには円錐またはピラミッド形状が望ましい。
【0017】
レーザービームは微小領域散乱プローブ1下面から入射され、誘電体2表面で全反射されるような臨界角以上の角度で用いる。このとき誘電体2の表面にはビームスポット径のエリアにエバネッセント波が生じている。性能の高い集光光学系を用いるとビームスポットは光の波長の半分程度までは絞ることができるが、本発明の微小領域散乱プローブ1は集光光学系のレンズ開口数が分解能を決めるわけではないのでμmのオーダーでよい。エバネッセント波は表面に局在している定在波であるので外から観察することはできない。この中に微小突起3のような場を乱す構造体が存在するとき、エバネッセント波は散乱光(進行波)へと変換される。散乱光に変換されると外部から観察できるので、散乱を生じている構造体、ここでは微小突起3が微小光源のサイズを決めることになる。
【0018】
微小領域散乱プローブ1を中心に半径5μm程度の大きさのところに段差1μm程度のステップ4を設けてある。微小突起3は50nm程度の大きさのため、顕微鏡で拡大しても見えないので直接観察による光学系の調整は行えない。そのためプローブ部材にステップ4を設け光学系調整の際の目印とする。ただし入射ビームはこの半径5μm程度の内側に収まるように集光する。レーザービームがステップにかかってしまうとエッジによる散乱を生じてしまうためである。
【0019】
なお、ステップ4は微小領域散乱プローブ1を探すための目印であるので、上記のような段差に限るものではなく、基板上に作製した周期的な構造などでもよい。
【0020】
微小散乱領域は、走査型顕微鏡として試料表面のAFM凹凸像を取得するためには図1aのような微小突起3形状がよい。しかし試料表面の形状情報はあまり重要でなく、光学情報だけを利用するという用途も考えられる。例をあげると、光ディスクのような記録媒体の場合は広い範囲であらかじめ構造が分かっている平らな試料の上を一定の隙間をもってプローブが走査し、高分解の光学情報(高密度記録)を検出するような場合である。このような場合にはむしろ、試料表面に傷がついても問題となる。その場合には、図1bのような窪み5の形態を持つ微小領域散乱プローブ1を用いることも可能である。また図1cのように屈折率が部材の誘電体2より0.5程度大きいか、または小さいような屈折率部6をもつような微小領域散乱プローブ1を用いることも可能である。図1aの微小突起3が金属でよいのと同様に、屈折率部6は金属であってもかまわない。
【0021】
図3は本発明の第二実施形態例である微小領域散乱プローブ1への入射光学系を示したものである。図3aでは入射光の結合光学系としてプリズムを用いている。プリズムは導波路のように非常に薄く光を結合するのが困難な場合など、容易に効率的に光を結合できる光学素子である。プリズムの屈折率は微小領域散乱プローブ1の屈折率と同じ物を用いる。また入射角のマッチングを取り、接合面表面の荒れによる散乱の原因を除去するため、同じ屈折率のイマルジョンオイル22で接合する。また走査型プローブ顕微鏡では測定の際に外来の振動が問題となるので、微小領域散乱プローブ1自体を安定にプリズムに固定できかつ微小領域散乱プローブを容易に交換できるという利点がある。
【0022】
通常の直角プリズム単体の場合には、入射側(図の下面)から微小領域散乱プローブ表面や試料を観測できない。このために図3aではプリズム7を2つ組み合わせて用いている。当然のことながらこれらプリズムは同じ屈折率のものを使用し、同じ屈折率のイマルジョンオイル22で接合する。これによって微小領域散乱プローブ1の接着位置や微小領域散乱プローブ1と試料の相対位置などを微小領域散乱プローブ1下面からCCDカメラで観察しながら調整できるようになっている。
【0023】
これと同様の理由で入射側(図の下面)から光を観測するために図3bに示すようにプリズム下面をカットした形状のものを用いてもかまわない。
【0024】
以上プリズム7を用いた例を2つ示した。光の入射と微小領域散乱プローブ1のモニターを同時に行う光学系としては図3cに示すような開口数(NA)の大きな対物レンズ8を用いる方法が考えられる。対物レンズ8はレンズの外側部分を使って全反射照明を行うことが必要であるために入射口24が広いことも重要な条件となる。微小領域プローブ1に屈折率1.52のガラスを用いた場合は空気の屈折率がほぼ1であるので、全反射の臨界角θは41.8°となる。具体例としてNA1.65の対物レンズ(オリンパス製PlanApo,100X OHR)のを用いると入射口24が大きくなっているので、図に示すようにNA1.4に相当する部分が4.8mm、その外側にまだ0.6mmずつあるため臨界角以上で利用するのに余裕がある。
