JP4017111B2 - 大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法 - Google Patents

大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法 Download PDF

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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大深度地層のボーリング孔内における水質調査を行う計測装置の設置方法に関する。更に詳しくは、地中深部の所定位置帯水層の地下水を採水し水理試験を行うため、ボーリング孔内に挿入設置されたケーシングパイプにパッカーを保持して構成される計測装置の設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地下水の汚染対策や井戸用のために、ボーリング孔を掘削した後、帯水層毎に地下水を採水し、各地層の汚染状況や水質、水量等の水理試験調査が行われている。この地下水を採水するために、例えば、主に深度の深い地層の調査等に利用される方法として連続採水方式や採水カプセルを用いる方法等が提案されている。
【0003】
他の方法として、工場用地等の比較的浅い地層の調査用に、打ち込み式の地下水サンプリング方法に関するものも提案されている。前者の場合、パッカーによるボーリング孔内地下水等の試験あるいは地層の水理試験を伴う掘削作業においては、鋼管ケーシングが使用されるため、パッカーはケーシング下部の裸孔部分に設置され、パッカーを膨張させ採水箇所の上下を遮断して採水し各種試験を行っている。試験後は収縮してパッカーを回収して、再び他の深部の掘削を行い目標地層の水理試験を行っている。
【0004】
パッカーを設置する方法の一例として、本発明と同一出願人は、特許第3053563号公報(特許文献1参照)で、パッカーラバーが取り付けられたパッカー内管と、このパッカー内管の外周に配置されパッカーラバーの内周孔に挿入される円錐状カムからなる構成で、パッカー内管の円錐状カムを押圧しパッカーラバーを拡径することにより、所定位置以外の地下水流入を遮断して、所定位置のみの地下水を採水、あるいは地層の水理試験をする技術を提案している。
【0005】
この技術は、掘削しながら採水可能なケーシングを挿入し、分断されたケーシング間にケーシングを一旦引き上げてから採水所定位置に後でパッカーラバー等を取り付ける方法である。採水後のケーシング回収の困難さと、試験毎にパッカーラバーを取り付けなければならない面倒さがあり、また、ケーシングは調査専用のものとなり、駆動力伝達は出来ない。又、試験すべき地層については、現状の状態はケーシングが地層に固定されておらず不安定であることが難点である。
【0006】
特に深い地層で、正確に且つ長期間水質の調査を行うことは前述の公報でも説明されているので詳細説明は省略するが、水理試験装置として、サンプラーを降ろして地下水を採水したり、ベンナイト泥水使用して掘削を行いケーシングを挿入したり、又パッカーを使用する方法(例えば、特許文献2参照)等も数多く提案されている。
【0007】
いずれも比較的浅い場合に適用される方法が多く、大深度のボーリング孔の場合に適用するには、従来の設置条件でそのまま適用するのは困難で容易ではない。大深度のボーリング孔に対して、安定して水理試験を行うためには、地中に挿入されたケーシング、パッカー等を長期間安定的に維持することが必要である。
【0008】
大深度の試験においては、掘削技術はもとより所望の地下帯水層を正確に特定し水質検査を行い、又水質の経時変化を観察するようなことができなければならない。従って長期間地層の計測状態を安定して維持することが重要である。前述の公報においてこれを解決する技術として、完全ではないがパッカーの設置構成の記載はあるものの、ケーシング設置については満足できるものではなく更に低コストで実現できる計測装置設置のための開発技術が要望されている。
【0009】
【特許文献1】
特許第3053563号公報
【特許文献2】
特開平9−25783号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような技術背景のもとに創案されたものであり、下記目的を達成する。
本発明の目的は、大深度の目標地層の地下水を安定してしかも正確に採水ができ、又地層の環境を汚染することなく、効率よく採水して試験のできる計測装置の設置方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、深い地層のボーリング孔であってもケーシングを引き抜かないで地層に固定することにより、安定した状態で目標地層の水理試験のできる計測装置の設置方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、簡素で低コストに構成される計測装置の設置方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を解決するため、次の手段を採る。
