JP4027089B2 - 光学フィルタ付き枠体及びその製造方法 - Google Patents

光学フィルタ付き枠体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4027089B2
JP4027089B2 JP2001394309A JP2001394309A JP4027089B2 JP 4027089 B2 JP4027089 B2 JP 4027089B2 JP 2001394309 A JP2001394309 A JP 2001394309A JP 2001394309 A JP2001394309 A JP 2001394309A JP 4027089 B2 JP4027089 B2 JP 4027089B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical filter
frame
frame body
mounting
angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001394309A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003195136A (ja
Inventor
宗光 阿部
隆史 畑内
義博 染野
誠一 大越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alps Electric Co Ltd filed Critical Alps Electric Co Ltd
Priority to JP2001394309A priority Critical patent/JP4027089B2/ja
Publication of JP2003195136A publication Critical patent/JP2003195136A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4027089B2 publication Critical patent/JP4027089B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Couplings Of Light Guides (AREA)
  • Optical Filters (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学フィルタを取付枠体に取付けてなる光学フィルタ付き枠体に関し、特に、光学フィルタを所望の透過特性を示すような傾斜角で傾斜させて取付枠体に高精度に取付けた光学フィルタ付き枠体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光学的用途のフィルタの中には、バンドパスフィルタと呼ばれる光学フィルタがある。この光学フィルタは、通常ガラス基板上に、複数種類の非金属や金属化合物等を交互に複数層積層した多層膜が形成されている。
そして、この光学フィルタは、多層膜の各層間での反射干渉が特定の条件を満足するように材質、膜厚を合わせることによって、図19の波長対透過特性図の曲線aに示すように、所望波長λの波長帯の光成分を主に透過するとともに、波長λの波長帯以外の光成分を反射するようなシャープな波長選択性を有する。
【0003】
このような従来の光学フィルタは、例えば、図20に模式的に示すような光分岐装置50に使用される。
【0004】
光分岐装置50は、図20に示すように、所望の光を出射する第1の光ファイバ51と、第1の光ファイバ51からの光が所定の入射角で入射するように配された光学フィルタ52を取り付けた取付枠体53からなる光学フィルタ付き枠体54と、光学フィルタ付き枠体54を挟んで第1の光ファイバ51と対称位置に配される第2の光ファイバ55と、光学フィルタ52による反射光を受けるための第3の光ファイバ56と、これら第1、第2及び第3の光ファイバ51,55,56の各々と光学フィルタ52間に配される第1、第2及び第3のコリメータレンズ57,58,59とを備える。
【0005】
この光分岐装置50は、光学フィルタ52により、第1の光ファイバ51から第1のコリメータレンズ57を介して光学フィルタ52へ入射された光のうち、所望波長λの光成分を透過させて、第2のコリメータレンズ58を介し第2の光ファイバ55内へ入射させつつ、所望波長λ以外の光成分を反射して、第3のコリメータレンズ59を介し第3の光ファイバ56内へ入射させて、光を分岐する。
【0006】
ところで、実際の光学フィルタ52は、上述したように、ガラス基板上に多層膜を蒸着等により積層形成するため、材料成分の誤差や蒸着膜の膜厚誤差などにより、所望の波長にて透過率のピークをとるように製造することが困難であり、図19の曲線bに示すように、製造された光学フィルタによって透過率のピークを取る主波長λ’に若干のずれ(λ’−λ)があり、透過特性にバラツキがある。
【0007】
そのため、上述の光分岐装置50に光学フィルタ52を適用する際には、図20に示すように、光学フィルタ付き枠体54を所定の取付角度c、即ち入射光の入射角を所定角度cとして光分岐装置50に配した後に、図21に示すように、取付枠体53内の光学フィルタ52を時計回りに又は反時計回りに例えば1°、2°、3°といった傾斜角度ε分傾斜させて、光学フィルタ52の取付角度をc+εとすることにより、光学フィルタ52における主波長のずれ(λ’−λ)を補完して、光学フィルタ52の透過特性のバラツキを解消している。これは以下の原理に基づく。
【0008】
光学フィルタ52は、図21に示すように、入射光の入射角を変化させると、例えば、入射角cから入射角c+εへ変化させると、入射光の光学フィルタ52内を通過する行路長が変化するため、図19に示すように、透過波長帯が曲線bから曲線aへシフトする性質がある。
【0009】
そのため、この性質を利用して、例えば、製造した光学フィルタ52を所定の取付角度cにて光分岐装置50に配した際に、図19の曲線bに示すように、透過率がピークとなる主波長が所望波長λからずれて波長λ’であった場合、図21に示すように、光学フィルタ52の取付角度をc+εに変化させることにより、透過波長帯を図19の曲線bから曲線aにシフトさせ、所望の波長λにて透過率がピークとなるように調整する。
【0010】
そこで、具体的には、このような角度調整(c→c+ε)を、次のような角度調整手段を内蔵する光学フィルタ付き枠体54を利用して行っている。
【0011】
光学フィルタ付き枠体54は、図22に示すように、光学フィルタ52を接着固定した座60を取付枠本体53の中にバネ61を介して収納し、カバー62を取付枠体53に接着剤等で固定する。このような配置により光学フィルタ52は、バネ61の弾性力によって常にカバー62の方に押し付けられている。取付枠本体53には片側だけに調整ネジ63が設けられており、座60が調整ネジ63に当たる部分が斜面になっている。
