JP4025050B2 - ホットメルト接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホットメルト接着剤に関し、特に生分解性を有するため環境に残留しないホットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の接着剤はその多くが有機溶剤を含有しており、安全性において問題があった。また、ホルマリンなどを含有する反応型の接着剤は、溶剤ともどもシックハウス症候群の原因物質になることが指摘されている。
【0003】
これを改善するために溶剤を含有しないホットメルト型の接着剤が開発されたが、接着剤自体が通常非常に安定な物質であるため、廃棄後、環境に残留したり、焼却時に有毒ガスを発生したりする場合があり、なお問題が残されていた。
【0004】
これらの点を考慮して、例えば、特開平5−339557号では、生分解性を有するポリ乳酸系熱可塑性樹脂を利用したホットメルト型接着剤を開示している。しかし、これは、塗布にホットメルトガンやホットメルトアプリケーターといった特殊な設備を要するものであり、利便性に劣っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、有機溶剤その他の有害物質を含有せず、また、生分解性を有するため廃棄後環境に残留せず、しかも、塗布に特殊な設備を要しないホットメルト接着剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1のホットメルト接着剤は、上記の課題を解決するために、ポリエステル系生分解性樹脂を乳化剤で乳化してなり、前記樹脂中のカルボン酸がアルカリ性物質で中和された生分解性樹脂エマルジョンからなる組成物により形成された生分解性を有するホットメルト接着剤であって、上記ポリエステル系生分解性樹脂がヒドロキシアルカン酸の単独重合物又はそれらの共重合物であり、上記乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれた非イオン界面活性剤を20〜100重量%含有するものを用いて得られ、塗膜、シート状物又は粉体であるものとする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるポリエステル系生分解性樹脂エマルジョンは、ポリエステル系生分解性樹脂を乳化剤で乳化してなり、樹脂中に含まれるカルボン酸がアルカリ物質で中和されたものである。
【0008】
ポリエステル系生分解性樹脂は、従来から用いられている生分解性ポリエステル系高分子化合物であって、残留(未反応)モノマー及び/又はオリゴマーを含んでいてもよく、これらのモノマー、オリゴマー、又はポリマーの末端にカルボキシル基を有するものである。
【0009】
具体例としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、リンゴ酸、グリコール酸等のヒドロキシアルカン酸、又はε−カプロラクトンの単独重合物、あるいはこれらの共重合物が挙げられる。
【0010】
また、コハク酸とエチレングリコール及び/又はブチレングリコールの末端カルボン酸共重合物や、これらの残留モノマーや末端カルボン酸オリゴマー化物を含んだ、コハク酸とエチレングリコール及び/又はブチレングリコールの末端アルコール共重合物も使用可能である。
【0011】
中和に使用するアルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の一般的なアルカリ性物質を使用することができる。接着剤の用途によっては、安全性が高いという点から、アミノ糖類が好適に用いられ、その例としては、カルボキシメチルセルロースのアミン変性物、2−アミノ−β−D−グルコピラノシド等の変性糖・多糖類が挙げられるが、中でも、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、キトサンなどの生体由来のバイオマスアミンが好適に用いられる。樹脂中のカルボン酸をこれらのアルカリ性物質で中和することにより、樹脂エマルジョンの貯蔵安定性を向上させることができる。
【0012】
本発明で用いる乳化剤は、非イオン系界面活性剤を20〜100重量%含有することが好ましく、50〜100重量%含有することがより好ましい。このように非イオン系界面活性を特定量以上含有する乳化剤を用いることにより、水系状態でのpHを4〜7に安定して保持することができ、エマルジョンの長期貯蔵性がより優れたものとなる。
【0013】
また、非イオン系界面活性剤は低分子量であることが好ましく、分子量(Mw)は3000以下が好ましく、1500以下がより好ましい。従来、界面活性剤が経時的に塗膜表面にブリードアウトすることによる不具合の発生等の問題があったが、低分子量の乳化剤を用いることにより、エマルジョン乾燥時に大部分が表面に移行し、必要に応じて、これを一度の水洗いで除去することが可能となる。
【0014】
非イオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンラウリルエーテルやポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が好ましい。
【0015】
本発明で用いる乳化剤においては、上記非イオン系界面活性剤以外に、アニオン系、カチオン系、あるいは両性の各種イオン系界面活性剤を用いることもできる。
【0016】
アニオン系界面活性剤の例としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。また、カチオン系界面活性剤の例としてはアルキルアンモニウム塩、両性界面活性剤の例としてはアルキル(アミド)ベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0017】
上記乳化剤の使用量は、通常は、ポリエステル系生分解性樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部(但し、固形分換算)である。
