JP4017129B2 - 織機の経糸切れ位置検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、織機の経糸切れ位置検出装置に関する。より詳しくは、本発明は織機の経糸が切れた場合に、その経糸切れを生じた場所を検出して、作業者がその切れた場所を容易に知ることができるように表示するようにした織機の経糸切れ位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
織機においては、その織幅方向に多数の経糸を掛けており、その多数の経糸のうち1本でも切れれば、経糸を繋ぐために織機を停止して、切断した経糸を、その多数の経糸の中から探し出し、その糸を繋ぐ必要がある。
【0003】
このような経糸切れを容易に検出するために、経糸にそれぞれドロッパを係止させ、経糸が切れたときにドロッパが落下して織機を自動的に停止させることが行われている。
【0004】
このようにして経糸が切断した場合に、その切断を検出することができるが、この装置では多数の経糸の中から切断した経糸を探し出すには作業者が多大な労力および注意力を必要とし長時間を要する。従来、このような切断した経糸を探すに当たり、落下したドロッパと対応関係にある織機の背後の右端または左端に配設したレバーを作業者が動かして、落下したドロッパを数千本の中から探し出していた。
【0005】
すなわち、経糸切れを起こした場合には、ドロッパによってドロッパバーが通電し、経糸切れを生じた位置はレバーを動かすことによって作業者はその感触で知るが、慣れないとなかなか分かりづらく、特に織幅が長い場合や経糸本数が多い場合には極めて困難な作業である。
【0006】
しかしながら、実際の織機において経糸切れ位置を探す作業は極めて面倒で困難な作業である。ドロッパの落下により経糸の切断を自動的に検出し織機を自動的に停止した後、数千本のドロッパの中から落下した1本を探すのはなかなか大変な作業で長時間を要し、織物の生産性が悪いという問題があった。
【0007】
特開昭54−73963号公報や特開昭64−52853号公報には、切断した経糸の幅方向の位置に応じて電気信号を出力するようにし、その電気信号によって経糸切れにより落ちたドロッパ位置を表示することが提案されている。しかしながら、これらの装置においては、経糸切れを起こした位置を表示器上に表示されるが、この位置を実際の織機上に対応する位置に換算するためには作業者は表示を解読し、その位置を探る必要がある。
【0008】
また、特開平5−247794号公報には、ドロッパが係合しているドロッパバーに各ドロッパに対応して発光体を設け、経糸切れを生じたことをドロッパが検知すると、それに対応する発光体が発光して作業者に経糸切れを生じた位置を知らせるようにすることが提案されている。しかしながら、このような装置においても、織前側からは発光体がよく見えないために実効が殆ど期待されない。
【0009】
経糸切れは、その殆どがヘルド往復運動部や筬揺動運動部で発生し、織前側から修復可能である。しかしながら、前記特開平5−247794号公報に記載の従来技術では発光体がドロッパバーに設けられているので、織前側から経糸切れ位置を知るには、織前側に種々の付属物があるために非常に困難であり、作業者は通常待機している織前側からバック側にまわって経糸切れの発生位置を知った後、再び織前側にまわって経糸切れを修復するケースが多かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みて、経糸切れを生じた位置を作業者が容易に知ることができ、その経糸切れをした位置に簡単に作業者が到達し、必要な修復作業を行えるようにした織機の経糸切れ位置検出装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、織機の織前側前方から見える位置に位置し織幅方向に延在する長手方向部材に織幅方向に複数群に分けて各群に該群を区分する記号を前記長手方向部材の織前側前方から見える面に付し、前記織前側前方から見える位置にディスプレイを設置して経糸切れ発生時に発生位置を前記長手方向部材の区分された群と対応して表示するようにしたことを特徴とする織機の経糸切れ位置検出装置により、上記の課題を達成する。
【0012】
