JP4034379B2 - 流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、流体の流量を感知並びに測定する分野に一般的に関連している。
【0002】
【従来の技術】
ガスのための質量流量計は、ガスの温度や圧力とは無関係に理想的に、ガスの質量流量を測定する。熱伝達の原理で動作する形態のこのような装置は、広く使用されるようになっている。実際に広く使用されているものは、互いに近接するようにして2つのワイヤーコイルが外側に巻回された小径のチューブを備えている。これらコイルは、温度に感応する抵抗を有する金属材により形成されている。
【0003】
ブリッジ形式の電気回路において、これらコイルは、電流により加熱され、ガス流がないときには、同じ抵抗となり、ブリッジ形式の回路のための均衡の状態、例えば、ゼロ(null)出力信号を与える。
【0004】
そして、チューブ内をガスが流れているときには、装置の適切な測定範囲内で、上流側のコイルの温度がガスの冷却効果により下がり、また、下流側のコイルの温度はガスにより伝達される上流側のコイルからの熱により上がる。この温度差は、チューブを流れる単位時間当りの分子の数に比例する。かくして、温度に伴なうコイルの抵抗の変化に基づいて、ブリッジ回路の出力信号はガスの質量流量の測定結果を与える。
【0005】
種々の環境のもとで、熱伝達現象の形態は、これら質量流量計の測定に実質的なエラーを誘発する。同一譲受人による1976年2月17日に特許になった米国特許No.3,938,384号、1977年11月8日に特許になった米国特許No.4,056,975号、並びに1993年3月9日に特許になった米国特許No.5,191,793号には、幾つかの問題が示されている。
【0006】
1つの特別な問題は、質量流量計のセンサーの装着方向の変化、及び、変化する入口圧力の影響によるセンサーの目盛りの変位である。特に、図1に示すように、質量流量センサー10が所定の向きで、特に、垂直に向けられて、設置されると、センサーチューブ12内で生じる温度勾配により生じる、熱サイフォンとして通常知られている現象が生じる。最初に、ガスが入口通路12内を流れ始めると、上流側のコイル14の温度は、ガスの冷却効果により下がり、また、下流側のコイル16の温度は、ガスにより伝達される上流側のコイル14からの熱により上昇する。センサーチューブ12内のガスの温度が上昇するのに従って、バイパス部材18からの冷却ガスがセンサーチューブ12に流され、暖かい温度上昇したガスと代わり、強制的な対流20を生じさせる。この強制的な対流20は、いかなる垂直方向の向きがなくて、センサーチューブ12内で生じた自然の対流パターンと重なる。この結果、ゼロ(質量流量計を通る実際の流量での変更がないゼロ出力での変化、非ゼロへの出力の変位)とスパン(最大の意図して流量までの流量計の実際の測定範囲によりカバーされる流量)とでの変位が生じる。この結果、実際の流量測定は、入口圧力とプロセスガスの性質の関数となる。ゼロとスパンとの熱サイホン効果は、入口圧力並びにガス密度が上がるのに従って、増す。
【0007】
センサーチューブの周りでの自由な対流による熱伝達を表すグラスホフ数(Gr)は、熱サイホン問題の感度を測定するために一般的に使用されている。ディメンションのないグラスホフ数Grは以下の(1)式により表される。
【0008】
Gr=gρ2 β(T1 −T0 )D3 /μ3 (1)
ここで、gは重力定数
ρはガス密度
βは体積膨張の熱係数
1 はセンサーチューブの壁温
0 は周囲温度
Dはセンサーチューブの内径
μはガスの粘度
【0009】
一般的に、グラスホフ数Grが、種々のファクターにより決定される所定の臨界値を越えると、熱サイホンが生じる。通常は、対流は自然の対流のパターンに重なり、この結果、ゼロとスパンとで変位が生じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
熱サイホン効果を最小にする1つの方法は、センサーチューブの内径を実際に減じることである。この方法は、熱サイホンの影響をほぼ減じるけれども、このような小径のチューブを製造することは難しく、実用的ではない。
【0011】
