JP4027439B2 - 自動2輪車用制動装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は前後輪連動式の液圧ブレーキを備えた自動2輪車用制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなものは種々の形式が知られており、例えば、実開平3−120286号公報には、レバー操作で直接作動される1次ブレーキと、この1次ブレーキの制動トルクを利用する2次ブレーキを前輪ブレーキに設けるとともに、1次ブレーキには1次ブレーキの制動トルクで液圧を発生する2次マスタシリンダを設け、この2次マスタシリンダにペダル操作による液圧を合わせ、2次マスタシリンダの2次液圧を前輪の2次ブレーキと後輪ブレーキへ連動して供給するようになっているものが示されている。
【0003】
さらに、上記従来例では後輪ブレーキが前輪ブレーキと常時連動することとなるが、スポーツ走行時におけるコーナリングなどのように、後輪単独で速度コントロールすることが望まれることがある。そこで、後輪ブレーキのリヤマスタシリンダで発生する液圧を前後輪へ分岐供給するようにしたものが、特願平5−352040号として出願済みである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記各例とも、2次マスタシリンダにおいて2次液圧とリヤマスタシリンダの液圧を比較していずれか高い方を選択する機能(以下、ハイセレクト機能という)が必須であったため、リヤマスタシリンダから2次マスタシリンダへ液圧を供給するための配管が不可欠であった。
【0005】
このため、前輪を支持するフロントフォーク回りの配管が複雑になり、レイアウトの自由度を少なくし、かつコストも高くなった。そのうえ、前輪側のばね下荷重が大きくなるので、それだけ乗り心地を向上させることとが難しくなった。そこで本願は、このような問題点の解決を主たる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1に係る自動2輪車用制動装置は、車体の前部にフロントフォークを介して前輪を支持し、車体の後部に後輪を支持するとともに、前輪ブレーキと、リヤマスタシリンダを備えた後輪ブレーキと、前輪の制動に連動して2次液圧を発生する2次マスタシリンダと、2次マスタシリンダとリヤマスタシリンダから供給される液圧のうちいずれか高い方を選択して制御バルブへ供給するハイセレクト手段と、ハイセレクトされた液圧を制御バルブにより予め定められた条件で制御して後輪ブレーキへ供給する液圧制御部と、を備えた前後輪連動式の自動2輪車用制動装置において、
前輪ブレーキと2次マスタシリンダを前輪側へ配設し、液圧制御部を車体側へ配設するとともに、ハイセレクト機能を有するサブマスタシリンダを車体側へ配設して液圧制御バルブに接続し、
前記リヤマスタシリンダを、前記2次マスタシリンダへ接続せずに、前記サブマスタシリンダへ接続するとともに、
前記2次マスタシリンダと前記ハイセレクト手段とは単一の2次液圧通路により連結される、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、車体の前部にフロントフォークを介して前輪を支持し、車体の後部に後輪を支持するとともに、
前輪ブレーキと、
リヤマスタシリンダを備えた後輪ブレーキと、
前輪の制動に連動して2次液圧を発生する2次マスタシリンダと、
この2次マスタシリンダ側とリヤマスタシリンダから供給される液圧のうちいずれか高い方を選択するハイセレクト手段と、
2次マスタシリンダから供給される液圧を制御バルブにより予め定められた条件で制御して後輪ブレーキ側へ供給する液圧制御部と、
を備えた前後輪連動式の自動2輪車用制動装置において、
前輪ブレーキと2次マスタシリンダを前輪側へ配設し、液圧制御部を車体側へ配設するとともに、
ハイセレクト機能を有するサブマスタシリンダを車体側へ配設し、前記2次マスタシリンダと単一の2次液圧通路により連結される制御バルブを介して2次マスタシリンダをサブマスタシリンダの入力側へ接続するとともに、
