JP4032531B2 - 光受信器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光受信器および光信号の受信方法に関し、特に良好な受信性能を有する光受信器および光信号の受信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信の伝送容量の増大化に伴い、高速長距離のわたるWDM伝送システムが実用段階になりつつある。このようなシステムは、それぞれが異なる発振波長を所定の波長領域に有する複数のレーザ光源を備える光送信器と、この光送信器に一端が接続された光ファイバを有する光伝送路と、この光伝送路の他端に接続され複数の波長毎に設けられた光受信器とを備える。また、このような光伝送システムでは、長距離伝送を可能にするために光ファイバ増幅器が光伝送路内に設けられている。光受信器は、光送信器によって送出され光伝送路を介して伝送された光信号を受信するために、光信号を電流信号に変換する受光素子、この電流信号から電圧信号へ変換するプリアンプ回路、この電圧信号からデータ値を判定するデータ識別回路、を備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
発明者は、このようなWDM伝送システムにおいて、長距離伝送を実現するために伝送実験を行ってきた。そして、2.48832Gb/sの強度変調された光信号を400km伝送するという伝送実験の際に、光信号の伝送誤り率特性を調査した。この結果を図7に示す。図7は、光信号の伝送誤り率特性を示した特性図をである。図7は、横軸に光信号の強度(本技術分野では、光入力パワー、光入力レベルともいう)をdBm単位で示し、縦軸にビット誤り率を対数目盛で示した特性図である。なお、本願においては、ビット誤り率は、NRZ PRB 223−1入力パターンを用いて測定されている。
【0004】
図7を参照すると、光信号の強度が増加するとビット誤り率も低下していく右下がりの特性を示すけれども、その傾きの絶対値は光信号の強度が増加するにつれて徐々に小さくなっている。このため、ビット誤り率は光信号強度の増加するにつれて直線的に低くならずに、ビット誤り率の特性を示す特性線は曲がり、ビット誤り率特性にいわゆる「裾引き」が見られる。
【0005】
本発明の目的は、ビット誤り特性における「裾引き」が低減され、受信性能が改善された光受信器、および改善された受信性能を達成できる光信号の受信方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
誤り率特性における「裾引き」の原因を調査するために、発明者は、光信号の波形特性を調べた。すると、光ファイバの波長分散およびレーザ光源のチャープ特性の影響によって光伝送波形が歪むと共に、特に信号の発光側のぼやける特性を示すことが分かった。
【0007】
さらに、原因を究明するために、発明者は、このような光信号を受信したときの光受信器の動作を解析した。この結果、次の2点が新たな知見として得られた。まず、伝送波形が歪んでいるので、光受信器のデータ識別回路内においてデータ値を識別するために使用されるデータ識別レベルが、受信した光信号の各強度においてビット誤り率を最小にしうるデータ識別レベルと異なっている可能性がある点である。次に、光信号の発光側がぼやけるような特性を伝送信号が示すので、受信した光信号の各強度において受信感度を最も良くようなデータ識別レベルが、実際の回路のデータ識別レベルと比べて片寄ったものとなっていることが予想される点である。
【0008】
このような知見に基づいて、発明者は、光受信器のデータ識別回路のデータ識別レベルと、ビット誤り率との関係を調査した。この結果を図8に示す。図8は、データ識別レベルの光信号強度依存性を示した特性図である。図8では、横軸は光信号の強度をdBm単位で示し、縦軸はデータ識別回路のデータ識別レベルの特性を白丸印(○)を用いて示す。図8は、また、各ビット誤り率を達成するためのデータ識別レベルのオフセット電圧を、発光側を示すデータ値に対しては、誤り率1×10-10、1×10-12、1×10-13、1×10-14、1×10-15、1×10-18に関して、また、反対側のデータ値に対しては、誤り率1×10-10、1×10-11、1×10-15、1×10-18に関して、破線にてmV単位でそれぞれ示している。ビット誤り率の指数は、図中の各特性曲線の近傍に示された2桁の整数で表される。
【0009】
図8を参照すると、例えば、ビット誤り率1×10-13を示す折れ線と、データ識別レベルを示す線とが、光信号の強度−15dBmにおいて交差している。これは、図7において、ビット誤り率に裾引きが見られることと一致する。
【0010】
したがって、発光側がぼやけるような特性の入力光信号に対して、データ識別回路のデータ識別レベルを入力光信号の各強度において適切に設定することが必要となる。このような受信器を実現するために、発明者は更に試行錯誤を行い、本発明を以下のような構成とした。
【0011】
本発明に係わる光受信器は、受けた光信号を電気的なデータ信号に変換し、光信号の強度に関連付けられた電気的な強度信号を発生する強度検出部を有する変換回路と、光信号の強度に関連して変更されるデータ識別レベルに基づいて、データ信号が示すデータ値を識別するデータ識別回路と、強度信号に関連してデータ識別レベルを調整するための識別レベル信号を発生するレベル調整回路とを備え、データ識別レベルは、光信号の強度に関する第1の領域において、光信号の平均された強度に対して単調に変化する特性を有し、第1の領域よりも光信号の強度が大きい第2の領域において、ほぼ一定であって、識別レベル信号は、光信号の強度が第1の所定値より小さい信号強度の領域において光信号の強度に対して前記データ識別レベルを単調に変化させ、レベル調整回路は、光信号の強度に対して前記データ識別レベルが単調に変化する変化の単調性を調整する第1の制御部を有する。
【0012】
このように、変換回路において光信号から光電変換されたデータ信号をデータ識別レベルに基づいてデータ識別回路において識別する光受信器において、データ識別回路のデータ識別レベルが、受けた光信号の強度に応じて変更されるようにした。このため、受ける光信号の強度の変化に対応して変更されたデータ識別レベルに基づいてデータ値が識別される。
【0013】
本発明に係わる光受信器では、データ識別レベルは、光信号の強度に関する第1の領域において、光信号の平均された強度に対して単調に変化するという特性を有し、第1の領域よりも光信号の強度が大きい第2の領域において、ほぼ一定であるという特性を有するようにしてもよい。
【0014】
このように、第1の領域において、データ識別レベルが単調に変化するようにしたので、光信号の強度が増加するにつれてデータ識別回路のデータ識別レベルが単調に増加し又は減少する。このため、信号強度が第2の領域に相対して小さい領域においては、光信号の平均強度が変化すると、この信号強度の変化に対応して調整されたデータ識別レベルに基づいてデータ値が識別される。また、第2の領域において、データ識別レベルが光信号の強度の値に実質的に依存しないようにしたので、光信号の強度に変化してもデータ識別レベルが一定に保たれる。このため、第1の領域に相対して信号強度が大きい領域においては、データ信号が十分に増幅され飽和した振幅を有するので、信号強度が変化しても信号強度に依存しないデータ識別レベルに基づいてデータ値が識別される。
【0015】
本発明に係わる光受信器では、変換回路は、光信号の強度に関連付けられた電気的な強度信号を発生する強度検出部を有し、データ識別レベルは、強度検出部からの強度信号に関連して変更されるようにしてもよい。
【0016】
このように、光信号の強度に関連付けられた電気的な強度信号が強度検出部において発生されるようにした。このため、データ識別回路のデータ識別レベルを変更するために必要とされる強度信号を強度検出部から得ることができる。この強度信号に関連して、データ識別レベルが調整される。
【0017】
本発明に係わる光受信器では、データ識別レベルを調整するための識別レベル信号を発生するレベル調整回路を更に備え、識別レベル信号は強度信号に関連して変更されるようにしてもよい。
【0018】
このように、レベル調整回路において、識別レベル信号が強度信号に関連して変更されるようにした。このため、データ識別回路のデータ識別レベルを変更するために必要とされる識別レベル信号がレベル調整回路から得られる。この識別レベル信号に関連して、データ識別レベルが調整される。
【0019】
本発明に係わる光受信器では、識別レベル信号は、光信号の強度が第1の所定値より小さい信号強度の領域において光信号の強度に対してデータ識別レベルを単調に変化させ、レベル調整回路は、光信号の強度に対してデータ識別レベルが単調に変化する変化の単調性を調整するための第1の制御部を有するようにしてもよい。
