JP4022487B2 - 結合剤のない着色層を有する層配置 - Google Patents
結合剤のない着色層を有する層配置 Download PDFInfo
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Description
発明の分野
本発明は支持体上に存在する層配置、特に蒸着された光刺激性燐光体を有する着色された結合剤のない貯蔵燐光体スクリーンに関する。
【0002】
発明の背景
放射線像貯蔵燐光体の良く知られた用途はX線像の生成である。US−A 3859527ではパネル中に含まれる光刺激性燐光体でX線像を生成するための方法が開示される。パネルはパターンに従って変調されたX線ビームを入射するために露光され、その結果として燐光体はX線放射線パターンに含まれるエネルギーを一時的に貯蔵する。露光後ある間隔で、可視又は赤外光のビームはパネルを走査し、貯蔵されたエネルギーの光としての放出を刺激する。その光は検出されて逐次電気信号に変換され、その信号は処理されて可視像を生成する。この目的のため、燐光体は入射X線エネルギーをできるだけ多い量で貯蔵すべきであり、走査ビームによって刺激されるまで貯蔵されたエネルギーを無視できる量で放出すべきである。これは“デジタル放射線写真”又は“コンピュータ放射線写真”と称される。
【0003】
上記X線記録システムではX線変換スクリーンは繰り返し使用されるので、燐光体含有層を機械的及び化学的損傷から保護するためにそれらに適当なトップコートを与えることが重要である。これはスクリーンがしばしば走査モジュールで輸送される光刺激性放射線写真スクリーンにとって特に重要である。そこでは貯蔵されたエネルギーの刺激が行われるが、カセット中に包装されないだけでなく保護包装なしでこのように使用され取り扱われる。保護層はニトロセルロース、エチルセルロース又は酢酸セルロース又はポリ(メタ)アクリル樹脂の如きフィルム形成有機溶媒溶解性ポリマーを含有する被覆溶液を直接適用して溶媒を蒸発によって除去することによって燐光体含有層上に被覆されることができる。別の技術によれば、クリアで、薄くて、タフで、可撓性があり、寸法的に安定である、ポリアミドフィルムがEP−A 0392474に記載されているように燐光体層に結合される。
【0004】
さらに別の良く知られた技術によれば保護オーバーコートは放射線硬化性組成物で生成される。それは例えばEP−A 0209358及びJP−A 61/176900及びUS−A 4893021に記載されているようにX線変換スクリーンにおける保護トップ層としての放射線硬化性被覆を使用することによって生成される。US−A 6120902では放射線硬化された保護層を担持しかつ確定された不均一性を有する増感スクリーンが開示されている。US−A 4059768はスクリーンに良好な輸送性を持たせるために増感スクリーンにおけるフッ素部分を含有するポリマービーズの使用をさらに説明する。US−A5401971ではポリ(ビニリデンフルオライド−コ−テトラフルオロエチレン)とポリ(1〜2のカルボナールキル)メタクリレートの相溶性ブレンドのブタノンにおける溶液から被覆された保護層を含む貯蔵燐光体スクリーンが開示されている。
【0005】
さらに最近では、良好な品質を有するX線像を生成する特定のスクリーンはジャミングの危険なしで、さらに輸送の摩耗及び引っ掻きに耐え、帯電の危険が全くないか又は少ない、スキャナーでの輸送のために増大した物理的強度を持つべきであるので、EP出願No.01000694(2001年12月3日出願)に述べられたような提案が採用されており、そこでは前記保護層は放射線硬化されている。
【0006】
放射線検出器に使用するために好適な燐光体スクリーン又はパネルの耐湿性用途及び加工を提供するため、前記検出器は針状結晶が有利に付着されるように化学蒸着によって上部に与えられる耐湿性保護層でオーバーコートされることが有利である。より好ましくは前記放射線検出器は燐光体スクリーン、即ち増感スクリーン又は貯蔵燐光体スクリーン又はパネルであり、さらに好ましい例では前記燐光体スクリーンは針状貯蔵燐光体スクリーンであり、前記耐湿性保護層はEP−A 1286362,1286363,1286364及び1286365に開示されたように“パリレン”(ポリ−p−キシリレン)層である。
【0007】
例えばUS−A 3859527に記載された別の現像として、X線照射時にそれらの直後光放出(即発放出)に加えて、X線像のエネルギーの大部分を一時的に貯蔵する性質を有する光刺激性貯蔵燐光体を使用するX線記録システムが記載されている。この場合のエネルギーは、光刺激に使用された光とは波長特性において異なる光の形で光刺激によって放出される。前記X線記録システムにおいて、光刺激時に放出される光は、光−電子的に検出され、逐次電気信号に変換される。貯蔵燐光体で操作するかかるX線又は放射線像形成システムの基本的構成要素は、前記燐光体を含有する像形成センサー、通常プレート又はパネル(これは一時的にX線エネルギーパターンを貯蔵する)、光刺激のための走査レーザービーム、アナログ信号(これは続いてデジタル時系列信号に変えられる)を提供する光−電子光検出器、通常デジタル像処理器(これは像をデジタル的に操作する)、信号記録器、例えば磁気ディスク又はテープ、及び写真フィルムの変調された露光に対する像記録器又は電子信号表示装置、例えば陰極線管である。
【0008】
光刺激性潜在蛍光像の読み取りに有用なレーザーの調査は定期刊行物 Research Disclosure Volume 308,No.117,p.991(1989年)に与えられている。
【0009】
前述した説明から、前記X線プレート又はパネルは中間像形成要素としてのみ作用し、最終記録を形成しないことが明らかである。最終像は、別の記録媒体又はディスプレイ上に作られるか又は再現される。燐光体プレート又はシートは繰返し再使用できる。但し、光刺激性燐光体パネル又はシートの再使用前に、残存エネルギーパターンは、光を一杯あてて消去される。
【0010】
