JP4029637B2 - トナーの製造方法、トナーおよび印刷物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーの製造方法、トナーおよび印刷物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては、多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成する工程(露光工程)と、該潜像をトナーを用いて現像する現像工程と、紙等の転写材にトナー画像を転写する転写工程と、定着ローラを用いた加熱、加圧等により、前記トナー画像を定着する工程とを有している。
上述の転写工程において、トナー画像を効率良く転写する目的で、トナー中に、離型性に優れたワックスを添加することが行われている。
【0003】
ワックスを含むトナーは、通常、以下のようにして製造される。
まず、主成分である樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう。)と、着色剤と、ワックスとを含む原料を、樹脂の軟化点以上の温度で混練して混練物を得る。このようにして得られた混練物を、樹脂の融点以下の温度まで冷却し、その後、粉砕し、さらに必要に応じて、添加剤(外添剤)を加え、目的とするトナーを製造する。
【0004】
ところで、ワックスは、一般に、トナーの主成分である樹脂との相溶性が低いことが知られている。このため、ワックスを十分に微分散させる目的で、トナーの製造に際しては、前記原料を十分に混練する混練処理が施されている。
【0005】
しかしながら、十分な離型性を得るためにワックスの含有を比較的多くすると、混練処理を十分に行っても、最終的に得られるトナー粒子中におけるワックス粒子を十分に微細化させることができない場合があった。このように、ワックス粒子を十分に微細化させることができないと(ワックス粒子が粗大化すると)、ワックスのしみ出しが顕著に起こり、しみ出したワックスが感光体に多量に付着(フィルミング)する場合があった。このように、ワックスが感光体に付着すると、トナーの転写効率がむしろ低下してしまうことがあった。また、ワックス粒子が粗大化したトナーでは、その機械的強度が低下し、耐久性にも劣ったものとなる。また、ワックス粒子が粗大化したトナーは、いわゆるカブリ現象を生じ易くなるという問題点も有している。
【0006】
一方、上記のようなワックス粒子の粗大化を防止するために、ワックスの含有量を低くすると、十分な離型性が得られず、転写材への転写効率が低下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、転写効率、耐久性に優れたトナーを提供すること、該トナーを製造することができるトナーの製造方法を提供すること、カブリ、オフセット等の少ない鮮明な印刷物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(33)の本発明により達成される。
【0009】
(1) 樹脂と、着色剤とを含む原料を混練して得られる混練物を用いてトナーを製造するトナーの製造方法であって、
前記樹脂が、少なくとも、第1のポリエステル樹脂と、該第1のポリエステル樹脂とは異なる第2のポリエステル樹脂とを含むものであり、
前記第1のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ1、前記第2のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ2、前記第1のポリエステル樹脂の軟化点をTs1[℃]、前記第2のポリエステル樹脂の軟化点をTs2[℃]としたとき、μ1>μ2およびTs1>Ts2の関係を満足することを特徴とするトナーの製造方法。
【0010】
(2) 前記混練物を粉砕して得られるトナー製造用粉末を加熱して熱球形化する熱球形化工程を有する上記(1)に記載のトナーの製造方法。
【0011】
(3) 前記熱球形化工程時における雰囲気の温度は、150〜500℃である上記(1)または(2)に記載のトナーの製造方法。
【0012】
(4) 前記熱球形化工程により、下記式(I)で表される、前記トナーの平均円形度Rを0.92以上にする上記(2)または(3)に記載のトナーの製造方法。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
【0013】
(5) 前記原料の温度が50〜300℃となるようにして、前記混練を行う上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0014】
(6) 前記原料中における、前記第1のポリエステル樹脂の含有量をC1[wt%]、前記第2のポリエステル樹脂の含有量をC2[wt%]としたとき、C1>C2の関係を満足する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0015】
(7) 前記原料中における前記第1のポリエステル樹脂の含有量が、50〜99wt%である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0016】
(8) 前記第1のポリエステル樹脂の軟化点は、50〜300℃である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0017】
(9) 前記原料中における前記第2のポリエステル樹脂の含有量が、1〜50wt%である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0018】
(10) 前記第2のポリエステル樹脂の軟化点は、40〜200℃である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0019】
(11) 前記第2のポリエステル樹脂は、酸性分として脂肪族カルボン酸を含むものである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0020】
(12) 前記第2のポリエステル樹脂は、アルコール成分として脂肪族アルコールを含むものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0021】
(13) 前記第2のポリエステル樹脂は、リニア型ポリマーである上記(1)ないし(12)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0022】
(14) 前記第2のポリエステル樹脂は、示差走査熱量分析による融点の吸熱ピークの測定を行ったときのピークの中心値をTmp[℃]、ショルダーピーク値をTms[℃]としたとき、Tmp−Tms≦30[℃]の関係を満足する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0023】
(15) 平均粒径が2〜20μmである上記(1)ないし(14)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0024】
(16) 前記原料中におけるワックスの含有量が20wt%以下である上記(1)ないし(15)のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【0025】
(17) 樹脂と、着色剤とを含む原料で構成されたトナーであって、
前記樹脂が、少なくとも、第1のポリエステル樹脂と、該第1のポリエステル樹脂とは異なる第2のポリエステル樹脂とを含むものであり、
前記第1のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ1、前記第2のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ2、前記第1のポリエステル樹脂の軟化点をTs1[℃]、前記第2のポリエステル樹脂の軟化点をTs2[℃]としたとき、μ1>μ2およびTs1>Ts2の関係を満足することを特徴とするトナー。
【0026】
(18) 前記第1のポリエステル樹脂の含有量をC1[wt%]、前記第2のポリエステル樹脂の含有量をC2[wt%]としたとき、C1>C2の関係を満足する上記(17)に記載のトナー。
【0027】
(19) 前記第1のポリエステル樹脂の含有量が、50〜99wt%である上記(17)または(18)に記載のトナー。
【0028】
(20) 前記第1のポリエステル樹脂の軟化点は、50〜300℃である上記(17)ないし(19)のいずれかに記載のトナー。
【0029】
