JP4028445B2 - 金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法に関し、特に、パワーモジュールなどに使用される金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パワーモジュールなどに使用される絶縁基板として、金属回路板をセラミックス基板に接合した金属−セラミックス接合回路基板が用いられている。このような金属−セラミックス接合回路基板に半導体チップを搭載してパワーモジュールなどに組み込む場合には、金属回路板の一部に端子を半田付けすることによって電源との導通を確保している。このようなパワーモジュールなどでは、電源のオン・オフなどにより端子接続部とその他の部分との間に温度差が生じ、この温度差が長時間にわたって繰り返し生じると、金属回路板とセラミックス基板との間の熱膨張差によってセラミックス基板にクラックが生じるおそれがある。特に、セラミックス基板として窒化アルミニウム基板を使用する場合には、他のセラミックス基板に比べて機械的強度が低いために、セラミックス基板にクラックが生じ易い。また、電源のオン・オフによって端子が移動するため、金属−セラミックス接合回路基板に機械的な応力も加えられる。これらの温度差による熱応力や機械的な応力がさらに長時間加えられると、セラミックス基板のクラックの部分から破壊し、金属回路板がセラミックス基板から剥離して、パワーモジュールなどの熱抵抗が上昇したり、動作不良を招くなどの問題があった。
【0003】
このような問題を解決するため、金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間に間隙を設けることによって、上述した熱応力や機械的な応力を緩和するセラミックス回路基板(例えば、特許文献1参照)や、金属回路板の端子接続部以外の部分で金属回路板をセラミックス基板に接合して、端子接続部がセラミックス基板と接合しないようにすることによって、上述した熱応力や機械的な応力を緩和する回路基板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−5763号公報(段落番号0008−0009)
【特許文献2】
特開平7−94623号公報(段落番号0011−0012)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1および2に開示された回路基板のように、端子接続部とセラミックス基板との間に接合しない部分を設けると、この部分が浮き上がって、製造工程においてレジストの印刷や部品の搭載を容易に行うことができなくなる可能性がある。また、ワイヤボンディングの際に超音波エネルギーが発散し、接続不良になる可能性もある。また、金属回路板をセラミックス基板に接合する接合部と非接合部との間の界面に大きな熱応力が生じるため、この大きな熱応力によって、セラミックス基板にクラックが生じたり、金属回路板が剥がれたりすると、回路基板の絶縁性を維持することができなくなる可能性もある。さらに、浮き上がった部分が生じたまま、めっきやエッチングなどの薬液処理を行うと、浮き上がった部分に処理液が残り、乾いた後に汚れがしみ出てきたり、電気抵抗が劣化する場合もある。
【0006】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、端子接続部の浮き上がりやワイヤボンディングの際の超音波エネルギーの発散を抑制することができ、熱応力をさらに緩和することができ、過剰な応力が生じた場合にも金属回路板がセラミックス基板から剥がれるのを最小限に抑えることができる、金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、金属−セラミックス接合回路基板の金属回路板の端子接続部とセラミックス基板の間の接合強度を端子接続部以外の部分の接合強度より弱くすることにより、端子接続部の浮き上がりやワイヤボンディングの際の超音波エネルギーの発散を抑制することができ、熱応力をさらに緩和することができ、過剰な応力が生じた場合にも接合強度の弱い部分を応力開始起点として損傷を最小限に抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明による金属−セラミックス接合回路基板は、セラミックス基板上の少なくとも一方の面に金属回路板が接合されたセラミックス回路基板において、金属回路板に端子を接続する領域に略対応する金属回路板の端子接続部が、金属回路板の端子接続部以外の部分より低い接合強度でセラミックス基板に接合されていることを特徴とする。
【0009】
この金属−セラミックス接合回路基板において、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間にろう材が配置され、このろう材より金属回路板とセラミックス基板との間の接合強度を低くするろう材が、金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間に配置されているのが好ましい。
【0010】
あるいは、上記の金属−セラミックス接合回路基板において、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間にろう材が配置され、金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間には、点状、線状、格子状またはこれらの組合せの部分にろう材が配置されるように構成してもよい。また、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間にろう材が配置され、金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間には、点状、線状、格子状またはこれらの組合せ以外の部分にろう材が配置されるように構成してもよい。これらの場合、金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間に配置されているろう材の成分を、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間に配置されているろう材の成分と同一の成分にするのが好ましい。
