JP4031270B2 - 繊維強化プラスチック成形体の成形方法と成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の強化繊維層からなる積層体にマトリックス樹脂を含浸させて硬化する繊維強化プラスチック(FRP)成形体の成形方法と同成形方法により得られる成形体に関し、特にその強化繊維層間の接着強度を高める成形方法とその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
FRP成形体は、強化繊維層からなる基材にマトリックス樹脂を含浸して硬化させることにより得られる。この硬化の過程において、マトリックス樹脂は発熱する。特に厚みの厚い成形品を成形する場合は、その発熱量が高くなり、成形品に反りを生じさせる原因となっている。この発熱を減らすために、複数の強化繊維層積層して所望の積層厚みとした積層体に樹脂を含浸させて硬化させたのち、同様の積層厚みを有する新たな積層体に樹脂を含浸させたのち硬化させ、この積層硬化を繰り返し行って反りを緩和させる手法が取られている。このときの積層体同士の接着力を高める方法として、(1) 接着面をサンドペーパー等で荒らした後、脱脂し、積層する方法、(2) 樹脂が含浸された接着面に離型性の良い繊維層からなる基材を配して硬化させた後に、その基材を引き剥がすことにより、荒らされた接着面を形成し、そこに次回の積層体を積層する方法等が採られることがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの成形方法はマトリックス樹脂が接着力の高い樹脂系の材料を使う場合には有効であるが、接着力の低い樹脂系では、各積層体間の接着力の向上がほとんど期待できないという問題があった。更に、製作にあたっての工程数が多いため、特に大きな成形体を製作するにはコストが高騰するという問題もある。
【0004】
本発明は、マトリックス樹脂として接着力が低い樹脂系材料を使用しても、積層体間に所要の接着力が得られるばかりでなく、各積層体内に積層された繊維層間においても高い接着力が得られる生産性の高いFRP成形体の製造方法と、その成形体を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決すべく、FRP成形体の成形方法、その複数の強化繊維層からなる積層体同士の接着力を高める方法について種々検討した結果、樹脂の接着強度が低くても、接着力が高く且つ生産性の良好な成形方法を発明するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の基本的な目的は、複数の強化繊維層を積層してマトリックス樹脂を含浸硬化させて得られるFRP成形体の成形時において、特に積層厚みが厚い成形体の成形に有効な成形方法であって、目標とする積層厚みの積層体を所望の積層厚みの積層体に分割し、これを数回に分けて積層と樹脂の含浸硬化を繰り返すときの効率の良い接着方法、或いは接着強度の弱い樹脂との間での接着強度を向上させ、且つ高い生産性をもたらすことを特徴とするFRP積層板の成形方法を開発することにある。
【0007】
本発明方法の基本構成は請求項1にあるように、複数の強化繊維層からなる積層体に樹脂を含浸硬化させながら順次積層して各積層体間を接着により一体化し、目標とする積層厚みを有する繊維強化プラスチック成形体を成形する方法であって、目標とする積層厚みの途中段階にある所望厚みの積層体に樹脂を含浸させること、次いでその積層体の上に樹脂を塗布し、次回に積層される所望厚みの積層体との間の接着層として樹脂を含浸していない繊維層を積層すること、その繊維層に、樹脂の含浸部分が同繊維層の目付の10〜90wt%となるように、樹脂を含浸させて硬化させること、硬化後の前記積層体に、改めて十分な量の樹脂を塗布含浸させること、及びその塗布含浸後に、次回の所望厚みの積層体を積層し、所定の樹脂を含浸させて硬化することを含んでいることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の成形方法にある。
【0008】
すなわち、先ず目標とする積層厚みの途中段階にある所望の積層厚みを有する層まで樹脂を含浸させる。次に、その次層との接着面に樹脂を塗布し、接着層として用いる樹脂を含浸していない繊維層からなる基材を配する。このとき、接着層として用いる基材の特性に基づいて、同基材に用いる樹脂量を決定しておき、既に樹脂が含浸している積層体層の上から塗布することが望ましい。
