JP4033637B2 - 蛋白質切断活性を有する細胞のスクリーニング方法 - Google Patents

蛋白質切断活性を有する細胞のスクリーニング方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、蛋白質切断活性(プロセッシング活性)を有する細胞のスクリーニング方法とこの方法により特定された細胞に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、生体内で発現している蛋白質に対して特異的なプロセッシング活性を有する細胞を特定するためのスクリーニング方法と、この方法によって特定された細胞に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
細胞の染色体DNAから産生される蛋白質は細胞の内外で様々な修飾を受け、生理活性を持つ場合がある。そのような修飾の一つとして蛋白質の切断(プロセッシング)があり、染色体DNAから産生された全長蛋白質が切断酵素(プロセッシング酵素)によって選択的に切断され、部分蛋白質として特有な生理活性を発揮するようになる。
【0003】
このような蛋白質の切断は、生理的条件においてのみならず、多くの病理学的条件においても重要な役割を果たしている。例えば、ハンチントン病、マシャド−ジョセフ病(Machado-Joseph diaease:MJD)、球脊髄性筋萎縮症等の遺伝性神経変性疾患は、ポリグルタミンをコードする長いCAG反復を有する蛋白質によって引き起こされることが知られており(文献1-3)、それ故に「ポリグルタミン病」と呼ばれている(文献4、5)。この出願の発明者らは、MJDの原因遺伝子であるMJD遺伝子を単離し(文献2)、その遺伝子産物であるMJD蛋白質の全長においてではなく、蛋白質フラグメントの一部としてポリグルタミンが発現した場合に、それらが凝集して培養細胞に細胞死を生じさせ、in vivoではトランスジェニックマウスに神経変性を誘導することを証明した(文献7)。このことは、MJD遺伝子から産生されたMJD蛋白質が発現後に切断されること、そしてそのMJD蛋白質に対してプロセッシング活性を有する細胞が生体内に存在することを明確に示している。また、他のポリグルタミン病においても、同様に原因蛋白質の限定分解がその発病の原因であると考えられ、そのプロセッシング活性を有する細胞の存在を強く示唆する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のとおり、MJDや他のポリグルタミン病における原因蛋白質の切断のメカニズムを解明することは、その発病の危険性の診断法や、あるいは治療法、治療薬を開発するうえで極めて重要である。しかしながら、そのような蛋白質のin vivoにおける切断活性は微弱であるため、分析することが極めて困難である。そこで、標的となる蛋白質に対して特異的なプロセッシング活性を有する細胞を特定することができれば、蛋白質切断メカニズムを解明するための有効な手段となることが期待されるが、そのような細胞を特定する方法も従来は全く存在していなかった。
【0005】
この発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、ポリグルタミン病原因蛋白質等の標的蛋白質に対して特異的なプロセッシング活性を有する細胞を確実に特定することのできる新しい細胞スクリーニング方法を提供することを課題としている。
【0006】
また、この発明は、前記のスクリーニング方法によって特定された細胞を提供することを課題としてもいる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願は、前記の課題を解決する発明として、標的蛋白質に対する切断活性を有する細胞をスクリーニングする方法であって、以下のステップ、
(i) 以下の2つのDNAを細胞内に導入するステップ、
(a) 標的蛋白質をコードするDNAの一端に膜貫通蛋白質の膜貫通領域をコ
ードするDNAを、他端には転写活性化因子をコードするDNAを連結した
融合DNA;および
(b) 転写活性化因子に応答するプロモーター配列をコードするDNAと、薬
剤に対する耐性遺伝子をコードするDNAとを連結したDNA、
(ii) この細胞を前記薬剤耐性遺伝子が抵抗性を示す薬剤を含む培地で培養し、薬剤耐性を示す細胞を選択するステップ、
を有することを特徴とする細胞スクリーニング方法を提供する。
【0008】
以下、この出願についてその実施形態を詳しく説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の細胞スクリーニング方法は、細胞の持つ弱い蛋白質プロセッシング活性を強い転写活性に転換し、それによって発現される薬剤耐性を指標として目的の細胞を特定することを特徴としている。
【0010】
具体的には、この発明の細胞スクリーニング方法は以下の2段階のステップからなっている。
ステップ(i): 目的とするプロセッシング活性を有すると想定される候補細胞
