JP4032265B2 - ガス放出防止型圧力調整器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガス容器の転倒や家屋の倒壊、落雪荷重などによって容器に接続したホ−スに一定以上の張力が作用したとき、自動的にガスの放出を阻止する張力作動式のガス放出防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のガス放出防止装置は、転倒式のガス放出防止器や過流出防止弁が直接ガス容器に取り付けられ、その先に高圧ホ−スや減圧調整器を取り付ける構造になっているため、容器の交換が不便で製品の単価も高いものであった。特に転倒式のガス放出防止器では、防止器本体に鎖やワイヤ−の一端が取り付けられ、その他端が家屋等の固定構造物に取り付けられており、容器の転倒の際にその鎖やワイヤ−が引っ張られる様になっているため、それらが邪魔になって容器の交換が困難であった。また、場合によっては鎖やワイヤ−を固定するフックが外れ、防止器が作動しないこともあった。
【0003】
過流出防止弁を容器のバルブ内に組み込んだ例もあるが、その場合はガス充填のための回収容器や保存容器など、全ての容器に組み込む必要が生じ、容器交換の都度、その置き方で容器が傾いたり、また容器交換後に容器の弁を開く際の瞬間的なガスの流れによって誤作動するケ−スが非常に多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、ガス容器の転倒や家屋の倒壊、落雪荷重などによってガス容器に接続された圧力調整器と、家屋に設置されたガス配管との間に接続したホ−スに一定以上の張力が作用したとき、流体の流出を自動的に阻止するための有効なガス放出防止装置を内蔵した圧力調整器の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、圧力調整器の高圧側ノズル継ぎ手部に接続したニップル継ぎ手の内部に摺動閉塞弁装置を有する張力作動式ガス放出防止装置内蔵した圧力調整器であって、そのニップル継ぎ手側を高圧ガス容器のバルブに直接接続することにより、ホ−スに異常な張力が作用した場合、直ちに調整器の継ぎ手部内部の摺動部が摺動伸長して摺動閉塞弁装置が働き、上流側からのガスの放出を阻止すると共に、伸長した継ぎ手部の表面に設けられている表示用着色部によってガス放出防止機能が作動中であることを表示し、安全処置を施した後、表示部が見えなくなるまで調整器の接続継ぎ手部を押し込むことにより、容易に元の状態に復帰させることができるようにしたものである。
【0006】
また、摺動閉塞弁装置には作動張力調整用手段を設け、使用状況に応じ作動張力を設定することが出来るようになっている。したがって、作動が確実で、保守点検作業にも優れたガス放出防止装置を得ることができるのである。
【0007】
【発明の実施形態】
図8は、この発明の一実施形態を示す説明作動図である。
通常は実線で示すように、圧力調整器の上流側のガスボンベ等の容器(高圧容器)Gに設けられたバルブVに圧力調整器本体部1のニップル継ぎ手部が直接接続されており、圧力調整器の下流側には画瀬ホースが接続され、ガスメータMを経て図示しない周知の燃焼器(低圧燃焼器具)にガスを供給するようになっている。
【0008】
【作用】
地震その他の原因によりガス容器Gが破線で示すように傾いたり、落雪やその他の落下物がホ−スに当たったりしてガスホ−スHに所定の値以上の張力Pが作用した場合、図7で後述するように、圧力調整器本体部1とストッパ部材5のカバ−部5dとの間隔がRだけ拡がり、ガス放出防止装置が働いてガス容器GのバルブVから放出されるガスは完全に遮断され、今までカバ−部に覆われていた作動表示用着色部3fが現れる。
【0009】
なお、前述した原因によりガス容器が傾いた場合は、図のように圧力調整器の下流側に接続されたホ−スの他端を支点として容器バルブ、圧力調整器、ホ−ス部分が直線状に並ぶために常に一定の張力が防止器作動部に作用する事になる。
【0010】
【実施例】
以下、この発明の圧力調整器の具体的な構成を実施例によって説明する。図1はこの発明の圧力調整器の主要部組み立て断面図である。1はこの発明のガス放出防止型調整器の本体部を示しており、この圧力調整器の本体部は周知のレバ−式調整器として構成されており、通常は単独でガスボンベ等の高圧ガス供給源とガス燃焼器具の間に接続されて安定したガス圧を供給するものであるから、その説明は省略する。3はこの調整器の高圧側に設けられているノズル継ぎ手部で、2は張力作動式ガス放出防止装置で、ニップル継ぎ手部4と、ストッパ部材5と、摺動閉塞弁装置8を有している。
