JP4013544B2 - 内装用表皮材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内装用表皮材に関し、より詳しくは、夜間放射冷熱を昼間に効果的に発現し得る内装用表皮材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両用座席用表皮材の構成は図5に示すように、意匠層52、バッキング層53、発泡ウレタンから成るラミウレタン層57、裏基布層58からなり、これら各部の材料構成により、外観・触感といった意匠性や耐久性、クッション性を向上するべく、性能向上、改善が行なわれてきた。しかしながら、現存の構成では、意匠層52とバッキング層53からの放射による放熱効果が小さい為に、高温の車室内空気や太陽光線の直射によって座席内部が温められ、また、ラミウレタン層57と裏基布層58の熱伝導性が小さい為に、温められた座席内部の熱が蓄積されるので、たとえば真夏の炎天下駐車時には座席表面の著しい温度上昇を招き、乗車後、エアコンを作動させても背や大腿裏はいつまでも暑いという問題点がある。
【0003】
一方、表皮材51の裏面に冷熱蓄熱材55を配置することによって、夜間冷気を冷熱蓄熱し、昼間の座席表面の温度を下げようとしても、意匠層52とバッキング層53からの放射による放熱効果が小さく、また、ラミウレタン層57と裏基布層58の熱伝導性が小さい為に、夜間冷気を冷熱蓄熱できないという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の従来技術の問題点を解決し、夜間冷気を効率的に冷熱蓄熱し、昼間の自動車内装表面温度及び車室内空気温度を下げることの出来る、高性能の放熱機能を有する構成の内装用表皮材及びかかる表皮材を用いた車両用内装材を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載のように、上から順に意匠層、バッキング層、中間放熱層が積層された構成からなる表皮材であって、該中間放熱層は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する樹脂材料から成ることを特徴とする表皮材を考案した。
【0006】
【発明の効果】
請求項記載の本発明によれば、請求項毎に次のような効果を奏する。
【0007】
本発明の内装用表皮材は請求項1に記載のように、意匠層、バッキング層、中間放熱層からなり、詳細には以下に記載する構成とすることによって、夜間冷気を効率的に冷熱蓄熱し、昼間の内装材表面温度や車内空気温度を下げることの出来る、高い放熱効果を備える内装用表皮材を可能とした。以下に従来の課題を解決するための手段について詳述する。
【0008】
従来の内装用表皮材の構成では、意匠層、バッキング層、発泡ウレタンより成るラミウレタン層からなり、これら各部の材料構成により、外観・触感といった意匠性や耐久性、クッション性を向上すべく、性能向上、改善が行なわれてきた。しかしながら、従来の構成では、ラミウレタン層の熱伝導性が小さい為に、温められた座席内部の熱が蓄積されるので、たとえば真夏の炎天下駐車時には座席表面の著しい温度上昇を招き、乗車後、エアコンを作動させても背や大腿裏はいつまでも暑いという問題点がある。
【0009】
一方、表皮材の裏面に冷熱蓄熱材を配置することによって、夜間冷気を冷熱蓄熱し、昼間の座席表面の温度を下げようとしても、ラミウレタン層の熱伝導性が小さい為に、夜間冷気を冷熱蓄熱することが出来なかった。
【0010】
そこで、請求項1に記載の発明にあっては、上から順に意匠層、バッキング層、中間放熱層が積層された構成からなる表皮材で、該中間放熱層が高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を混練させた樹脂材料から成るので、この内装用表皮材の裏面に配置された冷熱蓄熱材料からなる冷熱蓄熱層から車内空気への熱移動が促進される。すなわち、夜間冷気を該冷熱蓄熱層に効率的に冷熱蓄熱するとともに、該冷熱蓄熱層の持つ熱が該中間放熱層の中を放射と熱伝導によって移動し、バッキング層及び意匠層へ遠赤外線として放射され、意匠層から車内空気へ熱伝達及び放射により移動して、昼間の座席表面等の内装材表面温度や車内空気温度を下げることが出来る。
【0011】
請求項2に記載の発明にあっては、中間放熱層の樹脂材料への高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材の含有量を1〜50質量%としたので、中間放熱層を介して、冷熱が効率良く伝達されることになり、本発明の内装用表皮材の表面温度を低減することが出来る。
【0012】
請求項3に記載の発明にあっては、上から順に意匠層、バッキング層、中間放熱層が積層された構成からなる表皮材で、該中間放熱層は常温遠赤外線放射性充填材及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維を含む不織布及び/又は織布からなる繊維組織からなるので、常温遠赤外線放射性充填材を含有する為に、熱線を吸収しやすく、かつ、速やかに熱線を再放射できるので、この内装用表皮材の裏面に配置された冷熱蓄熱材料からなる冷熱蓄熱層から車内空気への熱移動が促進されるとともに、夜間冷気を効率的に冷熱蓄熱することが出来る。冷熱蓄熱層から中間放熱層の繊維組織を経由するバッキング層・意匠層への熱の移動に関しては、夜間の冷熱蓄熱時に、冷熱蓄熱層の熱は、冷熱蓄熱層から遠赤外線として放射され、放射された遠赤外線が中間放熱層の常温遠赤外線放射性の繊維組織で吸収され、かかる繊維組織から遠赤外線として放射されることによって、バッキング層及び意匠層に伝わることによる。
【0013】
また、中間放熱層に、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維を含む不織布及び/又は織布からなる繊維組織を用いることによって、本発明の内装用表皮材を座席用表皮材として使用する場合、冷熱蓄熱性能と着座時等のクッション性とを両立させることが出来る。すなわち、昼間の乗員着座時に着座圧力によって、中間放熱層の繊維組織が圧縮され、それによって高熱伝導性の繊維同士の接触面積が増加して中間放熱層の熱伝導性が増大し、冷熱蓄熱層から人体への冷熱の移動が促進され、着座時に乗員が冷気を背中や大腿部裏に感じることが出来るようになる。
【0014】
請求項4に記載の発明にあっては、繊維組織への常温遠赤外線放射性充填材及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維の混入率(混率)は5〜100%であるので、請求項3の効果をより充分にまたは確実に達成できる。
【0015】
請求項5に記載の発明にあっては、中間放熱層の繊維に含有させる高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としては、カーボンブラック、カーボンファイバー等の炭素紛粒体を用いるので、熱伝導率が高く、さらに4〜20μm以上の広い波長範囲にわたる遠赤外線を効率よく放射することができる。したがって、夜間冷気を効率的に冷熱蓄熱する効果及び冷熱蓄熱層から車内空気への熱の移動が促進されるので、着座時に乗員が冷気を背中や大腿部裏に感じるという効果が得られる。
【0016】
請求項6に記載の発明にあっては、カーボンブラック又はカーボンファイバーが中間放熱層の繊維中に1〜50質量%含まれるので、請求項5の効果をより充分にまたは確実に達成できる。
【0017】
請求項7に記載の発明にあっては、中間放熱層に用いる繊維組織の面密度が4〜500g/m2であるので、請求項3〜6の効果をより充分にまたは確実に達成できる。
【0018】
請求項8に記載の発明にあっては、中間放熱層に用いる繊維組織の層厚が0.15〜50mmであるので、請求項3〜7の効果をより充分にまたは確実に達成できる。
【0019】
