JP4027719B2 - カラー階調画像の階調再現装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーの階調画像を2値に変換する2値化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラープリンタにおいて、各インクの色の画素をドットのON/OFF、すなわち2値で表現する方式のプリンタがある。例えば電子写真方式やインクジェット方式のカラープリンタである。これらのプリンタは通常シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のインクを用いる。これらの3種類の色を重ね合わせることにより、C+Mでは赤(R)、C+Yでは緑(G)、Y+Mでは青(B)、C+M+Yでは黒(K)のドットを作り出すことができる。これらの色のドットを用紙上に適切に配置することにより、観察者の目において各ドットの色の混色が起こり、上記のドットの色そのものではない中間的な色が再現できる。
【0003】
一方、コンピュータ上で扱われる自然画像やコンピュータグラフィックによる画像の多くは連続的な階調データを持ったものが多い。これらは、まずRGBやCMYのような原色のデータから構成され、各原色のデータは連続的な値からなっている。具体的には、各原色のデータが1画素につき8ビットが使われているとすると、この画素は0から255までの256とおりの値を取り得ることになる。
【0004】
上記2値のプリンタでこのような画像をプリントしようとすると、各インク色に対し256とおりの値をON/OFFの2値に変換、すなわち2値化する必要がある。2値化処理は単純には例えば0と255の中間値の128を閾値として、これとの大小関係でドットのON/OFFを決めることもできる。しかし、このような単純な方法では元の画像の連続的な階調を再現することはできず、連続的な階調の多い自然画像などではかなり見劣りのする結果となってしまう。
【0005】
そこで、2値化していながら連続的な階調もそれなりに再現できる擬似中間調処理が使われている。これはドットの配置を工夫することにより、連続的な階調を擬似的に再現する手法である。
【0006】
また、連続階調画像データを2値化する方法としては、組織的ディザ法が知られている。組織的ディザ法とは連続階調画像データを2値化する際、画素の値と閾値マトリクスの有する閾値と大小を比較して、各画素に対するドットのON/OFFを決める手法である。組織的ディザ法を用いることにより、各画素のドットがON/OFFの2値しか取れないようなプリンタにおいても、擬似的に中間の階調を表現することが可能となる。図3は組織的ディザ法を用いた疑似中間調処理を行うためのブロック図である。2値化処理手段6と閾値マトリクス保持手段7とからなる。2値化処理手段6は、入力画像データに対し上記閾値マトリクス保持手段7に保持される閾値マトリクスを参照、比較することによりドットのON/OFFを決め、2値化処理を行う。
【0007】
組織的ディザ法では、閾値マトリクスと呼ばれるデータを用いる。図4は従来の組織的ディザ法による2値化の概念を示す説明図である。図4において、(a)は原画像データ、(b)はディザマトリクス、(c)は2値化結果である。ここでは、8ビットデータを想定し、データの値を0〜255とする。まず閾値マトリクスには、予め閾値マトリクス要素配置順が決められており、各要素に2値化を行う閾値を配置する。図4(a)のような入力画像に対し、(b)のように1画素ずつ順次閾値マトリクスを対応させ、対応する位置の閾値で2値化する。すなわち、画像データの値の方が閾値より小さければ2値化結果をオフに、画像データの値の方が閾値より大きければ2値化結果をオンにする。その結果、図4(c)のような2値化結果が得られる。
【0008】
ここで閾値マトリクスについて説明する。ここでは一般的によく用いられる4×4のマトリクスを例に挙げて説明する。図5は、閾値のレベルを示す説明図である。4×4のマトリクスにおいては、ドットのオン・オフの個数の場合分けは17とおりとなる。そこで、17レベルの階調表現が可能となる。入力画像データが8ビットで0〜255までが表現可能な場合、閾値を均等にとると、図5のように画像データのダイナミックレンジをディザマトリクスで表現可能なレベル数で等分割し、それぞれの中間値をとる。つぎに、これらの閾値をマトリクスにどのように配置するか、すなわち閾値マトリクス要素配置順を決める必要がある。ドットの配置順の例としては、図8のようなものがある。図8ではドットがなるべく集中せず全体的に分散していくように配置され、ベイヤー型と言われるものがその代表である。
