JP4024030B2 - 画像認識装置、プログラム、記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像認識装置、プログラム、記録媒体に係り、詳しくは、再帰性反射材によって形成された被認識体を認識するための画像認識装置と、その画像認識装置を実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラム、そのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、従来より、描画された複数種類の模様(例えば、○印、×印など)をビデオカメラによって撮影し、そのビデオカメラが撮影した模様の種類を判別する画像認識装置を開発販売している。
この画像認識装置は、例えば、広い会場に集まった人々の意見を聞く際に、○印が描かれた札と×印が描かれた札との2枚の札を会場の人々に持たせ、賛成者には○印の札を掲げさせると共に反対者には×印の札を掲げさせた場合に、人々が掲げた札の印を判別し、掲げられた○印の札と×印の札のそれぞれの枚数を数えるといった用途に使用することができる。
具体的には、NHK紅白歌合戦で、会場の一般審査員が掲げた紅色の札と白色の札とのそれぞれの枚数を数える際に、現在は野鳥の会の会員が目視して数えている作業を、この画像認識装置に代替させて正確かつ迅速に行わせることが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この画像認識装置では、設定されている模様とそれに類似した模様とを正確に区別することができない場合があった。
例えば、上記使用例において、札に描画された○印または×印と類似した模様の服を着用している人が会場内にいる場合、その服の模様と札の印とを正確に区別できないことがあった。
そこで、このような場合でも、設定されている模様(札の印)とそれに類似した模様(服の模様)とを正確に区別することが可能な画像認識装置が要求されている。
【0004】
本発明は上記要求を満足するためになされたものであって、以下の目的を有するものである。
(1)正確な画像認識が可能な画像認識装置を提供する。
(2)上記(1)の画像認識装置を実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供する。
(3)上記(1)の画像認識装置を実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段・作用および発明の効果】
係る目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、再帰性反射材によって形成された被認識体と、その被認識体に向けて光を照射する第1照明手段および第2照明手段と、その第1照明手段および第2照明手段は所定間隔だけ離間されて配置されていることと、第1照明手段または第2照明手段の照射光が前記被認識体で反射された反射光を撮影する撮影手段と、その撮影手段は第1照明手段の近傍に配置されていることと、第1照明手段および第2照明手段を制御し、第1照明手段による光の照射と、第2照明手段による光の照射とを切り替える照明制御手段と、第1照明手段および第2照明手段による光の照射時における前記撮影手段の撮影結果に基づいて、前記撮影手段の撮影画像が前記被認識体に相当することを特定する画像特定手段とを備えた画像認識装置をその要旨とする。
【0006】
従って、請求項1に記載の発明によれば、再帰性反射材によって形成された被認識体と、鏡面体を除く反射性を備えた物品(つや消し白色の物品)および発光体とを確実に区別して正確な画像認識を行うことができる。
【0007】
次に、請求項2に記載の発明は、再帰性反射材によって形成された被認識体と、その被認識体に向けて光を照射する第1照明手段および第2照明手段と、その第1照明手段および第2照明手段は所定間隔だけ離間されて配置されていることと、第1照明手段または第2照明手段の照射光が前記被認識体で反射された反射光を撮影する第1撮影手段および第2撮影手段と、その第1撮影手段は第1照明手段の近傍に配置され、第2撮影手段は第2照明手段の近傍に配置されていることと、第1照明手段および第2照明手段を制御し、第1照明手段による光の照射と、第2照明手段による光の照射とを切り替える照明制御手段と、第1照明手段および第2照明手段による光の照射時における第1撮影手段の撮影結果と、第1照明手段および第2照明手段による光の照射時における第2撮影手段の撮影結果とに基づいて、第1撮影手段および第2撮影手段の撮影画像が前記被認識体に相当することを特定する画像特定手段とを備えた画像認識装置をその要旨とする。
【0008】
従って、請求項2に記載の発明によれば、再帰性反射材によって形成された被認識体と、反射性を備えた物品(鏡面体、つや消し白色の物品)および発光体とを確実に区別して正確な画像認識を行うことができる。
【0009】
ところで、請求項3に記載の発明のように、請求項1に記載の画像認識装置において、前記特定手段は、第1照明手段による光の照射時に前記撮影手段が撮影した撮影画像の輝度と、第2照明手段による光の照射時に前記撮影手段が撮影した撮影画像の輝度との差分である輝度差分値に基づいて、前記撮影手段の撮影画像が前記被認識体に相当することを特定するようにすればよい。
従って、請求項3に記載の発明によれば、特定手段において撮影手段の撮影画像が被認識体に相当することを確実に特定することが可能になり、請求項1に記載の発明の効果をさらに高めることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明のように、請求項2に記載の画像認識装置において、前記特定手段は、第1照明手段による光の照射時に第1撮影手段が撮影した撮影画像の輝度と、第2照明手段による光の照射時に第1撮影手段が撮影した撮影画像の輝度との差分である第1輝度差分値を演算すると共に、第2照明手段による光の照射時に第2撮影手段が撮影した撮影画像の輝度と、第1照明手段による光の照射時に第2撮影手段が撮影した撮影画像の輝度との差分である第2輝度差分値を演算し、第1輝度差分値と第2輝度差分値に基づいて、前記撮影手段の撮影画像が前記被認識体に相当することを特定するようにすればよい。
従って、請求項4に記載の発明によれば、特定手段において撮影手段の撮影画像が被認識体に相当することを確実に特定することが可能になり、請求項2に記載の発明の効果をさらに高めることができる。
【0011】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項2または請求項4に記載の画像認識装置において、第1撮影手段と第2撮影手段の視差によって生じる各撮影手段の撮影画像における位置ズレを補正する視差補正手段を備え、前記画像特定手段は、前記視差補正手段によって視差が補正された撮影画像について、当該撮影画像が前記被認識体に相当することを特定する。
従って、請求項5に記載の発明によれば、第1撮影手段と第2撮影手段の視差を補正することで、特定手段において撮影手段の撮影画像が被認識体に相当することを確実に特定することが可能になり、請求項2または請求項4に記載の発明の効果をさらに高めることができる。
【0012】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像認識装置において、前記被認識体には、再帰性反射材によって模様が形成されており、前記画像特定手段によって前記被認識体に相当することが特定された前記撮影手段の撮影画像から、再帰性反射材によって前記被認識体に形成された模様を判定する模様判定手段を備えたことをその要旨とする。
従って、請求項6に記載の発明によれば、再帰性反射材によって被認識体に形成された模様と、反射性を備えた物品に形成された類似模様および発光体とを確実に区別することが可能になり、再帰性反射材によって被認識体に形成された模様のみを正確に判別することができる。
【0013】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像認識装置において、前記照明制御手段は、前記撮影手段の撮影に合わせて、第1照明手段および第2照明手段から所定時間だけ光を照射させることをその要旨とする。
従って、請求項7に記載の発明によれば、特定手段において撮影手段の撮影画像が被認識体に相当することを正確に特定するために、照明手段が照射する光の強度を最適化することができる。
