JP4030678B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機等の遊技機に関し、特に、表示状態が変化可能な可変表示装置を含み、可変表示装置における表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機として、表示状態が変化可能な可変表示部を有する可変表示装置が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に遊技者に有利となる大当り遊技状態に移行するように構成されたものがある。可変表示装置には複数の可変表示部があり、通常、複数の可変表示部の表示結果を時期を異ならせて表示するように構成されている。可変表示部には、例えば、図柄等の複数の識別情報が可変表示される。可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様の組合せとなることを、通常、「大当り」という。なお、遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることである。
【0003】
大当りが発生すると、例えば、大入賞口が所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞口への入賞があると大入賞口は閉成する。そして、大入賞口の開放回数は、所定回数(例えば16ラウンド)に固定されている。なお、各開放について開放時間(例えば29.5秒)が決められ、入賞数が所定個に達しなくても開放時間が経過すると大入賞口は閉成する。また、大入賞口が閉成した時点で所定の条件(例えば、大入賞口内に設けられているVゾーンへの入賞)が成立していない場合には、所定回数に達していなくても大当り遊技状態は終了する。
【0004】
また、「大当り」の組合せ以外の「はずれ」の表示態様の組合せのうち、複数の可変表示部の表示結果のうちの一部が未だに導出表示されていない段階において、既に表示結果が導出表示されている可変表示部の表示態様が特定の表示態様の組合せとなる表示条件を満たしている状態を「リーチ」という。遊技者は、大当りをいかにして発生させるかを楽しみつつ遊技を行う。
【0005】
遊技機における遊技進行はマイクロコンピュータ等による遊技制御手段によって制御される。可変表示装置に表示される識別情報、キャラクタ画像および背景画像は、遊技制御手段からの表示制御コマンドデータに従って動作する表示制御手段によって制御される。可変表示装置に表示される識別情報、キャラクタ画像および背景画像は、一般に、表示制御用のマイクロコンピュータとマイクロコンピュータの指示に応じて画像データを生成して可変表示装置側に転送するビデオディスプレイプロセッサ(VDP)とによって制御されるが、表示制御用のマイクロコンピュータのプログラム容量は大きい。
【0006】
従って、プログラム容量に制限のある遊技制御手段のマイクロコンピュータで可変表示装置に表示される識別情報等を制御することはできず、遊技制御手段のマイクロコンピュータとは別の表示制御用のマイクロコンピュータ(表示制御手段)が用いられる。よって、遊技の進行を制御する遊技制御手段は、表示制御手段に対して表示制御のためのコマンドを送信する必要がある。
【0007】
遊技の演出効果を増進するための一つの手段として、識別情報等の変動パターンの種類を豊富にすることがある。また、識別情報等の変動中には、当然のことながら次の変動を開始できないので、変動時間は短い方が遊技者にとっては好ましい。従って、特定の条件が成立すると、識別情報等の変動時間を短縮するといった遊技演出がなされることも多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、識別情報等の変動パターンの種類を豊富にしたり、さらに、変動時間の短い変動パターンを多数種類用意したりすると、遊技制御手段から表示制御手段に送信されるコマンドの種類が多種類となってしまう。コマンドの種類が多くなると、遊技制御手段において、表示制御手段に対するコマンド送出制御が複雑化したり、コマンド送出制御に要するプログラム容量が多くなったりする。すると、遊技制御手段において、本来の遊技制御にかけることができる制御時間やプログラム容量が減ってしまい、かえって効果的な遊技演出を行うことができなくなるといった弊害がでてくる。
【0009】
そこで、本発明は、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担をなるべく増やさないようにしつつ、多数種類の変動時間の短い変動パターンを使用することができる遊技機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による遊技機は、表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として大当り遊技状態に移行する遊技機であって、遊技の進行を制御し、大当りとするか否かを決定する大当り決定手段と、可変表示部の表示内容を決定する表示内容決定手段と、識別情報の変動開始の条件の成立に応じて可変表示部の表示状態を変化させるためのコマンドを出力するコマンド出力手段とを含む遊技制御手段と、遊技制御手段が出力したコマンドにもとづいて可変表示部の表示制御を行う表示制御手段とを備え、遊技制御手段は、表示内容決定手段の決定にもとづいて、少なくとも識別情報の変動開始から終了までの時間である変動時間を特定可能であって可変表示パターンを特定可能なコマンドを変動を開始するのに関連した所定の時期に出力し、変動時間が終了したときに、識別情報の確定を示すコマンドを出力し、可変表示パターンには、識別情報の変動速度を上昇させる加速期間と、該加速期間に続く期間であって識別情報を高速で変動させる期間とが含まれ、可変表示パターンのうちには、リーチパターンが同一種類であって識別情報が高速に変動する変動初期の期間を異ならせることにより変動時間を異ならせた複数の可変表示パターンがあり、表示制御手段は、変動時間を特定可能であって可変表示パターンを特定可能なコマンドを受信すると、そのコマンドに応じたあらかじめ決められている可変表示パターンに従って識別情報の変動制御を行い、変動時間の終了時に識別情報の表示結果があらかじめ決められている停止識別情報となるように識別情報の差し替え制御を行い、識別情報の確定を示すコマンドを受信したら識別情報を確定させ、全ての種類のリーチパターンのうちの一部の種類のリーチパターンのみが変動時間を異ならせた複数の可変表示パターンにおいて実行されるように構成されている。
【0011】
変動時間を異ならせた複数の可変表示パターンのうち変動時間が短い可変表示パターンは、所定の条件が成立したときにのみ選択可能であるように構成されていてもよい。
【0012】
所定の条件は、例えば、変動開始の条件が成立したことの記憶数が所定数以上である。
【0013】
また、所定の条件は、例えば、確率変動状態や時間短縮状態などの遊技者にさらに有利な遊技価値をもたらす特別遊技状態中である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。