(21) 前記第2のポリエステル樹脂の含有量が、1〜50wt%である上記(17)ないし(20)のいずれかに記載のトナー。
【0030】
(22) 前記第2のポリエステル樹脂の軟化点は、40〜200℃である上記(17)ないし(21)のいずれかに記載のトナー。
【0031】
(23) 前記第2のポリエステル樹脂は、酸性分として脂肪族カルボン酸を含むものである上記(17)ないし(22)のいずれかに記載のトナー。
【0032】
(24) 前記第2のポリエステル樹脂は、アルコール成分として脂肪族アルコールを含むものである上記(17)ないし(23)のいずれかに記載のトナー。
【0033】
(25) 前記第2のポリエステル樹脂は、リニア型ポリマーである上記(17)ないし(24)のいずれかに記載のトナー。
【0034】
(26) 前記第2のポリエステル樹脂は、示差走査熱量分析による融点の吸熱ピークの測定を行ったときのピークの中心値をTmp[℃]、ショルダーピーク値をTms[℃]としたとき、Tmp−Tms≦30[℃]の関係を満足する上記(17)ないし(25)のいずれかに記載のトナー。
【0035】
(27) 熱球形化処理により球形化された上記(17)ないし(26)のいずれかに記載のトナー。
【0036】
(28) 下記式(I)で表される平均円形度Rが0.92以上である上記(17)ないし(27)のいずれかに記載のトナー。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
【0037】
(29) 平均粒径が2〜20μmである上記(17)ないし(28)のいずれかに記載のトナー。
【0038】
(30) ワックスの含有量が20wt%以下である上記(17)ないし(29)のいずれかに記載のトナー。
【0039】
(31) 上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とするトナー。
【0040】
(32) 上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の方法で製造されたトナーを用いて印刷されたことを特徴とする印刷物。
【0041】
(33) 上記(17)ないし(31)のいずれかに記載のトナーを用いて印刷されたことを特徴とする印刷物。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のトナーの製造方法、トナーおよび印刷物の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明のトナーの製造方法で用いる混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図、図2は、第2のポリエステル樹脂について示差走査熱量分析を行ったときに得られる、第2のポリエステル樹脂の融点付近での示差走査熱量分析曲線のモデル図である。以下、図1中、左側を「基端」、右側を「先端」として説明する。
【0045】
[構成材料]
本発明のトナーは、少なくとも、主成分としての樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう)と、着色剤とを含む原料5を用いて製造される。
【0046】
以下、本発明のトナーの製造に用いられる原料5の各成分について説明する。
1.樹脂(バインダー樹脂)
樹脂(バインダー樹脂)は、通常、紙等の転写材への接着性向上や、トナー粒子の帯電保持等の機能を有するものである。
【0047】
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、少なくとも、ポリエステル樹脂を含むものである。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等が挙げられる。バインダー樹脂として用いることができる樹脂材料の中でも、ポリエステル樹脂は、カルボキシル基や水酸基等の官能基を有するため、最終的に得られるトナーの弾性率、帯電性等の特性を制御し易いという点で特に優れている。
【0048】
また、本発明においては、樹脂は、ポリエステル樹脂として、互いに異なる第1のポリエステル樹脂と、該第1のポリエステル樹脂とは異なる第2のポリエステル樹脂とを含むものである。以下、第1のポリエステル樹脂および第2のポリエステル樹脂について、詳細に説明する。
【0049】
1−1.第1のポリエステル樹脂
第1のポリエステル樹脂は、後述する第2のポリエステル樹脂より高い軟化点を有している。このように、比較的高い軟化点を有する第1のポリエステル樹脂を含むことにより、最終的に得られるトナーは、形状の安定性(形状安定性)に優れたものとなり、その耐久性が向上する。
【0050】
第1のポリエステル樹脂の軟化点は、50〜300℃であるのが好ましく、60〜150℃であるのがより好ましい。第1のポリエステル樹脂の軟化点が前記下限値未満であると、最終的に得られるトナーの形状の安定性が低下し、十分な耐久性を得るのが困難になる場合がある。一方、第1のポリエステル樹脂の軟化点が前記上限値を超えると、トナーを紙等の転写材に定着させる際に高温にすることが必要になり、電子写真本体に負荷が生じる。
【0051】
原料5中における第1のポリエステル樹脂の含有量は、50〜99wt%であるのが好ましく、70〜95wt%であるのがより好ましい。第1のポリエステル樹脂の含有量が前記下限値未満であると、最終的に得られるトナー粒子の形状安定性が低下し、トナーの耐久性が低下する傾向を示す。一方、第1のポリエステル樹脂の含有量が前記上限値を超えると、第2のポリエステル樹脂の含有量が相対的に低下する。このように、第2のポリエステル樹脂の含有量が低下すると、後述するような理由により、最終的に得られるトナーの転写効率が低下する可能性がある。
【0052】
1−2.第2のポリエステル樹脂
第2のポリエステル樹脂は、第1のポリエステル樹脂より低い軟化点を有している。第2のポリエステル樹脂の軟化点は、40〜200℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましい。第2のポリエステル樹脂の軟化点が前記下限値未満であると、トナーの保存性(耐熱性)が低下し、例えば、使用環境等によっては、トナー粒子間での融着が発生する場合がある。一方、第2のポリエステル樹脂の軟化点が前記上限値を超えると、本発明の効果が十分に得られない可能性がある。
【0053】
また、第2のポリエステル樹脂は、第1のポリエステル樹脂より静止摩擦係数の小さいものである。ここで、第1のポリエステル樹脂の静止摩擦係数と、第2のポリエステル樹脂の静止摩擦係数との比較は、表面の状態がほぼ同一の条件で測定されるものとする。第2のポリエステル樹脂の静止摩擦係数の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。第2のポリエステル樹脂で構成された所定の表面状態の部材を2つ用意し、所定温度雰囲気下で、これらを互いに所定の圧力で押し付け合い、この状態での静止摩擦力を測定することにより、第2のポリエステル樹脂の静止摩擦係数を求めることができる。同様にして、第1のポリエステル樹脂についても、その静止摩擦係数を測定することができ、これらの数値を比較することにより、第1のポリエステル樹脂の静止摩擦係数と、第2のポリエステル樹脂の静止摩擦係数との関係を確認することができる。
【0054】
上述したように、第2のポリエステル樹脂は、第1のポリエステル樹脂より静止摩擦係数が小さくかつ軟化点の低いものである。言い換えると、本発明では、第1のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ1、第2のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ2、第1のポリエステル樹脂の軟化点をTs1[℃]、第2のポリエステル樹脂の軟化点をTs2[℃]としたとき、μ1>μ2およびTs1>Ts2の関係を満足する。このような関係を満足するとにより、転写効率、耐久性に優れたトナーを得ることができる点に、本発明は特徴を有する。このような効果が得られるのは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0055】
上述したように、第1のポリエステル樹脂と、第2のポリエステル樹脂との間では、Ts1>Ts2の関係が成り立つ。このため、第2のポリエステル樹脂は、後述する混練工程、熱球形化工程等において、第1のポリエステル樹脂に優先して、軟化、溶融し、粘度が低下する。このように、粘度の低下した第2のポリエステル樹脂は、比較的粘度の高い状態に維持されている第1のポリエステル樹脂の表面をコーティングするような状態となる。このため、最終的に得られるトナーは、その表面の特性としては、第2のポリエステル樹脂の低摩擦性を有するものとなる。このように、トナー粒子の表面の摩擦抵抗が小さいことにより、トナーの感光体に対する付着性が低下し、離型性が向上する。その結果、本発明のトナーは、転写効率に優れたものとなる。