【0014】
次に、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像認識装置において、前記照明手段は、赤外光を照射することをその要旨とする。
従って、請求項8に記載の発明によれば、可視光線の影響を回避して、特定手段において撮影手段の撮影画像が被認識体に相当することを確実に特定することができる。
【0015】
次に、請求項9に記載のプログラムは、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像認識装置における前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供するものである。
つまり、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像認識装置における前記各手段を実現するための機能は、コンピュータシステムで実行されるプログラムとして備えることができる。
【0016】
次に、請求項10に記載の記録媒体は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像認識装置における前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供するものである。
このようなプログラムの場合、例えば、ROMやバックアップRAMをコンピュータで読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いることができる。
この他、半導体メモリ(スマートメディア,メモリスティックなど),ハードディスク,フロッピーディスク,データカード(ICカード,磁気カードなど),光ディスク(CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVDなど),光磁気ディスク(MOなど),相変化ディスク,磁気テープなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に前記プログラムを記録しておき、そのプログラムを必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いてもよい。
【0017】
尚、上述した[特許請求の範囲]および[課題を解決するための手段および発明の効果]に記載した構成要素と、後述する[発明の実施の形態]に記載した構成部材との対応関係は以下のようになっている。
「被認識体」は、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様に該当する。
「第1照明手段」はライト12aに該当する。
「第2照明手段」はライト12bに該当する。
【0018】
「撮影手段」「第1撮影手段」は、ビデオカメラ11aおよび同期信号検出回路21と、ビデオキャプチャカード51が差し込まれたコンピュータシステム41が実行する撮影制御処理(S200)とに該当する。
「照明制御手段」は、同期信号検出回路21およびライト制御回路31と、ビデオキャプチャカード51が差し込まれたコンピュータシステム41が実行する点灯時間設定処理(S120)および点灯制御処理(S300)とに該当する。
【0019】
「画像特定手段」は、ビデオキャプチャカード51が差し込まれたコンピュータシステム41が実行する画像処理(S400。特に、ラベル検出処理(S420)および再帰性反射材特定処理(S440))に該当する。
「第2撮影手段」は、ビデオカメラ11bおよび同期信号検出回路21と、ビデオキャプチャカード51が差し込まれたコンピュータシステム41が実行する撮影制御処理(S200)とに該当する。
「第1輝度差分値」は、輝度差分値(A1’ーA2’)に該当する。
「第2輝度差分値」は、輝度差分値(B2’ーB1’)に該当する。
【0020】
「視差補正手段」は、コンピュータシステム41が実行する視差補正処理(S430)に該当する。
「模様判定手段」は、コンピュータシステム41が実行する模様判定処理(S450)に該当する。
「プログラム」は、CPU42aが実行するS100〜S500の処理に該当する。
「記録媒体」は、ROM42bまたは記録媒体45aに該当する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照して説明する。
[画像認識装置の主要構成]
図1は、本実施形態の画像認識装置10の電気的構成を示すブロック回路図である。
画像認識装置10は、ビデオカメラ11a,11b、ライト12a,12b、同期信号検出回路21、ライト制御回路31、コンピュータシステム41、ビデオキャプチャカード51から構成されている。
【0022】
2台のビデオカメラ(テレビカメラ)11a,11bは同一構成をとり、それぞれの撮影レンズ11cの中心を距離d(例えば、数十cm)だけ離間させて水平方向に平行配置されている。尚、各ビデオカメラ11a,11bには、撮像素子としてCCDを使用する一般的なものを用いればよい。また、各ビデオカメラ11a,11bの撮影レンズ11cには、後述する各ライト12a,12bが照射する赤外光のみを通過させる赤外線フィルタ(図示略)が取り付けられている。
ビデオカメラ11aは、ビデオ信号(映像信号)Va、垂直同期信号VD、水平同期信号HDを生成して出力する。
ビデオカメラ11bは、ビデオカメラ11aの出力した各同期信号VD,HDに従ってビデオカメラ11aと同期動作を行い、ビデオ信号Vbを生成して出力する。
【0023】
2台のライト12a,12bは同一構成をとり、赤外光(赤外線)を投光(照射)する発光素子から構成されている。尚、そのような赤外線発光素子としては、例えば、赤外線電球、赤外線発光ダイオード(LED)、その他の半導体発光素子(レーザダイオードなど)、電界発光(EL:Electro Luminescence)素子などがある。
【0024】
ライト12aは、その投光部12cが、ビデオカメラ11bの撮影レンズ11cからできるだけ離れると共に、ビデオカメラ11aの撮影レンズ11cにできるだけ近い位置に配置されている。また、ライト12bは、その投光部12cが、ビデオカメラ11aの撮影レンズ11cからできるだけ離れると共に、ビデオカメラ11bの撮影レンズ11cにできるだけ近い位置に配置されている。
つまり、平行配置された各ビデオカメラ11a,11bに対して、ライト12aの投光部12cはビデオカメラ11aの撮影レンズ11cに近接してその外側に配置されると共に、ライト12bの投光部12cはビデオカメラ11bの撮影レンズ11cに近接してその外側に配置されている。
【0025】
同期信号検出回路21は、ビデオカメラ11aの出力したビデオ信号Vaから奇数フィールド同期信号Oddおよび偶数フィールド同期信号Evenを生成して出力する。
ライト制御回路31は、コンピュータシステム41によって制御され、コンピュータシステム41の出力した制御コマンドCMと、同期信号検出回路21の出力した各同期信号Odd,Evenとに基づいて、各ライト制御信号Ma,MbおよびトリガTGを生成して出力する。
そして、ライト12aはライト制御回路31の出力したライト制御信号Maによって点灯が制御され、ライト12bはライト制御回路31の出力したライト制御信号Mbによって点灯が制御される。尚、後述するように、各ライト12a,12bが同時に点灯されることはない。
【0026】
コンピュータシステム41は、コンピュータ本体42、入力装置43、出力装置44、外部記憶装置45から構成されている。
コンピュータ本体42は、CPU42a,ROM42b,RAM42c,入出力(I/O)回路42dを有する周知のマイクロコンピュータを含んで構成されており、制御コマンドCMを生成して出力する。尚、コンピュータ本体42には、パーソナルコンピュータを用いればよい。
【0027】
入力装置43は、例えば、キーボードやポインティングデバイスなどから構成されており、画像認識装置10のオペレータからの指示命令をデータ信号に変換し、そのデータ信号をコンピュータ本体42のI/O回路42dを介してCPU42aへ転送する。
出力装置44は、例えば、ディスプレイやプリンタなどから構成されており、コンピュータ本体42のI/O回路42dを介して転送されてくるCPU42aの処理結果を画像認識装置10のオペレータに通知する。
【0028】
