JP4019769B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリング操作による操舵角と操向車輪の転舵角との舵角比を変更可能な車両用操舵制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の車両用操舵制御装置として、例えば、特開2000−309277号公報に記載されたものが提案されている。
この公報に記載されている車両用操舵制御装置は、ステアリングホイールに連結された入力軸と操向車輪に連結された出力軸とを、非同軸且つ非平行に配置すると共に、入力軸に対して所定回転軸回りにのみ回転自在なリンク部材が連結された構成を有する。このリンク部材は、スライド部材を介して出力軸に対して軸方向変位のみ許容されて一体的に連結したアームに連結しており、スライド部材は、リンク部材に沿ってスライド可能に配置されている。そして、入力軸に対するリンク部材の傾斜角度がモータの駆動によって変更されるようになっている。すなわち、例えば、操舵角や車速等の信号に基づいてモータを駆動し、入力軸に対するリンク部材の傾斜角度を制御することによって、高速走行時における過敏な車両挙動や低速走行時におけるステアリング操作の煩わしさ等を抑制できるようになっている。
【0003】
ところが、モータによってリンク部材の傾斜角度を制御するようになっていることから、ギヤ比の設定に自ずと限界が生じ、車種に応じて自由にギヤ比を設定することができないことや、また、入力軸や出力軸の回転軸中心に対してリンク部材のオフセット量が大きくなっているので、装置の車両搭載時の周辺機器類との兼ね合いでレイアウトの自由度が制約される等といった課題を有していた。
【0004】
この課題を解決するには、例えば、運転者によるステアリング操作により操舵されるインプットシャフトと同軸上に配設され操向車輪を転舵するアウトプットシャフトと、このアウトプットシャフトに対して摺動自在に配設されたスライダと、このスライダの摺動をアウトプットシャフトの回転運動に変換する回転変換機構と、スライダを軸方向に摺動させる駆動機構とを備えた構成とすることが考えられる。ここで、駆動機構は、回転モータと、この回転モータの回転運動を減速させる減速機と、減速機の出力側に連結され回転自在に保持されたねじ軸と、このねじ軸に噛合して軸方向に相対移動するナットと、ナットの直線運動をスライダに対して軸直角方向に連繋して伝達する保持アームとで構成する。
【0005】
このように、アウトプットシャフト軸、減速機の出力側に連結されたねじ軸及び回転モータの回転軸を夫々非同軸上に配置しようとしても、3軸間における軸直角方向の寸法誤差や各部品の製造誤差等を完全に排除することは極めて難しいので、このような各種誤差(以下、バラツキと称す)を吸収するためには、ねじ軸とナットとの間に、ある程度のクリアランスを設けざるを得ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、ねじ軸とナットとの間にある程度のクリアンランスを設けることで、3軸間におけるバラツキを吸収することは可能であるが、クリアランスを設けた分、ねじ軸に対するナットのガタつきを増大させてしまう。この状態でナットが保持アームを介してスライダを直線状に駆動させると、ナットがガタつく分だけ保持アームが傾いてしまうことになる。この保持アームの倒れが、取りも直さず、ねじ軸に対するナットのフリクションの増大や、スライダに対する作動遅れに直結する。結果として、3軸間におけるトルク伝達の効率低下、延いては装置全体における作動効率の低下を招来してしまうという未解決の課題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、異なる軸間でトルクを伝達する各部材において、保持アームの倒れを抑制することにより各軸間でのトルク伝達を良好に維持し、装置全体の性能を向上させた車両の操舵制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の請求項1に係る車両の操舵制御装置は、転舵輪を転舵するアウトプットシャフトと、該アウトプットシャフトに対して摺動自在に配設されたスライダと、該スライダの摺動運動をアウトプットシャフトの回転運動に変換する回転変換機構と、前記スライダを摺動制御する駆動機構とを備え、ステアリング操作に対する転舵輪の舵角比を変化可能な車両用操舵制御装置において、前記駆動機構は、回転駆動力を発生させる回転駆動源と、軸直方向の遊びを抑制しつつ前記回転駆動原の回転運動を前記スライダの直線運動に変換する直線変換機構と、前記回転駆動源及び直線変換機構間に介装され、回転駆動源の軸とスライダの軸との間の前記直線変換機構における軸直角方向の誤差を集中的に吸収する減速用ウォームギヤとで構成されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の本発明の請求項2に係る車両の操舵制御装置は、請求項1に係る発明において、前記直線変換機構は、前記減速用ウォームギヤの出力側に連結されたボールねじ軸及び該ボールねじ軸に螺合するボールナットとで構成されるボールねじ機構と、前記ボールナットに連結されて前記スライダを回動自在に保持する保持アームとで構成されていることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の請求項3に係る車両の操舵制御装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記アウトプットシャフトを、当該アウトプットシャフトの出力側に設けられた回転支持部材と、前記スライダとで支持することを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】
請求項1に係る車両用操舵制御装置によれば、回転駆動源及び直線変換機構間に、伝達効率が転位量から受ける影響を平行軸歯車よりは低減できる減速用ウォームギヤを介装した構成としているので、直線変換機構でのスライダに対する軸直角方向の遊びを抑制しても、直線変換機構における軸直角方向の誤差をウォームギヤで集中的に吸収することができ、結果として直線変換機構によるスライダの駆動時に、スライダとの連結部材の倒れを抑制してトルク伝達効率を向上させることができるという効果が得られる。
【0012】
また、請求項2に係る車両用操舵制御装置によれば、直線変換機構は、減速用ウォームギヤの出力側に連結されたボールねじ軸と該ボールねじ軸に螺合するボールナットとで構成されるボールねじ機構と、ボールナットに連結されてスライダを回動自在に保持する保持アームとで構成されているので、ボールねじ軸に対するボールナットの軸直角方向のガタつきを抑制した円滑で高精度の直線移動を実現することで、保持アームの倒れを確実に抑制し、スライダに対する運動伝達を良好に維持することができるという効果が得られる。
【0013】
さらに、請求項3に係る車両の操舵制御装置によれば、直線変換機構における軸直角方向の誤差を抑制することで、直線変換機構でスライダを正確に保持することが可能となり、このスライダで、アウトプットシャフトを回転支持することにより、アウトプットシャフトにおける入力側の回転支持部材を省略することができると共に、これに応じてアウトプットシャフトの長さを縮めることもでき、コストの増大を抑制することができるという効果が得られる。また、アウトプットシャフトを縮め、ステアリングホイール側に連結されたインプットシャフトとの間にクリアランスを設けることで、車両衝突時の衝撃吸収が可能となり安全性能を向上させることができるという効果も得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図である。円筒状のステアリングコラム11の内部に挿通配置されたアッパーシャフト12と、このアッパーシャフト12の下端に連結された円筒状のインプットシャフト13と、一端部14aがインプットシャフト13内に挿通されたアウトプットシャフト14と、アウトプットシャフト14の外周に軸方向へ摺動自在に設けられた円筒状のスライダ15と、アウトプットシャフト14とスライダ15との間に設けられて、スライダ15の直線運動を回転運動に変換してアウトプットシャフト14に伝達する回転変換機構16と、ステアリングコラム11の下端部に結合されたケーシング17に設けられスライダ15をストローク移動させる駆動機構18と、この駆動機構18の駆動を制御するコントローラ19とを備えている。これらインプットシャフト13、アウトプットシャフト14、スライダ15、回転変換機構16、駆動機構18及びコントローラ19によって可変ギヤレシオ機構が構成されている。
【0015】
ケーシング17は、内部に収納空間を有するケーシング本体17aと、このケーシング本体17aの開ロ端部にボルト20によって固定されたカバー部17bとで構成されている。
アッパーシャフト12は、ステアリングコラム11の上端部から突出した外端部にステアリングホイール10が連結されていると共に、ステアリングコラム11の上端部内に設けられたベアリング21によって回転自在に支持されている。
【0016】
インプットシャフト13は、図1及び図2に示すように、一端部13aがアッパーシャフト12の先端に圧入固定されていると共に、この一端部13a側から中央側の内周面にスプライン状のガイド溝22が全周に亙り軸方向に沿って形成されている。また、他端部13bがベアリング23を介してケーシング17のカバー部17bに回転自在に支持されている。
【0017】