本発明1の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、
大深度掘削後の目標地層の地層水を採水して水理試験を行うための計測装置設置方法であって、
ボーリング孔に挿入されるケーシングパイプ(3)と、
このケーシングパイプ(3)内に挿入され前記目標地層に位置決め後、前記ケーシングパイプ(3)を円周に沿って分割切断するケーシングパイプ切断装置(5)と、
前記ケーシングパイプ(3)内に挿入され位置決め後、切断された前記ケーシングパイプ(3)の端部近傍を部分的に地層側に接するように拡張させるケーシングパイプ拡張装置(6)と、
切断された前記ケーシングパイプ間の前記目標地層に膨張部が膨張して接地し、前記膨張部間の前記目標地層との間に遮断空間を設け、この遮断空間に地層水を保水する上部パッカー(10)及び下部パッカー(11)を有するパッカー装置(7)と、
前記パッカー装置(7)に連結され切断された前記ケーシングパイプ端部近傍の内壁に押圧する押圧部を有し、この押圧部で前記切断された前記ケーシングパイプ(3)内に前記パッカー装置(7)の上下部前記切断された前記ケーシングパイプ(3)の上部(3a)及び下部(3b)にそれぞれ固定する上部パッカージョイント(8)及び下部パッカージョイント(9)と
からなる大深度ボーリング孔内計測装置の設置システムを用いる大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法であり、前記保水された目標地層部の地層水をくみ上げ水理試験を可能とする。
切断した後のケーシングパイプを地層に対し保持し、且つパッカー装置をケーシングパイプに保持するようにしている。これにより、目標地層の地下水を安定して正確に採水できる。
【0012】
本発明2の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、本発明1の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法おいて、前記ケーシングパイプ切断装置により切断された前記ケーシングパイプの上部分を地表側に移動させるための引き上げ装置を地表部に設けたことを特徴とする。切断した上部分のケーシングパイプを計測する地層の距離だけ地表側に移動し固定することで、目標地層のみを露出させることができる。
【0013】
本発明3の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、本発明1の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法おいて、前記ケーシングパイプ切断装置は、爆薬による爆発力で前記ケーシングパイプの円周を穿孔して切断する装置であることを特徴とする。地表からこの装置を挿入し短時間に切断することができる。
【0014】
本発明4の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、本発明1の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、前記ケーシングパイプ切断装置は、円周方向に回転し且つ前記ケーシングパイプを横切る方向に進退する工具を挿入先端部に設けてカッティングするカッター切断装置であることを特徴とする。確実にケーシングパイプを切断することができる。
【0015】
本発明5の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、本発明1の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、前記ケーシングパイプ拡張装置は、爆薬による爆発力で前記ケーシングパイプの一部を地層側に拡張させる爆薬拡張装置であることを特徴とする。地表から装置を挿入することが可能で、短時間に拡張させることができる。
【0016】
本発明6の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、本発明1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、前記ケーシングパイプ拡張装置は、圧力水による水圧力で前記ケーシングパイプの一部を地層側に拡張させる機能を有する圧力水拡張装置であることを特徴とする。水の使用であるので環境保全に有効である。
【0017】
本発明7の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、本発明1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、前記ケーシングパイプ拡張装置は、弾性変形可能な押圧部で押圧し前記ケーシングパイプの一部を地層側に拡張させる弾性拡張装置であることを特徴とする。
【0018】