へのDNA(a)(b)の導入
融合DNA(a)は、標的蛋白質をコードするDNAの両端に、膜貫通蛋白質の膜貫通領域をコードするDNAと転写活性化因子をコードするDNAを連結した融合DNAである。
【0011】
標的蛋白質は、ポリグルタミン病の原因遺伝子産物である蛋白質の他、生体内でのプロセッシングによって生理活性を有するような蛋白質の全てを対象とすることができる。それらの蛋白質をコードするDNAは、それぞれの公知のcDNAを用いることができる。また、cDNAが未知の蛋白質については、蛋白質の部分アミノ酸配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして既存のcDNAライブラリーを公知の方法によりスクリーニングすることによって、目的とする標的蛋白質をコードするDNAを得ることができる。
【0012】
膜貫通蛋白質の膜貫通領域をコードするDNAとしては、ポンプ蛋白質、トランスポーター、イオンチャンネル、受容体蛋白質、膜構造蛋白質等として知られている公知の膜貫通蛋白質のcDNAから、その膜貫通ドメインを構成するDNA部分を単離して用いることができる。目的とするDNA部分を単離するためには、全長cDNAクローンの制限酵素による切断や、PCR増幅等を用いることができる。
【0013】
転写活性化因子は、それが作用するプロモーター配列が既知であるものであれば特段の制限はなく、公知の転写活性化因子を用いることができるが、転写活性の強いものが好ましく、さらには哺乳動物の細胞がもたないものが好ましい。例えば、実施例で例示した人工転写活性化因子Gal4VP16等を好ましく用いることができる。
【0014】
膜貫通領域をコードするDNAと、転写活性化因子をコードするDNAは、標的蛋白質をコードするDNAのいずれの端部に連結してもよい。
以上のとおりの融合DNA断片(a)は、公知の発現ベクターに連結し、公知の方法(電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法等)によって候補細胞にトランスフェクションすることができる。このようにして細胞にトランスフェクションされた融合DNA(a)は、膜貫通領域+標的蛋白質+転写活性化因子からなる融合蛋白質を細胞内で発現する。そして、例えば膜貫通領域をN末端に有し、転写活性化因子をC末端に有する融合蛋白質は、そのN末端部分が細胞膜を貫通して膜に局在する。
【0015】
次に、DNA(b)は、転写活性化因子に応答するプロモーター配列をコードするDNAと、薬剤に対する耐性遺伝子をコードするDNAとを連結した融合DNA断片である。
【0016】
プロモーター配列をコードするDNAは、前記融合DNA(a)に用いた転写活性化因子に対応するプロモーター配列であり、例えば、Gal4VP16転写活性化因子を用いた場合には、Gal4応答プロモーター配列をコードするDNAを使用することができる。また、薬剤に対する耐性遺伝子は、公知の薬剤耐性遺伝子を特段の制限なく使用することができる。
【0017】
このようなDNA(b)もまた、公知の発現ベクターに連結し、公知の方法によって候補細胞にトランスフェクションすることができる。
なお、DNA(a)(b)は、同時にトランスフェクションしてもよく、あるいはいずれかの融合DNAを先にトランスフェクションして、その形質転換細胞を選別し、その形質転換細胞にもう一方の融合DNAをトランスフェクションするようにしてもよい。
【0018】
DNA(a)(b)をトランスフェクションする候補細胞は、特段の制限はなく、どのような細胞であってもよいが、好ましくは、標的蛋白質が機能する組織の細胞または細胞株を対象とする。
ステップ(ii): 細胞のスクリーニング
前記のステップ(i)でDNA(a)(b)をトランスフェクションした細胞を、薬剤耐性遺伝子が抵抗性を示す薬剤を含む培地で培養し、薬剤耐性を指標として、標的蛋白質に対してプロセッシング活性を有する細胞を選択する。
【0019】
すなわち、DNA(a)(b)をトランスフェクションした細胞が標的蛋白質に対するプロセッシング活性を有する場合には、融合DNA(a)から発現する融合蛋白質の標的蛋白質部分がプロセッシングされ、転写活性化因子部分を含む蛋白質フラグメントが核内に移行し、DNA(b)のプロモーター配列に転写活性化因子が結合する。これによって薬剤耐性遺伝子が発現し、細胞は薬剤耐性能を獲得する。従って、薬剤耐性を示す細胞は、標的蛋白質に対してプロセッシング活性を有する細胞が含まれると判定することができる。
【0020】
以下、実施例を示してこの出願の発明についてさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0021】
【実施例】
1.材料および方法
1.1 蛋白質
以下の蛋白質を使用した。
【0022】