熱サイホン効果を最小にする他の方法は、センサーチューブの全長に渡って単一のワイヤーを挿入することである。この試みはチューブの内径を減じるけれども、厳しい実際の問題が生じている。
【0012】
本発明は、製造が簡単で、特に効果的な方法で熱サイホンに注目したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1並びに第2の流体流れポートを備えた感知導管の中を流れる流体の流量を測定するための流量計を提供する。この流量計は、前記第1の流体流れポートに近接して、前記感知導管の外に前記流体の流路に沿って配設された第1の感知部材と、前記第2の流体流れポートに近接して、前記感知導管の外に前記流体の流路に沿って配設された第2の感知部材と、前記第1並びに第2の感知部材から離間して感知導管内に前記流路に沿って配置され、感知導管内の流体流れ空間を狭くする細長い部材と、前記両感知部材を加熱する手段と、前記両感知部間の温度差を検出する手段とを具備する
他の態様に係われば、流量計は、流体の流れにより変更されるような第1の感知部材の温度を測定するように、前記1対の流体流れポートの一方に近接して、前記感知導管の外に前記流体の流路に沿って配設された第1の感知部材と、流体の流れにより変更されるような第2の感知部材の温度を測定するように、前記1対の流体流れポートの他方に近接して、前記感知導管の外に前記流体の流路に沿って配設された第2の感知部材と、前記第1感知部材に近接して終端し、感知導管内に前記流路に沿って配置され、感知導管内の流体流れ空間を狭くする細長い部材と、前記両感知部材を加熱する手段と、前記両感知部間の温度差を検出する手段とを具備する。
【0014】
さらに他の態様においては、本発明は、測定される流体が中を流される感知導管と、この感知導管に装着された感知部材と、前記感知部材に近接して終端し、感知導管内に前記流路に沿って配置され、感知導管内の流体流れ空間を狭くする細長い部材とを具備する流量計を提供する。
【0015】
【実施の形態】
以下に説明する実施の形態並びに図面において、同様の部材には同じ参照符号が付されている。
【0016】
図2に示すように、質量流量計(流量センサー)30は、本発明に従って構成され、中にワイヤー34が配置された感知導管32を有し、この感知導管32の内部36を流れる流体の流量を測定する。後で詳述するように、感知導管32の上流部38に挿入された単一のワイヤー34は、この部分の有効内流れ径を減じ、かくして、式(1)で示したグラスホフ数Grを小さくしている。本発明に従った装置は、また、下流部39に挿入されたワイヤーを含んでも良い。質量流量計30が上流側のコイルが上になるようにして、垂直に向けて指向されていると、下流部と対向するようにして上流部38内に設けられたワイヤーにより、一般的により有効である。しかし、本発明に係る装置は、感知導管32の熱感応領域42とワイヤーが接触しないようにして、感知導管32の上流部38と下流部39との両方にワイヤーを設けるように構成され得る。
【0017】
本発明の効果に関して、熱サイホン効果は、減じられ、かくして、ガス流量測定のための改良された感知が可能となる。ハウジング40内で感知導管32は、熱感知領域42を有する。この領域42には、ほぼ同じの上流側コイル44と下流側コイル46とが配置されている・これらコイルは、感知導管32の外側に巻回された温度感知抵抗材により形成されている。本発明の効果に係われば、ワイヤーは、挿入される前に図2に示すように予め曲げられているか、図6に示すように真っ直ぐである。このワイヤーは、感知導管32内の所定位置に挿入されたときに、感知導管32内の熱感応領域42に接触しないような長さになっている。この結果、流れ導管の壁を伝わる均衡が保たれかつ対称的な熱の逆転の可能性をなくしている。ワイヤーが熱感応領域42に接触することにより生じるであろう問題はかくして最小にされる。
【0018】