【0025】
図4を用いて本発明の第三実施形態例であるプローブ−試料距離制御光学系と励起光学系の説明を行う。対物レンズ8を結合系に用い、微小領域散乱プローブ1をイマルジョンオイル22で接合した様子を示している。対物レンズ8には波長の異なる2本のビームがそれぞれ全反射の臨界角以上で入射してある。それぞれプローブ−試料間距離の制御用ビーム9、励起用ビーム10と呼ぶことにする。制御用ビーム9は有機物など試料を直接励起する波長帯でないことが重要で、近赤外・赤外域であることが望ましい。
【0026】
対物レンズ8へ光の導入を3次元的に描くと、次の図4b、図4cの2通りが可能である。図4bでは入射側の45度ミラー11の内側部分12を上下に制御用ビーム9が通過し、外側部分13の左右を励起用ビーム10が通過するように使用する。
【0027】
図4cではそれぞれのビームを光学素子によってドーナツ状に整形したあと、入射側の45度ミラー11の内側部分12を制御用ビーム9が通過し、外側部分13を励起用ビーム10が通過するように使用する。図4b、図4cいずれも場合でも45度ミラー11の内側部分12、外側部分13にはそれぞれで使用する波長に対応したダイクロミックミラーとして加工してもよいし、全反射ミラーとして加工してもかまわない。内側部分12よりさらに内の中心部14は対物レンズ8からの光を下に透過させる部分であるので、ガラス部分がなくてもよい。
【0028】
図5は本発明の第四実施形態例であるプローブ−試料間距離制御機構を説明する図である。簡単のためプリズムを用いて描いており、レーザー光は図4に描いた制御用ビーム9を意味している。
【0029】
図5aのようにプリズム7下面から全反射で入射した光はプリズム7表面にエバネッセント波を生じ、プリズム7内部に戻ってくる。微小突起3と比較するとはるかに大面積の試料15がプリズム7表面近傍に接近するとエバネッセント波が乱され、散乱光を生じる。全反射の場合100%の光が反射されてくるので、エネルギーの総和を式で書くと 入射光=反射光+散乱光 となり、検出器16により全反射して戻ってくる光量をモニターすることにより、試料の接近を知ることができる。
【0030】
また次の現象を利用してもプローブ−試料間距離制御が行える。図5bは屈折率1.5のガラスから入射した光が空気(屈折率1)の界面で反射する反射率の角度依存性を示している。Rs、RpはそれぞれS偏光、P偏光の光の場合を示している。偏光面に関係なく、臨界角は41.8°であり、グラフのカーブは臨界角に近づくにしたがって急激に大きくなるる。このグラフは屈折率1.5の媒体から屈折率1の媒体への光の入射の場合を表しており、空気に代わって屈折率が1以上の媒体の場合にはカーブは高角度側にシフトし、臨界角は大きくなる。試料が接近することは屈折率1から1より大きいものへの全反射条件に変化することに相当するので入射光を臨界角ぎりぎりで用いた場合、散乱による光の損失以外に、全反射条件が満たされなくなることにより反射光量自体が減少するという大きな効果が距離制御に利用できる。
【0031】
この他に光学系の工夫によりさらに感度よく、プローブ−試料間の接近を制御する方法がある。図5cは図5aの入射光学系にキャビティーを形成した図を示している。キャビティーを作る場合にはプリズムの外側に反射率の高い高反射ミラー25を置き、キャビティー内部に定在波をたてる。プローブ部に試料が近づくことによりキャビティーの共振条件が崩れるために、上記方法より感度よく距離を検出できる。キャビティーを作ることによりプローブ表面には入射光と反射光の干渉により干渉縞様のエバネッセント波が生じるが、微小突起の高さは小さく、試料の面の接近を検出することが目的なので計測には問題ない。また高反射ミラー25を用いるためキャビティー内部の光量自体は無い場合に比べて弱くなるが、あくまでも励起光ではなく距離検出のために用いているので、計測には問題ない。
【0032】
微小領域散乱プローブ1の微小突起3が金属の場合、もしくは計測する試料が金属である場合にはエバネッセント波により表面プラズモンを励起できる。その場合には特定の入射角によって反射光量が減衰するという現象が生じるので表面プラズモン励起の共鳴条件を距離制御に用いることもできる。
【0033】