グリーン蛍光タンパク質(GFP);MJD79(病理学的長さである79個のポリグルタミン反復を含み、flag標識した完全長MJD蛋白質[文献2、7、13]);MJD35(正常な長さである35個のポリグルタミン反復を含み、flag標識した完全長MJD蛋白質([文献2、7、13]);Q79(flag標識したMJD蛋白質からの79個のポリグルタミン配列([文献2、7、13]);Hu586-23(23個のポリグルタミン反復を含んでいる586アミノ酸長のN末端ハンチンチンフラグメント(文献1);Hu649-86(86個のポリグルタミン反復を含む649アミノ酸長のN末端ハンチンチンフラグメント(文献1)。なお、以下の記載において、ハイフンで連結された蛋白質は、たとえばMJD79-GFPおよびGFP-MJD79は、それぞれGFPがMJD79のCおよびN末端に融合されていることを示す。
1.2 細胞培養および細胞選択
PC12細胞を文献13の記載に従って培養した。3.2μgのpCMX-TM-MJD35-Gal4VP16と、0.8μgのpGalRE-MTV-Zeoとを、TransFAST(プロメガ)を用いて1×106個のPC12細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後に細胞を再播種し、100μg ml-1のゼオシン(Invitrogen)にて選択し、36個のコロニーを単離して分析した。2回目の選択は、400μg ml-1のゼオシンを用いて行った。
1.3 凝集分析
7.5×104個のPC12細胞親株および薬剤選択されたサブクローンに、1μgのpCMX-MJD79-GFPを6ウェルシャーレ中にてトランスフェクトした。翌日培養液を交換し、神経分化を誘導した(文献13)。トランスフェクションの3、6、9、および12日後に、GFP陽性の生細胞で、凝集物が観察された細胞数を数えた。約300個のトランスフェクトした細胞が数えられた。正確を期すため、以上の手続を少なくとも4回繰返した。
1.4 ウェスタンブロッティング
7.5×104個のPC12細胞親株と、B16よびC10細胞とに、1μgのpCMX-MJD35-GFP、-MJD79-GFP、-Hu586-23-GFP、または-Hu649-86-GFPをトランスファストを用いてトランスフェクトし、細胞を分化させてトランスフェクションの6日後に集め、1%トリトンX-100、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、0.25 M NaCl、5 mM EDTA、1 mM PMSF、20 mM-トリス−HCl, pH 7.4を用いて溶解した。10μgの細胞溶解物をSDS-PAGE電気泳動し、ウサギの抗GFPポリクローナル抗体(MBL)と反応させた。シグナルはECLシステム(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて検出した。
2.結果
2.1 PC12細胞のMJD蛋白質プロセッシング活性
MJD蛋白質のプロセシング活性を有する培養細胞を同定するため、MJD79を種々の細胞系において発現させ、発現されたMJD79蛋白質を免疫化学的に調べた(文献2、7、13)。その結果、分裂細胞にはMJD蛋白質の切断を示唆するいかなる証拠も認められなかった。しかしながら、MJD79のトランスフェクションの数日後、神経細胞様に分化したPC12細胞では、約数百個に1個が、その細胞内においてポリグルタミンを含む凝集物を生ずることが観察された。これらの凝集物は、MJD蛋白質のポリグルタミン部分のすぐ下流のひと続きのアミノ酸を認識する抗体を用いてのみ検出されたが、MJD蛋白質のN−末端に付着されたタグに対する抗体では検出されなかった(文献13)。MJD79-GFPのトランスエクションに対しも、その数日後の分化した細胞では同様の頻度で生細胞中に凝集物の形成が検出されたが、GFP-MJD79では検出されなかった(図1)。均一のGFPシグナル内に観察されたこれらの凝集物は、Q79-GFPをトランスフェクトした細胞で観察されたものと見分けがつかなかった。
【0023】
以上の結果は、PC12の非常に小さい集団がMJD蛋白質に対するプロセッシング活性を有しており、またこの活性が非常に弱いために、分裂細胞では切断されたMJD産物が凝集物を形成するに充分な蓄積をしないことが示唆された。
2.2 MJD蛋白質に対してプロセッシング活性を有する細胞の単離
この出願の発明方法を用いて、MJD蛋白質に対してプロセッシング活性を有するPC12細胞を単離した。
【0024】
標的蛋白質(MJD蛋白質)としては、その切断されたフラグメントの凝集物形成による細胞死を避けるため、正常な長さのポリグルタミンリピートをもつMJD35を用いた。また、膜貫通領域としてFasレセプターの膜貫通ドメイン(TM)(文献15)を、転写活性化因子としてGal4VP16を用い、融合蛋白質TM-MJD35-Gal4VP16を発現する融合DNA(a)を作成し、pCMXベクターに組み換えた。この融合DNA(a)によって細胞内で発現される融合蛋白質TM-MJD35-Gal4VP16はTM部分が細胞膜を貫通することによって細胞膜に付着されることが免疫学的分析により確認された(データは示さず)。