【0017】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3からあふれた景品玉を貯留する余剰玉受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が設けられている。
【0018】
遊技領域7の中央付近には、複数種類の図柄を可変表示するための可変表示部9と7セグメントLEDによる可変表示器10とを含む可変表示装置8が設けられている。この実施の形態では、可変表示部9には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがある。可変表示装置8の側部には、打球を導く通過ゲート11が設けられている。通過ゲート11を通過した打球は、玉出口13を経て始動入賞口14の方に導かれる。通過ゲート11と玉出口13との間の通路には、通過ゲート11を通過した打球を検出するゲートスイッチ12がある。また、始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ17によって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
【0019】
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。この実施の形態では、開閉板20が大入賞口を開閉する手段となる。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(Vゾーン)に入った入賞球はVカウントスイッチ22で検出される。また、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。可変表示装置8の下部には、始動入賞口14に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する始動入賞記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、始動入賞がある毎に、始動入賞記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、可変表示部9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。
【0020】
遊技盤6には、複数の入賞口19,24が設けられている。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cが設けられている。そして、この例では、一方のスピーカ27の近傍に、景品玉払出時に点灯する賞球ランプ51が設けられ、他方のスピーカ27の近傍に、補給玉が切れたときに点灯する玉切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技台1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって玉貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
【0021】
打球発射装置から発射された打球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が通過ゲート11を通ってゲートスイッチ12で検出されると、可変表示器10の表示数字が連続的に変化する状態になる。また、打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ17で検出されると、図柄の変動を開始できる状態であれば、可変表示部9内の図柄が回転を始める。図柄の変動を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶を1増やす。なお、始動入賞記憶については、後で詳しく説明する。
【0022】
可変表示部9内の画像の回転は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の画像の組み合わせが大当り図柄の組み合わせであると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球が特定入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。この継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
【0023】
停止時の可変表示部9内の画像の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、高確率状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
また、可変表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、高確率状態では、可変表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
【0024】
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。
可変表示装置8の背面では、図2に示すように、機構板36の上部に景品玉タンク38が設けられ、パチンコ遊技機1が遊技機設置島に設置された状態でその上方から景品玉が景品玉タンク38に供給される。景品玉タンク38内の景品玉は、誘導樋39を通って玉払出装置に至る。
【0025】
機構板36には、中継基板30を介して可変表示部9を制御する可変表示制御ユニット29、基板ケース32に覆われ遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、可変表示制御ユニット29と遊技制御基板31との間の信号を中継するための中継基板33、および景品玉の払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された賞球基板37が設置されている。さらに、機構板36には、モータの回転力を利用して打球を遊技領域7に発射する打球発射装置34と、スピーカ27および遊技効果ランプ・LED28a,28b,28cに信号を送るためのランプ制御基板35が設置されている。
【0026】
また、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。遊技盤6の裏面には、図3に示すように、各入賞口および入賞球装置に入賞した入賞玉を所定の入賞経路に沿って導く入賞玉集合カバー40が設けられている。入賞玉集合カバー40に導かれる入賞玉のうち、開閉板20を経て入賞したものは、玉払出装置97が相対的に多い景品玉数(例えば15個)を払い出すように制御される。始動入賞口14を経て入賞したものは、玉払出装置(図3において図示せず)が相対的に少ない景品玉数(例えば6個)を払い出すように制御される。そして、その他の入賞口24および入賞球装置を経て入賞したものは、玉払出装置が相対的に中程度の景品玉数(例えば10個)を払い出すように制御される。なお、図3には、中継基板33が例示されている。
