JP4016220B2 - 蒸着膜形成方法及び真空蒸着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸着膜形成方法及び真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
匂い香りを計測するためのガスセンサとして、金属酸化物を感応膜として用い、この抵抗変化を利用した方式のものが知られている。このような構造のセンサは、匂い香りの強弱については検出可能であるが、ガスの選択性に乏しく、匂い香り成分の判別が困難である。又、感応膜としては、通常、酸化物の焼結体を用いる場合が多く、抵抗変化を検出するためには、全体を300〜500℃程度に加熱して使用するために、消費電力が大きいという問題点もある。
【0003】
基板上に異なる特性の感応膜を複数個配置したセンサ素子を用いることによって、各種の匂い成分に対する選択性を向上させて、匂いの種類を判別する試みもなされているが、そのためには、種類の異なる感応膜を基板上に形成する技術が必要となる。特に、小型・低消費電力のセンサとするためには、微細な加工技術が要求される。
【0004】
基板上に部分的に複数の微小な感応膜を形成する方法としては、CVD法によって金属酸化物を析出させる方法が知られている。この方法では、原料ガスは熱分解によって基板上に析出するために、基板の所定の部分に薄膜を形成するためには、基板を微小領域で加熱する必要があり、一般的には、マイクロマシニングの技術を用いてマイクロホットプレートを作製した基板が用いられる。しかしながら、このようなマイクロホットプレートは現在研究段階のものであり、入手が非常に困難である。更に、原料ガスとしては、一般に有機金属や塩化物が使用されているために、これらの除外装置が必要となり、装置の設置、維持管理に多大なコスト及び労力を要するという問題点もある。
【0005】
又、スパッタリング、蒸着、CVDなどの方法で感応膜を基板全体に形成し、フォトリソグラフィの手法によって、必要な部分にフォトレジストによるエッチングレジストパターンを形成した後、エッチングによって不要部分の薄膜を剥離して所定の微小部分にのみ感応膜を形成し、更に、この工程を所定の回数繰り返すことによって、複数の感応膜を形成する方法も知られている。この方法では、通常、フォトリソグラフィは大気雰囲気中で行われるために、薄膜形成のために真空状態にする工程と、フォトリソグラフィのために大気中に基板を移動させる工程を繰り返す必要があり、非常に煩雑な操作が必要となる。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、同一基板上に複数の異なる蒸着膜を形成するための簡便な方法であって、特に、複数の微小な感応膜を形成したガスセンサを高精度に形成するために適した方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、上記蒸着膜形成方法の実施に適する真空蒸着装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した如き従来技術の課題に鑑みて鋭意研究を重ねてきた。その結果、真空蒸着によって薄膜を形成する方法において、蒸着膜を形成すべき部分以外にレジスト膜を形成した基板と、蒸着膜形成のための所定の開口部を有する蒸着物質遮断用マスクを準備し、真空蒸着装置中に基板を設置し、基板上の蒸着膜を形成すべき部分に該マスクの開口部を位置合わせした後、蒸着操作を行って蒸着膜を形成し、次いで、蒸着装置中で該マスクを移動させて他の蒸着膜を形成すべき部分にマスク開口部を位置合わせした後、更に他の蒸着膜を形成する工程を繰り返し行い、所定の種類の蒸着膜を形成した後、レジスト膜を除去する方法によれば、複数の蒸着膜を形成するためのレジストパターンを一回のパターンニングで形成でき、しかも、蒸着装置中でマスクを移動させることによって、真空状態を維持したまま、複数の蒸着膜を連続的に形成できるので、複数種の蒸着膜を非常に簡単に形成できることを見出した。特に、レジスト膜の形成にフォトリソグラフィの手法を用いる場合には、微細なパターンを簡単に形成できるので、微小領域に正確に蒸着膜を形成することが可能となり、複数の感応膜を有する小型・低消費電力のガスセンサの製造方法として、非常に適した方法となることを見出した。又、この方法を実施するための真空蒸着装置として、基板と蒸着物質遮断用マスクを相対的にXY方向に移動可能なマスク位置設定機構と、マスク像を装置外部に導出するためのミラー等を用いた手段と、マスク像を観察するための顕微鏡等のモニター手段を設置し、更に、異なる蒸着材料を入れた複数の蒸発装置を設置した装置を用いることにより、装置外部からマスク像を観察しながら基板と蒸着物質遮断用マスク開口部の位置合わせを行うことができるので、簡単な構造の装置によって、真空状態を維持したままで連続的に上記方法を実施することが可能となることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、下記の蒸着膜形成方法及び真空蒸着装置を提供するものである。
