JP4033003B2 - 保冷保温庫 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は保冷保温庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の保冷保温庫は、特許文献1や特許文献2に示されるように、ペルチェ素子などを使用して断熱された箱の中を冷却または加熱して、保冷または保温を行うものであった。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−111228号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平6−307752号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術では保冷または保温した飲食物などを保冷保温庫から取り出し飲食する場合、どんどん熱が逃げてしまい、保冷していたものは暖まってしまう、保温していた物は冷めてしまうという問題点があった。特に、介護サービスなどで使用される介護食や老人食などでは食事時間が長い場合があり、その場合飲食物が暖まったり、冷めたりしておいしさが失われてしまうという大きな問題があった。またアイスクリームなどでは溶けてしまい本来のおいしさが失われるという大きな問題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決したもので、物品収納時にも物品使用時にも物品を保冷保温できる保冷保温庫を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段(以下、第1の技術的手段と称する。)は、物品を収納する収納空間び前記物品を出し入れするための開口部を有する本体ケースと、
載置面を有し、前記載置面を冷却または加熱する温度調節装置とが設けられ且つ前記開口部に嵌合し本体ケースから分離可能な蓋体とを備え、
前記載置面が前記収納空間と対向するように前記蓋体が前記開口部に嵌合された時には、前記温度調節装置は前記収納空間を冷却または加熱し、
前記蓋体の前記載置面を上向けて前記載置面に前記物品が載置された時には、前記温度調節装置は前記載置面を冷却または加熱することを特徴とする保冷保温庫保冷保温庫である。
【0008】
上記第1の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0009】
すなわち、物品収納時には温度調節装置によって収納空間を冷却または加熱でき、かつ物品使用時には物品を載置する載置面を冷却または加熱できるので、物品収納時にも物品使用時にも物品を保冷保温できる。
【0010】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項2において講じた技術的手段(以下、第2の技術的手段と称する。)は、前記収納空間を冷却または加熱するために前記開口部を閉めているときの前記蓋体の前記収納空間側に熱伝導部材が設けられ、該熱伝導部材が前記温度調節装置の吸熱側、放熱側の一方側との間で伝熱されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の保冷保温庫である。
【0011】
上記第2の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0012】
すなわち、温度調節装置の吸熱側、放熱側の一方側に伝熱可能に連結された熱伝導部材が収納空間側にあるので、温度調節装置の冷熱または温熱を熱伝導部材を介して収納空間に伝達でき、効果的に収納空間を保冷または保温することができる。
【0013】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項3において講じた技術的手段(以下、第3の技術的手段と称する。)は、前記蓋体の前記熱伝導部材が前記物品の載置面になることを特徴とする請求項2に記載の保冷保温庫である。
【0014】
上記第3の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0015】
すなわち、熱伝導部材が物品の載置面になっているので、熱伝導部材によって温度調節装置の冷熱または温熱を収納空間に効果的に伝達できるとともに、物品使用時の物品にも温度調節装置の冷熱または温熱を効果的に伝達できる。この結果、温度調節装置の冷熱または温熱を伝達する熱伝導部材を物品収納時にも物品使用時にも共用できるので、蓋体を小型化でき、かつ低コスト化できる。
【0016】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項4において講じた技術的手段(以下、第4の技術的手段と称する。)は、前記蓋体内に前記温度調節装置の吸熱側、放熱側の他方側と熱交換する空気を通すための第1空気通路が設けられ、該第1空気通路と前記熱伝導部材の間に断熱部材が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の保冷保温庫である。
【0017】
上記第4の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0018】
すなわち、温度調節装置の吸熱側、放熱側の他方側と熱交換する空気を通すための第1空気通路設けられているので、温度調節装置の一方側から他方側への熱移動を促進でき、保冷または保温のエネルギー効率を向上することができる。また第1空気通路と熱伝導部材の間に断熱部材が設けられているので、熱伝導部材の冷熱または温熱が第1空気通路側に逃げることを防止でき、より効果的に物品を保冷または保温することができる。
【0019】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項5において講じた技術的手段(以下、第5の技術的手段と称する。)は、前記蓋体内に前記第1空気通路のほかに第2空気通路が設けられ、前記第1空気通路、前記第2空気通路の一方は前記温度調節装置の吸熱側、放熱側の他方側に空気を送気する送気通路であり、前記第1空気通路、前記第2空気通路の他方は前記温度調節装置の吸熱側、放熱側の他方側に送気された空気を排気する排気通路であることを特徴とする請求項4記載の保冷保温庫である。