質量流量計30は、上流側コイル44と下流側コイル46とをブリッジ回路に接続して動作される。上流側コイル44並びに下流側コイル46が配置された回路48の一例は図4に示されている。しかし、本発明は、図4に示すようなブリッジ電気回路に限定されるものではない。むしろ、本発明は、この分野では知られている他の種々のブリッジ回路で動作されうる。この分野の者には良く知られているように図4に示す回路は、動作時には、感知導管(図4には示していない)をガスが流れていないときには、スイッチ52閉じられると、dc電流源50は、回路48の2つの出力端子33,35間にベース出力電圧を生じさせる。電流は、コイル44,46を流れてこれらコイルのワイヤーを等しいレベルに加熱し、これらコイル44,46を同じ温度にする。同じ抵抗値を有する2つのブリッジ抵抗58,60により、ベース出力電圧は、もちろんゼロであり、ブリッジ回路48は均衡が保たれている。
【0019】
しかし、ガスが流れると、上流側コイル44はガス流により冷却され、熱はガスによって運ばれ、このガスにより運ばれた熱により下流側コイル46が加熱される。かくして、温度差がコイル44,46間に生じ、出力端子33,35間の電圧となる。この電圧は、温度によるコイル44,46の抵抗値の変化による。
【0020】
これらコイル44,46間の温度差は、質量流量計30の範囲内で、ガス分子数、かくして、感知導管32を流れるガスの質量の計量となる。同様に、コイル44,46の抵抗値の差は、コイル44,46間の温度差の計量となる。抵抗値の差により決定される出力電圧に関しては、これがガスの質量流量の計量となる。
【0021】
前記コイル44,46の抵抗値間の差に比例する出力電圧を与えるために、2つのブリッジ抵抗58,60は、コイル44,46の抵抗値よりもかなり大きい抵抗値を有する必要がある。さらに、ブリッジ回路48を広範囲の温度変化に対して正確に作動させるために、電流源50とブリッジ抵抗58,60とは、温度変化に対して独立した温度となる必要がある。
【0022】
説明したような、種々の周囲条件とは独立して実施するように種々の変更を含むブリッジ回路は、良く知られており、また良く理解されている。勿論、ここで、回路48のコイルの材料は温度に比例する抵抗を有しており、また、コイル44,46の材料は質量流量に比例する温度差を与えるものである。この点に間して、代表的には、質量流量計の範囲外で、ガス流は、両コイル44,46を冷却するように充分に早くなる。
【0023】
前記感知導管32は、コイル44,46が巻かれる前に、良電気絶縁性を与えるためにポリウレタン材でコーティングされたステンレススチール材で形成されることが好ましい。例えば、Pyre−ml(Amax Metalと称されている)として知られた電気絶縁エナメルの薄膜でコーテングされたBalcoにより形成されたコイルは、便利かつ満足できるものである。各コイルは、代表的には、2つの層、例えば、外から中に巻かれた内層と、中から外へと内層の上部に巻かれた外層とを含み、図4に示すようにブリッジ回路に接続するようにコイルの外側から導かれた2つのリード線を有する。
【0024】
図2に示すように、感知導管32は、ハウジング40内に配置されている。このハウジングは、通常の形式のものでも、また、ハウジング内で導管の外側のと感度に影響する対流を規制するように、センサーに沿って密接された壁構造を有するハウジングのような特別な形式のものでも良い。代表的には、ハウジングは、図2で断面で示された壁を備えたベースと、感知導管32のU字形状の部分を収容するベースのキャビティを閉塞するように圧接適合するカバー(図示せず)とを有し得る。この分野の者にとって、本発明は、例えば、ポリマー、ガラスもしくはカーボンのようなファイバーが満たされたポリマー、金属、もしくは他の材料で形成され、この分野では知られた種々の構造のハウジングを使用して操作され得ることは、認識され得よう。
【0025】
ガスとコイル44,46との相互作用は、同一譲受人による1976年2月17日に特許になった米国特許No.3,938,384号、1977年11月8日に特許になった米国特許No.4,056,975号、並びに1993年3月9日に特許になった米国特許No.5,191,793号により開示されているので、理解できよう。最後の特許は、上記関連した特別の形式のハウジングの例を提供する。
【0026】