【0010】
1.蒸着膜を形成すべき部分以外にレジスト膜を形成した基板を用い、該基板の蒸着膜形成部上に、開口部を有する蒸着物質遮断用マスクの開口部を位置合わせした後、該マスクを介して該基板上に蒸着膜を形成し、次いで、該マスクを移動させて他の蒸着膜形成部にマスク開口部の位置合わせを行い、蒸着材料を変更して該マスクを介して該基板上に他の蒸着膜を形成する工程を所定回数行い、その後レジスト膜を除去することを特徴とする蒸着膜形成方法。
【0011】
2.所定の真空状態に保持される真空容器、該真空容器の内部底部に設けた2個以上の真空蒸着用の蒸発装置、基板と蒸着物質遮断用マスクを相対的にXY方向に移動可能な基板用支持治具及び蒸着物質遮断用マスク用支持治具からなるマスク位置設定機構、マスク像の真空容器側面外への導出手段、並びに該マスク像のモニター手段を有することを特徴とする真空蒸着装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の蒸着膜形成方法について、本発明方法の製造工程の概要を示す図1に基づいて説明する。
【0013】
本発明の方法では、まず、図1(a)に示す様に、基板1の表面の蒸着膜を形成すべき部分以外の部分にレジスト皮膜2を形成する。レジスト皮膜自体は、微小なパターンを形成でき、後述する真空蒸着処理の際に蒸着物質の基板表面への析出を防止でき、その後のレジスト膜の除去工程において、簡単に基板から取り除くことができるものであれば、特に限定なく使用できる。本発明では、特に、微細なパターンを精度良く簡単に形成できる方法であるフォトリソグラフィの手法を用いることが好ましい。フォトリソグラフィーは公知の方法であり、通常の条件に従ってレジスト皮膜を形成すれば良い。具体的には、フォトレジストと称される感光性材料の薄膜を基板に塗布し、所定のパターンを形成したマスクを介して可視光又は紫外線を基板に露光した後、現像処理を行って所定のレジストパターンを形成すればよい。フォトレジストには、現像液に不溶であるものが露光した部分のみ可溶に変化するポジ型レジストと、現像液に可溶であるものが露光した部分のみ重合して不溶に変化するネガ型レジストがあり、いずれも使用できる。
【0014】
基板の種類は特に限定的ではなく、蒸着膜の使用目的に応じて適当なものを選択すれば良い。匂い香り等を検知するためのガスセンサとして用いる場合には、形成すべき感応膜の種類、感応膜の加熱手段、検出手段などに応じて適宜適切な基板を選択すればよく、例えば、Si、Al2O3などを下地としてこの表面に下地の影響を遮断するためにSiO2、Si3N4などの層を形成したものを基板とすることができる。特に、基板にSiを用い、Siの異方性エッチングの手法により複数の微小なブリッジ状のパターンを形成してマイクロヒータとし、このマイクロヒータ部分に本発明方法によって感応膜を形成する場合には、ヒータの加熱を微小領域に限定でき、他の加熱部からの熱の拡散を抑えることが可能となり、熱容量が微小となって、低消費電力のセンサとすることができる。
【0015】
次いで、図1(b)に示すように、開口部を有する蒸着物質遮断用マスク3を用い、蒸着材料と基板の間に該マスク3を設置し、基板上の蒸着膜を形成すべき部分に該マスク3の開口部を位置合わせし、所望の蒸着材料をマスク3を介して真空蒸着によって析出させて蒸着膜Aを形成する。蒸着物質遮断用マスク3としては、蒸着材料が基板に析出することを防止できるものであれば、特に限定なく使用できるが、通常は、耐久性などの点から、ステンレス等の金属製マスクを用いることが好ましい。又、基板を加熱する場合には、熱膨張係数が基板に近いマスク材料を用いることが好ましく、例えば、基板材料としてSiを用いる場合には、42アロイ(Ni−42%・Fe−58%)を用いることが好ましい。
【0016】
次いで、この蒸着物質遮断用マスク3と基板1との相対位置を移動させて、マスク3の開口部を他の蒸着膜を形成すべき部分に位置合わせした後、蒸着材料を変更して、他の蒸着材料をマスク3を介して真空蒸着によって析出させて蒸着膜Bを形成する。
【0017】
更に、蒸着物質遮断用マスク3の開口部を他の蒸着膜を形成すべき部分に移動させて、所定回数この方法を繰り返すことによって、図1(c)に示すように、基板上の所定の部分に複数の蒸着膜を形成することができる。
【0018】
この方法では、蒸着材料としては、通常の真空蒸着によって析出させることができるものであれば特に限定なく使用でき、例えば、金属、金属酸化物、導電性ポリマー等を蒸着材料とすることができる。匂い香りの検出のためのガスセンサでは、通常、SnO2、ZnO、WO3、Al2O3、TiO2、In2O3、これらの複合酸化物などを用いることができる。
【0019】
真空蒸着の方法は、蒸着材料に応じた公知の条件とすればよく、通常、所定の真空度とした真空装置中で、電子ビーム加熱、抵抗加熱などの方法で蒸着材料を所定の温度に加熱して、基板上に蒸着させればよい。
【0020】
この様な方法で必要な部分に複数の蒸着膜を蒸着させた後、レジスト膜を除去することによって、図1(d)に示すように、複数の種類の蒸着膜を形成した基板を得ることができる。レジスト膜の除去方法は、特に限定はなく、レジスト膜の種類に応じて、公知の剥離液を用いればよい。
【0021】
その後、必要に応じて、熱処理を行うことによって、目的とする複数の蒸着膜を形成した基板を得ることができる。
【0022】
本発明方法によれば、蒸着膜の形成のためのパターンニングは、レジスト膜の形成によって行なえばよく、高精度の微小パターンを簡単に形成できるフォトリソグラフィの手法を利用できるので、高精度のレジストパターンを簡単に形成できる。又、蒸着膜形成後にレジスト膜を剥離するために、レジスト膜上に蒸着膜が析出しても何等弊害がなく、蒸着膜を正確に膜形成位置にのみ析出させる必要がない。このため、蒸着物質遮断用マスクの開口部は、蒸着膜の形成部よりも大きくすることができ、微小な蒸着膜を形成する場合であっても、マスクの加工精度を高くする必要がない。このため、安価にマスクを製造でき、マスクの開口部の位置合わせも容易である。特に、マスクは蒸着材料が付着するために消耗品であり、又、蒸着膜の形状に応じてマスクを変更する必要があるので、低コストでマスクを得られる点は非常に有利である。
【0023】
又、本発明の方法では、真空蒸着装置中でマスクを移動させることによって、複数の蒸着膜を形成できるので、蒸着膜を形成すべき部分を一度にレジスト膜でパターンニングすることが可能であり、しかも真空状態を維持したまま、連続的に複数の感応膜を形成できるので、処理工程が非常に簡便となる。
【0024】
本発明方法は、特に、複数の微小な感応膜を同一基板上に形成することが望まれる匂い香りを検出するためのガスセンサの作製に適する方法であるが、これに限定されるものではなく、その他に、例えば、湿度センサ、溶液センサ等の化学センサ、赤外線センサ、放射線センサ、軟X線センサ等の光検出器等の作製にも有効に適用することができる。
【0025】
次ぎに、本発明の蒸着膜形成方法の実施に適する真空蒸着装置を、図2に基づいて説明する。
【0026】
図2は、真空蒸着装置の断面図を示すものであり、該装置は、所定の真空状態に保持される真空容器4、及び該容器の内部底部に真空蒸着用の蒸発装置5を設置している。蒸発装置5は、蒸着物質を保持する容器とこれを加熱する機構を有するものであり、加熱方法としては、電子ビーム加熱、抵抗加熱などを適用でき、蒸着材料の種類に応じて、適宜加熱手段をきめればよい。蒸発装置5は、複数の物質を蒸着させるために、蒸着材料の数に応じて、2個以上設置することが必要である。
【0027】
更に、必要に応じて、該蒸発装置5の上方には、シャッター6を可動的に設ける。シャッター6を設けた場合には、シャッター6を閉じた状態で、膜厚モニターで蒸着速度が所定の値で安定していることを確認した後、シャッターを開けて基板上に蒸着を行なうことができる。
【0028】
該真空容器4の内部には、基板用支持治具7と蒸着物質遮断用マスク用支持治具8からなるマスク位置設定機構を設置する。該基板用支持治具7及びマスク用支持治具8は、基板1とマスク3を相対的にXY方向に移動可能な構造とする。具体的には、基板用支持治具7とマスク用支持治具8は、いずれか一方又は両方がXY方向に移動可能であるか、或いは、一方がX方向に移動可能であって、他方がY方向に移動可能とすればよい。移動機構については特に限定はなく、通常のXYステージと同様の移動機構とすればよく、これをマイクロメーター等で調節すればよい。