【0012】
そして、この光学フィルタ付き枠体54を光分岐装置50に当初設定された取付角度cにて配した後で、調整ネジ63を座60の斜面に当接するようにネジ込んで、バネ61の力に逆らって光学フィルタ52を入れたままの座60の片側を調整ネジ63により下方へ押し付けて移動させ、光学フィルタ52を所定角度ε傾斜させ、これにより取付角度をc+εに調整する。その結果、光学フィルタ52の主波長がλ’からλへ補正されることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の角度調整手段を内蔵した光学フィルタ付き枠体54は、上述したように、光学フィルタ52の傾斜角度調整を調整ネジ63のネジ込み量により行っていたため、精度良く微妙な傾斜角度を調整することが困難であった。
【0014】
また、従来の光学フィルタ付き枠体54では、光分岐装置50などの光学装置に配した後に光学フィルタ52の微妙な角度調整を行っており、光学装置をインラインで連続的に組立てる製造工程において、この角度調整が非常に手間のかかる煩雑な工程となり、生産性を損ねる原因となっていた。
【0015】
そこで、本発明は、このような従来の実情を鑑みて提案されたものであり、光学フィルタを所望の透過特性を示すような傾斜角で傾斜させて取付枠体に高精度に取付可能とし、しかも搭載される光学装置をインラインで生産する上でその生産性を向上させ得る光学フィルタ付き枠体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために完成された本発明に係る光学フィルタ付き枠体の製造方法は、基板に多層膜を積層して光学フィルタを作製し、所望の入射光の所定入射角に対して、前記光学フィルタが所望の透過特性を示すような前記光学フィルタの傾斜角を決定し、前記光学フィルタを取付ける取付箇所を有する取付枠体を成形し、前記取付枠体の前記取付箇所に、前記取付枠体が取付けられる取付面に対して前記光学フィルタを前記傾斜角で傾斜させるための所定の段差あるいは傾斜を形成し、次いで、前記光学フィルタを、前記取付面に対して前記傾斜角で傾斜させて前記取付枠体上に取り付けることを特徴とする製造方法である。
【0017】
更に、本発明に係る光学フィルタ付き枠体の製造方法では、前記段差が、
前記取付枠体の前記取付箇所の一部に、所定の厚さの角度調整用薄膜を成膜することにより形成されていることを特徴とする製造方法である。
このような製造方法とすることにより、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、光学フィルタを傾斜させる傾斜角度を調整する手段として、取付枠体の取付箇所の一部に角度調整用薄膜を薄膜形成するので、容易に且つ精度良く角度調整用の段差が形成可能である。
その結果、この段差により所望の透過特性を示すように光学フィルタが精度良く且つ容易に傾斜されて取付けられた光学フィルタ付き枠体を製造することが可能となる。
しかも、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、予め光学フィルタを所望の傾斜角度にて取付枠体に取り付けてあるので、光学フィルタ付き枠体を有する光学装置をインラインで組立てる工程において、傾斜角度が調整済みの光学フィルタ付き枠体を用いることになるので、光学フィルタの傾斜角度を改めて調整する必要がなくなり、生産性の向上に寄与する光学フィルタ付き枠体を製造可能となる。
【0018】
一方、上述した目的を達成するために完成された他の本発明に係る光学フィルタ付き枠体の製造方法は、前記段差が、前記取付枠体の前記取付箇所の一部を、所定深さエッチングすることにより形成されていることを特徴とする製造方法である。
このような製造方法とすることにより、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、光学フィルタを所望の傾斜角度に傾斜させる段差を、エッチングにより取付枠体を研削して形成するので、容易に且つ精度良く所定厚さの角度調整用段差が形成可能である。
その結果、この段差により所望の透過特性を示すように光学フィルタが精度良く且つ容易に傾斜されて取付けられた光学フィルタ付き枠体を製造することが可能となる。
しかも、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、予め光学フィルタを所望の傾斜角度にて取付枠体に取り付けてあるので、光学フィルタ付き枠体を有する光学装置をインラインで組立てる工程において、傾斜角度が調整済みの光学フィルタ付き枠体を用いることになるので、光学フィルタの傾斜角度を改めて調整する必要がなくなり、生産性の向上に寄与する光学フィルタ付き枠体を製造可能となる。
【0019】
また、上述した目的を達成するために完成された他の本発明に係る光学フィルタ付き枠体の製造方法は、前記段差が、前記取付枠体の前記取付面を前記傾斜角にて傾斜する面となるよう研磨することにより形成されていることを特徴とする製造方法である。このような製造方法とすることにより、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、光学フィルタを所望の傾斜角度に傾斜させるために、成形後の取付け枠体の取付け面を傾斜面となるように研磨するので、光学フィルタを単に取付枠体の取付箇所に取付けるだけで、容易に且つ精度良く光学フィルタを所望の傾斜角度にて傾斜可能となる。
しかも、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、予め光学フィルタが所望の傾斜角度にて傾斜するように、取付枠体の形状を工夫してあるので、光学フィルタ付き枠体を有する光学装置をインラインで組立てる工程において、傾斜角度が調整済みの光学フィルタ付き枠体を用いることになるので、光学フィルタの傾斜角度を改めて調整する必要がなくなり、生産性の向上に寄与する光学フィルタ付き枠体を製造可能となる。
【0020】
更に、本発明に係る光学フィルタ付き枠体の製造方法では、前記取付枠体がSiからなることを特徴とする製造方法である。これにより、取付枠体が成形容易となるものである。
【0021】
更に、本発明に係る光学フィルタ付き枠体では、取付枠体の取付面が、光学フィルタを取付面に対して傾斜角をもって傾斜させるために、この傾斜角で傾斜する面となされていても良い。これにより、光学フィルタが所望の透過特性を示す傾斜角にて傾斜するように、光学フィルタを保持する取付枠体の取付面が傾斜面となされているので、光学フィルタを所望の傾斜角にて精度良く且つ容易に傾斜させることができる。
【0022】