リヤマスタシリンダを2次マスタシリンダ及び後輪ブレーキと接続せずにサブマスタシリンダの入力側へ直接接続し、サブマスタシリンダの出力側を後輪ブレーキへ接続したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の自動2輪車用制動装置において、後輪ブレーキのブレーキキャリパに複数のポットを設け、トレーリング側のポットに液圧制御部を接続し、リーデイング側のポットにリヤマスタシリンダを直接接続したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の自動2輪車用制動装置において、前輪ブレーキを前輪マスタシリンダを備えた液圧ブレーキとし、2次マスタシリンダの出力側と前輪マスタシリンダとを連通し、かつ開閉部材で連通又は遮断されるエア抜き通路を備えるとともに、サブマスタシリンダにブリーダを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の自動2輪車用制動装置において、2次マスタシリンダにエア抜き用の開閉部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
【作用】
請求項1の発明によれば、車体側へ配設された液圧制御部にサブマスタシリンダを設けたので、2次マスタシリンダにおいて従来必須であったハイセレクト機能をサブマスタシリンダへ分離できるようになった。
【0012】
このため、リヤマスタシリンダからの液圧を、2次マスタシリンダでなく車体側の液圧制御部へ供給することが可能になり、それだけフロントフォーク回りの配管を少なくして簡素化でき、レイアウトの自由度も大きくなり、かつコストも低くなる。そのうえ、前輪側のばね下荷重が小さくなるので、それだけ乗り心地を向上させることとが容易になる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、サブマスタシリンダは、予め制御バルブを介して調節された2次マスタシリンダの2次液圧と、後輪ブレーキへ接続せずサブマスタシリンダのみへ接続するリヤマスタシリンダの液圧とをハイセレクトしていずれか高い方を後輪ブレーキへ供給する。
【0014】
したがって、リヤマスタシリンダはサブマスタシリンダのみに接続するだけで済むから、これまで必要であったリヤマスタシリンダと後輪ブレーキ間の配管が不要になり、さらに有利になる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、仮に、後輪ブレーキのブレーキキャリパに複数のポットを設け、これら複数のポットへ同一系統の液圧を供給すれば、リーデイング側のブレーキパッドが偏磨耗する傾向にあるところ、後輪ブレーキの液圧供給において主体的となる液圧制御部からの系統をトレーリング側へ接続することにより、リーデイング側のブレーキパッドの偏磨耗を極力抑制できる。
【0016】
また、トレーリング側及びリーデイング側の各ピストンやブレーキパッドを共通化することも期待できる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、サブマスタシリンダのエア抜きを行う場合、まず開閉部材を開いてエア抜き通路を2次マスタシリンダの出力側と前輪マスタシリンダ間で連通し、かつサブマスタシリンダのブリーダを開く。
【0018】
続いて、前輪マスタシリンダからエア抜き通路へブレーキ液を送りこむことにより、2次マスタシリンダからサブマスタシリンダ間のエアをサブマスタシリンダのブリーダから排出し、その後、開閉部材を閉じてエア抜き通路を遮断する。
【0019】
これにより、サブマスタシリンダ側において容易にエア抜きができるとともに、エア抜き後はリヤマスタシリンダ側の液圧が前輪マスタシリンダ側へキックバックする事態を防止できる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、開閉部材を開くことにより直接2次マスタシリンダのエア抜きができる。このため、前実施例におけるエア抜き通路も省略できるので、さらに配管が少なくなり、ジョイント部分が少なくなるだけブレーキシステムの信頼性が向上し、そのうえ、レイアウトの自由度増大並びにバネ下荷重の軽減をより一層期待できる。
【0021】
【実施例】
図1乃び図6に基づいて第1実施例を説明する。図1は本実施例に係る詳細なブレーキ系統図、図2は模式的な自動2輪車に関連づけたブレーキ系統の概略図である。