請求項9に記載の発明にあっては、バッキング層が常温遠赤外線放射性充填材10〜50質量%を含有する樹脂材料であるので、中間放熱層から放射された熱線を効率的に吸収できる。吸収された熱は高熱伝導性のバッキング層を熱伝導し、バッキング層の意匠層側から熱線として意匠層へ放射される。意匠層に放射された熱線の一部は直接に車室内空気へ伝わり、残部は意匠層に吸収された後、意匠層から熱線として車室内空気へ放射される。
【0020】
請求項10に記載の発明にあっては、バッキング層に用いる樹脂材料に、常温遠赤外線放射性充填材として、無機粉粒体の、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材として、カーボンブラック又はカーボンファイバーを混練したので、冷熱蓄熱層から意匠層への放射による熱の移動が促進される。バッキング層から意匠層への熱の移動と意匠層から車室内空気への熱線放射による熱の移動に関しては、バッキング層が常温遠赤外線放射性充填材として、無機粉粒体の、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する樹脂材料から成る為に、中間放熱層から放射された熱線を効率的に吸収できる。吸収された熱は高熱伝導性のバッキング層を熱伝導し、バッキング層の意匠層側から熱線として意匠層へ放射される。意匠層に放射された熱線の一部は直接に車室内空気へ伝わり、残部は意匠層に吸収された後、意匠層から熱線として車室内空気へ放射される。
【0021】
請求項11に記載の発明にあっては、中間放熱層の下に蓄熱層表層を設け、該蓄熱層表層は樹脂材料から成り、該蓄熱層表層に用いる樹脂材料中に、常温遠赤外線放射性充填材として、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種の無機粉粒体及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材として、カーボンブラック又はカーボンファイバー5〜70質量%を混練したので、冷熱蓄熱層の表面に常温遠赤外線放射性を持つ蓄熱層表層が密着している構成である為に、冷熱蓄熱層から中間放熱層への放射による熱の移動が促進される。これは、特に中間放熱層が繊維組織である場合に顕著である。即ち、冷熱蓄熱層からの熱の放出は主に熱伝導で行われる為に、常温遠赤外線放射性の蓄熱層表層がない場合には、繊維組織である中間放熱層と冷熱蓄熱層との接触状態が冷熱蓄熱材と繊維との点又は線での接触であることから、冷熱蓄熱層から中間放熱層への十分な熱の移動が難しいが、冷熱蓄熱層の表面に常温遠赤外線放射性の蓄熱層表層が密着している場合には、冷熱蓄熱層から蓄熱層表層に熱伝導によって熱が移動し、蓄熱層表層から主に放射によって、中間放熱層に熱が移動する。
【0022】
請求項12に記載の発明にあっては、バッキング層及び蓄熱層表層に熱可塑性樹脂を用いるので、樹脂材料に充填材を均一に分散させることができ、充填材の常温遠赤外線放射性及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性を効果的に発現させることができる。
【0023】
請求項13に記載の発明にあっては、意匠層が常温遠赤外線放射性充填材として、無機粉粒体の、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種を含有する樹脂材料であるので、意匠層における熱移動が促進される。
【0024】
請求項14に記載の発明にあっては、意匠層が熱可塑性樹脂の繊維組織であるので、風合いの良さが実現され、さらに常温遠赤外線放射性充填材を均一に分布させることができるので、外観及び触感の良さが発揮されるとともに、意匠層の熱移動が促進される。
【0025】
請求項15に記載の発明にあっては、熱可塑性樹脂の繊維組織が、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種の常温遠赤外線放射性充填材1〜40質量%を混練及び/又はコーティングした繊維から構成されるので、意匠層から車室内空気への放射による熱の移動量が多くなり、さらに冷熱蓄熱層が夜間冷気を充分に蓄えることができる。
【0026】
請求項16に記載の発明にあっては、意匠層が、起毛タイプの布地、非起毛タイプの布地、不織布タイプの布地であるので、表皮材の外観と触感の良さなどの意匠性を損なうことなく、所要の冷熱蓄熱機能と両立させることができる。
【0027】
請求項17に記載の発明にあっては、本発明の内装用表皮材を車両用内装材として用いるので、車室内の夜間冷気を効率的に車両用内装材が冷熱蓄熱するとともに、昼間の内装材表面温度や車内空気温度は動力を用いずに下げることができる。
【0028】
請求項18に記載の発明にあっては、冷熱蓄熱材が蓄熱層表層または中間放熱層と接触する構成であるので、冷熱蓄熱材と蓄熱層表層または中間放熱層との間の熱移動を促進することができる。
【0029】
請求項19に記載の発明にあっては、車両用内装材を座席用表皮材として、座席用の全面又は一部に用いるので、夜間の車室内冷気を冷熱蓄熱材が蓄冷するとともに、昼間、着座時には乗員の体が本発明の表皮材を介して冷熱蓄熱材と接触し、冷気を感じることが出来る。また、座席は表面積が大きいので、夜間蓄冷された冷熱を利用して、昼間の車室内空気温度を下げる効果も大きい。
【0030】
請求項20に記載の発明にあっては、車両用内装材をフロアカーペット、天井用表皮材、ドアトリム用表皮材、インストルメントパネル用表皮材、リアパーセル用表皮材、ピラー用表皮材として、各部位の全面又は一部に用いるので、夜間冷気を冷熱蓄熱し、かかる冷熱を利用して昼間の車室内空気の温度を下げることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
最初に、本発明にかかる表皮材の第一の態様について説明する。
【0033】
図1は本発明の表皮材の一例を示す断面図である。図1において、上から順に意匠層12、バッキング層13、中間放熱層14及び冷熱蓄熱層15が積層された構成からなる表皮材11であって、該中間放熱層14は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を混練させた樹脂材料から成ることから、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性の中間放熱層14により、夜間放射冷却された車内空気の冷熱を効率的に冷熱蓄熱層15に冷熱蓄熱することが出来る。ここで、高熱伝導性とは、従来のラミウレタン層の熱伝導性が小さい為に、温められた座席内部の熱が蓄積されるという不都合があることから、ラミウレタンの持つ熱伝導性よりも大きければ特に制限を受けることはないが、例えば、熱伝導率が0.025〜3000W/m・Kの範囲である。
【0034】
以下、各層について順次説明する。
【0035】
冷熱蓄熱層15としては、33℃付近で相転移点を持つ高分子ヒドロゲル系潜熱蓄熱材などの公知の冷熱蓄熱材を用いることができる。
【0036】
中間放熱層14は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を混練させた樹脂材料から成るが、該高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材として、高熱伝導性を備えた充填材であれば特に制限はされないが、例えば、カーボンブラック又はカーボンファイバーが挙げられる。ここで、カーボンブラックとは、炭素を含む化合物を酸素の不十分な状態で燃焼または熱分解させて製造されるものであれば特に制限はされないが、松煙、油煙、ランプブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどを例示できる。さらに、カーボンファイバーとは炭素からなる繊維状の材料であれば特に制限はされないが、ポリアクリロニトリル、ピッチなどの前駆体有機繊維を熱処理して、炭化する方法で得られたものが例示できる。高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する樹脂材料とは、充填剤を均一に分散させて高熱伝導性の常温遠赤外線放射性を効果的に発現させることから、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、塩化ビニールなどの熱可塑性樹脂が好ましく、該熱可塑性樹脂は前記高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材と混練されていることが望ましい。