【0009】
上記閾値マトリクスは4×4に限らず、例えば8×8にすることも可能である。
【0010】
図10は、図8で示したドット分散型の閾値マトリクス要素配置順を8×8のサイズにしたものである。
【0011】
一方、閾値マトリクス要素配置順はドット分散型に限らず、例えばドットがなるべく集中して分布していくようにしたものがある。図9は4×4のサイズのドット集中型の閾値マトリクス要素配置順を示したものである。このような処理により疑似中間調処理が可能である。
【0012】
カラー画像に対しては、上記2値化処理を各色のプレーンごとに行う。例えば、入力画像がCMY画像であれば、C、M、Yの各プレーンに対して上記2値化処理を行い、最後にそれぞれを重ね合わせてカラー画像とする。RGB画像であれば、R、G、Bの各プレーンに対して上記2値化処理を行い、最後にそれぞれを重ね合わせてカラー画像とする。ここで、C、M、Yインクを用いたカラープリンタでプリントを行う際には、例えばR→C、G→M、B→Yのような反転処理を行ってプリントが行われる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、2値プリンタである電子写真方式やインクジェット方式のカラープリンタでは色を再現するのにカラーの原色のトナーやインクを重ね合わせて色を再現するが、上記のような各色プレーンに対して同一の閾値マトリクスを用いて2値化処理を行うと、各色ドットはなるべく重なるように発生するようになる。
【0014】
例えば原画像データがC=M=50%と表現されるような薄い青の場合、CとMの単独のドットは発生せず、CとMとが重なったBのドットのみが分布することになる。
【0015】
しかし、Bのドットのように2つのインクが重なったドットは減法混色により色がにごり、彩度が低下するという傾向があり、なるべく鮮やかに再現したい場合にはCとMが重なったBのドットは減らし、CとMのドットを併置させることにより色再現を行った方がよい。以上は、CとMの場合について説明したが、他の色の組み合わせにおいても同様である。
【0016】
しかし、前述のように異なる色プレーンに対して同一の閾値マトリクスを用いた組織的ディザ法では、各色プレーンに対して同一な2値化処理を行うので、前述の減法混色したドットをなるべく減らすような処理ができないという問題があった。また、これを避ける簡単な方法として閾値マトリクスを90度、あるいは180度回転させ、他の色プレーンの処理に使うという方法があるが、この場合まったく同一の閾値マトリクスを用いる場合よりもドット重なりは少なくなるものの、例えば原画像データがC=M=50%の場合、Cのドット、Mのドット、CとMが重なったBのドットが分布することとなり、必ずしも最適化されているわけではなかった。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記主たる目的を達成するため、カラー階調画像の入力データを閾値マトリクスを参照しながら閾値との大小を比較することにより2値化する組織的ディザ法を用い、複数の色の成分に対するカラー画像データに対し、閾値マトリクスの同一の順番付けに基づいて2値化を行うカラー階調画像の階調再現装置において、多値画像データを閾値を参照しながら2値化する2値化処理手段と、上記2値化処理手段が参照する閾値マトリクスを保持する閾値マトリクス保持手段と、元となる閾値マトリクス要素配置順データを保持する閾値マトリクス位置情報保持手段と、上記閾値マトリクス位置情報保持手段に保持された閾値マトリクスの要素の配置順データの変更情報を保持する閾値マトリクス位置順位情報保持手段と、上記閾値マトリクス保持手段で実際に用いられる閾値そのものを保持する閾値保持手段を有し、
複数の色の成分に対するカラー画像データの2値化に対して、上記閾値マトリクス要素配置順データ変更情報はそれぞれ異なるとともに、関連させて用いるようにした。
【0018】
また、上記マトリクス位置順位情報保持手段の保持する閾値マトリクス要素配置順データ変更情報は、複数の色データに対して、互いにそれぞれの発生するドットの位置の重なりが最小になるように設定されるようにした。
【0019】
さらに、上記マトリクス位置順位情報保持手段の保持する閾値マトリクス要素配置順データ変更情報は、複数の色データに対して、閾値マトリクスの要素の数を色数で割った除数の整数分ずつ、閾値マトリクスの閾値を配置する要素の位置を要素配置順においてずらし、その後順次閾値を要素配置順に基づいて配置された閾値マトリクスを用いて2値化を行うようにした。