本発明8の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、本発明1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、前記上部パッカージョイント(8)及び前記下部パッカージョイント(9)は、前記ケーシングパイプの内壁に弾性変形可能に押圧される押圧部を有する装置であることを特徴とする。
【0019】
本発明9の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、本発明7及び8に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、前記上部パッカージョイント(8)及び前記下部パッカージョイント(9)は、インナーチューブに支持された構成になっていることを特徴とする。パッカー装置を安定して支持するとともにパッカー又はパッカージョイントの拡張、収縮させる機能をも有している。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1は計測装置を設置する対象の掘削されたボーリング孔を模式的に示している。大深度のボーリング孔1は、深さが数千m以上の場合も珍しくはない。このボーリング孔1の目標とする目標地層2の地下水を採水し、水質検査等の水理試験を行う。この水理試験は、環境保全のための調査、温泉井等のための調査、あるいは現状の水質の状態、又、将来の水質の変化等を観察するための継続的な試験を行う。
【0021】
この水理試験は、掘削工程でケーシングパイプ3(以下「CP」と略称する)が挿入され、このCP3を掘削後も地表へ引く抜くことなく地中に挿入されたままである。CP3は、一定の長さのものを継いで延長される周知の構造のものである。掘削孔が長いと途中で曲がる場合もあり、又、意図的に曲げて目標地層に向って掘削することもある。本実施の形態は曲げた掘削孔の例を示している。
【0022】
この地層の一部が目標地層2となり、試験対象の地層となり、この地層を目標に本発明の実施の形態に関わる装置が設置される。地表部には、詳細は図示していないが公知の掘削装置やCP3を挿入あるいは引き上げのための装置等が設けられる。又、掘削後は目標地層2の水理試験のための水理試験装置が設けられる。掘削については、種々の工法があり、例えばWL工法等アウターチューブとインナーチューブを用いる方法が知られているが、掘削工法については本発明の主旨でないので説明は省略する。以下掘削後に設置され採水した地層水の水理試験を可能ならしめる計測装置の設置システムについて詳述する。
【0023】
(ケーシング切断工程の構成)
図2は、目標地層2の部分におけるCP3を内部から切断する切断装置の構成を模式的に示しており、この切断装置の例は軟質成形爆破線(Flexible Linear Shaped Charge)4による切断例である。軟質成形爆破線4は、ノイマン効果(モンロー効果とも呼ばれている。)を利用した金属切断用火工品である。鉛の金属シース4a内に高性能爆薬4cを充填し、この金属シース4aの断面をV字溝状に成形したものであり、起爆されると金属シース4aのV字溝部(ライナー)がノイマン効果により高温、高圧、高速度のジェットとなって、ターゲットを瞬時に鋼管を輪切りにできる公知の切断装置である。
【0024】
この軟質成形爆破線4は、地表部から円筒状の部材4eの外周に巻いた状態で取り付けられており、これがケーブル4b(芯線入りの鋼線)等で吊るされた状態で地中に挿入される。金属シース4aの逆V字の位置を切断するCP3に対向させ、高性能爆薬4cを爆ごうさせると、逆V字からの爆発力が集中的に合成され、ジェット4dとして前方に発生しCP3を切断する。このジェット4dは地層も穿孔する。この爆ごう(デトネーション)によりカプセル等は破壊され細片となってCP3の下方に落下し残留するが、測定対象の目標地層2に対しては影響はない。この爆ごうによる穿孔方法は公知であり、他の公知の穿孔方法があるので、適合する公知例を採用すればよく、この切断方法に限定されるものではない。
【0025】
図3は、切断装置の他の実施の形態で、カッターを有するカッター切断装置5の断面図である。このカッター切断装置5も公知であるので詳細な説明は省略するが、ダイヤモンド刃5aを回転させ、同時にCP3の径方向に移動させてCP3をダイヤモンド刃5aにより機械加工によりカッティングするものである。図3は、ダイヤモンド刃5aがCP3内部側に収納された状態(図3の左側)と、ダイヤモンド刃5aが外側に押し出されCP3を切断した状態(図3の右側)を示している。
【0026】
ダイヤモンド刃5aは、カッター切断装置5の本体の下部に取り付けられた保持部材5b内に内蔵して保持され、ホルダー5cに固定され半径方向に進退自在である。本体5dは、ダウンホールモーター等により回転自在となっている。ホルダー5cと保持部材5bとの間には板ばね5eが設けられ、ホルダー5cはこの板ばね5eの付勢力により保持部材5bに対し内側(中心部側)に付勢されている。
【0027】