前述の厳しい機械的条件に加えて、像貯蔵パネルの像品質、特に解像度、例えば鮮鋭度に関して極めて厳しい要求を満たすべきである。前記鮮鋭度は、パネル中の刺激性燐光体によって放出される光の拡がり度によって決まるのではなくて、パネル中の刺激線の拡がり度によって決まる:この光の拡がりを低下させるため、被覆された粗い燐光体粒子間の間隙を満たすため、微細なバッチと粗いバッチから混合物を作ることができる。良好な嵩係数(bulk factor)は、粗い燐光体粒子と微細な燐光体粒子が感度において僅かしか異ならない限り、感度における損失を生ぜしめる粗い燐光体粒子と微細な燐光体粒子の混合物を作ることによって達成することができる。増感スクリーンについて、この問題は、極めて前に既にKali−Chemieによって処理されており、US−A 2129295;2129296及び2144040で特許されている。そうでなければ、例えばDE−A 3031267に開示されているように保護層が非鮮鋭的に描かれている層配置を提供することによって、粒状性の減少に努力し、それを実現することができる。
【0011】
燐光体層の厚さは、さらに放出された光の増大した非鮮鋭度を生ぜしめることができる。これは、前記燐光体粒子の同じ被覆量に対して燐光体粒子の量と結合剤の量の間の重量比が低下すると、更に不利になる。より鮮鋭な像を得るために例えば結合剤の量を減少させることによって、燐光体対結合剤の重量比量を増大させることは、例えばスクリーン中の被覆された燐光体層の脆性と不充分な弾性のため、スクリーンの許容し得ない操作特性をもたらす。顔料及び結合剤の被覆量を変えることなく、より薄い被覆燐光体層を得るための一つの方法は、EP−A 0393662に記載されている如く、熱可塑性エラストマーの融点又は軟化点以上の温度で、結合剤及び燐光体の両方を含有する被覆層を圧縮する方法を利用する。
【0012】
圧縮製造法を用いない別の方法は、PCT出願WO 94/0531に提案されており、この中で結合媒体は1種以上のゴム状及び/又はエラストマー状重合体を含み、スクリーンの改良された弾性、機械的損傷に対する高い保護、高い操作容易性、高い顔料対結合剤比、及び改良された像品質、特に鮮鋭度を提供している。
【0013】
それゆえ改良された視覚性を示す良く知られた増感スクリーン生成から得られた放射線写真は、特に鮮鋭度のために例えばEP−A 0028521に記載されているように青光を吸収する補色黄染料を含む。US−A 4394581のようにパネルへの着色剤の添加と関連した、放射線像貯蔵パネルの鮮鋭度の改良に言及する従来の文献は、前記刺激性燐光体について刺激線の波長領域における前記パネルの平均反射率が刺激時に前記光刺激性燐光体によって放出される光の波長領域における前記パネルの平均反射率より低いように染料又は着色剤がパネルに加えられることを考慮する。US−A 4491736では特に露光時に刺激線より長い波長の光放出を示さない有機着色剤が開示されている。EP−A 0165340及び対応するUS−A 4675271は、染料の混入によって良好な解像度を示す貯蔵燐光体スクリーンを開示する。染料又は着色剤の混入によって像貯蔵パネルの燐光体層にもたらされる類似の効果は、さらにEP−A 0253348及び対応するUS−A 4879202及びEP−A 0288038に記載されている。貯蔵燐光体層に存在する光刺激する燐光体に対する刺激線の波長領域におけるパネルの平均反射率が刺激したときに前記光刺激性燐光体によって放出される光の波長領域における前記パネルの平均反射率より低いように着色剤で着色された放射線像貯蔵パネルの鮮鋭度に有利なように、少なくとも一つの水性アルカリ可溶性基を有するトリアリールメタン染料が選択され、そこでは前記染料はEP−A 0866469及び対応US−A 5905014に開示されているように前記支持体、前記燐光体層又は前記支持体と前記燐光体層の間の中間層のうちの少なくとも一つに存在させるべきである。
【0014】
ハレーション防止アンダーコート層が燐光体層と反射特性を有する支持体の間のパネルに存在させる場合には、機械的特性、スピード及び鮮鋭度の間の最適な関係を得るために中間層の層配置が好ましい:(下塗りされた)支持体と燐光体層の間の中間層配置は前記支持体のより近くに位置される一以上の染料を含有するハレーション防止アンダーコート層と、貯蔵燐光体粒子の前記層のより近くに位置される接着性改良層とから実質的になり、前記接着性改良層は前記ハレーション防止アンダーコート層より少ない程度に硬化されており、ヨーロッパ出願No.02100195(2002年2月28日出願)に説明されているように高く推奨される。
【0015】
適度な信号対ノイズ比(S/N)を得るために刺激光は検出器に到達すべき貯蔵燐光体の光刺激時に放出される蛍光とともに検出されることを防止されるべきである。それゆえ刺激光が検出手段、例えば光増倍管に入ることを防止する好適なフィルター手段を使用するべきである。刺激光の強度比は刺激された放出光のそれより顕著に高いので(即ち、104:1〜106:1の範囲の強度で異なる(公開されたEP−A 0007105、col.5参照))、極めて選択的な光学フィルターが燐光体プレートと検出器の間に装着されるべきである。好適なフィルター手段又はフィルターの組合せはカットオフフィルター、透過バンドパスフィルター及びバンドリジェクトフィルターの群から選択されてもよい。フィルタータイプ及びスペクトル透過分類の概括はPhotographic Science and EngineeringのSPSE Handbook,Woodlief Thomas,Jr.編‐‐A Wiley‐Interscience Publication‐‐John Wiley & Sons,New York(1973)、p.264−326に与えられている。実際には有用なフィルターは赤レーザー光(刺激光源として使用されるレーザー源によって生成される)を吸収すべきであり、刺激時に放出される青光に対して透過性であるべきである。最も好ましいフィルターは着色されたガラスから作られるが、欠点はその厚さである。最適化後であっても誘電層から構成されるフィルターは少なくとも2.5mmの最小厚さを有する。最も好ましくは光学フィルターの厚さは検出器による収集効率を増加するために最小にされるべきである:高い収集効率は実際検出される量の数字を高め、それによって信号対ノイズ比(SNR)を改良する。