概略的に図5に示す、導入された背景の方法により、質量流量計30の入口ポート62と出口ポート64とは、中に圧力降下装置68を有する主導管66と連通して示されている。代表的な実際の(概略ではない)の装置(図示せず)において、質量流量計30は、導管の入口ポート62近くの感知導管32の端部が主導管66を流れる流体に対して横方向上流側の開口内に位置するように、設けられている。同様に、導管の出口ポート64近くの感知導管32の端部は、主導管66を流れる流体に対して横方向下流側の開口内に位置する。ガス流システム(ガス流を調節するように1もしくは複数の圧力降下装置68を有する)に挿入された主導管66において、図5に少し概略的に示すように、質量流量計30は、キャリブレーション(計量)、即ち、これを通る流体の質量流量と主導管66並びにシステムを通る質量流量との間の比、の変化が与えられ得る。上述した特許に夫々記載されたこの種の技術は、良く知られており、かつ理解されている。良く理解されたガス流の原理に従えば、圧力降下装置68は、入口ポート62並びに出口ポート64の近くの種導管66内の流体流特性と、感知導管32内の流体流特性とが比例するように、している。おおよそにおいて、これは、層流が圧力降下装置近くの主導管66内と感知導管32内とで維持されるように(筒状流とは反対に)圧力降下装置を選定することを意味する。
【0027】
この挿入並びに背景において、本発明の意図のための主概念である図2ないし図6の装置の態様と詳細は、この説明において集約されかつ理解されるであろう。熱感応領域42の外で、感知導管32の上流部38並びに内部36に配置されワイヤーは、導管の上流部内の流体流領域を減じて、熱サイホン効果を最小にすること、及びこれの変形態様を以下に説明する。
【0028】
特に、図2並びに図3において、実施の形態では円形断面を有するワイヤー34は、さらに詳細に示されている。さらに、理解でき、下により詳細に説明するように、この場合、感知導管32に挿入されたワイヤー34は、有効内流れ径を減じて、グラスホフ数Grを小さくしている。この有効内径は、妨害のない開口を有し、ガス流のための同じ断面領域を与える円筒チューブの内径として考えられる。この結果、熱サイホン効果は減じられ、ガス流の測定に対して高感度となる。
【0029】
図2に示す実施の形態において、ワイヤー34は、上流部38内、即ち、感知導管32の内部36に挿入される前に、既知の製造技術により2カ所で曲げられている。このように、ワイヤー34は、外方に付勢された捩じりばねとなるように予め曲げられており、この結果、ワイヤー34が感知導管32中に挿入されたときに、曲げ部分がワイヤー34をその位置に保持させておくたに充分な力を付与する。ワイヤー34の一端は、熱感応領域42の外で、感知導管32の上流部38の上領域70内に位置している。ワイヤー34の他端、即ち、露出端は、感知導管32の外に延びており、感知導管32の外縁72の一部と係合するように折り返えされ、この結果、図2並びに図3に示すような位置でのワイヤー34のさらなる支持が果たされている。このようなワイヤーの支持により、感知導管32内で生じる圧力差の影響に対してワイヤーの位置付けをより安定にしている。本発明において、ワイヤー34は、ワイヤー34が挿入されたときに、感知導管32の内周面と係合する凸の接触点を形成するように、挿入される前に、1もしくは複数の箇所で折曲され得る。
【0030】
感知導管32内に挿入されて、位置付けられる前の図2のワイヤー34を特に示す図3において、ワイヤー34は、2つの箇所で約120°に折曲されている。この分野の者にとって、本発明は図2並びに図3に示すような2箇所もしくは角度に限定されないことは、認識されよう。さらに、非常に小さい径の感知導管のためのような所定の状態においては、1箇所で折曲されたワイヤーが好ましい。一方、非常に大きい径の感知導管のためのような他の状態においては、複数箇所で折曲されたワイヤーが望ましい。後者の場合、ワイヤーは長手方向に沿ってジグザグ形状に、例えば、挿入される前に、4つ以上の真っ直ぐな部分と3つ以上の折曲された部分とが交互になるように、折曲され得る。
【0031】
前記ワイヤー34は、1もしくは複数の箇所での曲げがそのままで維持され、かつ感知導管32に損傷を与えたり変形したりしないで感知導管32から取り出せるのに充分な可撓性を有する材料で製造されることが好ましい。ステンレス材や、HastelloyからMonelの名称で販売されているような合金がワイヤー材として代表的に使用され得る。
【0032】