【0020】
このように、第1の制御部をレベル調整回路に設けたので、光信号強度が第1の所定値より小さい信号強度の領域において、光信号の強度に対してデータ識別レベルが単調に変化する変化率を調整できる。このため、受けた光信号の特性に応じてデータ識別レベルの変化特性を設定することを可能になる。
【0021】
本発明に係わる光受信器では、レベル調整回路は、光信号の強度が第1の所定値より大きい信号強度の領域においてデータ識別レベルをほぼ一定にするための第2の制御部を有するようにしてもよい。
【0022】
このように、第2の制御部をレベル調整回路に設けるようにしたので、光信号の強度が第1の所定値より大きい信号強度の領域において、データ識別レベルが光信号の強度値に実質的に依存しないように識別レベル信号が調整される。この領域では、光受信器においてデータ信号は十分に増幅され飽和した振幅を有するので、信号強度が変化してもほぼ一定のデータ識別レベルが設定される。
【0023】
本発明に係わる光受信器では、レベル調整回路は、光信号の強度が第2の所定値より小さい信号強度の領域において光信号の強度とは独立したデータ識別レベルを調整するための第3の制御部を有するようにしてもよい。
【0024】
このようにレベル調整回路に第3の制御部を設けたので、光信号の強度が第2の所定値より小さい信号強度の領域におけるデータ識別レベルを調整するための識別レベル信号が得られる。この領域においては、信号強度と独立したデータ識別レベルが設定される。
【0025】
本発明に係わる光受信器では、レベル調整回路およびデータ識別回路の間に結合され、識別レベル信号の低周波成分を通過させ識別レベル信号を平均化するためのフィルタ回路を、更に備えるようにしてもよい。
【0026】
このように、フィルタ回路を設けてデータ識別レベル信号の低い周波数成分のみが通過するようにしたので、受けた光信号の平均された強度に関連した電気信号が発生される。故に、データ識別回路には、平均化された識別レベル信号が加えられる。この平均化識別レベル信号に関連してデータ識別レベルが調整される。
【0027】
本発明に係わる光受信器では、受けた光信号を電気信号に変換して、この電気信号に基づいて第1のデータ信号とこの第1のデータ信号に相補の第2のデータ信号とを発生する変換回路と、光信号の強度に関連付けられた電気的な強度信号を発生する検出回路と、第1のデータ信号および第2のデータ信号をそれぞれ受ける第1および第2の入力を有し、第1のデータ信号および第2のデータ信号を比較することによってデータ値を識別する差動増幅部を有するデータ識別回路と、データ識別回路の第1および第2の入力のいずれか一方にバイアスを加えるためのバイアス信号を発生するバイアス回路と、を備え、バイアス信号は、強度信号に関連して変更される。
【0028】
このように、変換回路において光信号から変換された電気信号を、第1のデータ信号およびこの相補信号である第2のデータ信号として、データ識別回路の第1および第2の入力に加えて、この第1および第2のデータ信号に基づいてこれらのデータ信号が示すデータ値を差動増幅部において識別するようにした。このため、当該光受信器の耐雑音特性が向上される。また、検出回路において光信号の強度に関連付けて発生された強度信号をバイアス回路に加えて、この強度信号に関連して発生されたバイアス信号をデータ識別回路の第1および第2の入力の少なくとも一方に加えるようにした。このため、光信号の強度の変化に関連して調整されたデータ識別レベルに基づいて、データ値が差動増幅部において識別される。
【0029】
本発明に係わる光信号の受信方法は、受けた光信号が有するデータを識別する光信号の受信方法であって、光信号を電気的なデータ信号に変換する変換ステップと、光信号の強度に関連付けられた電気的な強度信号を発生する発生ステップと、データ信号が有するデータ値を識別するためのデータ識別レベルを強度信号に関連して変更する変更ステップと、変更ステップにおいて変更されたデータ識別レベルに基づいてデータ信号が有するデータ値を識別する識別ステップと、を備える。
【0030】
このように、データ値を識別するためのデータ識別レベルに基づいて、光信号から変換された電気的なデータ信号が有するデータ値を識別する際に、光信号の強度に関連付けられた強度信号を発生して、強度信号に関連付けてデータ識別レベルを調整するようにした。このため、光信号の強度の変化に関連してデータ値が識別される。
【0031】
本発明に係わる光信号の受信方法では、変更ステップでは、光信号の強度に関する第1の領域において、光信号の平均された強度に対して単調に変化するデータ識別レベルが提供され、且つ第1の領域よりも光信号の強度が大きい第2の領域において、光信号の強度の値に実質的に依存しないデータ識別レベルが提供されるようにしてもよい。
【0032】
このように、データ識別レベルが第1の領域において単調に変化するようにしたので、データ値を識別するためのデータ識別レベルが、光信号の強度が増加するにつれて単調に増加し叉は減少する。このため、信号強度が第2の領域に相対して小さい領域においては、光信号の平均強度の変化に関連して調整されたデータ識別レベルに基づいてデータ値が識別される。また、データ識別レベルが第2の領域において光信号の強度の値に実質的に依存しないようにしたので、光信号の強度に変化しても、かかるデータ識別レベルは一定に保たれる。このため、信号強度が第1の領域に相対して大きい領域において、光受信器においてデータ信号が十分に増幅され飽和した振幅を有するので、信号強度が変化してもほぼ一定のデータ識別レベルに基づいてデータ値が識別される。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。可能な場合には同一の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0034】
(第1の実施の形態)
本発明の実施の形態に係る光受信器を図1を用いて説明する。図1は、本発明に従う一実施の形態の光受信器の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、光受信器10は、変換回路12と、レベル調整回路14と、フィルタ回路16と、データ識別回路18と、を備える。なお、以下の第1の実施の形態において現れる信号は、物理的に複数の信号線を単一の信号名にて表すものもある。それぞれの信号がいくつの信号線によって構成されるかは、実際の光受信器がどのような技術を用いて実現されるかに依存する。
【0035】
変換回路12は、入力端子20に光学的に結合された光通信路22から光信号21を受けて、この光信号21を電気的なデータ信号30に変換して、この信号30を出力端子26に出力する光電変換部24を有する。出力端子26は、データ識別回路18の入力端子28に接続されている。光電変換部24では、下流側の回路に入力されて処理されるために十分な強度まで増幅されたデータ信号30が提供されることが好ましい。このため、光電変換部24は、光信号21から変換された電気信号を増幅するプリアンプ、プリアンプからの電気信号を更に増幅するメインアンプを備えることが好ましい。
【0036】
変換回路12は、光信号21の強度に関連付けられた電気的な信号を強度信号32として発生する強度検出部34を更に有することができる。強度信号32は、光信号21の強度に関する情報を電流値叉は電圧値として表した信号であり、変換回路12の出力端子36に出力される。出力端子36は、レベル調整回路14の入力端子38に接続されている。
【0037】
データ識別回路18は、変換回路12から受けたデータ信号30をデータ識別レベルに基づいて識別して、識別されたデータ値は電気的な信号35として出力端子34に出力される。
【0038】
データ識別回路18のデータ識別レベルは、光信号21の平均された強度に関する所定の領域(以下、第1の領域という)において、この強度に対して単調に変化する特性を示す。この第1の領域は第1の所定値に比較して信号強度が小さい領域である。このような単調に変化する特性とは、光信号の強度が増加するにつれて、データ識別レベルが単調に増加し叉は単調に減少することを意味する。また、データ識別レベルは、光信号21の平均強度の変化に対応して調整される。
【0039】
データ識別回路18では、データ識別レベルに基づいて変換回路12からのデータ信号30のデータ値が決定される。このデータ識別レベルは、光信号21の平均強度に対して好適に設定される。そのレベルは、例えば、データ信号が2値信号の場合には、データ値0とデータ値1との間に設定され、また更に好ましくは、それぞれのデータ値に対して所定のビット誤り率を達成する両識別レベルのほぼ中央に設定される。このようにデータ識別レベルを設定すると、光信号21の強度に対応してデータ識別レベルの大きさが調整される。このため、光受信器10では、光信号強度が大きくなるにつれて受信データ誤り率が低下するような特性が実現される。なお、このような識別レベルの特性を実現するためには、データ識別回路18において使用されるデータ識別レベルは、強度検出部32からの強度信号32に関連して変更されることが好ましい。
