JP4030099B2 - 機能性粒状材料 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極めて多種の用途、例えば枕やクッション、ぬいぐるみ等の内容物として、或いはペット用トイレや植物の軽量土壌などとしてそれぞれ有効に利用することができる機能性粒状材料に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、各種の分野にて天然或いは人為的に作成された各種の粒状物が用いられている。中でもその粒子内部に多数の微細空隙を有する多孔質の粒状物は、濾過材、吸着材、軽量骨材（充填材）等として多種のものが様々な用途に用いられている。
一方、マイナスイオンは、滝つぼや噴水等の近隣で発生し、清涼な爽快感が得られること、これが水分子からマイナスイオンが生ずる効果であることも近年の研究にて知られている。さらに、このマイナスイオンの爽快感を得られる以外の作用効果についても、各種の報告がなされ、例えば殺菌作用や浄化作用、或いは消臭作用などについても報告されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の二つの技術は全く関連のないものであり、それぞれ以下のような課題を有するものであった。
前記多孔質の粒状物は、前述のように吸着材として用いることができ、例えば具体的にはペット用トイレなどに適用するペーパースラッジ粒状物などでは、粒状物内に吸着させた尿が放つ臭気まで抑えることは不可能であった。また、前述のように軽量充填材としても用いることができ、例えば枕の内容物などに適用する籾殻などでは、汗が染み込んで放置されるために異臭を放つことがあり、これらを洗浄して再利用することは殆ど不可能であった。
一方、マイナスイオンを発生させるためにコロナ放電を利用すると、マイナスイオンの中に人体に悪影響を与える窒素酸化物、オゾンなどが同時に発生するなどの問題点があった。また、電気石等の微粉末を樹脂繊維のフィルターに混入するだけでは、マイナスイオンの発生量は微量であり、そのためフィルターに空気を強制的に通過させるなど、摩擦力や物理的応力等の外部刺激を与えるための設備や構造を必要とするものであった。
そこで本発明者等は前述の二つの技術における課題を同時に解決することができる組成物を提案することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、多孔質の或いは空隙を有して吸着性を有する粒状物の内部の空隙に、ガーネット９９〜１重量％と、ジルコニウム、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジウムの全てを含む鉱物焼成による酸化物からなる励起材１〜９９重量％とを含有するマイナスイオン発生機能、消臭機能の全ての効果が得られる機能性塗材を塗着させてなることを特徴とする機能性粒状材料に関するものである。
【０００６】
さらに、機能性塗材としては、導電性を有するバインダ液及び／又は導電性物質を分散したバインダ液を含有してなるものが望ましい。
【０００７】
また、前記本発明における粒状物は、セルロース等の植物繊維からなることが望ましい。
【０００８】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる多孔質の或いは空隙を有する粒状物としては、吸着性を有するものであれば特にその素材構成や形状構成を限定するものではなく、例えば形状構成としてはチップ状、粒状（球体）等のどのような形状、大きさであってもよい。また素材構成としては、前述のようにセルロース等の植物繊維からなることが望ましい。即ちセルロース素材は親水性、生分解性、廃棄性などの特性を有するため、多孔質のセルロース粒子はそれ自体に多くの利用価値があり、これにマイナスイオン発生、遠赤外線放射、消臭等の少なくとも１つの機能を付与することにより、さらに一層多くの用途に好適に利用することができる。また、後述するバインダとして水性エマルジョンや水性二液混合硬化型の塗料を用いる際にも定着性がよいものとなる。
【０００９】