【0020】
上記第5の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0021】
すなわち、第1空気通路、第2空気通路の一方から送られた空気が温度調節装置の吸熱側、放熱側の他方側と熱交換した後、第1空気通路、第2空気通路の他方から排出されるので、蓋体内部に存在する温度調節装置の吸熱側、放熱側の他方側と効率的に熱交換することができる。また温度調節装置を設ける位置の自由度が増す効果を奏する。
【0022】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項6において講じた技術的手段(以下、第6の技術的手段と称する。)は、前記開口部が前記本体ケースの上方に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保冷保温庫である。
【0023】
上記第6の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0024】
すなわち、蓋体の物品載置面を上方に向けて開口部に蓋体を載置できるので、物品使用時に本体ケースを台として活用できる効果を奏する。収納空間側に設けられた熱伝導部材が物品の載置面になっている場合には、蓋体を上下反転させるだけで、物品収納時にも物品使用時にも物品を保冷または保温できる。さらに開口部が上方にあれば、物品が本体ケースに入れてあるときに蓋体を開ける際に誤って物品が転がり出ることを防止できる。
【0025】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項7において講じた技術的手段(以下、第7の技術的手段と称する。)は、前記開口部が前記本体ケースの側方に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保冷保温庫である。
【0026】
上記第7の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0027】
すなわち、開口部が本体ケースの側方に設けられているので、本体ケースから物品を容易に取り出すことができる。さらに温度調節装置が低い位置にあるため重心が低くなり保冷保温庫の安定感が増す効果を奏する。
【0028】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項8において講じた技術的手段(以下、第8の技術的手段と称する。)は、前記温度調節装置がペルチェモジュールであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の保冷保温庫である。
【0029】
上記第8の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0030】
すなわち、温度調節装置がペルチェモジュールであるので、蓋体を小型化できるとともに、ペルチェモジュールに供給する電流の向きを変えるだけで保冷と保温を切り替えることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。実施形態においては物品は飲食物であるとして説明する。図1は第1実施形態の保冷保温庫の飲食物収納時の説明断面図である。図2は第1実施形態の保冷保温庫の飲食時の説明断面図である。図3はペルチェモジュールの斜視図である。
【0032】
図3は第2絶縁基板3の一部を省略している。第1絶縁基板2、第2絶縁基板3にはそれぞれ電極2a、3aが設けられ、熱電素子1はP型熱電素子またはN型熱電素子であり、良く知られているようにP型熱電素子とN型熱電素子が交互に電極2aまたは電極3aによって電気的に直列に接続され、熱電回路部6が構成されている。ペルチェモジュール40は、熱電回路部6を第1絶縁基板2と第2絶縁基板3で挟持し、熱電素子1と第1絶縁基板2の電極2aおよび熱電素子1と第2絶縁基板3の電極3aを図示しない半田で接合して形成されている。第1絶縁基板2には熱電回路部6の両端に電流を供給するためのリード線4の一端が半田5により接続されている。
【0033】
リード線4から電流を供給することによって、第1絶縁基板2、第2絶縁基板3の一方側が吸熱側となり、他方側が放熱側となる。供給する電流の向きを変えることによって第1絶縁基板2を吸熱側にしたり、第2絶縁基板3を吸熱側にしたりできる。吸熱側を利用すれば対象物を冷却でき、放熱側を利用すれば対象物を加熱できる。すなわち、ペルチェモジュール40を温度調節装置として利用できる。
【0034】
第1実施形態の保冷保温庫には、物品7を収納する収納空間11および物品7を出し入れするための開口部12を有する本体ケース10と、蓋体20とが設けられている。物品7は飲食物をいれたカップやボトルである。本体ケース10は断熱材13を内張14と外板15で挟持した断熱構造で構成されている。本体ケース10の開口部12は上方に設けられている。
【0035】
蓋体20には熱伝導部材21、断熱部材22、第1空気通路23、第2空気通路24、仕切部材25、ペルチェモジュール40、フィン41、ファン42および外板26から構成されている。蓋体20の外径形状は略平板状である。蓋体20の一方面側には、熱伝導部材21と、熱伝導部材21の外周部を覆う外板26の一部で構成され開口部12と嵌合する第1嵌合部27が設けられている。蓋体20の他方面側には開口部12と嵌合する第2嵌合部28を有する外板26が設けられている。第1嵌合部27、第2嵌合部28は開口部12の周囲全体にわたって設けられている。
【0036】