【0011】
図2はノズル弁継ぎ手部の断面図である。ノズル弁継ぎ手3は、ガス流通孔3eの下流側端部にノズル弁座3aを有しており、調整器本体部1の弁棒1aの先端に設けられた弁ゴム1bに当接し、弁棒1aの移動によりガスの流入を制御する。3bは接続ネジで、調整器1の上流側に接続されている。3cは上流側に設けられた接続ナット部で、内ネジ3dが形成されており、ナット部の外周面は多角形3gを呈し、作動表示用の着色部3fが全周にわたって設けられている。この作動用の着色部3fは、必要により蛍光塗料を使用することが出来る。
【0012】
図3はストッパ部材の説明用図で、図3(a)は断面図、図3(b)は右側面図、図3(c)はX−X断面図である。このストッパ部材5は、内鍔5aと、内鍔5aに明けられた摺動貫通孔5bと、内ネジ5cと、多角形の内孔を有する筒状のカバ−部5dを有している。カバ−部5dは、筒部の断面形状がノズル継ぎ手部3の接続ナット部の外形と同一の多角形の形状3gを有し、ナット部に摺動自在で、且つ回動不能に嵌合するように作製され、内ネジ5cは後述するニップルロッド6の接続用雄ネジ6hと螺着される。内鍔5aの貫通孔5bには後述する摺動閉塞装置の摺動部円筒部8dが貫通する。
【0013】
図4はニップル継ぎ手部の断面図である。4はニップル継ぎ手部で、6はニップルロッド、6aはガス流通孔6bに設けたストレーナ6cと外周にパッキング6dを嵌め込んだニップル部である。ニップルロッド6の外周には回転自在に設けられた高圧ガス容器GのバルブVと調整器1との接続用の雄ネジ7が嵌入されている。
7aは雄ネジ7の締め付け用ハンドルである。このハンドル7aを回すことにより、調整器1と高圧ガス容器Gとは、何れ側の接続部も回転させること無くニップル継ぎ手部を介して両者の接続が行われる。 6eは通気孔6bに連通するニップル空間室である。6fは内向鍔(図6参照)で、リング溝6kに嵌入した止めリング11と共に閉塞用シール部材9を保持すると共に、ニップルロッドの摺動時のガイドを兼用する。
6hはニップルロッド6の後端部に設けられた接続用雄ネジで、ストッパ部材5の内ネジ5c(図3参照)に螺着されている。
【0014】
図5はニップルロッド内に設けられた摺動閉塞弁装置の断面図である。この摺動閉塞弁装置8は、ガス流通孔8bを有する円筒状のロッド部材から構成されており、摺動本体部8aと弁体部8gとからなり、弁体部8gは摺動本体部8aのガス流通孔8bに直交して設けられた通気孔8cを有し、ニップル空間室6e内に突出している。8dは摺動円筒部で、ストッパ部材5の貫通孔を貫通して摺動する。8eは摺円筒部8dより大径のストッパ段部でストッパ部材5の鍔5a貫通孔5bの径より大きく設定されているので、摺動円筒部8dの摺動が停止される。8fは摺動円筒部8dの後端部に設けられた接続用雄ネジで、ノズル弁継ぎ手部3の内ネジ3dに螺着される。8hは作動張力設定用Cリング用のリング溝である。
【0015】
図6は図4におけるA部部分拡大図で、ニップルロッド6の内面には、摺動閉塞弁装置の作動張力を設定するための、ニップルロッド6の後端部に向けて径が小さくなるようなテーパ溝6jと、閉塞用シール部材9の止めリング11の溝6kが形成されている。テーパ溝6jの傾斜角とCリング12の弾性力の組み合わせにより、所定の作動張力を設定することができる。摺動閉塞弁8には、リング溝8hが形成されており、その中に作動張力設定用のCリング12が嵌入されている。8fはシール部材9の保持空間円筒部で、ニップルロッド6の内向鍔6fのガイド孔(図示せず)に貫通摺動する。閉塞用のシール部材9は、複数のOリング13とスペーサ14とを交互に重ねて構成される。Oリング13は弾性を有するシール部材としてゴムやプラスチック等の合成樹脂材料が使用され、Oリングの間隔を決めるスペーサの幅は摺動閉塞弁装置8のの通気孔8cの直径に略等しく設計されている。
【0016】
以下に、張力作動式ガス放出防止装置の作動原理を説明する。図7は作動後の状態を示すガス放出防止装置の説明図で、圧力調整器の本体部1とニップル継ぎ手部4との間に設定値以上の張力Pが作用した場合、ガス放出防止装置の摺動閉塞弁装置8がニップルロッド6の中を軸方向に摺動し、ストッパ部材5の内鍔5aが摺動閉塞弁装置の摺動円筒部に形成されたストッパ段部8eに当たって停止する。この状態で、圧力調整器本体部1とストッパ部材のカバー部5dとの間隔がRだけ広がり、今までカバー部に覆われていた作動表示用着色部3fが現れる。これと同時に、摺動閉塞弁装置の弁体部8gが閉塞用シール部材の中に引き込まれ、その通気孔8cがOリング13a、13bによって閉塞されるので上流から供給されるガス流は、ニップル空間室6eで完全に遮断される。