【0040】
データ識別回路18のデータ識別レベルは、また、第1の領域よりも光信号21の強度が大きい第2の領域において、光信号21の信号強度の値に実質的に依存しない特性を示す。第2の領域において、このような特性を有すると、信号強度が変化してもデータ識別レベルが一定に保たれる。そして、データ信号30がデータ識別レベルに基づいて比較されて、この結果に基づいてデータ値が識別される。光信号21の強度が第2の領域にある場合には、データ信号30は変換回路において増幅され十分な振幅または飽和した振幅を有するので、信号強度が変化しても信号強度に依存しないようにデータ識別レベルを設定する方が、データ信号が有するデータ値を識別することに関して好適である。そのレベルは、例えば、2値信号の場合には、データ値0とデータ値1との間に設定され、更に好ましくは、それぞれのデータ値に対して所定のビット誤り率を達成する両識別レベルのほぼ中央に設定される。このため、光信号21の強度に関連してデータ識別レベルの大きさが調整される。したがって、光受信器10では、光信号強度が大きくなるにつれて受信データ誤り率が低下するような特性を示す。
【0041】
レベル調整回路14は、レベル調整部40を有する。レベル調整部40は、入力端子38に受けた強度信号32から識別レベル信号42を発生して、この信号42を出力端子50に出力する。この出力端子50は、データ識別回路18の入力端子56に電気的に結合されている。詳述すれば、出力端子50は、フィルタ回路16の入力端子52に接続され、フィルタ回路16の出力端子54がデータ識別回路18の入力端子56に接続される。識別レベル信号42は、データ識別レベルを変更するための信号であり、この信号は、受けた光信号21の強度を示す電気的な強度信号32に関連して変更される。
【0042】
このように、レベル調整回路14を備えるようにしたので、データ識別回路18のデータ識別レベルを変更するために必要とされる識別レベル信号42がレベル調整回路14、つまりレベル調整部40から得られる。このため、データ識別回路18のデータ識別レベルが、識別レベル信号42に対応して変更されることができる。
【0043】
また、レベル調整回路14は、第1の制御部44を有することができる。第1の制御部44は、データ識別レベルが光信号21の強度に対して単調に変化する変化の特性を調整可能にする。このための手段を例示すれば、第1の制御部44において、入力端子38に受けた強度信号32に応じて発生される電圧信号または電流信号の値を単調に変化させ、これを識別レベル信号42として出力すればよい。光信号21の強度に応じてデータ識別レベルの変化の特性を調整できるようにすると、この割合を光受信器10毎に個別に設定することを可能になる。
【0044】
更に、レベル調整回路14は、第2の制御部46を有することができる。第2の制御部46は、光信号21の強度が第1の所定値より大きい信号強度の領域において、光信号21の強度の値に実質的に依存しない識別レベル信号42を発生する。このための手段を例示すれば、第2の制御部46において、強度信号32が変化しても、データ識別レベル信号の大きさを上限値または下限値に制限すればよい。具体的に言えば、第2の制御部46は、入力端子38に受けた強度信号32が変化しても、識別レベル信号42としての電圧信号または電流信号がほぼ一定になるように調整される。このため、この領域においては、データ識別回路18では、光信号21の強度が変化してもほぼ一定のデータ識別レベルに基づいて、データ信号30のデータ値が識別される。
【0045】
第1の所定値は、第1の領域と第2の領域との間に設定される。そして、光信号21の強度が第1の所定値より大きい領域(第2の領域)では、光信号の強度が変化してもその強度に依存しないデータ識別レベルが設定されるので、第2の制御部46が識別レベル信号を主に制御している。一方、強度が第1の所定値より小さい光信号21の領域(第1の領域)では、光信号の強度が単調に変化するにつれて、この変化に対応して変更されるデータ識別レベルが設定され、この単調性は第1の制御部44が主に制御している。
【0046】
加えて、レベル調整回路14は、第3の制御部48を有することができる。第3の制御部48は、光信号21の強度が第2の所定値より小さい信号強度の領域(以下、第3の領域という)におけるデータ識別レベルを調整するための電気信号を発生する。第3の制御部48では、データ識別レベル信号42は、入力端子38に受けた強度信号32とは独立して設定される。これは、第3の制御部48において、例えば、電圧信号または電流信号として実現される識別レベル信号42が、一定の値を有するように発生される。第2の所定値は光信号の強度に関する値であって、第3の制御部48によって発生される識別レベル信号の大きさが、第1の制御部44によって発生される識別レベル信号の平均化された大きさに等しくなる点に対応する。第3の領域においては、光信号21の強度と独立して設定されたデータ識別レベルに基づいて、データ信号が識別される。なお、第2の所定値は、第1の所定値より小さい。
【0047】
レベル調整回路14が、第1の制御部44、第2の制御部46、及び第3の制御部48を備えるものとして説明したけれども、レベル調整回路14は、全ての制御部44、46、48を備えることができ、または、第1の制御部44、第2の制御部46、及び第3の制御部48の少なくとも1つを備えることもできる。
【0048】
本実施の形態に従う光受信器では、フィルタ回路16を更に備えることができる。フィルタ回路16は、識別レベル信号42の低周波成分を通過させることによって、データ識別レベルを変更するための平均化された識別レベル信号58を発生する。この信号58は、データ識別回路18へ加えられる。このため、フィルタ回路16は、低域通過フィルタとしての機能を有する。フィルタ回路16の入力端子52はレベル調整回路14の出力端子50に接続され、またフィルタ回路16の出力端子54は、データ識別回路18の入力端子56に接続される。
【0049】
このように、フィルタ回路16は、識別レベル信号42の低い周波数領域の信号が主に通過できるので、平均化された識別レベル信号58が識別レベル信号42から生成され、データ識別回路18では、光信号21の平均された強度に応じてデータ識別レベルが変更される。
【0050】
(第2の実施の形態)
引き続いて、図2を参照しながら本発明の別の実施の形態について説明する。図2は、本実施の形態に係わる光受信器の主要部の回路を示した回路図である。本実施の形態では、バイポーラトランジスタを使用する場合について説明するけれども、本発明はこれに制限されるものではない。バイポーラトランジスタ(以下、トランジスタという)に代わって、MOS型またはMES型電界効果トランジスタ等が使用できる。
【0051】
図2を参照すると、光受信器の主要部100が示されている。このような光受信器では、主要部の多くの部分は光モジュール(光通信デバイス)の形式で組立体内に含まれるけれども、本実施の形態において、二重丸(◎)で示された端子は、この組立体の外部と電気的な接続を可能にするために設けられた組立体のリードピンに接続されることを示す。このような構成にすることによって、以下に示される抵抗器VR1〜VR3を組立体の外部に配置するようにしている。
【0052】
光受信器の主要部100は、レベル調整回路14aと、データ識別回路18と、光電変換部24と、強度検出部34と、を備える。図2に特に示されていないが、光電変換部24および強度検出部34は、変換回路12を構成する。
【0053】
光電変換部24は、光電変換素子102、プリアンプ回路104、メインアンプ回路106、および帰還抵抗器108を含む。
【0054】
光電変換素子102は、受けた光を電気信号に変換する素子である。光電変換素子102の一方の端子は光電変化部24の端子110に接続され、光電変換素子102の他方の端子は、ノード112に接続されている。この素子102は、光受信器の小型化を図ることができるので、半導体光電変換素子を使用することが好ましい。半導体光電変換素子としては、フォトダイオードを使用することができ、例示すればアパランシェフォトダイオード(APD)、PINフォトダイオードがあり、発生されたキャリアの増倍特性の有無およびS/N特性等を考慮した上で選択される。以下、APDを使用する場合について説明する。APD102は、受けた光信号の強度に応じた電流を発生する。本実施の形態では、APD102のカソードは光電変化部24の端子110に接続され、アノードはノード112に接続されている。
【0055】