一方、前述したように、原料中には、比較的高い軟化点を有する第1のポリエステルが含まれているので、トナー粒子全体では、十分な形状安定性を有するものとなる。
このため、最終的に得られるトナーは、その表面の特性としては、第2のポリエステル樹脂の低摩擦性を有しつつ、トナー粒子全体としては、十分な耐久性を有するものとなる。その結果、本発明のトナーは、転写効率および耐久性に優れたものとなる。
【0056】
原料5中における第2のポリエステル樹脂の含有量は、1〜50wt%であるのが好ましく、5〜30wt%であるのがより好ましい。第2のポリエステル樹脂の含有量が前記下限値未満であると、最終的に得られるトナーの転写効率が低下する傾向を示す。一方、第2のポリエステル樹脂の含有量が前記上限値を超えると、第1のポリエステル樹脂の含有量が相対的に低下する。その結果、最終的に得られるトナー粒子の形状安定性が低下し、トナーとしての耐久性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。
【0057】
また、上述したように、本発明において、第2のポリエステル樹脂は、主として、トナー粒子の表面の静止摩擦係数を低下させる機能を有するものである。したがって、原料5中における第2のポリエステル樹脂の含有量は、第1のポリエステル樹脂の含有量に比べて少ないものであるのが好ましい。すなわち、原料5中における、第1のポリエステル樹脂の含有量をC1[wt%]、第2のポリエステル樹脂の含有量をC2[wt%]としたとき、C1>C2の関係を満足するのが好ましい。このような関係を満足することにより、最終的に得られるトナーは、転写効率および耐久性が特に優れたものとなり、トナー全体としての信頼性がさらに向上する。このように、本発明においては、C1>C2の関係を満足するのが好ましいが、特に、0.01<C2/C1<1の関係を満足するのが好ましく、0.05<C2/C1<0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0058】
また、第2のポリエステル樹脂は、いわゆるシャープメルト性を有しているものであるのが好ましい。すなわち、第2のポリエステル樹脂は、示差走査熱量分析(DSC)による融点の吸熱ピークの測定を行ったとき、吸熱ピークがシャープな形状として現れる性質を有しているものであるのが好ましい。
このように、第2のポリエステル樹脂がシャープメルト性を有するものであると、後述する熱球形化処理を施した際に、トナー粒子の円形度を特に優れたもの(真円に近い形状のもの)にすることができる。
また、原料5中にシャープメルト性を有する第2のポリエステル樹脂を含むことにより、トナーを比較的低温で、確実に融着することが可能となる。すなわち、トナーの転写効率をさらに向上させることができる。
【0059】
シャープメルト性を表す指標としては、例えば、示差走査熱量分析(DSC)による融点の吸熱ピークの測定を行ったときのピークの中心値をTmp[℃]、ショルダーピーク値をTms[℃]としたときに、ΔT=Tmp−Tmsで表されるΔT値等が挙げられる(図2参照)。このΔT値が小さいほどシャープメルト性が高いということができる。
第2のポリエステル樹脂のΔT値は、30℃以下であるのが好ましく、15℃以下であるのがより好ましい。Tmp[℃]、Tms[℃]の測定条件は特に限定されないが、例えば、試料となる第2のポリエステル樹脂を、昇温速度:10℃/分で300℃まで昇温し、さらに、降温速度:10℃/分で降温した後、昇温速度:10℃/分で昇温して測定することができる。
【0060】
また、第2のポリエステル樹脂の融点は、40〜200℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましい。第2のポリエステル樹脂の融点が前記下限値未満であると、トナーの保存性(耐熱性)が低下し、使用環境等によっては、トナー粒子間での融着が発生する場合がある。一方、第2のポリエステル樹脂の融点が前記上限値を超えると、トナー粒子の表面に第2のポリエステル樹脂が出にくくなり、本発明の効果が十分に得られなくなる可能性がある。
【0061】
また、第2のポリエステル樹脂は、従来、離型性を向上させる目的で用いられてきたワックスに比べて、高い強度を有している。このため、本発明では、トナー全体としての強度も向上し、トナーの耐久性は特に優れたものとなる。
【0062】
第2のポリエステル樹脂は、リニア型ポリマーであるのが好ましい。リニア型のポリエステルは、架橋型のものに比べて、さらに静止摩擦係数を小さくすることができる。これにより、特に優れた離型性が得られ、トナーの転写効率がさらに向上する。
【0063】
また、第2のポリエステル樹脂は、酸成分として脂肪族カルボン酸を含むものであるのが好ましく、酸成分のほとんど(例えば、酸成分全体に対して80wt%以上)が脂肪族カルボン酸であるのがより好ましく、酸成分が実質的に全て脂肪族カルボン酸で構成されているものであるのがさらに好ましい。これにより、トナーの静止摩擦係数をさらに小さくすることが可能となり、結果として、トナーの転写効率が特に優れたものとなる。
【0064】
また、第2のポリエステル樹脂は、アルコール成分として脂肪族アルコールを含むものであるのが好ましく、アルコール成分のほとんど(例えば、アルコール成分全体に対して80wt%以上)が脂肪族アルコールであるのがより好ましく、アルコール成分が実質的に全て脂肪族アルコールで構成されているものであるのがさらに好ましい。これにより、トナーの静止摩擦係数をさらに小さくすることが可能となり、結果として、トナーの転写効率が特に優れたものとなる。
【0065】
原料5中における樹脂の含有量は、特に限定されないが、51〜99wt%であるのが好ましく、70〜98wt%であるのがより好ましい。樹脂の含有量が前記下限値未満であると、最終的に得られるトナーにおいて、樹脂が有する機能(例えば、幅広い温度領域での良好な定着性等)が十分に発揮されない可能性がある。一方、樹脂の含有量が前記上限値を超えると、必要な色濃度を得るのに多量のトナーが必要になり、印刷が困難になる場合がある。
【0066】
なお、樹脂中には、前記第1のポリエステル樹脂、第2のポリエステル樹脂とは異なる成分(第3の樹脂成分)を1種以上含むものであってもよい。
【0067】
第3の樹脂成分としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂(前記第1のポリエステル樹脂、第2のポリエステル樹脂とは異なる組成および/または分子量を有するもの)、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
2.着色剤
着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
原料5中における着色剤の含有量は、特に限定されないが、1〜20wt%であるのが好ましく、3〜6wt%であるのがより好ましい。着色剤の含有量が前記下限値未満であると、着色剤の種類によっては、十分な濃度の可視像を形成するのが困難になる可能性がある。一方、着色剤の含有量が前記上限値を超えると、相対的に樹脂の含有量が低下し、必要な色濃度での、紙等の転写材への定着性が低下する。
【0070】
3.ワックス
また、トナーの製造に用いる原料5中には、必要に応じてワックスが含まれていてもよい。これにより、トナーの転写効率をさらに向上させることができる。
【0071】
前述したように、本発明では、第1のポリエステル樹脂と、第2のポリエステル樹脂とを用いる点に特徴を有しており、これにより、十分な転写効率、耐久性が得られる。したがって、原料5中にワックスを含む場合であっても、その含有量は、比較的少量であるのが好ましい。原料5中におけるワックスの含有量は、例えば、10wt%以下であるのが好ましく、5wt%以下であるのがより好ましく、1〜3wt%であるのがさらに好ましい。ワックスの含有量が多すぎると、最終的に得られるトナー中において、ワックスが遊離、粗大化し、トナー表面へのワックスのしみ出し等が顕著に起こり、トナーの転写効率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
【0072】
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、エステル系ワックスを用いた場合には、下記のような効果が得られる。