【0020】
さらに、上記閾値マトリクス位置情報保持手段の保持する元となる閾値マトリクス要素配置順データは、ドット分散型の閾値マトリクスの要素配置順データであるようにした。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカラー階調画像の2値化方法の実施形態を図を参照しながら説明する。
【0022】
図1〜図2に本発明のカラー階調画像の2値化装置の一実施形態を示している。
【0023】
本実施形態の2値化装置を説明する前に、本実施形態の2値化装置を一部に含む画像処理システムについて述べる。
【0024】
前記画像処理システムは、図2に示すように、ホストコンピュータ1と、前記ホストコンピュータ1に接続されたプリンタ2とを備えている。ここで、ホストコンピュータ1は、原画像のデータをプリンタ2に転送するものである。
【0025】
前記ホストコンピュータ1から転送される原画像のデータとしては、例えば、不図示のイメージスキャナにより読み込んだ画像データ、ホストコンピュータ1の記憶手段に蓄積されている画像データ、またはホストコンピュータ1で人工的に作られたコンピュータグラフィックス等の画像データがある。
【0026】
プリンタ2は、前記ホストコンピュータ1から原画像のデータを入力し、画素ごとに例えば256値(0〜255)等の多階調の画像データ(入力画像データ)に表現する画像データ入力手段3と、前記画像データ入力手段3から転送されてきた画像データを入力し、2値データに変換するものであり、本実施形態の階調再現処理手段4と、前記階調再現処理手段4から出力された2値データに基づいてプリント(階調再現)する2値データプリント手段5とを備えている。2値化処理には、閾値マトリクスを参照して2値化する組織的ディザ法を用いるものとする。
【0027】
図1は本発明による2値化処理の一実施形態を示すブロック図であり、この場合は色データが2種類の場合についてのものであるが、さらに多くの色数には容易に拡張できる。
【0028】
前述のように、2値化処理手段6は閾値マトリクス保持手段7に保持された閾値マトリクスを用いて2値化処理を行う。閾値マトリクス位置情報保持手段8は、元となる閾値マトリクス要素配置順データを保持する。上記閾値マトリクス要素配置順データは、閾値マトリクスの要素の配置の順をデータとして持ち、これにより閾値マトリクスがドット分散型かドット集中型などが決まる。
【0029】
閾値マトリクス位置順位情報保持手段9は上記閾値マトリクス位置情報保持手段に保持された閾値マトリクス要素配置順データの変更情報を保持する。これは閾値マトリクス要素配置順データの順番はそのまま用いるが、開始位置を変える場合などの変更に対応するものである。
【0030】
閾値保持手段10は、図5で説明した、閾値マトリクスの要素の数に応じて決まる閾値そのものを保持する。上記閾値マトリクス位置情報と閾値マトリクス位置順位情報と閾値により最終的な閾値マトリクスが決定し、それにより2値化処理がなされる。
【0031】
また、本発明においては、色データによって上記閾値マトリクス位置順位情報保持手段9の保持する閾値マトリクス要素配置順データを別にすることが可能であり、またそれらを関連させて配置することができる。
【0032】
つぎに本発明による閾値マトリクスの配置について説明する。初めに閾値マトリクスのサイズを4×4とすると、閾値は16とおりある。図6は4×4の閾値マトリクスに対する実際の閾値の一例を示す説明図である。この図に示す値が閾値として2値化を行う際に用いられる。また、図7は8×8の閾値マトリクスに対する実際の閾値の一例を示す説明図である。
【0033】
つぎにこれらの閾値を複数の色に対応して、それぞれのサイズの閾値マトリクスに割り当てる際の閾値位置割り当て順の決め方について説明する。初めに説明を簡単にするために色が2とおりの場合について説明する。この色は例えばCとMである。図11は、本発明の閾値位置割り当て順を示す説明図であり、閾値マトリクスが4×4で、色数が2の場合のものである。これらの色を色1および色2とすると、色1および色2に対する閾値の順番を元の基本となる閾値順番データに対応させたものである。まず色1の閾値位置割り当て順は通常どおり閾値配置位置の1番から順次閾値の最小値から最大値に渡って割り当てる。また色2に対しては、閾値マトリクスの要素が16であり、色数が2であるので、16÷2=8を閾値順をシフトさせる量とする。すると、色1に対して色2の閾値順は図11の表の色2の欄のようになる。すなわち閾値配置位置の8が閾値の最小値に対応し、そこから閾値配置位置の最後まで順次対応させていく。その後は閾値配置位置の最初に戻って循環させ、続きの閾値を対応させ、初めの位置の一つ手前まで一巡して対応づけが終了する。