時間の経過と共に感知導管32の内径に影響を及ぼすであろう腐食物質が蓄積されない非腐食ガスに特に適した代表的な形態において、感知導管32は、約14ミルの外径(壁厚は約2ミル)を有する。また、ワイヤー34は、感知導管32内に挿入され、支持されたときに、感知導管32の熱感応領域42にまで達しないような、長さである。このような形態において、ワイヤーは約7ないし8ミルの径を有することが便利で効果的である。入口ポートから上流側のコイルまでが約1.1インチの導管に対して、ワイヤーは、全長が約0.75インチで、そのうち約0.7インチが感知導管32の中に位置し、また、2箇所で約120°に折曲されていることが好ましく、効果的である。しかし、これは、仕様の要求及び考慮に応じて、容易に変更され得る。
【0033】
腐食ガスに特に適した他の代表的な形態において、感知導管32は、約30ミルの外径(壁厚は約2.5ミル)を有する。また、ワイヤー34は、感知導管32内に挿入され、支持されたときに、感知導管32の熱感応領域42にまで達しないような、長さである。このような形態において、ワイヤーは約16ないし19ミルの径を有することが便利で効果的である。入口ポートから上流側のコイルまでが約1.1インチの導管に対して、ワイヤーは、全長が約0.75インチで、そのうち約0.7インチが感知導管32の中に位置し、また、2箇所で約120°に折曲されていることが好ましく、効果的である。しかし、これは、仕様の要求及び考慮に応じて、容易に変更され得る。
【0034】
一例として、長さが約0.125インチのコイル44,46は、コイルのワイヤーの径が約0.6ミルで、上記形態の夫々に有効に適用可能である。示したように、この分野の者にとって、本発明は、上述したようなディメンションもしくは幾何学的形状に限定されることがないことは、認識されよう。さらに、感知導管32中へのワイヤーの部分的な挿入は、異なる直径並びに長さの感知導管、及び異なる長さのコイルもしくは他のセンサーに適用可能である。
【0035】
他の実施の形態に係る図6において、最初はほぼ曲げられていないワイヤー78は、感知導管32の上流部38中に挿入されたときに、ワイヤー78の一端が感知導管32の湾曲部80と当接し、これに沿って曲げられる。この結果、湾曲部80に沿う曲げ力はばね部材として機能し、感知導管32の内部36の所定位置にワイヤー78を維持するのに充分な力を付与する。感知導管32の上流部38の上領域内に配置されたときに、ワイヤー78は熱感応領域42と接触しないように設定されている。ワイヤー78の他端は、下方に延び、感知導管32の外縁72の一部と係合するように外方に折り返えされる。この結果、ワイヤー78は、図6に示すように所定位置に支持される。かくして、ワイヤー78は感知導管32の上流部38に沿って配置され、感知導管32の湾曲部80と係合するように湾曲されている。
【0036】
本発明に係われば、図6に示す予曲げられていないワイヤー78は、一般的に準備並びに設置が容易であるけれど、図2に示す予め曲げられたワイヤー34のように、感知導管32内で強固に装着はされない。ある環境のもとでは、感知導管32内でのワイヤーの緩みは、勿論、感知精度に変化を生じさせる。
【0037】
時間の経過と共に感知導管32の内径に影響を及ぼすであろう腐食物質が蓄積されない非腐食ガスに特に適した図6に示す実施の形態の代表的な形態において、感知導管32は、約14ミルの外径(壁厚は約2ミル)を有する。また、ワイヤー78は、感知導管32内に挿入され、支持されたときに、感知導管32の熱感応領域42にまで達しないような、長さである。このような形態において、ワイヤーは約7ないし8ミルの径を有することが便利で効果的である。入口ポートから上流側のコイルまでが約1.1インチの導管に対して、ワイヤーは、全長が約1.1インチで、そのうち約1.05インチが感知導管32の中に位置していることが好ましく、効果的である。
【0038】
腐食ガスに特に適した他の代表的な形態において、感知導管32は、約30ミルの外径(壁厚は2.5ミル)を有する。また、ワイヤー78は、感知導管32内に挿入され、支持されたときに、感知導管32の熱感応領域42にまで達しないような、長さである。このような形態において、ワイヤーは約16ないし19ミルの径を有することが便利で効果的である。入口ポートから上流側のコイルまでが約1.1インチの導管に対して、ワイヤーは、全長が約1.1インチで、そのうち約1.05インチが感知導管32の中に位置し、また、2箇所で約120°に折曲されていることが好ましく、効果的である。しかし、これは、容易に変更され得る。