外部記憶装置45は、例えば、フロッピーディスクドライブ、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブなどから構成されており、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(記憶媒体)45aに記録されているデータ信号を読み出し、そのデータ信号をコンピュータ本体42のI/O回路42dを介してCPU42aへ転送すると共に、I/O回路42dを介して転送されてくるCPU42aからのデータ信号を記録媒体45aに書き込んで記録(記憶)させる。
【0029】
尚、記録媒体45aには、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、データカード(ICカード,磁気カードなど)、光ディスク(CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、相変化ディスク、磁気テープなど)、半導体メモリ(メモリスティック,スマートメディアなど)などがある。
【0030】
ビデオキャプチャカード(ビデオキャプチャボード)51は、コンピュータ本体12の拡張スロット(図示略)に差し込んで使用される。尚、ビデオキャプチャカード51は、コンピュータ本体12に接続されるビデオデジタイザに置き代えてもよい。
ビデオキャプチャカード51は、ライト制御回路31の出力したトリガTGに基づいて、各ビデオカメラ11a,11bの出力したアナログ信号である各ビデオ信号Va,VbをA/D変換することにより、各ビデオ信号Va,Vbをコンピュータシステム41内で処理可能な(取込可能な)信号形式に変換してコンピュータ本体42に転送する。
【0031】
[模様が付された札の構成]
図2は、画像認識装置10が判別する模様が付された札71の構造を示す図面であり、図2(A)(B)は札71の正面図、図2(C)は札71の右側面図である。
札71は、板材72および再帰性反射材73から構成されている。
板材72は、一辺の長さが数cm〜数十cmの略矩形状の平板部72aと、その平板部72aの下辺から突設された把手部72bとを備えている。
【0032】
薄板状の再帰性反射材73は、板材72の平板部72aの表面側に貼付されている。図2(A)は、円形に切り抜かれた再帰性反射材73によって○印の模様が形成されている例を示す。また、図2(B)は、バッテン形に切り抜かれた再帰性反射材73によって×印の模様が形成されている例を示す。
尚、再帰性反射材73によって形成される模様は、○印および×印に限らず、後述する模様判定処理(S450)で判定可能な模様であれば、どのような模様であってもよい。
また、板材72の平板部72aの表面側と裏面側の両面に再帰性反射材73を貼付し、それら再帰性反射材73によって札71の両面に異なる模様を形成してもよい。
【0033】
再帰性反射材73は、再帰性反射機能(鏡面反射や通常の物体表面の乱反射とは異なり、光がどのような方向から照射されても光源に向かってそのまま反射する機能)を備えた反射材である。
再帰性反射材73としては、どのようなタイプを使用してもよいが、例えば、以下のタイプがある。
【0034】
▲1▼透明合成樹脂製の小型のプリズム(三角錐)を光学的に組み合わせたタイプ(一般に、自動車の反射器として使用されるもの)。
▲2▼各種シート材料(合成樹脂シートなど)の表面に極小プリズム(マイクロプリズム)を均一に多数個貼付したタイプ。
▲3▼各種シート材料の表面に反射層(アルミニウム蒸着膜など)を設け、その反射層の表面に透明合成樹脂や透明ガラスの極小ビーズ(マイクロプリズム)を均一に多数個貼付したタイプ。
【0035】
[実施形態の使用状態]
画像認識装置10は、例えば、広い会場に集まった人々の意見を聞く際に、再帰性反射材73によって○印が形成された札(図2(A))と×印が形成された札71(図2(B))との2枚の札71を会場の人々に持たせ、賛成者には○印の札71を掲げさせると共に反対者には×印の札71を掲げさせた場合に、人々が掲げた札71の印を判別し、掲げられた○印の札71と×印の札71のそれぞれの枚数を数えるといった用途に使用することができる。
【0036】
この使用例において、画像認識装置10のオペレータは、会場に集まった人々を見渡せる会場内の適宜な箇所に各ビデオカメラ11a,11bおよび各ライト12a,12bを設置する。そして、後述するように各ライト12a,12bを点灯させ、人々が掲げた札71に貼付された再帰性反射材73に各ライト12a,12bの光を照射させて、その反射光を各ビデオカメラ11a,11bによって撮影させる。
【0037】
このとき、会場内には、札71以外にも反射性を備えた様々な物品が存在している。そのような反射性を備えた物品は、つや消し白色の物品(例えば、紙、ワイシャツに代表される白色の布など)と、鏡面体(例えば、つやのある物品、鏡、金属など)とに大別される。
また、会場内には、照明(電球、蛍光灯など)や非常灯などの発光体が存在している。
【0038】
図3は、各ライト12a,12bの点灯を切り替えた際に、各ビデオカメラ11a,11bが撮影した光の輝度(明るさ、照度)を示す図表である。尚、図3に示す図表の内容は、ROM42bに記憶させておく。
図4(A),図5(A)〜図7は、各ライト12a,12bの光を照射した際の反射光について、ライト12aの照射光・反射光の経路αとライト12bの照射光・反射光の経路βとを示す模式図である。
上記のように、各ビデオカメラ11a,11bのそれぞれの撮影レンズ11cの中心は距離d(例えば、数十cm)だけ離間して水平方向に平行配置されている。また、各ライト12a,12bが同時に点灯されることはない。
そして、各ビデオカメラ11a,11bの撮影レンズ11c面を結ぶ直線に対して、各ライト12a,12bの光が照射される物品81,83,73は距離L(例えば、数m〜十数m)だけ離間して配置されている。
【0039】
図4(A)は、つや消し白色の物品81に対して各ライト12a,12bの光を照射した例を示す。
つや消し白色の物品81は、光を広い方向に乱反射し、その反射光の輝度は照射光に比べて低下(減衰)する。
そのため、つや消し白色の物品81が向いている方向に関係なく、ライト12aの照射光が物品81で反射された反射光(経路α)は両ビデオカメラ11a,11bで捕らえられ、ライト12bの照射光が物品81で反射された反射光(経路β)も両ビデオカメラ11a,11bで捕らえられる。
その結果、図3に示すように、図4(A)に示す例では、各ライト12a,12bのいずれが点灯した場合でも、各ビデオカメラ11a,11bが撮影した光の輝度は中レベルになる。
【0040】
図4(B)は、発光体82の照射する赤外光を各ビデオカメラ11a,11bが撮影した例を示す。
発光体82の照射光は、各ライト12a,12bの照射光が物品81,83,73で反射された反射光に比べて輝度が高く、両ビデオカメラ11a,11bで捕らえられる。
その結果、図3に示すように、図4(B)に示す例では、各ライト12a,12bの点灯に関係なく、各ビデオカメラ11a,11bが撮影した光の輝度は高レベルになる。
【0041】
図5(A)は、ビデオカメラ11aの方向を向いた鏡面体83に対して各ライト12a,12bの光を照射した例を示す。
鏡面体83は、光の入射角度と反射角度が同一であり、その反射光の輝度は照射光に比べてほとんど低下しない。
そのため、ビデオカメラ11aの方向を向いた鏡面体83について、ライト12aの照射光が当該鏡面体83で反射された反射光(経路α)はビデオカメラ11aでのみ捕らえられ、ライト12bの照射光が当該鏡面体83で反射された反射光(経路β)は両ビデオカメラ11a,11bで捕らえられない。
その結果、図3に示すように、図5(A)に示す例では、ライト12aが点灯した場合にビデオカメラ11aが撮影した光の輝度は高レベルになり、その他の場合の光の輝度(ライト12bが点灯した場合にビデオカメラ11aが撮影した光の輝度、各ライト12a,12bが点灯した場合にビデオカメラ11bが撮影した光の輝度)は低レベルになる。
【0042】
図5(B)は、ビデオカメラ11bの方向を向いた鏡面体83に対して各ライト12a,12bの光を照射した例を示す。
ビデオカメラ11bの方向を向いた鏡面体83について、ライト12bの照射光が当該鏡面体83で反射された反射光(経路β)はビデオカメラ11bでのみ捕らえられ、ライト12aの照射光が当該鏡面体83で反射された反射光(経路α)は両ビデオカメラ11a,11bで捕らえられない。