切断時にカッター切断装置5がCP3内に挿入されるときは、図3の左側の状態になっている。切断位置にダイヤモンド刃5aが位置決めされると、本体5d内にあって中心軸線方向に移動可能なピストン5fが、ダイヤモンド刃5a側に移動する。空気圧で作動するピストン5fの先端はテーパ形状を有する楔状になっていてホルダー5cと噛み合っている。このピストン5fがダイヤモンド刃5a側に移動するとホルダー5cとは相対的に移動し、ホルダー5cはテーパ形状に沿い径方向に板ばね5eの付勢力に抗して移動する。
【0028】
これによりホルダー5cと一体のダイヤモンド刃5aはCP3の内壁に押しつけられ、図3の右側に示すように回転を伴ってCP3を切断する。切断後は、ピストン5fがコイルスプリング5gの付勢力によりダイヤモンド刃5a側から離れる方向に移動し、これに伴いホルダー5cは板ばね5eの付勢力で内側に戻され、カッター切断装置5は回転を停止させ図3の左側の状態になり地表部へ引き上げられる。
【0029】
図4は切断後のCP3の上部CP3aを地表側に所定距離移動させた状態を示している。これは試験対象の目標地層2を露出させるためであり、CP3の引き上げは地表部に設けられた公知のボーリング機械等の引き上げ装置で行う。下部CP3bは切断後もそのままの状態で地中に残る。この引き上げは掘削装置の駆動力を利用してもよい。切断された上部CP3と下部CP3bとの間の地層が目標地層2となる。
【0030】
(上部CP及び下部CPの拡張)
ボーリング孔1の内径はCP3の外径より大きいので、ボーリング孔1に対してCP3は通常は浮動状態にある。切断後、特にCP3の切断部分はボーリング孔1に対し偏って設置され、フリーの状態になっているおそれがあり、それを解消するためCP3を地層側に固定する必要がある。計測装置等の必要な機器を設置するためには、CP3の状態が安定していることが必要である。
【0031】
図5は、上部CP3aの切断部近傍を拡張させ固定する原理を示している。拡張装置6は、前述の切断装置で説明した軟質成形爆破線4と同じ構成のものを使用する。ただし、高性能爆薬4cの量を調整をしてジェット能力を弱めて切断までに至らずに拡張を行っている。このために高性能爆薬4cの充填量は、切断するときより少ない。CP3上方から挿入された拡張装置6の金属シース6aのV字溝の位置を拡張予定部分に位置決めし、前述のようにジェット6bを図の矢印のように発生させ、このジェット6bで上部CP3aの一部を地層に押圧するように拡張し拡張部3cを形成する。
【0032】
この拡張に際しては、前処理として上部CP3aの拡張部3cにスリットを設けると拡張がしやすい。図示はしていないがこのすり割を同構成の軟質成形爆破線4で行う。このスリットは上部CP3aの拡張部3cに設けられる裂け目であるが、軟質成形爆破線4の爆発力を利用して形成する方法であっても良い。
【0033】
この拡張は、拡張部分の上部CP3a円周方向に沿ってバランスよく行う。以上上部CP3の切断近傍についての拡張構成を説明したが、下部CP3bの切断近傍においても同様である。図6は、その構成を示したものである。前述同様の方法により拡張部3dを形成する。CP3上方から挿入された拡張装置6の金属シース6aのV字溝の位置を拡張予定部分に位置決めし、前述のようにジェット6bを図の矢印のように発生させ、このジェット6bで下部CP3bの一部を地層に押圧するように拡張し拡張部3dを形成する。
【0034】
以上の工程により測定すべき目標地層2を露出させた状態で、上下のCP3a,3bを地層に固定し安定化させることができる。拡張装置6が引き上げられた後、このように設置された状態のCP3内に測定装置の一部であるパッカー装置7を挿入する。
【0035】
(パッカー装置の全体構成)
図7は、CP3内及び目標地層2部分にパッカー装置7を挿入した全体構成を示した図である。パッカー装置7は、上部CP3aから下部CP3bに跨って取りつけられている。パッカー装置7は上部CP3aに固定する部分の上部パッカージョイント8と下部CP3bに固定する部分の下部パッカージョイント9を有しており、この2つのパッカージョイント間に目標地層2である露出地層を挟んで上下に上部パッカー10と下部パッカー11が設けられている。
【0036】
この上部パッカー10と下部パッカー11に挟まれた中央部は採水管12となっていて、複数の孔12aが設けられている。目標地層2から滲み出る地下水は、この採水管12の孔12aを介してパッカー装置7内に採りこまれ保水される。
【0037】
(パッカージョイント)
図8は、上部パッカージョイント8の詳細構成を示した図である。パッカージョイント8は、パッカー装置7をCP3に固定して安定させるためのものであり、上部CP3aに対して上部パッカージョイント8が設けられ、下部CP3bに対して下部パッカージョイント9が設けられている。図の左側は、パッカー装置7挿入時の状態を示し、図8の右側の図は、そのパッカー装置7の上部パッカージョイント8が拡張し、上部CP3aの内壁に密着した状態を示している。
【0038】