入射する制御光にパルス光源もしくは光を高速でON/OFFすることによっても制御することができる。検出器には高速応答性のものを使用する。プリズム表面(試料面)が清浄な表面の場合にはONからOFFへの電気的変調速度で光の強度が減衰するが、表面に屈折率1以上の物が接近している場合には光の減衰に差が生じる。このことを利用することでも距離制御が可能である。
【0034】
以上のいずれかの方法、またはそれらの組み合わせによってプローブ−試料間の距離制御を行うことが可能である。
【0035】
図6は本発明の第7実施形態例である微小領域散乱プローブ1を走査型近接場光学顕微鏡に用いる場合の機械的動作機構について説明する図である。図6aは微小領域散乱プローブ1設置部を示す。倒立型顕微鏡の対物レンズ8に帽子を被せるようにプローブステージ17がのせられ、対物レンズの周囲におかれたゴム23の上に設置される。プローブステージ17上面は円形状に穴が空けられており、対物レンズとはどこも接触していない。プローブステージひさし部19は対物レンズ8の周りに3軸対称の位置に配置されたマイクロメーター18により、ゴム23に向かって押し付けられることによって対物レンズ8と相対的なXY位置を調整することができる。さらに均等にゴムを押し込むことにより、上に乗せた微小領域散乱プローブ1に対して対物レンズのZフォーカシング調整を行う。微小領域プローブをイマルジョンオイル22で対物レンズ8に接着したまま、上記の操作を行い、微小領域散乱プローブ1の中心を図1で示したステップ4を目印としながらレンズ視野の中心に合わせる。この他に、試料−プローブ間のXYZ位置合わせ粗動機構と圧電素子を使った同微動機構がシステムとして必要であるため上記で説明したプローブ位置合わせ機構は小さく堅固に作る必要がある。上記プローブステージ17は微小領域散乱プローブ1と光学系を一体として扱える利点がある。
【0036】
図6bはプローブ―試料間のXYZ位置合わせ粗動機構を示している。圧電素子による3軸微動機構(スキャナー27)は下面に試料を下向きに保持しており、顕微鏡試料ステージ20にのっている。顕微鏡試料ステージ20をXY方向に動かすことにより、微小領域散乱プローブを保持した対物レンズ8に対して試料を相対的にXY方向に移動を行うことができる。Z方向の粗動機構は微小領域散乱プローブを保持した対物レンズを上下させることによって行う。微小領域散乱プローブへ光の結合が対物レンズによって行われているが、この光学系は無限遠焦点系なので対物レンズ8を上下に動かしても計測に問題は無い。対物レンズのレボルバー26を使用することにより微小領域プローブを乗せていない、通常の対物レンズに交換するための自由度も確保されており、従来の顕微鏡の機能も同様に使用できる。
【0037】
図6cはXYZ位置合わせ粗動機構である圧電素子による3軸微動機構(スキャナー27)を乗せた台を上から見た図である。スキャナー27下面に試料が固定されるが、試料自体の厚みや固定の際に傾きが生じるため、試料面は微小領域散乱プローブに対して水平ではない。3軸対称に配置されたスクリュー21により試料面の水平調整を行う。微小領域散乱プローブを対物レンズの中心に合わせる位置決め機構や、微小領域散乱プローブ−試料間のXYZ位置合わせ粗動機構と独立であることが重要である。試料面の水平調整は通常の対物レンズに切り替えておくと作業がスムーズに行える。スクリュー21は均等に足の長さ調整を行うことで試料と微小領域プローブとのZ距離調整も行える。スキャナー27は中空になっているので透明な試料の場合は落射顕微鏡で透過光も観察可能である。
【0038】
図7は本発明の第8実施形態例である微小領域散乱プローブ作製工程を示した図である。走査型プローブ顕微鏡はその位置制御の正確さから、材料表面の検査のみでなくナノサイズの加工にもすぐれた装置である。本発明のようなナノサイズの突起の作製が行えるとともに、同時に検査を行うことができる。
【0039】
図7(a)は微小領域散乱プローブのもととなる、基板と金属膜の構成を示した図である。表面を平坦化処理した高屈折率(n=1.74)で厚さ0.14〜0.17mmのガラス基板28をイソプロピルアルコール,およびアセトンで順次超音波洗浄を行い、最後にUVオゾン(O3)洗浄により、表面を親水性にする。その上に、イオンアシストによる真空蒸着法により、Ti膜29を約50nm堆積させる。このTi膜29を局所的に酸化させることで微小突起を作製するが体積膨張が膜の約2倍になることから、この数値は、100nm程度の高さの突起を作る場合においてである。突起の形状は理論的に円錐型が望ましい( D.Richards et. al , J. Microscopy 202 66-71 (2001))とされるが、そのためにはTi膜は緻密であり、かつ基板と密着性よいことが必要である。そのために上記、表面洗浄と親水処理、イオンアシスト法による成膜は重要である。