その結果、図3に示すように、図5(B)に示す例では、ライト12bが点灯した場合にビデオカメラ11bが撮影した光の輝度は高レベルになり、その他の場合の光の輝度(ライト12aが点灯した場合にビデオカメラ11bが撮影した光の輝度、各ライト12a,12bが点灯した場合にビデオカメラ11aが撮影した光の輝度)は低レベルになる。
【0043】
図6(A)は、各ビデオカメラ11a,11bの中間方向を向いた鏡面体83に対して各ライト12a,12bの光を照射した例を示す。
各ビデオカメラ11a,11bの中間方向を向いた鏡面体83について、ライト12aの照射光が当該鏡面体83で反射された反射光(経路α)はビデオカメラ11bでのみ捕らえられ、ライト12bの照射光が当該鏡面体83で反射された反射光(経路β)はビデオカメラ11aでのみ捕らえられる。
その結果、図3に示すように、図6(A)に示す例では、ライト12bが点灯した場合にビデオカメラ11aが撮影した光の輝度と、ライト12aが点灯した場合にビデオカメラ11bが撮影した光の輝度とは高レベルになり、その他の場合の光の輝度(ライト12aが点灯した場合にビデオカメラ11aが撮影した光の輝度、ライト12bが点灯した場合にビデオカメラ11bが撮影した光の輝度)は低レベルになる。
【0044】
図6(B)は、上記した図5(A)(B)または図6(A)に示す方向以外の方向を向いた鏡面体83に対して各ライト12a,12bの光を照射した例を示す。
上記以外の方向を向いた鏡面体83について、ライト12aの照射光が当該鏡面体83で反射された反射光(経路α)は両ビデオカメラ11a,11bで捕らえられず、ライト12bの照射光が当該鏡面体83で反射された反射光(経路β)も両ビデオカメラ11a,11bで捕らえられない。
その結果、図3に示すように、図6(B)に示す例では、各ライト12a,12bのいずれが点灯した場合でも、各ビデオカメラ11a,11bが撮影した光の輝度は低レベルになる。
【0045】
図7は、再帰性反射材73に対して各ライト12a,12bの光を照射した例を示す。
上記のように、再帰性反射材73は、光がどのような方向から照射されても光源に向かってそのまま反射し、その反射光の輝度は照射光に比べてほとんど低下しない。
そのため、再帰性反射材73が向いている方向に関係なく、ライト12aの照射光が再帰性反射材73で反射された反射光(経路α)はビデオカメラ11aでのみ捕らえられ、ライト12bの照射光が再帰性反射材73で反射された反射光(経路β)はビデオカメラ11bでのみ捕らえられる。
その結果、図3に示すように、図7に示す例では、ライト12aが点灯した場合にビデオカメラ11aが撮影した光の輝度と、ライト12bが点灯した場合にビデオカメラ11bが撮影した光の輝度とは高レベルになり、その他の場合の光の輝度(ライト12bが点灯した場合にビデオカメラ11aが撮影した光の輝度、ライト12aが点灯した場合にビデオカメラ11bが撮影した光の輝度)は低レベルになる。
【0046】
[実施形態の動作]
図8および図9は、画像認識装置10が実行する画像認識処理の流れを示すフローチャートである。
図10は、画像認識装置10の動作内容を示すタイミングチャートである。
画像認識装置10のオペレータが、コンピュータシステム41の入力装置43を用い、画像認識処理の開始命令をコンピュータ本体42に転送すると、コンピュータ本体42のCPU42aは、ROM42bに記憶されているコンピュータプログラムに従い、コンピュータによる各種演算処理によって、以下の各ステップ(以下、「S」と記載する)の処理を実行する。
【0047】
尚、前記コンピュータプログラムを外部記憶装置45にセットされる記録媒体45aに記録しておき、当該コンピュータプログラムを必要に応じて記録媒体45aから読み出し、その読み出したコンピュータプログラムを外部記憶装置45からコンピュータ本体42のCPU42aにロードして起動することにより用いるようにしてもよい。
【0048】
まず、コンピュータシステム41は、画像認識装置10の初期設定処理(S100)を実行する。
この初期設定処理は、各ビデオカメラ11a,11bの絞り設定処理(S110)と、各ライト12a,12bの点灯時間設定処理(S120)から構成されており、コンピュータシステム41は各処理S110,S120を順次実行する。
【0049】
絞り設定処理(S110)において、コンピュータシステム41は、露出計(図示略)を用いて画像認識装置10の設置会場の照明の明るさを計測し、その計測した露出値に合わせて各ビデオカメラ11a,11bの絞りを調整する(具体的には、設置会場の照明が明るい程、各ビデオカメラ11a,11bの絞りを大きく設定する)。
【0050】
点灯時間設定処理(S120)において、コンピュータシステム41は、オペレータが入力装置43を用いて指定した各種パラメータ(例えば、設置会場の広さ、設置会場の照明の明るさ、再帰性反射材73の材質など)に基づいて、各ライト12a,12bの点灯時間tを設定する。そして、コンピュータシステム41は、設定した点灯時間tに対応した制御コマンドCMを生成し、その制御コマンドCMをライト制御回路31に出力する。
尚、各種パラメータと各ライト12a,12bの点灯時間tとの関係を、予め実験的に求めておき、その関係を示すマップをROM42bに記憶させておく。
【0051】
次に、各ビデオカメラ11a,11bによる撮影制御処理(S200)が実行され、続いて、各ライト12a,12bによる点灯制御処理(S300)が実行される。
撮影制御処理(S200)において、まず、コンピュータ本体42のCPU42aは、制御コマンドCMとして撮影コマンドを生成し、その撮影コマンドをI/O回路42dを介してコンピュータ本体42からライト制御回路31へ出力(送信)する(S210)。
【0052】
このとき、各ビデオカメラ11a,11bは、コンピュータシステム41の制御には関係なく、適宜な方式(NTSC、EIAなど)のインターレース走査(飛び越し走査)によって撮影を行い、その撮影画面(フレーム)に対応する各ビデオ信号Va,Vbを出力している。
ここで、インターレース走査では、1枚のフレームが2回に分けて水平方向に走査された2枚のフィールド(奇数フィールド、偶数フィールド)から構成されている。
【0053】
例えば、NTSC方式では、1枚のフレームが525本の走査線から構成され、フレーム周波数が約30Hzで1秒間に30枚のフレームが作成されて伝送され、フィールド周波数が約60Hzで1秒間に奇数フィールドと偶数フィールドとがそれぞれ30枚ずつ作成されて伝送されている。
つまり、NTSC方式のインターレース走査において、1回目の走査(奇数フィールドの走査)では1/60秒間で画面の上方から1本飛びに半分の数(262.5本)の走査線が走査され、2回目の走査(偶数フィールドの走査)では1/60秒間で残りの走査線(262.5本)が走査され、1/30秒間で1枚のフレームが作成される。
【0054】
そして、同期信号検出回路21は、ビデオカメラ11aの出力したビデオ信号Vaから奇数フィールド同期信号Oddおよび偶数フィールド同期信号Evenを生成して出力する。
ライト制御回路31は、S210の処理で生成された撮影コマンド(制御コマンドCM)によって制御され、その撮影コマンドを入力(受信)した後に、同期信号検出回路21から偶数フィールド同期信号Evenを入力すると、トリガTGとして撮影トリガを生成し、その撮影トリガをビデオキャプチャカード51へ出力する(S220)。
ビデオキャプチャカード51は、S220の処理で生成された撮影トリガを入力すると、各ビデオカメラ11a,11bの出力した1フレーム分の各ビデオ信号Va,VbをA/D変換してコンピュータ本体42に転送して取り込ませる(S230)。
【0055】
ここで、S220の処理では、偶数フィールド同期信号Evenに基づいて撮影トリガが生成される。
そのため、ビデオカメラ11aは、奇数フィールドA1のビデオ信号Vaを生成した後に、偶数フィールドA2のビデオ信号Vaを生成し、2枚のフィールドA1,A2から構成される1フレーム分のビデオ信号Vaをこの順番でビデオキャプチャカード51を介してコンピュータ本体42へ転送する。
また、ビデオカメラ11bは、奇数フィールドB1のビデオ信号Vbを生成した後に、偶数フィールドB2のビデオ信号Vbを生成し、2枚のフィールドB1,B2から構成される1フレーム分のビデオ信号Vbをこの順番でビデオキャプチャカード51を介してコンピュータ本体42へ転送する。