【0027】
賞球払出制御を行うために、入賞球検出スイッチ99、始動口スイッチ17およびVカウントスイッチ22からの信号が、主基板31に送られる。主基板31に入賞球検出スイッチ99のオン信号が送られると、主基板31から賞球基板37に賞球個数信号が送られる。入賞があったことは入賞球検出スイッチ99で検出されるが、その場合に、主基板31から、賞球基板37に賞球個数信号が与えられる。例えば、始動口スイッチ17のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「6」が出力され、カウントスイッチ23またはVカウントスイッチ22のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「15」が出力される。そして、それらのスイッチがオンしない場合に入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「10」が出力される。
【0028】
図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球制御基板37、ランプ制御基板35、音声制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23および入賞球検出スイッチ99からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、始動記憶表示器18の点灯および滅灯を行うとともに7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動するランプ・LED回路60とを含む。
【0029】
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示部9の画像表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等をホール管理コンピュータ等のホストコンピュータに対して出力する情報出力回路64を含む。
【0030】
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用されるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。なお、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている場合もある。
【0031】
さらに、主基板31には、電源投入時に基本回路53をリセットするための初期リセット回路65と、定期的(例えば、2ms毎)に基本回路53にリセットパルスを与えてゲーム制御用のプログラムを先頭から再度実行させるための定期リセット回路66と、基本回路53から与えられるアドレス信号をデコードしてI/Oポート部57のうちのいずれかのI/Oポートを選択するための信号を出力するアドレスデコード回路67とが設けられている。
なお、玉払出装置97から主基板31に入力されるスイッチ情報もあるが、図4ではそれらは省略されている。
【0032】
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
【0033】
図5は、表示制御基板80内の回路構成を、可変表示部9の一実現例であるCRT82および主基板31の出力バッファ回路(出力ドライバ)63とともに示すブロック図である。表示制御用CPU101は、制御データROM102に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31から入力バッファ回路105における入力バッファ105aを介してストローブ信号が入力されると、入力バッファ105aを介して表示制御コマンドを受信する。なお、主基板31の出力バッファ回路63は、基本回路53の出力ポートから信号を入力して主基板31から出力する回路であるが、片方向(主基板31から表示制御基板80に向かう方向)にしか信号を伝えない。
【0034】
そして、表示制御用CPU101は、受信した表示制御コマンドに従って、CRT82に表示される画面の表示制御を行う。具体的には、表示制御コマンドに応じた指令をVDP103に与える。VDP103は、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。VDP103は、入力したデータに従ってCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM87に格納する。そして、VRAM87内の画像データは、R,G,B信号に変換され、D−A変換回路104でアナログ信号に変換されてCRT82に出力される。
【0035】
なお、図5には、VDP103をリセットするためのリセット回路83、VDP103に動作クロックを与えるための発振回路85、および使用頻度の高い画像データを格納するキャラクタROM86も示されている。キャラクタROM86に格納される使用頻度の高い画像データとは、例えば、CRT82に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像などである。
【0036】
入力バッファ回路105における入力バッファ105aは、主基板31から表示制御基板80へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、表示制御基板80側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。表示制御基板80内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。さらに、片方向にしか信号を伝えない出力バッファ回路63を設けることによって、主基板31から表示制御基板80への一方向性の信号伝達をより確実にすることができる。
【0037】
次に遊技機の動作について説明する。
図6は、主基板31における基本回路53の動作を示すフローチャートである。上述したように、この処理は、定期リセット回路66が発するリセットパルスによって、例えば2ms毎に起動される。基本回路53が起動されると、基本回路53は、まず、クロックモニタ制御を動作可能状態にするために、CPU56に内蔵されているクロックモニタレジスタをクロックモニタイネーブル状態に設定する(ステップS1)。なお、クロックモニタ制御とは、入力されるクロック信号の低下または停止を検出すると、CPU56の内部で自動的にリセットを発生する制御である。
【0038】
次いで、CPU56は、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックセット処理を行う(ステップS2)。この例では、スタックポインタに00FFHが設定される。そして、システムチェック処理を行う(ステップS3)。システムチェック処理では、CPU56は、RAM55にエラーが含まれているか判定し、エラーが含まれている場合には、RAM55を初期化するなどの処理を行う。
【0039】