【0039】
前述したように、約0.125インチの長さのコイル44,46は、コイルのワイヤーの径が約0.6ミルで、上記形態の夫々に有効に適用可能である。
【0040】
本発明に係われば、図2もしくは図6に示すワイヤーは、感知導管32の内部の流路に沿って、コイル44,46から離れて配置されており、感知導管32内の流体が流れるスペースを狭くしている。このワイヤーは、コイル44,46の外端から、コイル44,46の長さの約1/4以上離れた所で代表的には終端している。しかし、コイル44,46の長さの約1/4以上離れた所での終端は、他の都合が良く効果的な変更が可能である。
【0041】
本発明に係われば、図2もしくは6に示すワイヤーが感知導管32内に挿入されたときに、感知導管32の内径は、ワイヤーが配置されている部分に沿って効果的に減じられ、かくして、グラスホフ数Grが小さくされ得る。この結果、熱サイホンが押さえられ得る。ワイヤーが質量流量計30内に挿入されていないときには、非水平方向からの強制的な対流は、非水平向きがなく、感知導管内で他の原因で発生される自然の対流パターンに重ねられる重要なファクターとなり、ゼロとスパンでの変位が生じる。従って、測定された実際の流量は、入口圧力と処理ガスの性質の関数となる。しかし、ワイヤーが本発明の質量流量計30内に挿入されて、ワイヤーが存在している部分に沿う内流れ領域を有効に小さくすることができ、このために、グラスホフ数Grは、約2.7のファクターに容易に減じられる。かくして、熱サイホンにより生じる問題は実質的に軽減される。
【0042】
他の実施の形態に係る図7において、図2並びに図6に示すようなワイヤーとは異なり、チューブ84が、熱感応領域42の外で、感知導管32の上流部38の内部36に配置されている。この結果、感知導管32の上流部38内の流体流れ領域を小さくして、熱サイホン効果を減じている。このチューブ84は、感知導管32の下端部86の所で径が大きくなった段部(図示せず)を有し、この結果、チューブが挿入されたときに、感知導管32の内部36中に互いに干渉もしくは押圧される。中空の中心部を有するチューブ84は、感知導管32に挿入される前に、通常の製造技術を利用して、下端部86で大径部を有するように整形される。このように、チューブ84の下端部の径を大きくすることにより、チューブ84を所定位置に維持させるのに充分な力が付与される。図面を簡単にするために、大径にするための段部は、チューブに沿う段部位置87の所で生じ、チューブの下端に連続していることが省略されている。チューブ84は、感知導管32の曲率部並びに熱感応領域42の外側の前の、感知導管32の上流部38の上領域70の所で終端している。チューブ84の他端、即ち、上端88は、大径部を持ってはおらず、下方に延出し、感知導管32と干渉して適合してはいない。一端での干渉した適合は、感知導管32内で生じる圧力差の影響による抵抗に対してチューブ84の位置の良い安定性を確保する。当業者にとって、チューブは、チューブの下端部を導管に機械的な係合させる等の他の手段により感知導管内に維持され得ることは認識されよう。
【0043】
図7に示す構成は、比較的大きい径の感知導管にとって、特に有用である。本発明に係る構成は、下流部39中に挿入されたチューブをも含み得る。質量流量が垂直に向けられ、上流側コイルが上に位置される場合、下流側とは異なり、上流部38に装着されたチューブにより、より好ましい状態と一般的になる。さらに、本発明に係る構造は、感知導管32の上流部38と下流部39との両方に配置されたチューブを含み得る。この場合には、両チューブとも、感知導管32の熱感応領域42と接触しないように配置される。
【0044】
前記チューブ84は、感知導管32に損傷を与えたり変形したりしないで感知導管32から取り出せるのに充分な可撓性を有する材料で製造されることが好ましい。ステンレス材がチューブ材として代表的に使用され得る。
【0045】