【0022】
まず図2において、前輪1の左右には、対をなす液圧式の前輪ブレーキ2及び3が設けられている。後輪4には液圧式の後輪ブレーキ5が設けられている。
【0023】
前輪1はフロントフォーク1aを介して車体1bの前部へ支持され、後輪4は図示しない後輪懸架装置を介して車体1bの後部へ支持されている。
【0024】
前輪ブレーキ2には、レバー6の前輪マスタシリンダ7からレバー液圧通路8を介して液圧の一部が供給され、残りの一部は前輪ブレーキ3へレバー液圧通路8から枝分かれしたレバー分岐通路9から供給されている。
【0025】
前輪ブレーキ2には2次マスタシリンダ10が設けられ、この、2次マスタシリンダ10は、前輪ブレーキ2の制動トルクによって2次液圧を生じるとともに、この2次液圧は2次液圧通路11を介してサブマスタシリンダ12へ供給される。
【0026】
さらに、2次マスタシリンダ10の出力側とレバー分岐通路9との間には、エア抜き通路13が接続されている。
【0027】
この2次マスタシリンダ10は、2次液圧発生機能とエア抜き通路の一部をなす機能のみが備わり、これまでのもののようなハイセレクト機能は備えられず、この機能はサブマスタシリンダ12へ分離されている。
【0028】
サブマスタシリンダ12には、ペダル14によって操作されるリヤマスタシリンダ15の液圧の一部が、リヤマスタシリンダ15と後輪ブレーキ5を接続するペダル液圧通路16から枝分かれしたペダル分岐通路17より供給されている。
【0029】
サブマスタシリンダ12の出力側は、ハイセレクト出力通路19を介して制御バルブ20へ接続されている。制御バルブ20の出力側は調圧出力通路21を介して、後輪ブレーキ5へ接続されている。
【0030】
サブマスタシリンダ12、ハイセレクト出力通路19、制御バルブ20、調圧出力通路21及びペダル分岐通路17は本願発明における液圧制御部を構成し、サブマスタシリンダ12はその一部として車体側1bに設けられ、これら車体側の液圧制御部と、前輪側に設けられている2次マスターシリンダ10とは、2次液圧通路11一本だけで連結されている。
【0031】
図1に明らかなように、前輪ブレーキ2、3はいずれも2ポット式の液圧ブレーキであり、各ポートにレバー液圧通路8及びレバー分岐通路9を介して同じ液圧が配分される。なお、符号2a、3aはそれぞれブレーキディスク、2b、3bはブレーキキャリパである。
【0032】
後輪ブレーキ5は3ポット式の液圧ブレーキであり、このうち、中央ポット5cはペダル液圧通路16から直接リヤマスタシリンダ15の液圧が供給され、他の2つのポット5d、5eには調圧出力通路21から液圧が供給される。
【0033】
図中の符号5aはブレーキディスク、5bはブレーキキャリパであり、図中の符号18はリヤマスタシリンダ15のリザーブタンクである。
【0034】
図3に明らかなように、2次マスタシリンダ10はブレーキ液の充填された液室22内のリターンスプリング23に一端を押さえられたピストン24を備える。
【0035】
ピストン24はサークリップ25で抜け止めされ、かつ外部へ突出する延出端部26を制動時に図示省略のブレーキキャリパ2b側の適宜部材で押されるようになっている。
【0036】
ピストン24の周囲にはプライマリカップ27とセカンダリカップ28が軸方向へ間隔をもって設けられ、延出端部26へ加えられた制動トルクにより、プライマリカップ27が液室22内をリターンスプリング23に抗してを進むことにより2次液圧を発生し、この液圧を出力ポート29からサブマスタシリンダ12へ供給するようになっている。
【0037】
プライマリカップ27近傍の液室22にはプライマリポート30が開口し、プライマリカップ27とセカンダリカップ28の間に形成される中間室31にはセカンダリポート32が開口している。
【0038】
プライマリポート30とセカンダリポート32は液室22の側方に設けられた調整室33に連通し、この調整室33を介して相互に連通するとともに、調整室33は接続通路34を介して側部に設けられているエア抜き通路ジョイント部35へ連通している。
【0039】
接続通路34は直角に屈曲しており、この屈曲部を開閉するようにストップスクリュウ36が設けられ、これをねじ込んで締めると接続通路34を閉じ、弛めて後退させると接続通路34を開き、その進退動は周囲のオーリング37でシールされている。