また、上述した目的を達成するために完成された本発明に係る光学フィルタ付き枠体の製造方法は、基板に多層膜を積層して光学フィルタを作製し、所望の入射光の所定入射角に対して、光学フィルタが所望の透過特性を示すような光学フィルタの傾斜角を決定する。その後、光学フィルタを取付ける取付箇所を有する取付枠体を成形し、成形後の取付枠体の取付箇所の一部に、取付枠体が取付けられる取付面に対して光学フィルタを上記の傾斜角で傾斜させるための所定厚さの角度調整用薄膜を形成し、次いで、光学フィルタを、角度調整用薄膜を介して取付枠体上に取付面に対して傾斜角で傾斜させて取り付けることを特徴とする製造方法である。
このような製造方法とすることにより、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、光学フィルタを傾斜させる傾斜角度を調整する手段として、取付枠体の取付箇所の一部に角度調整用薄膜を薄膜形成するので、容易に且つ精度良く角度調整用の段差が形成可能である。その結果、この段差により所望の透過特性を示すように光学フィルタが精度良く且つ容易に傾斜されて取付けられた光学フィルタ付き枠体を製造することが可能となる。
しかも、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、予め光学フィルタを所望の傾斜角度にて取付枠体に取り付けてあるので、光学フィルタ付き枠体を有する光学装置をインラインで組立てる工程において、傾斜角度が調整済みの光学フィルタ付き枠体を用いることになるので、光学フィルタの傾斜角度を改めて調整する必要がなくなり、生産性の向上に寄与する光学フィルタ付き枠体を製造可能となる。
【0023】
一方、上述した目的を達成するために完成された他の本発明に係る光学フィルタ付き枠体の製造方法は、基板に多層膜を積層して光学フィルタを作製し、所望の入射光の所定入射角に対して、光学フィルタが所望の透過特性を示すような光学フィルタの傾斜角を決定する。その後、光学フィルタを取付ける取付箇所を有する取付枠体を成形し、成形後の取付枠体の取付箇所の一部に、取付枠体が取付けられる取付面に対して光学フィルタを上記の傾斜角で傾斜させるための所定厚さの段差をエッチングにより形成し、次いで、光学フィルタを、段差を介して取付枠体上に取付面に対して傾斜角で傾斜させて取り付けることを特徴とする製造方法である。
このような製造方法とすることにより、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、光学フィルタを所望の傾斜角度に傾斜させる段差を、エッチングにより取付枠体を研削して形成するので、容易に且つ精度良く所定厚さの角度調整用段差が形成可能である。その結果、この段差により所望の透過特性を示すように光学フィルタが精度良く且つ容易に傾斜されて取付けられた光学フィルタ付き枠体を製造することが可能となる。
しかも、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、予め光学フィルタを所望の傾斜角度にて取付枠体に取り付けてあるので、光学フィルタ付き枠体を有する光学装置をインラインで組立てる工程において、傾斜角度が調整済みの光学フィルタ付き枠体を用いることになるので、光学フィルタの傾斜角度を改めて調整する必要がなくなり、生産性の向上に寄与する光学フィルタ付き枠体を製造可能となる。
【0024】
更に、上述した目的を達成するために完成された他の本発明に係る光学フィルタ付き枠体の製造方法は、基板に多層膜を積層して光学フィルタを作製し、所望の入射光の所定入射角に対して、光学フィルタが所望の透過特性を示すような光学フィルタの傾斜角を決定する。その後、光学フィルタを取付ける取付箇所を有する取付枠体を成形し、光学フィルタを取付枠体が取付けられる取付面に対して傾斜角をもって傾斜させるために、成形後の取付枠体の取付面を上記傾斜角で傾斜する面となるよう研磨する。次いで、光学フィルタを取付枠体の取付箇所に取り付けることを特徴とする製造方法である。
このような製造方法とすることにより、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、光学フィルタを所望の傾斜角度に傾斜させるために、成形後の取付け枠体の取付け面を傾斜面となるように研磨するので、光学フィルタを単に取付枠体の取付箇所に取付けるだけで、容易に且つ精度良く光学フィルタを所望の傾斜角度にて傾斜可能となる。
しかも、本発明の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、予め光学フィルタが所望の傾斜角度にて傾斜するように、取付枠体の形状を工夫してあるので、光学フィルタ付き枠体を有する光学装置をインラインで組立てる工程において、傾斜角度が調整済みの光学フィルタ付き枠体を用いることになるので、光学フィルタの傾斜角度を改めて調整する必要がなくなり、生産性の向上に寄与する光学フィルタ付き枠体を製造可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体を示す斜視図である。図2は、図1に示す光学フィルタ付き枠体の分解斜視図である。図3は、図1中の線3−3に沿って切断した断面図である。
【0026】
本発明の第1の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体1は、図1乃至図3に示すように、四角柱状の光学フィルタ2と、四角柱状であり且つ中央部に光学フィルタ2を収納するための貫通する空洞部3aを有する取付枠体3とを備える。
【0027】
光学フィルタ2は、ガラス板ベース上に、複数種類の非金属や金属化合物等を交互に十数層にも蒸着法により薄く積層形成されており、例えば、ガラス基板上にTiO2/SiO2の薄膜を交互に数十層積層させて形成される。この光学フィルタ2は、例えば、バンドパスフィルタであり、所定波長の波長帯域の光成分のみ透過し、所定波長の波長帯域以外の光成分を反射させる波長選択性を有する。
【0028】
取付枠体3は、空洞部3aを形成する内壁が、図2及び図3に示すように、四方を囲む傾斜面3bと、これら傾斜面3bに繋がって四角状に囲みつつ内方へ突出する突出部3cとからなる。なお、取付枠体3は、エッチング加工可能な材料であれば材料を選ばないが、特に、Si材料からなることが好ましい。このようにSi材料から取付枠体3を形成することにより、エッチング条件が容易に整備可能で且つエッチング選択性に優れるウエットエッチングを利用して成形可能となる。
【0029】
取付枠体3の四角状に囲んでなる突出部3cの上面3c1は、光学フィルタ2が載置されて取り付けられるフィルタ取付面となされており、平坦面である。
特に、本実施形態では、この四角状に囲むフィルタ取付面である上面3c1のうちの一辺側3c2上に、光学フィルタ2を所望の透過特性を取るように傾斜させるための角度調整用薄膜4が形成されている。
【0030】
