JP4022836B2 - 磁石式分別工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は磁石式分別工具に関し、例えば鉄製空き缶をアルミ製空き缶から分別するのに利用される磁石式分別工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、資源のリサイクルが注目され、町内会の住人や小中学校等のPTAがジュースや清涼飲料水等を飲んだ後の空き缶を回収し、リサイクル業者に提供することがよく行われている。この種の飲料用の缶には鉄製の缶とアルミ製の缶とがあり、回収の際にはこれらが混在しているが、資源としてリサイクルする場合には鉄製の缶とアルミ製の缶とを分別する必要がある。
【0003】
そこで、図4に示すように、パイプ51の先端に磁石盤52を固定した分別器具50を用い、パイプ51上端のグリップ53を握り、籠や箱等に集められた多数の空き缶に磁石盤52を近づけ、磁石盤52の先端面に鉄製空き缶のみを磁着させて分別することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、地面上に置いた籠や箱内に集められた空き缶を磁石盤52の先端面に磁着させこれを離す際に、手で空き缶を掴んで離す必要があり、空き缶内の残液等で手や衣服が汚れやすく、又他方の手が磁石盤52に届く高さまでグリップ53を持つ手を上方に引き上げるか、身体を屈める必要があって煩雑であり、作業者の大きな負担となっていた。
【0005】
また、籠や箱の上側にアルミ製の缶が並んでいる場合、アルミ製の缶が邪魔になって鉄製の缶が上手く磁着せず、又積み重なった多数の空き缶の内方に磁石盤52を押し込もうとしても磁石盤52が比較的大きいので上手く押し込めず、手で磁着しないアルミ製の空き缶を除きつつ分別するか、又は籠や箱から一旦空き缶を地面上に出して分別する必要があり、作業が非常に煩雑であるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑み、手や衣服を汚すことなく、無理な姿勢をとることなく、簡単かつ確実に分別を行えるようにした磁石式分別器具を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明に係る磁石式分別器具は、その後端側に少なくとも片手で把持しうる把持部が設けられ、使用する者が起立しかつその把持部を把持してロッドを傾斜させた状態でその先端が地面上にほぼ接地しうる長さを有するロッドと、該ロッドの先端に設けられ、少なくとも側面に分別ワークを磁着する棒状の分別治具と、該分別治具の先端に設けられ、非磁性体で形成され、上記分別治具の先端面への分別ワークの磁着を阻止する磁着阻止部と、上記分別治具の外周にスライド自在に外装され、上記把持部に向かうスライドにて上記分別治具の側面を露出させて分別ワークを磁着させる一方、上記把持部から離れる方向のスライドにて磁着した分別ワークを磁着阻止部に向けて押して移動させて分別ワークを離脱させるパイプ状の離脱治具と、該離脱治具をスライド操作する操作手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明は飲料用空き缶の分別に使用するとその効果が大きいが、他の分別、例えば一般工場における鉄と非鉄金属との分別に利用してもよく、又その分別機能を利用して例えば床面に落下したパチンコ球の採取に使用することもできる。
【0009】
ロッドは短くても、長くてもよいが、空き缶等の分別を行う場合、作業者が動き廻ることのできる姿勢、具体的には起立した姿勢で分別作業を行えるのが好ましい。そこで、ロッド長さを使用する者が起立し、かつロッド後端側の把持部を把持してロッドを傾斜させた状態で分別治具の先端が地面上にほぼ接地しうる長さとするのがよい。また、分別作業性を考慮するとロッドをパイプを用いて構成して軽量とするのがよい。ロッドの材料は特に限定されず、アルミニウム、鉄、チタン等の金属材料、合成樹脂材料、木材等を利用できるが、コストを考慮すると合成樹脂の成形品、木製品が好ましい。
【0010】
分別治具の材料は特に限定されず、アルミニウム、鉄、チタン等の金属材料、合成樹脂材料、ゴム、木材等を利用できる。磁着阻止部の材料は非磁性体であればよく、例えばステンレス鋼を利用できる。ここで、分別治具の先端に磁着阻止部を設けたのは分別治具の先端面に分別ワークが磁着すると、離脱治具のスライドによって磁着した分別ワークを押すことができず、手で外す必要があるため、離脱治具の先端面に分別ワークが磁着するのを防止するとともに、離脱治具によって押されてきた分別ワークに対する磁力の影響を遮断して分別ワークを自然落下させるためである。
【0011】
分別治具の形状は棒状であれば特に限定されず、例えば円形、半円形、楕円形、三角形や四角形等を含む各種の多角形、その他の断面形状を採用できる。この分別治具は空き缶の分別を行う場合には積み重ねた複数の空き缶内に押し込んで内方の鉄製空き缶を磁着できるように、積み重ねた複数の空き缶内に押し込みうる外径寸法の棒状とするのがよい。
【0012】
分別治具は先端に非磁性の磁着阻止部を有し、側面で分別ワークを磁着しうるものであればよく、その構造は特に限定されない。例えば、棒状の永久磁石の先端に磁着阻止部を固定した構造でもよいが、分別治具を積み重ねた空き缶内に押し込んて分別を行う際に棒状磁石体が折れあるいは破損することが懸念される。そこで、十分な強度を有する棒状基部の側面に磁石板を固定して構成するのがよい。
【0013】
また、分別治具の先端に磁着阻止部を固定してもよいが、上記の棒状基部を利用する場合には棒状基部の材料を非磁性体とし、その先端から所定寸法だけ離れた位置より後方に磁石板を固定すると、棒状基部を利用して磁着阻止部を形成できる。即ち、分別治具は、非磁性体で形成された棒状基部と、該棒状基部の側面の先端から所定寸法だけ離れた位置より後方に磁石板を固定して構成するのがよい。
【0014】
さらに、分別治具はその磁着部分を保護する為に、少なくとも磁着部分の外表面を熱収縮性の薄シートで被覆し、該薄シートの表面には滑り止めの微小凹凸を設けるのがよい。薄シートの材料は塩化ビニル等の合成樹脂材料、ゴム等を用いることができる。
【0015】
離脱治具は分別治具の外周にスライド自在に外装されうるパイプ状であればよく、材料及び形状は特に限定されない。離脱治具は使用者の力で上方スライドさせ、治具の重みで下方スライドさせてもよいが、ばね部材の付勢力を利用してスライド操作性をアップさせるのが好ましい。即ち、分別治具と離脱治具との間には分別治具の側面が離脱治具で覆われた状態、又は分別治具の側面が露出した状態になるように離脱治具を付勢するばね部材を設けるのがよい。
【0016】
操作手段は離脱治具をスライド操作できればその構造は特に限定されない。例えば、ロッドの外周にスライド自在に外装され、その先端に離脱治具が固定されたスライドパイプと、スライドパイプの後端側に設けられ、他方の片手で把持して上記離脱治具をスライド操作しうる第2の把持部とから構成することができる。この場合、作業者が両手で分別器具を持って操作することを考慮すると、スライドの後端とロッドの把持部との間に使用する者の肩幅の間隔をほぼあけ、分別器具の重量がバランスよく分散されて両手で受けられるようにするのがよい。また、ロッドの把持部をピストルハンドル形状とし、該把持部の近傍にレバーを設け、レバーと離脱治具とをワイヤーで連結した構造、あるいは把持部を逆U字形状とし、そこに離脱治具から延びる小径ロッドの先端を露出させた構造を採用することもできる。
【0017】
【作用及び発明の効果】
本発明によれば、棒状の分別治具の外側を離脱治具で覆い、分別治具の側面を露出させて分別ワークを磁着させるようにしたので、離脱治具をスライドさせて分別ワークを磁着阻止部に向けて押して離脱させ、自然落下させることができ、従来のように手を使ってワークを外す必要がなく、手や衣服が汚れたり、身体を屈めたりする必要がない。
【0018】
また、分別治具を固定したロッドを、使用する者が起立しかつその把持部を把持してロッドを傾斜させた状態でその先端(好ましくは分別治具の先端)が地面上にほぼ接地しうる長さとしたので、作業者が楽に動き廻りつつ分別作業を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて説明する。図1ないし図3は本発明の好ましい実施形態を示す。図において、合成樹脂パイプ製のロッド10は使用する者30が起立しかつその後端側のグリップ(把持部)11を片手で把持して傾斜させた状態でその先端が地面にほぼ接地しうるような長さを有し、ロッド10の先端には分別治具12が固定されている。
【0020】
この分別治具12は棒状基部13、磁石板14・・・及び磁着阻止部15から構成され、棒状基部13は合成樹脂材料又は硬質ゴム等を用い、断面が回収籠31内に回収された多数の飲料用空き缶Wの内方に挿入しうる外径のほぼ楕円形状で、長さが空き缶Wの高さ以上の寸法に形成されている。
【0021】
この棒状基部13の側面には先端から所定寸法の位置から後方に四角形状の凹部が両側に2個ずつ形成され、該凹部には磁石板14・・・が嵌め込んで固定され、分別治具12の側面にのみ空き缶Wが磁着しうるようになっている。また、棒状基部13の先端部は合成樹脂材料の特性によって分別治具の先端面への空き缶Wの磁着を阻止する磁着阻止部15となっている。