【0011】
また、上記の金属−セラミックス接合回路基板において、セラミックス基板の主成分が、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素および炭化珪素からなる群から選ばれるセラミックスであり、金属回路板が、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1つの金属からなるのが好ましい。
【0012】
また、本発明による金属−セラミックス接合回路基板の製造方法は、セラミックス基板上の少なくとも一方の面に金属回路板が接合されたセラミックス回路基板の製造方法において、金属回路板に端子を接続する領域に略対応する金属回路板の端子接続部が、金属回路板の端子接続部以外の部分より低い接合強度でセラミックス基板に接合されるように、金属回路板をセラミックス基板に接合することを特徴とする。
【0013】
この金属−セラミックス接合回路基板の製造方法において、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間にろう材を配置させ、このろう材より金属回路板とセラミックス基板との間の接合強度を低くするろう材を、金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間に配置させるのが好ましい。
【0014】
あるいは、上記の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法において、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間にろう材を配置させ、金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間には、点状、線状、格子状またはこれらの組合せの部分にろう材を配置させてもよい。また、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間にろう材を配置させ、金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間には、点状、線状、格子状またはこれらの組合せ以外の部分にろう材を配置させてもよい。これらの場合、金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間に配置させるろう材が、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間に配置させるろう材と同一の成分であるのが好ましい。
【0015】
また、上記の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法において、ろう材を、印刷、めっき、スパッタリング、蒸着、酸化処理または積層挿入の少なくとも一つ以上の方法により、セラミックス基板上に形成するのが好ましい。また、セラミックス基板の主成分が、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素および炭化珪素からなる群から選ばれるセラミックスであり、金属回路板が、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1つの金属からなるのが好ましい。
【0016】
さらに、本発明によるパワーモジュールは、上記のいずれかの金属−セラミックス接合基板を用いることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明による金属−セラミックス接合回路基板の製造方法の実施の形態について説明する。
【0018】
まず、図1(a)に示すように、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素または炭化珪素を主成分とするセラミックス基板10を用意する。
【0019】
次に、図1(b)に示すように、スクリーン印刷などによって、セラミックス基板10の両面に、例えば、図4(a)、図4(b)または図4(c)に示すようなパターンになるようにろう材12を配置させる。
【0020】
すなわち、図4(a)に示すように、ろう材12が点状に配置されるろう材点状配置領域12aと、ろう材12が全面に配置されるろう材全面配置領域12bとを形成するように、ろう材12を配置させる。なお、ろう材点状配置領域12aにおけるろう材12が配置される部分の形状は、点状、線状、格子状またはこれらの組み合わせのいずれでもよい。
【0021】
あるいは、図4(b)に示すように、ろう材12中の活性金属の濃度が低い活性金属低濃度領域12cと、ろう材12中の活性金属の濃度が活性金属低濃度領域12cより高い活性金属高濃度領域12dとを形成するように、ろう材12を配置させる。なお、活性金属の濃度が高い領域が必ずしも接合強度が高くなるとは限らないが、便宜上、接合強度が高い領域とする。
【0022】
あるいは、図4(c)に示すように、ろう材12が点状部分以外に配置されるろう材点状非配置領域12eと、ろう材12が全面に配置されるろう材全面配置領域12fとを形成するように、ろう材12を配置させる。なお、ろう材点状非配置領域12eにおけるろう材12が配置されない部分の形状は、点状、線状、格子状またはこれらの組み合わせのいずれでもよい。