そして、光学フィルタ2がこの角度調整用薄膜4を介して突出部3cの上面3c1であるフィルタ取付面上に載置される。これにより、光学フィルタ2が取付枠体3の後述する光分岐装置への取付面3dに対して、所望の波長にて透過率ピークをとるように、傾斜角αをもって傾斜するように調整される。
【0031】
ここで、角度調整用薄膜4は、スパッタリング等により形成可能な材料であれば材料を選ばないが、特に、Ni,Cr,TiO2,SiO2のうちの少なくとも何れかからなることが好ましい。これにより、例えばSiからなる取付枠体3への密着性に優れる。
【0032】
このようにして、光学フィルタ付き枠体1は、角度調整用薄膜4により光学フィルタ2が所望の透過特性を取るように傾斜された状態でフィルタ取付面上に載置されるとともに、光学フィルタ2の両側面2a,2bにUV樹脂5により取付枠体3の傾斜面3bへ取付け固定される。
【0033】
以上のように構成される光学フィルタ付き枠体1は、例えば、次のような光分岐装置10に適用される。図4に、光分岐装置の一例を模式的に示す。
【0034】
光分岐装置10は、所望の光を出射する第1の光ファイバ11と、取付枠体3の取付面3dを介して取付けられた上述の光学フィルタ付き枠体1と、光学フィルタ付き枠体1を挟んで第1の光ファイバ11と対称位置に配される第2の光ファイバ12と、光学フィルタ2による反射光を受けるための第3の光ファイバ13と、これら第1、第2及び第3の光ファイバ11,12,13の各々と光学フィルタ2間に配される第1、第2及び第3のコリメータレンズ14,15,16とを備える。
【0035】
このとき、上述したように、光学フィルタ付き枠体1では、光学フィルタ2が図5の波長対透過特性図に示すように所望の波長λにて透過率のピークをとるように、図3に示すように、取付枠体3の取付面3dに対して傾斜角α傾けられて、取付枠体3に取付けられている。
【0036】
ここで、本実施形態による角度調整後の光学フィルタ付き枠体1は、光分岐装置10に対して取付角度cで取付けられるが、取付枠体3内の光学フィルタ2が取付枠体3の取付面3dに対して傾斜角αで傾斜しているので、光学フィルタ2は、図6に示すように、光分岐装置10に取付角度c+αとなるよう調整されて取付けられることになる。
【0037】
このような光分岐装置10は、第1の光ファイバ11から出射された光が第1のコリメータレンズ14に入射し平行光となされ、この第1のコリメータレンズ14を通過した平行光が光学フィルタ2へ入射する。
そして、光学フィルタ2へ入射した光のうち、所望波長λの光成分が光学フィルタ2を透過し、第2のコリメータレンズ15へ入射して平行光となされ、第2の光ファイバ12へ入射する。
一方、光学フィルタ2へ入射した光のうち、所望波長λ以外の光成分が光学フィルタ2により反射し、第3のコリメータレンズ16へ入射して平行光となされ、第3の光ファイバ13へ入射する。
このようにして、光分岐装置10は所望波長λの光成分とそれ以外の波長の光成分とに分岐する。
【0038】
以上述べたような本実施形態の光学フィルタ付き枠体1によれば、光学フィルタ2が所望の透過特性を示すように光学フィルタ2を傾斜させるための所定厚さの角度調整用薄膜4が形成されており、光学フィルタをこの角度調整用薄膜4を介して取付枠体3上に配するだけで取付面3dに対する最適な傾斜角に保持でき、光学フィルタ2を所望の傾斜角αにて精度良く且つ容易に傾斜させて取付枠体3に取付可能となる。
また、本実施形態の光学フィルタ付き枠体1によれば、予め光学フィルタ2を所望の傾斜角αにて取付枠体3に取り付けてあるので、光学フィルタ付き枠体1を有する光分岐装置10をインラインで組立てる工程で、傾斜角αが調整済みの光学フィルタ付き枠体1を用いることになる。よって、光学フィルタ2を取付枠体3に取付けた後に光学フィルタ2の傾斜角度を改めて調整する必要がなくなるので、インラインでの光分岐装置10の組立て工程の生産性及び実効的歩留まりを向上させることができる。
更に、光学フィルタ付き枠体1は、既に傾斜角αが調整済みなため、インライン上の光分岐装置10の組立て工程時において非常にハンドリング性に優れたものとなる。
【0039】
このように構成される本実施形態に係る光学フィルタ付き枠体1は、次のようにして製造される。図7は、光学フィルタ付き枠体1の製造工程を示すフローチャートである。
【0040】
まず、図7中のステップ1に示すように、ガラス基板上にTiO2/SiO2の薄膜を交互に数十層積層させて、光学フィルタ2を作製する。
【0041】
次に、図7中のステップ2に示すフィルタ特性評価を以下のようにして行う。
最初に、作製された光学フィルタ2を、入射光の入射角、即ち取付角度が、図4に示す角度cとなるように配し、例えば1553から1555[nm]間の複数の波長のそれぞれの光に対して、光学フィルタ2の各透過率を測定し、図8中の曲線の傾斜角α=0°の透過曲線を得る。
同様にして、光学フィルタ2の取付角度をc+α(α=1°,1.5°等)に変化させて光学フィルタ2を配し、各取付角度について、複数の波長における各透過率を測定して、図8中の曲線α=1°,1.5°等の透過曲線を得る。
このようにして、図8に示すような光学フィルタ2における波長対透過特性図を得て、図7中のステップ2に示すフィルタ特性評価を完了する。
【0042】
次に、図7中のステップ3に示すように、上述のステップ2にて得られた図8に示す光学フィルタ2の波長対透過特性図に基づいて、所望の波長が例えば1553.78[nm]であるとすると、この波長のときに透過率がピークである傾斜角αは、この図からα=1.5°であることが判明する。したがって、光学フィルタ2の取付枠体3への取付時における傾斜角αを1.5°と決定する。
なお、傾斜角の設定は、上記の実施形態では、図8に示す波長対透過特性図に基づき、所望の波長を基準としてこの波長のとき透過率がピークを取る傾斜角を決定しているが、この方法に限らない。例えば、透過曲線の傾きを基準としてその傾きγが所望の傾き数値である傾斜角を決定しても良い。
また、本実施形態では図8に示す波長対透過特性図を得ているが、本発明はこれに限らず、光学フィルタ2に所望波長λの光を入射角c+αを変化させながら照射して、透過率ピークをとるような傾斜角αを決定しても良い。
【0043】
次に、図7中のステップ4に示す取付枠体3の成形を以下のようにして行う。
最初に、図9Aに示すように、表面3f1が(100)面であるSi基板3fを用意する。
そして、図9Bに示すように、Si基板3fの両面を酸化させて両面にSiO2膜6を形成する。その後、両面のSiO2膜6上に、化学蒸着法(CVD)にてSiN膜7を各々成膜する。
その後、SiN膜7上にレジスト層を所定形状に形成してマスクとし、マスク形成後、SiN膜7をガスSF6を用いてドライエッチングによりエッチングし、次いで、SiO2膜6をBHF(NH4OH:HF=7:1)を用いてウエットエッチングして、図9Cに示すように、SiO2膜6及びSiN膜7が表面に一部残されたSi基板3fを形成する。