【0037】
また、中間放熱層14の樹脂材料が高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を1〜50質量%含有する構成であることが好ましい。中間放熱層14の樹脂材料への高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材の含有量が1質量%未満では、冷熱蓄熱材15が昼間に33℃を維持することの出来る時間が十分でない。また、常温遠赤外線放射性充填材を熱可塑性樹脂へ混練する場合の総量は、シート状加工等の加工性を維持するための物性を確保する必要があり、樹脂質量に対して1〜50質量%、好ましくは3〜20質量%を混練する。
【0038】
前記バッキング層13は従来公知の材料を用いることができるが、前記バッキング層13は常温遠赤外線放射性充填材10〜50質量%を含有する樹脂材料であることが好ましい。これは以下の理由による。バッキング層13から意匠層12への熱移動と意匠層12から車室内空気への熱線放射による熱移動に関しては、バッキング層13が高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する樹脂材料から成る為に、バッキング層13の樹脂材料が含有する常温遠赤外線放射性充填材10質量%未満の場合には放射による熱の移動量が少なくなり、冷熱蓄熱層15が十分な夜間冷気を蓄えることが出来ない為、に昼間に冷熱蓄熱材が33℃を保つ時間が短くなる。即ち、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、車内空気温度が33℃以下となる18時30分までの間、冷熱蓄熱材が33℃を保つことが出来ない。バッキング層13の樹脂材料が含有する常温遠赤外線放射性充填材は10質量%以上が好ましい。また、バッキング層13の樹脂材料が含有する常温遠赤外線放射性充填材が50質量%を越える場合には、意匠層12とバッキング層13との密着性が低下するおそれがある。
【0039】
前記バッキング層13に用いる樹脂材料に、常温遠赤外線放射性充填材としてTiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種の無機粉粒体及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材として、前記カーボンブラック又はカーボンファイバーを混練することが好ましい。
【0040】
また、本発明の内装用表皮材に用いる遠赤外線放射性充填材の遠赤外線放射率は、理想黒体に対して70%以上の遠赤外線放射率を持つものが好ましい。より好ましくは80%以上とすることで、非常に効率良く放射することが可能となる。遠赤外線放射量は、温度が高い程放射量は多くなるが、繊維製品の場合は低温近くの温度、即ち30〜40℃で高い放射能力を持つものが良いがここでは特に限定は行わない。
【0041】
一般に、このような常温遠赤外線放射性充填材は、手袋、靴下といった衣類等の繊維に混練されて保温素材として用いられることが多い。この場合は、熱源側での温度を保持することが目的であって、遠赤外線放射物質が用いられる。本発明では、これらの素材を放熱材として、冷熱蓄熱層15から夜間放射冷却した低温の車室内空気への放熱用途として用いることで、効率良く夜間冷気を冷熱蓄熱することが可能となる。
【0042】
さらに、前記バッキング層13に樹脂材料として熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、これは下記理由による。バッキング層13の樹脂材料に常温遠赤外線放射性充填材等を混練するが、前記充填材の常温遠赤外線放射性を効果的に発現させるためには、前記バッキング層13の樹脂材料に前記充填材を均一に分散させる必要があるからである。なお、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、塩化ビニールなどを例示できる。
【0043】
前記意匠層12としては、従来公知の材料を用いることができるが、熱伝導性の良さの観点から、常温遠赤外線放射性充填材として無機粉粒体の、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種を含有する樹脂材料であることが好ましい。
【0044】
本発明の表皮材は、意匠層12に用いられる樹脂材料が熱可塑性樹脂の繊維組織であることが好ましいが、これは下記理由による。意匠層12は外観及び触感の良さが求められるが、特に意匠層12が繊維組織から成る場合、風合いの良さを実現する為に、柔軟性に優れた熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。また、意匠層12の繊維組織の繊維に常温遠赤外線放射性充填材を混練する場合には、該充填材を均一に分布させる必要があるので、意匠層12の繊維組織を構成する繊維の材料として熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、塩化ビニール等をあげることが出来る。
【0045】
また、意匠層12を構成する樹脂材料は、TiO2等の常温遠赤外線放射性充填材1〜40質量%を混練及び/又はコーティングした熱可塑性繊維から成る繊維組織であることが好ましいが、これは下記の理由による。常温遠赤外線充填材を含有しない場合には、意匠層12から車室内空気への放射による熱の移動量が少なくなり、冷熱蓄熱層15が十分な夜間冷気を蓄えることが出来ない為に、昼間に冷熱蓄熱材が33℃を保つ時間が短くなる。即ち、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、車内空気温度が33℃以下となる18時30分までの間、冷熱蓄熱材が33℃を保つことが出来ない。また、常温遠赤外線充填材が40質量%を越えて含有される場合には、意匠層12の繊維組織の手触りが硬くなり、商品性が低下する。以上の理由から、意匠層12の熱可塑性樹脂の繊維組織へ混練又はコーティングするTiO2等の常温遠赤外線放射性充填材の量は1〜40質量%が好ましい。
【0046】
意匠層12に用いられる繊維組織のタイプは、モケットやトリコットのような起毛タイプの布地、平織物や編物のような非起毛タイプの布地、極細繊維を用いた人工皮革のような不織布タイプの布地が好ましいが、これは以下の理由による。意匠層12には外観と触感の良さが求められ、特に車両座席用の表皮材ではモケットやトリコットのような起毛タイプの布地、ジャージ等の非起毛タイプの編物、極細繊維から成る人工皮革等の不織布タイプの布地が従来から多用されており、冷熱蓄熱機能と意匠性とを両立させることが商品性の観点から重要である。本発明では、これを実現する為に、従来から多用されている表皮材11の意匠性を損なうことなく、所要の冷熱蓄熱機能を具備させることに成功した。
【0047】
各層の厚みは従来公知の厚みを適宜採用することができ、さらに各層同士は接着剤等を用いる公知の方法で成型できる。
【0048】