本発明装置においては、ドロッパが係合するドロッパバーが長手方向に電気的に複数群に分割されて経糸切れ発生時にドロッパの落ちた群に対応して信号を発信するようになっている。このドロッパバーの信号の発信の仕方は従来から知られている装置と同様である。このようにして発信された信号は、従来は高々表示器に記号で表示するだけであり、織機の織幅との位置関係については作業者がその信号を解読して判断するという作業が必要であった。そこで本発明においては、織機の織前側前方から見える位置に位置し織幅方向に延在する長手方向部材に、ドロッパバーで分けられた複数群に対応して複数群に分けて各群にその群を区分する記号を前記長手方向部材の織前側前方から見える面に付ける。そして、織前側側前方から作業者が見ることができる位置に設置したディスプレイ上に、ドロッパバーにより検出した群を、経糸切れ発生位置として上述の長手方向部材の区分された群と対応して表示するようにしている。
【0013】
これにより作業者はディスプレイ上の表示と織機の長手方向部材の位置との対応関係を即座に知ることができ、その群位置の経糸を探ることにより簡単に経糸切れを起こした経糸を知ることができる。
【0014】
ドロッパバー、従って長手方向部材の各群の長さは10〜30cm程度とすることが好ましい。この程度の幅であればその中で経糸切れを生じた経糸を探すこともそれほどの困難なく行えるからである。
【0015】
また、本発明で言う長手方向部材としては織機の織幅方向に延在している部材であればよく、筬、フロントカバー、織前側から見ることができる第1綜絖枠(最前列に配列される綜絖枠)、トップレール等をそのまま長手方向部材として用い、その織幅方向に複数群に分けて区分してもよいし、場合によってはそれら既存の部材と別に織機の織幅方向に延びる新たな部材を設けてもよい。
【0016】
これら長手方向部材を区分する記号としては、例えば、各群毎に赤、白、青のように色を変えてもよく、表面の模様を変えてもよいし、また適宜のパターンを各区分毎に異ならして付けてもよい。
【0017】
また本発明は捨耳は別耳の切断時にその停止装置としてドロッパを使用する場合にも適用でき、それらを識別して併せて表示するようにしてもよい。また、経糸切れ位置を表示するディスプレイ装置としては、織機の作動制御するために設けられているファンクションパネルのディスプレー面をそのまま用いることが好ましい。
【0018】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。本発明に用いるドロッパは図1(a)に示すように従来から用いられているドロッパと同様、薄板状をしたドロッパ1に経糸2を通す糸挿通孔1aが形成されており、その上に長孔のガイド溝孔1bが形成されている。ガイド溝孔1bは図1(b)に示すドロッパバー4に係合されており、ドロッパバー4には電極片3が設けられ、電極片3は織幅方向に多数の群A、B、C、D、E…に電気的に分割されており、経糸2が切れるとドロッパ1は落下して電極片3に接触することにより、どの経糸2が切れたかを検出することができるようになっている。
【0019】
その検出した状態を例えば図2(a)に示すようにディスプレイ5上に表示する。すなわち、この図においてはドロッパ列が1〜6の6列あり、その各列を織幅方向にA、B…Iに区分している。そして、この例においては第4ドロッパ列のFの部分において経糸切れが生じたということを表している。
【0020】
このように第4ドロッパ列のFの位置に経糸切れが生じたことを表しただけでは作業者は4Fの位置を目測により計測しなければいけない。そこで本発明においては、例えば図2(b)に示すように筬6の上枠6a上に上述の電極片3の区分に対応してA、Bから…Iまでの区分を分け、その区分に対応してそれぞれ模様とか色とかパターン等を付けて且つ好ましくはその上に区分の名称を併せて表示しておく。
【0021】
従って、図2に示すように、ディスプレイ5上に、4−Fで経糸切れが発生しましたという表示が出ると直ぐに、作業者は4番目のドロッパ列のFの分の経糸を探すことにより経糸切れを生じた位置を知ることができる。
【0022】
図2(b)においては、筬6の上に区分の表示をしていたが、図3においては織機の左右壁間を延在するトップレール7の上に同様に複数の区分A、B…Iを付した実施例を示している。
【0023】