次に、表示制御基板80に送出されるコマンドデータをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(表示制御データ設定処理:ステップS4)、コマンドデータを表示制御コマンドデータとして出力する処理を行う(表示制御データ出力処理:ステップS5)。
【0040】
次いで、各種出力データの格納領域の内容を各出力ポートに出力する処理を行う(データ出力処理:ステップS6)。また、ランプタイマを1減ずる処理を行い、ランプタイマがタイムアウトしたら(=0になったら)、ランプデータポインタを更新するとともに新たな値をランプタイマに設定する(ランプタイマ処理:ステップS7)。
【0041】
また、ランプデータポインタが示すアドレスのデータ、ホール管理用コンピュータに出力される大当り情報、始動情報、確率変動情報などの出力データを格納領域に設定する出力データ設定処理を行う(ステップS8)。さらに、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS9)。
【0042】
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用乱数等の各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS10)。
図7は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り判定用=特別図柄決定用)
(2)ランダム2−1〜2−3:左右中のはずれ図柄決定用
(3)ランダム3:大当り時の図柄の組合せを決定する(大当り図柄決定用=特別図柄判定用)
(4)ランダム4:はずれ時にリーチするか否か決定する(リーチ判定用)
(5)ランダム5:リーチ時の変動時間を決定する(リーチ種類決定用)
【0043】
なお、遊技効果を高めるために、上記(1)〜(5)の乱数以外の乱数も用いられている。
ステップS10では、CPU56は、(1)の大当たり判定用乱数および(3)の大当り図柄判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数である。
【0044】
次に、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS11)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS12)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
【0045】
さらに、CPU56は、スイッチ回路58を介して、各スイッチの状態を入力し、スイッチ状態に応じて必要な処理を行う(スイッチ処理:ステップS13)。また、後述するプロセスデータ中の音声データを音声制御基板70に送出する処理を行う(音声処理:ステップS14)。
【0046】
基本回路53は、さらに、表示用乱数を更新する処理を行う(ステップS15)。すなわち、ランダム2,4,5を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。
【0047】
また、基本回路53は、賞球制御基板37との間の信号処理を行う(ステップS16)。すなわち、所定の条件が成立すると賞球制御基板37に賞球個数を示す賞球制御コマンドを出力する。賞球制御基板37に搭載されている賞球制御用CPUは、受信した賞球個数に応じて玉払出装置97を駆動する。
その後、基本回路53は、次に定期リセット回路66からリセットパルスが与えられるまで、ステップS17の表示用乱数更新処理を繰り返す。
【0048】
次に、始動入賞口14への入賞にもとづいて可変表示部9に可変表示される図柄の決定方法について図8〜図10のフローチャートを参照して説明する。図8は打球が始動入賞口14に入賞したことを判定する処理を示し、図9は可変表示部9の可変表示の停止図柄を決定する処理を示す。図10は、大当りとするか否か決定する処理を示すフローチャートである。
【0049】
打球が遊技盤6に設けられている始動入賞口14に入賞すると、始動口センサ17がオンする。メイン処理のステップS8の特別図柄プロセス処理において、図8に示すように、CPU56は、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定すると(ステップS41)、始動入賞記憶数が最大値である4に達しているかどうか確認する(ステップS42)。始動入賞記憶数が4に達していなければ、始動入賞記憶数を1増やし(ステップS43)、大当り図柄判定用乱数の値を抽出する。そして、それを始動入賞記憶数の値に対応した乱数値格納エリアに格納する(ステップS44)。なお、始動入賞記憶数が4に達している場合には、始動入賞記憶数を増やす処理を行わない。すなわち、この実施の形態では、最大4個の始動入賞口17に入賞した打球数が記憶可能である。
【0050】
図9に示すように、CPU56は、ステップS8の特別図柄プロセス処理において始動入賞記憶数の値を確認する(ステップS50)。始動入賞記憶数が0でなければ、始動入賞記憶数=1に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を読み出すとともに(ステップS51)、始動入賞記憶数の値を1減らし、かつ、各乱数値格納エリアの値をシフトする(ステップS52)。すなわち、始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を、始動入賞記憶数=n−1に対応する乱数値格納エリアに格納する。
【0051】
そして、CPU56は、ステップS51で読み出した値、すなわち抽出されている大当り判定用乱数の値にもとづいて当たり/はずれを決定する(ステップS53)。ここでは、大当り図柄判定用乱数は0〜299の範囲の値をとることにする。図10に示すように、低確率時には例えばその値が「3」である場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。高確率時には例えばその値が「3」,「7」,「79」,「103」,「107」のいずれかである場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。
【0052】
大当たりと判定されたときには、大当り図柄決定用乱数(ランダム3)を抽出しその値に従って大当り図柄を決定する(ステップS54)。また、リーチ種類決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ種類を決定する(ステップS57)。
【0053】
はずれと判定された場合には、CPU56は、リーチとするか否か判定する(ステップS58)。例えば、リーチ判定用の乱数であるランダム4の値が「105」〜「1530」のいずれかである場合には、リーチとしないと決定する。そして、リーチ判定用乱数の値が「0」〜「104」のいずれかである場合にはリーチとすることを決定する。リーチとすることを決定したときには、CPU56は、リーチ図柄の決定を行う。
【0054】