【0034】
この対応付けを分散型の閾値要素配置順データと組み合わせて用いる例を示す。図15は本発明による階調再現の例を示す説明図である。図15において、(a)は色1に対する閾値配置位置に対応した階調再現パターンである。(b)は色2に対して、上記説明による図11の表の色2の欄の閾値順番データに基づき、用いる閾値は色1と同じであるが閾値マトリクス内の配置位置を変えて用いた場合の階調再現パターンを示す。(c)ではこれらの閾値マトリクスを用いて、CとMの値を大きくしていった場合を示す。CとMは最初はなるべく異なるドットの位置を占めるように面積率を増やしていき、それぞれが50%となったときには、CとMの面積率はそれぞれ50%ずつとなりしかもインクの重なっているドットは存在しない。すなわちドットはなるべく重ならないようにして増えていき、インクの乗らないドットがなくなるまで増える。そしてその後はインクの乗っていない場所はないので、他の色のインクがあるところへ2次色すなわちこの場合はC+MによるBを形成しながら面積率を増やして行き、最後はCとMが一面に分布した状態となる。
【0035】
つぎに閾値マトリクスのサイズが4×4で、色数を4とした場合について説明する。図12は、閾値マトリクスが4×4で、色数が4の場合の本発明の閾値位置割り当て順を示す説明図である。
【0036】
これらの色を色1、色2、色3および色4とすると、色1、色2、色3および色4に対する閾値の順番を元の基本となる閾値順番データに対応させたものである。まず色1の閾値位置割り当て順は通常どおり閾値配置位置の1番から順次閾値の最小値から最大値に渡って割り当てる。また色2に対しては、閾値マトリクスの要素が16であり、色数が4であるので、16÷4=4を閾値順をシフトさせる量とする。すると、色1に対して色2の閾値順は図12の表の色2の欄のようになる。すなわち閾値配置位置の4が閾値の最小値に対応し、そこから閾値配置位置の最後まで順次対応させていく。その後は閾値配置位置の最初に戻って循環させ、続きの閾値を対応させ、初めの位置の一つ手前まで一巡して対応づけが終了する。色3についてはさらに4、すなわち色1に対しては8だけ閾値順をシフトさせる。また、色4については、同様に12だけ閾値順をシフトさせる。
【0037】
図16は、上記の例を分散型の閾値要素配置順データと組み合わせた本発明による階調再現の例を示す説明図である。図16において、(a)は色1に対する閾値配置位置に対応した階調再現パターンである。(b)は色2に対して、上記説明による図12の表の色2の欄の閾値順番データに基づき、用いる閾値は色1と同じであるが閾値マトリクス内の配置位置を変えて用いた場合の階調再現パターンを示す。(c)は同様に色3に対するものであり、(d)は同様に色4に対するものである。(e)ではこれらの閾値マトリクスを用いて、C、M、YおよびKの値を大きくしていった場合を示す。C、M、YおよびKは最初はなるべく異なるドットの位置を占めるように面積率を増やしていき、それぞれが25%となったときには、C、M、YおよびKの面積率はそれぞれ25%ずつとなりしかもインクの重なっているドットは存在しないように分布する。すなわちドットはなるべく重ならないようにして増えていき、インクの乗らないドットがなくなるまで増える。そしてその後は2色のインクだけが重なるように2次色のドットが増えていき各色の面積率が50%まで至る。さらにその後は3色のインクだけが重なるように3次色のドットが増えていき各色の面積率が75%まで至る。さらにその後は各色のドットが発生していない部分にドットが発生し、4次色となって全面にインクが塗布され、各色の面積率が100%となるに至る。
【0038】
つぎに色数が2で、閾値マトリクスのサイズが8×8の場合について説明する。図13は、閾値マトリクスが8×8で、色数が2の場合の本発明の閾値位置割り当て順を示す説明図である。これらの色を色1および色2とすると、色1および色2に対する閾値の順番を元の基本となる閾値順番データに対応させたものである。まず色1の閾値位置割り当て順は通常どおり閾値配置位置の1番から順次閾値の最小値から最大値に渡って割り当てる。また色2に対しては、閾値マトリクスの要素が64であり、色数が2であるので、64÷2=32を閾値順をシフトさせる量とする。すると、色1に対して色2の閾値順は図13の表の色2の欄のようになる。すなわち閾値配置位置の32が閾値の最小値に対応し、そこから閾値配置位置の最後まで順次対応させていく。その後は閾値配置位置の最初に戻って循環させ、続きの閾値を対応させ、初めの位置の一つ手前まで一巡して対応づけが終了する。