収納空間11内に物品7を保冷または保温するために蓋体20を本体ケース10上に載置する物品収納時には第1嵌合部27が開口部12に嵌合される。このとき熱伝導部材21は、収納空間11側に位置し、その一部は収納空間11側に露出している。蓋体20をトレイとして使用する物品使用時には第2嵌合部28が開口部12に嵌合される。このとき熱伝導部材21は上方に位置し、物品7の載置面となっている。熱伝導部材21には、蓋体20をトレイとして使用する際に物品7を置くための凹部形状のホルダ部21aが設けられている。
【0037】
収納空間11側に対して熱伝導部材21の反対側にはペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が接合されている。ペルチェモジュール40の第2絶縁基板3にはフィン41が接合されている。ペルチェモジュール40に対してフィン41の反対側にはファン42が設けられている。
【0038】
第1空気通路23は蓋体20内に蓋体20の平板面と略平行に設けられた、フィン41に空気を送るための空気通路である。第1空気通路23の両端面は外板26に覆われ、その外板26の部分に外気を取り入れるための空気供給口23aが設けられている。第1空気通路23はペルチェモジュール40の第2絶縁基板3側と熱交換する空気を通すための空気通路である。第1空気通路23と熱伝導部材21の間には断熱部材22が設けられている。
【0039】
蓋体20内には第1空気通路23に略平行な第2空気通路24が熱伝導部材21に対して第1空気通路23の反対側に設けられ、第1空気通路23と第2空気通路24の間は仕切部材25で仕切られている。第2空気通路24の両端面は外板26に覆われ、その外板26の部分に空気を排出するための空気排出口24aが設けられている。仕切部材25には穴部が形成され、ここにファン42が設けられている。第1空気通路23と第2空気通路24はファン42の部分で連通している。
【0040】
ファン42によって、空気供給口23aから取り入れられた空気は第1空気通路23を通ってフィン41で熱交換し第2空気通路24を通って空気排出口24aから排出される。第1実施形態では、第1空気通路23が送気通路であり、第2空気通路24が排気通路である。
【0041】
熱伝導部材21の材料としてはアルミニウム材を使用しているが、これに限定されず、銅などの金属や窒化アルミなどのセラミックなどの熱伝導材料が使用できる。断熱部材22の材料としては発泡ウレタンを使用しているが、発泡スチロールなどの断熱材料や、ポリエチレンメッシュなどのメッシュ形状や構造的に断熱性を付与した部材が使用できる。仕切部材25の材料としてポリプロピレン樹脂を使用しているが、特に材料は限定されない。しかし、第1空気通路23と第2空気通路24の間で熱伝導が起こらないことが望ましく、樹脂材料のように断熱材料が望ましい。
【0042】
外板26の材料としてはナイロン樹脂を使用しているが、特に限定されない。しかし、蓋体20をトレイとして使用するときに上下反転させて蓋体20を開口部12に載置し、収納空間11内に物品7が残っていれば、保温または保冷されていた状態を保ち続けることができるので、断熱性に優れた材料を使用することが望ましい。
【0043】
蓋体20は保冷保温庫の開閉やトレイとして使用するために上下反転させる必要性から熱伝導部材21、仕切部材25など蓋体20を構成する部材は軽量であることが望ましい。また保冷保温庫は、内部に物品を入れて運搬する利用方法が一般的であり、蓋体20を構成する部材とともに断熱部材22など本体ケース10を構成する部材も軽量であることが望ましい。
【0044】
物品7を保冷保温庫内に保管して保冷または保温するときは、図1のように、飲食物が入った物品7を収納空間11内に入れて、第1嵌合部27が開口部12に嵌合するように蓋体20を本体ケース10上に載置する。このまま保冷保温庫を運搬することもできる。その場合、保冷保温庫に取っ手などを設け、運搬しやすくする。運搬時には、物品7として飲食物がこぼれにくい容器が使用される。
【0045】
図示されていないが蓋体20の外板26の外部には、保冷か保温を選択するスイッチと、その温度を指示する操作部が設けられている。そのスイッチで保冷を選択すると、図示されていない蓋体20に設けられた制御部により熱伝導部材21を冷却するようにペルチェモジュール40に電流が流される。すなわち、ペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が吸熱側、第2絶縁基板3が放熱側になるようペルチェモジュール40に電流が流される。
【0046】
熱伝導部材21が冷却されると、熱伝導部材21の近くの空気が冷却され、収納空間11が冷却される。これにより物品7が保冷される。制御部は操作部で設定された温度になるようペルチェモジュール40に流す電流量を制御する。もちろん、この温度制御をペルチェモジュール40に流す電流をオン・オフ制御で行ってもよい。このとき吸熱された熱は第2絶縁基板3側に放熱される。第1実施形態では第2絶縁基板3の熱はフィン41に伝達される。
【0047】
ファン42の回転により空気が空気供給口23aから第1空気通路23に取り入れられ、フィン41で熱交換し第2空気通路24を通って空気排出口24aから排出される。こうしてフィン41により第2絶縁基板3の熱が放熱されるので、保冷のエネルギー効率が向上される。
【0048】
一方、スイッチで保温を選択すると、蓋体20に設けられた制御部により熱伝導部材21を加熱するようにペルチェモジュール40に電流が流される。すなわち、ペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が放熱側、第2絶縁基板3が吸熱側になるようペルチェモジュール40に電流が流される。
【0049】
熱伝導部材21が加熱されると、熱伝導部材21の近くの空気が加熱され、収納空間11が加熱される。これにより物品7が保温される。制御部は操作部で設定された温度になるようペルチェモジュール40に流す電流量を制御する。このとき第2絶縁基板3側は吸熱され冷却される。第1実施形態では第2絶縁基板3に接合されているフィン41が冷却される。
【0050】