この実施の形態では、ランダム2−1の値に従って左右図柄を決定する(ステップS59)。また、ランダム2−2の値に従って中図柄を決定する(ステップS60)。すなわち、ランダム2−1およびランダム2−2の値の0〜15の値に対応したいずれかの図柄が停止図柄として決定される。ここで、決定された中図柄が左右図柄と一致した場合には、中図柄に対応した乱数の値に1加算した値に対応する図柄を中図柄の確定図柄として、大当たり図柄と一致しないようにする。
【0055】
さらに、CPU56は、リーチ種類決定用乱数(ランダム5)を抽出しその値にもとづいてリーチ種類を決定する(ステップS57)。ステップS58において、リーチしないことに決定された場合には、ランダム2−1〜2−3の値に応じて左右中図柄を決定する(ステップS61)。
【0056】
以上のようにして、始動入賞にもとづく図柄変動の表示態様が大当たりとするか、リーチ態様とするか、はずれとするか決定され、それぞれの停止図柄の組合せが決定される。
【0057】
なお、後で詳しく説明するが、この実施の形態では、ステップS57において決定されるリーチ種類は、リーチ時の図柄の可変表示期間を示すものである。
【0058】
また、高確率状態において、次に大当たりとなる確率が上昇するとともに、7セグメントLEDによる可変表示器10の可変表示の確定までの時間が短縮され、かつ、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められるようにパチンコ遊技機1が構成されていてもよいし、可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たりの確率が高くなるように構成されていてもよい。また、それらのうちのいずれか一つまたは複数の状態のみが生ずるパチンコ遊技機1においても本発明は適用可能である。
【0059】
例えば、可変表示部9の停止図柄の組合せが特定図柄となった場合に、大当たりとなる確率は上昇しないが可変表示器10の可変表示結果にもとづく当たり時の可変入賞球装置15の開放回数および開放時間が高められる遊技機においても、リーチとすることが決定されたら、左右の停止図柄を特定図柄の表示態様と一致させるか否か、すなわちどの図柄でリーチ状態を発生させるかが所定の乱数等の手段によって決定される遊技機においても本発明を適用可能である。
また、この実施の形態で用いられた乱数および乱数値の範囲は一例であって、どのような乱数を用いてもよいし、範囲設定も任意である。
【0060】
図11は、CPU56が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図11に示す特別図柄プロセス処理は、図6のフローチャートにおけるステップS11の具体的な処理である。CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、その内部状態に応じて、図11に示すステップS300〜S309のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
【0061】
特別図柄変動待ち処理(ステップS300):始動入賞口14(この実施の形態では可変入賞球装置15の入賞口)に打球入賞して始動口センサ17がオンするのを待つ。始動口センサ17がオンすると、始動入賞記憶数が満タンでなければ、始動入賞記憶数を+1するとともに大当り決定用乱数を抽出する。すなわち、図8に示された処理が実行される。
特別図柄判定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、抽出されている大当り決定用乱数の値に応じて大当たりとするかはずれとするか決定する。すなわち、図9に示された処理の前半が実行される。
停止図柄設定処理(ステップS302):左右中図柄の停止図柄を決定する。すなわち、図9に示された処理の中半が実行される。
【0062】
リーチ動作設定処理(ステップS303):リーチ判定用乱数の値に応じてリーチ動作するか否か決定するとともに、リーチ用乱数の値に応じてリーチ時の変動期間を決定する。すなわち、図9に示された処理の後半が実行される。
【0063】
全図柄変動開始処理(ステップS304):可変表示部9において全図柄が変動開始されるように制御する。このとき、表示制御基板80に対して、左右中最終停止図柄と可変表示パターンを指令する情報とが送信される。また、可変表示部9に背景やキャラクタも表示される場合には、それに応じた表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出されるように制御する。
【0064】
全図柄停止待ち処理(ステップS305):所定時間が経過すると、可変表示部9において表示される全図柄が停止されるように制御する。また、適宜、可変表示部9において表示される背景やキャラクタに応じた表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出されるように制御する。
【0065】
大当たり表示処理(ステップS306):停止図柄が大当たり図柄の組み合わせである場合には、内部状態(プロセスフラグ)をステップS307に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS309に移行するように更新する。なお、大当たり図柄の組み合わせは、左右中図柄が揃った組み合わせである。また、左右図柄が揃うとリーチとなる。
【0066】
大入賞口開放開始処理(ステップS307):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。
【0067】
大入賞口開放中処理(ステップS308):大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立したら、大当り遊技状態の終了条件が成立していなければ内部状態をステップS307に移行するように更新する。大当り遊技状態の終了条件が成立していれば、内部状態をステップS309に移行するように更新する。
【0068】
大当たり終了処理(ステップS309):大当たり遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を行う。その表示が終了したら、内部フラグ等を初期状態に戻し、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
【0069】
上述したように、始動入賞口14に打球が入賞すると、基本回路53は、ステップS11(図6参照)の特別図柄プロセス処理において、大当たりとするかはずれとするか、停止図柄および可変表示期間を決定するが、その決定に応じた表示制御コマンドを表示制御基板80の表示制御用CPU101に与える。表示制御用CPU101は、主基板31からの表示制御コマンドに応じて可変表示部9の表示制御を行う。
【0070】
図12は、主基板31から表示制御基板80に送信される表示制御コマンドを示す説明図である。図12に示すように、この実施の形態では、表示制御コマンドは、表示制御信号CD0〜CD7の8本の信号線で主基板31から表示制御基板80に送信される。また、主基板31と表示制御基板80との間には、ストローブ信号を送信するための表示制御信号INTの信号線、表示制御基板80の電源となる+5V,+12Vの供給線、および接地レベルを供給するための信号線も配線されている。