【0029】
更に、基板用支持治具7と蒸着物質遮断用マスク用支持治具8からなるマスク位置設定機構は、必要に応じて、基板1とマスク3を相対的にΘ方向へ移動可能な構造とする。この場合には、基板用支持治具7と蒸着物質遮断用マスク用支持治具8のいずれか一方又は両方に、適当な回転機構を設置すればよい。
【0030】
該真空容器4には、該マスク像の容器外への導出手段9を設置する。容器外へのマスク像導出手段を設置することによって、容器内でのマスク位置を容器外から観察することが可能となり、マスクの位置合わせを簡単に正確に行うことができる。例えば、マスク像の容器外への導出手段としては、簡単な構造の手段として、容器内に傾斜して設置したミラー及び容器側面に設けたマスク像通過用窓部を用いた光学的手段を採用することができる。
【0031】
該マスク像の容器外への導出手段9には、必要に応じて該導出手段の移動機構10を設け、蒸着時には、蒸着の障害とならない位置に導出手段9を移動させる。例えば、傾斜して設置したミラーを含む導出手段9を用いる場合には、移動機構10として、送りネジなどを用いればよい。
【0032】
更に、真空容器4の外部には、該マスク像のモニター手段11を設置する。モニター手段としては、マスク開口部の位置合わせの際に、マスク像を観察できる手段であれば特に限定はない。例えば、導出手段9として傾斜して設置したミラーを用いて光学的にマスク像を容器側面外に導出する場合には、微小な部分に正確に位置合わせを行うために、顕微鏡と必要に応じてカメラを含むモニター手段を用いることができる。
【0033】
上記した構造の蒸着装置は、蒸着容器内のマスク像を容器外から観察する手段を設置したことによって、容器外から基板とマスク開口部との相対位置を確認しつつ位置合わせができるので、異なる複数の蒸発材料を用いる場合にも、真空状態を解除することなく、真空容器中でマスク開口部を移動させて位置合わせを行ない、蒸発装置を順次変更するだけで、連続的に複数の蒸着膜の蒸着操作を行うことができる。
【0034】
これに対して、マスク像の観察機構を有しない装置では、マスク像を観察することなくマスク開口部の位置合わせを正確に行う必要があり、特に微小な部分に正確に位置合わせを行うためには、基板用支持治具やマスク支持治具の固定部品や移動機構を極めて精密に加工すると共に、正確な位置合わせのための制御機構が必要となり、非常に高価で複雑な装置となる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の蒸着膜形成方法によれば、複数種の蒸着膜を形成するためのレジストパターンを一回のパターンニングで形成でき、又、マスクを移動させることによって、真空状態を維持したまま連続的に複数の蒸着膜を形成できるので、非常に簡単な工程で複数の蒸着膜を形成できる。又、蒸着膜形成後にレジスト膜を剥離するために、蒸着膜を正確に膜形成位置にのみ析出させる必要がなく、蒸着物質遮断用マスクの開口部を蒸着膜の形成部よりも大きくすることができるので、安価にマスクを製造でき、マスクの開口部の位置合わせも容易である。
【0036】
特に、レジスト膜を形成する方法として、フォトリソグラフィの手法を採用する場合には、高精度の微小パターンを簡単に形成できるので、本発明の工程との組合せによって、複数の微小な感応膜を同一基板上に形成することが望まれるガスセンサの作製に非常に適する方法となる。
【0037】
又、本発明の真空蒸着装置によれば、蒸着物質遮断用マスクを容器外から観察する手段を有することによって、容器外から基板とマスク開口部との相対位置を確認しつつ位置合わせができるので、異なる種類の蒸発材料を用いる場合にも、真空状態を解除することなく、マスク開口部を移動させて蒸発装置を順次変更するだけで、連続的に複数の蒸着膜の蒸着操作を行うことができる。
【0038】
特に、該装置におけるマスク像の容器外への導出手段が、傾斜して設置したミラー及び容器側面に設置したマスク像通過用窓部を含むものであり、マスク像モニター手段が顕微鏡を含むものである場合には、簡単な構造の装置によって微小な部分に正確にマスク開口部を位置合わせできるので、本発明の蒸着方法を有利に実施することができる。
【0039】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0040】
実施例1