ファン42の回転により空気が空気供給口23aから第1空気通路23に取り入れられ、フィン41で熱交換し第2空気通路24を通って空気排出口24aから排出される。こうしてフィン41により第2絶縁基板3が温められるので、保温のエネルギー効率が向上される。
【0051】
第1空気通路23と熱伝導部材21の間に断熱部材22が設けられているので、熱伝導部材21の冷熱または温熱が第1空気通路23側に逃げることを防止でき、より効果的に保冷または保温できる。また第1空気通路23と第2空気通路24を仕切る仕切部材25が断熱材料であるため、第1空気通路23と第2空気通路24の間の伝熱を防止でき、より効果的にフィン41と熱交換できる。
【0052】
第1絶縁基板2は、保冷か保温にいずれに選択されたかによって吸熱側になったり放熱側になったりする。したがって熱伝導部材21はペルチェモジュールの吸熱側、放熱側の一方側との間で伝熱されるように構成されている。一方、第2絶縁基板3は第1絶縁基板2が吸熱側の時に放熱側となり、第1絶縁基板2が放熱側の時に吸熱側となる。したがって、第1空気通路23はペルチェモジュールの吸熱側、放熱側の他方側と熱交換する空気を通すための通路である。なお、第1実施形態では第1空気通路23を送気通路、第2空気通路24を排気通路として使用しているが、逆に第2空気通路24を送気通路、第1空気通路23を排気通路としてもよい。しかし、第1空気通路23を送気通路にすれば、フィン41で熱交換した空気が第1空気通路23を通らないので、断熱部材22の断熱効果を高めることができる。
【0053】
飲食物を飲食するときは、図2のように、蓋体20をトレイとして使用する。すなわち、蓋体20を上下逆転して第2嵌合部28が開口部12に嵌合するように本体ケース10上に載置する。物品の載置面となる熱伝導部材21が上方に向いている。飲食物が入った物品7を熱伝導部材21のホルダ部21aに置いて飲食する。上記の保管時と同様に操作部のスイッチで保冷を選択すると熱伝導部材21が冷却され、保温を選択すると熱伝導部材21が加熱される。保冷が必要な飲食物の場合はスイッチを保冷にし、保温が必要な飲食物の場合はスイッチを保温にする。こうして、飲食中に飲食物の温度が飲食物に適した温度に保つことができ、飲食物をおいしく食べることができる。特に、老人食はゼリー状で室温では溶けてしまうため、有効に活用できる。また本体ケース10上に載置した蓋体20をトレイとして使用するので、本体ケース10が机等の代わりになり、机等がない場所でも食べやすい効果を奏する。
【0054】
第1実施形態のように、開口部が本体ケースの上方に設けられ、収納空間側に設けられた熱伝導部材が物品の載置面になっている場合には、蓋体を上下反転させるだけで、物品収納時にも物品使用時にも物品を保冷または保温できるし、物品の使用時にも収納空間内に残された物品を保冷または保温できる。さらに開口部が上方にあれば、物品が本体ケースに入れてあるときに蓋体を開ける際に誤って物品が転がり出ることを防止できる。
【0055】
図4は蓋体のみをトレイとして使用するときの説明断面図である。蓋体20を本体ケース10から離して単独でトレイとして使用する。この場合、蓋体20と机等の適当な台上に載置して使用する。物品7を保冷または保温する機能は蓋体20を本体ケース10上に載置した場合と同様である。
【0056】
図5は第2実施形態の保冷保温庫の飲食物収納時の説明断面図である。図6は第2実施形態の保冷保温庫の飲食時の説明断面図である。第2実施形態の保冷保温庫の本体ケースは第1実施形態と同様の構造であり、同じ符号を付与し説明を省略する。第2実施形態の保冷保温庫は本体ケース10と蓋体30で構成されている。
【0057】
蓋体30には熱伝導部材31、断熱部材32、第1空気通路33、空気供給口34、ペルチェモジュール40、フィン41、ファン42および外板36から構成されている。蓋体30の外径形状は略平板状である。蓋体30の一方面側には、熱伝導部材31と、熱伝導部材31の外周部を覆う外板36の一部で構成され開口部12と嵌合する第1嵌合部37が設けられている。蓋体30の他方面側には開口部12と嵌合する第2嵌合部38を有する外板36が設けられている。第1嵌合部37、第2嵌合部38は開口部12の周囲全体にわたって設けられている。
【0058】
収納空間11内に物品7を保冷または保温するために蓋体30を本体ケース10上に載置するときは第1嵌合部37が開口部12に嵌合される。このとき熱伝導部材31は、収納空間11側に位置し、その一部は収納空間11側に露出している。蓋体30をトレイとして使用するときは第2嵌合部38が開口部12に嵌合される。このとき熱伝導部材31は上方に位置し、物品7の載置面となっている。熱伝導部材31には、蓋体20をトレイとして使用する際に物品7を置くための凹部形状のホルダ部31aが設けられている。
【0059】
収納空間11側に対して熱伝導部材31の反対側にはペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が接合されている。ペルチェモジュール40の第2絶縁基板3にはフィン41が接合されている。ペルチェモジュール40に対してフィン41の反対側にはファン42が設けられている。
【0060】
第1空気通路33は蓋体30内に蓋体30の平板面と略平行に設けられた、フィン41に空気を送るための空気通路である。第2実施形態ではフィン41、ファン42は第1空気通路33中に存在する。第1空気通路33の両端面は外板36に覆われ、その外板26の部分に空気を排出するための空気排出口33aが設けられている。第1空気通路33と熱伝導部材31の間には断熱部材32が設けられている。
【0061】
第1空気通路33はペルチェモジュール40の第2絶縁基板3側と熱交換する空気を通すための空気通路である。フィン41に対してファン42の反対側の外板36には第1空気通路33に空気を取り入れるための空気供給口34が設けられている。ファン42によって、空気供給口34から取り入れられた空気はフィン41で熱交換し空気排出口33aから排出される。熱伝導部材31、断熱部材32の材料は、熱伝導部材21、断熱部材22と同じものを使用している。