【0071】
図13は、主基板31から遊技制御基板80に与えられる表示制御コマンドの送出タイミングの例を示すタイミング図である。この例では、表示制御コマンドデータを構成する2バイトの表示制御データは、図13に示すように、2ms毎に送出される。そして、各表示制御データに同期してストローブ信号(表示制御信号INT)が出力される。表示制御用CPU101には、ストローブ信号の立ち上がりで割込がかかるので、表示制御用CPU101は、割込処理プログラムによって各表示制御データを取り込むことができる。
【0072】
図14および図15は、図柄の可変表示態様を指示するための表示制御コマンドを示す説明図である。この実施の形態では、コマンド[80H,00H]〜[80H,2AH]の43種類の表示制御コマンドによって、表示制御基板80に対して43種類の可変表示パターンを指定することができる。
【0073】
図14および図15に示された表示制御コマンドにおいて、「通常変動」と「通常変動短縮」とは同じ変動パターンの可変表示パターンである。また、「リーチx」と「リーチx短縮」におけるxが同じ値であれば、「リーチx」と「リーチx短縮」とは同じ変動パターンの可変表示パターンである。ただし、短縮と表示されているパターンとそうでないパターンとは、変動時間のみ異なる。なお、リーチ6,7,8,20,21,22,24の可変表示パターンについては、短縮と表示されているパターンはない。すなわち、それらについては、変動時間が短縮されたパターンは用意されていない。
【0074】
図14および図15に示されているように、短縮パターンを有するリーチ1〜5についての短縮でない可変表示パターンの変動時間は、リーチ7,8の可変表示パターンの変動時間よりも短い。また、リーチ9〜19についての短縮でない可変表示パターンの変動時間は、リーチ19やリーチ20の可変表示パターンの変動時間よりも短い。そして、リーチ23についての短縮でない可変表示パターンの変動時間は、リーチ23,24の可変表示パターンの変動時間よりも短い。このように、短縮パターンを有する可変表示パターンの変動時間は、比較的変動時間の短いものから選定されている。
【0075】
つまり、短縮変動パターンは、比較的変動時間の短い変動パターンの変動時間をさらに短縮したものとなっている。図柄の変動時間が短いということは短期間で変動が終了するということであるから、始動入賞記憶が早く減ることになる。換言すれば、始動入賞記憶が上限に達してしまう可能性が低くなって、遊技者に有利な状況を提供することができる。
【0076】
また、全ての変動パターン(通常変動およびリーチ1〜24)について短縮変動パターンを用意したのでは、表示制御コマンドの総数が多くなってしまう。しかし、この実施の形態のように、全ての変動パターンのうちの一部の変動パターンについてのみ1つの変動パターンに対応した複数の可変表示パターン(この例では、変動時間が短縮された可変表示パターンと変動時間が短縮されていない可変表示パターン)を用意すれば、表示制御コマンド数を削減することができる。なお、全ての変動パターンついて複数の可変表示パターンを用意したのでは、変動パターンの種類の2倍の表示制御コマンドを用意しなければならない(変動時間が短縮された可変表示パターンと変動時間が短縮されていない可変表示パターンとがある場合)。
【0077】
図16には、左図柄に関する図柄の停止を指示する表示制御コマンドが示されている。図16に示すように、2バイトの表示制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドによって停止図柄が指定される。なお、それらの指定において、1バイト目の表示制御データCMD1の値は、「8B(H)」である。なお、この実施の形態では、左右中図柄として、それぞれ12種類が存在する。
【0078】
図17には、中図柄に関する図柄の停止を指示する表示制御コマンドが示されている。図17に示すように、2バイトの表示制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドによって停止図柄が指定される。なお、それらの指定において、1バイト目の表示制御データCMD1の値は、「8C(H)」である。
【0079】
図18には、右図柄に関する図柄の停止を指示する表示制御コマンドが示されている。図18に示すように、2バイトの表示制御データCMD1,CMD2で構成される表示制御コマンドによって停止図柄が指定される。なお、それらの指定において、1バイト目の表示制御データCMD1の値は、「8D(H)」である。
【0080】
その他、可変表示部9に表示される背景や図柄を指定するための表示制御コマンドもあるが、ここでは、その説明を省略する。なお、図15に示されたコマンド[80H,2FH]は、図柄の変動期間の終了時に主基板31から表示制御基板80に送出される「全図柄停止」を指示するコマンドである。
【0081】
図19は、変動開始時から変動終了時までの間に主基板31から表示制御基板80に送出される図柄変動に関する表示制御コマンドの送出タイミングを示すタイミング図である。図19に示すように、図柄の変動開始時には、変動開始を指示するための表示制御コマンドが送出される。変動開始を指示するための表示制御コマンドは、図15および図16に示されたコマンド[80H,00H]〜[80H,2AH]のいずれかである。次いで、左右中図柄の停止図柄を示す表示制御コマンドが送出される。そして、変動期間終了時に、「全図柄停止」を指示するコマンド[80H,2FH]が送出される。
【0082】
この実施の形態では、表示制御基板80における表示制御用CPU101が、変動開始を指示するための表示制御コマンドすなわち可変表示パターンを示す表示制御コマンドを受信すると、そのコマンドに応じたあらかじめ決められている変動パターンに従って左右中図柄の可変表示制御を行う。そして、変動期間の終了時に、停止図柄が主基板31からの表示制御コマンドによる左右中図柄の停止図柄となるように、例えば、図柄の差し替え制御等も行う。
【0083】
図20は、可変表示パターンの一例を示す説明図である。(A)は、短縮変動パターンではないパターンを示し、(B)は短縮変動パターンを示す。両者は同一の変動パターンであるが、変動時間のみが異なっている。変動時間を異ならせるために、例えば、高速変動期間を短縮する。その他の期間は同一である。なお、図20には、比較的単純な変動パターンが例示されているが、コマ送り変動や逆変動等の変動パターンを含む場合であっても、同一の変動パターンにおける短縮変動パターンではない可変表示パターンと短縮変動パターンとでは、例えば、変動初期の高速変動期間の長さの相違で変動時間の長短が決められる。あるいは、変動期間中の中速変動の期間や低速変動の期間(図20参照)を増減してもよい。
【0084】
図21は、図9に示された可変表示の停止図柄を決定する処理におけるリーチ種類決定処理(ステップS57)の一例を示すフローチャートである。この例では、リーチ種類決定処理において、主基板31のCPU56は、図22および図23に示す4種類のテーブルA〜Dを用いる。