その後、図9Dに示すように、Si基板3fの表面に残ったSiO2膜6及びSiN膜7をマスクとして、KOH水溶液を用いてSi基板3fをエッチングし、Si基板3fを所望形状に残す。そして、マスクとして働いたSiO2膜6及びSiN膜7を、HF溶液により除去する。
このようにして、図7中のステップ4にて、貫通孔3a、傾斜面3b、突出部3c及びフィルタ取付面となる平坦な上面3c1が形成された取付枠体3の成形を完了する。
【0044】
なお、Si基板3fの表面3f1を(100)面とするのは、後述するようにSi基板をKOH水溶液にてウエットエッチングするためである。よって、取付枠体をウエットエッチングにより成形するのでなく、他のエッチング方法によって成形する場合は、Si基板3fである必要もなく、勿論その表面3f1をSiの(100)面とする必要もない。
【0045】
次に、図7中のステップ5にて、図10に示すように、成形後の取付枠体3の上面に所定形状のステンシルマスク3gを配する。そして、取付枠体3の突出部3cの一部3c2上に、Ni,Cr,TiO2,SiO2のうちの少なくとも何れかの材料を用いてスパッタリングにより、所定厚さの角度調整用薄膜4を薄膜形成する。
このとき、角度調整用薄膜4の膜厚は、図7中のステップ3にて決定した傾斜角度に基づき、光学フィルタ2をその決定した傾斜角をもって傾斜するように決められる。
【0046】
なお、例えば、図2及び図3に示すように、光学フィルタ2の長手方向の長さlが1.4mmである場合、この光学フィルタ2を傾斜させる傾斜角αを1°とするには、角度調整用薄膜4の膜厚dを(d=l.4×sinα=l.4×sin(1°)=)24μmとすれば良い。同様に、例えば、傾斜角αを1.5°とするには膜厚dを36μm、αを2°ならdを48μmとすれば良い。
また、角度調整用薄膜4がスパッタリングにより形成される場合、傾斜角の角度調整誤差は、スパッタリングによる膜厚誤差に依存するが、通常スパッタリングによる膜厚誤差は3%程度であるので、例えば傾斜角を2°とすると、傾斜角に±0.06°レベルの誤差が生じるだけであるため、高精度な傾斜角設定が可能である。
【0047】
このように光学フィルタ2を傾斜させる段差形成手段として角度調整用薄膜4を薄膜形成することにより、非常に容易に且つ精度良く段差を形成することができる。
【0048】
最後に、図7中のステップ6にて、図11に示すように、ステンシルマスク3gを除去し、角度調整用薄膜4を介して取付枠体3の突出部3cの上面3c1上に光学フィルタ2を載置し、光学フィルタ2の両側面2a,2bと取付枠体3の内部の傾斜面3bとの間にUV樹脂5を配して、光学フィルタ2を取付枠体3に取付ける。
このようにして、図5に示すように所望波長λにて透過率ピークをとるように、光学フィルタ2を角度調整用薄膜4により予め傾斜角αにて傾斜した状態で取付枠体3に取付けらた光学フィルタ付き枠体1を得ることができる。
【0049】
以上述べたように、本実施形態の光学フィルタ付き枠体の製造方法によれば、取付枠体3の取付箇所の一部に角度調整用薄膜4を形成するので、容易に且つ精度良く角度調整用の段差が形成可能である。
しかも、本実施形態の光学フィルタ付き枠体1の製造方法によれば、予め光学フィルタ2を所望の傾斜角αにて取付枠体3に取り付けてあるので、光学フィルタ付き枠体1を有する光分岐装置10をインラインで組立てる工程において、傾斜角αが調整済みの光学フィルタ付き枠体1を用いることになる。よって、光学フィルタ2を取付枠体3に取付けた後に光学フィルタ2の傾斜角度を改めて調整する必要がなくなるので、インラインでの光分岐装置10の組立て工程の生産性を向上させることができる。
【0050】
つぎに、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図12は、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体を示す分解斜視図である。図13は、本実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の長手方向Fに沿って切断した断面図である。
【0051】
以下、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体20における光学フィルタ2は、第1の実施形態と同様な構成のもので良いため図中同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態の光学フィルタ付き枠体20は、第1の実施形態における光学フィルタ付き枠体1と同様に、図4に示す光分岐装置10に適用可能である。
【0052】
本実施形態の取付枠体21は、四角柱状をなし且つ中央部に光学フィルタ2を収納するための貫通する空洞部21aを有する。
【0053】
取付枠体21は、この空洞部21aを形成する内壁が、四方を囲んで形成された傾斜面21bと、これら傾斜面21bに繋がって四角状に囲みつつ内方へ突出する切欠き部21cとからなる。
特に、本実施形態では、図13に示すように、取付枠体21の四角状に囲む切欠き部21cの上面のうち一辺部21c1だけが取付枠体21の上面21aから深さDの位置に形成されており、残りの三辺部21c2が上面21aから深さDよりもd2分深い深さD’の位置に形成されている。これにより、取付枠体21の内部にて深さd2の角度調整用段差が設けられる。
ここで、深さd2は、光学フィルタ2が所望の波長で透過率ピークを取るように光学フィルタ2を傾斜させる傾斜角αを与える深さである。
【0054】
そして、光学フィルタ2が、この深さd2の段差を介して切欠き部21cの上面21c1、21c2上に載置される。これにより、光学フィルタ2が、取付枠体21の光分岐装置10への取付面21dに対して、所望の波長λにて透過率ピークをとるような傾斜角αをもって傾斜するように調整される。
【0055】
以上述べたような本実施形態の光学フィルタ付き枠体20によれば、光学フィルタ2が所望の透過特性を示すように光学フィルタ2を傾斜させる所定深さd2の角度調整用段差が、取付枠体21に形成されており、光学フィルタをこの角度調整用段差を介して取付枠体21上に配するだけで良いので、光学フィルタ2を所望の傾斜角αにて精度良く且つ容易に傾斜させて取付枠体21に取付られる。また、本実施形態の光学フィルタ付き枠体20によれば、予め光学フィルタ2を所望の傾斜角αにて取付枠体21に取り付けてあるので、光学フィルタ付き枠体20を有する光分岐装置10をインラインで組立てる工程で、光学フィルタ2の傾斜角度を改めて調整する必要がなく、光分岐装置10の組立て工程の生産性や実効的歩留まりを向上できる。
