JP4030048B2 - 小型撮像モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオカメラ、監視カメラ、工業用カメラ、パソコン、電話機等に組み込んで映像を撮影するのに用いる小型撮像モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は上記のような小型撮像モジュールの一例で、同図(A)は上面図、(B)は(A)のB−B断面図である。また、図4にその分解斜視図を示す。これらの図面に見るように、セラミックスやガラス入りエポキシ樹脂等の基板1とプラスチックのケース2に、構成各要素を収容してパッケージしたものである。基板1にはIC(3)をダイボンデイングし、ワイヤ4でワイヤボンディングしてある。IC(3)には、フォトダイオード等の光電変換素子とMOSトランジスタあるいはCCD素子を組み合わせた検出要素を、多数、マトリクス配置した撮像回路が形成されている。
【0003】
図4で明らかなように、ケース2は下側が箱形、上側が円筒状で、図3(B)に見るように、基板1上のIC(3)に面して、ケース2の内側下部にIR(赤外線)カットフィルタ7が固定してあり、これにより屋外など赤外線が多い環境で電荷が飽和して、画像が真っ白になるのを防いでいる。ケース2の上側の円筒部の内壁に棚2aがあって、これにレンズ6が取り付けてある。レンズ6は透明なプラスチック製で、円板状の基部6aの下面に凸レンズ6bを形成してあり、基部6aの外周を棚2aに載せ、上面を絞り5で押さえて支持している。絞り5には光路となる穴5aが開けてある。これらの部品相互の接合にはエポキシ等の接着剤を用いている。このような構成により、外界の映像はレンズ6を通してIC(3)の表面に結像し、電気信号に変換され処理される。
【0004】
基板1の周辺には複数の窪み1aがあり、窪み1aの内壁は導電材料で被覆されていて、この導電材料は基板1の上下両面の導電パターンを接続し、図示してないが、基板1の下面における窪み1aの回りの導電材料のランド部が、組み込み先回路基板への接続用の端子電極になっている。従ってこの小型撮像モジュールは、基板1の下面の端子電極を用いて、電子機器の回路基板に表面実装するのに適する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
回路部品を電子機器の回路基板に表面実装するには、半田のリフローによるのが便利であるが、上記の小型撮像モジュールには、これを行うのが困難な事情がある。それは透明プラスチックのレンズ6が、230℃以上に達するリフロー温度に耐えられずに変形してしまうことである。図5は、先の小型撮像モジュールのケース2の上端の、レンズ6を収容した部分の断面図である。同図(A)のように、レンズ6の基部6aをケース2内壁の棚2aに載せて、絞り5で押さえて保持し、絞り5はケース2の上端に接着剤8で接合してある。この小型撮像モジュールを表面実装するために、回路基板に仮付けしてリフロー炉に入れて加熱すると、レンズ6は同図(B)の矢印のように熱膨張しようとするものの、周囲のケース2や絞り5に圧迫されて歪んだり、甚だしい場合には溶融し、変形して固化したりするので、実装後、正常に結像しなくなる。
【0006】
このため小型撮像モジュールの回路基板への実装は、一つずつ手作業で半田付けしたり、基板1にケース2を固定してあるだけでレンズの付いてないパッケージを、回路基板にリフローで実装し、レンズや絞りを後工程で取り付けるなどの方法を取ることになって、工数がかかる。耐熱性のあるガラスレンズならリフロー温度に耐えるが、ガラスレンズはプラスチックレンズに比し高価で、コスト上不利である。本発明は上記の問題を解決し、プラスチックレンズを用いた構造であって、半田のリフローで表面実装できる小型撮像モジュールを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明ではレンズにリフロー熱が極力伝わらないようにする手段を取る。周知のように熱の伝達は伝導、対流、輻射によって生じ、リフロー炉内では回路基板から実装部品への熱伝導、炉内の熱せられた空気の対流、赤外線ヒーターからの熱輻射が起きるので、これらに対処する構造を実現する。
【0008】
すなわち、
1.レンズの下側に配置される感度調整用のIRカットフィルタとは別に、レンズの上方にもIRカットフィルタを配置することにより、炉内の赤外線による上方から熱輻射を防ぐ。
2.基板からケースの側壁を経てケース上部のレンズに至る経路を、迂回させて長く形成することにより、小型撮像モジュールを載せた組み込み先の回路基板からの熱伝導度を下げ、レンズに伝わる熱量を減らす。
3.ケースへのレンズ取り付け部におけるケースとレンズの接触面積を減らすことにより、この部分の熱伝導度を下げる。
上記の各手段は組み合わせて用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、実施形態にて小型撮像モジュールとしての基本構造は先の図3、図4のものと同様であるから、対応する部品や部分については同じ符号をつけ、詳細な説明は省略する。
【0010】
図1は本発明の実施形態の断面図、図2はその分解斜視図である。先の図3、図4の小型撮像モジュールでは、ケース2は箱形の下部の上に、レンズ6を収容する円筒部を乗せた形状だったが、図1の実施形態は、ケース22を全体的に方形の箱状にしてある。そして上端面の天井部22bの中央部から、ケース22の内部に向かって伸びる円筒部22cを設けた構成である。