プリアンプ回路104は増幅回路であり、例えばソース接地型増幅器を使用することができる。プリアンプ回路104の入力は、ノード112に接続され、出力がノード114に接続されている。また、プリアンプ回路104の入力および出力の間には、帰還抵抗器108が接続されている。つまり、帰還抵抗器は、一端がノード112に、他端がノード114に接続される。このため、帰還抵抗器108が接続されたプリアンプ回路104は、トランスインピーダンス型の増幅器を構成し、これにより、APD102からの電流信号を入力に受けて、これを電圧信号に変換する電流電圧変換機能と、後段での信号処理に必要なレベルまで入力信号を増幅する機能を有する。プリアンプ回路104は差動出力段を有し、差動出力をメインアンプ回路106に供給することが好ましい。
【0056】
メインアンプ回路106は増幅回路であり、入力がノード114に接続され、正の出力端子が端子116に接続され、負の出力端子が端子118に接続されている。メインアンプ回路106は、プリアンプ回路102からの電圧信号を増幅して、増幅された信号をデータ信号として正の出力端子に出力し、またデータ信号の相補信号として負の出力端子に出力する。なお、端子116、118は、光電変換部24の出力端子であり、これらの端子116、118にデータ信号30a、30bがそれぞれ出力される。メインアンプ回路106は、プリアンプ回路104から一対の差動信号を受けるときは、差動増幅入力段を備え、データ識別回路18に差動出力を提供することが好ましい。
【0057】
強度検出部34は、一対のPNP型トランジスタ122、124を含む。トランジスタ122のエミッタは、端子128に接続され、またベースおよびコレクタは、共にノード126に接続され、且つ端子120にも接続される。トランジスタ124のエミッタは端子130に接続され、ベースはノード126に接続され、コレクタは端子132に接続される。端子128、130は、強度検出部34の外側において電源Vapdに接続される。このように接続すると、トランジスタ124のエミッタからコレクタには、トランジスタ122のエミッタからコレクタに流れる電流に比例する電流が流れる。つまり、一対のトランジスタ122、124は電流ミラーユニットを構成する。電流ミラーユニットでは、端子128から端子120へ流れる電流に比例する電流が端子130から端子132へ流れる。比例係数は、トランジスタ122とトランジスタ124とのエミッタ比によって決定される。以下、このミラー比が1の場合について説明する。トランジスタ122のエミッタからコレクタから流れる電流は、端子128から端子120へ流れ、更にこの電流はAPD102のカソードに流れ込む。トランジスタ124のエミッタからコレクタに流れる電流は、端子130から端子132へ流れ、更にこの電流はレベル調整回路14aの端子134に流れ込む。なお、電流ミラーユニットにおいて、実際にはトランジスタ124にもベース電流が流れるので理論的に完全な比例関係にはないけれども、一般にベース電流は非常に小さいので、実用上、比例関係があるとしても不都合がない。
【0058】
レベル調整回路14aは、端子132において強度検出部34からの強度信号32を受ける。APD102に流れる電流に等しい電流が、強度信号32としてレベル調整回路14aに加えられる。
【0059】
レベル調整回路14aは、NPN型トランジスタ136、138、140から構成される第1の電流ミラーユニットと、PNP型トランジスタ160、162から構成される第2の電流ミラーユニットと、第1および第2の抵抗器154、156と、第1〜第3の可変抵抗器158(VR1)、168(VR2)、173(VR3)を含む。
【0060】
トランジスタ136のコレクタおよびベースは、端子134に接続され、またエミッタは、ノード144に接続される。トランジスタ138のコレクタはノード146に接続され、ベースはノード142に接続され、エミッタは端子148に接続される。また、トランジスタ140のベースはノード142に接続され、エミッタはノード150に接続され、コレクタは端子152を介してレベル調整回路14aの外側で電源Vpdmに接続される。トランジスタ138および140の各々が持つエミッタは、それぞれノード144、150を介して抵抗器154、156の一端が接続される。抵抗器154、156の他端は、別個の電源に、好ましくは接地に接続される。抵抗器154、156の値は、本実施の形態においては、それぞれ2.4kΩである。トランジスタ136と、トランジスタ138および140とは、それぞれ第1の電流ミラーユニットを構成する。トランジスタ138、140のコレクタからエミッタに流れる電流は、トランジスタ136のコレクタからエミッタに流れる電流に比例する。つまり、第1の電流ミラーユニットでは、端子134に流れる電流に比例する電流が、端子152、およびノード146に流れることができ、それらの比例係数は一般には異なる。比例係数は、トランジスタ136とトランジスタ140とのエミッタ比、およびトランジスタ136とトランジスタ138とのエミッタ比、によって、それぞれ決定される。以下、これらのミラー比が1の場合について説明する。Vpdm電源は、APD102に流れる電流に等しい電流を供給するので、光受信器の外部において、この光電流の監視(モニタ)ができる。
【0061】
トランジスタ138のエミッタは、端子148を介して抵抗器158に接続され、抵抗器158の他端は、別個の電源に接続され、好ましくは接地に接続される。第1の制御部44は、抵抗器158を含む。このように、トランジスタ136、138、140のエミッタに抵抗器154、158、156をそれぞれ接続すると、トランジスタ136、138、140のコレクタからエミッタに流れる電流に応じて、それぞれトランジスタ136、138、140に自己バイアスを加えることができる。そして、抵抗器154の抵抗値と異なる値に抵抗器158の抵抗値を設定すれば、トランジスタ136と異なる自己バイアスがトランジスタ138に加えられる。このため、APD102に流れる電流に応じてトランジスタ136のコレクタからエミッタに流れる電流がある割合で変化すると、トランジスタ138にも電流が流れ、この電流はトランジスタ138と異なる自己バイアスをトランジスタ138に加える。このため、トランジスタ138のコレクタからエミッタに流れる電流は、トランジスタ136に流れる電流とは異なる割合で変化する。故に、抵抗器158の抵抗値を適切に設定すれば、データ識別回路18のデータ識別レベルが光信号21の強度に対して変化する変化率を所望の値に変更できる。抵抗器158には、可変抵抗器、または半固定抵抗器を使用することが好ましい。このようにすると、この変化率を光信号の状態、使用環境に応じて調整することができる。この調整は、当該光受信器の製造後においても実行されることができる。なお、図2に示された実施の形態の場合に、抵抗器158は、最大抵抗値10kΩの可変抵抗器を用いて、例えば抵抗値を、5kΩに設定した。
【0062】
トランジスタ160のコレクタおよびベースは、ノード146に接続され、またエミッタは、端子166を介して電源Vccに接続される。トランジスタ162のコレクタはノード164に接続され、ベースはノード146に接続され、エミッタは端子166を介して電源Vccに接続される。トランジスタ160およびトランジスタ162は、第2の電流ミラーユニットを構成する。トランジスタ162のエミッタからコレクタに流れる電流は、トランジスタ160のエミッタからコレクタに流れる電流に比例する。つまり、第2の電流ミラーユニットでは、ノード146に流れ込む電流に比例する電流が、端子164に流れ込むことができる。比例係数は、トランジスタ160とトランジスタ162とのエミッタ比によって決定される。以下、ミラー比が1の場合について説明する。このため、所定の光信号強度の範囲において、トランジスタ160およびトランジスタ162には、それぞれAPD102に流れる電流に比例した電流が流れる。
【0063】
第2の制御部46は、抵抗器168を含む。抵抗器168の一端はノード164に接続され、他端は端子170に接続される。端子170は、フィルタ回路16の入力端子172a(CAP1B)および出力端子180aを介して、データ識別回路18の一方の入力端子184aに電気的に接続される。
【0064】
第2の制御部46には、トランジスタ162のエミッタ−コレクタ間に流れる電流が流れる。抵抗器168の両端には、この電流値に応じて電位差が生じる。光信号の強度が第1の所定値に比較して小さい領域(第1の領域)においては、第2の制御部46に流れる電流値は、APD102に流れる電流値に比例する。レベル調整回路14aは、APD102に流れる電流値に応じた電流をデータ識別レベル信号42aとして提供する。
【0065】
一方、光信号の強度が強くなると、トランジスタ162に流れる電流も大きくなり、また抵抗器168の両端の電位差も大きくなる。この電位差が更に大きくなり、トランジスタ162の動作が能動動作から飽和動作に変化すると、もはや第2の制御部46にはAPD102に流れる電流値に等しい電流は流れない。トランジスタ162のベース電流は、APD102に流れる電流に応じて変化するが、コレクタ−エミッタ間に流れる電流は、ほぼ一定に保たれる。すなわち、APD102に流れる電流にかかわらず、レベル調整回路14aは、データ識別レベル信号42aとしてほぼ一定の電流を供給する。このため、光信号21の強度が第1の所定値より大きい信号強度の領域(第2の領域)において、データ識別回路18のデータ識別レベルが光信号21の強度の値に実質的に依存しない、つまり、ほぼ一定のデータ識別レベル信号42aを発生する。
【0066】
抵抗器168には、可変抵抗器、または半固定抵抗器を使用することが好ましい。このようにすると、光信号の状態、使用環境に応じて第1の所定値を調整することができる。なお、図2に示された実施の形態の場合に、抵抗器168は、最大抵抗値100kΩの可変抵抗器を用いて、例えば抵抗値を、50kΩに設定した。
【0067】
第3の制御部48は、抵抗器173を含む。抵抗器173の一端は端子174に接続され、他端は端子176を介して電源Vccに接続される。端子174は、フィルタ回路16の入力端子172bおよび出力端子180bを介してデータ識別回路18の一入力端子184bに電気的に接続される。
【0068】
第3の制御部48には、APD102に流れる電流値とは独立した値に設定された電流が流れる。この制御部48は、抵抗器173の抵抗値に応じた電流値をデータ識別レベル信号42bとして提供する。識別レベル信号42bは、光信号21の強度が第2の所定値より小さい信号強度の領域におけるデータ識別レベルを変更するために調整される。
【0069】
抵抗器173には、可変抵抗器、または半固定抵抗器を使用することが好ましい。このようにすると、光信号の状態、光受信器の使用環境に応じて、識別レベル信号42bを調整できる。図2に示された実施の形態の場合に、例示すれば、抵抗器173は、最大抵抗値1MΩの可変抵抗器を用いて、例えば抵抗値を、900kΩに設定した。
【0070】
上記の説明において、レベル調整部40は、明示的に説明されていないけれども、レベル調整回路14において第1〜第3の制御部(44,46,48)に含まれない回路部分である。
【0071】
フィルタ回路16は、一対の入力端子172a(以下、CAP1B端子ともいう)及び172b(以下、CAP1端子ともいう)、一対の出力端子180a及び180bを有する。入力端子172aおよび出力端子180a、入力端子172bおよび出力端子180bは、それぞれ導電線にて接続され、これらの導電線間には、各キャパシタ178a、178bのそれぞれの端子が接続される。このキャパシタ178a、178bは、バイパスコンデンサの機能を有する。本実施の形態では、それらの値は0.1μFと100pFである。レベル調整回路からの識別レベル信号42aは、光信号の強度に応じて変化するとともに、光信号自身が有する個々のデータ値に応じても変化する。つまり、識別レベル信号42aは、データの伝送レートおよびデータ波形に応じた周波数を含むので、この周波数に対応した時間的な変化を有する。バイパスコンデンサ178a、178bは、識別レベル信号42aの主に低周波成分を通過させ、高周波成分を通過させないので、伝送レートおよび個々のデータ値に対応する周波数成分は除かれる。このため、識別レベル信号42aが、低域通過フィルタを通過した後にデータ識別回路18へ加えられれば、平均化された識別レベル信号に基づいてデータ識別レベルが調整される。フィルタ回路16の出力180a、180bは、それぞれ抵抗196a、196bを介してデータ識別回路18の一対の入力端子184a、184bに接続される。
【0072】
また、各バイパスコンデンサ178a、178bの両端間には、データ識別回路18の一対の差動入力端子間に維持されるべき電位差が保持される。この電位差が、データ識別回路18の入力184aと入力184bに加えられ、入力信号が有するデータ値を判定するためのしきい値であるデータ識別レベルを変化させる。既に行われた説明から明らかなように、この電位差は、それぞれの入力184aと入力184bにバイアス電圧に差(ズレ)を発生させる。
【0073】
なお、フィルタ回路16は、更に一対の入力端子182a、182bを備える。入力端子182aおよび出力端子180a、入力端子182bおよび出力端子180bは、それぞれ導電線にて接続され、これらの導電線間には、結果として、キャパシタ178a、178bのそれぞれの端子が接続される。この入力端子182a、182bは、それぞれ抵抗198a、198bを介してデータ識別回路18の端子192a、192bにそれぞれ接続される。
【0074】
データ識別回路18は、コンパレータ188及びリミッティングアンプ190を備える。コンパレータ188は、入力段が一対のバイポーラトランジスタを含む差動増幅段の構成を有し、差動対のトランジスタのエミッタは、共通に接続されて且つ定電流源を介して一の電圧源、好ましくは接地に接続される。それぞれのコレクタは、別個の電圧源に負荷を介して接続される。差動入力段の各入力は端子184a、184bに接続され、差動出力段の出力はコレクタと負荷とのそれぞれの接続点から取り出される。この出力は、正の信号と、この正の信号に相補の負の信号とからなる一対の信号である。この一対の出力は、直接に端子192a、192bに接続されるようにしてもよく、また一段以上の増幅段を経た後に端子192a、192bに接続されるようにしてもよい。リミッティングアンプ190は、入力段が一対のバイポーラトランジスタを含む差動増幅段を有し、入力段の各入力は、端子192a、192bに接続される。リミッティングアンプ190は、正の信号と、この正の信号に相補の負の信号とからなる一対の出力を有し、この一対の出力は、それぞれ端子194a、194bに接続される。リミッティングアンプ190は、コンパレータ回路によって識別された信号をさらに増幅する。端子192a、192bは、抵抗体198a、198bを介してフィルタ回路16の入力端子182a、182bに接続され、フィードバックループを構成する。このフィードバックループによって、コンパレータ188の出力の一部は、コンパレータ188の入力に帰還される。
【0075】
データ識別回路18の入力端子184a、184bは、それぞれカップリングコンデンサ186a、186bを介して、変換回路24の出力端子116、118に接続される。このため、変換回路24からのデータ信号30a、30bの直流信号成分が除かれ、交流信号成分のみが、データ識別回路18に入力される。
【0076】
既に説明したように、データ識別回路18の入力端子184a、184bには、それぞれ値50Ωの抵抗196a、196bを介してバイアス電圧が加えられる。このバイアス電圧の端子間差△Vは、バイパスコンデンサ178a、178bの両端間の電位差によって決定される。一対の信号がカップリングコンデンサ186a、186bを介して変換回路24から入力差動部の一対の入力に加えられると、この入力差動部の入力端子が上記の電位差にほぼ一致する電圧差ちを有するようにバイアスされた状態で、この一対の信号が比較される。この点に関しては、図3を参照しながら後ほど詳述する。
【0077】
以上、詳細に説明したように本発明に係わる光受信器では、変換回路12において、受けた光信号21を電気信号に変換して、この信号を一対の差動信号として端子116、118から出力する。この一対の差動信号は、第1の信号30a、この第1の信号と相補の第2の信号30bから成る。データ識別回路16は、第1の信号30aおよび第2の信号30bをそれぞれ差動入力として受ける第1の入力184aおよび第2の入力184bを有し、これらの入力184a、184bは、データ識別回路18の差動入力段に接続される。このため、第1の信号30aおよび第2の信号30bに基づいてデータ値が差動入力段において識別されて、この結果が端子194aおよび194bに出力される。このため、当該光受信器の耐雑音特性が向上する。検出回路34は、この光信号21の強度に関連付けられた電気的な強度信号32を発生する。バイアス回路14aでは、強度信号32に関連付けられ、データ識別回路16の第1の入力184aおよび第2の入力184bにバイアスを加えるためのバイアス信号42a、42bを発生する。このため、データ識別回路18におけるデータ判定のためのデータ識別レベルは、光信号21の信号強度が変化すると、これに応じて変更される。
【0078】
図3(a)および図3(b)は、データ識別レベルと信号波形との関係を示した波形図である。図3(a)は、オフセットが加えられていなときのデータ識別レベルによって識別される信号波形を示し、図3(b)は、適切なオフセットが加えられたときのデータ識別レベルによって識別される信号波形を示す。
【0079】
本実施の形態に係わる光受信器においては、光電変換された一対の強度信号30a、30bは、光電変換部24の一対の差動出力端子116、118から、一対のカップリングコンデンサ186a、186bを介して、データ識別回路18の一対の差動入力端子184a、184bに加えられる。このため、これらの入力が交差する点において、データの反転が検出される。
【0080】
図3(a)に示される例では、データ値1の判定する場合、またデータ値0の判定する場合の各々に対して、データ波形とデータ判定レベルとの差であるノイズ余裕を変更するようにしていない。このため、図3(a)は、発光側がぼやける特性を持つ信号とデータ識別レベルとの差、つまりノイズ余裕が発光側(データ値1)に対して少なくなっていることを示している。
【0081】
図3(b)に示される例では、非反転入力端子184aには反転入力端子184bに対して△Vの余分なバイアス電圧が加えられているので、非反転入力の波形が反転入力の波形に相対的に△Vに応じた量だけ移動する。特に、図3(b)の例では、非反転入力の波形が高電位側に移動している。故に、一対の入力波形が交差する点は、図3(a)に示される場合と比べると移動している。このため、データ値1の判定する場合、またデータ値0の判定する場合の各々に対して、データ波形とデータ判定レベルと差であるノイズ余裕もまた変更される。したがって、図3(b)は、消光時(データ値0)の信号を識別する時のノイズ余裕が発光側(データ値1)に比べて小さくなっていることを示している一方で、ぼやける特性を持つ発光側の信号に対してはそのノイズ余裕が大きくなっていることを示している。消光時の信号がばらつく可能性は少ないので、非反転入力を反転入力に対して△Vだけシフトすると、ビット誤り率を低減するという結果になる。
【0082】
さらに、△Vの値は、光信号強度に応じて適切に変更される。つまり、光入力強度が第1の所定値より小さく、且つ第2の所定値より大きい領域では、光入力強度が大きくなるにつれて大きくなる△Vがデータ識別回路18に加えられ、また光信号強度が第1の所定値より大きい領域では、光入力強度が強くなり光受信器内での信号振幅が飽和するので、ほぼ一定の△Vがデータ識別回路18に加えられる。このため、受信波形がぼやける特性を持つ発光側の光信号を受ける場合においても、光信号強度の広い範囲において適切なノイズ余裕をとることができる。このため、ビット誤り率が低減される。
【0083】
なお、光受信器を構成するに当たり、トランジスタ138(Tr5)、トランジスタ160(Tr4)、およびトランジスタ162(Tr7)は、トランジスタ122(Tr6)、トランジスタ124(Tr3)、トランジスタ136(Tr2)、およびトランジスタ140(Tr1)から構成される回路と一緒に光受信モジュールに内蔵されることが好ましい。このようにすれば、光受信器が小型化される。また、これらのトランジスタ(Tr3〜Tr5)は、光電流を監視する回路ブロックと同一の半導体集積回路に内蔵されることが好ましい。このようにすれば、特性の揃ったトランジスタを用いてレベル調整回路が構成される。この場合に外部と接続のされることが必要とされる端子は、光受信モジュールのリードピン(例えば、図2の二重丸(◎)端子)を通してパッケージ外の部品と接続される。抵抗器158(VR1)、168(VR2)、および173(VR3)は、光受信器を構成する半導体装置と同一のボード上に実装される。このため、VR1〜VR3を容易に調整することができ、また必要な場合には、適切な抵抗値を有するものに交換できる。このような構成にすると、光信号の伝送距離および送信器内の光源のチャープ特性が変わったため、光受信器のデータ識別レベル特性を変更する場合にも適用可能となる。
【0084】
(第3の実施の形態)
引き続いて、図4を参照しながら本発明の別の実施の形態について説明する。図4は、本実施の形態に係わる光受信器の主要部200の回路の回路図である。
【0085】
図4を参照すると、光受信器の主要部200が示されている。
【0086】
光受信器の主要部200は、レベル調整回路14bと、データ識別回路18と、光電変換部24と、強度検出部34と、を備える。図4に特に示されていないが、光電変換部24および強度検出部34は、変換回路12を構成する。データ識別回路18、光電変換部24、および強度検出部34は、図2の光受信器の構成と同様なので、その説明を省略するけれども、これらの部分に図2の光受信器の構成と異なる構成を採用することもできる。
【0087】
レベル調整回路14bは、端子202において強度検出部34からの強度信号32を受ける。APD102に流れる電流に等しい電流が、強度信号32としてレベル調整回路14bに加えられる。レベル調整回路14bは、NPN型トランジスタ204、206から構成される第3の電流ミラーユニットと、PNP型トランジスタ208、210から構成される第4の電流ミラーユニットと、NPN型トランジスタ212、214から構成される第5の電流ミラーユニットと、PNP型トランジスタ216、218から構成される第6の電流ミラーユニットと、第3〜第5の抵抗器220、222、224と、第4〜第6の抵抗器226(VR1)、228(VR2)、230(VR3)を含む。
【0088】
トランジスタ204のコレクタおよびベースは、端子202に接続され、エミッタはノード236に接続される。トランジスタ206のコレクタはノード232(Vpdm)に接続され、ベースはノード234に接続され、エミッタはノード238に接続される。トランジスタ204および206の各々のエミッタは、それぞれノード236、238を介して第1および第2の抵抗器220、222の一端に接続される。第1および第2の抵抗器220、222の他端は、別個の電源に、好ましくは接地に接続される。第1および第2の抵抗器220、222の値は、それぞれ2.4kΩである。トランジスタ204およびトランジスタ206は、第3の電流ミラーユニットを構成する。このために、トランジスタ206のコレクタからエミッタに流れる電流は、トランジスタ204のコレクタからエミッタに流れる電流に比例する。つまり、第3の電流ミラーユニットでは、端子202に流れる電流に比例する電流が、ノード232に流れる。比例係数は、トランジスタ204とトランジスタ206のエミッタ比によって決定される。以下、特に、エミッタ比が1の場合について説明する。
【0089】
トランジスタ208のコレクタおよびベースはノード232に接続され、エミッタは端子240に接続される。トランジスタ210のコレクタはノード242に接続され、ベースはノード232に接続され、エミッタは端子240に接続される。トランジスタ208およびトランジスタ210の各々のエミッタは、電源Vpdm’に接続される。トランジスタ208およびトランジスタ210は、第4の電流ミラーユニットを構成する。このために、トランジスタ210のエミッタからコレクタに流れる電流は、トランジスタ208のコレクタからエミッタに流れる電流に比例する。つまり、第4の電流ミラーユニットでは、ノード232に流れる電流に比例する電流が、ノード242に流れる。以下、特に、エミッタ比が1の場合について説明する。このため、Vpdm’電源には、APD102に流れる電流の約2倍の電流が流れるので、これから光電流をモニタできる。
【0090】
トランジスタ212のコレクタおよびベースは、ノード242に接続され、エミッタはノード242に接続される。トランジスタ214のコレクタはノード248に接続され、ベースはノード242に接続され、エミッタはノード246に接続される。トランジスタ212のエミッタは、ノード242を介して第3の抵抗器224の一端に接続される。第3の抵抗器224の他端は、別個の電源に、好ましくは接地に接続される。第3の抵抗器224の値は、例えば2.4kΩである。トランジスタ214のエミッタは、ノード246を介して第4の抵抗器228の一端が接続される。第4の抵抗器228の他端は、別個の電源に、好ましくは接地に接続される。第4の抵抗器228には、可変抵抗器または半固定抵抗器を使用することができ、本実施の形態では第4の抵抗器228は、最大抵抗値10kΩの可変抵抗器である(以下、第1の可変抵抗器ともよぶ)。トランジスタ212及びトランジスタ214は、第5の電流ミラーユニットを構成する。このために、第1の可変抵抗器228の値が第3の抵抗器224の値に等しいとき、トランジスタ214のコレクタからエミッタに流れる電流は、トランジスタ212のコレクタからエミッタに流れる電流に比例する。つまり、第5の電流ミラーユニットでは、ノード242に流れる電流に比例する電流が、ノード248に流れる。比例係数は、トランジスタ212とトランジスタ214とのエミッタ比および第3の抵抗器224と第4の抵抗器228との抵抗比によって決定される。以下、エミッタ比が1の場合について説明する。
【0091】