図2は該蓄熱層表層を追加した本発明の表皮材のその他の例を示す断面図である。中間放熱層24と冷熱蓄熱層25との間に蓄熱層表層26が設けられている表皮材21である。ここで、該蓄熱層表層26は樹脂材料からなり、該蓄熱層表層26に用いられる樹脂材料中に、常温遠赤外線放射性充填材として、無機粉粒体の、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材として、カーボンブラック又はカーボンファイバー5〜70質量%を混練することが好ましい。これは以下の理由による。蓄熱層表層26の樹脂材料が含有する充填材が5質量%未満の場合には、放射による熱の移動量が少なくなり、冷熱蓄熱層25が十分な夜間冷気を蓄えることが出来ない為に、昼間に冷熱蓄熱材が33℃を保つ時間が短くなる。即ち、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、車内空気温度が33℃以下となる18時30分までの間、冷熱蓄熱材が33℃を保つことが出来ない。蓄熱層表層25の樹脂材料が含有する充填材は5質量%以上が好ましい。また、蓄熱層表層26の樹脂材料が含有する充填材が70質量%を越える場合には、中間放熱層24と蓄熱層表層26との密着性が悪くなり、実車で長期使用した場合に剥離する等の不具合が起こる可能性があり、実用上役に立たない。
【0049】
前記蓄熱層表層26に樹脂材料として熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、これは下記理由による。バッキング層23の樹脂材料に無機粉粒体の、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を混練するが、前記充填材の常温遠赤外線放射性を効果的に発現させるためには、前記バッキング層23の樹脂材料に前記充填材を均一に分散させる必要があるからである。なお、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、塩化ビニールなどを例示できる。
【0050】
その他の、意匠層22、バッキング層23、冷熱蓄熱層25については、図1と同じ材料を用いる。
【0051】
本発明の表皮材では、冷熱蓄熱材が蓄熱層表層26または中間放熱層14と接触する構成とすることによって、夜間に冷熱蓄熱層から熱移動性の良い蓄熱層表層26及び中間放熱層24を経由して、車室内空気へ放熱が行われ、夜間冷気を効率的に冷熱蓄熱し、昼間の内装材表面温度や車内空気温度を下げることが出来る。
【0052】
次に、本発明にかかる表皮材の第二の態様について説明する。
【0053】
図1は本発明の表皮材の一例を示す断面図である。図1において、上から順に意匠層12、バッキング層13、中間放熱層14及び冷熱蓄熱層15が積層された構成からなる表皮材11であって、中間放熱層14は、常温遠赤外線放射性充填材及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維を含む不織布及び/又は織布からなる繊維組織である。
【0054】
中間放熱層14の繊維が含有する常温遠赤外線放射性充填材としては、4〜20μm以上の広い波長範囲にわたる遠赤外線を効率よく放射することができるものであれば特に制限はされないが、例えば、遷移金属元素酸化物系のセラミック、天然鉱石、天然炭化物、及び活性化水等を挙げることができる。遷移金属元素酸化物系のセラミックスとしては、TiO2 、SiO2 、ZrO2 、Al2 O2 、MgO、2MgO2・2Al2O3・5SiO2、BaSO4、MnO2 、Fe2 O3 、ZrSiO2 、CoO、CuO、CrO3 、TiO、TiN、ZrC、TiC、SnO2 等の金属酸化物の微粒子や、ネオジム、ランタン、イットリウム等の希土類金属の酸化物を含むものであり、さらに少量のシリカ、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、第8属金属酸化物、燐化合物等が含まれていてもよい。天然鉱石としては雲母、トリマリン(電気石)、オーラストン等が知られている。なかでも、中間放熱層14の繊維が含有する常温遠赤外線放射性充填材としては、無機粉粒体の、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0055】
さらに、中間放熱層14に常温遠赤外線放射性充填材及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維を5〜100%含ませることが好ましい。但し、中間放熱層14の繊維組織への常温遠赤外線放射性充填材及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維の混入率が5%未満の場合には、該充填材の添加効果は少なく、十分な夜間冷気を冷熱蓄熱層15に蓄えることが出来ず、また、本発明の内装用表皮材11を座席用表皮材として使用した場合、着座時に乗員が冷気を背中や大腿部裏に感じることが十分に出来ないので、繊維組織への常温遠赤外線放射性充填材及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維の混入率は5〜100%が好ましい。
【0056】
中間放熱層14の繊維は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンブラック又はカーボンファイバーを含有することが好ましい。特に、1〜50質量%含有することが好ましい。高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材のカーボンブラック又はカーボンファイバーの中間放熱層14の繊維、特に熱可塑性繊維への含有率が1%未満の場合には、夜間の蓄冷時に中間放熱層14の放熱性能が不足し、夜間冷気を冷熱蓄熱層15に十分に蓄えることが出来ない。また、本発明の内装用表皮材11を座席用表皮材として使用した場合、昼間の乗員着座時に着座圧力によって、中間放熱層14の繊維組織が圧縮され、高熱伝導性の繊維同士の接触面積が増加することによって、中間放熱層14の熱伝導性が増大し、冷熱蓄熱層15から人体への冷熱の移動が促進され、着座時に乗員が冷気を背中や大腿部裏に感じることが出来るようになるが、カーボンブラック又はカーボンファイバーの中間放熱層14の繊維への含有率が1%未満の場合には、これが十分に機能せず、着座時に乗員が冷気を背中や大腿部裏に十分に感じることが出来ない。また、カーボンブラック及び/又はカーボンファイバーを繊維へ混練する場合の量は、紡績等の加工性を維持するための物性を確保する必要があり、繊維質量に対して1〜50質量%、好ましくは3〜15質量%を混練する。繊維表面に固着剤等を用いて固定する場合は特に制約される条件はなく、遠赤外線放射性能・製品での洗濯耐久性・風合い等を考慮して繊維質量に対して1〜50質量%、好ましくは、3〜30質量%を固定する。
【0057】
また、中間放熱層の繊維が含有する常温遠赤外線放射性充填材を含有させる場合、充填材の含有率が1.0%未満の場合には、夜間の蓄熱時に中間放熱層の放熱性能が不足し、十分な夜間冷気を冷熱蓄熱層に蓄えることが出来ない。さらに、本発明の内装用表皮材を座席用表皮材として用いた場合、昼間の乗員着座時に着座圧力によって、中間放熱層の繊維組織が圧縮され、熱伝導性の繊維同士の接触面積が増加することによって、中間放熱層の熱伝導性が増加し、冷熱蓄熱層から人体への冷熱の移動が促進され、着座時に乗員が冷気を背中や大腿部裏に感じることが出来るようになるのであるが、熱可塑性繊維よりも熱伝導性がよい材料である中間放熱層の繊維が含有する常温遠赤外線放射性充填材中の中間放熱層の熱可塑性繊維への含有率が1.0%未満の場合には、充填材が十分に機能せず、着座時に乗員が冷気を背中や大腿部裏に十分に感じることが出来ない。中間放熱層の繊維が含有する常温遠赤外線放射性充填材を熱可塑性樹脂に混練する場合の質量は、紡績等の加工性を維持するための物性を確保する必要があり、繊維質量に対し、1〜30質量%、好ましくは3〜15質量%を混練する。繊維表面に固着剤等を用いて固定する場合には、特に制約される条件はなく、遠赤外線放射性能、製品での洗濯、耐久性、風合い等を考慮して、繊維質量に対し、1〜50質量%、好ましくは3〜30質量%を固定する。
【0058】