【0023】
なお、本発明において、ろう材点状配置領域12a、活性金属低濃度領域12cまたはろう材点状非配置領域12eは、接合強度が低い領域(端子接続部)を形成し、この領域またはこの領域の近傍に端子が接続される。また、ろう材全面配置領域12b、活性金属高濃度領域12dまたはろう材全面配置領域12fは、接合強度が低い部分より接合強度が高い領域を形成する。なお、後述する本発明による効果を得るためには、接合強度が低い領域において90°ピール強度が2〜10kg/cm程度になるのが好ましい。
【0024】
なお、図4(a)および図4(c)の場合、ろう材12が配置される部分および配置されない部分の形状を点状、線状、格子状またはこれらの組み合わせとしたのは、設計上これらの形状に配置させ易いからであり、接合強度が低い領域を形成することができれば、三角形や四角形などの点や曲線などのどのような形状でもよい。また、上記の形状にろう材を配置させても、ろう材が溶けて初期の配置形状にならない場合もあるが、接合強度が低い領域を形成することができればよい。ろう材がどのように配置されているかは、例えば、後述するようにセラミックス基板10に銅板またはアルミニウム板を金属板14として接合した場合には、塩化第二鉄のような薬液で銅板またはアルミニウム板を除去することにより、活性金属層があった部分、すなわち、ろう材によって接合していた部分が残り、この部分によって確認することができる。
【0025】
また、図4(a)および図4(c)に示すようにろう材を所定の形状に配置させて接合強度が低い領域を形成する場合には、ろう材が配置された部分の面積(接合面積)が小さくなると接合強度が低くなる。この接合面積は、接合強度が低い領域(端子接続部)の面積の好ましくは1〜50%、さらに好ましくは1〜30%である。
【0026】
次に、図1(c)に示すように、ろう材12の両側に、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金の少なくとも1つからなる金属板14を配置させ、真空炉中で接合する。
【0027】
得られた接合体を真空炉から取り出した後、図2(a)に示すように、両側の金属板14の表面に所望のパターンのレジスト16を塗布し、エッチング液により金属板14の不要部分を除去し、その後、図2(b)に示すように、薬液によりレジスト16を除去して回路を形成する。
【0028】
次に、図3(a)に示すように、パターン間に残留するろう材12を除去した後、水洗し、乾燥する。その後、図3(b)に示すように、金属板14の表面にNi−P無電解めっき18を施す。
【0029】
このようにして製造した金属−セラミックス接合回路基板は、パワーモジュール用のセラミックス回路基板や、半導体実装用のセラミックス回路基板として使用することができる。例えば、上記の金属−セラミックス接合回路基板を用いて、Siチップなどの半導体チップの半田付け、アルミワイヤのボンディングなどによる配線、プラスチックパッケージの接着などのアセンブリ工程を経て、信頼性の高いパワーモジュールを得ることができる。
【0030】
なお、本発明では、このように接合強度が低い部分と高い部分を形成することができれば、ろう材12を介して金属板14をセラミックス基板10に接合するろう接法のみならず、金属板14をセラミックス基板10に直接接合する直接接合法によって金属板14をセラミックス基板14に接合してもよい。また、接合強度が低い部分と高い部分を形成する方法は、印刷法、薄膜を挟み込むインサート法、めっき、スパッタ、蒸着などの様々な方法を利用することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明による金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0032】
[実施例1]
金属成分が92Ag−6Cu−2Ti(重量%)になるように金属粉を秤量し、この金属粉に約7%のアクリル系のビヒクルを加え、乳鉢や3本ロールミルなどにより通常の方法で混錬して、ペースト状のろう材を作製した。
【0033】
次に、スクリーン印刷によって窒化アルミニウム基板の両面にろう材を図4(a)に示すパターンに配置させた。本実施例では、図4(a)のろう材点状配置領域において、各点状ろう材の直径が約0.8mm、隣接する点状ろう材の間隔が約0.6mmになるようにろう材を配置させた。
【0034】
次に、表面側のろう材上に厚さ0.3mmの銅板を配置させるとともに裏面側のろう材上に厚さ0.15mmの銅板を配置させ、真空炉中において850℃で窒化アルミニウム基板と銅板を接合した。
【0035】
その後、得られた接合体を真空炉から取り出し、接合した両側の銅板の表面に所望の回路パターンのレジストインクを塗布し、塩化第2銅と塩酸と過酸化水素水の混合液により、銅板の不要部分を除去した後、アルカリ薬液によりレジストを除去して回路を形成した。
【0036】
次に、回路パターン間に残留するろう材を除去し、水洗し、乾燥した後、銅板の表面にNi−P無電解めっきを施した。
【0037】
このようにして得られた金属−セラミックス接合回路基板について、半田レジスト印刷の際にかすれなどの不具合はなく、ワイヤボンディング性も良好であり、100回のヒートサイクル後にも端子接続部が優先的に剥離して、回路基板の致命的な損傷はなかった。
【0038】
[実施例2]
各点状ろう材の直径を約0.4mmとした以外は実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合回路基板を作製した。この実施例の金属−セラミックス接合回路基板についても、半田レジスト印刷の際にかすれなどの不具合はなく、ワイヤボンディング性も良好であり、100回のヒートサイクル後にも端子接続部が優先的に剥離して、回路基板の致命的な損傷はなかった。