第4の抵抗器(第1の可変抵抗器)228は、第1の制御部44を構成する。レベル調整回路42bは、単調な変化の特性が変更するための識別レベル信号42cを発生する。図2の回路図と同様に、トランジスタ214のエミッタに第1の可変抵抗器228を接続すると、トランジスタ214のコレクタからエミッタに流れる電流に応じてトランジスタ214には自己バイアスが加えられる。第4の抵抗器228の抵抗値を第3の抵抗器224の抵抗値に異なるようにすると、データ識別レベル42cが光信号強度に対して変化する変化率を光信号強度に対して強度信号32が変化する変化率と異なる値にすることができる。第4の抵抗器228の抵抗値と第3の抵抗器224の抵抗値の差を適切に設定すると、識別レベル信号42cの変化率を光信号の状態、使用環境等に応じて調整できる。
【0092】
トランジスタ216のコレクタ及びベースはノード248に接続され、エミッタは端子250に接続される。トランジスタ218のコレクタはノード252に接続され、ベースはノード248に接続され、エミッタは端子250に接続される。トランジスタ216及びトランジスタ218の各々のエミッタは、電源Vccに接続される。トランジスタ216及びトランジスタ218は、第6の電流ミラーユニットを構成する。故に、トランジスタ214のコレクタからエミッタに流れる電流は、トランジスタ216のエミッタからコレクタに流れる電流に比例する。つまり、第6の電流ミラーユニットでは、ノード248に流れる電流に比例する電流が、ノード252に流れる。以下、エミッタ比が1の場合について説明する。
【0093】
第2の制御部46は、第5の抵抗器226を含む。第5の抵抗器226の一端はノード252に接続され、他端は端子254に接続される。端子254は、フィルタ回路16の入力端子172a(CAP1B)を介してデータ識別回路18の一入力端子184aに電気的に結合される。
【0094】
第2の制御部46には、トランジスタ218のコレクタ−エミッタ間に流れる電流が流れる。光信号の強度が第1の所定値に比較して小さい場合には、第2の制御部46に流れる電流値は、APD102に流れる電流値に等しい。抵抗器226の両端には、この電流値に対応した電位差が生じる。この時、レベル調整回路14b、つまり第2の制御部46は、APD102に流れる電流に応じた電流を識別レベル信号42cとしてデータ識別回路18に提供する。
【0095】
一方、光信号の強度が強くなると、トランジスタ218のコレクタ−エミッタ間に流れる電流も大きくなり、また抵抗器226の両端の電位差も大きくなる。この電位差が更に大きくなり、トランジスタ218の動作が能動動作から飽和動作に変化すると、もはや第2の制御部46にはAPD102に流れる電流値に等しい電流は流れない。トランジスタ218のベース電流は、APD102に流れる電流に応じて変化するが、エミッタ−コレクタ間に流れる電流は、ほぼ一定に保たれる。すなわち、APD102に流れる電流にかかわらず、レベル調整回路14bは、データ識別レベル信号42cとして一定の電流を供給する。このため、光信号21の強度が第1の所定値より大きい信号強度の領域では、第2の制御部46は、データ識別回路18のデータ識別レベルが光信号21の強度の値に実質的に依存しないデータ識別レベル信号42cを発生する。第1の所定値は、第1および第3〜第6の電流ミラーユニットにおけるミラー比に応じてAPD102からの電流が増幅された割合と、抵抗器226の値とによって決定される。適切に決定されたこれらの値を用いると、第1の所定値より信号強度が強くなると、トランジスタ218のコレクタ電流がベース電流に応じて変化しなくなるような動作が実現される。
【0096】
本実施の形態の第2の制御部46の動作は、第1の実施の形態と同様である。抵抗器226には、可変抵抗器、または半固定抵抗器を使用することが好ましい。このようにすると、光信号の状態、光受信器の使用環境に応じて第1の所定値を調整できる。なお、図4に示された実施の形態の場合に、抵抗器226は、最大抵抗値100kΩの可変抵抗器を用いて、例えば抵抗値を、50kΩに設定した。
【0097】
第3の制御部48は、第6の抵抗器230を含む。第6の抵抗器230の一端は端子232に接続され、他端は端子234を介して電源Vccに接続される。図4に示された実施の形態の場合に、例示すれば、抵抗器230は、最大抵抗値1MΩの可変抵抗器を用いて、例えば抵抗値を900kΩに設定した。端子232は、フィルタ回路16の入力端子172bおよび出力端子180bを介してデータ識別回路18の一入力端子184bに電気的に結合され、識別レベル信号42dを供給する。なお、第3の制御部48の動作は、図2を参照した説明と同じなので詳細な説明を省略する。
【0098】
なお、レベル調整部40は、第2の実施の形態と同じように決定される。
【0099】
この光受信器では、以下に示される光信号の受信方法に従ってデータ値の識別を行っている。その方法は、光信号21を電気的なデータ信号30a、30bに変換する変換ステップと、光信号21の強度に関連した電気的な強度信号32を発生する発生ステップと、発生ステップにおいて発生された強度信号32に関連してデータ信号30a、30bが有するデータ値を識別するためのデータ識別レベルを変更する変更ステップと、変更ステップにおいて変更されたデータ識別レベルに基づいてデータ信号30a、30bを識別する識別ステップとを備える。
【0100】
また、この方法では、変更ステップは、光信号の強度に関する第1の領域において光信号の平均強度に対して所定の変化率で変更されるデータ識別レベルを提供し、第1の領域よりも光信号の強度が大きい第2の領域において光信号の強度の値に実質的に依存しないデータ識別レベルを提供するようにしてもよい。
【0101】
このように、光信号強度が第1の所定値より小さく第2の所定値より大きい領域において、データ識別レベルが光信号強度に対して所定の変化率で変化するようにした。このため、受ける光信号の強度の変化に対応してデータ識別レベルが変更される。受ける光信号強度が変化すると、この変化に対応したデータ識別レベルに基づいてデータ値が識別される。また、光信号強度が第1の所定値より大きい領域において、データ識別レベルが光信号強度に依存しないようにしたので、光信号の強度に変化しても、データ識別レベルは一定に保たれる。このため、信号強度が変化しても信号強度に依存しないデータ識別レベルが設定される。更に、光信号強度が第2の所定値より小さい領域においては、データ識別レベルが光信号強度に依存しないようにしたので、光信号の強度に変化しても、データ識別レベルは一定に保たれる。このため、信号強度が変化しても信号強度に依存しないデータ識別レベルが設定される。
【0102】
本実施の形態に好適な構成を以下に示す。トランジスタ122(Tr4)、トランジスタ124(Tr3)、トランジスタ236(Tr2)、およびトランジスタ238(Tr1)は、モニタピン(Vpdm)において光電流を監視するための回路を構成する部分である。光電流を取り出すためのモニタピン(Vpdm)に以下の回路を接続することができる。その回路は、トランジスタ208(Tr6)およびトランジスタ210(Tr7)、トランジスタ212(Tr8)およびトランジスタ214(Tr9)、並びにトランジスタ216(Tr10)およびトランジスタ218(Tr11)からなる複数の電流ミラーユニットを含む。この回路を含むレベル調整回路において識別レベル信号を生成して、これをデータ識別回路18に加えると、所定の光入力強度の領域において、光信号強度に比例したデータ識別レベルの変化が生じる。光電流は、Vpdm’端子から実際の約2倍の電流として取り出される電流を利用して監視される。
【0103】
以上詳細に説明したように、第2の実施の形態および第3の実施の形態では、光信号強度が低い領域においては、電流ミラーユニットを用いて光電流に比例した電流をデータ識別回路18の入力に注入して、データ識別回路18の入力直流レベルにオフセット電圧を発生させている。また、光信号強度が大きくなり光受信器内の信号振幅が飽和する領域では、電流ミラーユニットを構成するトランジスタの一対の電流ノード間の電圧(バイポーラトランジスタの場合には、Vce電圧)を減少させることによって一定のオフセット電圧を発生させている。
【0104】
(第4の実施の形態)
図5および図6を参照しながら、図2および図4に示された光受信器の主要部を備える光受信器の特性に関して説明する。
【0105】
図5は、データ識別レベルの光信号強度依存性を示した特性図である。図5では、横軸は光信号の強度をdBm単位で示し、縦軸はデータ識別回路のデータ識別レベルの特性を白三角印(△)にてmV単位で示している。また、図5には、比較のために従来の光受信器のデータ識別レベル特性が白丸印(○)を用いて示されている。図5は、また、各ビット誤り率を達成するためのデータ識別レベルのオフセット電圧をデータ値0、1のそれぞれに対してmV単位で示していて、破線を用いて、発光側を示すデータ値に対しては、誤り率1×10-10、1×10-12、1×10-13、1×10-14、1×10-15、1×10-18に対する特性が示され、反対側のデータ値に対しては、誤り率1×10-10、1×10-11、1×10-15、1×10-18に対する特性が示されている。ビット誤り率の指数は、特性図中の各特性曲線の近傍に記入されている2桁の整数で表される。