腐食ガスもしくは非腐食ガスに特に適用される代表的な形状において、感知導管32は、約40.0ミルの外径(壁厚は約2.5ミル)を有する。また、チューブは、感知導管32内に挿入され、支持されたときに、感知導管32の熱感応領域42にまで達しないような、長さである。実際は、感知導管32の曲率部に達しないような長さである。このような形態において、外径が約34ミルで、下端部86の外径が約36ミルのチューブ84が便利で効果的である。しかし、これは、仕様の要求及び考慮に応じて、容易に変更され得る。
【0046】
一例として、長さが約0.125で、コイルワイヤーの径が約0.6ミルのコイル44,46が上記形態のものに効果的に設けられ得る。説明してきたように、本発明は、上述したようなディメンションもしくは幾何学的形状に限定されることがないことは、認識されよう。さらに、感知導管32中へのチューブの部分的な挿入は、異なる直径並びに長さの感知導管、及び異なる長さのコイルもしくは他のセンサーに適用可能である。
【0047】
勿論、多くの変形並びに変更は、本発明の精神もしくは範囲から逸脱しないで、説明されたことからなされることは、この分野の者にとってされよう。一例として、適用可能な考慮が、導管の周りのヒータコイルにより加熱される上流側並びに下流側感知コイルを使用する流量計(流量センサー)を構成するように同様になされ得る。他の例として、適用可能な考慮が、電流により内部から加熱される導管に沿う温度差を測定するために、上流側並びに下流側センサーとして熱電対(サーモカップル)を有する流量計の形態になされ得る。これらは、単に例示に過ぎない。従って、本発明の範囲は、開示された実施の形態に対してのみではなく、請求の範囲に従って決定されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】垂直方向に設置された従来の質量流量計を示す概略的断面図である。
【図2】本発明に従って構成された、中にワイヤーが配設された感知導管を有する質量流量計を一部切断して示す正面図である。
【図3】感知導管に挿入されて配置される前の、図2の質量流量計のワイヤーを示す拡大図である。
【図4】ブリッジ形式の回路において、図2の質量流量計のセンサーコイルを示す回路図である。
【図5】主導管を備えた図2の質量流量計の使用状態を示す図である。
【図6】本発明に従って構成された、中にワイヤーが配設された感知導管を有する質量流量計の他の実施の形態を一部切断して示す正面図である。
【図7】本発明に従って構成された、中にチューブが配設された感知導管を有する質量流量計のさらに他の実施の形態を一部切断して示す正面図である。
【符号の説明】
30…質量流量計、32…感知導管、34…ワイヤー、38…上流部、39…下流部、42…熱感知領域、44…上流側コイル、46…下流側コイル。

Claims (30)

  1. 第1並びに第2の流体流れポートを備えた感知導管の中を流れる流体の流量を測定するための流量計であり、
    前記第1の流体流れポートに近接して、前記感知導管の外に前記流体の流路に沿って配設された第1の感知部材と、
    前記第2の流体流れポートに近接して、前記感知導管の外に前記流体の流路に沿って配設された第2の感知部材と、
    前記第1並びに第2の感知部材から離間して感知導管内に前記流路に沿って配置され、感知導管内の流体流れ空間を狭くする細長い部材と、
    前記両感知部材を加熱する手段と、
    前記両感知部間の温度差を検出する手段とを具備する流量計。
  2. 前記細長い部材は、前記第1の感知部材から離れて終端し、流路に沿って配設された第1の端部を有する請求項1の流量計。
  3. 前記細長い部材は、前記第1の流体流れポートの所で前記感知導管と係合した第2の端部を有する請求項1の流量計。
  4. 前記細長い部材の第2の端部は、前記感知導管の外端の一部に係合するように折返されている請求項3の流量計。
  5. 前記細長い部材は、1もしくは複数の箇所での曲げがそのままで維持され、かつ感知導管を変形しないで感知導管から取り出せるのに充分な可撓性を有する材料で製造されている請求項1の流量計。
  6. 前記細長い部材は、この細長い部材が感知導管中に挿入されたときに、外方へ付勢されたばねとなって細長い部材を所定位置に保持するように、第1の端部と第2の端部との間で曲げられている請求項3の流量計。