【0025】
一方、DNA(b)の発現系としては、Gal4応答プロモーター配列の支配下でゼオシン(Zeocin)耐性遺伝子を発現するGal4レポータープラスミドを用いた。
その結果、100μg ml-1のゼオシンを用いた選択によってPC12細胞のいくつかのサブクローンを取得した(図2A)。これらのサブクローンのうち、一つのサブクローン(B16)は強いMJDプロセッシング活性を有していた。このB16細胞においては、MJD79-GFPトランスフェクションの12日後に、GFP陽性細胞の約7.5%において凝集物が観察され、このような凝集物陽性の細胞は、やがて数日後に死滅した。
【0026】
このB16細胞を用いて、さらに高い濃度(400μg ml-1)のゼオシンによる薬剤選択を繰返し、B16細胞よりもさらに強いMJDプロセッシング活性を有するいくつかのサブクローンを単離することに成功した(図2A)。このようなサブクローンの中で、C10細胞が最も高いMJDプロセッシング活性を有していた。B16およびC10の両細胞においては、ポリグルタミンを介する凝集物は時間に依存する様式で増加し(図2B)、MJD79-GFPトランスフェクションの12日後のC10細胞では、GFP陽性細胞の約24%において凝集物が観察された。この時点では、多くのGFP陽性の死細胞が培養液中に浮遊しており、それはB16細胞におけるよりもさらに著しいことから、凝集物陽性のC10細胞の真のパーセントはさらに高いであろうと推測される。MJD35-GFPを用いたトランスフェクションでは、B16およびC10細胞には凝集物形成は観察されず、GFPのみのトランスフェクションと比較した場合の細胞死には差は観られなかった(データは示さず)。
2.3 単離された細胞におけるMJD蛋白質の特異的切断
B16およびC10細胞におけるMJD蛋白質の特異的切断を、ウェスタンブロッティングにより生化学的に確認した(図3)。トランスフェクトされた完全長MJD35-GFPおよびMJD79-GFP蛋白質は、各々65 kDaおよび73 kDaのバンドとして、抗GFP抗体を用いて検出された。これらのバンドに加えて、B16およびC10細胞からの細胞抽出物は、MJD35-GFPトランスフェクションでは約40 kDaの、またMJD79-GFPトランスフェクションでは約46 kDaの付加的なバンドを示した。ポリグルタミンリピートの長さは、これらの細胞におけるMJD蛋白質の切断効率に影響を及ぼさなかった。
【0027】
さらに、B16およびC10細胞の蛋白質プロセッシング活性の特異性を検討するため、ハンチントン病および球脊髄性筋萎縮症の原因となる遺伝子産物である(それぞれハンチンチンおよびアンドロゲンレセプター)に対するプロセッシング活性を調べた。その結果、図3に示したように、B16およびC10細胞では、ハンチンチンに対するプロセッシング活性は全く観察されなかった。またアンドロゲンレセプターに対するプロセッシング活性も観察されなかった(データは示さず)。これらの結果からも、B16およびC10細胞における増強されたプロセッシング活性がMJD蛋白質に対して特異的であることが確認された。また、この発明の細胞スクリーニング方法が、特定の標的蛋白質に対して強いプロセッシング活性を有する細胞を選択的にスクリーニング可能であることが確認された。
【0028】
さらに、切断された産物の大きさからの、MJD蛋白質の切断部位のおよその算定では、MJD蛋白質はこれらの細胞内では、そのC末端に向かって250番目のアミノ酸残基周辺で切断されることが示唆される(文献2)。大腸菌発現系を用いて合成されたMJD蛋白質のNMR構造分析に関する発明者らの予備データでは、MJD蛋白質はそのN末端部分により高次の構造を、またポリグルタミンの伸長残基があるC末端の付近には比較的自由な構造を有することが示された。このことと一致して、トリプシン処理はMJD蛋白質を、その206番目のリジンの後ろの単一部位で切断する(文献2)が、このトリプシン切断部位へのアミノ酸変異の導入によっても、B16およびC10細胞ではMJD蛋白質は切断された(データは示さず)。このことは、B16およびC10細胞におけるMJD蛋白質のプロセッシングは、トリプシンまたはトリプシン様のプロテアーゼによるものではないことを示している。従って、この発明方法によって単離された細胞は、MJD蛋白質に対するプロセシング活性のさらなる特徴づけと、まだ未知のMJDプロセッシング酵素の同定に有用でることが強く示唆された。
【0029】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、生体内でプロセッシングを受ける蛋白質に対して特異的なプロセッシング活性を有する細胞を高精度でスクリーニングすることのできる新しい方法が提供される。この方法によって特定される細胞は、例えばその細胞が産生する蛋白質切断酵素の単離・精製により、各種の疾患原因蛋白質を切断する活性を阻害することを薬理機序とする新規薬剤の開発、すなわち蛋白質の特異的な切断が原因となる疾患に対する治療法や薬剤開発に有用である。