【0039】
図17は、上記の例を分散型の閾値要素配置順データと組み合わせた本発明による階調再現の例を示す説明図である。図17において、(a)は色1に対する閾値配置位置に対応した階調再現パターンである。(b)は色2に対して、上記説明による図13の表の色2の欄の閾値順番データに基づき、用いる閾値は色1と同じであるが閾値マトリクス内の配置位置を変えて用いた場合の階調再現パターンを示す。(c)ではこれらの閾値マトリクスを用いて、CとMの値を大きくしていった場合を示す。CとMは最初はなるべく異なるドットの位置を占めるように面積率を増やしていき、それぞれが50%となったときには、CとMの面積率はそれぞれ50%ずつとなりしかもインクの重なっているドットは存在しない。すなわちドットはなるべく重ならないようにして増えていき、インクの乗らないドットがなくなるまで増える。そしてその後はインクの乗っていない場所はないので、他の色のインクがあるところへ2次色すなわちこの場合はC+MによるBを形成しながら面積率を増やして行き、最後はCとMが一面に分布した状態となる。
【0040】
つぎに色数は4で、閾値マトリクスのサイズが8×8の場合について閾値位置割り当て順だけを説明する。図14は、閾値マトリクスが4×4で、色数が4の場合の本発明の閾値位置割り当て順を示す説明図である。これらの色を色1、色2、色3および色4とすると、色1、色2、色3および色4に対する閾値の順番を元の基本となる閾値順番データに対応させたものである。まず色1の閾値位置割り当て順は通常どおり閾値配置位置の1番から順次閾値の最小値から最大値に渡って割り当てる。また色2に対しては、閾値マトリクスの要素が64であり、色数が4であるので、64÷4=16を閾値順をシフトさせる量とする。すると、色1に対して色2の閾値順は図14の表の色2の欄のようになる。すなわち閾値配置位置の16が閾値の最小値に対応し、そこから閾値配置位置の最後まで順次対応させていく。その後は閾値配置位置の最初に戻って循環させ、続きの閾値を対応させ、初めの位置の一つ手前まで一巡して対応づけが終了する。色3についてはさらに16、すなわち色1に対しては32だけ閾値順をシフトさせる。また、色4については、同様に48だけ閾値順をシフトさせる。
【0041】
上記の例を分散型の閾値要素配置順データと組み合わせた本発明による階調再現の例は図示しないが、いままでと同様の結果が得られる。
【0042】
上記では、閾値マトリクス位置情報として、ドット分散型の閾値マトリクスを用いた場合について説明したが、ドット集中型の閾値マトリクスを用いた場合について、閾値マトリクスが4×4で、色数が4の場合を例に取り示す。これらの色を色1および色2とすると、閾値位置割り当て順は、閾値マトリクス位置情報は関係ないため図11と同様となる。
【0043】
この対応付けを集中型の閾値要素配置順データと組み合わせて用いる例を示す。図18は本発明による階調再現の例を示す説明図である。図18において、(a)は色1に対する閾値配置位置に対応した階調再現パターンである。(b)は色2に対して、上記説明による図11の表の色2の欄の閾値順番データに基づき、用いる閾値は色1と同じであるが閾値マトリクス内の配置位置を変えて用いた場合の階調再現パターンを示す。(c)ではこれらの閾値マトリクスを用いて、CとMの値を大きくしていった場合を示す。CとMは最初はなるべく異なるドットの位置を占めるように面積率を増やしていき、それぞれが50%となったときには、CとMの面積率はそれぞれ50%ずつとなりしかもインクの重なっているドットは存在しない。しかし、色1はドットが集中するように面積率が増していくが、色2はドットが集中するようには増えていかない。そこで、ドットの重なり具合だけを見た場合にはよいが、ドットが集中する閾値マトリクスを用いた意味がなくなってしまうという問題がある。そこで、本発明はドット集中型の閾値マトリクスには有効ではない。
【0044】