【0039】
[実施例3]
各点状ろう材の直径を約0.1mmとした以外は実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合回路基板を作製した。この実施例の金属−セラミックス接合回路基板についても、半田レジスト印刷の際にかすれなどの不具合はなく、ワイヤボンディング性も良好であり、100回のヒートサイクル後にも端子接続部が優先的に剥離して、回路基板の致命的な損傷はなかった。
【0040】
[実施例4]
各点状ろう材の直径を約0.2mmとし、隣接する点状ろう材の間隔を約0.3mmとした以外は実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合回路基板を作製した。この実施例の金属−セラミックス接合回路基板についても、半田レジスト印刷の際にかすれなどの不具合はなく、ワイヤボンディング性も良好であり、100回のヒートサイクル後にも端子接続部が優先的に剥離して、回路基板の致命的な損傷はなかった。
【0041】
[実施例5]
各点状ろう材の直径を約0.1mmとし、隣接する点状ろう材の間隔を約0.3mmとした以外は実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合回路基板を作製した。この実施例の金属−セラミックス接合回路基板についても、半田レジスト印刷の際にかすれなどの不具合はなく、ワイヤボンディング性も良好であり、100回のヒートサイクル後にも端子接続部が優先的に剥離して、回路基板の致命的な損傷はなかった。
【0042】
[実施例6]
各点状ろう材の直径を約0.1mmとし、隣接する点状ろう材の間隔を約0.15mmとした以外は実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合回路基板を作製した。この実施例の金属−セラミックス接合回路基板についても、半田レジスト印刷の際にかすれなどの不具合はなく、ワイヤボンディング性も良好であり、100回のヒートサイクル後にも端子接続部が優先的に剥離して、回路基板の致命的な損傷はなかった。
【0043】
[比較例]
スクリーン印刷によってろう材を図5に示すようなパターン(図5において、12gはろう材が配置されない領域を示し、12hはろう材が全面に配置される領域を示す)で配置させた以外は実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合回路基板を作製した。
【0044】
得られたサンプルついて、半田レジスト印刷の際にかすれの不具合が数%見られ、ワイヤボンディング性が悪く、100回のヒートサイクル後に銅回路板の端子接続部以外の部分が剥離し、クラックが生じて、回路基板の致命的な損傷が生じた。
【0045】
[実施例7]
金属成分が71Ag−27Cu−2Ti(重量%)になるように金属粉を秤量し、この金属粉に約7%のアクリル系のビヒクルを加え、乳鉢や3本ロールミルなどにより通常の方法で混錬して、ペースト状の第1のろう材を作製した。同様に、金属成分が72Ag−27Cu−1Ti(重量%)になるように金属粉を秤量し、この金属粉に約7%のアクリル系のビヒクルを加え、乳鉢や3本ロールミルなどにより通常の方法で混錬して、第1のろう材よりセラミックス基板との接合強度が弱いペースト状の第2のろう材を作製した。
【0046】
次に、第1および第2のろう材を、スクリーン印刷によってそれぞれ窒化アルミニウム基板の両面に図4(b)に示すパターンに形成した。
【0047】
次に、表面側のろう材上に厚さ0.3mmの銅板を配置させるとともに裏面側のろう材上に厚さ0.15mmの銅板を配置させ、真空炉中において850℃で窒化アルミニウム基板と銅板を接合した。
【0048】
その後、得られた接合体を真空炉中から取り出し、接合した両側の銅板の表面に所望の回路パターンのレジストインクを塗布し、塩化第2銅と塩酸と過酸化水素水の混合液により、銅板の不要部分を除去し、アルカリ薬液によりレジストを除去して回路を形成した。
【0049】
次に、回路パターン間に残留するろう材を除去し、水洗し、乾燥した後、銅板の表面にNi−P無電解めっきを施した。
【0050】
このようにして得られた金属−セラミックス接合回路基板について、半田レジスト印刷の際にかすれなどの不具合はなく、ワイヤボンディング性も良好であり、100回のヒートサイクル後にも端子接続部が優先的に剥離して、回路基板の致命的な損傷はなかった。
【0051】
[実施例8]
ろう材を図4(c)に示すパターンに配置させ、ろう材を配置しない点状の部分の直径を約0.7mmとし、隣接する点状の部分の間隔を約0.3mmとした以外は実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合回路基板を作製した。この実施例の金属−セラミックス接合回路基板についても、半田レジスト印刷の際にかすれなどの不具合はなく、ワイヤボンディング性も良好であり、100回のヒートサイクル後にも端子接続部が優先的に剥離して、回路基板の致命的な損傷はなかった。
【0052】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、端子接続部の浮き上がりやワイヤボンディングの際の超音波エネルギーの発散を抑制することができ、熱応力をさらに緩和することができ、過剰な応力が生じた場合にも金属回路板がセラミックス基板から剥がれるのを最小限に抑えることができる、金属−セラミックス接合回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による金属−セラミックス接合回路基板の実施の形態の製造工程を示す断面図。