上述のようにして経糸切れが発生すると、織機の上に設けられたタワーランプ(図示せず)に表示されるとともに、通常織機の織前側に設けられているファンクションパネルのディスプレイ5上に経糸切れ位置を示す図やパターン記号が図2に示すように表示される。作業者はその表示を見て、その表示とともに織前の長手方向部材に(図3の筬6や図4のトップレール7)付けられた記号を見ることにより、容易に経糸切れ位置を発見することができる。それにより織前側から経糸切れを修復することができる。実際の織機の経糸切れの場合に、このように織前側から経糸切れを修復できるケースが殆どであり、バック側にまわって経糸切れ位置を探すというような作業が不要となり極めて作業が容易となる。
【0024】
なお、ディスプレイ上の表示の例として図4に示すようなドロッパバーとドロッパをリアルに図示し、併せて経糸切れ位置を文字などで表すようにしてもよい。また、織幅が長くディスプレイに1列で示されない場合には図5に示すように2分割またはそれ以上に分割して表示するようにしてもよい。また、筬やトップレールに限らず、例えば第1綜絖枠(最前列に配列される綜絖枠)の上枠に記号を付してもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば織機の織前側から経糸切れ位置を容易に知ることができるので、経糸切れが発生してから修復するまでの時間が大幅に短縮され、作業性が向上し織機稼働率が向上する。これにより織機の商品価値も大幅に向上する。
【0026】
また、本発明においては従来から織機に設けられているファンクショクパネルのようなディスプレイをそのまま用いて経糸切れ位置を表示するようにすることができ、この本発明専用のディスプレイ装置を設ける必要はなく、安価に本発明を実施することができる。
【0027】
また、捨耳や別耳に対しても本発明を適用すれば、捨耳や別耳が切れた場合も容易に識別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるドロッパおよびドロッパバーの斜視図である。
【図2】(a)は本発明に係るディスプレイで表示する態様を示す正面図であり、(b)は本発明の織幅方向に複数群に分けた長手方向部材としての筬を示す正面図である。
【図3】本発明の織幅方向に複数群に分けた長手方向部材としてのトップレールを示す正面図である。
【図4】本発明に係るディスプレイの表示の別の実施例を示す正面図である。
【図5】更に別のディスプレイの表示を示す正面図である。
【符号の説明】
1 ドロッパ
1a 糸挿通孔
1b ガイド溝
2 経糸
3 電極片
4 ドロッパバー
5 ディスプレイ
6 筬
7 トップレール
Claims (3)
- 織機の織前側前方から見える位置に位置し織幅方向に延在する長手方向部材に織幅方向に複数群に分けて各群に該群を区分する記号を前記長手方向部材の織前側前方から見える面に付し、前記織前側前方から見える位置にディスプレイを設置して経糸切れ発生時に発生位置を前記長手方向部材の区分された群と対応して表示するようにしたことを特徴とする織機の経糸切れ位置検出装置。
- 各列のドロッパバーが長手方向に電気的に複数群に分割されて経糸切れ発生時にドロッパの落ちた群に対応して信号を発信するようになっており、織機の織前側前方から見える位置に位置し織幅方向に延在する長手方向部材に織幅方向に前記複数群に対応して複数群に分けて各群に該群を区分する記号を前記長手方向部材の織前側前方から見える面に付し、前記織前側前方から見える位置にディスプレイを設置して経糸切れ発生時にドロッパにより発生される信号によって経糸切れ発生位置を前記長手方向部材の区分された群と対応して表示するようにしたことを特徴とする織機の経糸切れ位置検出装置。
- 各列のドロッパバーが長手方向に電気的に複数群に分割されて経糸切れ発生時にドロッパの落ちた群に対応して信号を発信するようになっており、織機の織前側前方から見える位置に位置し織幅方向に延在する筬、フロントカバー、第1綜絖枠、トップレール、または織機の織幅方向に延在する別の部材からなる長手方向部材に織幅方向に前記複数群に対応して複数群に分けて各群に該群を区分する色、模様、またはパターンからなる記号を前記長手方向部材の織前側前方から見える面に付し、前記織前側前方から見える位置にディスプレイを設置して経糸切れ発生時にドロッパにより発生される信号によって経糸切れ発生位置を前記長手方向部材の区分された群と対応して表示するようにしたことを特徴とする織機の経糸切れ位置検出装置。
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