【0018】
ポリエステル系生分解性樹脂を乳化剤を用いて乳化する具体的な方法は特に限定されず、従来から用いられている一般的な乳化方法を採ることができる。
【0019】
例えば、ポリエステル系生分解性樹脂を、これを溶解できる溶媒に溶解して、乳化剤を添加した後、水を徐々に加える方法が用いられる。ここで溶媒としては、例えば、ブタノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の芳香族系溶媒、ジクロロメタン等の塩素系溶媒等が使用可能である。
【0020】
あるいは、ポリエステル系生分解性樹脂を上記のような溶媒に溶解した後、乳化剤水溶液を加えて一気に転相点に到達させ、その後水希釈する方法や、ポリエステル系生分解性樹脂をその溶融温度まで昇温し、乳化剤を混合後、温水を加えて乳化する方法等も用いることができる。
【0021】
本発明のホットメルト接着剤は、上記生分解性樹脂エマルジョンからなる組成物を塗膜、シート状物又は粉末にしたものである。組成物は、上記エマルジョンのみからなるものとしてもよいが、必要に応じて、粘着性付与剤、充填剤、増粘剤、軟化剤、酸化防止剤等の各種安定剤、着色剤、滑剤、架橋剤、その他公知の添加物をさらに含有するものとしてもよい。また、本発明の目的に反しない範囲で、現在使用されている各種樹脂エマルジョンを配合することも可能である。
【0022】
エマルジョンからなる組成物から塗膜を形成するには、組成物を被着体に塗布した後乾燥すればよく、シート状物を形成するには、剥離紙等に塗布して乾燥後剥離すればよい。塗布の方法は特に限定されず、各種コーターによる塗布、ハケ塗り、スプレー塗布、浸漬等の一般的な塗布方法が適宜用いられる。
【0023】
また、エマルジョンからなる組成物を粉体化する方法も特に限定されず、例えば、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、パルス衝撃乾燥などの公知の手法を適宜用いることができる。
【0024】
本発明のホットメルト接着剤で接着する被着体としては、繊維、紙、パルプ、木材などの多孔質基材が特に適している。
【0025】
上記のような被着体上に、エマルジョンからなる組成物を塗布後乾燥して塗膜を形成し、あるいはシート状物であれば載置し、又は粉体であれば散布したのち、他方の被着体を圧着させ、110℃以上で熱処理することにより、被着体を相互に接着させることができる。
【0026】
本発明のホットメルト接着剤は、有機溶剤を使用しないため安全性が高いのみならず、上記のように水系組成物の状態で被着物に塗布したり、シート状物や粉末の状態で接着に適用することができるものであるため、ホットメルト接着剤の塗布に通常必要とされる特殊な装置がなくても使用でき、汎用性が高い。
【0027】
また、生分解性を有するので、紙や布、木材等の生分解性を有する資材に使用した場合に、コンポスト可能な製品が得られる。
【0028】
さらに、シックハウス症候群を引き起こすようなその他の有害物質をまったく含有せず、使用後焼却しても有毒ガスを一切発生しない処方とすることが可能である。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0030】
〔実施例1〕
ポリ乳酸樹脂(島津製作所(株);LACTY9800)50部にラウリン酸スクロース(第一工業製薬(株);コスメライクL−160、分子量538)4.5部とスルホコハク酸ジオクチルナトリウム液(第一工業製薬(株);ネオコールSW−C、分子量508)0.7部を添加し、ホモディスパーによる攪拌下、水51部を段階的に添加して乳化体とした後、28%アンモニア水0.35部で中和し、白濁液状の乳化物(固形分50%、粒径0.7μm、pH7.2)110部を得た。
【0031】
〔実施例2〕
実施例1と同様にして調整したエマルジョンを、パルス衝撃波型乾燥機にかけて、粉末化した。
【0032】
実施例1のエマルジョンを板材(ベニヤ板)にNo.10のバーコーターにて塗工し、風乾後、布(綿100%、ブロード)と紙(中性上質紙の板紙、坪量255g/m2、厚さ0.31〜0.32mm)をそれぞれ密着させ、アイロン(120〜130℃)にて10秒間熱圧着した。
【0033】
また、実施例2の粉末を板材(ベニヤ板)に散布し、布(綿100%、ブロード)と紙(中性上質紙の板紙、坪量255g/m2、厚さ0.31〜0.32mm)をそれぞれ密着させ、アイロン(120〜130℃)にて10秒間熱圧着した。
【0034】
各試料の接着性を剥離面の目視観察により評価した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
次に、実施例1のサンプルを用いて布(綿100%、ブロード)同士を接着し、ポリエステル製のネットに入れて畑地に埋設し、外観の変化を観察し、生分解性を評価した。ブランクとして、同じ布の単独での生分解性を同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】
本発明のホットメルト接着剤は、有機溶剤その他の有害物質を含有しないので安全性が高く、また、生分解性を有するため廃棄後環境に残留しない。また、塗布に特殊な設備を要しないので、汎用性が高い。
Claims (1)
- ポリエステル系生分解性樹脂を乳化剤で乳化してなり、前記樹脂中のカルボン酸がアルカリ性物質で中和された生分解性樹脂エマルジョンからなる組成物により形成された生分解性を有するホットメルト接着剤であって、
前記ポリエステル系生分解性樹脂がヒドロキシアルカン酸の単独重合物又はそれらの共重合物であり、
前記乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれた非イオン界面活性剤を20〜100重量%含有するものを用いて得られ、
塗膜、シート状物又は粉末である
ことを特徴とするホットメルト接着剤。
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