【0073】
エステル系ワックスは、前述した第1のポリエステル樹脂、第2のポリエステル樹脂と同様に、分子内にエステル構造を有しており、第1のポリエステル樹脂、第2のポリエステル樹脂との相溶性に優れる。このため、最終的に得られるトナー粒子中における遊離ワックスの発生、粗大化を防止することができる(トナー中でのワックスの微分散やミクロ相分離を容易に達成できる)。その結果、最終的に得られるトナーは、感光体からの離型性が特に優れたものとなる。
【0074】
ワックスの軟化点は、特に限定されないが、0〜100℃であるのが好ましく、50〜90℃であるのがより好ましい。
【0075】
4.その他の成分
また、原料5中には、前記第1のポリエステル樹脂、第2のポリエステル樹脂、着色剤、ワックス以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、磁性粉末、帯電制御剤、分散在等が挙げられる。
【0076】
前記磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
【0077】
前記帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
【0078】
前記分散剤としては、例えば、金属石鹸、無機金属塩、有機金属塩、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0079】
前記金属石鹸としては、トリステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩等)、ジステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等)、ステアリン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、オクタン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等)、オレイン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等)、パルミチン酸金属塩(例えば、亜鉛塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、レジン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等)等が挙げられる。
【0080】
前記無機金属塩、前記有機金属塩としては、例えば、カチオン性成分として、周期律表の第IA族、第IIA族、および第IIIA族の金属からなる群より選ばれる元素のカチオンを含み、アニオン性成分として、ハロゲン、カーボネート、アセテート、サルフェート、ボレート、ニトレート、およびホォスフェートからなる群より選ばれるアニオンを含む塩等が挙げられる。
【0081】
また、添加剤としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム等を用いてもよい。
【0082】
[混練工程]
上記のような原料5は、図1に示すような混練機1を用いて混練される。
【0083】
混練に供される原料5は、前述した各成分が予め混合されたものであるのが好ましい。
【0084】
混練機1は、原料5を搬送しつつ混練するプロセス部2と、混練された原料(混練物7)を所定の断面形状に形成して押し出すヘッド部3と、プロセス部2内に原料5を供給するフィーダー4とを有している。
【0085】
プロセス部2は、バレル21と、バレル21内に挿入されたスクリュー22、23と、バレル21の先端にヘッド部3を固定するための固定部材24とを有している。
【0086】
プロセス部2では、スクリュー22、23が、回転することにより、フィーダー4から供給された原料5に剪断力が加えられ、前記各成分が十分均一に分散した混練物7が得られる。
【0087】
混練時の原料温度は、原料5の組成等により異なるが、50〜300℃であるのが好ましく、100〜200℃であるのがより好ましい。原料温度が前記下限値未満であると、原料5の粘度が高くなり、十分均一に混練するのが困難となる。一方、原料温度が前記上限値を超えると、材料の熱分解、酸化劣化等の発生や、凝集、相分離等が発生し易くなり、最終的に得られるトナーの機能が低下する場合がある。
【0088】
[押出工程]
プロセス部2で混練された混練物7は、スクリュー22、23の回転により、ヘッド部3を介して、混練機1の外部に押し出される。
【0089】
ヘッド部3は、プロセス部2から混練物7が送り込まれる内部空間31と、混練物7が押し出される押出口32とを有している。
【0090】
図示の構成では、内部空間31は、押出口32の方向に向って、その横断面積が漸減する横断面積漸減部33を有している。
【0091】
このような横断面積漸減部33を有することにより、押出口32から押し出される混練物7の押出量が安定し、また、後述する冷却工程における混練物7の冷却速度が安定する。その結果、これを用いて製造されるトナーは、各トナー粒子間での特性のバラツキが小さいものとなり、全体としての特性に優れたものになる。
【0092】
[冷却工程]
ヘッド部3の押出口32から押し出された軟化した状態の混練物7は、冷却機6により冷却され、固化する。
【0093】
冷却機6は、ロール61、62、63、64と、ベルト65、66とを有している。
【0094】
ベルト65は、ロール61とロール62とに巻掛けられている。同様に、ベルト66は、ロール63とロール64とに巻掛けられている。
【0095】
ロール61、62、63、64は、それぞれ、回転軸611、621、631、641を中心として、図中e、f、g、hで示す方向に回転する。これにより、混練機1の押出口32から押し出された混練物7は、ベルト65−ベルト66間に導入される。ベルト65−ベルト66間に導入された混練物7は、ほぼ均一な厚さの板状となるように成形されつつ、冷却される。冷却された混練物7は、排出部67から排出される。ベルト65、66は、例えば、水冷、空冷等の方法により、冷却されている。冷却機として、このようなベルト式のものを用いると、混練機から押し出された混練物と、冷却体(ベルト)との接触時間を長くすることができ、混練物の冷却の効率を特に優れたものとすることができる。
【0096】
[粉砕工程]
上述したような冷却工程を経た混練物7を粉砕することにより、トナー製造用粉末を得る。
【0097】
粉砕の方法は、特に限定されず、例えばボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
【0098】
粉砕の工程は、複数回(例えば、粗粉砕工程と微粉砕工程との2段階)に分けて行ってもよい。
【0099】
また、このような粉砕工程の後、必要に応じて、分級処理等の処理を行ってもよい。
分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
【0100】
[熱球形化工程(熱球形化処理)]
以上のようにして得られたトナー製造用粉末を加熱して球形化する熱球形化処理を施すことにより本発明のトナーが得られる。
【0101】
このような熱球形化処理を施すことにより、トナー製造用粉末の表面上の比較的大きな凹凸が除去され、円形度の高い(真円に近い形状の)トナーが得られる。これにより、個々のトナー粉末での帯電特性の差が小さくなり、感光体上への現像性が向上するとともに、感光体上へのトナーの付着(フィルミング)がより効果的に防止され、トナーの転写効率がさらに向上する。
【0102】
ところで、前述したように、トナー中に含まれる第2のポリエステル樹脂は、それ自体がトナーの転写効率を向上させる効果を有している。
また、前述したように、第2のポリエステル樹脂は、シャープメルト性を有しており、熱球形化処理の効率を向上させる機能も有している。したがって、本発明では、第2のポリエステル樹脂を含まない原料を用いた場合に比べて、最終的に得られるトナーの円形度を高いもの(真円に近いもの)にすることができる。また、本発明では、熱球形化の条件も緩和することができる。
【0103】
このように、熱球形化処理を施した場合、この熱球形化処理による効果は、第2のポリエステル樹脂を含むことによる効果と、相乗的に作用し、得られるトナーの転写効率は、特に優れたものとなる。
【0104】
