JP4030353B2 - 自動列車停止用地上装置及び電文rom - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動列車停止用地上装置、特に、信号機と一対一で対応して設置された符号処理器を備えると共に、その信号機の現示を符号処理器に実装された記憶媒体に記憶された情報に基づいて符号処理器で制御する列車停止用地上装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、列車の安全走行を向上させるための自動列車停止装置としてのATS(Automatic Train Stop)装置は、列車進行方向の前方に設置された信号機が停止信号(赤信号)を現示している際に、その信号機よりも手前で列車を停止させることを第一の目的としており、近年における輸送量の増加に伴って各種形式のもの(例えば、ATS−B、ATS−S、ATS−P)に改良され設置されている。
【0003】
図6は、このような自動列車停止装置のうち、ATS−P地上装置の構成を示すシステムブロック図である(特開2000−190846号公報参照)。
【0004】
図6において、1は軌道(レール)、2は軌道1上を矢印aの方向に向かって前進走行する列車、3は軌道1に沿って配置された信号機、RP1〜RP3は軌道1に沿って互いに所要の間隔をおいて配置された複数台の地上子、4は各地上子RP1〜RP3とケーブル5を介して接続された符号処理器(EC)、6は符号処理器4に実装される記憶媒体としてのコントロールROM(以下、「電文ROM」と称する。)である。
【0005】
地上子RP1〜RP3は、ケーブル5を介して符号処理器4から電源供給されると共に、符号処理器4との間でデータが送・受信される。これにより、地上子RP1〜RP3は、信号機3までの距離情報等を列車2に搭載された車上装置(図示せず)に伝送する。
【0006】
信号機3の現示状態は、電文ROM6に記憶された現示に関する制御情報として符号処理器4から地上子RP1(RP2,RP3)を経由して車上子へと伝送され、その送信情報を考慮した車上子からの伝送に基づいて行われる。
【0007】
電文ROM6は、信号機3と一対一で対応して設けられた符号処理器4毎に記憶内容が異なっている。また、電文ROM6には、各地上子RP1〜RP3から信号機3までの距離、信号機3の現示状態(進行・減速・注意・警戒・停止等)と関連付けした速度制限情報(あと何m走行する間に速度を何km/hにまで落とす等)に基づいて定められた停止距離等が予め設定・記憶されている。
【0008】
例えば、列車2が地上子RP1を通過した際の速度と、符号処理器4から地上子RP1を経由して受け取った情報とを車上装置で解析し、列車2のブレーキ性能を加味して停止現示の信号機3までに停止できる速度照査パターンを演算して作成し、その速度照査パターンと実際の速度とを比較することで運転士に対する警報等の報知や常用最大ブレーキの作動等を行うことができる。
【0009】
ここで、平坦な直線路線での地上子RP1の設置位置は、列車2の路線上での最高速度が120km/hであった場合、走行中の非常制動距離(504m)、警報等の報知から運転士が確認操作(例えば、減速操作)する間(例えば、5秒間)に列車2が走行する空走距離(例えば、200m)、符号処理器4からの出力信号を車上装置が解析する間に列車2が走行する距離(約33m)等を考慮した地点に設置される。
【0010】
これに対して、電文ROM6は、例えば、地上子RP1を列車2が走行している際に信号機3で現示すべき情報を符号処理器4で読み取るようにしているが、時速120km/hでの制動距離が400mの電車と、時速120km/hでの制動距離が550mの機関車とが混在するような路線に設置された符号処理器4では、制動距離が550mの機関車を基準として信号機3で現示すべき情報を符号処理器4で読み取るようにしている。
【0011】
尚、実際のATS−P形の鉄道法規では、上述した数値に誤差等を加味して、停止現示の信号機3までの距離が850mの地点で速度照査パターンが発生し、最高速度からブレーキ装置の動作を開始して600m以下で停止しなくてはならないこととなっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の如く構成された自動列車停止用地上装置にあっては、信号機3と符号処理器4とが一対一で対応していることから、近年の輸送速度のスピード化や省エネ化を考慮すると、汎用性が低いという問題が生じていた。
【0013】