【0040】
調整室33内はダイアフラム38で空気室33aと区画され、ブレーキ液収容部分の容積を可変とするブラダー39になっている。符号38aはダイアフラム38を固定するためのダイアフラムプレート、38bはダイアフラムカバー、38cは大気連通孔である。
【0041】
図4に明らかなように、サブマスタシリンダ12は略筒状のハウジング40の軸心部にブレーキ液の充填された液室41を設け、その一端部に2次ジョイントボス42、他端部にバルブジョイントボス43、中間部にリヤジョイントボス44が設けられている。
【0042】
2次ジョイントボス42には2次液圧通路11が接続されて2次マスタシリンダ10と連通し、バルブジョイントボス43にはハイセレクト出力通路19が接続されて制御バルブ20と連通し、リヤジョイントボス44にはペダル分岐通路17が接続されてリヤマスタシリンダ15と連通している。
【0043】
液室41内にはピストン45が進退自在に収容され、その一端でバルブジョイントボス43側はリターンスプリング46に押さえられ、他端は液室41の開口部を閉塞するキャップ47で止められている。
【0044】
ピストン45の外周にはプライマリカップ48とセカンダリカップ49が軸方向へ間隔をもって設けられている。これらの位置は、ピストン45の前記他端がキャップ47に当接する状態を基準にして定められている。
【0045】
すなわち、リヤジョイントボス44とバルブジョイントボス43との間にプライマリカップ48、リヤジョイントボス44と2次ジョイントボス42の間にセカンダリカップ49が設けられる。
【0046】
また、プライマリカップ48近傍の液室41にはプライマリポート50が開口し、プライマリカップ48とセカンダリカップ49の間に形成される中間室51にはセカンダリポート52が開口している。
【0047】
セカンダリカップ49は、2次ジョイントボス42の連通孔並びにこれと軸対称位置に形成されているブリーダーポート53近傍に位置し、このブリーダーポート53はブリーダーボルト54で開閉され、ブリーダーポート53とブリーダーボルト54でブリーダーが構成される。
【0048】
なお、図中の符号55、56はシールのためのオーリングである。
【0049】
サブマスタシリンダ12は、2次ジョイントボス42とリヤジョイントボス44へ供給される液圧を比較し、高い方の液圧のみを選択してバルブジョイントボス43から制御バルブ20側へ供給するハイセレクト機能を有する。
【0050】
すなわち、2次液圧が高い場合はピストン45が図4の右側へリターンスプリング46に抗してを進み、プライマリカップ48がプライマリポート50の右側へ移動する。
【0051】
これにより液室41とリヤマスタシリンダ15との連通を断つので、液室41は2次ジョイントボス42から加えられた2次液圧のみをバルブジョイントボス43から制御バルブ20側へ供給する。
【0052】
一方、リヤマスタシリンダ15の液圧の方が高い場合は、ピストン45が図の右側へ移動しないので、リヤマスタシリンダ15の液圧のみをプライマリポート50から液室41を通って、バルブジョイントボス43から制御バルブ20側へ供給する。
【0053】
図5に明らかなように、制御バルブ20はハウジング60の側部にハイセレクト通路18が接続されるハイセレクトジョイントボス61と、調圧通路21が接続される調圧ジョイントボス62を有する。
【0054】
ハイセレクトジョイントボス61からは略水平に入力通路63がハウジング60の内部へ延び、調圧ジョイントボス62からは入力通路63と交わるように斜めの出力通路64がハウジング60内へ延びている。
【0055】
入力通路63と直交しかつ出力通路64と斜めに交差する方向に減圧室65が設けられ、その中に減圧ピストン66が配設される。
【0056】
この減圧ピストン66は、その周囲で入力通路63に図の下方から臨む部分に減圧室65の内壁と摺接する大径部67が設けられ、入力通路63の液圧により図の下方へ移動するように力を受け、かつリターンスプリング68により図の上方へ移動するよう付勢される。
【0057】
さらに、減圧室65と平行にカットピストン70が設けられ、リターンスプリング71により図の下方へ移動するように付勢され、その下端部72は、出力通路64と入力通路63が連通する制御室73の上部空間74に臨んでいる。