また、本発明に用いる機能性塗材は、マイナスイオン発生機能、消臭機能の全ての効果が得られるものであって、特にガーネット９９〜１重量％と、ジルコニウム、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジウム等の全てを含む鉱物焼成による酸化物からなる鉱物１〜９９重量％とを組み合わせたマイナスイオン発生鉱物を含有させたものであって、コーティング状態においてマイナスイオンを発生し、さらに消臭効果も得られる。即ちマイナスイオン、消臭の全ての効果が得られる。また、この機能性塗材では著しいマイナスイオン放出効果が得られるが、これは後者の鉱物（ジルコニウム、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジウム等の全てを含む鉱物焼成による酸化物からなる鉱物）が前者のガーネットのマイナスイオン発生作用を励起する励起材として作用していると考えられる。
これらのマイナスイオン発生鉱物の添加量は、塗材組成物（固形分３３％）１００重量部に対して１〜３０重量部添加するのが最適である。また、このマイナスイオン発生鉱物を微粉末化する粒度としては、平均粒度として３００μm以下が望ましいが、平均粒度が５mm以下程度でも使用可能である。
【００１０】
上記のマイナスイオン発生鉱物などを、前記の粒状物に固着するための固着材、即ち前記のマイナスイオン発生鉱物などと共に機能性塗材を構成するバインダとしては、各種樹脂を用いることができ、特にポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリテトラフロオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化エチレン、ポリエチレン、天然ゴム、ニトリルゴム、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエンゴム、スチレンゴム、シリコーンゴム、低密度ポリエチレン、アクリル酸エステル共重合体を用いることが望ましく、油性でも水性でも良いが、中でも水性の乳化重合体の１種であるアクリル酸エステル共重合エマルジョンが望ましい。また水性の三次元架橋型の樹脂、例えば水性アクリルアミンと水性エポキシ樹脂とからなる水性二液混合硬化型の液状組成物を好適に用いることもできる。
【００１１】
また、機能性塗材に導電性をもたらせるため、銀微粉末、銅微粉末、その他の導電性金属微粉末、炭素微粉末、炭素繊維微粉末、チタン酸カリウムのウィスカーなどの１種又は２種以上の導電性物質を添加することにより、表面固有抵抗を１０⁵〜１０⁸Ωcmの範囲の導電性を付与すると、塗材中に添加されているマイナスイオン発生鉱物から多量のマイナスイオンを発生させることができる。この導電性物質を塗材に添加する量は、導電性物質の種類によって相違するが、塗材１００重量部に対して導電性物質５〜２０重量部が効果的である。
【００１２】
これらの成分よりなる塗材を前記粒状物に塗着する手段については何等限定するものではない。例えば塗着手段としては公知の印刷、コーティング、その他の技術を用いれば良く、例えば粒状物を塗材中に入れ、撹拌することで粒状物に浸透させるものでも、粒状物に噴霧するものであっても良い。また、粒状物への塗材の塗着は、全表面（表面及び内部空隙の全て）に行ってもその一部に部分的に行っても良い。
【００１３】
前記した構成の塗材によって形成される塗着部分がマイナスイオンを発生する機構は以下のように考えられる。
塗着部分に点在するマイナスイオン発生鉱物は自発分極している極性結晶体であり、結晶の両端にプラス極、マイナス極が自発的に生じて電位が永久に保存されるのでプラス極からマイナス極へ常時微弱な電流が流れている。その際、微粉末化鉱物の周囲物質の表面固有抵抗が大きくて導電性が低いと、帯電性が大きくなって微弱電流の電流値が低くなるためにマイナスイオンの放出が抑えられる。また、微粉末化鉱物の周辺物質の表面固有抵抗が小さくて導電性が高いと、隣接する微粉末化鉱物間での電位が中和されてマイナスイオンの放出が抑えられる。そのため、前述のように微粉末化鉱物の周囲物質の表面固有抵抗を１０⁵〜１０⁸Ωcmの範囲の導電性を有するようにした場合、塗着部分表面におけるマイナスイオンの放出を高いレベルで維持することが可能となる。
【００１４】