【0062】
物品7を保冷保温庫内に保管して保冷または保温するときは、図5のように、飲食物が入った物品7を収納空間11内に入れて、第1嵌合部37が開口部12に嵌合するように蓋体30を本体ケース10上に載置する。
【0063】
図示されていないが蓋体30の外板36の外部には、保冷か保温を選択するスイッチと、その温度を指示する操作部が設けられている。そのスイッチで保冷を選択すると、図示されていない蓋体30に設けられた制御部により熱伝導部材31を冷却するようにペルチェモジュール40に電流が流される。すなわち、ペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が吸熱側、第2絶縁基板3が放熱側になるようペルチェモジュール40に電流が流される。
【0064】
熱伝導部材31が冷却されることにより、第1実施形態と同様、物品7が保冷される。このとき吸熱された熱は第2絶縁基板3側に放熱され、フィン41に伝達される。ファン42の回転により空気供給口33から取り入れられた空気は、フィン41で熱交換したのち、第1空気通路33を通って空気排出口33aから排出される。こうしてフィン41により第2絶縁基板3の熱が放熱されるので、保冷のエネルギー効率が向上される。
【0065】
一方、スイッチで保温を選択すると、蓋体30に設けられた制御部により熱伝導部材31を加熱するようにペルチェモジュール40に電流が流される。すなわち、ペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が放熱側、第2絶縁基板3が吸熱側になるようペルチェモジュール40に電流が流される。
【0066】
熱伝導部材31が加熱されることにより、第1実施形態と同様、物品7が保温される。このとき第2絶縁基板3側は吸熱され冷却される。第1実施形態では第2絶縁基板3に接合されているフィン41が冷却される。
【0067】
ファン42の回転により空気供給口33から取り入れられた空気は、フィン41で熱交換したのち、第1空気通路33を通って空気排出口33aから排出される。フィン41により第2絶縁基板3が温められるので、保温のエネルギー効率が向上される。
【0068】
飲食物を飲食するときは、図6のように、蓋体30をトレイとして使用する。すなわち、蓋体30を上下逆転して第2嵌合部38が開口部12に嵌合するように本体ケース10上に載置する。飲食物が入った物品7を熱伝導部材31のホルダ部31aに置いて飲食する。上記の保管時と同様に操作部のスイッチで保冷を選択すると熱伝導部材31が冷却され、保温を選択すると熱伝導部材31が加熱される。このときファン42の回転により収納空間11側から空気が取り入れられる。本体ケース10と蓋体30の間のわずかな隙間から外気が収納空間11に取り入れられる。
【0069】
保冷が必要な飲食物の場合はスイッチを保冷にし、保温が必要な飲食物の場合はスイッチを保温にする。こうして、第1実施形態と同様、飲食中に飲食物の温度が飲食物に適した温度に保つことができ、飲食物をおいしく食べることができる。第2実施形態でも第1実施形態と同様、蓋体30のみでトレイとして使用することもできる。
【0070】
第2実施形態も開口部が本体ケースの上方に設けられ、収納空間側に設けられた熱伝導部材が物品の載置面になっているので、蓋体を上下反転させるだけで、物品収納時にも物品使用時にも物品を保冷または保温できる。第2実施形態の場合には、収納空間11側が断熱されていないので、物品使用時には収納空間11を保冷または保温し続けることはできない。さらに開口部が上方にあれば、物品が本体ケースに入れてあるときに蓋体を開ける際に誤って物品が転がり出ることを防止できる。
【0071】
図7は第3実施形態の保冷保温庫の飲食物収納時の説明断面図である。図8は第3実施形態の保冷保温庫の飲食時の説明断面図である。第3実施形態の保冷保温庫の本体ケースは第1実施形態と同様の構造であり、同じ符号を付与し説明を省略する。第3実施形態の保冷保温庫は本体ケース10と蓋体50で構成されている。
【0072】
蓋体50には熱伝導部材51、断熱部材52、第1空気通路53、空気供給口54、ペルチェモジュール40、フィン41、ファン42および外板56から構成されている。蓋体50の外径形状は略平板状である。蓋体50の一方面側には熱伝導部材51が設けられている。熱伝導部材51は断熱部材52で包囲されている。蓋体50の表面側の断熱部材52は熱伝導部材51が外部に露出するように穴が開けられ、この部分がホルダ部55となっている。断熱部材52の外周部を覆う外板56の一部で構成され開口部12と嵌合する第1嵌合部57が設けられている。蓋体50の他方面側には開口部12と嵌合する第2嵌合部58を有する外板56が設けられている。第1嵌合部57、第2嵌合部58は開口部12の周囲全体にわたって設けられている。
【0073】
収納空間11内に物品7を保冷または保温するために蓋体50を本体ケース10上に載置するときは第1嵌合部57が開口部12に嵌合される。このとき熱伝導部材51は、収納空間11側に位置し、その一部は収納空間11側に露出している。蓋体50をトレイとして使用するときは第2嵌合部58が開口部12に嵌合される。このとき熱伝導部材51は上方に位置し、物品7の載置面となっている。
【0074】
収納空間11側に対して熱伝導部材51の反対側にはペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が接合されている。ペルチェモジュール40の第2絶縁基板3にはフィン41が接合されている。ペルチェモジュール40に対してフィン41の反対側にはファン42が設けられている。
【0075】
第1空気通路53は蓋体50内に蓋体50の平板面と略平行に設けられた、フィン41に空気を送るための空気通路である。第3実施形態では第2実施形態と同様、フィン41、ファン42は第1空気通路53中に存在する。第1空気通路53の両端面は外板56に覆われ、その外板26の部分に空気を排出するための空気排出口53aが設けられている。