熱球形化処理は、前記粉砕工程で得られたトナー製造用粉末を、圧縮空気等を用いて、加熱雰囲気下に噴射することにより行うことができる。このときの雰囲気温度は、150〜500℃であるのが好ましく、200〜400℃であるのがより好ましい。雰囲気温度が前記下限値未満であると、得られるトナーの円形度を十分に高めるのが困難になる場合がある。一方、雰囲気温度が前記上限値を超えると、材料の熱分解、酸化劣化等の発生や、凝集、相分離等が発生し易くなり、最終的に得られるトナーの機能が低下する場合がある。
【0105】
また、トナー(トナー粉末)は、下記式(I)で表される平均円形度Rが0.92以上であるのが好ましく、0.95以上であるのがより好ましい。平均円形度Rが0.96以上であると、トナーの転写効率は、さらに優れたものとなる。
【0106】
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
【0107】
以上のようにして得られるトナーの平均粒径は、2〜20μmであるのが好ましく、5〜10μmであるのがより好ましい。トナーの平均粒径が前記下限値未満であると、トナー粒子間での融着等が起こり易くなる。一方、トナーの平均粒径が前記上限値を超えると、印刷物の解像度が低下する傾向を示す。
【0108】
また、トナー中の第2のポリエステル樹脂の含有量は、1〜50wt%であるのが好ましく、5〜30wt%であるのがより好ましい。第2のポリエステル樹脂の含有量が前記下限値未満であると、本発明の効果が十分に得られない可能性がある。一方、第2のポリエステル樹脂の含有量が前記上限値を超えると、主成分としての樹脂の含有量が相対的に低下し、樹脂の機能(例えば、幅広い温度領域での良好な定着性等)が十分に発揮されない可能性がある。
【0109】
また、トナー中にワックスが含まれる場合、その含有量は、特に限定されないが、10wt%以下であるのが好ましく、5wt%以下であるのがより好ましく、1〜3wt%であるのがさらに好ましい。ワックスの含有量が多すぎると、ワックスが遊離、粗大化し、トナー表面へのワックスのしみ出し等が顕著に起こり、トナーの転写効率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
【0110】
なお、上述した熱球形化工程の後、必要に応じて、外添処理等の処理を施してもよい。
【0111】
外添剤としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、チタニア、酸化亜鉛、アルミナ、マグネタイト等の金属酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、脂肪族金属塩等の金属塩等の無機材料で構成された微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族金属塩等の有機材料で構成された微粒子やこれらの複合物で構成された微粒子等が挙げられる。
【0112】
また、外添剤としては、上記のような微粒子の表面に、HMDS、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、フッ素含有シラン系カップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施したものを用いてもよい。
【0113】
このようにして得られるトナーは、シャープメルト性が求められるカラートナーやオイルレス定着機を有するプリンタに用いられるものであるのが好ましい。このようなトナーは、ワックス含有量が比較的多いものであることが求められる。その結果、このようなトナーでは、前述したワックス粒子の粗大化による悪影響を受け易いものであり、本発明の効果がより顕著に現れる。
【0114】
[印刷物]
次に、本発明の印刷物について説明する。
【0115】
本発明の印刷物は、前述したトナーを用いて印刷(コピー機等を用いた複写を含む)されたものである。
【0116】
印刷が施される基材としては、例えば、普通紙、グラシン紙、上質紙、コート紙、無塵紙、含浸紙、合成紙、再生紙等の紙材等が挙げられる。
【0117】
印刷は、上記のような基材の表面に、直接施すものであってもよいし、基材の表面に設けられた下地層等を介して施すものであってもよい。
【0118】
基材への印刷は、通常、レーザープリンタ等の電子写真装置を用いて行われる。
【0119】
上述したように、本発明のトナーは、転写効率および耐久性に優れたものである。したがって、本発明の印刷物は、いわゆる、カブリ、オフセット等の少ない鮮明なものとなる。
【0120】
また、上述したように、本発明のトナーは、十分な転写効率が得られるので、ワックスを含まないもの、または、ワックスの含有量が比較的少ないものであってもよい。このように、トナーがワックスを含まないもの、または、ワックスの含有量が比較的少ないものである場合、当該トナーを用いて印刷される印刷物は、ボールペン、鉛筆、蛍光ペン等の筆記用具で、印刷部位にも容易に書き込みができるものとなる。
【0121】
以上、本発明のトナーの製造方法、トナーおよび印刷物について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0122】
例えば、前述した実施形態では、粉砕工程で得られたトナー製造用粉末を熱球形化する熱球形化処理を行うものとして説明したが、トナー製造用粉末を、そのままトナーとして用いてもよい。
【0123】
また、前述した実施形態では、トナー製造用粉末は、粉砕法により得られたものを用いたものとして説明したが、重合法等、その他の方法により製造されたものであってもよい。
【0124】
また、前述した実施形態では、熱球形化処理を乾式の条件で行う構成について説明したが、熱球形化処理は、例えば、溶液中等の湿式の条件で行ってもよい。
【0125】
また、前述した実施形態では、混練機として、連続式の2軸スクリュー押出機を用いる構成について説明したが、原料の混練に用いる混練機はこれに限定されない。原料の混練には、例えば、ニーダーやバッチ式の三軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機を用いることができる。
【0126】
また、図示の構成では、スクリューを2本有する構成の混練機について説明したが、スクリューは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0127】
また、前述した実施形態では、冷却機として、ベルト式のものを用いた構成について説明したが、例えば、ロール式(冷却ロール式)の冷却機を用いてもよい。また、混練機の押出口から押し出された混練物の冷却は、前記のような冷却機を用いたものに限定されず、例えば、空冷等により行うものであってもよい。
【0128】
【実施例】
[1]樹脂(バインダー樹脂)として用いるポリエステル樹脂の製造
トナーの製造に先立ち、以下に示す4種のポリエステルA、B、C、Dを製造した。
【0129】
[1.1]ポリエステルAの製造
アルコール成分として、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物100g、酸成分として、テレフタル酸100gを用意し、これらを、窒素導入管と脱水管とを装備したフラスコ内で200℃×6時間の条件で反応させた。その後、雰囲気圧を8kPaとし、さらに1時間反応させ、得られた反応物をポリエステルA(PES−A)とした。
【0130】
得られたポリエステルAについて、以下のようにして、静止摩擦係数の測定を行った。
得られたポリエステルAを用いて、ASTM−D1894−72に基づき、温度25℃の雰囲気下、静止摩擦係数の測定を行った。測定の結果求められた静止摩擦係数は、0.34であった。
【0131】
また、得られたポリエステルAについて、軟化点の測定を行った。軟化点の測定は、降下式フローテスター(島津製作所社製)を用いて、以下のようにして行った。
1cm3の試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより20kg/cm2の荷重を加え、試料を、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これにより、フローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとしたときの、h/2に対応する温度を軟化点とした。測定の結果求められた軟化点は、122℃であった。
【0132】
また、得られたポリエステルAについて、示差走査熱量分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、DSC210)による融点の吸熱ピークの測定を試みた。融点の吸熱ピークの測定は、試料となるポリエステルAを、昇温速度:10℃/分で300℃まで昇温し、さらに、降温速度:10℃/分で20℃まで降温した後、昇温速度:10℃/分で昇温することにより行った。その結果、融点の吸収ピークであると判断できるようなシャープなピークは、確認することができなかった。なお、ポリエステルAのガラス転移点Tg[℃]の測定値は、58℃であった。