またガーネットの微粉末が極微弱な電気エネルギーを有することは知られていたが、このガーネットの微粉末に水を接触させたところ、¹⁷Ｏ-ＮＭＲ（核磁気共鳴）シグナル半値幅の値が原水１１７.５（Hz）より明らかに小さい７８.３Hzになることが確認された。このことは、クラスターと呼ばれる分子団を含む原水をガーネット微粉末に接触させることにより、クラスターがより小さな分子団となることを意味しており、さらにこの小さな分子団から単分子の水が生ずることを意味している。また別途実験により、ガーネット微粉末を充填したカラムに通水するとｐＨ６.７〜６.９の水が１分〜数分の短時間でｐＨ８.８〜１０.０になることが確認されている。尚、ガーネット微粉末から極微量の溶出イオンがあったが、これらの影響によるｐＨの変動ではない。
これらより水分子は、
Ｈ₂Ｏ⇔Ｈ⁺＋ＯＨ^-
の平衡状態を示し、水素プラスイオンの濃度［Ｈ⁺］は中性域では１０^-7mol／Ｌ（ｐＨ７）になっているが、水分子がガーネット微粉末と接触することによりこの平衡状態が壊れ、水素プラスイオン（Ｈ⁺）の一部は水素ガス（Ｈ₂）となり、水中から離れ出る。その結果、水酸基マイナスイオンの濃度［ＯＨ^-］が増加し、改質水はアルカリ性化する。そして、水酸基マイナスイオン（ＯＨ^-）は周辺の水分子（Ｈ₂Ｏ）と結合し、ヒドロキシルマイナスイオン（Ｈ₃Ｏ₂ ^-）となる。
Ｈ₂Ｏ＋ＯＨ^-→Ｈ₃Ｏ₂ ^-
要するにガーネット微粉末は極性結晶体を有し、短時間で水のクラスターを小さくする改質浄化作用を発揮するとともに、水分子のマイナスイオンを増加させて水をアルカリ性化するという電気的特性を有するという新たな知見を得た。そして、空気中の湿気分である水分が本発明の機能性粒状材料の塗着部分に接触することにより、直ちに小さなクラスターを含む水分子のある空気となり、やがて電気的にマイナスに帯電したヒドロキシルマイナスイオン（Ｈ₃Ｏ₂ ^-）となり、空気中の多量のマイナスイオンを発生する。
【００１５】
そして、このような機能性粒状材料を各種の用途に使用することにより、人間の生活環境に有益な遠赤外線放射特性を有し、かつマイナスイオンを定常的に放出させ、消臭効果等の様々な有益な作用を得ることができる。
遠赤外線は４〜１０００μmの波長を持つが、この機能性粒状材料が放射する遠赤外線は、４０〜１００℃において人体に有益な６〜１４μmの波長を持つ“育成光線”と呼ばれる範囲内の７〜１４μmを示すものである。この育成光線が人体に当たると熱エネルギーに変わり、温熱効果で血管を拡張させ、血流を促進し、身体の隅々まで新鮮な酸素を送る事ができ、新陳代謝を助ける事ができる。
マイナスイオン放出ではアンモニアやホルムアルデヒドなどの脱臭（除去）効果が得られ、さらに清涼な爽快感が得られたり、発汗作用の抑制や血行促進が図られたり、或いは空気清浄効果、味覚改善効果、抗菌作用など、極めて優れた環境改善効果が得られる。
【００１６】
特に本発明の機能性粒状材料は、多孔質の或いは空隙を有する粒状物を基材とし、極めて表面積の大きなものであるから、この内部の空隙に塗着させて形成される機能性塗材の表面積も大きなものとなり、マイナスイオン、遠赤外線、消臭等の効果も極めて大きいものである。
そのため、本発明の機能性粒状材料は、適宜に粒状物を選定して、極めて多種の用途に好適に適用することができる。例えば枕、クッション、ぬいぐるみ等の内容物に適用した場合、マイナスイオンの効能である消臭により汗の吸収があっても悪臭を生ずることがなく、さらに心身を安定させてリラックスさせ、イライラやストレスを解消できると共に、遠赤外線の中でも良質な育成光線と言われるものが出ているため、温熱効果により身体の芯まで温めることができる。
また、予め掃除機に吸わせておけば、排気臭の除去にも利用できる。
さらに、トイレットペーパーホルダーの芯内に入れておけば、使用に際して回転されて効果が拡散するため、大きな消臭効果が得られる。
また、ペット用トイレとして用いた場合には、通常の尿を固形化する効果に加え、尿が放つ強烈な臭気をも消臭することができる。
その他にも植物の軽量土壌などとして好適に用いることができる。
加えて通気性を有する各種の繊維材料に適宜に担持させることにより、繊維状で用いられる各種の用途にも適用可能である。
【００１７】
【実施例】
［機能性粒状材料の作成］
アクリル酸の共重合エマルジョンを主成分とする水性塗料（元旦フューテック株式会社製「フュアコートＦＸ」）に、導電材として粉末状炭素繊維（東レ株式会社製「トスカ」）を、水性塗料１００重量部に対して１０重量部添加すると共に、ガーネット５wt％とジルコニウム、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジウム等の鉱物焼成による酸化物からなる励起材９５wt％からなる混合微粉末（平均粒径５μm）を１０重量部添加して充分に撹拌混合して機能性塗料を調製した。