2インチのSiウエハ及びこの表面に形成した厚さ150nmのSiO2層からなる基板に、フォトリソグラフィー用のポジ型レジスト塗料(ヘキスト社製、AZ5214)をスピンコート(4000rpm)によって、厚さ1.4μmに塗布した。その後、110℃で2分間加熱した後、露光用パターンをこの上に置いて、紫外線露光装置で波長405nm、光強度30mW/cm2の条件で1.5秒間露光した。その後、現像液(東京応化製、OFPR800)中に、室温で2分間浸漬して現像を行い、大きさ20μm×20μmの露出部分を576個(24×24個)有するレジストパターンを形成した。
【0041】
一方、蒸着物質遮断用マスクとしては、42アロイ(Ni42%、Fe58%)板(大きさ50mm×50mm)に直径150μmの円形の開口部を144個(6×24個)設けたものを準備した。
【0042】
真空蒸着装置としては、図2に示す構造の真空蒸着装置において、基板支持治具7は固定式とし、マスク支持治具8は、移動範囲10mm、精度10μmでXY方向にマスクを移動可能で、回転機構によりΘ方向にも移動可能な構造とした。マスク像の導出手段9としては、傾斜して設置したミラーと容器側面にマスク像通過用窓部を設け、マスク像モニター手段10として顕微鏡及びCCDカメラを設置した。蒸発装置5は真空容器4の底部に4個設置し、それぞれ、電子ビーム加熱及び抵抗加熱が可能とし、基板は、400℃まで加熱可能な構造とした。
【0043】
蒸着材料としては、SnO2、ZnO、TiO2及びWO3の4種類の材料を用い、それぞれ、異なる蒸発装置に入れた。
【0044】
この真空蒸着装置に基板及びマスクを設置し、ターボ分子ポンプとロータリーポンプの組合せで、真空容器内の真空度を5×10-7Torrとした後、顕微鏡及びCCDカメラによるマスクの拡大像をモニター画面で観察しながら、マスクの開口部を基板の蒸着膜形成部分に位置合わせし、SnO2を蒸着速度0.1nm/秒で300nm蒸着した。その後、マスクの拡大像を観察しながら、XYステージによりマスクの開口部を基板の別の蒸着膜形成部分に位置合わせし、ZnOを蒸着速度0.1nm/秒で300nm蒸着した。更に、同様の操作を繰り返して、TiO2及びWO3をそれぞれ所定の位置に300nm蒸着した。
【0045】
この様にして蒸着膜を形成した基板を蒸着装置から取り出し、室温でアセトン中に1分間浸漬してレジスト皮膜を除去することによって、基板の所定の部分に4種類の蒸着膜を形成した。得られた基板では、レジスト膜のパターンと同じ、大きさ20μm×20μmの蒸着膜が所定の位置に576個(24×24個)正確に形成されていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の製造工程の概要を示す図面
【図2】真空蒸着装置の断面図
【符号の説明】
1 基板 2 レジスト皮膜
3 蒸着物質遮断用マスク 4 真空容器
5 蒸発装置 6 シャッター
7 基板用支持治具 8 蒸着物質遮断用マスク用支持治具
9 マスク像導出手段 10 導出手段の移動機構
11 モニター手段
Claims (4)
- 蒸着膜を形成すべき部分以外にレジスト膜を形成した基板を用い、該基板の蒸着膜形成部上に、開口部を有する蒸着物質遮断用マスクの開口部を位置合わせした後、該マスクを介して該基板上に蒸着膜を形成し、次いで、該マスクを移動させて他の蒸着膜形成部にマスク開口部の位置合わせを行い、蒸着材料を変更して該マスクを介して該基板上に他の蒸着膜を形成する工程を所定回数行い、その後レジスト膜を除去することを特徴とする蒸着膜形成方法。
- レジスト膜がフォトリソグラフィによって形成されたものであり、蒸着膜がガス検知用金属酸化物感応膜である請求項1に記載の蒸着膜形成方法。
- 所定の真空状態に保持される真空容器、該真空容器の内部底部に設けた2個以上の真空蒸着用の蒸発装置、基板と蒸着物質遮断用マスクを相対的にXY方向に移動可能な基板用支持治具及び蒸着物質遮断用マスク用支持治具からなるマスク位置設定機構、マスク像の真空容器側面外への導出手段、並びに該マスク像のモニター手段を有することを特徴とする真空蒸着装置。
- マスク像の装置側面外への導出手段が傾斜して設置したミラー及び真空容器側面に設けたマスク像通過用窓部を含むものであり、マスク像モニター手段が顕微鏡を含むものであり、更に、送りネジによる該導出手段の移動機構を有する請求項3記載の真空蒸着装置。
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