【0076】
第1空気通路53はペルチェモジュール40の第2絶縁基板3側と熱交換する空気を通すための空気通路である。フィン41に対してファン42の反対側の外板56には第1空気通路53に空気を取り入れるための空気供給口54が設けられている。ファン42によって、空気供給口54から取り入れられた空気はフィン41で熱交換し空気排出口53aから排出される。熱伝導部材51、断熱部材52の材料は、熱伝導部材21、断熱部材22と同じものを使用している。
【0077】
物品7を保冷保温庫内に保管して保冷または保温するときは、図5のように、飲食物が入った物品7を収納空間11内に入れて、第1嵌合部57が開口部12に嵌合するように蓋体50を本体ケース10上に載置する。
【0078】
図示されていないが蓋体50の外板56の外部には、保冷か保温を選択するスイッチと、その温度を指示する操作部が設けられている。そのスイッチで保冷を選択すると、図示されていない蓋体50に設けられた制御部により熱伝導部材51を冷却するようにペルチェモジュール40に電流が流される。すなわち、ペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が吸熱側、第2絶縁基板3が放熱側になるようペルチェモジュール40に電流が流される。
【0079】
熱伝導部材51が冷却されることにより、第1実施形態と同様、物品7が保冷される。このとき吸熱された熱は第2絶縁基板3側に放熱され、フィン41に伝達される。
【0080】
ファン42の回転により空気供給口53から取り入れられた空気は、フィン41で熱交換したのち、第1空気通路53を通って空気排出口53aから排出される。こうしてフィン41により第2絶縁基板3の熱が放熱されるので、保冷のエネルギー効率が向上される。
【0081】
一方、スイッチで保温を選択すると、蓋体50に設けられた制御部により熱伝導部材51を加熱するようにペルチェモジュール40に電流が流される。すなわち、ペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が放熱側、第2絶縁基板3が吸熱側になるようペルチェモジュール40に電流が流される。
【0082】
熱伝導部材51が加熱されることにより、第1実施形態と同様、物品7が保温される。このとき第2絶縁基板3側は吸熱され冷却される。第1実施形態では第2絶縁基板3に接合されているフィン41が冷却される。
【0083】
ファン42の回転により空気供給口53から取り入れられた空気は、フィン41で熱交換したのち、第1空気通路53を通って空気排出口53aから排出される。フィン41により第2絶縁基板3が温められるので、保温のエネルギー効率が向上される。
【0084】
飲食物を飲食するときは、図8のように、蓋体50をトレイとして使用する。すなわち、蓋体50を上下逆転して第2嵌合部58が開口部12に嵌合するように本体ケース10上に載置する。飲食物が入った物品7を熱伝導部材51のホルダ部55に置いて飲食する。上記の保管時と同様に操作部のスイッチで保冷を選択すると熱伝導部材51が冷却され、保温を選択すると熱伝導部材51が加熱される。このときファン42の回転により収納空間11側から空気が取り入れられる。本体ケース10と蓋体50の間のわずかな隙間から外気が収納空間11に取り入れられる。
【0085】
保冷が必要な飲食物の場合はスイッチを保冷にし、保温が必要な飲食物の場合はスイッチを保温にする。こうして、第1実施形態と同様、飲食中に飲食物の温度が飲食物に適した温度に保つことができ、飲食物をおいしく食べることができる。第3実施形態でも第1実施形態と同様、蓋体50のみでトレイとして使用することもできる。
【0086】
第3実施形態も開口部が本体ケースの上方に設けられ、収納空間側に設けられた熱伝導部材が物品の載置面になっているので、蓋体を上下反転させるだけで、物品収納時にも物品使用時にも物品を保冷または保温できる。第2実施形態の場合には、収納空間側が断熱されていないので、物品使用時には収納空間を保冷または保温し続けることはできない。さらに開口部が上方にあれば、物品が本体ケースに入れてあるときに蓋体を開ける際に誤って物品が転がり出ることを防止できる。
【0087】
図9は第4実施形態の保冷保温庫の飲食物収納時の説明断面図である。図10は第4実施形態の保冷保温庫の飲食時の説明断面図である。第4実施形態の保冷保温庫には、物品7を収納する収納空間61および物品7を出し入れするための開口部62を有する本体ケース60と、蓋体70とが設けられている。物品7は飲食物をいれたカップやボトルである。収納空間61は略直方体形状である。本体ケース60は断熱材63を内張64と外板65で挟持した断熱構造で構成されている。本体ケース60の開口部62は側方に設けられている。このため、本体ケース60を蓋体70で閉めたときの蓋体70の平板面方向は略鉛直方向である。本体ケース60の下方の外板65は開口部62より突出し、その先端は上方に折り曲がっており、物品収納時に蓋体70を受ける蓋体受け部65aとなっている。
【0088】
蓋体70には熱伝導部材71、断熱部材72、第1空気通路73、第2空気通路74、仕切部材75、ペルチェモジュール40、フィン41、ファン42および外板76から構成されている。蓋体70の外径形状は略平板状である。蓋体70の一方面側には、熱伝導部材71と、熱伝導部材71の外周部を覆う外板76の一部で構成され物品収納時に開口部62と嵌合する第1嵌合部77が設けられている。第1嵌合部77は、開口部62の下方辺を除く三方辺に設けられている。蓋体70の他方面側には物品使用時に本体ケース60の上方面部66と嵌合するとともに、物品収納時には、その一辺が蓋体受け部65aの端部に当接する第2嵌合部78を有する外板76が設けられている。第2嵌合部78は上方面部66の周囲全体にわたって設けられている。
【0089】