【0011】
円筒部22cの内周の中間に棚22aを設けてこれにレンズ6を乗せ、絞り5で押さえ、絞り5は接着剤や超音波溶着でケース22に接合してある。円筒部22cの下端に、IC(3)への入射光の調整用のIRカットフィルタ7を固定してある。さらに本実施形態では、ケース22の上端面にIRカットフィルタ23を接合してある。
【0012】
このように構成することにより、次の作用を得ている。まず、ケース22の上端をIRカットフィルタ23で覆ったことにより、リフロー炉内で上方からの赤外線を遮断して、ケース22の温度上昇を防ぐ。一方、ケース22内部のIRカットフィルタ7は、本来は撮像用のIC(3)の感度調整が目的であるが、基板1やケース22の壁を通過して入射する赤外線があった場合に、これが下方からレンズを加熱するのを遮断する作用もある。すなわちレンズ6は上下両面をIRカットフィルタ7、31で赤外線から保護される。回路基板への実装後は、IRカットフィルタ23は不要であるから除去してもよいが、わざわざ除去しなくとも、引き続きケース22に取り付けておけばよい。
【0013】
上方からの赤外線防止には、IRカットフィルタ23を絞り5とレンズ6の間に配置することもできるが、図1のようにケース22の上面に取り付ける方が、ケース22全体への防熱効果があって有効である。
【0014】
ケース22を箱形にして、上端の天井部22bから円筒部22cを吊した構成により、実施形態の小型撮像モジュールを組み込み先の回路基板に乗せてリフロー炉に入れた時、図示しない下側の回路基板からの熱伝導の経路は、図1に矢印付きの太線24で示したように、ケース22の側壁、天井部22b、円筒部22c、棚22aを経てレンズ6に至り、これは図3の小型撮像モジュールにおけるより長い。
【0015】
ケース2の断面形状が図3(B)のようであると、図示しない下側の回路基板からの熱伝導の経路は、単純にケース2の下側の箱形部の側壁から上側の円筒部を経てレンズ6に至り、この経路を図1に重ねて描くと、矢印付き太線24の途中から破線25を通る経路になる。従って実線の経路24は、破線25を含む経路に比し、ケース22の天井部22bから棚22aまでの深さの2倍に相当する距離だけ迂回していて長い。これにより下方の回路基板からレンズ6への熱伝導が減少する。また図3では、レンズを収容したケース2の円筒部側面が熱せられると、熱は直ちにレンズ6に伝わるが、図1の実施形態では、レンズ6の横方向はケース22の円筒部22cとケース外壁で二重に囲まれていて、空気層が介在し熱伝導が低下する。
【0016】
図4の小型撮像モジュールは、ケース2の円筒部の内壁に設けた、円環状の棚2aにレンズ6の外周を載せて支持している。本発明の実施形態では、図2に見るように、ケース22の円筒部22cの内壁の棚22aは連続した円環状でなく、分割して3箇所に設けてある。これによってレンズ6と棚22aの接触面積が減り、ケース22からの熱伝導度を下げることができる。
【0017】
ケース上端にIRカットフィルタを配置することと、レンズを載せる棚を分割して配置することは、もちろん図3、図4のような従来型の小型撮像モジュールにも適用できる。
【0018】
【発明の効果】
従来、プラスチックレンズを用いた小型撮像モジュールは、リフロー時の熱によってレンズが変形してしまうため、半田のリフローを用いて回路基板に実装することができず、一方、耐熱性のあるガラスレンズは高価であるため、やむなく手作業で半田付けしたり、レンズなしのパッケージをリフローで回路基板に実装してからレンズを取り付たりするなどの、非能率な製造方法を余儀なくされていた。本発明によれば、適切な伝熱抑制手段の採用により、プラスチックレンズへの悪影響を防いで、小型撮像モジュールを半田のリフローで能率よく回路基板に表面実装することが可能になった。かくしてコストが低減し、製品の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の断面図である。
【図2】図1の実施形態の分解斜視図である。
【図3】従来の小型撮像モジュールの図面で、(A)は上面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図4】図3の小型撮像モジュールの分解斜視図である。
【図5】図3の小型撮像モジュールのレンズ周辺の、加熱前後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
1a 窪み
2、22 ケース
2a、22a 棚
22b 天井部
22c 円筒部
3 IC
5 絞り
6 レンズ
7、23 IRカットフィルタ
8 接着剤
Claims (2)
- 基板とケースにIC、絞り、レンズ、IRカットフィルタ等を収容してパッケージし、回路基板に実装して用いる小型撮像モジュールにおいて、
レンズの下側に感度調整用のIRカットフィルタを配置するとともに、レンズの上方にもIRカットフィルタを配置して熱輻射を遮断することを特徴とする小型撮像モジュール。 - 基板とケースにIC、絞り、レンズ、IRカットフィルタ等を収容してパッケージし、回路基板に実装して用いる小型撮像モジュールにおいて、
レンズを支持するケース内の棚部を連続した形状でなく3個以上に分割して、レンズとケースの接触面積を減らしたことを特徴とする小型撮像モジュール。
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