例えば、上述したように、同一路線上で制動距離の異なる列車2が走行する場合、図5に示すように、軌道1上に二つの信号機3A,3Bが設置されており、列車2から近い信号機3Aが進行表示(G)であった場合、この列車2が制動距離性能の高い高減速列車であっても、その列車2から遠い信号機3Bの現示が制動距離性能の低い機関車用に対応した減速・注意(YG)となっていることが想定される。
【0014】
これは、列車2から遠い信号機3Bの現示条件が制動距離性能の高い電車用であれば進行表示(G)とすることができる状況を想定すると、これによりそのまま進行を続けた場合の列車2が使用する消費電力よりも、減速・注意のために減速した(ブレーキを作動させた)後に信号機3Bの現示が進行(G)に変わった(現示UPした)ことにより再加速するために使用する消費電力の方が無駄に消費することとなる。
【0015】
また、信号機3Bの現示が減速・注意であった場合、その減速のために費やした時間だけ輸送速度のスピード化を犠牲にしてしまう。
【0016】
そこで、図4に示すように、隣接する複数の符号処理器4A,4Bを有線7で接続し、列車2から近い信号機3Aの現示と列車2から遠い信号機3Bの現示とを関連付けすることが考えられる。
【0017】
これは、列車2から近い符号処理器4Aによって通過する列車2が高減速列車であるという高減速列車情報を列車2から遠い符号処理器4Bに向けて有線7を介して送信すれば、符号処理器4Bは電文ROM6(図4には図示せず)から高減速列車情報を読み出すことにより現示UP信号を信号機3Bに送信することができ、信号機3Bでは、制動距離性能の低い機関車用の現示ではなく、実際に走行(通過)する高減速列車2に対応した現示を行うことが可能となり、結果的にスピード化並びに省エネ化に貢献することとなる。
【0018】
一方、このように隣接若しくは近接する信号機3に一対一で対応する符号処理器4用を関連付けして有線接続した場合、それぞれの電文ROM6の内容との整合性が必要となる。
【0019】
即ち、上述したように、電文ROM6は符号処理器4の個々に応じた内容となっており、これにより、信号機3が独立して現示することができるように構成されている。
【0020】
したがって、隣接若しくは近接する符号処理器4を互いに関連付けするためには、外方側(列車2の走行方向上流側)に設置された符号処理器4(図4では符号処理器4A)の電文ROM6には、内方側(列車2の走行方向下流側)に設置された符号処理器4(図4では符号処理器4B)の電文ROM6と接続関係にある(内方接続有り)という情報が無ければならず、同様に、内方側に設置されたの符号処理器4(図4では符号処理器4B)の電文ROM6には、外方側に設置された符号処理器4(図4では符号処理器4A)の電文ROM6と接続関係にある(外方接続有り)という情報が無ければならない。
【0021】
そして、このような外方側電文ROM6と内方側電文ROM6とで接続関係を構築するための整合性が無い場合、外方側の符号処理器4Aでは接続エラーが発生し、内方側の符号処理器4Bでは接続関係の無い状態(接続エラー無し)での独立した現示となり、上述した場合では高減速列車用の現示とすることができないことになる。
【0022】
尚、外方側の符号処理器4Aで接続エラーが発生すると、点検作業者は従前の接続エラー、即ち、符号処理器4と地上子RP1〜RP3との間で発生した接続エラー等と同様に配線状態等のハードウエア点検を先に行うことから、整合性が取れていないことに起因するソフトウエア上の接続エラーであることを容易に認識し得ないということが想定される。
【0023】
本発明は、上記問題を解決するため、隣接若しくは近接する複数の符号処理器を関連付けして接続することができ、しかも、接続された符号処理器の整合性の確認を容易に行うことができる自動列車停止用地上装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
その目的を達成するため、本発明の自動列車停止用地上装置は、軌道上に設置の信号機と一対一で対応する符号処理器を備えると共に、前記符号処理器に実装される記憶媒体上の現示制御情報を、前記符号処理器を介して地上子へと伝送する自動列車停止用地上装置において、前記記憶媒体に外方接続及び内方接続のそれぞれの有無に関する伝送接続条件情報を記憶させると共に、前記符号処理器を互いに隣接若しくは近接する信号機同士で接続し、前記記憶媒体に記憶された外方接続及び内方接続のそれぞれの有無に関する伝送接続条件情報が、接続された複数の前記符号処理器相互において整合しているか否かを整合検出器により一括して検出することを特徴とする。