【0133】
[1.2]ポリエステルBの製造
アルコール成分として、プロピレングリコール100g、酸成分として、テレフタル酸100gを用意し、これらを、窒素導入管と脱水管とを装備したフラスコ内で200℃×6時間の条件で反応させた。その後、雰囲気圧を8kPaとし、さらに1時間反応させ、得られた反応物をポリエステルB(PES−B)とした。
【0134】
得られたポリエステルBについて、前記と同様にして、静止摩擦係数、軟化点の測定を行った。測定の結果から求められた静止摩擦係数は、0.28、軟化点は、82℃であった。
【0135】
また、得られたポリエステルBについて、示差走査熱量分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、DSC210)による融点の吸熱ピークの測定を行った。融点の吸熱ピークの測定は、試料となるポリエステルBを、昇温速度:10℃/分で300℃まで昇温し、さらに、降温速度:10℃/分で20℃まで降温した後、昇温速度:10℃/分で昇温することにより行った。融点の吸収ピークの中心値Tmpは、85℃、ショルダーピーク値Tmsは、68℃であった。
【0136】
[1.3]ポリエステルCの製造
アルコール成分として、プロピレングリコール100g、酸成分として、マレイン酸100gを用意し、これらを、窒素導入管と脱水管とを装備したフラスコ内で200℃×6時間の条件で反応させた。その後、雰囲気圧を8kPaとし、さらに1時間反応させ、得られた反応物をポリエステルC(PES−C)とした。
【0137】
得られたポリエステルCについて、前記と同様にして、静止摩擦係数、軟化点の測定を行った。測定の結果から求められた静止摩擦係数は、0.23、軟化点は、69℃であった。
【0138】
また、得られたポリエステルCについて、示差走査熱量分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、DSC210)による融点の吸熱ピークの測定を行った。融点の吸熱ピークの測定は、試料となるポリエステルCを、昇温速度:10℃/分で300℃まで昇温し、さらに、降温速度:10℃/分で20℃まで降温した後、昇温速度:10℃/分で昇温することにより行った。融点の吸収ピークの中心値Tmpは、72℃、ショルダーピーク値Tmsは、63℃であった。
【0139】
[1.4]ポリエステルDの製造
アルコール成分として、ブチレングリコール100g、酸成分として、テレフタル酸100gを用意し、これらを、窒素導入管と脱水管とを装備したフラスコ内で200℃×6時間の条件で反応させた。その後、雰囲気圧を8kPaとし、さらに1時間反応させ、得られた反応物をポリエステルD(PES−D)とした。
【0140】
得られたポリエステルDについて、前記と同様にして、静止摩擦係数、軟化点の測定を行った。測定の結果から求められた静止摩擦係数は、0.32、軟化点は、242℃であった。
【0141】
また、得られたポリエステルDについて、示差走査熱量分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、DSC210)による融点の吸熱ピークの測定を行った。融点の吸熱ピークの測定は、試料となるポリエステルDを、昇温速度:10℃/分で300℃まで昇温し、さらに、降温速度:10℃/分で20℃まで降温した後、昇温速度:10℃/分で昇温することにより行った。融点の吸収ピークの中心値Tmpは、246℃、ショルダーピーク値Tmsは、218℃であった。
【0142】
ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルC、ポリエステルDの静止摩擦係数、軟化点を表1にまとめて示す。なお、表1中、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルC、ポリエステルDは、それぞれ、PES−A、PES−B、PES−C、PES−Dで示した。
【0143】
【表1】
【0144】
[2]トナーの製造
以下のようにして、トナーを製造した。
【0145】
(実施例1)
まず、第1のポリエステル樹脂としてポリエステルA:90重量部、第2のポリエステル樹脂としてポリエステルB:10重量部、着色剤として銅フタロシアニン顔料:5重量部、帯電制御剤としてサリチル酸クロム錯体:1重量部を用意した。
【0146】
これらの各成分をヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
【0147】
次に、この原料(混合物)を、図1に示すような2軸混練機を用いて、混練した。混練時における材料温度は、125℃であった。
【0148】
混練機の押出口から押し出された混練物を図1中に示すような冷却機を用いて、冷却した。
【0149】
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕(平均粒径:1〜2mm)し、引き続き微粉砕した。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用い、微粉砕にはジェットミルを用いた。
【0150】
このようにして得られた粉砕物を気流分流機で分級した。分級により得られた粉末100重量部に対し、シリカ1.2重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナーを得た。最終的に得られたトナーの平均粒径は、8.0μmであった。
【0151】
(実施例2)
前記実施例1と同様にして得られた粉砕物を、気流分流機で分級した。
【0152】
その後、分級により得られた粉末(トナー製造用粉末)に、熱球形化処理を施した。熱球形化処理は、熱球形化装置(日本ニューマチック社製、SFS3型)を用いて行った。熱球形化処理時における雰囲気の温度は、300℃とした。その後、熱球形化処理を施した粉末100重量部に対し、シリカ1.2重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナーを得た。最終的に得られたトナーの平均粒径は、8.0μmであった。
【0153】
(実施例3)
第2のポリエステル樹脂としてポリエステルCを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
【0154】
(実施例4)
前記実施例3と同様にして得られた粉砕物を、気流分流機で分級した。
【0155】
その後、分級により得られた粉末(トナー製造用粉末)に、熱球形化処理を施した。熱球形化処理は、熱球形化装置(日本ニューマチック社製、SFS3型)を用いて行った。熱球形化処理時における雰囲気の温度は、300℃とした。その後、熱球形化処理を施した粉末100重量部に対し、シリカ1.2重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナーを得た。最終的に得られたトナーの平均粒径は、8.0μmであった。
【0156】
(実施例5〜8)
原料中における各成分の配合比を表1に示すように変更した以外は、前記実施例4と同様にしてトナーを製造した。
【0157】
(実施例9)
トナーの製造に用いる原料中に、カルバウナワックス(エステル系ワックス):2重量部を追加した以外は、前記実施例4と同様にしてトナーを製造した。
【0158】
(実施例10)
トナー製造用の原料として、ポリエステルA:80重量部、ポリエステルC:10重量部、スチレンアクリル樹脂(積水化学工業社製、エスレックP):10重量部、カルバウナワックス(エステル系ワックス):2重量部、銅フタロシアニン顔料:5重量部、サリチル酸クロム錯体:1重量部を用いた以外は、前記実施例4と同様にしてトナーを製造した。
【0159】
(比較例1)
トナー製造用の原料として、ポリエステルA:90重量部、ポリエステルD:10重量部、銅フタロシアニン顔料:5重量部、サリチル酸クロム錯体:1重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
【0160】
(比較例2)
前記比較例1と同様にして得られた粉砕物を、気流分流機で分級した。
【0161】