【0017】
なお、作動表示用着色部3fは、ストッパ部材5のカバ−部が無い場合は、摺動閉塞弁装置の摺動円筒部8dの外周面に設けることができる。この場は摺動円筒部8dとストッパ部材5とは、回転不能で摺動できるように作製する事を要する。
【0018】
【発明の効果】
この発明によれば、圧力調整器をガス容器のバルブに直接着脱自在に接続する事が出来るので、ワイヤ−などが無いために邪魔にならず容器の交換が容易で、対象とする容器全てにガス放出防止器を組み込む必要がない。さらに、この発明ではガス放出防止装置が調整器の部品内部に組み込まれているため、ガス放出防止装置をガス容器に取り付けるネジ部と調整器を取り付けるネジ部とを2重に使用する必要がなく、経済的であるとともに、容器の置き方や容器交換後のバルブを開く際の瞬間的なガスの流れによる誤作動も防止できる効果を有する。
【0019】
また、圧力調整器の本体部と摺動閉塞弁装置とが回転不能で、且つ摺動可能に接続されているので、ガス容器の傾き方向に関係なく張力変化を敏感に検知でき、必要に応じて作動張力を調整できるので応用範囲が広く、装置が作動したか否かを直ちに判断できると共に、元の状態に復帰させるのも、単に圧力調整器を押して摺動閉塞作動弁装置を作動表示用の着色部が見えなくなる迄押し込めばよいので、取扱作業も簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧力調整器の組み立て主要断面図である。
【図2】ノズル継ぎ手部の断面図である
【図3】ストッパ部材の説明用図である。
【図4】ニップル継ぎ手部部の断面図である
【図5】ニップルロッド内に設けられた摺動閉塞弁装置の断面図である。
【図6】図1におけるA部部分拡大断面図である。
【図7】この発明の張力作動式ガス放出防止装置の作動後の状態を示す説明図である。
【図8】この発明の一実施形態を示す説明作動図である
【符号の説明】
1 圧力調整器
2 張力作動式ガス放出防止装置
3 ノズル弁継ぎ手部
3d ノズル弁継ぎ手部3の内ネジ
3f 作動表示用着色部
4 ニップル継ぎ手部
5 ストッパ部材
5a ストッパ部材の内鍔
5b 摺動貫通孔5b
5d ストッパ部材5に設けられた筒状のカバー部
6 ニップルロッド
6j テーパ溝
7 ガス容器側バルブとの接続用雄ネジ
8 摺動閉塞弁装置
8d 摺動円筒部
8f 摺動円筒部8dの後端部に設けられた接続用雄ネジ
8h リング溝
12 Cリング
Claims (3)
- 調整器の高圧側に設けられたノズル弁継ぎ手部3に接続されたニップル継ぎ手部4の内部に摺動閉塞弁装置8を有する張力作動式ガス放出防止装置2を内蔵した圧力調整器1であって、張力作動式ガス放出防止装置2は、ニップル継ぎ手部4のニップルロッド6の外周に回転自在に設けられたガス容器側バルブとの接続用雄ネジ7と、ニップルロッドの中空部に摺動自在に嵌入された摺動閉塞弁装置8と、ニップルロッドの後端部に螺着されたストッパ部材5とを有し、ストッパ部材の内鍔5aに明けられた摺動貫通孔5bから突出した摺動閉塞弁装置の摺動円筒部8dの後端部に設けられた接続用雄ネジ8fをノズル弁継ぎ手部3の内ネジ3dに接続したことを特徴とするガス放出防止型圧力調整器。
- ニップル継ぎ手部4のニップルロッド6の中空部の内周面には、ニップルロッドの後端部に向けて径が小さくなるようなテーパ溝6jが設けられており、このテーパ溝と対向する摺動閉塞弁装置の摺動閉塞弁の外周面には、Cリング12が嵌入されたリング溝8hが設けられ、Cリングの弾性力とテーパ溝の傾斜角との組み合わせにより所定の作動張力を設定することを特徴とする請求項1記載のガス放出防止型圧力調整器。
- ノズル弁継ぎ手部3のニップル継ぎ手部4との接続ネジ部3d、8fの外周全面にガス放出防止装置の作動表示用着色部3fが設けられており、摺動閉塞弁装置8が作動した場合は、ストッパ部材5に設けられた筒状のカバー部5dが作動伸張したニップルロッド6と共に移動することにより、カバーで覆い隠されていた作動表示用着色部3fが現れることを特徴とする請求項1又は2記載のガス放出防止型圧力調整器。
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- 1997-09-25 JP JP27667997A patent/JP4032265B2/ja not_active Expired - Lifetime
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