【0025】
このような構成においては、符号処理器が軌道上に設置の信号機と一対一で対応されると共に、符号処理器に実装される記憶媒体上の現示制御情報が符号処理器を介して地上子へと伝送され、符号処理器を互いに隣接若しくは近接する信号機同士で接続した際に記憶媒体上の外方接続及び内方接続のそれぞれの有無に関する伝送接続条件情報に基づいて複数の符号処理器の接続に関する整合検出が整合検出器により一括して検出される。
【0026】
これにより、隣接若しくは近接する複数の符号処理器を関連付けして接続することができるうえ、その接続された各符号処理器の整合性の確認を容易に行うことができ、よって、配線等のハードウエア接続の点検等を不要とすることが可能となる。
【0027】
また、本発明の記憶媒体用の電文ROMは、軌道上に設置の信号機と一対一で対応する符号処理器に実装されると共に、この符号処理器を介して地上子へと伝送するための現示制御情報、並びに前記符号処理器を互いに隣接若しくは近接する信号機同士で接続した際に、接続された前記符号処理器相互において整合しているか否かを整合検出器で一括して検出するための外方接続及び内方接続のそれぞれの有無に関する伝送接続条件情報が記憶されていることを特徴とする。
【0028】
このような構成においては、地上子へと伝送される現示制御情報並びに符号処理器を互いに隣接若しくは近接するもの同士で接続した際の整合性を検出するための外方接続及び内方接続のそれぞれの有無に関する伝送接続条件情報を記憶した電文ROMが軌道上に設置された信号機と一対一で対応された符号処理器に実装される。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の自動列車停止用地上装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は本発明の自動列車停止用地上装置のシステムブロック図、図2は本発明の自動列車停止用地上装置の不整合状態のシステムブロック図、図3は接続有無条件の一例を示す説明図である。
【0031】
図3において、11は駅のプラットホーム、12は本線軌道、13はプラットホーム11を本線軌道12とで挟むように敷設され且つプラットホーム11の上流側で本線軌道12から分岐した後にプラットホーム11の下流側で復帰する副線軌道、14は各軌道12,13の何れかを走行する列車、15〜18は各軌道12,13の所定箇所に設置された信号機である。
【0032】
ここで、列車14は、副線軌道13を利用してプラットホーム11に停車(通過待ち有り)する各駅停車の場合、本線軌道12を利用してプラットホーム11に停車(通過待ち無し)する各駅停車の場合、本線軌道12を利用してプラットホーム11を通過する特急列車の場合を想定する。
【0033】
通過待ち有りの各駅停車の場合には、信号機15が列車14をプラットホーム11で停止させるために減速を現示し、副線軌道13側の信号機18が停止を現示する。
【0034】
通過待ち無しの各駅停車の場合には、信号機15が列車14をプラットホーム11で停止させるために減速を現示し、本線軌道12側の信号機16が停止を現示する。
【0035】
また、特急列車の場合には、各駅停車がプラットホーム11に停車して本線軌道12を走行可能となるようにポイント切り替えが完了している等の適正条件の下に、信号機15,16,17が進行を現示する。
【0036】
これにより、信号機15,16,17は、特急列車の通過待ちをしない各駅停車の場合と特急列車の場合とで異なったパターンの現示をすることから、互いに関連付けすることが好ましく、信号機18は関連付けをしない独立した現示でも良いこととなる。
【0037】
また、図1に示すように、信号機15は符号処理器19と一対一で対応されてこの符号処理器19により現示制御され、信号機16は符号処理器20と一対一で対応されてこの符号処理器20により現示制御され、信号機17は符号処理器21と一対一で対応されてこの符号処理器21により現示制御され、信号機18は符号処理器22と一対一で対応されてこの符号処理器22により現示制御される。
【0038】
各符号処理器19〜22には、それぞれ電文ROM23〜26が実装されている。また、各符号処理器19〜22は整合検出器27に接続されている。
【0039】
電文ROM23〜26には、各信号機15〜18の現示を各符号処理器19〜22で制御するための現示制御情報が記憶されている。また、電文ROM23〜26には、上述した接続関係を整合検出器27で整合検出するための伝送接続条件情報が記憶されている。