【0009】
その後、接着層としての基材に、樹脂の含浸部分が同基材目付の10〜90wt%となるように、樹脂を含浸した部分の存在する状態で硬化させる。このときの接着層として用いられる基材に対する樹脂の含浸状態は、同基材の厚み方向の中間付近まで含浸するようにしてもよく、或いは接着層用の基材の下端面から上面まで部分的に含浸していたり、ほとんど含浸していない部分があったりしてもよい。好ましくは、これらの状態が均等に分布されているように実施することである。
【0010】
この段階で樹脂を硬化させた後に、その接着層の未含浸部分に十分な量の樹脂を塗布含浸させる。この塗布含浸を終えた後に、次層の積層体を積層して樹脂を硬化させることにより、積層体同士の間の接着力を高めたFRP成形体が成形される。このときに用いられる樹脂としては、エポキシ樹脂,ビニルエステル樹脂,フェノール樹脂,不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができるが、特に限定されるものではなく如何なる樹脂を用いてもよい。また、単一樹脂に止まらず、接着層である基材も含めて、接着面を境界として複数の異なる樹脂にて成形しても良い。特に、一方の樹脂の接着強度が25MPa以下のものを用いるときに良好な効果が得られる。
【0011】
接着層に用いられる基材としては不織布や織布が挙げられ、その材質は、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等を挙げることができる。使用される強化繊維は単一素材でなければならないというものではなく、複数種類の繊維で構成されていてもよい。また本発明にあって、採用される成形法としては、ハンドレイアップ法やVARTM法,SCRIMP法等が挙げられるが、単一法のみならず、複数種類の成形法を組み合わせてもよい。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を実施例と比較例とを挙げて、具体的に説明する。 以下の実施例1及び比較例1において、使用される強化繊維層である繊維基材として、炭素繊維基材A(三菱レイヨン製:TRK910)(12K−CF使い平織り、650g/m2 )、ガラス繊維基材B(チョップドストランドマット:225g/m2 )、ガラス繊維基材C(チョップドストランドマット:450g/m2 )を用い、フェノールを主成分とする樹脂I(昭和高分子製:BRL240)及びビニルエステル樹脂を主成分とする樹脂II(日本ユピカ製:ネオポール8250L)を用いて、1×2mサイズで厚み約7mmの以下の矩形平板を成形した。
【0013】
(実施例1)
樹脂IIを用いて基材A/基材C/基材Aの構成でハンドレイアップ法にて樹脂含有率が60wt%になるように積層して積層体を得たのち、その上に基材Cの50wt%に相当する量の樹脂IIをローラーにて塗布した。約30分の時間をおいて、更にその上に接着層としての樹脂を含浸していない基材Cを1プライ積層した。このときの基材Cに対する樹脂IIの含浸状態は、基材Cの厚み方向のほぼ中央付近にて一様な含浸状態にあった。その後、室温にて約2時間かけて硬化させたのち、その基材Cの上から基材Cの60wt%に相当する量の樹脂Iを塗布して含浸させ、更に、ハンドレイアップ法にて基材A/基材C/基材Aの構成で積層体を形成し、樹脂Iの含有率を60wt%になるようにして、室温にて24時間硬化させ、更に80℃で2時間加熱後、平板(1−1)を得た。
【0014】
(比較例1)
樹脂IIを用いて基材A/基材C/基材A/基材Bの構成でハンドレイアップ法にて樹脂含有率が60wt%になるように積層して積層体を得たのち、室温にて完全に硬化させた。得られた成形積層体の基材B側の表面を#240のサンドペーパーにて十分に研磨したのち、アセトンにて脱脂し乾燥させた。次に、その研磨面に若干量の樹脂Iを上から塗布後、ハンドレイアップ法にて基材B/基材A/基材C/基材Aの順で積層し、樹脂Iを含浸させて硬化した。このときの樹脂Iの含有率は60wt%に相当する量を塗布して含浸させ、室温にて24時間かけて硬化させたのち、更に80℃で2時間加熱後、平板(2−1)を得た。
【0015】
このとき得られた平板(1−1)および平板(2−1)からサンプルを採取して、フラットワイズ試験を実施したところ、次の結果を得た。