収納空間61内に物品7を保冷または保温する物品収納時には蓋体70を蓋体受け部65aに嵌め込むとともに第1嵌合部77を開口部62に嵌合する。このとき熱伝導部材71は、収納空間61側に位置し、その一部は収納空間61側に露出している。蓋体70をトレイとして使用する物品使用時には第2嵌合部78を本体ケース60の上方面部66に嵌合する。このとき熱伝導部材71は上方に位置し、物品7の載置面となっている。熱伝導部材71には、蓋体70をトレイとして使用する際に物品7を置くための凹部形状のホルダ部71aが設けられている。
【0090】
収納空間61側に対して熱伝導部材71の反対側にはペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が接合されている。ペルチェモジュール40の第2絶縁基板3にはフィン41が接合されている。ペルチェモジュール40に対してフィン41の反対側にはファン42が設けられている。
【0091】
第1空気通路73は蓋体70内に蓋体70の平板面と略平行に設けられた、フィン41に空気を送るための空気通路である。第1空気通路73の両端面は外板76に覆われ、その外板76の部分に外気を取り入れるための空気供給口73aが設けられている。第1空気通路73はペルチェモジュール40の第2絶縁基板3側と熱交換する空気を通すための空気通路である。第1空気通路73と熱伝導部材71の間には断熱部材72が設けられている。
【0092】
蓋体70内には第1空気通路73に略平行な第2空気通路74が熱伝導部材71に対して第1空気通路73の反対側に設けられ、第1空気通路73と第2空気通路74の間は仕切部材75で仕切られている。第2空気通路74の両端面は外板76に覆われ、その外板76の部分に空気を排出するための空気排出口74aが設けられている。仕切部材75には穴部が形成され、ここにファン42が設けられている。第1空気通路73と第2空気通路74はファン42の部分で連通している。
【0093】
ファン42によって、空気供給口73aから取り入れられた空気は第1空気通路73を通ってフィン41で熱交換し第2空気通路74を通って空気排出口74aから排出される。第4実施形態では、第1空気通路73が送気通路であり、第2空気通路74が排気通路である。
【0094】
熱伝導部材71、断熱部材72、仕切部材75の材料としては第1実施形態と同様のものが使用されている。
【0095】
物品7を保冷保温庫内に保管して保冷または保温するときは、図9のように、飲食物が入った物品7を収納空間61内に入れて、蓋体70を蓋体受け部65aに嵌め込むとともに第1嵌合部77を開口部62に嵌合する。図示されていないが、蓋体70と本体ケース60の互いの上部はラッチによって連結される。このまま保冷保温庫を運搬することもできる。その場合、保冷保温庫に取っ手などを設け、運搬しやすくする。運搬時には、物品7として飲食物がこぼれにくい容器が使用される。
【0096】
図示されていないが蓋体70の外板76の外部には、保冷か保温を選択するスイッチと、その温度を指示する操作部が設けられている。そのスイッチで保冷を選択すると、図示されていない蓋体70に設けられた制御部により熱伝導部材71を冷却するようにペルチェモジュール40に電流が流される。すなわち、ペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が吸熱側、第2絶縁基板3が放熱側になるようペルチェモジュール40に電流が流される。
【0097】
熱伝導部材71が冷却されると、熱伝導部材71の近くの空気が冷却され、収納空間61が冷却される。これにより物品7が保冷される。制御部は操作部で設定された温度になるようペルチェモジュール40に流す電流を制御する。このとき吸熱された熱は第2絶縁基板3側に放熱される。第1実施形態では第2絶縁基板3の熱はフィン41に伝達される。
【0098】
ファン42の回転により空気が空気供給口73aから第1空気通路73に取り入れられ、フィン41で熱交換し第2空気通路74を通って空気排出口74aから排出される。こうしてフィン41により第2絶縁基板3の熱が放熱されるので、保冷のエネルギー効率が向上される。
【0099】
一方、スイッチで保温を選択すると、蓋体70に設けられた制御部により熱伝導部材71を加熱するようにペルチェモジュール40に電流が流される。すなわち、ペルチェモジュール40の第1絶縁基板2が放熱側、第2絶縁基板3が吸熱側になるようペルチェモジュール40に電流が流される。
【0100】
熱伝導部材71が加熱されると、熱伝導部材71の近くの空気が加熱され、収納空間61が加熱される。これにより物品7が保温される。制御部は操作部で設定された温度になるようペルチェモジュール40に流す電流を制御する。このとき第2絶縁基板3側は吸熱され冷却される。第1実施形態では第2絶縁基板3に接合されているフィン41が冷却される。
【0101】
ファン42の回転により空気が空気供給口73aから第1空気通路73に取り入れられ、フィン41で熱交換し第2空気通路74を通って空気排出口74aから排出される。こうしてフィン41により第2絶縁基板3が温められるので、保温のエネルギー効率が向上される。
【0102】
飲食物を飲食するときは、図10のように、蓋体70をトレイとして使用する。すなわち、蓋体70の第2嵌合部78を本体ケース60の上方面部66に嵌合して載置する。飲食物が入った物品7を熱伝導部材71のホルダ部71aに置いて飲食する。上記の保管時と同様に操作部のスイッチで保冷を選択すると熱伝導部材71が冷却され、保温を選択すると熱伝導部材71が加熱される。保冷が必要な飲食物の場合はスイッチを保冷にし、保温が必要な飲食物の場合はスイッチを保温にする。こうして、飲食中に飲食物の温度が飲食物に適した温度に保つことができ、飲食物をおいしく食べることができる。また本体ケース60上に載置した蓋体70をトレイとして使用するので、本体ケース60が机等の代わりになり、机等がない場所でも食べやすい効果を奏する。第4実施形態では本体ケース60の開口部62が側方に設けられているので、物品7を容易に取り出すことができる。さらに温度調節装置が低い位置にあるため重心が低くなり保冷保温庫の安定感が増す効果を奏する。第4実施形態でも第1実施形態と同様、蓋体70のみでトレイとして使用することもできる。