【0016】
そうでなければ収集効率は貯蔵燐光体スクリーン又はパネルと検出器の間の距離に大いに依存する。その距離が小さいほど収集効率が高い。ファイバーオプティックプレート又は“FOP”の如き高い収集効率を提供する光学手段は極めて薄いフィルターと組合わせてのみ適用されることができる(極めて薄いフィルターが入手できない限り、それらの技術を適用できないだろう)。
【0017】
過去数十年間において、所望の波長範囲の放射線を吸収する、好適な染料又は着色剤の使用に基づいた極めて薄い光学フィルターを製造するために極めて多くの研究が実施されている。今までかかる染料の光化学的安定性に対して頻繁に苦しめられてきた。それゆえ鮮鋭度の改良と関連した調査をさらに指向する永続的に続く要求が残ったままである。
【0018】
特に鮮鋭度を改良する手段と関連した燐光体層における燐光体形態又は構造の観点から、結合剤のない層に存在する針状燐光体が平坦な走査プレートに使用するために特に好適である。親水性被覆溶液から被覆されたスクリーンに対して、染料の選択に対して関連した鮮鋭度に有利なさらなる手段がとられるときに問題は全くない。但し、好適な放射線吸収特性に加えて、前記染料はその構造中に親水性部分を有すること、及び放射線及び漂白現象の影響下での劣化に対する完全な耐性が保証されていることが条件である。しかしながら、より問題があるのは疎水性部分を有する染料の選択である。特に親水性部分が避けられるべきであるときにそうである。なぜならば燐光体粒子が湿分に対して特に感受性を有する場合に好ましい非水性被覆溶液での被覆が実施されるべきであるからである。
【0019】
発明の目的及び概要
それゆえ本発明の目的は優れた光安定性を示す、染料で着色された湿分感受性刺激性燐光体粒子を有する放射線像貯蔵パネルを提供することであり、前記パネルは優れた解像性を提供する。
【0020】
本発明の別の目的は水性又は湿分不含媒体からの染料で湿分感受性刺激性燐光体層を着色する能力を与える染料を特に探すことである。
【0021】
特に本発明の目的は色安定性及び湿分安定性について保護された、優れた鮮鋭度を有するX線記録システムに有用な結合剤のない刺激性燐光体スクリーンを提供することである。
【0022】
これらの目的に加えて前記スクリーンはジャミングを起こさずに走査モジュールによる簡単な輸送能力を与えるために強い保護層を有するべきである。
【0023】
本発明のさらに別の目的はかかる染料が使用のために好適であり、極めて薄い光学フィルターにおけるフィルター染料としての使用が考えられ、前記染料の吸収スペクトルが着色された燐光体層における染料からの吸収スペクトルにマッチする、層配置を提供することである。
【0024】
他の目的及び利点は以下の記載及び実施例から明らかになるだろう。
【0025】
本発明によれば、上述の目的は請求項1に規定されたような特徴を有する層配置、特に前記層配置が光刺激性の結合剤のない燐光体スクリーンの形であるものを提供することによって実現される。
【0026】
本発明の好ましい例についての特別な特徴は従属請求項に開示されている。
【0027】
本発明のさらなる利点及び具体例は以下の記載及び図面から明らかになるだろう。
【0028】
発明の詳細な記述
薄い光学フィルター層において予期せぬ被覆性を与える染料の種類を選択するために多くの研究が行われてきた。そこでは前記染料の吸収スペクトルは着色された燐光体層に存在するときに同じ染料の吸収スペクトルに一致する。銅と錯体を形成するシアニン染料は優れた特性を達成するためにかかる所望の妥協を与えることが示されている。
【0029】
光化学安定性は銅−スルホン化フタロシアニン染料によって与えられることが見出され、さらに水性溶液からの被覆性、結果として従来の写真用途における所望の水性ゼラチン溶液からの被覆性を与える。かかる選択された染料は例えば光増倍管検出器と組合せた光安定性フィルター層として(光学構成要素上で被覆されたとき50μmの範囲の)極めて薄い光学フィルターに使用するために特に好適である。かかる層は光学接着剤によって上に接着されるために別個に前もって被覆されるか又は例えばガラス基体上に直接被覆可能である。接着特性のために、接着された層を適用することに加えて、基体(支持体)とフィルター層の間にアンダーコート層を持つことが推奨される。そこでは前記アンダーコート層はシリカを含み、好ましい例ではシリカが存在するフィルター層が与えられる。Cu−スルホン化フタロシアニンとしての染料化合物は水性溶液からの被覆性を与える。透明支持体材料が前記選択された染料で被覆されるとき光倍増管検出器と組合わせて使用するために好適な極めて薄い光安定性光学フィルターが与えられる。上述のシアニン染料化合物の選択された銅錯体はこのように前記染料の吸収スペクトルにマッチする吸収スペクトルを有利に与える。
【0030】
本発明によれば、支持体上に存在する層配置において、少なくとも1種のナノ結晶染料化合物がその支持体上の少なくとも一つの層に存在すること、特に放射線散乱を少なくするために、少なくとも1種のナノ結晶染料化合物が前記支持体上の少なくとも一つの結合剤のない層に存在することを特徴とする層配置が提供される。
【0031】
本発明によるさらなる例では、少なくとも1種のナノ結晶染料化合物を有する前記層がコロイドシリカをさらに含む層配置が提供される。
【0032】
好適な染料の選択を行うための研究は、本発明による層配置では、シアニン染料の銅錯体が染料化合物として好ましいことを実際に示す。本発明による更に好ましい例では、上述の前記層配置では前記染料化合物がβ−Cu−フタロシアニンであることが示される。
【0033】
湿分のない成分が針状燐光体に対して例えばEP−A 1113458に記載されているような蒸着技術によって好ましく蒸着される湿分感受性燐光体スクリーン又はパネルのような層配置では、好適な染料は昇華性を持つべきである。直接放射線写真に対する平坦な貯蔵パネル層配置に使用するために好適な針状燐光体に関して、Cu−スルホン化フタロシアニンは染料安定性を与えるが、前記染料の昇華性に対する不足のために染料として使用されることができない。
【0034】
実験室の実験から、本発明の範囲内で望まれるような染料を選択するためには、染料が結晶形態を有するとき、染料の光化学安定性が優れていることが明らかに示されている。この特に望ましい利点を失う危険は染料が溶媒と接触するときに増加する:溶解状態では極めて多くの光安定性が実際に失われる。なぜならば漂白されるその感度は異常に増加するからである。ナノ結晶染料のように昇華する能力、及び蒸着される層配置の前記少なくとも一つの結晶剤のない層において前記染料の吸収スペクトルにマッチする吸収スペクトルを保護することは有利に得られる利益の特性の組合せである。
【0035】
染料の結晶形態を変わらないままにするための技術を探し、さらに薄い均質でコンパクトな層を作るとき、かかる試みは蒸着技術を適用するときに最もうまく行われることが見出された。かかる高い所望の効果を得る能力は今まで一つだけの特別に選択された染料に制限されており、それは前記蒸着技術を行っている間に使用される高い温度に耐え、光安定性の損失はなく、変わらない吸収スペクトル及び所望の高い吸収を与える。
【0036】
本発明によれば、前記染料化合物がシアニン染料の銅錯体である層配置が提供され、そこではこの特定の種類のシアニン染料から前記選択された染料はβ−Cuフタロシアニンであり、さらに本発明によれば前記β−Cuフタロシアニン染料化合物はその化学式をCuC32N6H16として表される層配置が提供される。蒸着技術を行っている間、染料は昇華し、支持体上に蒸着されるようになる。前記染料の蒸着中、ナノサイズの結晶粒子が層中に配置され、さらに高い均質度及び高いコンパクトなデザインを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、支持体上に蒸着された燐光体層を有する結合剤のない光刺激性燐光体スクリーンにおいて、少なくとも1種のナノ結晶染料化合物がその支持体上に少なくとも一つの結合剤のない層に存在することを特徴とする光刺激性燐光体スクリーンが提供される。従って、前記昇華された染料を前記結合剤のない層に加えて他の層に存在させることは除外されない。
【0038】
特別な利点として薄い染料層の光学的特性が昇華及び蒸着前の最初の染料の光学的特性に完全にマッチすることが観察された。
【0039】
支持体上への、特に選択された支持体としてガラス上への蒸着された染料の優れた接着性を得るために、染料及びシリカとして知られるSiO2が同時に蒸発され、一つの層を形成する。
【0040】
本発明によれば、少なくとも1種のナノ結晶染料化合物を有する前記層がコロイドシリカをさらに含む層配置が提供される。
【0041】
本発明による好ましい例では、結合剤のない着色された光刺激性燐光体層を含む燐光体スクリーンが考えられ、そこでは前記燐光体層は優れた解像度(鮮鋭度)を得るために前述のように選択された染料及び蒸着されたアルカリ金属ハロゲン化物燐光体から構成される。
【0042】
“蒸着された”という用語に関して、好ましいアルカリ金属ハロゲン化物燐光体が蒸着の技術によって蒸着された結晶を有する針状燐光体であることが強調されるべきである。
【0043】
“蒸着された燐光体”はこの明細書を通して、熱蒸着、化学蒸着、電子線蒸着、無線周波数蒸着及びパルス化レーザ蒸着からなる群から選択されたいずれかの方法によって支持体上に蒸着される燐光体を意味する。この蒸着はEP−A 1113458に記載されているような条件下で実施されることが好ましい。
【0044】
本発明によれば、支持体上に結合剤のない蒸着された燐光体層を有する光刺激性燐光体スクリーンを表す層配置において、少なくとも1種のナノ結晶染料化合物が前記支持体上の少なくとも前記結合剤のない燐光体層に存在することを特徴とする層配置が提供される。
【0045】
さらに本発明によれば、前記層配置は支持体と、燐光体針状結晶及び前記針状結晶の間の空隙を有する結合剤のない蒸着された光刺激性燐光体層とを有する光刺激性燐光体スクリーンを表し、前記針状結晶間の前記空隙が前記ナノ結晶染料で部分的に充填されていることを特徴とする。
【0046】
本発明による好ましい例では、前記層配置は光刺激性燐光体層を含み、その光刺激性燐光体層は蒸着されたアルカリ金属ハロゲン化物燐光体から構成される結合剤のない層である。
【0047】
蒸着された燐光体層が例えば上述のEP−A 1113458に開示されているように間隙によって分離された針状燐光体を含有するとき、燐光体層は機械的衝撃に対して極めて敏感である。本発明によれば、燐光体とともに上述の選択された染料の同時蒸着が柱状又は針状燐光体の間の空隙の充填を提供することが今や見出された。結果として柱状又は針状燐光体の間の空隙がEP出願No.02100235(2002年3月8日出願)に記載された貯蔵燐光体パネルの結合剤のない層における燐光体針状結晶の間の空隙と比較すると、さらに顕著に低い程度まで充填されることが必要である。空隙中に染料が存在しない場合にはかかる針状燐光体の全長の少なくとも約5%までが実際に充填されるべきである。かくして蒸着された燐光体層に対する補強効果に加えて、刺激線によって衝突する放射線の散乱の発生が少ないため、増大した鮮鋭度が得られる。
【0048】
顔料又は染料は染料蒸着が可能であるという条件で、刺激性燐光体とともに刺激性燐光体針状結晶の間の隙間に少なくとも部分的に蒸着されている。それゆえ、分解されない染料又は顔料を持つことが要求され、その光学的特性は貯蔵燐光体とともに蒸着中に増大した温度の影響下で変わらないことが要求される。かかる場合では、刺激性燐光体と染料又は顔料の比(重量比)は1000000:1〜1000:1の範囲内にあることが好ましい。顔料が刺激性燐光体層中に貯蔵燐光体とともに導入される場合には、刺激線を反射する光反射層は刺激性燐光体層の一つの表面上に形成されることが有利である。
【0049】
本発明の範囲内で使用するために好適な染料のさらなる例はメチレンブルー(C16H18ClN3)、アズレB(C15H17ClN3S)、トルイジンブルー0(C15H16N3SCl)、チオニン(C12H10ClN3S)、インドシアニングリーン(IGC)(C43H47N2O6S2Na)、マグネシウムフタロシアニン、オキサトリカルボシアニン、インドトリカルボシアニン、亜鉛フタロシアニン、オキサジン、クリプトシアニン及びテトラ−1−ブチル−ナフタロシアニンであるが、最も好ましい顔料染料として、上述の種類中で最も化学的に安定した染料であるβ−銅フタロシアニン(CuC32N6H16)が選択される。
【0050】
本発明によれば、針状燐光体結晶の間の望ましくない間隙なしに極めて薄い均質に着色された層の被覆が達成される。好ましい染料顔料が青着色されているので、赤色のレーザ刺激放射線の極めて良好な吸収及び青色の刺激された光の極めて良好な透過が保証される。前記選択されたβ−銅フタロシアニンは好ましい染料としてCiba−Geigy、スイスから入手可能である。
【0051】
本発明によれば、貯蔵燐光体プレート又はパネルは1μg/m2〜1000μg/m2の量で上述のような1種以上の染料を含むことが好ましい。
【0052】
本発明による結合剤のない貯蔵燐光体スクリーンの燐光体層は、好ましくは支持体上の貯蔵燐光体結晶の化学蒸着によって作られるのに加えて、代替的に貯蔵燐光体のための成分(燐光体プリカーサ)を結合(混合)し、次いでこの混合物を蒸発して、その場で蒸発中に燐光体を形成することによって作られる。
【0053】
本発明による結合剤のない貯蔵燐光体スクリーンにおける貯蔵燐光体は原則としていかなる公知の貯蔵燐光体であることもできるが、好ましくはアルカリ金属燐光体であり、それは本発明の結合剤のない貯蔵燐光体スクリーンに使用するために特に好適である。
【0054】
ドーパントがGa1+,Ge2+,Sn2+,Sb3+及びAs3+からなる群から選択され、かつ好ましい例ではアルカリ金属がEP−A 0751200のようにCs及び/又はRbである、アルカリ金属ハロゲン化物燐光体を含む放射線像貯蔵スクリーンは、上述のような染料で有利に着色されることができる。好適な貯蔵燐光体は例えば式(I)による燐光体である:
M1+X.aM2+X′2bM3+X″3:cZ (I)
式中、M1+はLi,Na,K,Cs及びRbからなる群から選択された少なくとも一つの要素であり、M2+はBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu,Pb及びNiからなる群から選択された少なくとも一つの要素であり、M3+はSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Bi,In及びGaからなる群から選択された少なくとも一つの要素であり、ZはGa1+,Ge2+,Sn2+,Sb3+及びAs3+からなる群から選択された少なくとも一つの要素であり、X,X′及びX″は同じであっても異なってもよく、各々はF,Br,Cl,Iからなる群から選択されたハロゲン原子を表し、0≦a≦1、0≦b≦1及び0<c≦0.2である。
【0055】
かかる燐光体は例えばUS−A 5736069に開示されている。
【0056】
本発明の結合剤のない刺激性燐光体スクリーンに使用するために極めて好ましい貯蔵燐光体はWO 01/003156に記載されたCsX:Eu光刺激性燐光体(但し、XはBr及びClからなる群から選択されたハロゲン化物を表す)であり、下記工程を含む方法によって作られる:
− EuX′2,EuX′3及びEuOX′(但し、X′はF,Cl,Br及びIからなる群から選択された一つの要素である)からなる群から選択されたユーロピウム化合物の10−3〜5mol%と前記CsXを混合する;
− 前記混合物を450℃以上の温度で燃焼する;
− 前記混合物を冷却する;そして
− CsX:Eu燐光体を回収する。
【0057】
本発明の好ましい例によれば、結合剤のない光刺激性燐光体スクリーンは針状CsX:Eu燐光体を有し、そこではXはBr及びClからなる群から選択されたハロゲン化物を表す。
【0058】
最も好ましくは、CsBr:Eu光刺激性燐光体が使用され、特に下記工程を含む方法によって作られたものである:
− EuX′2,EuX′3及びEuOX′(但し、X′はF,Cl,Br及びIからなる群から選択された一つの要素である)からなる群から選択されたユーロピウム化合物の10−3〜5mol%と前記CsXを混合する;
− 前記混合物を450℃以上の温度で燃焼する;
− 前記混合物を冷却する;そして
− CsX:Eu燐光体を回収する。
【0059】
結合剤のないスクリーンの燐光体層は熱蒸着、化学蒸着、電子線蒸着、無線周波数蒸着及びパルス化レーザ蒸着からなる群から選択されたいずれかの方法によって支持体上にかかる完成した燐光体をもたらすことによって有利に製造される。アルカリ金属ハロゲン化物とドーパントを一緒にもたらし、アルカリ金属燐光体がスクリーンの製造中にドープされるような方法で支持体上にそれらをともに蒸着することもできる。
【0060】
本発明はCsX:Eu光刺激性燐光体(但し、XはBr及びClからなる群から選択されたハロゲン化物を表す)を含有する燐光体スクリーンの形の層配置の製造方法であって、下記工程を含む方法をさらに包含する:
− EuX′2,EuX′3及びEuOX′(但し、X′はF,Cl,Br及びIからなる群から選択されたハロゲン化物である)からなる群から選択されたユーロピウム化合物及び前記CsXの多数の容器を蒸着の状態にもたらし;そして
− 熱蒸着、化学蒸着、電子線蒸着、無線周波数蒸着及びパルス化レーザ蒸着からなる群から選択された方法によって、ユーロピウムの10−3〜5mol%をドープされたCsX燐光体が前記支持体上に形成されるような比で前記CsX及び前記ユーロピウム化合物の両方を支持体上に蒸着する。
【0061】
蒸着は所望の割合で出発化合物の混合物を含有する単一容器から行うことができる。前記方法はCsX:Eu光刺激性燐光体(但し、XはBr及びClからなる群から選択されたハロゲン化物を表す)を含有する貯蔵燐光体スクリーンの製造方法であって、下記工程を含む方法をさらに包含する:
− EuX′2,EuX′3及びEuOX′(但し、X′はF,Cl,Br及びIからなる群から選択されたハロゲン化物である)からなる群から選択されたユーロピウム化合物の10−3〜5mol%と前記CsXを混合する;