更に、光学フィルタ付き枠体20は、既に傾斜角αが調整済みなため、非常にハンドリング性に優れる。
【0056】
このように構成される本実施形態に係る光学フィルタ付き枠体20は、次のようにして製造される。図14は、光学フィルタ付き枠体20の製造工程を示すフローチャートである。
【0057】
本発明の第2の実施形態では、図14中のステップ1乃至4までが、第1の実施形態における図7中のステップ1乃至4と同じ工程である。
【0058】
そして、図14中ステップ5Aに示すように、ステップ4における取付枠体21の成形後に、図15に示すように、取付枠体21の上面の所定位置にエッチング用マスクをレジスト22にて形成し、ドライエッチングにより、取付枠体21の所定位置、即ち切欠き部21cの上面のうち1辺部21c1を除く部分を所定深さd2分研削して、角度調整用段差を形成する。
このとき、段差の深さd2は、図14中のステップ3にて決定した傾斜角度に基づき、光学フィルタ2を取付枠体21に取付けた際にその決定した傾斜角をもって傾斜するように決められている。
【0059】
なお、角度調整用段差の深さd2は、第1の実施形態の角度調整用薄膜4の厚さと同じような数値で形成されれば良い。
また、角度調整用段差はエッチングにより形成されるので、傾斜角の角度調整誤差は、エッチングレートのバラツキに依存するが、通常エッチングレートによる誤差は3%程度であるので、例えば傾斜角を2°とする場合、傾斜角に±0.06°レベルの誤差が生じるだけであるため、高精度な傾斜角設定が可能である。
【0060】
このように、光学フィルタ2を傾斜させる段差形成手段として、角度調整用段差をエッチングにより形成することにより、非常に容易に且つ精度良く段差を形成することができる。
なお、ここではエッチング用マスクをレジストにて形成しているが、ステンシルマスクを利用しても構わない。
【0061】
最後に、図14中ステップ6Aにて、図13に示すように、光学フィルタ2を角度調整用の段差が設けられた取付枠体21の切欠き部21cの上面に載置し、光学フィルタ2の両側面にUV樹脂5をかませて取付枠体21へ取付ける。
このようにして、図5に示すように所望波長λにて透過率ピークをとるように、光学フィルタ2を角度調整用段差により予め傾斜角αにて傾斜した状態で取付枠体21に取付けらた光学フィルタ付き枠体20を得ることができる。
【0062】
以上述べたように、本実施形態の光学フィルタ付き枠体20の製造方法によれば、光学フィルタ2を所望の傾斜角α傾斜させる段差を、エッチングにより取付枠体21を研削して形成するので、容易に且つ精度良く所定厚さの段差が形成可能である。
しかも、本実施形態の光学フィルタ付き枠体20の製造方法によれば、予め光学フィルタ2を所望の傾斜角αにて取付枠体21に取り付けてあるので、光学フィルタ付き枠体20を有する光分岐装置10をインラインで組立てる工程において、傾斜角αが調整済みの光学フィルタ付き枠体20を用いることになる。よって、光学フィルタ2を取付枠体21に取付けた後に光学フィルタ2の傾斜角度を改めて調整する必要がなくなるので、インラインでの光分岐装置10の組立て工程の生産性を向上させることができる。
【0063】
つぎに、本発明の第3の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図16は、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体30を示す断面図である。
以下、本発明の第3の実施形態における光学フィルタは、第1及び第2の実施形態と同様な光学フィルタ2で良いため、図中同一の符号を付し、その説明も省略する。なお、本実施形態の光学フィルタ付き枠体30は、第1及び第2の実施形態と同様に、図4に示す光分岐装置10に適用可能である。
【0064】
本発明の第3の実施形態における取付枠体31は、第1及び第2の実施形態の取付枠体3,21と同様に、四角柱状をなし且つ中央部に光学フィルタ2を収納するための貫通する空洞部31aを有する。
但し、本実施形態の取付枠体31は、図16に示すように、光分岐装置10に取付けられる取付面31bが傾斜角αで傾斜するような傾斜面となされている点が、第1及び第2の実施形態の取付枠体3,21と異なる点である。
【0065】
そして、この取付枠体31の内底面31cは平坦面となされており、この内底面31c上に光学フィルタ2が載置され、UV樹脂5により固定される。
これにより、取付枠体31の内底面31cが光分岐装置10の取付箇所の面に対して取付角度がcとなるように、取付枠体31の取付面31bが光分岐装置10に取付けられると、光学フィルタ2は、所望の透過特性を示すように傾斜角αにて傾斜された状態で取付枠体31に取付けられることになる。
【0066】
以上のべたような本実施形態の光学フィルタ付き枠体30によれば、光学フィルタ2が所望の透過特性を示す傾斜角αにて傾斜するように、光学フィルタ2を保持する取付枠体31の取付面31aが傾斜面となされているので、光学フィルタ2を単に取付枠体31の内底面31c上に載置するだけで、光学フィルタ2を所望の傾斜角αにて精度良く且つ容易に傾斜させることができる。
【0067】
このように構成される本実施形態に係る光学フィルタ付き枠体30は、次のようにして製造される。図17は、光学フィルタ付き枠体30の製造工程を示すフローチャートである。
【0068】
本発明の第3の実施形態では、図17中のステップ1乃至4までが、第1及び第2の実施形態における図7及び図14中のステップ1乃至4に示す工程と同じ工程である。
【0069】
このステップ4にて取付枠体31用基板、即ち取付面31aが傾斜面となされる前段階の取付枠体31が成形された後に、ステップ5Bに示すように、図示しない研磨装置にて取付面31bを研磨し、図18に示すように、取付面31bが傾斜角αで傾斜する傾斜面となされた取付枠体31が得られる。なお、取付枠体31の内底面31cは平坦面となされている。
最後に、ステップ6Bにて、この取付枠体31の内底面31c上に光学フィルタ2を載置し、UV樹脂5をかませて取付枠体31に光学フィルタ2を取付け固定し、図16に示すような光学フィルタ付き枠体30が得られる。
この光学フィルタ付き枠体30は、取付面31aを光分岐装置10の所定位置に取付けた際に、取付面31aが傾斜角αの傾斜面となされているので、光学フィルタ2が傾斜角αにて傾斜した状態となる。
【0070】
以上述べたように、本実施形態の光学フィルタ付き枠体30の製造方法によれば、光学フィルタ2を所望の傾斜角αに傾斜させるために、成形後の取付枠体31の取付面31bを傾斜角αで傾斜する傾斜面となるように研磨するので、光学フィルタ2を単に取付枠体31上に載置くだけで、容易に且つ精度良く光学フィルタ2を所望の傾斜角αにて傾斜可能となる。