【0085】
テーブルAは、大当りとする場合であって短縮変動パターンを選択しないときに用いるテーブルである。テーブルBは、大当りとする場合であって短縮変動パターンを選択可能な状態で用いるテーブルである。また、テーブルCは、大当りとしない場合であって短縮変動パターンを選択しないときに用いるテーブルである。テーブルDは、大当りとしない場合であって短縮変動パターンを選択可能な状態で用いるテーブルである。
【0086】
リーチ種類決定処理において、主基板31のCPU56は、まず、ランダム5(リーチ種類決定用乱数)の値を抽出する(ステップS571)。すなわち、ランダム5を生成するためのカウンタの値を抽出する。ランダム5は、0〜99の範囲をとりうる(図7参照)。大当りとすることに決定されている場合には(ステップS572)、高確率状態であるのか否か確認する(ステップS573)。例えば、高確率状態を生じさせる図柄の組合せ(確変図柄)で大当りが発生すると、所定の終了条件が成立するまで高確率状態となっている。
【0087】
高確率状態でなければ、図22に示すテーブルAに従って可変表示パターンを決定する(ステップS574)。すなわち、ステップS571で抽出された乱数値に応じたリーチ種類がテーブルAの内容に応じて決定される。テーブルAには「リーチx短縮」が設定されていないので(xはリーチ種類の番号を示す。)、この状態では、短縮変動パターンが選択されることはない。
【0088】
高確率状態であれば、図22に示すテーブルBに従って可変表示パターンを決定する(ステップS575)。テーブルBには「リーチx短縮」が設定されているので、高確率状態では、短縮変動パターンが選択されうる。
【0089】
大当りとすることに決定されていない場合には、CPU56は、やはり、高確率状態であるのか否か確認する(ステップS576)。高確率状態でなければ、図23に示すテーブルCに従って可変表示パターンを決定する(ステップS577)。テーブルCには「リーチx短縮」が設定されていないので、この状態では、短縮変動パターンが選択されることはない。また、高確率状態であれば、図23に示すテーブルDに従って可変表示パターンを決定する(ステップS575)。テーブルDには「リーチx短縮」が設定されているので、高確率状態では、短縮変動パターンが選択されうる。
【0090】
以上のように、この例では、高確率状態では変動時間が短縮された可変表示パターンが用いられることがあるが、低確率状態では、変動時間が短縮された可変表示パターンが用いられることはない。すなわち、遊技者にとって有利な状態である高確率状態でのみ変動時間が短縮された可変表示パターンが発生する。
【0091】
なお、図9に示された処理において、ステップS58でリーチしないことに決定された場合に、高確率状態でなければ「通常変動」のパターン(コマンド80H,01Hに対応)を用いることに決定される。高確率状態であれば、「通常変動短縮」のパターン(コマンド80H,00Hに対応)を用いることに決定される。なお、高確率状態時に、「通常変動」のパターンを用いるのか「通常変動短縮」のパターンを用いるのかを乱数等によって選択してもよい。
【0092】
使用する可変表示パターンが決定されると、決定されたパターンに応じた表示制御コマンド(図14および図15参照)が、表示制御基板80に送信される。
【0093】
上記の例では、変動時間が短縮された可変表示パターンを使用するための条件として特別遊技状態としての確率変動状態が用いられたが、他の条件を用いてもよい。例えば、始動入賞記憶数が所定数以上であることを条件に変動時間が短縮された可変表示パターンを使用するようにしてもよい。
【0094】
図24は、そのような例におけるリーチ種類決定処理(ステップS57)を示すフローチャートである。図24に示すように、CPU56は、ランダム5の値を抽出し(ステップS581)、大当りとする場合には、始動入賞記憶数が3以上であるか否か確認する(ステップS583)。3以上でなければ、変動時間が短縮された可変表示パターンを含まないテーブルAを用いて可変表示パターンを決定する(ステップS584)。3以上であれば、変動時間が短縮された可変表示パターンを含むテーブルBを用いて可変表示パターンを決定する(ステップS585)。
【0095】
また、大当りとしない場合にも、始動入賞記憶数が3以上であるか否か確認し(ステップS586)、始動入賞記憶数が3以上でなければ、変動時間が短縮された可変表示パターンを含まないテーブルCを用いて可変表示パターンを決定する(ステップS587)。3以上であれば、変動時間が短縮された可変表示パターンを含むテーブルDを用いて可変表示パターンを決定する(ステップS588)。
【0096】
以上のような処理を行うことによって、始動入賞記憶数が3以上であれば変動時間を短縮した可変表示パターンが用いられる場合があるという仕様の遊技機において、そのような仕様を満足する制御が実現される。なお、始動入賞記憶数=3は例示であって、ステップS583およびS586における判定値は3には限られない。そして、この実施の形態では、通常変動およびリーチ1〜24の全ての可変表示パターンについて変動時間が短縮されたものが用意されているのではなく、そのうちの一部について変動時間が短縮されたものが用意されている。従って、変動時間が短縮された可変表示パターンを出現させることによって遊技者にとって有利な遊技演出を行いつつ、表示制御コマンドの増加を抑制することができる。
【0097】
なお、上記の説明では図21のフローチャートによる処理と図24のフローチャートによる処理とを別に説明したが、双方の処理を兼ね備えた遊技機を構成することもできる。また、この実施の形態では、1つの変動パターンに対応した複数種類の可変表示パターンとして2種類(期間が短縮されたものとされないもの)を例示したが、3種類以上あってもよい。例えば、始動入賞記憶数が3の場合に中期間の可変表示パターンを用い、始動入賞記憶数が4の場合に短期間の可変表示パターンを用い、その他の場合には期間短縮されない可変表示パターンを用いるような場合には、1つの変動パターンは3種類の可変表示パターンを持つ。そのような場合に全ての変動パターンについて3種類の可変表示パターンを用意すると表示制御コマンド数は膨大になるが、本発明のように全ての変動パターンのうちの一部のみが複数種類の可変表示パターンを持つようにすれば、表示制御コマンドの増加を抑制することができる。
【0098】
また、上記の実施の形態では、遊技制御手段は、変動時間を特定可能な情報として1回の変動期間全体を示す情報を表示制御基板80に送信した。しかし、1回の変動を複数区間に区切り、各区間におけるパターン情報を各区間の開始時に表示制御手段に送信するようにしてもよい。その場合に、表示制御手段は、各区間について受信したパターン情報から、その期間における複数の変動パターンから1つの変動パターンを選択してもよい。
【0099】
さらに、1つの変動区間に対応して複数の変動パターンが用意され、表示制御用CPU101が適宜変動パターンを選択するように構成すれば、遊技制御手段は、少数種類の変動時間を管理するだけでよくなって負荷がさらに低減される。