その後、分級により得られた粉末(トナー製造用粉末)に、熱球形化処理を施した。熱球形化処理は、熱球形化装置(日本ニューマチック社製、SFS3型)を用いて行った。熱球形化処理時における雰囲気の温度は、300℃とした。その後、熱球形化処理を施した粉末100重量部に対し、シリカ1.2重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナーを得た。最終的に得られたトナーの平均粒径は、8.0μmであった。
【0162】
(比較例3)
トナー製造用の原料として、ポリエステルA:100重量部、銅フタロシアニン顔料:5重量部、サリチル酸クロム錯体:1重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
【0163】
(比較例4)
前記比較例3と同様にして得られた粉砕物を、気流分流機で分級した。
【0164】
その後、分級により得られた粉末(トナー製造用粉末)に、熱球形化処理を施した。熱球形化処理は、熱球形化装置(日本ニューマチック社製、SFS3型)を用いて行った。熱球形化処理時における雰囲気の温度は、300℃とした。その後、熱球形化処理を施した粉末100重量部に対し、シリカ1.2重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナーを得た。最終的に得られたトナーの平均粒径は、8.0μmであった。
【0165】
(比較例5)
トナー製造用の原料として、ポリエステルC:100重量部、銅フタロシアニン顔料:5重量部、サリチル酸クロム錯体:1重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
【0166】
(比較例6)
前記比較例5と同様にして得られた粉砕物を、気流分流機で分級した。
【0167】
その後、分級により得られた粉末(トナー製造用粉末)に、熱球形化処理を施した。熱球形化処理は、熱球形化装置(日本ニューマチック社製、SFS3型)を用いて行った。熱球形化処理時における雰囲気の温度は、300℃とした。その後、熱球形化処理を施した粉末100重量部に対し、シリカ1.2重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナーを得た。最終的に得られたトナーの平均粒径は、8.0μmであった。
【0168】
(比較例7)
トナー製造用の原料として、ポリエステルA:100重量部、カルバウナワックス(エステル系ワックス):15重量部、着色剤として銅フタロシアニン顔料:5重量部、帯電制御剤としてサリチル酸クロム錯体:1重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
【0169】
(比較例8)
前記比較例7と同様にして得られた粉砕物を、気流分流機で分級した。
【0170】
その後、分級により得られた粉末(トナー製造用粉末)に、熱球形化処理を施した。熱球形化処理は、熱球形化装置(日本ニューマチック社製、SFS3型)を用いて行った。熱球形化処理時における雰囲気の温度は、300℃とした。その後、熱球形化処理を施した粉末100重量部に対し、シリカ1.2重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナーを得た。最終的に得られたトナーの平均粒径は、8.0μmであった。
【0171】
トナーの製造に用いた原料およびトナーの条件を表2にまとめて示す。なお、表2中、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルC、ポリエステルDは、それぞれ、PES−A、PES−B、PES−C、PES−Dで示し、スチレンアクリル樹脂は、StAcで示し、帯電制御剤は、CCAで示した。
【0172】
【表2】
【0173】
[3]評価
以上のようにして得られた各トナーについて、トナー粒子の平均円形度、転写効率、定着温度領域、耐久性、カブリの評価を行った。
【0174】
[3.1]トナー粒子の平均円形度
前記各実施例および前記各比較例で製造したトナーについて、平均円形度Rの測定を行った。円形度の測定は、フロー式粒子像解析装置(シスメックス(株)製、FPIA−2000)を用いて、水分散系で行った。ただし、円形度Rは、下記式(I)で表されるものとする。
【0175】
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
【0176】
[3.2]転写効率の測定
前記各実施例および前記各比較例で製造したトナーを、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−3000C)のカートリッジに詰め替え、評価用パターンをカラーレーザー用プリンタ用紙(セイコーエプソン社製、上質普通紙)に印刷した。感光体への現像工程直後(転写前)の感光体上のトナー重量と、転写後(印刷後)の感光体上のトナー重量との比率を、転写効率として求めた。
【0177】
[3.3]定着温度領域
前記各実施例および前記各比較例で製造したトナーを、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−3000C)のカートリッジに詰め替えた。定着器の定着ロールの温度を種々変更し、評価用パターンをカラーレーザー用プリンタ用紙(セイコーエプソン社製、上質普通紙)に印刷した。用紙に印刷された印刷パターンにオフセットが生じない温度領域の温度幅を定着温度領域とした。
【0178】
[3.4]耐久性
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーを、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製:LP−3000C)のカートリッジに詰め替えて、5000枚ランニングした。4901〜5000枚目の印刷物について、これらの画像を、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:画像に筋、乱れが全く認められないもの。
○:画像に筋、乱れがほとんど認められないもの。
△:画像に筋、乱れが若干認められるもの。
×:画像に筋、乱れが明らかに認められるもの。
【0179】
[3.5]カブリ
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーを、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製:LP−3000C)のカートリッジに詰め替えて、5000枚ランニングした。4901〜5000枚目の印刷物について、これらの画像を、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:カブリが全く認められないもの。
○:カブリがほとんど認められないもの。
△:カブリが若干認められるもの。
×:カブリが明らかに認められるもの。
これらの結果を表3にまとめて示した。
【0180】
【表3】
【0181】
表3から明らかなように、本発明のトナーは、いずれも、転写効率および耐久性に優れたものであった。また、幅広い温度領域で、良好な定着性が得られ、オフセット等の悪影響の発生が効果的に防止された。特に、熱球形化処理を施したトナーや、第2のポリエステル樹脂の含有量が好ましい範囲のトナーでは、極めて良好な結果が得られた。また、少量のワックスを加えることにより、転写効率がさらに優れたものになっていることがわかる。
また、本発明の印刷物では、いずれも、カブリやオフセット等の発生が認められず、極めて鮮明な印刷パターンが形成されたものであった。
また、本発明の印刷物の印刷部位の上に、ボールペン、蛍光ペンを用いて書き込みを行った。その結果、カスレ等を生じることなく、鮮明な書き込みを容易に行うことができた。
【0182】
これに対して、比較例で得られたトナーは、転写効率に劣っていた。中でも、熱球形化処理を施さなかった比較例1、3、5、7のトナーは、特に転写効率が低かった。
また、比較例6のトナーは、転写効率については比較的高かったが、定着温度領域が極めて狭く、耐久性も非常に低かった。
また、比較例7、8で得られたトナーは、トナー粒子の表面に多量のワックスがしみ出しており、トナーの転写効率は極めて低いものであった。
また、比較例のトナーを用いて印刷して得られた印刷物は、カブリやオフセット等が顕著に発生していた。
【0183】
また、着色剤として、銅フタロシアニン顔料に代わり、ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントイエロー93、カーボンブラックを用いた以外は、前記各実施例および前記各比較例と同様にして、トナーを作製し、これらの各トナーについても前記と同様の評価を行った。その結果、前記各実施例および前記各比較例と同様の結果が得られた。