【図2】本発明による金属−セラミックス接合回路基板の実施の形態の製造工程を示す断面図。
【図3】本発明による金属−セラミックス接合回路基板の実施の形態の製造工程を示す断面図。
【図4】本発明による金属−セラミックス接合回路基板の実施の形態においてろう材の配置を示す平面図。
【図5】比較例におけるろう材の配置を示す平面図。
【符号の説明】
10 セラミックス基板
12 ろう材
12a ろう材点状配置領域(端子接続部)
12b ろう材全面配置領域
12c 活性金属低濃度領域(端子接続部)
12d 活性金属高濃度領域
12e ろう材点状非配置領域(端子接続部)
12f ろう材全面配置領域
14 金属板
16 レジスト
18 Ni−P無電解めっき
Claims (10)
- セラミックス基板上の少なくとも一方の面にろう材を介して金属回路板が接合されたセラミックス回路基板において、金属回路板に端子を接続する領域に略対応する金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間の点状、線状、格子状またはこれらの組合せの部分に、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間に配置されているろう材と同一の成分のろう材が配置されることにより、金属回路板の端子接続部が、金属回路板の端子接続部以外の部分より低い接合強度でセラミックス基板に接合されていることを特徴とする、金属−セラミックス接合回路基板。
- セラミックス基板上の少なくとも一方の面にろう材を介して金属回路板が接合されたセラミックス回路基板において、金属回路板に端子を接続する領域に略対応する金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間の点状、線状、格子状またはこれらの組合せ以外の部分に、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間に配置されているろう材と同一の成分のろう材が配置されることにより、金属回路板の端子接続部が、金属回路板の端子接続部以外の部分より低い接合強度でセラミックス基板に接合されていることを特徴とする、金属−セラミックス接合回路基板。
- 前記セラミックス基板の主成分が、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素および炭化珪素からなる群から選ばれるセラミックスであることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属−セラミックス接合回路基板。
- 前記金属回路板が、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1つの金属からなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板。
- セラミックス基板上の少なくとも一方の面にろう材を介して金属回路板が接合されたセラミックス回路基板の製造方法において、金属回路板に端子を接続する領域に略対応する金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間の点状、線状、格子状またはこれらの組合せの部分に、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間に配置させるろう材と同一の成分のろう材を配置させることにより、金属回路板の端子接続部が、金属回路板の端子接続部以外の部分より低い接合強度でセラミックス基板に接合されるように、金属回路板をセラミックス基板に接合することを特徴とする、金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
- セラミックス基板上の少なくとも一方の面にろう材を介して金属回路板が接合されたセラミックス回路基板の製造方法において、金属回路板に端子を接続する領域に略対応する金属回路板の端子接続部とセラミックス基板との間の点状、線状、格子状またはこれらの組合せ以外の部分に、金属回路板の端子接続部以外の部分とセラミックス基板との間に配置させるろう材と同一の成分のろう材を配置させることにより、金属回路板の端子接続部が、金属回路板の端子接続部以外の部分より低い接合強度でセラミックス基板に接合されるように、金属回路板をセラミックス基板に接合することを特徴とする、金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
- 前記ろう材を、印刷、めっき、スパッタリング、蒸着、酸化処理または積層挿入の少なくとも一つ以上の方法により、前記セラミックス基板上に形成することを特徴とする、請求項5または6に記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
- 前記セラミックス基板の主成分が、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素および炭化珪素からなる群から選ばれるセラミックスであることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
- 前記金属回路板が、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1つの金属からなることを特徴とする、請求項5乃至8のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板を用いたパワーモジュール。
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