アウトプットシャフト14は、図1及び図3に示すように一端部14aがインプットシャフト13の一端部13aに内接されたベアリング24を介してインプットシャフト13と相対回転自在に設けられている。また、ケーシング17に内設されたベアリング25により出力側の回転を支持され、ケーシング17を貫通した他端部14bが図示しないラック・ピニオン機構を介して操向車輪に連結されている。
【0018】
スライダ15は、図1に示すように内周面がアウトプットシャフト14の外周面に微小隙間を介して配置されて軸方向への移動が許容されていると共に、図4に示すように、ステアリングコラム11内に挿通配置された一端部15aの外周面にインプットシャフト13のガイド溝22に嵌合して軸方向の移動を許容するガイド突部26が軸方向に沿って形成されている。また、ケーシング17内に挿通配置された他端部15bには、ナット27が螺着される雄ねじ28が形成されていると共に、ナット27と協同して後述する保持アームの一端部を支持する円環状の突起29が設けられている。
【0019】
回転変換機構16は、図1、図3及び図4に示すようにスライダ15の略中央位置に複数貫通形成されボール30を転動自在に保持するボール保持孔31と、アウトプットシャフト14の外周面の略中央部分に形成されたボールねじ溝32とで構成されている。各ボール30は、ボールねじ溝32の底面とインプットシャフト13の内周面との間に転動自在に保持されている。
【0020】
ボール保持孔31は、スライダ15の周壁にボール30の直径よりも僅かに大きな径で穿設されており、ボール30の転動を許容している。また、ボール保持孔31は、軸方向に2個並べられ、且つ軸方向の位置をずらしながら周方向へ等間隔に配設して、計6組形成されている。
ボールねじ溝32は、螺旋状に形成されて各ボール30が溝内で自由な転動を許容できるような溝幅に設定されている。
【0021】
駆動機構18は、ケーシング17の外壁にスライダ15の軸と直行して取り付けられた直流の回転モータMと、スライダ15を駆動する軸直角方向の遊びを抑制しスライダ15の軸と平行に配設された直線変換機構33と、回転モータM及び直線変換機構33の間に介装され、回転モータMの軸MSとスライダ15の軸との間の直線変換機構33における軸直角方向の誤差を集中的に吸収する減速用ウォームギヤ34とで構成されている。
【0022】
回転モータMは、カバー部17bの外側面における図示しないブラケットを介して取り付けられ、コントローラ19から出力される制御電流によって正逆回転可能に制御されるようになっている。
直線変換機構33は、減速用ウォームギヤ34の出力側に連結されたボールねじ軸35及びこのボールねじ軸35に多数のボール36を介して螺合するボールナット37とで構成されるボールねじ機構38と、ボールナット37に連結されてスライダ15を回動自在に保持する保持アーム39とで構成されている。
【0023】
ボールねじ軸35は、両端部がケーシング本体17a及びカバー部17bに夫々内設された回転支持部材としてのベアリング40及び41によってスライダ15の軸と平行で且つ回転自在に支持されている。
保持アーム39は、ボールナット37を一体に形成した小径部39aと、ベアリング42及び43を介してスライダ15を保持する大径部39bとで構成される略8の字形状である。大径部39bは、両ベアリング42及び43の各インナーレースがスライダ15の環状突起29とナット27とによって挟圧状態に支持されて、軸方向への移動が規制されている。
【0024】
また、大径部39bとカバー部17bとの間に、コイルスプリング44が弾装されており、このコイルスプリング48の弾発力によって保持アーム39を図1の紙面上、下方向へ付勢することにより各ボール30、ボール保持孔31及びボールねじ溝32との間の隙間を消失させて各部間のガ夕付きを防止するようになっている。
【0025】
減速用ウォームギヤ34は、回転モータMの回転軸MSに取付けられたウォーム45と、ウォーム45に螺合しボールねじ軸35に一体に取付けられたウォームホイール46とから構成されている。
コントローラ19は、各種センサからの信号に基づいて車両の運転状態を検出するマイクロコンピュータ50からの現在の車速情報信号を入力していると共に、アッパーシャフト12の操舵角センサ51やアウトプットシャフト14の転舵角センサ52からの夫々の情報信号を入力して、これらの入力信号に基づき内蔵された制御回路が演算処理などを行なって回転モータへ制御電流を出力するようになっている。
【0026】
なお、回転モータMの軸MSと、ボールねじ軸35と、スライダ15の軸とが夫々異なっており、特に直線変換機構33に軸直角方向の遊びを抑制した高精度のボールねじ機構38を用いているため、装置の組立時に、3軸間における軸直角方向のバラツキがウォームギヤ34に集中する。それでも、ウォームギヤ34は、伝達効率が転位量から受ける影響を平行軸歯車よりは低減できると共に、パワーステアリング装置等におけるガタ詰めの従来技術や、公差で分類される規定のウォーム45及びウォームホイール46を夫々選択勘合することにより、ウォームギヤ34のガタを一定値に抑制することができる。