【0106】
図1、図2、および図4に示されたデータ識別回路18のデータ識別レベルの特性とは、レベル調整回路(14、14a、14b)からのデータ識別レベル信号(42、42a、42b、42c,42d)によってデータ識別回路18の入力に加えられるデータ識別レベルのオフセット量(オフセット電圧)Voffset=Vcap1b−Vcap1を意味する。Vcap1bは、端子184aに加えられるバイアス電圧を表し、Vcap1は、端子184bに加えられるバイアス電圧を表す。なお、Vcap1−Vcap1bを採用すれば、データ識別レベルの光信号強度の対する傾きの符号が逆になる。
【0107】
図5に参照すると、光信号強度が第2の所定値より大きく且つ第1の所定値より小さい領域(例えば、−25dBm〜−15dBmの領域)では、データ識別レベルに光入力強度に比例するオフセット電圧が加えられる。この領域の比例係数は、図2及び図4の可変抵抗器VR1を用いて調整される。
【0108】
一方、光入力強度が第1の所定値より大きい領域(例えば、−15dBmを越えて大きい領域)では、光受信器内においては信号振幅が飽和、又はほぼ飽和し、一定のオフセット電圧がデータ識別レベルに加えられている。この領域における信号強度の値は、図2および図4の可変抵抗器VR2と、レベル調整回路および検出回路に採用されている電流ミラーユニットのミラー比とに基づいて調整される。
【0109】
また、光信号の信号強度の十分に低い、あるいは信号入力がない領域、つまり第2の所定値より光信号強度が小さい領域(例えば、−25dBmを越えて小さい領域)では、データ識別レベルは光入力強度とは無関係であり、図5に示した例では、オフセット電圧はゼロである。この領域における信号強度の値は、図2および図4の可変抵抗器VR3を用いて調整される。
【0110】
このようにデータ識別レベルを変化させるようにしたので、データ識別回路18のデータ識別レベルと、データ識別の誤り率を最小にするデータ識別レベルとの間の大きなズレ、及び、受信した光信号の各強度において受信感度を低下させるデータ識別レベルの片寄り、を矯正することができる。故に、ビット誤り率特性における曲がり、いわゆる「裾引き」が低減され、または解消される。
【0111】
図6を参照すると、この「裾引き」が低減されていることを示す。図6は、ビット誤り率が示された特性図であり、横軸に光信号強度をdBm単位で示し、縦軸にビット誤り率を対数目盛で示している。図6には、光信号の強度が増加するとビット誤り率も低下していく本実施の形態の光受信器の特性が示され、比較のために、「裾引き」が見られる従来の光受信器の特性も示されている。
【0112】
図6は、光入力強度が−35dBmより大きい領域においても、ビット誤り率はほぼ直線的に低くなっていることを示している。したがって、受信特性が改善された光受信器、および受信特性を改善できる光信号の受信方法を提供された。
【0113】
以上詳細に説明したように実施の形態においては、データ識別回路のデータ識別レベルと、ビット誤り率を最小にするデータ識別レベルとの間に大きなズレ(オフセット)、及び、受信した光信号の各強度において受信感度を低下させるデータ識別レベルの片寄り、を矯正することによって、ビット誤り特性の曲がり、つまり裾引きが低減される。データ識別レベルのオフセット量としては、光入力強度は比較的低い領域では光入力強度に比例する電流を電流ミラーユニットを用いてデータ識別回路に加え、一方、光入力強度が強くなり光受信器内でのい信号の振幅が飽和する領域では一定のオフセット電流を加えるように設定している。このようにすれば、光信号強度の広い範囲において、ビット誤り率を小さくするようにデータ識別レベルを変化させることができる。
【0114】
本実施の形態においては、差動回路を用いて構成したため、非反転信号および反転信号は、相互にデータ識別レベルを判定するためにしきい値を提供する信号としも作用している。
【0115】
また、本発明は、差動回路を使用することなく構成することもできる。
【0116】
更に、第2の実施の形態および第3の実施の形態の光受信器の主要部において、電気的な極性を反転する構成も採用できる。
【0117】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係わる光受信器では、変換回路において光信号から変換されたデータ信号をデータ識別回路においてデータ識別レベルに基づいて識別する光受信器において、データ識別レベルが、受けた光信号の強度に応じて変更されるようにした。
【0118】
このため、受ける光信号の強度の変化に対応して、データ識別回路のデータ識別レベルが適切に調整される。
【0119】
したがって、ビット誤り特性における裾引きを低減され、光信号強度の広い範囲において受信性能が改善された光受信器が提供される。
【0120】
また、本発明に係わる光信号の受信方法では、光信号から電気信号へ変換されたデータ信号をデータ識別レベルに基づいて識別する際に、光信号の強度に関連した強度信号を発生して、この強度信号に関連付けてデータ識別レベルを調整するようにした。
【0121】
このため、受ける光信号の強度の変化に対応したデータ識別レベルに基づいてデータ値が識別される。
【0122】
したがって、ビット誤り特性における裾引きが低減された光信号の受信方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係わる光受信器のブロックを示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明に光受信器の主要部の回路を示す回路図である。
【図3】図3(a)および図3(b)は、データ識別レベルと信号波形との関係を示した波形図である。
【図4】図4は、本発明に係わる光受信器の主要部の回路を示す回路図である。
【図5】図5は、データ識別レベルのオフセット値を示した特性図である。
【図6】図6は、ビット誤り率が示された特性図である。
【図7】図7は、従来技術における光信号の伝送誤り率特性を示した特性図をである。
【図8】図8は、従来技術におけるビット誤り率を示した特性図である。
【符号の説明】
10…光受信器、12…変換回路、14…レベル調整回路、16…フィルタ回路、18…データ識別回路、21…光信号、22…光通信路、24…光電変換部、30…データ信号、32…出力電気信号、34…強度検出部、40…レベル調整部、42…データ識別レベル信号、44…第1の制御部、46…第2の制御部、48…第3の制御部、58…、100,200…光受信器の主要部、102…光電変換素子、104…プリアンプ回路、106…メインアンプ回路、108…帰還抵抗器
Claims (4)
- 受けた光信号を電気的なデータ信号に変換し、前記光信号の強度に関連付けられた電気的な強度信号を発生する強度検出部を有する変換回路と、
前記光信号の強度に関連して変更されるデータ識別レベルに基づいて、前記データ信号が示すデータ値を識別するデータ識別回路と、
前記強度信号に関連して前記データ識別レベルを調整するための識別レベル信号を発生するレベル調整回路とを備え、
前記データ識別レベルは、前記光信号の強度に関する第1の領域において、前記光信号の平均された強度に対して単調に変化する特性を有し、前記第1の領域よりも光信号の強度が大きい第2の領域において、ほぼ一定である光受信器であって、
前記識別レベル信号は、前記光信号の強度が第1の所定値より小さい信号強度の領域において前記光信号の強度に対して前記データ識別レベルを単調に変化させ、
前記レベル調整回路は、前記光信号の強度に対して前記データ識別レベルが単調に変化する変化の単調性を調整する第1の制御部を有する、
光受信器。 - 前記レベル調整回路は、前記光信号の強度が第1の所定値より大きい信号強度の領域において前記データ識別レベルをほぼ一定にするための第2の制御部を有する、請求項1に記載の光受信器。
- 前記レベル調整回路は、前記光信号の強度が第2の所定値より小さい信号強度の領域において前記光信号の強度とは独立した前記データ識別レベルを調整するための第3の制御部を有する、請求項1または2に記載の光受信器。
- 前記レベル調整回路及び前記データ識別回路の間に結合され、前記識別レベル信号の低周波成分を通過させ前記識別レベル信号を平均化するフィルタ回路を更に備える請求項1〜3のいずれかに記載の光受信器。
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