調製した塗料５kｇ中に、レンゴー株式会社製機能性セルロース素材「ビスコパール」（粒径４mm）１kｇを投入してゆっくり撹拌し、常温乾燥して機能性粒状材料とした。
【００１８】
・マイナスイオン発生実験
前述のように作製された機能性粒状材料３２ｇを、約１mmの孔を複数開設した容器に２／３程度充填し、自動車内のエアコンの吹き出し口のドリンクホルダーに置き、株式会社ユニバーサル企画社製イオン測定器「ＩＣ-１０００」により、マイナスイオン発生量を測定した。
気温１５℃、湿度１５〜２０％における外気のマイナスイオン数、室内のマイナスイオン数を測定した結果と、自動車内のマイナスイオン数の数値の推移を測定した結果を表１に併せて示した。
【表１】

測定結果は表１に示す通りであり、明らかに多量のマイナスイオンの放出が確認され、さらに実験当初にはタバコや汗のにおいが染みついていたものが、１０分後には殆どそのにおいが確認できず、消臭効果が発揮されていた。
【００１９】
・消臭実験
前述のように作製した機能性粒状材料１６ｇを１００Ｌテトラパックに湿度５０％に調整した空気１００Ｌを入れ、猫の尿を添加し、アンモニア（ＮＨ₃）が５００ppmになる濃度に調製した。
添加後１.５時間でアンモニアガス濃度は５０ppmとなり、４時間では１０ppm以下となり、ペット用トイレとして好適に使用可能であることが確認された。
また、上記アンモニアの脱臭実験に用いた機能性粒状材料に含有する硝酸性窒素を分析した。該機能性粒状材料を精製水に浸漬して浸漬処理水中の硝酸性窒素とアンモニア性窒素の分析を行なった結果、硝酸性窒素（ＮＯ,ＮＯ₂,ＮＯ₃）が含有されていることを確認した。これにより、アンモニア脱臭分解後の機能性粒状材料中にアンモニアが酸化されて生成した窒素酸化物として、硝酸性窒素（ＮＯ,ＮＯ₂,ＮＯ₃）が含有されていることを実測した。
【００２１】
・植生実験
前述のように作製した機能性粒状材料を軽量土壌として用いて挿し木、サボテン、ベンジャミンの植生実験を行った。
通常挿し木やサボテンは根が生長しにくいことが知られているが、特に問題なく発根・生長することが確認された。また、ベンジャミンには意図的に過剰の水を与えたが、過剰の水分は機能性粒状材料が吸水し、根腐れを起こすことがなく生長することが確認された。
【００２２】
・その他
前述のように作製した機能性粒状材料を同様量のスポンジと共に枕の内容物として用い、１０人の試験者による官能試験を実施した。
当該枕を用いて就寝することにより、就寝中に人体頭部にマイナスイオン発生シートから放出されるマイナスイオン、遠赤外線、消臭等の機能、即ちリラクゼーション効果が効率的に作用され、具体的には就寝当初にはほど良い暖かさを感じ、枕からの発汗による不快な臭気が殆ど生じず、起床時に清涼な爽快感が得られた。
【００２３】
以上本発明の一実施例を示したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【００２４】
【発明の効果】
以上要するに、本発明の機能性粒状材料は、極めて多種の用途、例えば枕やクッション、ぬいぐるみ等の内容物として、或いはペット用トイレや植物の軽量土壌などとしてそれぞれ有効に利用することができる。
そして、例えば枕等の内容物として利用した場合には、枕用外布や枕カバーを通してマイナスイオン効果、遠赤外線効果、消臭効果などを身体にもたらせることができ、またペット用トイレとして利用した場合には、吸水効果、消臭効果などをもたらせることができる。

Claims (3)

1. 多孔質の或いは空隙を有して吸着性を有する粒状物の内部の空隙に、ガーネット９９〜１重量％と、ジルコニウム、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジウムの全てを含む鉱物焼成による酸化物からなる励起材１〜９９重量％とを含有するマイナスイオン発生機能、消臭機能の全ての効果が得られる機能性塗材を塗着させてなることを特徴とする機能性粒状材料。
2. 粒状物は植物繊維からなることを特徴とする請求項１に記載の機能性粒状材料。
3. 機能性塗材は、導電性を有するバインダ液及び／又は導電性物質を分散したバインダ液を含有してなることを特徴とする請求項１又は２に記載の機能性粒状材料。