更にこの上部パッカージョイント8を例に詳述すると、この上部パッカージョイント8のジョイント8aは、パッカーインナーチューブ13上に軸方向移動可能に設けられている。ジョイント8aは弾性変形可能に拡張及び収縮するものである。このジョイント8aを挟んで軸線方向に2つの押さえ部材14a,14bが設けられている。この2つの押さえ部材14a,14bは相対移動することによりジョイント8aは縮み、その縮みにより径方向に膨らみ拡張させることができる。
【0039】
このジョイント8aは外側ジョイント8bと内側ジョイント8cで構成されていて、押さえ部材14a,14bの圧縮方向の動作でこの外側ジョイント8b及び内側ジョイント8cはともに圧縮されるが、ラバーで構成されている内側ジョイント8cが圧縮するにつれて外側に膨らみ、これに伴い強化繊維との複合材で作られた弾性体である外側ジョイント8bは拡張しCP3側に押圧される。
【0040】
このようにパッカー装置7の一部をCP3の内壁に押圧して固定させることができる。この構成は下部パッカージョイント9についても同様である。パッカーインナーチューブ13上を押さえ部材14a,14bを所定距離移動させることにより、上部パッカージョイント8と下部パッカージョイント9を同時にCP3に固定させることができる。
【0041】
ボーリング孔1内に挿入されたパッカー装置7の地層部分は、目標地層2部を挟んで上下に2つのパッカー即ち、同形の上部パッカー10と下部パッカー11で構成されている。このパッカーは膨張することにより地層側に接触し、上下パッカー間に密閉された空間15を構成し、測定時に他地層からの地下水侵入を防止するとともにパッカー装置7の設置安定化を図っている。
【0042】
パッカーを膨張させる方法は種々提案されていてどの方法でも適用可能である。例えば、同一出願人の出願になる特許第3053563号公報にパッカー構成の詳細が記載されている。このパッカー構成は本発明の主旨でないので、詳細の説明は省略する。
【0043】
以上、採水する上での基本構成として、本発明の設置システムを説明した。図9は、この設置システム内に水理試験のための採水装置16を挿入した場合の構成を示している。この採水装置16は、パッカーインナーチューブ13内に挿入され、採水をするときは、上部パッカー10位置及び下部パッカー11位置にそれぞれ設けられた採水用のパッカー16a,16bが膨らみ、パッカーインナーチューブ13内に密閉された採水空間16cを構成する。この採水空間16cに目標地層2から保水された空間15の地層水をパッカーインナーチューブ13の孔を介して採りこみ試験水とする。
【0044】
図10は、拡張装置の他の実施の形態を示した説明図である。この拡張装置は、ラバー32を主体にする弾性拡張装置30である。インナー管31に支持された伸縮自在のラバー32構成であって、拡張を行う時、ラバー32を圧縮させると、ラバー32が径方向に膨らみ、予めスリットの設けられたCP3を押圧することにより拡張させる構成のものである。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法は、地層にケーシングパイプを保持させ、この保持させたケーシングパイプにパッカー装置を固定するようにしたことで、大深度地層の目標地層の地下水を安定して採水することができ、又地層の環境を汚染することなく、効率よく採水して長期間の試験、観測ができるようになった。又、深い地層で曲線を描くボーリング孔であってもケーシングを引き抜かないで目標地層の確保ができ、安定して正確に所定位置の水理試験ができるようになった。更に、簡素な構成で地層に設置できる経済的に低コストの装置となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、計測装置を設置するボーリング孔の状態を示す説明図である。
【図2】図2は、爆薬切断装置を示す説明図である。
【図3】図3は、カッター切断装置を示す部分断面図である。
【図4】図4は、目標地層を露出させた状態を示す説明図である。
【図5】図5は、上部ケーシングパイプを拡張させた状態を示す説明図である。
【図6】図6は、下部ケーシングパイプを拡張させた状態を示す説明図である。
【図7】図7は、目標地層に設置された計測装置設置の全体構成を示す断面図である。
【図8】図8は、パッカージョイント構成を示す部分断面図である。
【図9】図9は、水理試験のための採水装置を挿入した状態を示す計測装置設置の断面図である。
【図10】図10は、拡張装置の他の実施の形態で弾性拡張装置を示した説明図である。
【符号の説明】
1…ボーリング孔
2…目標地層
3…ケーシングパイプ
4…軟質成形爆破線
5…カッター切断装置
6…拡張装置
7…パッカー装置
8…上部パッカージョイント
9…下部パッカージョイント
10…上部パッカー
11…下部パッカー
12…採水管
13…パッカーインナーチューブ

Claims (9)

  1. 大深度掘削後の目標地層の地層水を採水して水理試験を行うための計測装置設置方法であって、
    ボーリング孔に挿入されるケーシングパイプ(3)と、