【0056】
尚、図10では、ビデオキャプチャカード51を介してコンピュータ本体42へ転送される各ビデオ信号Va,Vbのみを図示してある。しかし、各ビデオカメラ11a,11bは、図10に示した各フィールドA1,A2,B1,B2の前後にも連続して偶数フィールドと奇数フィールドの各ビデオ信号Va,Vbを交互に出力している。
【0057】
点灯制御処理(S300)において、ライト制御回路31は、S210の処理で生成された撮影コマンド(制御コマンドCM)によって制御され、その撮影コマンドを入力した後に、同期信号検出回路21から偶数フィールド同期信号Evenを入力すると、偶数フィールドの時間内(1/60秒間)に、ライト制御信号Maを生成し、そのライト制御信号Maを点灯時間設定処理(S120)で設定された点灯時間t分だけライト12aへ出力する。
続いて、ライト制御回路31は、同期信号検出回路21から奇数フィールド同期信号Oddを入力すると、奇数フィールドの時間内(1/60秒間)に、ライト制御信号Mbを生成し、そのライト制御信号Mbを点灯時間t分だけライト12bへ出力する。
【0058】
すると、各ライト12a,12bは、各ライト制御信号Ma,Mbが入力されている点灯時間t分だけそれぞれ点灯される。
ここで、ライト12aの点灯のタイミングは、ビデオキャプチャカード51を介してコンピュータ本体42へ各フィールドA1,B1のビデオ信号Va,Vbが転送されて取り込まれるタイミングよりも1フィールド分早いタイミングとなる。また、ライト12bの点灯のタイミングは、ビデオキャプチャカード51を介してコンピュータ本体42へ各フィールドA2,B2のビデオ信号Va,Vbが転送されて取り込まれるタイミングよりも1フィールド分早いタイミングとなる。
【0059】
次に、コンピュータシステム41は、画像処理(S400)を実行する。
この画像処理は、疑似フレーム作成処理(S410)、ラベル検出処理(S420)、視差補正処理(S430)、再帰性反射材特定処理(S440)、模様判定処理(S450)、模様計数処理(S460)から構成されており、コンピュータシステム41は各処理S410〜S460を順次実行する。
【0060】
疑似フレーム作成処理(S410)において、コンピュータ本体42のCPU42aは、S230の処理でコンピュータ本体42に取り込まれた各フィールドA1,A2,B1,B2に補間処理を施すことにより、4枚のフィールドA1,A2,B1,B2からそれぞれ疑似フレームA1’,A2’,B1’,B2’を作成する。
ここで、補間処理は、インターレース走査で飛び越された走査線を補間することにより、インターレース走査方式のビデオ信号を擬似的にノンインターレース走査(順次走査、プログレッシブ走査)方式のビデオ信号に変換する処理である。
【0061】
尚、補間処理には種々の方式(例えば、動き適応型走査線補間方式、サブサンプル補間方式など)があるが、どのような方式を用いてもよい。
動き適応型走査線補間方式は、インターレース走査で飛び越された走査線を補間する際に、映像の静止画部分は1フィールド前の走査線をそのまま用いて補間し、映像の動画部分は現フィールド内の上下の走査線を用いて補間する方式である。
また、サブサンプル補間方式は、インターレース走査で飛び越された走査線を補間する際に、映像の静止画部分は1フィールド前の走査線と現フィールド内の上下の走査線との両方を用いて補間し、映像の動画部分は現フィールド内の上下の走査線を用いて補間する方式である。このサブサンプル補間方式によれば、動き適応型走査線補間方式に比べて画質劣化を低減することが可能になる。
【0062】
ラベル検出処理(S420)において、コンピュータ本体42のCPU42aは、疑似フレーム作成処理(S410)で作成された各疑似フレームA1’,A2’について、各疑似フレームA1’,A2’を構成するピクセル毎に、疑似フレームA1’の輝度から疑似フレームA2’の輝度を差し引いた輝度差分値(A1’ーA2’)を演算し、その輝度差分値をラベリングして輝度差分値の低い複数のピクセルからなるラベルRaを作成し、そのラベルRaの位置およびサイズを検出する。
【0063】
また、コンピュータ本体42のCPU42aは、疑似フレーム作成処理(S410)で作成された各疑似フレームB1’,B2’について、各疑似フレームB1’,B2’を構成するピクセル毎に、疑似フレームB2’の輝度から疑似フレームB1’の輝度を差し引いた輝度差分値(B2’ーB1’)を演算し、その輝度差分値をラベリングして輝度差分値の低い複数のピクセルからなるラベルRbを作成し、そのラベルRbの位置およびサイズを検出する。
【0064】
図11は、ラベル検出処理(S420)で作成されたラベルRa,Rbを例示する模式図である。
図11(A)は、再帰性反射材73によって札71に形成された○印の模様をビデオカメラ11a,11bが撮影して得られた疑似フレームから作成されたラベルRa,Rbを示す。
図11(B)は、再帰性反射材73によって札71に形成された×印の模様をビデオカメラ11a,11bが撮影して得られた疑似フレームから作成されたラベルRa,Rbを示す。
各ラベルRa,Rbは、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様に外接する四角形から構成され、その四角形の高さhがラベルRa,Rbのサイズとなる。
【0065】
視差補正処理(S430)において、コンピュータ本体42のCPU42aは、ラベル検出処理(S420)で作成された各ラベルRa,Rbについて、各ビデオカメラ11a,11bの視差を補正する。
つまり、各ビデオカメラ11a,11bのそれぞれの撮影レンズ11cの中心は距離dだけ離間して水平方向に平行配置されているため、各ビデオカメラ11a,11bには視差が生じ、その視差によって各ビデオカメラ11a,11bの撮影画像には位置ズレが生じる。
【0066】
図12は、各ビデオカメラ11a,11bの撮影画像に生じた視差による位置ズレを例示する模式図である。
図12(A)は、各ビデオカメラ11a,11bから遠く離れた位置にある再帰性反射材73によって札71に形成された○印の模様を撮影した場合において、ビデオカメラ11aの撮影画像Paとビデオカメラ11bの撮影画像Pbとに生じた視差による位置ズレg1を示す。
図12(b)は、各ビデオカメラ11a,11bに近い位置にある再帰性反射材73によって札71に形成された○印の模様を撮影した場合において、ビデオカメラ11aの撮影画像Paとビデオカメラ11bの撮影画像Pbとに生じた視差による位置ズレg2を示す。
尚、ラベルRaは撮影画像Paに外接する四角形から構成され、ラベルRbは撮影画像Pbに外接する四角形から構成される。
【0067】
図12に示すように、図7に示す再帰性反射材73(札71)とビデオカメラ11a,11bとの距離Lに応じて、再帰性反射材73によって札71に形成された○印の模様の撮影画像Pa,Pb(ラベルRa,Rb)のサイズ(高さh)が決定される。
そして、距離Lと撮影画像Pa,Pb(ラベルRa,Rb)の位置ズレg1,g2との関係は、実測によって求められるだけでなく、演算によって求めることも可能である。
【0068】
そこで、距離Lと撮影画像Pa,Pb(ラベルRa,Rb)の位置ズレg1,g2との関係を、予め実測または演算によって求めておき、その関係を示すマップをROM42bに記憶させておく。
そして、視差補正処理(S430)において、コンピュータ本体42のCPU42aは、ROM42bに記録させておいたマップを参照し、ラベル検出処理(S420)で作成された各ラベルRa,Rbに生じた視差による位置ズレg1,g2を補正し、各ラベルRa,Rbの位置を合致させる。
【0069】
再帰性反射材特定処理(S440)において、コンピュータ本体42のCPU42aは、ROM42bに記憶させておいた図3に示す図表を参照し、2つのラベルRa,Rbの輝度を比較することにより、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様を撮影して得られたラベルRa,Rbを特定する。
【0070】
すなわち、奇数フィールドA1から作成された疑似フレームA1’は、ライト制御信号Maによって点灯されるライト12aの照射光が物品81,83,73で反射された反射光をビデオカメラ11aで撮影して得られたものである。