【0058】
制御室73と上部空間74の間はカットバルブ75で開閉され、このカットバルブ75は調圧部76によって図の上方へ移動するよう力を受け、かつこの上方移動をカットバルブの下端部72により阻止されている。符号77は制御室73を形成するシリンダである。
【0059】
制御バルブ20はサブマスタシリンダ12から入力通路63へ送られた液圧を3段階に制御して、出力通路64から後輪ブレーキ5側へ供給する機能を有し、これを図6に示す。
【0060】
入力通路63の液圧が低い段階はそのままの液圧で出力通路64へ出力され、入力側の液圧がa点まで増加すると、調圧部76とシリンダ77の相対移動により、カットバルブ75が制御室73と上部空間74との連通部を小刻みに開閉し、入力に対して増加率を一定割合で減少させる。
【0061】
引き続き入力側の液圧がb点まで増加すると、カットバルブ75がリターンスプリング71に抗してカットピストン70を図の上方へ押し上げ、制御室73と上部空間74との連通部を閉じるため、以後、一定圧を出力する。
【0062】
さらに、入力側の液圧がc点まで増加すると、減圧ピストン66がリターンスプリング68に抗して図の下方へ移動するので、減圧室65内における減圧ピストン66の上端部から出力通路64と接続する部分までの空間容積が拡大し、出力側の液圧が下がる。
【0063】
次に、本実施例の作用を、図1に基づいて種々な制動態様毎に説明する。
【0064】
<レバー単独操作時>
レバー6の単独操作により、前輪マスタシリンダ7で発生した液圧が、前輪ブレーキ2、3へ供給されて前輪1が制動され、その結果、2次マスタシリンダ10に液圧が発生し、サブマスタシリンダ12が昇圧し、制御バルブ20から後輪ブレーキ5へ制御された液圧が供給されて後輪4が制動される。
【0065】
この際における前後輪制動力配分は制御バルブ20によって車種に応じて調整される。
【0066】
<ペダル単独操作時>
ペダル14の単独操作により、リヤマスタシリンダ15に発生した液圧は、一部が後輪ブレーキ5を構成する後輪ブレーキキャリパ5bの中央ポット5cへ直接供給され、同時に残りの部分がサブマスタシリンダ12を昇圧し、制御バルブ20を経由して他のポット5d、5eへ供給される。
【0067】
これにより、前輪ブレーキ2、3側と無関係に後輪ブレーキ5側のみをペダル操作で制御できるので、スポーツライクな走行時などに好適となる。
【0068】
<レバー、ペダル併用操作時>
2次マスタシリンダ10の2次液圧とリヤマスタシリンダ15の液圧がサブマスタシリンダ12へ加えられるが、サブマスタシリンダ12からはハイセレクトされて高い方のみが制御バルブ20へ出力される。
【0069】
その結果、2次液圧が高ければ、リヤマスタシリンダ15の液圧は後輪ブレーキ5の中央ポット5cへのみ供給され、2次液圧は制御バルブ20で調圧されて他のポット5d、5eへ供給される。
【0070】
逆に、リヤマスタシリンダ15の液圧が高ければ、サブマスタシリンダ12から出力される液圧は、リヤマスタシリンダ15の液圧がハイセレクトされるので、後輪ブレーキ5はリヤマスタシリンダ15の液圧のみで制動される。
【0071】
このように本実施例によれば、車体1b側へ配設された制御バルブ20(液圧制御部)にサブマスタシリンダ12を接続して設けたので、2次マスタシリンダ10において従来必須であったハイセレクト機能をサブマスタシリンダ12へ分離できるようになった。
【0072】
このため、リヤマスタシリンダ15からの液圧を、2次マスタシリンダ10でなく車体1b側のサブマスタシリンダ12へ供給することが可能になり、それだけフロントフォーク1a回りの配管を少なくして簡素化でき、レイアウトの自由度も大きくなり、かつコストも低くなる。
【0073】
そのうえ、前輪1側のばね下荷重が小さくなるので、それだけ乗り心地を向上させることとが容易になる。
【0074】
さらに、本実施例では、エア抜き通路13を利用してサブマスタシリンダ12のエア抜きが可能である。すなわち、図3において2次マスタシリンダ10のストップスクリュウ36を弛めるとエア抜き通路13を介して2次液圧通路11とレバー分岐通路9が連通する。
【0075】