しかも、本発明の光学フィルタ付き枠体30の製造方法によれば、予め光学フィルタ2が所望の傾斜角αにて傾斜するように、取付枠体31の形状を工夫してあるので、光学フィルタ付き枠体30を有する光分岐装置10をインラインで組立てる工程において、傾斜角αが調整済みの光学フィルタ付き枠体30を用いることができるので、光学フィルタ2の傾斜角αを改めて調整する必要がなくなり、生産性の向上に寄与することが可能となる。
【0071】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように、本発明によれば、光学フィルタが所望の透過特性を示すような傾斜角で傾斜させた状態で取付枠体に固定されるので、光学フィルタを取付枠体に取付け後に光学フィルタの傾斜角の微妙な調整をする手間を省くことが可能となり、精度良く光学フィルタを傾斜させた状態で保持することができる光学フィルタ付き枠体及びその製造方法を提供可能である。
詳しくは、本発明によれば、光学フィルタが所望の透過特性を示すように光学フィルタを傾斜させるための所定厚さの段差が取付枠体に設けられ、光学フィルタをこの段差を介して取付枠体上に配するだけで良いので、所望の透過特性を得るべく、光学フィルタを所定の傾斜角にて精度良く且つ容易に傾斜させて取付けた光学フィルタ付き枠体及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、光学フィルタ付き枠体を含む光学装置をインラインで組立てる工程において、傾斜角度が調整済みの光学フィルタ付き枠体を用いることができるので、光学フィルタの傾斜角度を改めて調整する必要がなくなり、生産性及び実効的歩留まりの向上を図ることが可能な光学フィルタ付き枠体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の分解斜視図である。
【図3】図3は、図1中の線3−3に沿って切断した断面図である。
【図4】光分岐装置の一例を示す模式図である。
【図5】光学フィルタの波長対透過特性図である。
【図6】光学フィルタを傾斜角度α傾けた状態を示す模式図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】光学フィルタの透過特性の傾斜角依存性を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の製造工程において、取付枠体を成形する工程を説明する断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の製造工程において、角度調整用薄膜を形成する工程を説明する断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の製造工程において、光学フィルタを取付枠体に載置する工程を説明する断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体を示す分解斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の長手方向に沿って切断した断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の製造工程を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の製造工程において、角度調整用段差を取付枠体に形成する工程を説明する断面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体を示す断面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の製造工程を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る光学フィルタ付き枠体の製造工程において、取付枠体を研磨する工程を説明する断面図である。
【図19】従来の製造後の光学フィルタにて、透過率のピークを取る主波長λ’に若干のずれ(λ’−λ)があることを説明する波長対透過特性図である。
【図20】従来の光学フィルタ付き枠体が搭載された光分岐装置の模式図である。
【図21】光学フィルタを傾斜角εにて傾斜させた状態を示す模式図である。
【図22】従来の角度調整手段を内蔵する光学フィルタ付き枠体を示す断面図である。
【符号の説明】
1,20,30 光学フィルタ付き枠体
2 光学フィルタ
3,21,31 取付枠体
3c 突出部
3d 取付面
4 角度調整用薄膜
10 光分岐装置
11,12,13 光ファイバ
14,15,16 コリメータレンズ
α 傾斜角
d2 深さ
50 光分岐装置
52 光学フィルタ
53 取付枠体
54 光学フィルタ付き枠体
63 調整ネジ

Claims (5)

  1. 基板に多層膜を積層して光学フィルタを作製し、所望の入射光の所定入射角に対して、前記光学フィルタが所望の透過特性を示すような前記光学フィルタの傾斜角を決定し、前記光学フィルタを取付ける取付箇所を有する取付枠体を成形し、前記取付枠体の前記取付箇所に、前記取付枠体が取付けられる取付面に対して前記光学フィルタを前記傾斜角で傾斜させるための所定の段差あるいは傾斜を形成し、次いで、前記光学フィルタを、前記取付面に対して前記傾斜角で傾斜させて前記取付枠体上に取り付けることを特徴とする光学フィルタ付き枠体の製造方法。
  2. 前記段差が、
    前記取付枠体の前記取付箇所の一部に、所定の厚さの角度調整用薄膜を成膜することにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ付き枠体の製造方法。
  3. 前記段差が、前記取付枠体の前記取付箇所の一部、所定深さエッチングすることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ付き枠体の製造方法。
  4. 前記段差が、前記取付枠体の前記取付面を前記傾斜角にて傾斜する面となるよう研磨することにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ付き枠体の製造方法。
  5. 前記取付枠体がSiからなることを特徴とする請求項1から4記載の光学フィルタ付き枠体の製造方法。
JP2001394309A 2001-12-26 2001-12-26 光学フィルタ付き枠体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4027089B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001394309A JP4027089B2 (ja) 2001-12-26 2001-12-26 光学フィルタ付き枠体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001394309A JP4027089B2 (ja) 2001-12-26 2001-12-26 光学フィルタ付き枠体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003195136A JP2003195136A (ja) 2003-07-09