また、偶数フィールドA2から作成された疑似フレームA2’は、ライト制御信号Mbによって点灯されるライト12bの照射光が物品81,83,73で反射された反射光をビデオカメラ11aで撮影して得られたものである。
【0071】
そして、奇数フィールドB1から作成された疑似フレームB1’は、ライト制御信号Maによって点灯されるライト12aの照射光が物品81,83,73で反射された反射光をビデオカメラ11bで撮影して得られたものである。
また、偶数フィールドB2から作成された疑似フレームB2’は、ライト制御信号Mbによって点灯されるライト12bの照射光が物品81,83,73で反射された反射光をビデオカメラ11bで撮影して得られたものである。
【0072】
ここで、ラベルRaは、疑似フレームA1’の輝度から疑似フレームA2’の輝度を差し引いた輝度差分値(A1’ーA2’)から得られたものである。
また、ラベルRbは、疑似フレームB2’の輝度から疑似フレームB1’の輝度を差し引いた輝度差分値(B2’ーB1’)から得られたものである。
【0073】
そのため、図3に示す図表を参照すると、ラベルRaの輝度が高レベルになるのは、図5(A)に示すビデオカメラ11aの方向を向いた鏡面体83の場合と、図7に示す再帰性反射材73の場合である。また、ラベルRbの輝度が高レベルになるのは、図5(B)に示すビデオカメラ11bの方向を向いた鏡面体83の場合と、図7に示す再帰性反射材73の場合である。
従って、各ラベルRa,Rbの輝度が共に高レベルになるのは、図7に示す再帰性反射材73の場合だけであり、当該ラベルRa,Rbは再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様を撮影して得られたものであると判定することができる。
【0074】
模様判定処理(S450)において、コンピュータ本体42のCPU42aは、例えば、ラベルRa,Rb内の任意の部位毎に輝度分布を検出することにより、ラベルRa,Rbに内接する模様が○印または×印のいずれであるかを判定する。尚、この模様判定処理では、ニューラルネットワークを利用したパターン認識処理を用いて、ラベルRa,Rbに内接する模様を判定するようにしてもよい。
模様計数処理(S460)において、コンピュータ本体42のCPU42aは、模様判定処理(S450)で判定された○印の模様と×印の模様のそれぞれの個数を計数する。
【0075】
コンピュータシステム41は、画像処理(S400)が終了すると、最後に、報知処理(S500)を実行する。
報知処理(S500)において、コンピュータ本体42のCPU42aは、模様計数処理(S460)の処理結果をI/O回路42dを介して出力装置44から出力させることにより、当該処理結果を画像認識装置10のオペレータに通知させる。
すなわち、模様計数処理(S460)の計数結果により、○印の模様の個数(人々が掲げた再帰性反射材73によって○印が形成された札(図2(A))の枚数)と、×印の模様の個数(人々が掲げた再帰性反射材73によって×印が形成された札(図2(B))の枚数)とが、ディスプレイやプリンタなどから構成される出力装置44を用いてオペレータに通知される。
【0076】
[実施形態の作用・効果]
以上詳述した本実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
(1)再帰性反射材特定処理(S440)では、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様を撮影して得られたラベルRa,Rbが特定され、模様判定処理(S450)では、ラベルRa,Rbに内接する模様が○印または×印のいずれであるかが判定され、模様計数処理(S460)にて、○印の模様と×印の模様のそれぞれの個数が計数され、報知処理(S500)にて、その計数結果が画像認識装置10のオペレータに通知される。
【0077】
従って、本実施形態によれば、上記使用例において、会場内に存在する種々の物品(つや消し白色の物品81、発光体82、鏡面体83)と、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様とを正確に区別することができる。
そのため、例えば、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様と類似した模様の服を着用している人が会場内にいる場合でも、その服の模様と札71の印とを正確に区別することが可能になる。その結果、人々が掲げた○印の札71と×印の札71のそれぞれの枚数を正確に数えることができる。
【0078】
(2)再帰性反射材特定処理(S440)では、2台のビデオカメラ11a,11bを用い、ビデオカメラ11aの撮影した各疑似フレームA1’,A2’から作成されたラベルRaの輝度と、ビデオカメラ11bの撮影した各疑似フレームB1’,B2’から作成されたラベルRbの輝度とが比較される。そして、各ラベルRa,Rbの輝度が共に高レベルになる場合に、当該各ラベルRa,Rbが、各ライト12a,12bの照射光が再帰性反射材73で反射された反射光が各ビデオカメラ11a,11bで撮影されて得られたものであると判定される。
【0079】
上記のように、図3に示す図表を参照すると、ラベルRaの輝度が高レベルになるのは、図5(A)に示すビデオカメラ11aの方向を向いた鏡面体83の場合と、図7に示す再帰性反射材73の場合だけである。また、ラベルRbの輝度が高レベルになるのは、図5(B)に示すビデオカメラ11bの方向を向いた鏡面体83の場合と、図7に示す再帰性反射材73の場合だけである。
従って、本実施形態によれば、図5(A)に示すビデオカメラ11aの方向を向いた鏡面体83や、図5(B)に示すビデオカメラ11bの方向を向いた鏡面体83と、図7に示す再帰性反射材73とを正確に区別することができる。
【0080】
ところで、上記使用例において、会場内に鏡面体83が存在しない場合には(つや消し白色の物品81と発光体82のみが会場内に存在する場合には)、各ビデオカメラ11a,11bのいずれか一方を省いても、各物品81,82と、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様とを正確に区別することができる。
【0081】
(3)ラベル検出処理(S420)では、疑似フレームA1’の輝度から疑似フレームA2’の輝度を差し引いた輝度差分値(A1’ーA2’)からラベルRaが作成され、疑似フレームB2’の輝度から疑似フレームB1’の輝度を差し引いた輝度差分値(B2’ーB1’)からラベルRbが作成される。
このように、輝度差分値を求めることにより、図4(A)に示すつや消し白色の物品81における輝度差分値が零になるため、物品81からの反射光を各ビデオカメラ11a,11bが撮影して得られた疑似フレームからはラベルRa,Rbが作成されない。
また、輝度差分値を求めることにより、図4(B)に示す発光体82における輝度差分値が零になるため、発光体82の照射光を各ビデオカメラ11a,11bが撮影して得られた疑似フレームからはラベルRa,Rbが作成されない。
従って、本実施形態によれば、図4(A)に示すつや消し白色の物品81や、図4(B)に示す発光体82と、図7に示す再帰性反射材73とを正確に区別することができる。
【0082】
(4)ライト12aは、その投光部12cが、ビデオカメラ11bの撮影レンズ11cからできるだけ離れると共に、ビデオカメラ11aの撮影レンズ11cにできるだけ近い位置に配置されている。また、ライト12bは、その投光部12cが、ビデオカメラ11aの撮影レンズ11cからできるだけ離れると共に、ビデオカメラ11bの撮影レンズ11cにできるだけ近い位置に配置されている。
このように、各ライト12a,12bを各ビデオカメラ11a,11bに対して配置することで、図3の図表に示す光の輝度の関係を確実に得ることが可能になり、再帰性反射材特定処理(S440)の処理結果を正確なものにすることができる。
【0083】
尚、各ライト12a,12bの照射する赤外光と近似した波長の赤外光を発生する発光体(例えば、輝度の高い白熱電球、太陽など)が、各ライト12a,12bの近傍に存在する場合には、図3の図表に示す光の輝度の関係を得られなくなる。
従って、上記使用例において、画像認識装置10のオペレータは、当該発光体が各ライト12a,12bの近傍に位置しないような箇所に、各ライト12a,12bおよび各ビデオカメラ11a,11bを設置する必要がある。