そこで、サブマスタシリンダ12のブリーダーボルト54を弛め、かつレバー分岐通路9から液圧をエア抜き通路13へ加えると、サブマスタシリンダ12のエアがブリーダー通路53から排出される。
【0076】
なお、エア抜き後はストップスクリュウ36を締めてエア抜き通路13を遮断し、2次液圧通路11とレバー分岐通路9を分離することにより、レバー6とペダル14の同時操作時におけるレバー6側へのキックバックを防止する。
【0077】
このとき、調整室33内にダイアフラム38を備えたブラダー39を設けたので、閉回路にされた後、2次マスタシリンダ10とサブマスタシリンダ12間における温度変化に伴うブレーキ液の体積変化は、ダイアフラム38の変形により対応できる。
【0078】
これにより、サブマスタシリンダ側において容易にエア抜きができるとともに、エア抜き後はリヤマスタシリンダ側の液圧が前輪マスタシリンダ側へキックバックする事態を防止できる。
【0079】
図7に基づいて第2実施例を説明する。なお、第1実施例と共通機能部分には共通符号を用いる(以下同様)。本実施例では、2次液圧通路11が制御バルブ20へ接続され、制御バルブ20の出力側が調圧出力通路21を介してサブマスタシリンダ12の入力側へ接続されている。
【0080】
さらに、サブマスタシリンダ12の入力側には、リヤマスタシリンダ15がペダル液圧通路16を介して接続され、リヤマスタシリンダ15は後輪ブレーキ5と直接接続されない。
【0081】
サブマスタシリンダ12の出力側は、ハイセレクト出力通路19を介して後輪ブレーキ5へ接続されている。後輪ブレーキ5の後輪ブレーキキャリパ5bは2ポット型である。
【0082】
このようにすると、2次液圧のみを制御バルブ20で調圧し、これとリヤマスタシリンダ15の液圧をハイセレクトして後輪ブレーキを作動する。これにより第1実施例がリヤマスタシリンダ15からペダル液圧通路16とペダル分岐通路17の2本を配管する必要があったところ1本だけに削減できる。
【0083】
また、2次マスタシリンダ10には、第1実施例同様のストップスクリュウ36及びブラダー39を備えている。但し、このストップスクリュウ36は弛めることにより直接エア抜きできるようになっており、これにより、第1実施例のエア抜き通路13を省略できる。
【0084】
本実施例の場合、図3のエア抜き通路ジョイント部35に相当する部分にリザーバータンクを接続することになるが、このようにしてもさらに配管が少なくなり、ジョイント部分が少なくなるだけブレーキシステムの信頼性が向上し、そのうえ、レイアウトの自由度増大並びにバネ下荷重の軽減をより一層期待できる。
【0085】
なお、このエア抜き構造は2次液圧通路11をサブマスタシリンダ12へ接続した第1実施例にも適用できる。
【0086】
図8に基づいて第3実施例を示す。この実施例は後輪ブレーキ5の後輪ブレーキキャリパ5bを2ポット型にした点を除き、第1実施例と同様である。但し、調圧出力通路21はトレーリング側ポット5fへ接続され、ペダル液圧通路16はリーデイング側ポット5gへ接続されている。
【0087】
このようにすれば、レバー6の単独操作時には、2次液圧が制御バルブ20を介してトレーリング側ポット5fのみに与えられ、ペダル14の単独操作時には2つのポット5f、5gに液圧が与えられる。
【0088】
仮に、後輪ブレーキ5のブレーキキャリパ5bに2つのポット5f、5gを設け、これらのポットへ同一系統の液圧を供給した場合、リーデイング側ポット5gのブレーキパッドが偏磨耗する傾向にある。
【0089】
しかし本実施例のように、後輪ブレーキ5において主体的となる制御バルブ20の液圧系統をトレーリング側ポット5fへ接続することにより、リーデイング側におけるブレーキパッドの偏磨耗を極力抑制できる。
【0090】
また、トレーリング側及びリーデイング側の各ピストンやブレーキパッドを共通化することも期待できる。
【0091】
なお、本願発明は上記実施例に限定されず種々に変形可能である。例えば、前輪ブレーキは左右に対で設けられているが、一方の前輪ブレーキ3を省略可能である。
【0092】
また、2次マスタシリンダにおける2次液圧発生方法は、実施例のような前輪ブレーキキャリパ2bによるメカニカルサーボ形式でなく、レバー6の操作を機械的又は電子的に検出して2次液圧を発生するようにもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例のブレーキ系統図