    このケーシングパイプ(3)内に挿入され前記目標地層に位置決め後、前記ケーシングパイプ(3)を円周に沿って分割切断するケーシングパイプ切断装置(5)と、
    前記ケーシングパイプ(3)内に挿入され位置決め後、切断された前記ケーシングパイプ(3)の端部近傍を部分的に地層側に接するように拡張させるケーシングパイプ拡張装置(6)と、
    切断された前記ケーシングパイプ間の前記目標地層に膨張部が膨張して接地し、前記膨張部間の前記目標地層との間に遮断空間を設け、この遮断空間に地層水を保水する上部パッカー(10)及び下部パッカー(11)を有するパッカー装置(7)と、
    前記パッカー装置(7)に連結され切断された前記ケーシングパイプ端部近傍の内壁に押圧する押圧部を有し、この押圧部で前記切断された前記ケーシングパイプ(3)内に前記パッカー装置(7)の上下部前記切断された前記ケーシングパイプ(3)の上部(3a)及び下部(3b)にそれぞれ固定する上部パッカージョイント(8)及び下部パッカージョイント(9)と
    からなる大深度ボーリング孔内計測装置の設置システムを用いる大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法であり、
    前記保水された目標地層部の地層水をくみ上げ水理試験を可能とする大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法
  2. 請求項1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法おいて、
    前記ケーシングパイプ切断装置により切断された前記ケーシングパイプの上部分を地表側に移動させるための引き上げ装置を地表部に設けたことを特徴とする大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法
  3. 請求項1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、
    前記ケーシングパイプ切断装置は、爆薬による爆発力で前記ケーシングパイプの円周を穿孔して切断する装置であることを特徴とする大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法
  4. 請求項1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、
    前記ケーシングパイプ切断装置は、円周方向に回転し且つ前記ケーシングパイプを横切る方向に進退する工具を挿入先端部に設けてカッティングするカッター切断装置であることを特徴とする大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法
  5. 請求項1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、
    前記ケーシングパイプ拡張装置は、爆薬による爆発力で前記ケーシングパイプの一部を地層側に拡張させる爆薬拡張装置であることを特徴とする大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法
  6. 請求項1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、
    前記ケーシングパイプ拡張装置は、圧力水による水圧力で前記ケーシングパイプの一部を地層側に拡張させる機能を有する圧力水拡張装置であることを特徴とする大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法
  7. 請求項1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、
    前記ケーシングパイプ拡張装置は、弾性変形可能な押圧部で押圧し前記ケーシングパイプの一部を地層側に拡張させる弾性拡張装置であることを特徴とする大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法
  8. 請求項1に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、
    前記上部パッカージョイント(8)及び前記下部パッカージョイント(9)は、前記ケーシングパイプの内壁に弾性変形可能に押圧される押圧部を有する装置であることを特徴とする大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法
  9. 請求項7及び8に記載の大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法において、
    前記上部パッカージョイント(8)及び前記下部パッカージョイント(9)は、インナーチューブに支持された構成になっていることを特徴とする大深度ボーリング孔内計測装置の設置方法
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