  7. 前記細長い部材は、感知導管中に挿入される前に、1もしくは複数の箇所で曲げられている請求項1の流量計。
  8. 前記各感知部材は、加熱並びに温度感知コイルを有する請求項1の流量計。
  9. 前記細長い部材の第1の端部は、前記第1の感知部材の長さの1/4以上の間隔で、第1の感知部材から離れて終端している請求項3の流量計。
  10. 前記細長い部材の第1の端部は、前記第1の感知部材の長さ以上の間隔で、第1の感知部材から離れて終端している請求項3の流量計。
  11. 前記細長い部材はワイヤーを有する請求項1の流量計。
  12. 前記細長い部材はチューブを有する請求項1の流量計。
  13. 1対の流体流れポートを備えた感知導管の中を流れる流体の流量を測定するための流量計であり、
    流体の流れにより変更されるような第1の感知部材の温度を測定するように、前記1対の流体流れポートの一方に近接して、前記感知導管の外に前記流体の流路に沿って配設された第1の感知部材と、
    流体の流れにより変更されるような第2の感知部材の温度を測定するように、前記1対の流体流れポートの他方に近接して、前記感知導管の外に前記流体の流路に沿って配設された第2の感知部材と、
    前記第1感知部材に近接して終端し、感知導管内に前記流路に沿って配置され、感知導管内の流体流れ空間を狭くする細長い部材と、
    前記両感知部材を加熱する手段と、
    前記両感知部間の温度差を検出する手段とを具備する流量計。
  14. 前記細長い部材は、感知導管の内面に付勢されて感知導管内の所定位置にこの細長い部材が保持されるように変形されている請求項13の流量計。
  15. 前記細長い部材は、感知導管に挿入される前に、少なくとも1箇所で変形されている請求項13の流量計。
  16. 前記細長い部材は、1もしくは複数の箇所での曲げがそのままで維持され、かつ感知導管を変形しないで感知導管から取り出せるのに充分な可撓性を有する材料で製造されている請求項13の流量計。
  17. 前記各感知部材は、加熱並びに温度感知コイルを有する請求項13の流量計。
  18. 前記細長い部材は、前記第1の感知部材の長さの1/4以上の間隔で、第1の感知部材から離れて終端している第1の端部を有する請求項13の流量計。
  19. 前記細長い部材の第1の端部は、前記第1の感知部材の長さ以上の間隔で、第1の感知部材から離れて終端している請求項18の流量計。
  20. 前記細長い部材はワイヤーを有する請求項13の流量計。
  21. 前記細長い部材はチューブを有する請求項13の流量計。
  22. 測定される流体が中を流される感知導管と、
    この感知導管に装着された加熱並びに温度感知コイルと、
    前記加熱並びに温度感知コイルに近接して終端し、感知導管内に前記流路に沿って配置され、感知導管内の流体流れ空間を狭くする細長い部材とを具備する流量計。
  23. 前記細長い部材は、感知導管の内面に付勢されて感知導管内の所定位置にこの細長い部材が保持されるように変形されている請求項22の流量計。
  24. 前記細長い部材は、感知導管に挿入される前に、少なくとも1箇所で変形されている請求項22の流量計。
  25. 前記細長い部材は、1もしくは複数の箇所での曲げがそのままで維持され、かつ感知導管を変形しないで感知導管から取り出せるのに充分な可撓性を有する材料で製造されている請求項22の流量計。
  26. 前記細長い部材は、ステンレスで形成されている請求項25の流量計。
  27. 前記細長い部材は、前記加熱並びに温度感知コイルの長さの1/4以上の間隔で、加熱並びに温度感知コイルから離れて終端している第1の端部を有する請求項22ないし26のいずれか1の流量計。
  28. 前記細長い部材の第1の端部は、前記加熱並びに温度感知コイルの長さ以上の間隔で、加熱並びに温度感知コイルから離れて終端している請求項27の流量計。
  29. 前記細長い部材はワイヤーを有する請求項28の流量計。
  30. 前記細長い部材はチューブを有する請求項28の流量計。
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