【0184】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、転写効率、耐久性に優れたトナーを提供することができ、また、カブリ、オフセット等の少ない鮮明な印刷物を提供することができる。
【0185】
このような効果は、第1のポリエステル樹脂、第2のポリエステル樹脂の組成や、これらの配合比等を調整することにより、さらに優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のトナーの製造方法に用いる混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図である。
【図2】 第2のポリエステル樹脂について示差走査熱量分析を行ったときに得られる、第2のポリエステル樹脂の融点付近での示差走査熱量分析曲線のモデル図である。
【符号の説明】
1……混練機 2……プロセス部 21……バレル 22、23……スクリュー 24……固定部材 3……ヘッド部 31……内部空間 32……押出口 33……横断面積漸減部 4……フィーダー 5……原料 6……冷却機 61、62、63、64……ロール 611、621、631、641……回転軸 65、66……ベルト 67……排出部 7……混練物
Claims (33)
- 樹脂と、着色剤とを含む原料を混練して得られる混練物を用いてトナーを製造するトナーの製造方法であって、
前記樹脂が、少なくとも、第1のポリエステル樹脂と、該第1のポリエステル樹脂とは異なる第2のポリエステル樹脂とを含むものであり、
前記第1のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ1、前記第2のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ2、前記第1のポリエステル樹脂の軟化点をTs1[℃]、前記第2のポリエステル樹脂の軟化点をTs2[℃]としたとき、μ1>μ2およびTs1>Ts2の関係を満足することを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記混練物を粉砕して得られるトナー製造用粉末を加熱して熱球形化する熱球形化工程を有する請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記熱球形化工程時における雰囲気の温度は、150〜500℃である請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
- 前記熱球形化工程により、下記式(I)で表される、前記トナーの平均円形度Rを0.92以上にする請求項2または3に記載のトナーの製造方法。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。) - 前記原料の温度が50〜300℃となるようにして、前記混練を行う請求項1ないし4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記原料中における、前記第1のポリエステル樹脂の含有量をC1[wt%]、前記第2のポリエステル樹脂の含有量をC2[wt%]としたとき、C1>C2の関係を満足する請求項1ないし5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記原料中における前記第1のポリエステル樹脂の含有量が、50〜99wt%である請求項1ないし6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記第1のポリエステル樹脂の軟化点は、50〜300℃である請求項1ないし7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記原料中における前記第2のポリエステル樹脂の含有量が、1〜50wt%である請求項1ないし8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記第2のポリエステル樹脂の軟化点は、40〜200℃である請求項1ないし9のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記第2のポリエステル樹脂は、酸性分として脂肪族カルボン酸を含むものである請求項1ないし10のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記第2のポリエステル樹脂は、アルコール成分として脂肪族アルコールを含むものである請求項1ないし11のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記第2のポリエステル樹脂は、リニア型ポリマーである請求項1ないし12のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記第2のポリエステル樹脂は、示差走査熱量分析による融点の吸熱ピークの測定を行ったときのピークの中心値をTmp[℃]、ショルダーピーク値をTms[℃]としたとき、Tmp−Tms≦30[℃]の関係を満足する請求項1ないし13のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 平均粒径が2〜20μmである請求項1ないし14のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記原料中におけるワックスの含有量が20wt%以下である請求項1ないし15のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 樹脂と、着色剤とを含む原料で構成されたトナーであって、
前記樹脂が、少なくとも、第1のポリエステル樹脂と、該第1のポリエステル樹脂とは異なる第2のポリエステル樹脂とを含むものであり、
前記第1のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ1、前記第2のポリエステル樹脂の静止摩擦係数をμ2、前記第1のポリエステル樹脂の軟化点をTs1[℃]、前記第2のポリエステル樹脂の軟化点をTs2[℃]としたとき、μ1>μ2およびTs1>Ts2の関係を満足することを特徴とするトナー。 - 前記第1のポリエステル樹脂の含有量をC1[wt%]、前記第2のポリエステル樹脂の含有量をC2[wt%]としたとき、C1>C2の関係を満足する請求項17に記載のトナー。
- 前記第1のポリエステル樹脂の含有量が、50〜99wt%である請求項17または18に記載のトナー。
- 前記第1のポリエステル樹脂の軟化点は、50〜300℃である請求項17ないし19のいずれかに記載のトナー。
- 前記第2のポリエステル樹脂の含有量が、1〜50wt%である請求項17ないし20のいずれかに記載のトナー。
- 前記第2のポリエステル樹脂の軟化点は、40〜200℃である請求項17ないし21のいずれかに記載のトナー。
- 前記第2のポリエステル樹脂は、酸性分として脂肪族カルボン酸を含むものである請求項17ないし22のいずれかに記載のトナー。
- 前記第2のポリエステル樹脂は、アルコール成分として脂肪族アルコールを含むものである請求項17ないし23のいずれかに記載のトナー。
- 前記第2のポリエステル樹脂は、リニア型ポリマーである請求項17ないし24のいずれかに記載のトナー。
- 前記第2のポリエステル樹脂は、示差走査熱量分析による融点の吸熱ピークの測定を行ったときのピークの中心値をTmp[℃]、ショルダーピーク値をTms[℃]としたとき、Tmp−Tms≦30[℃]の関係を満足する請求項17ないし25のいずれかに記載のトナー。
- 熱球形化処理により球形化された請求項17ないし26のいずれかに記載のトナー。
- 下記式(I)で表される平均円形度Rが0.92以上である請求項17ないし27のいずれかに記載のトナー。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。) - 平均粒径が2〜20μmである請求項17ないし28のいずれかに記載のトナー。
- ワックスの含有量が20wt%以下である請求項17ないし29のいずれかに記載のトナー。
- 請求項1ないし16のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とするトナー。
- 請求項1ないし16のいずれかに記載の方法で製造されたトナーを用いて印刷されたことを特徴とする印刷物。
- 請求項17ないし31のいずれかに記載のトナーを用いて印刷されたことを特徴とする印刷物。
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