【0022】
また、分別治具12の外周には円筒状をなす合成樹脂製の離脱治具16がスライド自在に外装され、該離脱治具16は分別治具12と等しいか、少し短い長さに設定されている。この離脱治具16の後端には合成樹脂製のスライドパイプ17が固定され、該スライドパイプ17は上記ロッド10の外周にスライド自在に外装され、その後端には第2のグリップ(第2の把持部)18が取付けられている。このスライドパイプ17はその第2のグリップ18とロッド10側のグリップ11との間に使用する者の肩幅の間隔がほぼあくような長さを有する。
【0023】
また、分別治具12と離脱治具16との間にはコイルばね19が介設され、離脱治具16が分別治具12の側面を覆う状態となるように離脱治具16を付勢している。
【0024】
本例の分別器具を用いて空き缶Wの分別を行う場合、図2に示すように、片手でロッド10側のグリップ11、他方の手で第2のグリップ18を持ち、分別器具を傾斜させた状態とし、他方の手で握った第2のグリップ18を引き上げ、分別治具12の側面を露出させ、その状態で回収籠31内に回収されて積み重ねられた多数の空き缶W内に押し込む。
【0025】
すると、分別治具12の側面の磁石板14・・・に鉄製空き缶Wが磁着され、アルミ製空き缶は磁着されないので、そのまま斜め上方に引き抜くと、第3図に示すように鉄製空き缶Wが磁着した状態で分別器具が引き抜かれ、第2のグリップ18を握る手の力を緩めると、コイルばね19によって離脱治具16が下方にスライドして鉄製空き缶Wを押し下げ、離脱治具16が磁着阻止部15まで来ると鉄製空き缶Wに対する磁石板14・・・の磁力の影響が遮断されるので、鉄製空き缶Wは自然に落下し、このような作業を繰り返すことによって適正空き缶Wをアルミ製空き缶から分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい実施形態の磁石式分別器具を斜め上方から見た状態及び断面構成を示す図である。
【図2】 上記磁石式分別器具の使用状態を示す斜視図である。
【図3】 上記磁石式分別器具における分別治具に対する空き缶Wの磁着状態を示す図である。
【図4】 従来の分別器具を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ロッド
11 グリップ(把持部)
12 分別治具
13 棒状基部
14 磁石板
15 磁着阻止部
16 離脱治具
17 スライドパイプ
18 第2のグリップ(第2の把持部)
19 コイルばね(ばね部材)
30 使用する者
W 鉄製空き缶

Claims (5)

  1. その後端側に片手で把持しうる把持部が設けられたロッドと、
    該ロッドの先端に設けられ、少なくとも側面に分別すべきワークを磁着する棒状をなし、少なくとも磁着部分の外表面が熱収縮性の薄シートで被覆され、該薄シートの表面には微小凹凸が設けられている分別治具と、
    該分別治具の先端に設けられ、非磁性体で形成され、上記分別治具の先端面への分別すべきワークの磁着を阻止する磁着阻止部と、
    上記分別治具の外周にスライド自在に外装され、上記把持部に向かうスライドにて上記分別治具の側面を露出させて分別すべきワークを磁着させる一方、上記把持部から離れる方向のスライドにて磁着した分別すべきワークを磁着阻止部に向けて押して移動させて分別すべきワークを離脱させるパイプ状の離脱治具と、
    該離脱治具をスライド操作する操作手段とを備えたことを特徴とする磁石式分別器具。
  2. 上記操作手段が、上記ロッドの外周にスライド自在に外装され、その先端に上記離脱治具が固定されたスライドパイプと、該スライドパイプの後端側に設けられ、他方の片手で把持して上記離脱治具をスライド操作しうる第2の把持部とから構成されている請求項1記載の磁石式分別器具。
  3. 上記分別治具が積み重ねた複数の空き缶の内方に押し込みうる外径の棒状をなす請求項1記載の磁石式分別器具。
  4. 上記分別治具と離脱治具との間には分別治具の側面が離脱治具で覆われた状態、又は上記分別治具の側面が露出した状態になるように上記離脱治具を付勢するばね部材が設けられている請求項1記載の磁石式分別器具。
  5. 上記分別治具は、非磁性体で形成された棒状基部と、該棒状基部の側面の先端から所定寸法だけ離れた位置より後方に磁石板を固定して構成されている請求項1記載の磁石式分別治具。
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