なお、2値化手法としてFMスクリーンと呼ばれる手法が知られているが、原理的には組織的ディザ法と同じである。FMスクリーンでは、比較的サイズの大きいディザマトリクスを用い、ドットがランダムかつ分散するように配置されるようにマトリクスを作成することに特徴がある。ディザマトリクスのサイズとしては、16×16や32×32などのような比較的小さいサイズだと、繰り返し模様が生じてしまうことから、128×128や256×256のようなかなり大きなサイズの閾値マトリクスが用いられる場合が多い。FMスクリーンも本質的には組織的ディザ法と同じであるので、本発明はFMスクリーンにおいても同様に適用可能である。
【0045】
【発明の効果】
前記本発明のカラー画像再現装置により、各色の入力データに対する2値化処理を関連付けて行うことができ、各色のドットがなるべく重ならないようにドットの配置を行うようにしたので、減法混色による彩度の低下を減らすことができ、より鮮やかなプリントを得ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施形態を示すブロック図である。
【図2】2値化処理を含むフローのブロック図である。
【図3】組織的ディザ法を用いた疑似中間調処理を行うためのブロック図である。
【図4】組織的ディザ法の概念を示す説明図である。
【図5】閾値のレベルを示す説明図である。
【図6】実際の閾値の一例を示す説明図である。
【図7】実際の閾値の一例を示す説明図である。
【図8】ドット分散型閾値マトリクスの配置順の一例を示す説明図である。
【図9】ドット分散型閾値マトリクスの配置順の他の例を示す説明図である。
【図10】ドット集中型閾値マトリクスの配置順の一例を示す説明図である。
【図11】本発明の閾値位置割り当て順を示す説明図である。
【図12】本発明の閾値位置割り当て順を示す説明図である。
【図13】本発明の閾値位置割り当て順を示す説明図である。
【図14】本発明の閾値位置割り当て順を示す説明図である。
【図15】本発明による階調再現の例を示す説明図である。
【図16】本発明による階調再現の例を示す説明図である。
【図17】本発明による階調再現の例を示す説明図である。
【図18】階調再現の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ホストコンピュータ
2 プリンタ
3 画像データ入力手段
4 階調再現処理手段
5 2値データプリント手段
6 2値化処理手段
7 閾値マトリクス保持手段
8 閾値マトリクス位置情報保持手段
9 閾値マトリクス位置順位情報保持手段
10 閾値保持手段
Claims (3)
- カラー階調画像の入力データを閾値をマトリクス状に配置した閾値マトリクスを参照しながら前記入力データに対応する位置に配置された前記閾値との大小を比較することにより2値化する組織的ディザ法を用い、前記入力データを複数の色の成分ごとにカラー画像データの2値化を行うカラー階調画像の階調再現装置であって、
前記閾値マトリクスを保持する閾値マトリクス保持手段と、前記入力データと前記閾値マトリクス上の前記入力データに対応する位置の前記閾値を比較して2値化する2値化処理手段と、前記閾値マトリクスの要素の予め決められた配置順データである閾値マトリクス要素配置順データを保持する閾値マトリクス位置情報保持手段と、前記閾値マトリクス要素配置順データの配置順を変更するための変更情報を保持する閾値マトリクス位置順位情報保持手段と、前記閾値マトリクスの要素の数に応じて予め決められた前記閾値を保持する閾値保持手段を有し、
前記変更情報は前記複数の色の成分ごとに異なる情報であり、前記閾値マトリクス要素配置順データは前記複数の色の成分ごとに前記変更情報に基づいて前記閾値マトリクス要素配置順データの開始位置を変更することで前記閾値マトリクス要素配置順データを前記複数の色の成分ごとに変更し、前記閾値マトリクスは変更された前記閾値マトリクス要素配置順データの各要素に対応する閾値を前記閾値保持手段に記憶されている前記閾値に基づいて配置することを特徴とするカラー階調画像の階調再現装置。 - 前記変更情報は、前記閾値マトリクスの要素の数を前記複数の色の成分の総数で割った商の整数分の値であり、前記閾値マトリクス要素配置順データの開始位置を前記変更情報によって変更することで前記閾値マトリクスを前記複数の色の成分毎に異なる配置とし、前記閾値マトリクスの要素の数を前記複数の色の成分数で除した数の逆数の面積率までは前記複数の色の成分のドットが重ならないことを特徴とする請求項1に記載のカラー階調画像の階調再現装置。
- 前記閾値マトリクス要素配置順データは、ドット分散型の閾値マトリクスの要素配置順データであることを特徴とする請求項2に記載のカラー階調画像の階調再現装置。
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