JP4027089B2 true JP4027089B2 (ja) 2007-12-26

Family

ID=27601078

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001394309A Expired - Fee Related JP4027089B2 (ja) 2001-12-26 2001-12-26 光学フィルタ付き枠体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4027089B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5084327B2 (ja) * 2007-04-04 2012-11-28 オリンパス株式会社 偏心検査装置及び偏心調整装置
JP5412247B2 (ja) * 2009-11-11 2014-02-12 キヤノン電子株式会社 光学フィルタ
DE102015202137A1 (de) * 2015-02-06 2016-08-11 Olympus Winter & Ibe Gmbh Okular für ein chirurgisches Instrument
JP7335969B2 (ja) * 2019-09-27 2023-08-30 富士フイルム株式会社 光学素子、光学装置、撮像装置、及び光学素子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003195136A (ja) 2003-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3302458B2 (ja) 集積化光装置及び製造方法
US7184214B2 (en) Diffraction grating element, production method of diffraction grating element, and method of designing diffraction grating element
US7184630B2 (en) Optical coupling module with self-aligned etched grooves and method for fabricating the same
JP4869634B2 (ja) ウエハスケール・パッケージ用のリッドおよびその形成方法
US20040057653A1 (en) Integrated optical element, integrated optical element fabrication method, and light source module
US6606199B2 (en) Graded thickness optical element and method of manufacture therefor
JP4764373B2 (ja) 光導波回路およびその作製方法
US20050238067A1 (en) Simple fiber optic cavity
EP2214037A1 (en) Diffraction grating element, and production method of diffraction grating element
US10720746B2 (en) Optical element and method for manufacturing optical element
JP4027089B2 (ja) 光学フィルタ付き枠体及びその製造方法
CN106233176B (zh) 光栅元件的安装结构的制造方法
JP4240890B2 (ja) 光学素子の製造方法および光学素子
JP2007299773A (ja) 波長可変光フィルター及びこれを用いた外部共振器型半導体レーザ装置
US7020366B2 (en) Light emitting device, optical module, and grating chip
KR20020041755A (ko) 광하이브리드모듈 및 그 광디바이스 및 그광디바이스용반제품
US20050084201A1 (en) Optical bench for mounting optical element and manufacturing method thereof
JP4113478B2 (ja) 2次元フォトニック結晶光デバイスの製造方法
JP2010266662A (ja) 光学素子が搭載された光導波路基板及びその製造方法
KR101183882B1 (ko) 정전기력 파장 가변 필터 제작방법
JP4219677B2 (ja) 光学装置の製造方法
US20090060415A1 (en) Fiber optic cavity
KR20050070263A (ko) 복합형 광소자, 복합형 광소자용 실리콘 광학 벤치,복합형 광소자용 평면형 광도파로 소자, 복합형 광소자의제조방법, 및 이를 위한 광소자의 광축 정렬 방법
US20040066809A1 (en) Optical resonator and wavenlength control module using the resonator
JP2862037B2 (ja) 低反射率膜を設けた多波長の半導体レーザ及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040603

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060424

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070717

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070822

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070918

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071009

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101019

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101019

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees