JP4015650B2 - エポキシ樹脂用溶剤組成物 - Google Patents
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Description
また、特許文献1には3−メトキシプロピオン酸メチル100重量部に3−エトキシプロピオン酸エチルを20〜150重量部混合した溶剤組成物が提案されている。
特許文献2には、(A)炭素数が9〜13の脂肪族炭化水素系溶媒を60〜95質量%、(B)単環状ケトン類およびメチルメトキシブタノール類の中から選ばれる一種以上の成分を5〜40質量%の割合で含有することを特徴とする溶剤組成物が提案されている。
特許文献3には、特定化学構造のα−アルコキシイソ酪酸アルキルエステル、β−アルコキシイソ酪酸アルキルエステル、α−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステルから選ばれた少なくとも一種のオキシイソ酪酸エステルを5質量%以上含むことを特徴とする塗料用、コーティング用、接着剤用および印刷インキ用溶剤組成物が提案されている。
水素結合力の相対値が0.7以上1.4未満であるエステル系溶剤、ケトン系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群から選ばれる1種以上の溶剤を65〜90質量%、
水素結合力の相対値が1.4以上2.0以下のアルコール系溶剤を10〜25質量%、
水素結合力の相対値が0.1以上0.7未満で且つトルエン、キシレンを含む芳香族炭化水素系溶剤を除く炭化水素系溶剤を0〜20質量%の割合で含有し、
前記水素結合力の相対値が1.4以上2.0以下の溶剤と前記水素結合力の相対値が0.1以上0.7未満の溶剤は合計で35〜10質量%とされ、
前記水素結合力の相対値が0.7以上1.4未満の溶剤は、前記エーテル系溶剤を必須成分として含み、該エステル系溶剤、前記ケトン系溶剤及び前記エーテル系溶剤を(前記エステル系溶剤あるいは/及び前記ケトン系溶剤):(前記エーテル系溶剤)=(50〜80):(10〜20)の質量比で含むことを特徴とするエポキシ用溶剤組成物を提供している。
水素結合力の相対値が1.4以上2.0以下の溶剤は、アルコール系溶剤としている。なかでもイソプロパノールを含むアルコール系溶剤を用いることが好ましい。これらのアルコール系溶剤は1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらは10〜25質量%配合している。
水素結合力の相対値が0.1以上0.7未満の溶剤は、炭化水素系溶剤としている。なかでもヘキサン、メチルシクロヘキサンを含む炭化水素系溶剤が好ましい。該炭化水素系溶剤は、0〜15質量%配合している。かつ、前記したように、該炭化水素系溶剤として、シックスクール症候群などで人体に影響のあるとされるトルエンおよびキシレンからなる芳香族炭化水素溶剤は除かれる。
さらに、本発明のエポキシ用溶剤組成物は、溶解している高分子化合物の性能の発揮を妨げない。例えば本発明の溶剤組成物で希釈したエポキシ樹脂を用いて施工した塗床は、長期間の利用に耐えうる強度と硬度を有する。
さらにまた、塗膜表面の白化などを防止し、塗膜面の美観を保つことができる。とくに本発明の溶剤組成物を塗料または印刷インキなどに用いる場合には、塗膜面の美観が保たれることは大きな利点である。さらには、塗膜表面の白化に基づく塗膜の劣化をおさえることができ、耐久性を向上させることができる。
また、水素結合力の相対値が1.4以上2.0以下の溶剤および/または水素結合力の相対値が0.1以上0.7未満の溶剤を35〜10質量%の割合で含有している。
上記水素結合力の相対値が0.1以上0.7未満の溶剤中には、トルエン、キシレンを含む芳香族炭化水素系溶剤は含まれず、これらトルエン、キシレンを除くことにより人体に対して影響を有しないものとしている。
水素結合力の相対値が0.7以上1.4未満である水素結合力が中位の溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤が挙げられる。
エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトンまたはプロピレンカーボネートなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
前記水素結合力が中位の溶剤としては、なかでもエステル系溶剤またはケトン系溶剤が好ましい。
特に、エポキシ樹脂との相溶性等を勘案し、酢酸メチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトンを用いることがより好ましい。
前記アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、n−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。なかでもイソプロパノールがより好ましい。
(A)酢酸メチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールメチルエーテルからなる群から選択される1以上の化合物を65〜90質量%
(B)イソプロパノールを25〜10質量%
(C)ヘキサンまたはメチルシクロヘキサンを0〜15質量%
無溶剤エポキシ樹脂としては特に限定されないが、ビスフェノールAとエピクロルヒドリン等の縮合反応により得られるエピ−ビス型のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂が一般的に用いられる。また、その他にフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂等があげられる。その他、特殊なものとして、β−メチルエピクロ型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、ウレタン変性エポキシ樹脂等の各エポキシ樹脂も使用できる。
下記の表1に示した各成分を混合しエポキシ用溶剤組成物を調整した。なお、表1中の数字は配合割合(質量%)を示す。
比較例1および比較例2はトルエン・キシレン非含有溶剤として市販されている溶剤組成物(大伸化学株式会社製、「PRTR−200ラッカーシンナー&PRTR−600ラッカーシンナー」)である。従来例は汎用されているトルエン含有溶剤組成物である。
また、表1に記載されている各成分の蒸発速度指数は、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合の蒸発しやすさ(しにくさ)を示すもので、数値が大きいほど蒸発しやすい。蒸発速度指数も「塗料の流動と顔料分散」(植木憲二 監訳、共立出版株式会社発行、発行日 昭和46年5月1日)の第361頁〜第366頁の付録B「溶剤の性質」の記載に準拠している。
前記溶剤組成物の蒸発速度は、混合溶剤中のA成分の蒸発速度を、下式より求め、これらの混合材料中のそれぞれの成分の蒸発速度を合計したものである。前記溶剤組成物のSP値も同様に求めたものである。
配合中のA成分の割合(%)× A成分の蒸発速度
A成分の分子量 × 配合中のモル合計
室温15℃、湿度70%に調整した試験室にて、エポキシ樹脂を正規配合比で混合した樹脂中に、それぞれ調整した溶剤組成物を3質量%添加し、1分間混合した。その材料をテストピースに1.0kg/m2相当の均一な厚みとなるよう金鏝で塗布した後15分間静置させた。その後再び樹脂を塗布し硬化後の外観を目視にて評価した。評価は、表面に白化がみられないものを「○」、やや白化傾向が見られるものを「△」、明らかに白化しているものを「×」とした。
室温5℃、湿度60%に調整した恒温恒湿室にエポキシ樹脂を正規配合比で混合した樹脂を予め保管しておき、当該樹脂にそれぞれ調整した溶剤組成物を3質量%添加し、1分間混合した。その材料をテストピースに1.0kg/m2相当の均一な厚みとなるよう金鏝で塗布した後放置した。その後24時間、48時間、72時間後の硬度をショアーD硬度計にて測定した。
溶剤組成物を添加しなかった場合、ショアーD硬度計にて測定した72時間後の硬度は標準状態(室温5℃、湿度60%)で85°となる。ゆえに、本試験における72時間後の硬度が83°以上であることが好ましい。
標準状態(温度23℃、湿度60%)でエポキシ樹脂塗料のみをテストピースに塗布後、それぞれ調整した溶剤組成物に室温で3分間浸漬し、洗浄面積を目視にて確認した。
評価は、50%以上洗浄されたものを「○」、50〜30%洗浄されたものを「△」、30%未満しか洗浄されなかったものを「×」とした。
全てにおいて問題なく使用できるものを「◎」、一部でやや問題がでるものの使用可能なものを「○」、使用において支障が出るものを「×」とした。
実施例7、8、9は僅かに白化現象を生じたが使用上で問題ない範囲であった。比較例1〜4および従来例は白化現象が生じていた。
Claims (5)
- エポキシ樹脂に添加される溶剤組成物であって、
水素結合力の相対値が0.7以上1.4未満であるエステル系溶剤、ケトン系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群から選ばれる1種以上の溶剤を65〜90質量%、
水素結合力の相対値が1.4以上2.0以下のアルコール系溶剤を10〜25質量%、
水素結合力の相対値が0.1以上0.7未満で且つトルエン、キシレンを含む芳香族炭化水素系溶剤を除く炭化水素系溶剤を0〜20質量%の割合で含有し、
前記水素結合力の相対値が1.4以上2.0以下の溶剤と前記水素結合力の相対値が0.1以上0.7未満の溶剤は合計で35〜10質量%とされ、
前記水素結合力の相対値が0.7以上1.4未満の溶剤は、前記エーテル系溶剤を必須成分として含み、該エステル系溶剤、前記ケトン系溶剤及び前記エーテル系溶剤を(前記エステル系溶剤あるいは/及び前記ケトン系溶剤):(前記エーテル系溶剤)=(50〜80):(10〜20)の質量比で含むことを特徴とするエポキシ用溶剤組成物。 - 前記水素結合力の相対値が1.4以上2.0以下のアルコール系溶剤を10〜20質量%以下の割合で含有している請求項1に記載のエポキシ用溶剤組成物。
- 前記水素結合力の相対値が0.7以上1.4未満の溶剤が、酢酸ブチルを含むエステル系溶剤および/またはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンを含むケトン系溶剤であり、
前記水素結合力の相対値が1.4以上2.0以下の溶剤がイソプロパノールを含むアルコール系溶剤であり、
前記水素結合力の相対値が0.1以上0.7未満の溶剤が、芳香族炭化水素を除く、ヘキサン、メチルシクロヘキサンを含む炭化水素系溶剤である請求項1または請求項2に記載のエポキシ用溶剤組成物。 - SP値(溶解度パラメータ)がエポキシ樹脂のSP値に対して±30%の範囲で且つSP値が8.5〜11.5であり、
蒸発速度指数が100〜400である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ用溶剤組成物。 - 無溶剤型エポキシ樹脂の希釈溶剤または洗浄溶剤として用いられる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ用溶剤組成物。
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