また、中間放熱層14に用いる繊維組織の面密度又は目付けは4〜500g/m2で、繊維組織の層厚は0.15〜50mmであることが好ましい。中間放熱層14に用いる繊維組織の面密度が4g/m2未満の場合、昼間の冷熱蓄熱材の蓄熱時間が2時間以下と短い。これは、中間放熱層14が薄い為に断熱性が小さいことが原因であると考えられる。また、中間放熱層14に用いる繊維組織の面密度が4g/m2未満では、中間放熱層14に用いる繊維組織の層厚が0.15mm未満となる。中間放熱層14に用いる繊維組織の面密度が500g/m2を越える場合、昼間の冷熱蓄熱材の蓄熱時間が2時間以下と短い。これは、中間放熱層14に用いる繊維組織の面密度が大きく、中間放熱層14を構成する繊維同士の接触機会が増える為に、中間放熱層14の断熱性が小さくなったことが原因であると考えられる。また、中間放熱層14に用いる繊維組織の層厚が50mmを越える場合には、中間放熱層14の繊維組織層の耐ヘタリ性が低下する傾向が見られる。
【0059】
その他の層等に関しては、本発明の表皮材の第一の態様と同じものを用いる。
【0060】
図2は該蓄熱層表層を追加した本発明の表皮材のその他の例を示す断面図である。中間放熱層24と冷熱蓄熱層25との間に蓄熱層表層26が設けられている表皮材21である。ここで、中間放熱層24は、上記常温遠赤外線放射性充填材及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維を含む不織布及び/又は織布からなる繊維組織と同じであり、その他の層等に関しては、本発明の表皮材の第一の態様と同じものを用いる。
【0061】
表皮材を上記の構成とすることによって、第一に、夜間放射冷却された車内空気の冷熱を効率的に冷熱蓄熱層に冷熱蓄熱することが出来、第二に、中間放熱層にクッション性のある繊維組織を配置する構成とすることによって、冷熱蓄熱性能と着座時等のクッション性を両立させることが出来るようになり、また昼間の乗員着座時には繊維組織で構成される中間放熱層の熱伝導性が変化して増大することにより、冷熱蓄熱層から人体への冷熱の移動を促進することが出来る。即ち、乗員の着座によって繊維組織で構成される中間放熱層の高熱伝導性の繊維同士が接触する面積が増大する為に、中間放熱層の熱伝導性が大きくなり、冷熱蓄熱層の冷熱を乗員が背や大腿裏で感じることが出来る。
【0062】
本発明の表皮材を車両用内装材に使用することによって、次のことが可能となる。
【0063】
従来、自動車内装用表皮材の主な構成は意匠層、バッキング層、発泡ウレタン等から成るクッション層等からなり、これら各部の材料構成により、外観・触感といった意匠性や耐久性、クッション性を向上するべく、性能向上、改善が行なわれてきた。しかし、この構成では、高温の車室内空気や太陽光線の直射によって内装部品内部が温められ、また、温められた内装部品内部の熱が蓄積されるので、たとえば真夏の炎天下駐車時には内装部品表面や車室内空気の著しい温度上昇を招くという問題点があった。
【0064】
こういった従来の内装用表皮材に代わって、本発明の表皮材を使用し、その裏面に冷熱蓄熱材を配置する構成とすることによって、夜間に冷熱蓄熱層から熱移動性の良い蓄熱層表層及び中間放熱層を経由して、車室内空気へ放熱が行われ、夜間冷気を効率的に冷熱蓄熱するとともに、蓄冷された冷熱を利用して昼間の内装材表面温度や車内空気温度を下げることが出来る。
【0065】
内装部品の中で、最も効果的な部位は座席である。図3は車両用座席への本発明の表皮材の適用例を示す説明図である。即ち、図3のように座席の表皮材として本発明の表皮材を使用し、その裏面に冷熱蓄熱材を配置する構成とすることによって、夜間の車室内冷気を冷熱蓄熱材が蓄冷し、昼間、着座時に乗員の体が本発明の表皮材を介して冷熱蓄熱材と接触し、冷気を感じることが出来る。図3(A)は人体と接触する座面の部位にのみ表皮材を用いる場合であって、座席31のシートメイン部32及びシートバック部33に用いられる例を示す。図3(B)は座席31の全面に表皮材を用いる場合であって、シートメイン部32、シートバック部33、サイド部・マチ部34及びヘッドレスト部35に用いられる例を示す。また、座席は表面積が大きいので、昼間の車室内空気温度を下げる効果も大きい。
【0066】
図4は本発明の表皮材の車両における適用位置を示す説明図である。図4に示すように、座席41のほかに、ドアトリム42の表皮材、天井43やピラー44の表皮材、カーペット45のようなフロア周り用の表皮材、リアパーセル46の表皮材、インストルメントパネル47の表皮材として、本発明の表皮材を使用する場合にも、夜間冷気を冷熱蓄熱し、昼間の車室内空気の温度を下げる効果が得られる。
【0067】
また、車両内装用表皮材として、座席41、フロアカーペット45、インストルメントパネル47、リアパーセル46、ピラー44の表面の全面、又は一部に用いる。本発明によって、人体が接触する部位であるシート表面温度を下げて、シートから人体への伝熱量を小さくしたり、さらには人体の熱をシートで冷やしたりすることが出来、これによって、今後拡大の予想される省エネルギー自動車のエアコン負荷を大幅に低減することが可能となる。
【0068】
炎天下駐車した車に乗車した直後の暑さを出来るだけ早く軽減させる為に、乗車直後はエアコンをフルパワーで作動させる一方、車内が涼しくなった後は、エアコンの運転負荷は乗車直後の三分の一以下となる。即ち、エアコンの運転能力の三分の二は炎天下駐車した車に乗車した直後のみにしか使用されない。従って、炎天下駐車した車に乗車した時に車内が暑くなければ、エアコンの能力を三分の一以下に低減することが可能となり、エアコン運転負荷を低減することが出来る。また、エアコン自体の軽量化によって燃費を向上させることも可能となる。
【0069】
今後、低燃費ガソリンエンジン自動車や低燃費ディーゼルデンジン自動車や燃料電池等による電気自動車の台数が急激に増加すると思われるが、これらの省エネルギー自動車は走行に使用する動力が小さい為に、車全体の動力に占めるエアコン用動力の比率が高くなることが予想される。エアコン用動力負荷の低減は省エネルギー自動車に必須の技術である。
【0070】
以上説明したように、本発明はこのような従来技術の問題点を解決したものである。本発明の内装用表皮材により、従来の構成のものに比べ、大幅に夜間冷気の冷熱蓄熱性能および昼間着座時の人体への冷熱の移動性能が向上される。さらに、本発明は、人体が接触する部位であるシート表面温度を下げて、シートから人体への伝熱量を小さくしたり、さらには人体の熱をシートで冷やしたりすることが出来、これによって、今後拡大の予想される省エネルギー自動車のエアコン負荷を大幅に低減することが可能となる画期的な技術である。
【0071】
【実施例】
以下に本発明の実施例について比較例とともに詳述するが、本発明はここに述べる実施例にのみ限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー(ピッチ系)50質量%を混練りしたPVC製フィルムであり、意匠層が、常温遠赤外線放射性充填材としてTiO2を1質量%混練したポリエステル(PET)繊維からなる起毛タイプの布地のモケットであり、バッキング層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー50質量%を混練した厚さ0、1mmのポリエステル(PET)樹脂層であり、冷熱蓄熱層として33℃付近に相転移点を持つ高分子ヒドロゲル系の潜熱蓄熱材を用いた実施例である。
【0073】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、13時30分までの間、約5時間の間、33℃を維持することが出来た。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、35℃だった。また、本実施例の耐久性試験をしたところ、ひび割れ等の外観変化もなくOKとなり、実用上の問題もなかった。
【0074】
(実施例2)
中間放熱層の充填材含率が1.0質量%である以外は実施例1と同じ構成である。同様に夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、11時30分までの間、約3時間の間、33℃を維持することが出来た。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、37℃だった。また、本実施例の耐久性試験をしたところ、ひび割れ等の外観変化もなくOKとなり、実用上の問題もなかった。
【0075】
(実施例3)
中間放熱層の充填材含率が0.5質量%である以外は実施例1と同じ構成である。同様に夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、9時00分までの間、約30分の間しか、33℃を維持することが出来なかった。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、40℃だった。また、本実施例の耐久性試験をしたところ、ひび割れ等の外観変化もなくOKとなり、実用上の問題もなかった。
【0076】
(実施例4)
中間放熱層の充填材含率が60質量%である以外は実施例1と同じ構成である。同様に夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、13時30分までの間、約5時間の間、33℃を維持することが出来た。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、35℃だった。しかし、本実施例の耐久性試験では、外観品質低下が観察された。
【0077】
(実施例5)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー20質量%をコーティングした太さ15デニールのポリエステル(PET)繊維50%を含む目付け350g/m2、層厚10mmのポリエステル(PET)繊維の不織布であり、意匠層が、常温遠赤外線放射性充填材としてTiO21質量%を混練したポリエステル(PET)繊維からなる起毛タイプの布地のモケットであり、バッキング層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー50質量%を混練した厚さ0、1mmのポリエステル(PET)樹脂層であり、蓄熱層表層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー50質量%を混練した厚さ0、1mmのポリエステル(PET)樹脂層であり、冷熱蓄熱層として33℃付近に相転移点を持つ高分子ヒドロゲル系の潜熱蓄熱材を用いた実施例である。
【0078】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題が無かった。
【0079】
(実施例6)
中間放熱層の充填材含有繊維の混入率が繊維表面へのコーティングで5%である以外は実施例5と同じ構成である。
【0080】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、13時30分までの約5時間だった。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、35℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題は無かった。
【0081】
(実施例7)
中間放熱層の充填材含有繊維の混入率が3%である以外は実施例5と同じ構成である。
【0082】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、11時00分までの約2時間でしかなかったので、実施例5の実験結果と総合すると、中間放熱層の充填材含有繊維の混入率は5%以上であることが好ましいと考える。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、40℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%で問題は無かった。
【0083】
(実施例8)
中間放熱層の充填材含有繊維の混入率が20%である以外は実施例5と同じ構成である。
【0084】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、15時30分までの約7時間だった。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題が無かった。
【0085】
(実施例9)
中間放熱層の充填材含有繊維の混入率が100%である以外は実施例5と同じ構成である。
【0086】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、15%であり、実用上の問題は無いと判断する。
【0087】
(実施例10)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー0.5質量%をコーティングしたポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例9と同じ構成である。
【0088】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。しかし、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、36℃だった。これは、中間放熱層のポリエステル繊維への高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバーが0.5質量%しかコーティングされていない為に、着座時の圧力で中間放熱層の繊維組織が圧縮された時の熱伝導率が小さいことが原因である。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、12%であり、実用上の問題は無いと判断する。
【0089】
(実施例11)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー1.0質量%をコーティングしたポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例9と同じ構成である。
【0090】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、12%であり、実用上の問題は無いと判断する。
【0091】
(実施例12)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー50質量%をコーティングしたポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例9と同じ構成である。
【0092】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、25%とかなり悪化したが、実用上の問題は無いと判断する。
【0093】
(実施例13)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー60質量%をコーティングしたポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例9と同じ構成である。
【0094】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。ただし本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ32%となりやや劣る結果であった。
【0095】
(実施例14)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー0.5質量%を混練したポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例9と同じ構成である。
【0096】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。しかし、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、36℃だった。これは、中間放熱層のポリエステル繊維への高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバーが0.5質量%しか混練されていない為に、着座時の圧力で中間放熱層の繊維組織が圧縮された時の熱伝導率が小さいことが原因である。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題は無いと判断する。
【0097】
(実施例15)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー1.0質量%を混練したポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例14と同じ構成である。
【0098】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、12%であり、実用上の問題は無いと判断する。
【0099】
(実施例16)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー3.0質量%を混練したポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例14と同じ構成である。
【0100】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、12%であり、実用上の問題は無いと判断する。
【0101】
(実施例17)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー20.0質量%を混練したポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例14と同じ構成である。
【0102】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、15%であり、実用上の問題は無いと判断する。
【0103】
(実施例18)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー30.0質量%を混練したポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例14と同じ構成である。
【0104】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、26%でやや劣る結果であった。
【0105】
(実施例19)
中間放熱層が、高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンファイバー40.0質量%を混練したポリエステル(PET)繊維から成ること以外は実施例14と同じ構成である。
【0106】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。ただし本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ33%となりやや劣る結果であった。
【0107】
(実施例20)
中間放熱層の繊維組織の目付けが4g/m2、層厚が0.15mmであること以外は実施例5と同じ構成である。
【0108】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、12時00分までの約3.5時間だった。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、37℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、5%だった。
【0109】
(実施例21)
中間放熱層の繊維組織の目付けが2g/m2、層厚が0.15mmであること以外は実施例5と同じ構成である。
【0110】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、11時00分までの約2時間でしかなかった。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、40℃だった。実施例20の結果と総合すると、中間放熱層の繊維組織の目付けは4g/m2以上であることが好ましく、また、層圧0.15mm以下では目付けが4g/m2以下となるので、層厚は0.15mm以上であることが好ましい。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、5%だった。
【0111】
(実施例22)
中間放熱層の繊維組織の目付けが500g/m2であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0112】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、15時30分までの約7時間だった。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題が無かった。
【0113】
(実施例23)
中間放熱層の繊維組織の目付けが700g/m2であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0114】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、11時00分までの約2時間でしかなかった。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、40℃だった。実施例22の結果と総合すると、中間放熱層の繊維組織の目付けは500g/m2以下であることが好ましい。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、5%だった。
【0115】
(実施例24)
中間放熱層の繊維組織の層厚が50mmであること以外は実施例5と同じ構成である。
【0116】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、25%であり、やや劣る結果であった。
【0117】
(実施例25)
中間放熱層の繊維組織の層厚が70mmであること以外は実施例5と同じ構成である。
【0118】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、35%となりやや劣る結果であった。
【0119】
(実施例26)
バッキング層の充填材含有率が10質量%であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0120】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0121】
(実施例27)
バッキング層の充填材含有率が5質量%であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0122】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、15時30分までの約7時間だった。この維持時間は、実施例26では10時間以上だったので、バッキング層の充填材含有率は10質量%以上であることが好ましいと判断する。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0123】
(実施例28)
バッキング層の充填材含有率が70質量%であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0124】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。但し、バッキング層の充填材含有率が多い為に、意匠層とバッキング層との密着性がやや低下した。
【0125】
(実施例29)