− 前記混合物を蒸着の状態にもたらす;そして
− 物理蒸着、熱蒸着、化学蒸着、電子線蒸着、無線周波数蒸着及びパルス化レーザ蒸着からなる群から選択された方法によって前記混合物を支持体上に蒸着する。
【0062】
本発明による層配置の結合剤のない刺激性燐光体層における放射線像貯蔵燐光体として特に好ましいものはCsBr:Eu2+である。なぜならば、この特に選択された燐光体は貯蔵スクリーン又はパネルの結合剤のない層において針状円柱形での化学蒸着によって被覆される能力を与えるからである。
【0063】
充填された円柱の形で好ましいCsBr:Eu2+貯蔵燐光体を有するかかる針状燐光体層から得られた解像度に関して、極めて小さな横断面を有する針状結晶は放射線を通過させることができず、一方極めて大きい直径を有する針状結晶は放射線を容易に通過させるが、鮮鋭でない像に導くことが実験的に証明された。それゆえ円柱の形の針状CsBr:Eu2+貯蔵燐光体粒子が選択され、前記燐光体粒子は十分な鮮鋭度を与えるために1μm〜30μm、より好ましくは2μm〜15μmの範囲の平均横断直径を有し、さらに十分なスピードを与えるために100μm〜1000μm、より好ましくは100μm〜500μmの範囲の前記円柱のケーシングに沿って測定された平均長さを有する。
【0064】
1μm以下に粒径を減少するときの主要な挑戦の一つは燐光体発光効率の急激な減少にある。これは1μm〜0.01μmの領域において優勢になる表面関連非放射プロセスに寄与する:理論的バリヤーとして直径は現実的な波長を表す440nmより小さくなってはいけない。そこから十分に逸脱する境界値は1μmである。
【0065】
針状構造が描かれるように十分な数の針状結晶をさらに存在させるべきである。なぜならばピクセルサイズでの干渉が除外されないからである。マンモグラフィでは、例えば一つの針状結晶に対して30μmの直径がピクセルの1/2の存在を与えるように60μmのピクセルサイズが通常使用される。ピクセルあたり四つの針状結晶が与えられ、その場合には“エイリアシング(aliasing)”が起こる最小値と一致する。本発明によるさらに好ましい例では、針状燐光体は2μm〜15μmの範囲の平均直径を有するべきである。
【0066】
針状結晶の所望長さに関する条件は以下に説明される。好ましい化学蒸着(CVD)技術による針状結晶の製造中、針状構造から逸脱するわずかにアモルファスな(amorf)層が支持体と接触して形成されることが観察された:“核層”と称されるこの層はCDVプロセスにおける蒸着パラメータに依存して約30μmの平均厚さを有する。感度と信号対ノイズ比の間の最も好ましい妥協を示す作用システムを得るために、アモルファス核層の厚さの少なくとも2倍を越える長さを有する針状結晶を与えることが推奨される。結果として100μmがほぼ境界である。それより小さな針状結晶長さは感度及び十分に高い信号対ノイズ値を不足する。さらに1000μmより大きな針状結晶長さはレーザ光の強度が弱められ針状結晶の底に到達できないので望ましくない。1000μmを越える結合剤のない針状層は読み出されることができず、かつ所望の信号に寄与しない。刺激された放射線によって放出された光として多くが1000μmより大きい厚さを有する針状層から逃避することができないだろう。さらに好ましい例では、所望の針状CsBr:Eu2+燐光体は100μm〜500μmの範囲の平均長さを有するべきである。
【0067】
微小チャネルとして作用する蒸着された円柱体の壁はナノ燐光体によって放出された光を微小チャネル円柱体の下方へ電子装置の如き好適な光収集装置に反射するように配置される。光は極端な収差又は偏向がなければ良好に案内されるので、円柱被覆内に滑らかな表面を有する壁を与えることが推奨される。好ましくは光処理量の効率及び鮮鋭度のために円柱形針状燐光体について0.30未満の平均横断面直径及び平均ケーシング長さの変動係数を有することに加えて、光刺激された光(PSL)中心を作るために低量のX線エネルギー(例えば100eV未満の範囲)が必要とされるように高い変換効率を持つことが特に推奨される。
【0068】
本発明による針状CsBr:Eu2+貯蔵燐光体粒子は10mg/cm2〜400mg/cm2の範囲の前記貯蔵燐光体粒子についての量で本発明による貯蔵燐光体プレート又はパネルに被覆されることが好ましい。
【0069】
円柱形被覆内に滑らかな表面を有する刺激性燐光体壁を与えること、好ましい例では衝突する刺激放射線を吸収する前述の好ましい染料又は顔料で着色された前記円柱体の壁を持つことが推奨される。
【0070】
本発明によれば、貯蔵燐光体スクリーン又はパネルの形の層配置が与えられ、前記スクリーン又はパネルは前記スクリーン又はパネルに衝突したX線から貯蔵されたエネルギーを有する燐光体粒子の刺激後に放射線を放出し、前記パネルは平坦な表面を有する支持体、支持体の表面上に延びる多数の円柱形針状燐光体(前記燐光体は円柱体の形の針状CsBr:Eu2+貯蔵燐光体粒子である)、及び選択されたβ−Cuフタロシアニン染料によって予期せぬことに提供されるようなスペクトル吸収特性の損失なしに化学蒸着中に昇華される能力及び光安定性を与える染料を含む。
【0071】
本発明による放射線像貯蔵パネルにおいて有利に認められる染料に加えて、さらに記録システムのスピード(即ち、できるだけ低い量の患者線量)と高いシャープネス及び低いノイズを有する像の間の極めて良好な妥協を有するX線記録システムに有用な刺激性燐光体スクリーンを与えるために、結合剤のない刺激性燐光体スクリーンが提供され、そこでは前記スクリーンは少なくとも30%の刺激光を吸収しかつ少なくとも60%の刺激された光を反射する支持体上に蒸着された燐光体層を含み、好ましい例では前記支持体はEP出願No.01000697(2001年12月3日出願)に開示された(白色TiO2顔料及び青色MACROLEX BLUE顔料のような)顔料で着色された(ポリエチレンテレフタレートフィルムのような)ポリマーフィルム支持体であり、その組成は本発明において有利に使用されうる。
【0072】
結合剤のない刺激性燐光体スクリーンが支持体上に蒸着された燐光体層を含む場合には、好ましくは熱スプレー技術によって、あるいはシリケート及び前記少なくとも一つの刺激光吸収無機顔料(好ましくはAl2O3,TiO2,SiO2及びZnOから選択された白色顔料)を含む水性分散液を被覆することによって前記支持体に好ましくは適用されたセラミック層が、EP出願No.01000696(2001年12月3日出願)に開示されているように前記燐光体層と前記支持体(好ましくはアルミニウム、鋼、黄銅及び銅の群から選択される金属又は合金)の間に存在することを特徴とし、もし本発明による層配置における着色された層内に適用されるならスピード及び鮮鋭度に関して類似の結果が得られる。
【0073】
下塗り層は層の接着のために、支持体(セラミック層でオーバーコートされているかどうかにかかわらず)と燐光体層の間に存在させることが有利である。かかる下塗り層はシリケート及び少なくとも1種の顔料又は染料を含む水性分散液を被覆することによって前記支持体に被覆されるが、反射防止性及び鮮鋭度のためにMgF2、シリカ(SiO2)及び少なくとも1種のナノ結晶染料化合物のうちの少なくとも一つを有するかかる下塗り層を形成することが推奨され、そこでは前記染料化合物は上で引用された好ましい染料であり、好ましい成分は別々に又は同時に蒸着される能力を与える。かかる下塗り層は好ましい例では100nm〜50μmの範囲の厚さを有するが、これに制限されるものではない。
【0074】
本発明による特定の層配置はガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アルミニウム、Pyrex(登録商標)、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、サファイア、セレン化亜鉛、Zerodur(登録商標)、セラミック層及びアルミニウム、鋼、黄銅及び銅から選択された金属又は合金からなる群から選択された支持体を利用することが有利である。列挙された支持体材料はガラス、ポリマー、セラミックス及び金属の群から選択される。
【0075】
コンピュータ放射線写真のための平坦な放射線像貯蔵パネルの形の層配置における結合剤のない燐光体層の選択された染料の存在によって増大した強度を有するが、前記燐光体層の強度をさらに増大するために針状燐光体層の上部に保護層を適用することが推奨される。
【0076】
強い保護層の存在はEP出願No.0100694及び0100695(ともに2001年12月3日出願)に開示されているようにジャミングを起こさずに走査モジュールを通しての輸送の容易性を実際に与え、前記保護層は燐光体層中の小さな間隙を充填するかどうかにかかわらず少なくとも1mol%、より好ましくは5mol%〜50mol%のフッ素原子担持部分を含む。輸送のために結合剤のない刺激性燐光体スクリーンはそれに応じて5μm≦dv50≦25μmの体積メジアン直径dv50及び1≦dv50/dn50≦1.20の数メジアン直径dn50を有するポリマービーズをさらに含む保護層を有する。さらに好ましい例では、得られる同じ物体のために、前記保護層は1μm≦t≦10μmの厚さtを有し、前記ポリマービーズは1.25≦dv50/t≦4.0の体積メジアン直径dv50を有する。前記保護層の放射線硬化は大いに推奨される。
【0077】
本発明によれば、結合剤のない光刺激性燐光体スクリーンがフッ素原子担持部分に加えてポリマービーズ又は少なくとも1種のナノ結晶染料化合物又はそれらの組合せを含む保護層をオーバーコートされている層配置が提供される。
【0078】
高い表面耐久性を有する像貯蔵パネルを与えるために、即ち汚れによる表面の損傷及び多数回使用後の摩耗を避け、さらに操作の容易性のためにスクリーン構造ノイズ(粒状性)の増加なしに優れた像品質(改良された鮮鋭度)を与えるために放射線像貯蔵パネルは保護被覆を含んでおり、前記保護被覆は結合剤に加えて1.6以上の反射率、より好ましくは2.0以上の反射率を有する白色顔料、及びさらにより規定すると前記結合剤に存在する二酸化チタンを含み、さらにウレタンアクリレートを含むことを特徴とし、前記保護被覆はEP出願No.01000711(2001年12月5日出願)に開示されているような2μm〜10μmの表面粗さ(Rz)を有する。
【0079】
あるいは保護層はアクリル酸のエステルから誘導された部分を含むビニル樹脂及びメタクリル酸のエステルから誘導された部分を含むビニル樹脂、より好ましくはEP出願No.02100235(2002年3月8日出願)に開示されているような熱可塑性ゴムからなる群から選択されたポリマー化合物から構成される。鮮鋭度のためにポリマーは少なくとも1種の着色剤、より好ましくは上述のような化学蒸着によって蒸着された着色剤と同じ刺激線に対する吸収特性を有する着色剤をさらに含む。
【0080】
本発明によるさらに別の例では、結合剤のない光刺激性燐光体スクリーンがポリ(p−キシリレン)、ポリ(p−2−クロロキシリレン)、ポリ(p−2,6−ジクロロキシリレン)、フルオロ置換ポリ(p−キシリレン)、MgF2又はそれらの組合せでオーバーコートされている層配置が提供される。ポリ(p−キシリレン)は“パリレン”として知られ、そう呼ばれている。化学蒸着はそれらの成分を使用するときに適用されうる技術であるので、前記技術はこの場合において有利に適用される。“パリレン”は優れた耐湿性を特に提供し、一方MgF2は優れた反射防止特性を提供する。湿分保護“パリレン”層は特別な例では針状燐光体層と同じ着色剤で着色される。かかる層は真空蒸着された保護層と着色剤の同時蒸着によって容易に得られるからである。
【0081】
本発明はその層配置の特に好ましい例では、ナノ結晶染料化合物に加えて(本発明の要旨を表す)支持体又は基体上の少なくとも一つの層において、前記支持体上に結合剤のない燐光体層を形成する、蒸着された貯蔵又は刺激性燐光体、より好ましくは針状燐光体、さらにより好ましくはCsX:Eu燐光体(但し、XはBr及びClからなる群から選択されるハロゲン化物を表す);前述のような例による保護層を含む結合剤のない燐光体パネルをさらに含む。
【0082】
耐湿性絶縁フィルムがかくして存在し、そこでは前記フィルムは本発明の層配置の最も好ましい例として燐光体スクリーン又はパネル上に形成されたCVD(化学蒸着)によって得られる。かくして形成された燐光体スクリーン又はパネルは前記燐光体層の主表面より大きい表面を有する支持体の部分上に保護層を有することが好ましい耐湿性保護オーバーコート層によって特徴づけられ、かくして前記燐光体層は前記支持体の部分を開放し、前記保護オーバーコート層は前記燐光体層によって開放された前記支持体の前記部分の少なくとも一部をカバーする。前記耐湿性保護オーバーコート層は燐光体層の表面をカバーする最外層であり、前記表面は支持体の表面より小さく、従って燐光体層は支持体の縁に到達しない。燐光体層の主表面より大きい表面を有する支持体を持つパネルは支持体の部分を開放し、一方耐湿性保護層は燐光体層によって開放された支持体の部分を少なくとも部分的にカバーする。かかる構成の利点は燐光体層の縁が装置の機械的部分に接触せず、パネルの使用中、特に例えば走査装置中における移動中に容易に損傷されないという点にある。この構成の別の利点は特別な縁補強が全く必要ないことである(但し、もし望むならさらなる縁補強を適用してもよい)。燐光体層の表面が支持体の表面より小さく、従って燐光体層が支持体の縁に到達しない燐光体パネルのかかる構成は本発明の特に好ましい例を表すが、かかる構成は公知のいかなる保護層でカバーされたいかなる燐光体パネルの製造に対しても有益でありうる。かかる燐光体パネルでは耐湿性保護層は通常0.05μm〜15μm、より好ましくは1μm〜10μmの範囲の厚さを有する。
【0083】
前で示唆したように耐湿性保護オーバーコート層は通常パネルの最外層であるが、別の例では前記層は例えばダスト、引掻き傷及び損傷に対するさらなる保護のために別の最外層でさらにオーバーコートされてもよい。その場合においてポリマー層、さらにより好ましくは放射線硬化されたポリマー層を最外層として持つことが推奨される。間隙によって分離された針状燐光体結晶を有するかかる燐光体層上に極めて低い水透過性を有する層が本発明のように蒸着されるとき、この層が化学蒸着されたパリレン層であることが好ましい。かかる層は針状結晶の表面をカバーするだけでなく、前に開示された既に選択された着色剤に加えて少なくとも部分的に針状結晶の間の空隙もカバーし、かくして燐光体針状結晶の縁を湿度に対して完全に保護する。
【0084】
本発明による好ましい例では、結合剤のない光刺激性燐光体スクリーンが前記支持体上に被覆され、前記支持体がファイバーオプティックプレート(FOP)と接触している層配置が提供される。
【0085】
CCDセンサーによって放射線像の電気表示を得るための同じ方法をさらに使用することができ、そこでは燐光体プレート部分からEP−A 0859244に開示されたような燐光体プレート部分に対して静止状態に維持された少なくとも一つの二次元CCDセンサーに刺激された光を案内する。さらに燐光体キャリアに貯蔵される情報を読み出すための装置及び燐光体キャリア及びかかる装置を含有するX線カセットが有利に使用され、前記装置は例えばEP−A 1034443に記載されているように点単位の方式で燐光体キャリアから放出された放射線を受けるための多数の点要素を含有する受容手段をさらに有するが、それらに限定されない。
【0086】
刺激放射線を送るための放射線源、及び燐光体被覆から放出された放射線のための受容装置を有する、燐光体被覆に貯蔵されたデータのための情報読み出し装置であって、放射線源がキャリア材料の一つの側に配置され、受容装置が他の側に配置され、放射線の通路がEP−A 1014684のように放射線源と受容装置の間に形成されるものが、さらに有利に使用される。
【0087】
本発明をその好ましい例と関連して以下に記載するが、本発明をそれらの例に限定することを意図しないことは理解されるだろう。
【0088】
実施例
“セパレートリファクター(separatory factor)”と称されるファクターは二つの異なる波長で測定された密度の比として規定された。ファクターはフィルターの層厚さに依存しないし、染料又は着色剤の濃度にも依存しない。一方の波長はフィルターによる強い吸収が要求されるものが選択され(この場合には刺激光の最大波長に相当する685nmの波長)、他方の波長は最適化された透過を与えるための波長で選択される(この場合には刺激時に燐光体の発光スペクトルに対して最大が測定される440nm波長)。
【0089】
それらの“最適化された波長”においてその特定の染料又は着色剤についての“セパレートリファクター”は最高値を与える。対象物によっては一方の波長は刺激光の最大吸収波長と一致し、他方の波長は刺激時に燐光体によって放出される放射線に対して最小吸収又は最大透過波長と一致する。
【0090】
本発明による別の例では、顔料又は染料が溶解したアルコール溶液に浸漬され、その後前記燐光体プレートが存在するアルコールを蒸発するために風乾された後に、針状像燐光体プレートに染料又は顔料を混入するため、及び燐光体プレートにおいて染料を不動化するための方法が提供される。結合剤は1重量%〜10重量%の低い量で前記方法に使用されるアルコール染料溶液に存在した。染料の存在は一つの針状結晶から別の(隣接する)針状結晶への光移動を避け、針状構造の有利な効果を増強した:これは、わずかであるが許容可能なスピード低下が検出されるが、さらに改良された鮮鋭度又は解像度を生じた。
【0091】
本発明の好ましい例を詳細に記載したが、特許請求の範囲に規定された発明の範囲から逸脱せずに多数の変更をそこでなしうることは当業者に明らかであるだろう。
Claims (1)
- 支持体と、支持体上に設けられた結合剤のない蒸着された光刺激性燐光体層とを有する光刺激性燐光体スクリーンであって、前記光刺激性燐光体層が燐光体針状結晶を有し、前記燐光体針状結晶の間に空隙が設けられているものにおいて、前記燐光体針状結晶間の前記空隙がβ−Cu−フタロシアニンナノ結晶染料で部分的に充填されていること、及び前記β−Cu−フタロシアニンナノ結晶染料が、蒸着されたナノサイズの結晶染料であることを特徴とする光刺激性燐光体スクリーン。
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