【0030】
【文献リスト】
1. Cell 72, 971-983 1993.
2. Nat. Genet. 8, 221-228, 1994.
3. Nature 352, 77-79, 1991.
4. Curr. Opin. Neurol. 10, 285-290, 1997.
5. Trend. Genet. 14, 396-402, 1998.
6. Neuron 15, 493-496, 1995.
7. Nat. Genet. 13, 196-202, 1996.
8. Science 277, 1990-1993, 1997.
9. Ann. Neurol. 44. 249-254, 1998.
10.Brain Pathol. 8, 669-679, 1998.
11.Hum. Molec. Genet. 7, 1355-1361, 1998.
12.Neuron 24, 275-286, 1999.
13.Genes Cells 4, 743-756, 1999.
14.Cancer Res. 58, 2282-2287, 1998.
15.Cancer Res. 56, 4164-4170, 1996.
【図面の簡単な説明】
【図1】生細胞におけるポリグルタミン凝集物を可視化した顕微鏡像である。PC12細胞にGFP-MJD79、MJD79-GFP、およびQ79-GFPをトランスフェクトし、神経細胞様に分化した生細胞中に発現されたタンパク質を蛍光顕微鏡により調べた。GFP-MJD79(A)およびMJD79-GFP(B)は、トランスフェクションの12日後の細胞において細胞全体に均等に検出された。1%より少ないMJD79-GFPトランスフェクト細胞が、トランスフェクションの12日後に、ポリグルタミンを介する凝集物様GFPシグナルを示した(C)。Q79-GFPをトランスフェクトした細胞は、トランスフェクションのはや3日後に、すべてのトランスフェクトした細胞において凝集物を形成した(D)。
【図2】 MJD蛋白質に対して高いプロセッシング活性をもつ細胞を単離した結果であり、GFP陽性細胞のうちで顕在的な凝集物を含んでいる細胞のパーセントである。トランスフェクションの12日後(A)、およびトランスフェクションの3、6、9、および12日後(B)に細胞を検査した。3回の実験の平均値が示されている。バーはs.d.を示す。グラフ中の白カラムはPC12細胞親株、灰色カラムはB16細胞、黒カラムはC10細胞である。
【図3】 MJD35-GFP、MJD79-GFP、Hu586-23-GFP、およびHu649-86-GFPでそれぞれトランスフェクションした6日後の、PC12細胞親株(A)、B16、およびC10細胞からの細胞抽出物のウェスタンブロット分析の結果である。切断された蛋白質のバンドは矢印で示した。

Claims (1)

  1. 標的蛋白質に対する切断活性を有する細胞をスクリーニングする方法であって、以下のステップ、(i)以下の2つのDNAを細胞内に導入するステップ、(a)標的蛋白質をコードするDNAの一端に膜貫通蛋白質の膜貫通領域をコードするDNAを、他端には転写活性化因子をコードするDNAを連結した融合DNA;および(b)転写活性化因子に応答するプロモーター配列をコードするDNAと、薬剤に対する耐性遺伝子をコードするDNAとを連結したDNA、(ii)この細胞を前記薬剤抵抗性遺伝子が抵抗性を示す薬剤を含む培地で培養し、薬剤耐性を示す細胞を選択するステップ、を有することを特徴とする細胞スクリーニング方法。
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