【0040】
次に図7(b)に示すように、微小突起を陽極酸化により作製する様子を示した図である。表面にAuをコーティングしたAFM探針30を用い、Tiに陽極、Auに陰極を接続する。AFM探針30はTi膜29に接触していることが必要であるので、コンタクトモードAFMでチップとTi膜29との距離を制御しておく。両者に電圧を加えるとチップに接する部分のみが陽極酸化される。酸化の機構は大気に存在する水分がAFM探針30とTi膜29表面の間に付近に吸着しており、電気化学的な酸化反応が生じるためである。Ti膜29中に酸素(O)が入り込むことにより体積膨張するため局所的な盛り上がりが生じるが、AFM探針30はコンタクトモードAFMでTi膜30との間の距離を一定とするよう制御しているために微小突起31の成長を妨げることや破壊することはない。条件は湿度やAFM探針30のサイズ等要因により多少変化するが、経験上、15V程度の電圧を2分間印加すると、Tiの酸化がガラス面まで達し、所望の形状が出来上がる。
【0041】
図7(c)は酸化されて作製された微小突起31以外の金属膜部分を除去した状態を示した図である。熱HCl溶液に図7(b)で作製した基板ごと浸すと金属Tiを溶かされ、基板上にはTiO2の微小突起31のみが残る。TiO2は組成にもよるが屈折率は550nmの波長で2.5程度のものができる。(M.Vergohl et. Al ,Thin Solid Films 351 42-47 (1999))。これはガラス基板の屈折率よりも大きいために、図1で説明した励起方法において、光が突起内部にまで入り込み表面にエバネッセント場を生じさせることができる。
【0042】
同様の工程はガラス基板上にSiを成膜したものも行うことができ、SiO2の微小突起31が作製できる。その場合、微小突起31と基板のガラス28が同じ材質で作製できるため、一体物のチッブができると期待できるが、基板の平坦性を壊さずSiのみを取り去る方法がないので現状では難しい。
【0043】
同様に走査型プローブ顕微鏡を用いた加工法で、上記微小突起31を鋳型と、ポリマーなどの透明で型成形特性のよい材料にナノプリントし、量産する方法も考えられる。図8に、本発明の第9実施形態例である微小領域散乱プローブの量産プロセスについて説明する。この場合、陽極酸化する膜は上に述べたTi、Siどちらの方法でもよいが、型を取るという工程を考えると、▲1▼基板の平坦性▲2▼突起物と基板の密着性▲3▼ポリマーと基板との遊離特性を考慮する必要がある。また直接微小突起チップとして使うのではないので、部剤が透明である必要はない。そこで、Si基板上にSiO2の微小突起を作ることが一番よいと考えられる。
【0044】
図8(a)はSi基板をもとに、第8実施形態例で説明した方法によりSiO2の微小突起31を作製した物を示している。これを金型とし、加工材料32表面に図8(b)に示すようにプレスする(ナノプリンティング)。加工材料32としてはアルミ、金、ニッケル、樹脂、レジスト等を用いる。金型の部分を除去すると加工材料32に超微細構造パターンが転写される(図8(c)。このパターンにポリマー等の透明で型成形性のよい材料で写し取ると図8(d)のような微小突起チップ33が完成である。ポリマーとしては、紫外線硬化性樹脂(EPON SU-8 (n=1.51)[US Patent No. 4882245 (1989)])が考えられる。SU-8を用いた近接場チップの作製法はファイバープローブ型のものがB.J.Kim ら(J.Microscopy 202 126-21, (2001))が報告しているが、そこでの方法はMEMSで作製されたチップへの転写であり、本発明とはチップ先端部分の作製法がまったく異なる。ポリマーとしてはこのほかに光ディスク等に利用されているポリカーボネート(n=1.58)やメチルメタクリレート(n=1.49〜1.54), ,ポリスチレン(n=1.59)などで型成形行ってもよい。
【0045】