【0103】
なお、実施形態では飲食物の保冷保温庫として説明したが、例えば、つりエサ等の保冷保温庫としても利用できる。実施形態ではペルチェモジュールを温度調節装置として使用したが、温度調節可能な装置であれば利用可能であり、例えば、コンプレッサ式温度調節装置、パルス式ヒートポンプなどが利用できる。温度調節装置としてペルチェモジュールを使用すれば、蓋体を小型化できるとともに、供給電流の向きを変えるだけで保冷と保温を切り替えることができる。実施形態では、ペルチェモジュールによる温度調整はペルチェモジュールに流す電流量によって行っているが、ペルチェモジュールに流す電流をオン・オフして行ってもよい。
【0104】
温度調節装置の設置位置、温度調節装置の台数も実施形態以外の形態も利用できる。本体ケースの開口部が上方に設けられている場合には熱伝導部材も収納空間冷却加熱用と物品冷却加熱用にそれぞれ設けると、収納空間に物品を保冷保温しながら使用中の物品を保温保冷できる効果を奏する。第1実施形態から第3実施形態では蓋体の外板が断熱材料であるので、図2、図6、図8のように、物品使用時に蓋体を本体ケースの開口部に載置して使用すれば、外板によって収納空間が外気から遮蔽され、収納空間内の物品も保冷保温できる。実施形態のように一つの熱伝導部材を収納空間冷却加熱用にも物品冷却加熱用にも使用できるようにすれば、蓋体を小型化できるとともに低コスト化できる。
【0105】
また第1空気通路、第2空気通路の構造や、ファンの位置についても発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な構成が適用できる。図中、白抜き矢印は空気の流れを表している。
【0106】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、物品を収納する収納空間および前記物品を出し入れするための開口部を有する本体ケースと、前記開口部を開閉する蓋体とが設けられ、前記蓋体には、前記物品を載置する載置面と、該載置面および前記収納空間を冷却または加熱する温度調節装置が設けられていることを特徴とする保冷保温庫であるので、物品収納時にも物品使用時にも物品を保冷保温できる保冷保温庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の保冷保温庫の飲食物収納時の説明断面図
【図2】第1実施形態の保冷保温庫の飲食時の説明断面図
【図3】ペルチェモジュールの斜視図
【図4】蓋体のみをトレイとして使用するときの説明断面図
【図5】第2実施形態の保冷保温庫の飲食物収納時の説明断面図
【図6】第2実施形態の保冷保温庫の飲食時の説明断面図
【図7】第3実施形態の保冷保温庫の飲食物収納時の説明断面図
【図8】第3実施形態の保冷保温庫の飲食時の説明断面図
【図9】第4実施形態の保冷保温庫の飲食物収納時の説明断面図
【図10】第4実施形態の保冷保温庫の飲食時の説明断面図
【符号の説明】
1…熱電素子
2…第1絶縁基板
3…第2絶縁基板
7…物品
10、60…本体ケース
11、61…収納空間
12、62…開口部
20、70…蓋体
21、31、51、71…熱伝導部材(載置面)
22、32、52、72…断熱部材
23、33、53、73…第1空気通路
24、74…第2空気通路
40…ペルチェモジュール(温度調節装置)

Claims (8)

  1. 物品を収納する収納空間び前記物品を出し入れするための開口部を有する本体ケースと、
    載置面を有し、前記載置面を冷却または加熱する温度調節装置とが設けられ且つ前記開口部に嵌合し本体ケースから分離可能な蓋体とを備え、
    前記載置面が前記収納空間と対向するように前記蓋体が前記開口部に嵌合された時には、前記温度調節装置は前記収納空間を冷却または加熱し、
    前記蓋体の前記載置面を上向けて前記載置面に前記物品が載置された時には、前記温度調節装置は前記載置面を冷却または加熱することを特徴とする保冷保温庫。
  2. 前記収納空間を冷却または加熱するために前記開口部を閉めているときの前記蓋体の前記収納空間側に熱伝導部材が設けられ、該熱伝導部材が前記温度調節装置の吸熱側、放熱側の一方側との間で伝熱されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の保冷保温庫。
  3. 前記蓋体の前記熱伝導部材が前記物品の載置面になることを特徴とする請求項2に記載の保冷保温庫。
  4. 前記蓋体内に前記温度調節装置の吸熱側、放熱側の他方側と熱交換する空気を通すための第1空気通路が設けられ、該第1空気通路と前記熱伝導部材の間に断熱部材が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の保冷保温庫。
  5. 前記蓋体内に前記第1空気通路のほかに第2空気通路が設けられ、前記第1空気通路、前記第2空気通路の一方は前記温度調節装置の吸熱側、放熱側の他方側に空気を送気する送気通路であり、前記第1空気通路、前記第2空気通路の他方は前記温度調節装置の吸熱側、放熱側の他方側に送気された空気を排気する排気通路であることを特徴とする請求項4記載の保冷保温庫。
  6. 前記開口部が前記本体ケースの上方に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の保冷保温庫。
  7. 前記開口部が前記本体ケースの側方に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の保冷保温庫。
  8. 前記温度調節装置がペルチェモジュールであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の保冷保温庫。
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