【0040】
例えば、図示右側を外方(列車14の走行方向上流側)とし、図示左側を内方(列車14の走行方向下流側)とした場合、電文ROM23には外方接続無し・内方接続有りとする伝送接続条件情報が記憶され、電文ROM24には外方接続有り・内方接続有りとする伝送接続条件情報が記憶され、電文ROM25には外方接続有り・内方接続無しとする伝送接続条件情報が記憶され、電文ROM26には外方接続無し・内方接続無しとする伝送接続条件情報が記憶されている。
【0041】
整合検出器27は、これら各電文ROM23〜26に記憶された各伝送接続条件情報を各符号処理器19〜22から取得することで実際の接続状態と論理的接続状態との整合性を検出する。
【0042】
これに対して、例えば、図2に示すように、符号処理器21に実装された電文ROM25に記憶された伝送接続条件情報が誤っており、外方接続無し・内方接続無しであった場合、整合検出器27は符号処理器20と符号処理器21との間で伝送接続条件が不整合であることを検出すると共に、符号処理器21に実装された電文ROM25に記憶された伝送接続条件情報に誤りがあることを外部出力(例えば、総合管理センターの制御装置等)する。
【0043】
これにより、外部出力先から支持を受けた作業者は、配線等のハードウエア接続の点検等をすることなく、適正な符号処理器21用の新たな電文ROM25に交換するだけで良いこととなる。
【0044】
ところで、上記実施の形態では、4つの符号処理器19〜22を関連付けしたユニットとし、一つの整合検出器27でこれら4つの符号処理器19〜22の整合を検出する構成を開示したが、整合検出器27に接続される符号処理器の数や関連付け(順序を含む)等は実際の路線に応じて適宜とすることができることは勿論である。
【0045】
尚、論理的には路線全線に設置された信号機並びに符号処理器を一つの整合検出器27で管理することは可能であるが、整合検出器27の負荷を考慮するとある程度のユニットで管理するほうが好ましい。
【0046】
この際、一つの整合検出器27で整合検出をしなくて済む区切り、即ち、外方接続と内方接続とで関連付けをしない場合としては、例えば、列車14の速度を減速する(若しくは自然と減速する)急カーブや上り坂、速度や制動距離性能が混在しない区間での区切り部分等が想定される。
【0047】
【発明の効果】
本発明の自動列車停止用地上装置にあっては、以上説明したように構成したことにより、隣接若しくは近接する複数の符号処理器を関連付けして接続することができ、しかも、接続された符号処理器の整合性の確認を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係わる自動列車停止用地上装置のシステムブロック図である。
【図2】 本発明の自動列車停止用地上装置の不整合状態のシステムブロック図である。
【図3】 接続有無条件の一例を示す説明図である。
【図4】 従来の独立型の自動列車停止装置のシステムブロック図である。
【図5】 従来の接続型の自動列車停止装置のシステムブロック図である。
【図6】 従来の自動列車停止装置としてのATS−P地上装置のシステムブロック図である。
【符号の説明】
15〜18 信号機、19〜22 符号処理器、23〜26 電文ROM(記憶媒体)、27 整合検出器。
Claims (2)
- 軌道上に設置の信号機と一対一で対応する符号処理器を備えると共に、前記符号処理器に実装される記憶媒体上の現示制御情報を、前記符号処理器を介して地上子へと伝送する自動列車停止用地上装置において、
前記記憶媒体に外方接続及び内方接続のそれぞれの有無に関する伝送接続条件情報を記憶させると共に、前記符号処理器を互いに隣接若しくは近接する信号機同士で接続し、前記記憶媒体に記憶された外方接続及び内方接続のそれぞれの有無に関する伝送接続条件情報が、接続された複数の前記符号処理器相互において整合しているか否かを整合検出器により一括して検出することを特徴とする自動列車停止用地上装置。 - 軌道上に設置の信号機と一対一で対応する符号処理器に実装されると共に、この符号処理器を介して地上子へと伝送するための現示制御情報、並びに前記符号処理器を互いに隣接若しくは近接する信号機同士で接続した際に、接続された前記符号処理器相互において整合しているか否かを整合検出器で一括して検出するための外方接続及び内方接続のそれぞれの有無に関する伝送接続条件情報が記憶されていることを特徴とする電文ROM。
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