【0027】
また、減速用ウォームギヤ34には、適度なクリアランスがあることで、両者間のフリクションが低減されている。したがって、回転モータMにおける消費電力を抑制でき、回転モータMを小型化させることで、コスト及び重量の削減が可能である。さらに、減速用ウォームギヤ34での減速比を大きくすることで、減速用ウォームギヤ34のガタが出力軸に与える影響も小さくすることができる。
【0028】
次に、上記第1の実施形態の動作について説明する。
今、車両が高速域で走行しており可変ギヤレシオ機構を作動させない場合は、図1に示すように回転モータMによって保持アーム36が紙面上、上下の略中間位置に保持され、これによってスライダ15も中間位置に保持されてストローク移動をしない。このため、ステアリングホイール10を左右の一方向に回転操作すると、この操舵力がアッパーシャフト12からインプットシャフト13、スライダ15及び各ボール30を介してアウトプットシャフト14に伝達されて、入出力の舵角差は生じない。
【0029】
次に、可変ギヤレシオ機構を作動させる場合、つまり、車両の例えば低中速域においてステアリングホイールを一方向へ最大に切り返す場合は、この車速と操舵角等を検知したコントローラ19からの制御電流によって回転モータMが例えば正転すると、ウォームギヤ34を介してボールねじ軸35が一方向へ回転することにより保持アーム39を図1の状態から図5に示すように、紙面上の上方向に移動させる。これにより、スライダ15が同じ上方向へ直線状にストローク移動するが、このとき、ボールネジ軸35に螺合するボールナット37には軸直角方向の遊びがない。そのため、ボールナット37を介して保持アーム39をスムーズに直動させると共に、その倒れを抑制することができ、またボールネジ軸35に対してボールナット37のフリクションを抑制することができる。したがって、回転モータMの回転運動をスライダ15の直線運動に効率良く変換している。
【0030】
そして、アウトプットシャフト14に対するスライダ15の直線状の摺動に応じて、各ボール保持孔31がその孔縁で各ボール30を右方向に押し出すため、各ボール30が転動しながらストローク移動してボールねじ溝32内でアウトプットシャフト14に所定速度の回転運動トルクを付与する。これにより、アウトプットシャフト14は、ステアリングホイール10の操舵角変化よりも大きな変化量で一方向に回転して転舵輪を大きな転舵角で転舵させる。
【0031】
一方、ステアリングホイール10を、スライダ15が、ニュートラル位置(図1の状態)或いは最大上方向位置(図5の状態)から他方向へ最大に切り返し操作した場合は、この車速と操舵角などを検知したコントローラ19からの制御電流によって回転モータMが例えば逆転すると、ウォームギヤ34によってボールねじ軸35が他方向へ回転することにより保持アーム36を、図6に示すように、紙面上の下方向に移動させる。したがって、スライダ15が同方向へ直線上にストローク移動することにより、各ボール保持孔31の孔縁で各ボール30を紙面上の下方向に押し出すため、各ボール30が転動しながらストローク移動してボールねじ溝32内でアウトプットシャフト14に所定速度の回転運動トルクを付与する。これにより、アウトプットシャフト14は、ステアリングホイールの操舵角変化よりも大きな変化量で他方向に回転してラック・ピニオン機構を介して転舵論を大きな転舵角で転舵させる。
【0032】
そして、本発明においては、このような構造としたことから、ギヤレシオを図7の特性図に示すように、低中速域から高速域までの実用操舵範囲内において、ステアリングホイール10の操舵角がθlまでの範囲で転舵輪の転舵角をθ’とすることが可能になり、且つその変化特性を直線状に無段階で連続的に変化させることができる。すなわち、低中速域では、図7の実線Aで示すようにステアリングホイール10をニュートラル位置からθ1の操舵角に操作した場合には、転舵輪の転舵角がθ’となるように直線的に変化し、一方、高速域では、図7の実線Bで示すようにステアリングホイール10をニュートラル位置からθ1の操舵角に操作した場合には、転舵輪の転舵角がθ’の約1/3となるように直線的に変化し、その間を無段階で連続的に変化させることができる(矢印範囲)。
【0033】
したがって、この実施形態によれば、車両の低中速域でのステアリングホイール10の操舵角を、可変ギヤレシオ機構を有さない従来の装置(図7の破線Bに示す左右末切り3回転)に比較して1回転で行なうことができる。
すなわち、図7の破線Bで示す特性は、可変ギヤレシオ機構のない従来のステアリング操舵角と転舵輪転舵角との固定的な制御を示し、ステアリングホイールをニュートラル位置から左右の何れか一方に最大に切り返した場合(θ)に転舵 輪の転舵角がθ’になるが、本実施形態においては、前述のように低中速域では ステアリングホイール10の操舵角を1回転で行なうことができ、少ない回転操 作で大きな転舵角が得られるため、操舵性が良好になると共に、安全性が向上する。
【0034】
また、ステアリングホイールの回転角はθ1に限らず、θまでの範囲であればθ2、θ3及びθ4などのように自由に設定でき、それに伴ってタイヤ操舵角も自由に設定できる。したがって、ステアリングホイールの回転角及び車速の変化に対して、回転変換機構16を作動させてギヤ比を自由に設定できるため、車庫入れなどの場合にギヤ比を小さくしてステアリングホイールの取り回しを良くすることができる。さらに、コラム側でギヤ比を自由に設定することにより、ステアリングギヤのギヤ比を一種類に統合して部品種類を削減することができる。
【0035】
特に、車速を制御のパラメータとし、しかも可変ギヤレシオの制御範囲及び可変量を任意且つ自由に設定することができるため、車速や車種に応じて最適な制 御が可能になる。
この実施形態では、可変ギヤレシオの特性を直線形状となるように設定しているので、ステアリングホイール10の操舵フィーリングが良好になり、運転性が向上する。
【0036】
また、スライダ15や回転変換機構16などの可変ギヤレシオ機構の一部をステアリングコラム11内に設けたため、装置のコンパクト化が図れ、エンジンルーム内のレイアウトやフロア構造の変更が不要になる。この結果、多車種に適用することが可能になると共に、油圧あるいは電動式のパワーステアリングに適用することが可能になる。
【0037】
さらに、スライダ15をストローク移動させることによって、インプットシャフト13には何ら回転力が伝達されることがなく、アウトプットシャフト14のみを直接的に回転させることができため、この装置を例えば自動操舵装置やアクティブステア装置などにも適用することが可能になる。
また、ギヤ比の回転変換機構16を、直線運動を回転運動に変換可能な円筒状のスライダ機構とすることによって、回転軸中心に対するオフセット量を小さくすることができる。よって、慣性モーメントによる操舵力への影響をほぼ無視することができる。なお、ギヤ比の回転変換機構16を、直線運動を回転運動に変換可能な円筒状のスライダ機構とすることにより、回転中心に対する偏心がないので、操舵トルク変動の発生はない。
【0038】
さらに、回転変換機構16の回転モータMは、ベアリング付きアームを介して非回転部に固定されているため、回転軸と一緒に回転することはなく、操舵力に対する影響はない。
また、回転変換機構16をボールねじ機構としたため、各ボール30の転動によりスライダ15とアウトプットシャフト14との間の摩擦抵抗を十分に低減することができる。したがって、安定且つスム−ズな作動が得られる。
【0039】
次に、第2の実施形態を図8に基づいて説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態において、アウトプットシャフト14における入力側で回転支持するベアリングを省略して部品点数を減少させるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図8に示すように、第1実施形態におけるアウトプットシャフト14を入力側で回転支持するベアリング24を省略し、その分アウトプットシャフト14を縮めたことを除いては、第1の実施形態と同様の構成を有し、図1との対応部分には、同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0040】
先ず、第1の実施形態において説明したように、直線変換機構33を構成するボールねじ機構38は、軸直角方向の遊びが抑制されている。そのため、保持アーム39が、スライダ15を介してアウトプットシャフト14を回転保持するかたちとなる。すなわち、アウトプットシャフト14は、実質上スライダ15を介した保持アーム39と、アウトプットシャフト14の出力側に備えたベアリング25とで回転支持されている。
【0041】
そこで、第2の実施形態においては、入力側に設けていたベアリングを省略し、更にアウトプットシャフト14における入力側の一端を出力側に向けて縮めることにより、コスト削減及び軽量化を実現している。
さらに、インプットシャフト13に対して、アウトプットシャフト14を縮めたことにより、両者間にクリアランスが生まれる。そのため、アウトプットシャフト14に対するインプットシャフト13のストローク許容範囲が増し、車両衝突時に衝撃吸収効果を発揮し、安全性能をも向上させることができる。
【0042】
続いて、第3の実施形態を図9に基づいて説明する。
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態において、直線変換機構33を構成するボールねじ機構38を、遊びのないねじ機構に代替させたものである。
すなわち、第3の実施形態では、図9に示すように、第1実施形態におけるボールねじ機構38に代えて遊びのないねじ機構47を用いることを除いては、第1の実施形態と同様の構成を有し、図1との対応部分には、同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0043】
ねじ機構47は、リードスクリュー軸48と、このリードスクリュー軸48に対して軸直角方向の遊びを除去してタイトに螺合するナット49とで構成されている。
このように、リードスクリュー軸48とナット49とをタイトに螺合させ、その軸直角方向の遊びを除去すれば、ナット49が保持アーム39を介してスライダ15を駆動する際に、保持アーム39がガタついて倒れることを抑制することができる。結果として、スライダ15に対するトルク伝達効率の悪化を防止することができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
なお、上記第1〜第3の実施形態においては、回転変換機構16にボールねじを使用した構成について説明したが、これに限定されるものではなく、スライダ15の内周面に斜歯形のインナー歯を形成し、このインナー歯に噛合するアウター歯をアウトプットシャフト14の外周面に形成し、両者を噛合させる構成としてもよく、要は、アウトプットシャフト14に対するスライダ15の摺動をアウトプットシャフト14の回転運動に変換することができればよいものである。
【0045】
さらに、上記第1〜第3の実施形態においては、保持アーム39と、ボールナット37又はナット49を一体に形成した構成について説明したが、これに限定されるものではなく、両者を夫々別個に形成し両者を連結してもよく、要は、直線変換機構33における出力側の直線運動を、スライダ15に連繋し伝達することができればよいものである。
【0046】
またさらに、本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えばこの 装置をステアリングコラム以外のラック・ピニオン機構などに設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明におけるインプットシャフトの断面図である。
【図3】本発明におけるアウトプットシャフトの断面図である。
【図4】本発明におけるスライダの斜視図である。
【図5】本発明における作用を示す説明図である。
【図6】本発明における作用を示す説明図である。
【図7】本発明における操舵角と転舵角との舵角比可変特性を示した図である。
【図8】本発明における第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図9】本発明における第3の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 ステアリングホイール
13 インプットシャフト
14 アウトプットシャフト
15 スライダ
16 回転変換機構
18 駆動機構
M 回転モータ
33 直線変換機構
34 減速用ウォームギヤ
38 ボールねじ機構
39 保持アーム
47 ねじ機構
Claims (3)
- 転舵輪を転舵するアウトプットシャフトと、該アウトプットシャフトに対して摺動自在に配設されたスライダと、該スライダの摺動運動をアウトプットシャフトの回転運動に変換する回転変換機構と、前記スライダを摺動制御する駆動機構とを備え、ステアリング操作に対する転舵輪の舵角比を変化可能な車両用操舵制御装置において、
前記駆動機構は、回転駆動力を発生させる回転駆動源と、軸直方向の遊びを抑制しつつ前記回転駆動原の回転運動を前記スライダの直線運動に変換する直線変換機構と、前記回転駆動源及び直線変換機構間に介装され、回転駆動源の軸とスライダの軸との間の前記直線変換機構における軸直角方向の誤差を集中的に吸収する減速用ウォームギヤとで構成されていることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 前記直線変換機構は、前記減速用ウォームギヤの出力側に連結されたボールねじ軸及び該ボールねじ軸に螺合するボールナットとで構成されるボールねじ機構と、前記ボールナットに連結されて前記スライダを回動自在に保持する保持アームとで構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用操舵制御装置。
- 前記アウトプットシャフトを、当該アウトプットシャフトの出力側に設けられた回転支持部材と、前記スライダとで支持することを特徴とした請求項1又は2に記載の車両用操舵制御装置。
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