【0084】
(5)点灯時間設定処理(S120)では、各ライト12a,12bの点灯時間tが設定され、点灯制御処理(S300)では、設定された点灯時間t分だけ各ライト制御信号Ma,Mbが出力され、各ライト制御信号Ma,Mbによって各ライト12a,12bが点灯される。
このように、各ライト12a,12bを点灯時間t分だけ点灯させることにより、再帰性反射材特定処理(S440)の処理結果を正確なものにするために、各ビデオカメラ11a,11bが撮影する光の輝度を最適化することができる。
【0085】
特に、LEDによって各ライト12a,12bを構成した場合、LEDの輝度は通電電流によって調整できるものの、輝度と通電電流とは比例関係にないため、通電電流によって輝度を正確に制御することは困難である。そこで、本実施形態のように、各ライト12a,12bの点灯時間tを制御すれば、LEDの通電電流を制御した場合に比べて、各ビデオカメラ11a,11bが撮影する光の輝度を容易に最適化することができる。
【0086】
(6)各ライト12a,12bの点灯時間tは、1フィールドの時間(1/60秒)以内に設定しなければならず、0.1ミリ秒(msec)〜1/60秒の範囲に設定するのが適当である。
点灯時間tがこの範囲より長くなると、点灯時間tが1フィールド以内に収まらなくなり、複数フィールドにまたがってライト12a,12bが点灯することになるため、フィールド毎に違う方向から再帰性反射材73に光を照射することができなくなることから、上記作用・効果が得られ難くなるという傾向がある。
また、点灯時間tがこの範囲より短くなると、短時間で十分な反射光の輝度を確保するために、各ライト12a,12bとして強力なものを使用する必要があり、各ライト12a,12bが高価になることに加えて、各ライト12a,12bに電源を供給するための電源装置(図示略)の電源容量も大きくなるため、当該電源装置が高価になり、低コストな画像認識装置10を提供することが困難になる。
【0087】
(7)各ビデオカメラ11a,11bはインターレース走査方式で撮影を行い、奇数フィールドA1,B1と偶数フィールドA2,B2の各ビデオ信号Va,Vbを生成して出力している。そして、疑似フレーム作成処理(S410)にて、各フィールドA1,A2,B1,B2に補間処理が施され、各フィールドA1,A2,B1,B2からそれぞれ疑似フレームA1’,A2’,B1’,B2’が作成される。
ところで、各ビデオカメラ11a,11bとして、ノンインターレース走査方式で撮影を行うビデオカメラを用いることにより、疑似フレーム作成処理(S410)を省くことが考えられる。
【0088】
しかし、ノンインターレース走査方式で撮影を行うビデオカメラは、インターレース走査方式で撮影を行うビデオカメラに比べて、極めて高価である。また、ノンインターレース走査方式で撮影を行うビデオカメラを用いた場合、各ビデオカメラ11a,11bの撮影に要する時間が、インターレース走査方式で撮影を行うビデオカメラに比べて、約2倍と長くなる。
従って、本実施形態によれば、ノンインターレース走査方式で撮影を行うビデオカメラを用いる場合に比べて、処理速度の速い画像認識装置10を安価に提供することができる。
【0089】
(8)各ライト12a,12bは、赤外光(赤外線)を投光する発光素子から構成されている。そして、各ビデオカメラ11a,11bの撮影レンズ11cには、各ライト12a,12bが照射する赤外光のみを通過させる赤外線フィルタが取り付けられている。
このように、本実施形態によれば、赤外光を用いることにより、可視光線の影響を回避して、画像処理(S400)の処理結果を正確なものにすることができる。また、赤外光を用いることにより、上記使用例において会場が暗い場合(例えば、映画館を会場とする場合など)でも、画像認識装置10を使用することができる。
【0090】
(9)視差補正処理(S430)では、各ビデオカメラ11a,11bのそれぞれの撮影レンズ11cの中心が距離dだけ離間して水平方向に平行配置されているために生じる各ビデオカメラ11a,11bの視差が補正され、各ラベルRa,Rbに生じた当該視差による位置ズレg1,g2が補正される。
この視差補正処理を確実に行うには、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様が各ビデオカメラ11a,11bによって正確に撮影される必要がある。そのためには、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様を、各ビデオカメラ11a,11bの撮影レンズ11cの正面側に向けなければならない。
従って、上記使用例において、画像認識装置10のオペレータは、会場に集まった人々に対して、札71のおもて面(再帰性反射材73によって模様が形成されている面)を各ビデオカメラ11a,11bの撮影レンズ11cの正面側に向けて掲げるように指示し、札71を傾けて掲げないように注意する必要がある。
【0091】
(10)各ビデオカメラ11a,11bのそれぞれの撮影レンズ11cの中心間の距離dは、再帰性反射材73とビデオカメラ11a,11bとの距離Lに対応した値に設定する必要があり、最適な距離dは実験的に求めればよい。
例えば、距離Lが約10mの場合、距離dは12〜50cmの範囲に設定するのが適当であり、望ましくは15〜30cm、特に望ましくは20〜25cmの範囲に設定すればよい。また、距離Lが約3mの場合、距離dは12〜15cmの範囲に設定するのが適当である。このように、距離Lが小さくなるほど、最適な距離dも小さくなる。
尚、上記のように、ライト12aの投光部12cはビデオカメラ11aの撮影レンズ11cに近接してその外側に配置されると共に、ライト12bの投光部12cはビデオカメラ11bの撮影レンズ11cに近接してその外側に配置されている。そのため、各ライト12a,12bのそれぞれの投光部12cの中心間の距離は、前記距離dにほぼ等しくなる。
【0092】
距離dがこの範囲より大きくなると、各ビデオカメラ11a,11bの視差が大きくなり、視差補正処理(S430)における視差補正時に誤差が生じ易くなるという傾向がある。
また、距離dがこの範囲より小さくなると、ビデオカメラ11aとライト12bの距離が小さくなると共に、ビデオカメラ11bとライト12aの距離が小さくなり、ライト12bの照射光の反射がビデオカメラ11aに入射し易くなると共に、ライト12aの照射光の反射がビデオカメラ11bに入射し易くなり、上記作用・効果が得られ難くなるという傾向がある。
【0093】
(11)ビデオカメラ11bは、ビデオカメラ11aの出力した各同期信号VD,HDに従ってビデオカメラ11aと同期動作を行い、ビデオ信号Vbを生成して出力する。そのため、ビデオカメラ11aの出力したビデオ信号Vaから各同期信号Odd,Evenを生成する同期信号検出回路21を設けるだけでよく、ビデオカメラ11bの出力したビデオ信号Vbから各同期信号Odd,Evenを生成する同期信号検出回路を設ける必要はない。
【0094】
[別の実施形態]
ところで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
[1]上記実施形態では、各ライト12a,12bが赤外光を投光する発光素子から構成されている。
しかし、可視光を投光する発光素子によって各ライト12a,12bを構成してもよく、その場合には、各ビデオカメラ11a,11bの撮影レンズ11cに赤外線フィルタを取り付ける必要はない。
尚、そのような可視光の発光素子としては、例えば、各種電球(白熱電球、ハロゲンランプ、水銀灯など)、各色の発光ダイオード、その他の半導体発光素子(レーザダイオードなど)、電界発光素子などがある。
【0095】
[2]上記実施形態は、2台のビデオカメラ11a,11bと2台のライト12a,12bを用いている。
しかし、2台のビデオカメラ11a,11bと2台のライト12a,12bを一組とし、複数組のビデオカメラおよびライトを用いるようにしてもよい。つまり、画像認識装置10を広い場所で使用する場合には、複数組の各ビデオカメラ11a,11bの撮影画角が重ならないように、各組の各ビデオカメラ11a,11bを設置すればよい。
【0096】