【0100】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、遊技機を、表示制御手段が、変動時間を特定可能であって可変表示パターンを特定可能なコマンドを受信すると、そのコマンドに応じたあらかじめ決められている可変表示パターンに従って識別情報の変動制御を行い、可変表示パターンのうちには、リーチパターンが同一種類であって識別情報が高速に変動する変動初期の期間を異ならせることにより変動時間を異ならせた複数の可変表示パターンがあり、全ての種類のリーチパターンのうちの一部の種類のリーチパターンのみが変動時間を異ならせた複数の可変表示パターンにおいて実行されるように構成したので、遊技制御手段の識別情報表示に関する制御の負担をなるべく増やさないようにしつつ、多数種類の変動時間の短い変動パターンを使用することができる効果がある。また、遊技制御手段が、変動時間が終了したときに、識別情報の確定を示すコマンドを出力し、表示制御手段が、識別情報の確定を示すコマンドを受信したら識別情報を確定させるように構成されているので、表示制御手段が識別情報確定時期を通知されることによって、識別情報をより確実に確定させることができる。
【0101】
変動時間を異ならせた複数の可変表示パターンのうち変動時間が短い可変表示パターンは、所定の条件が成立したときにのみ選択可能であるように構成されている場合には、遊技演出を多様化することができ、遊技者を強く惹きつけることができる遊技機を提供できる。
【0102】
変動時間の短い変動パターンを使用するための所定の条件が、変動開始の条件が成立したことの記憶数が所定数以上であるように構成されている場合には、記憶数が所定数以上である場合に短縮変動パターンが用いられるという遊技機仕様を満足するものを実現することができる。
【0103】
変動時間の短い変動パターンを使用するための所定の条件が、特別遊技状態中であるように構成されている場合には、遊技者にとって有利な状態である特別遊技状態で変動時間が短縮された可変表示パターンが発生するような遊技機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
【図2】 パチンコ遊技機の内部構造を示す全体背面図である。
【図3】 パチンコ遊技機の遊技盤を背面からみた背面図である。
【図4】 主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
【図5】 表示制御基板の回路構成を示すブロック図である。
【図6】 基本回路のメイン処理を示すフローチャートである。
【図7】 各乱数を示す説明図である。
【図8】 打球が始動入賞口に入賞したことを判定する処理を示すフローチャートである。
【図9】 可変表示の停止図柄を決定する処理およびリーチ種類を決定する処理を示すフローチャートである。
【図10】 大当たり判定の処理を示すフローチャートである。
【図11】 特別図柄プロセス処理を示すフローチャートである。
【図12】 主基板から表示制御基板に送信される表示制御コマンドを示す説明図である。
【図13】 表示制御コマンドの送出タイミングの一例を示すタイミング図である。
【図14】 図柄の可変表示態様を指示するための表示制御コマンドを示す説明図である。
【図15】 図柄の可変表示態様を指示するための表示制御コマンドを示す説明図である。
【図16】 左図柄の停止図柄の表示制御コマンドを示す説明図である。
【図17】 中図柄の停止図柄の表示制御コマンドを示す説明図である。
【図18】 右図柄の停止図柄の表示制御コマンドを示す説明図である。
【図19】 変動開始時から変動終了時までの間に送出される図柄変動に関する表示制御コマンドの送出タイミングを示すタイミング図である。
【図20】 可変表示パターンの一例を示す説明図である。
【図21】 リーチ種類決定処理を示すフローチャートである。
【図22】 可変表示パターンを決定するためのテーブルの一例を示す説明図である。
【図23】 可変表示パターンを決定するためのテーブルの一例を示す説明図である。
【図24】 リーチ種類決定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
9 可変表示部
31 遊技制御基板(主基板)
53 基本回路
56 CPU
63 出力バッファ回路
80 表示制御基板
101 表示制御用CPU
102 制御データROM
103 VDP
105 入力バッファ回路
Claims (4)
- 表示状態が変化可能な複数の表示領域を有する可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記表示領域に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となったことを条件として大当り遊技状態に移行する遊技機であって、
遊技の進行を制御し、大当りとするか否かを決定する大当り決定手段と、前記可変表示部の表示内容を決定する表示内容決定手段と、識別情報の変動開始の条件の成立に応じて前記可変表示部の表示状態を変化させるためのコマンドを出力するコマンド出力手段とを含む遊技制御手段と、
前記遊技制御手段が出力した前記コマンドにもとづいて前記可変表示部の表示制御を行う表示制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、表示内容決定手段の決定にもとづいて、少なくとも識別情報の変動開始から終了までの時間である変動時間を特定可能であって可変表示パターンを特定可能なコマンドを変動を開始するのに関連した所定の時期に出力し、変動時間が終了したときに、識別情報の確定を示すコマンドを出力し、
可変表示パターンには、前記識別情報の変動速度を上昇させる加速期間と、該加速期間に続く期間であって前記識別情報を高速で変動させる期間とが含まれ、可変表示パターンのうちには、リーチパターンが同一種類であって前記識別情報が高速に変動する変動初期の期間を異ならせることにより変動時間を異ならせた複数の可変表示パターンがあり、
前記表示制御手段は、前記変動時間を特定可能であって可変表示パターンを特定可能なコマンドを受信すると、そのコマンドに応じたあらかじめ決められている可変表示パターンに従って前記識別情報の変動制御を行い、前記変動時間の終了時に前記識別情報の表示結果があらかじめ決められている停止識別情報となるように前記識別情報の差し替え制御を行い、前記識別情報の確定を示すコマンドを受信したら識別情報を確定させ、
全ての種類のリーチパターンのうちの一部の種類のリーチパターンのみが変動時間を異ならせた複数の可変表示パターンにおいて実行される
ことを特徴とする遊技機。 - 変動時間を異ならせた複数の可変表示パターンのうち変動時間が短い可変表示パターンは、所定の条件が成立したときにのみ選択可能である
請求項1記載の遊技機。 - 所定の条件は、変動開始の条件が成立したことの記憶数が所定数以上である
請求項2記載の遊技機。 - 所定の条件は、遊技者にさらに有利な遊技価値をもたらす特別遊技状態中である
請求項2または請求項3記載の遊技機。
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