【図2】 上記のブレーキ系統を自動2輪車の模式的輪郭とともに示す図
【図3】 2次マスタシリンダの断面図
【図4】 サブマスタシリンダの断面図
【図5】 リヤマスタシリンダの断面図
【図6】 制御バルブの入出力特性図
【図7】 第2実施例のブレーキ系統図
【図8】 第3実施例のブレーキ系統図
【符号の説明】
1:前輪、2:前輪ブレーキ、4:後輪、5:後輪ブレーキ、6:レバー、7:前輪マスタシリンダ、8:レバー液圧通路、10:2次マスタシリンダ、11:2次液圧通路、12:サブマスタシリンダ、13:エア抜き通路、14:ペダル、15:リヤマスタシリンダ、16:ペダル液圧通路、17:ペダル分岐通路、19:ハイセレクト通路、20:制御バルブ、21:調圧出力通路
Claims (5)
- 車体の前部にフロントフォークを介して前輪を支持し、車体の後部に後輪を支持するとともに、
前輪ブレーキと、
リヤマスタシリンダを備えた後輪ブレーキと、
前輪の制動に連動して2次液圧を発生する2次マスタシリンダと、
この2次マスタシリンダとリヤマスタシリンダから供給される液圧のうちいずれか高い方を選択して制御バルブへ供給するハイセレクト手段と、
ハイセレクトされた液圧を制御バルブにより予め定められた条件で制御して後輪ブレーキへ供給する液圧制御部と、
を備えた前後輪連動式の自動2輪車用制動装置において、
前輪ブレーキと2次マスタシリンダを前輪側へ配設し、液圧制御部を車体側へ配設するとともに、
ハイセレクト機能を有するサブマスタシリンダを車体側へ配設して液圧制御バルブに接続し、
前記リヤマスタシリンダは、前記2次マスタシリンダへ接続せずに、前記サブマスタシリンダへ接続するとともに、
前記2次マスタシリンダと前記ハイセレクト手段とは単一の2次液圧通路により連結される、
ことを特徴とする自動2輪車用制動装置。 - 車体の前部にフロントフォークを介して前輪を支持し、車体の後部に後輪を支持するとともに、
前輪ブレーキと、
リヤマスタシリンダを備えた後輪ブレーキと、
前輪の制動に連動して2次液圧を発生する2次マスタシリンダと、
この2次マスタシリンダ側とリヤマスタシリンダから供給される液圧のうちいずれか高い方を選択するハイセレクト手段と、
2次マスタシリンダから供給される液圧を制御バルブにより予め定められた条件で制御して後輪ブレーキ側へ供給する液圧制御部と、
を備えた前後輪連動式の自動2輪車用制動装置において、
前輪ブレーキと2次マスタシリンダを前輪側へ配設し、液圧制御部を車体側へ配設するとともに、
ハイセレクト機能を有するサブマスタシリンダを車体側へ配設し、前記2次マスタシリンダと単一の2次液圧通路により連結される制御バルブを介して2次マスタシリンダをサブマスタシリンダの入力側へ接続するとともに、
リヤマスタシリンダを2次マスタシリンダ及び後輪ブレーキと接続せずにサブマスタシリンダの入力側へ直接接続し、サブマスタシリンダの出力側を後輪ブレーキへ接続したことを特徴とする自動2輪車用制動装置。 - 後輪ブレーキのブレーキキャリパに複数のポットを設け、トレーリング側のポットに液圧制御部を接続し、リーデイング側のポットにリヤマスタシリンダを直接接続したことを特徴とする請求項1記載の自動2輪車用制動装置。
- 前輪ブレーキは前輪マスタシリンダを備えた液圧ブレーキであり、2次マスタシリンダの出力側と前輪マスタシリンダとを連通し、かつ開閉部材で連通又は遮断されるエア抜き通路を備えるとともに、サブマスタシリンダにブリーダを設けたことを特徴とする請求項1記載の自動2輪車用制動装置。
- 2次マスタシリンダにエア抜き用の開閉部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動2輪車用制動装置。
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JP18349195A JP4027439B2 (ja) | 1995-06-27 | 1995-06-27 | 自動2輪車用制動装置 |
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