平板(1−2)= 20MPa : 母材の層間破壊
平板(2−1)= 12MPa : 接着面の層間破壊
【0016】
従来の接着面をサンドペーパーにて研磨するサンディング法による接着法は、接着面での破壊を起こしたが、本発明による方法を用いると接着面での破壊は起こらず、逆に母材での層間破壊が起こるが、そのときの破壊強度も高いものが得られた。
【0017】
(実施例2)
炭素繊維基材A(三菱レイヨン製:TKR910)、ガラス繊維基材B(チョップドストランドマット:225g/m2 )、ガラス繊維基材C(チョップドストランドマット:450g/m2 )を用いて、1×2mサイズの平板を成形した。
【0018】
樹脂IIを用いて基材A/基材C/基材Aの構成で、ハンドレイアップ法にて樹脂含有率が60wt%になるように積層して積層体を得たのち、その上から基材Cの50wt%に相当する量の樹脂IIをローラーにて塗布した。塗布後、ほとんど時間を空けず接着層を構成する樹脂を含浸していない基材Cを1プライ積層した。このときの基材Cの含浸状態は、基材Cの一部分が完全に含浸していたり、ほとんど含浸していないような部分が、ほぼ均等に分散していた。
【0019】
この状態で室温にて2時間かけて硬化させたのち、その上に基材A/基材C/基材Aの構成で樹脂を含浸していない基材だけを積層した積層体を得た。次に、これをナイロンフィルムで全体を覆い、760mmHgの真空で30分以上引いたのち、真空が漏れないことを確認して、予めナイロンバックに設けていた樹脂注入口より先の積層体に樹脂IIをVARTM法にて注入した。このときの真空圧は350mmHgとし、樹脂IIの含有率が60wt%になるように調整した。注入したままの状態にて室温で2時間で硬化後、バッグフィルムより成形板を取り出し、更に80℃で2時間硬化させて、平板(1−2)を得た。
【0020】
このときの平板(1−2)からサンプルを採取して、フラットワイズ試験を実施したところ、次の結果を得た。
平板(1−2)= 25MPa : 母材の層間破壊
【0021】
従来のサンディング法による接着法は、上述のとおり接着面での破壊が起こるが、本発明による方法を用いると、逆に積層体の内部での層間破壊が生じ、そのときの破壊強度も高いものであった。
【0022】
以上の結果から明らかなように、本発明方法を実施することにより、接着力の弱い樹脂であっても接着強度が良好で生産効率の上がる成形が可能となった。
Claims (5)
- 複数の強化繊維層からなる積層体に樹脂を含浸硬化させながら順次積層して各積層体間を接着により一体化し、目標とする積層厚みを有する繊維強化プラスチック成形体を成形する方法であって、
目標とする積層厚みの途中段階にある所望の積層厚みをもつ積層体に樹脂を含浸させること、
次いで、その積層体の上に樹脂を塗布し、次回に積層される所望厚みの積層体との間の接着層として樹脂をまだ含浸していない繊維層を積層すること、
その繊維層に、樹脂の含浸部分が同繊維層の目付の10〜90wt%となるように、樹脂を含浸させて硬化させること、
硬化後の前記積層体に、改めて十分な量の樹脂を塗布含浸させること、及び
その塗布含浸後に、次層の積層体を積層し、所定の樹脂を含浸し硬化させること、
を含んでなることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の成形方法。 - 前記接着層としての繊維層のマトリックス樹脂として2種類以上の異なる樹脂を使用することを特徴とする請求項1記載の成形方法。
- 少なくとも一方の前記マトリックス樹脂の接着強度が25MPa以下であることを特徴とする特許請求項2記載の成形方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載された成形方法により得られる繊維強化プラスチック成形体であって、
上記接着層を構成する繊維層に不織布が使用されてなることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。 - 請求項1〜3のいずれかに記載された成形方法により得られる繊維強化プラスチック成形体であって、
上記接着層を構成する繊維層に織布が使用されてなることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
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