[3]上記実施形態では、ライト12aの投光部はビデオカメラ11aの撮影レンズ11cに近接してその外側に配置されると共に、ライト12bの投光部はビデオカメラ11bの撮影レンズ11cに近接してその外側に配置されている。しかし、プリズムやハーフミラーなどを用いることにより、ビデオカメラ11aの撮影レンズ11cとライト12aの投光部とを同軸に配置すると共に、ビデオカメラ11bの撮影レンズ11cとライト12bの投光部とを同軸に配置するようにしてもよい。
【0097】
[4]上記実施形態では、各ビデオカメラ11a,11bとしてインターレース走査方式で撮影を行うビデオカメラを用いている。
しかし、各ビデオカメラ11a,11bとしてノンインターレース走査方式で撮影を行うビデオカメラを用いるようにしてもよく、その場合には、疑似フレーム作成処理(S410)を省くことができる。
特に、再帰性反射材73によって札71に形成された模様が、図2に示す○印や×印のような単純なものでなく、複雑なものである場合には、模様判定処理(S450)の処理結果を正確なものにするために、撮影画像の画質を高める必要があることから、ノンインターレース走査方式で撮影を行うビデオカメラを用いることが望ましい。
【0098】
[5]上記実施形態では、各ラベルRa,Rbが、再帰性反射材73によって札71に形成された○印または×印の模様に外接する四角形から構成されている。
しかし、各ラベルRa,Rbの形状は、四角形に限らず、再帰性反射材73によって形成された模様に合わせ、当該模様に外接または内接する適宜な多角形(例えば、三角形、五角形以上の多角形)または円形としてもよい。
【0099】
[6]上記実施形態では、四角形の各ラベルRa,Rbの高さhを当該ラベルRa,Rbのサイズとしている。
しかし、四角形の各ラベルRa,Rbの横幅を当該ラベルRa,Rbのサイズとしてもよい。また、上記[5]において、各ラベルRa,Rbの形状を適宜な多角形または円形に設定した場合には、当該多角形の一辺の長さまたは当該円形の直径を当該ラベルRa,Rbのサイズとしてもよい。
【00100】
[7]上記実施形態は、再帰性反射材73によって札71に形成した模様を認識する場合に適用したものであるが、これに限ることなく、再帰性反射材73によって形成された種々の模様(例えば、道路標識など)を認識する場合に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の画像認識装置10の電気的構成を示すブロック回路図。
【図2】図2(A)(B)は、画像認識装置10が判別する模様が付された札71の正面図。図2(C)は札71の右側面図。
【図3】各ライト12a,12bの点灯を切り替えた際に、各ビデオカメラ11a,11bが撮影した光の輝度(明るさ)を示す図表。
【図4】図4(A)は、各ライト12a,12bの光を照射した際の反射光を示す模式図。図4(B)は発光体82の照射光を示す模式図。
【図5】各ライト12a,12bの光を照射した際の反射光を示す模式図。
【図6】各ライト12a,12bの光を照射した際の反射光を示す模式図。
【図7】各ライト12a,12bの光を照射した際の反射光を示す模式図。
【図8】画像認識装置10が実行する画像認識処理の流れを示すフローチャート。
【図9】画像認識装置10が実行する画像認識処理の流れを示すフローチャート。
【図10】画像認識装置10の動作内容を示すタイミングチャート。
【図11】ラベルRa,Rbを例示する模式図。
【図12】各ビデオカメラ11a,11bの撮影画像に生じた視差による位置ズレを例示する模式図。
【符号の説明】
10…画像認識装置
11a,11b…ビデオカメラ
12a,12b…ライト
21…同期信号検出回路
31…ライト制御回路
41…コンピュータシステム
42…コンピュータ本体
42a…CPU
42b…ROM
42c…RAM
42d…入出力(I/O)回路
43…入力装置
44…出力装置
45…外部記憶装置
45a…記録媒体
51…ビデオキャプチャカード
71…札
73…再帰性反射材
Claims (10)
- 再帰性反射材によって形成された被認識体と、
その被認識体に向けて光を照射する第1照明手段および第2照明手段と、その第1照明手段および第2照明手段は所定間隔だけ離間されて配置されていることと、
第1照明手段または第2照明手段の照射光が前記被認識体で反射された反射光を撮影する撮影手段と、その撮影手段は第1照明手段の近傍に配置されていることと、
第1照明手段および第2照明手段を制御し、第1照明手段による光の照射と、第2照明手段による光の照射とを切り替える照明制御手段と、
第1照明手段および第2照明手段による光の照射時における前記撮影手段の撮影結果に基づいて、前記撮影手段の撮影画像が前記被認識体に相当することを特定する画像特定手段と
を備えたことを特徴とする画像認識装置。 - 再帰性反射材によって形成された被認識体と、
その被認識体に向けて光を照射する第1照明手段および第2照明手段と、その第1照明手段および第2照明手段は所定間隔だけ離間されて配置されていることと、
第1照明手段または第2照明手段の照射光が前記被認識体で反射された反射光を撮影する第1撮影手段および第2撮影手段と、その第1撮影手段は第1照明手段の近傍に配置され、第2撮影手段は第2照明手段の近傍に配置されていることと、
第1照明手段および第2照明手段を制御し、第1照明手段による光の照射と、第2照明手段による光の照射とを切り替える照明制御手段と、
第1照明手段および第2照明手段による光の照射時における第1撮影手段の撮影結果と、第1照明手段および第2照明手段による光の照射時における第2撮影手段の撮影結果とに基づいて、第1撮影手段および第2撮影手段の撮影画像が前記被認識体に相当することを特定する画像特定手段と
を備えたことを特徴とする画像認識装置。 - 請求項1に記載の画像認識装置において、
前記特定手段は、第1照明手段による光の照射時に前記撮影手段が撮影した撮影画像の輝度と、第2照明手段による光の照射時に前記撮影手段が撮影した撮影画像の輝度との差分である輝度差分値に基づいて、前記撮影手段の撮影画像が前記被認識体に相当することを特定する画像認識装置。 - 請求項2に記載の画像認識装置において、
前記特定手段は、
第1照明手段による光の照射時に第1撮影手段が撮影した撮影画像の輝度と、第2照明手段による光の照射時に第1撮影手段が撮影した撮影画像の輝度との差分である第1輝度差分値を演算すると共に、
第2照明手段による光の照射時に第2撮影手段が撮影した撮影画像の輝度と、第1照明手段による光の照射時に第2撮影手段が撮影した撮影画像の輝度との差分である第2輝度差分値を演算し、
第1輝度差分値と第2輝度差分値に基づいて、第1撮影手段および第2撮影手段の撮影画像が前記被認識体に相当することを特定する画像認識装置。 - 請求項2または請求項4に記載の画像認識装置において、
第1撮影手段と第2撮影手段の視差によって生じる各撮影手段の撮影画像における位置ズレを補正する視差補正手段を備え、
前記画像特定手段は、前記視差補正手段によって視差が補正された撮影画像について、当該撮影画像が前記被認識体に相当することを特定する画像認識装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像認識装置において、
前記被認識体には、再帰性反射材によって模様が形成されており、
前記画像特定手段によって前記被認識体に相当することが特定された前記撮影手段の撮影画像から、再帰性反射材によって前記被認識体に形成された模様を判定する模様判定手段を備えたことを特徴とする画像認識装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像認識装置において、
前記照明制御手段は、前記撮影手段の撮影に合わせて、第1照明手段および第2照明手段から所定時間だけ光を照射させることを特徴とする画像認識装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像認識装置において、
前記照明手段は、赤外光を照射することを特徴とする画像認識装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像認識装置における前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像認識装置における前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
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