以上の説明で明白なように、散乱型のプローブであるため、励起光を効率よく利用でき、また針状の形態をしていないために高価なプローブを機械的に破壊してしまうということを低減でき、プローブの交換作業が容易で操作性のよいシステムとなる。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。先端が先鋭化されたペンシル型の光プローブという形態をとらず、薄板上に微小突起を有しているためプローブの取り扱いによる破損の恐れが軽減される。顕微鏡に取り付けて使用するためプローブの取り替え作業も必要ないという点で安価なものになり、操作性は格段に向上する。光ファイバー等の導波路内に光を伝播させることによる光の損失、また微小開口から光をトンネル現象で透過させることによる光の損失により利用できる光の効率はきわめて低かったが、本発明のプローブでは微小領域の散乱を光源として利用するために利用効率は高い。散乱現象が光源であるために可視から近赤外まで利用できる波長も広く、パルス光源を利用した場合の波長分散、時間分散を気にする必要は無い。また微小領域(または試料)に金属を使用する場合には表面プラズモン共鳴を使うことで、電場の強度をさらに大きくできるという利点がある。したがって吸収測定、蛍光測定、時間分解吸収測定、時間分解蛍光測定等に利用可能である。大量生産・高品位もプローブがマイクロマシンプロセスにより製造可能である。さらに近接場光学を利用した化学合成や光加工技術、光記録などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微小領域散乱プローブの構造を示している。
【図2】従来の近接場プローブの形態を説明する図である。
【図3】本発明の微小領域散乱プローブへの入射光学系を示している。
【図4】本発明の微小領域散乱プローブの距離制御光学系と励起光学系を示している。
【図5】本発明による微小領域散乱プローブと試料間の制御制御機構を説明する図である。
【図6】本発明による微小領域散乱プローブにおけるXYZ粗動機構を示している。
【図7】本発明による微小領域散乱プローブにおける、微小領域散乱プローブ作製工程を示した図である。
【図8】本発明による微小領域散乱プローブにおける、微小領域散乱プローブ作製工程を示した図である。
【符号の説明】
1・・・微小領域散乱プローブ
2・・・誘電体
3・・・微小突起
4・・・ステップ
5・・・窪み
6・・・屈折率部
7・・・プリズム
8・・・対物レンズ
9・・・制御用ビーム
10・・・励起用ビーム
11・・・45度ミラー
12・・・内側部分
13・・・外側部分
14・・・中心部
15・・・試料
16・・・検出器
17・・・プローブステージ
18・・・マイクロメーター
19・・・ひさし部
20・・・顕微鏡試料ステージ
21・・・スクリュー
22・・・イマルジョンオイル
23・・・ゴム
24・・・入射口
25・・・高反射ミラー
26・・・レボルバー
27・・・スキャナー
28・・・ガラス基板
29・・・Ti膜
30・・・AFM探針
31・・・微小突起
32・・・加工材料
33・・・微小突起チップ

Claims (4)

  1. ガラス基板の表面に成膜されたTi膜をAuコーティングしたAFM探針により局所的に陽極酸化し、その後上記Ti膜の酸化された部分の周辺のTi膜を取り去ることにより微少突起を作製するようにしたことを特徴とする微小領域散乱プローブの作製方法。
  2. ガラス基板表面に成膜したTi膜を、AuコーティングしたAFM探針により局所的に陽極酸化し、その後上記Ti膜の酸化された部分の周辺のTi膜を取り去ることにより微少突起を作製した後、
    上記微少突起を金属又は合成樹脂材料からなる加工材料表面にプレスし、上記微少突起に対応する型が形成された金型を作製し、
    次いで、上記金型に形成された上記微少突起に対応した型を透明な合成樹脂材料に転写することにより微少突起が形成された微小領域散乱プローブを作製するようにした微小領域散乱プローブの作製方法。
  3. ガラス基板の表面に成膜されたSi膜をAuコーティングしたAFM探針により局所的に陽極酸化し、その後上記Si膜の酸化された部分の周辺のSi膜を取り去ることにより微少突起を作製するようにしたことを特徴とする微小領域散乱プローブの作製方法。
  4. ガラス基板表面に成膜したSi膜をAuコーティングしたAFM探針により局所的に陽極酸化し、その後上記Si膜の酸化された部分の周辺のSi膜を取り去ることにより微少突起を作製した後、
    上記微少突起を金属又は合成樹脂材料からなる加工材料表面にプレスし、上記微少突起に対応する型が形成された金型を作製し、
    次いで、上記金型に形成された上記微少突起に対応した型を透明な合成樹脂材料に転写することにより微少突起が形成された微小領域散乱プローブを作製するようにした微小領域散乱プローブの作製方法。
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