バッキング層のポリエステル(PET)樹脂への充填材材質がTiO2である以外は、実施例5と同じ構成である。
【0126】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題が無かった。
【0127】
(実施例30)
バッキング層のポリエステル(PET)樹脂への充填材材質がAl2O3である以外は、実施例5と同じ構成である。
【0128】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題が無かった。
【0129】
(実施例31)
バッキング層のポリエステル(PET)樹脂への充填材材質がMgOである以外は、実施例5と同じ構成である。
【0130】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題が無かった。
【0131】
(実施例32)
バッキング層のポリエステル(PET)樹脂への充填材材質がSiO2である以外は、実施例5と同じ構成である。
【0132】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題が無かった。
【0133】
(実施例33)
バッキング層のポリエステル(PET)樹脂への充填材材質が2MgO2・2Al2O3・5SiO2である以外は、実施例5と同じ構成である。
【0134】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題が無かった。
【0135】
(実施例34)
蓄熱層表層の充填材含有率が10%である以外は、実施例5と同じ構成である。
【0136】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%であり、実用上の問題が無かった。
【0137】
(実施例35)
蓄熱層表層の充填材含有率が5質量%であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0138】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、15時30分までの約7時間だった。この維持時間は、実施例34では10時間以上だったので、バッキング層の充填材含有率は10質量%以上であることが好ましいと判断する。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0139】
(実施例36)
蓄熱層表層の充填材含有率が70質量%であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0140】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。但し、蓄熱層表層の充填材含有率が多い為に、中間放熱層と蓄熱層表層との密着性がやや低下した。
【0141】
(実施例37)
蓄熱層表層の充填材材質がTiO2であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0142】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、17時00分までの約8.5時間だった。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0143】
(実施例38)
意匠層のポリエステル(PET)繊維に含有させる充填材の材質がAl2O3であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0144】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0145】
(実施例39)
意匠層のポリエステル(PET)繊維に含有させる充填材の材質がMgOであること以外は実施例5と同じ構成である。
【0146】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0147】
(実施例40)
意匠層のポリエステル(PET)繊維に含有させる充填材の材質がSiO2であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0148】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0149】
(実施例41)
意匠層のポリエステル(PET)繊維に含有させる充填材の材質が2MgO2・2Al2O3・5SiO2であること以外は実施例5と同じ構成である。
【0150】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0151】
(実施例42)
意匠層のポリエステル(PET)繊維が常温遠赤外線放射性充填材を含有しないこと以外は実施例5と同じ構成である。
【0152】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、17時00分までの約8.5時間だった。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0153】
(実施例43)
意匠層のポリエステル(PET)繊維に常温遠赤外線放射性充填材としてTiO2が1質量%コーティングされていること以外は実施例5と同じ構成である。
【0154】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0155】
(実施例44)
意匠層のポリエステル(PET)繊維に常温遠赤外線放射性充填材としてTiO2が40質量%コーティングされていること以外は実施例5と同じ構成である。
【0156】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0157】
(実施例45)
意匠層のポリエステル(PET)繊維に常温遠赤外線放射性充填材としてTiO2が60質量%コーティングされていること以外は実施例5と同じ構成である。
【0158】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、車内空気温度が33℃以下となる18時30分になっても33℃を維持したので、10hr以上とした。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。但し、意匠層のポリエステル繊維にコーティングした充填材の量が多い為に、触感が硬くなった。
【0159】
(実施例46)
意匠層が厚さ0.5mmの塩ビシートで、常温遠赤外線放射性充填材としてTiO2を10質量%混練りした以外は実施例5と同じ構成である。
【0160】
夏炎天下駐車した直射日光が入らないように窓ガラスを光線反射材で被覆した車を用意し、車内空気温度が33℃以上となる午前8時30分以降、冷熱蓄熱材が昼間に33℃を維持する時間を測定したところ、15時30分までの約7時間だった。この維持時間は、実施例34では10時間以上だったので、バッキング層の充填材含有率は10質量%以上であることが好ましいと判断する。また、車内温度が最大となる14時の着座時の座席表面温度を測定したところ、33℃だった。また、本実施例の耐ヘタリ性を測定したところ、8%だった。
【0161】
(比較例1)
従来のシート用布地であるモケットを比較例とした。即ち、意匠層が、目付け400g/m2の起毛タイプの布地であるモケットであり、モケットのバッキング層として、厚さ0.1mmのバッキング層があり、バッキング層の下部に目付け350g/m2、厚さ10mmの発泡ウレタンの層、即ちラミウレタン層があり、ラミウレタン層の下部にポリエステル繊維組織である厚さ0.1mmの裏基布があり、裏基布の下部にはシート基材である軟質発泡ウレタンがある構成のものである。
【0162】
(比較例2)
裏基布の下側に冷熱蓄熱層として33℃付近に相転移点を持つ高分子ヒドロゲル系の潜熱蓄熱材を用いた構成である以外は比較例1と同じ構成である。
【0163】
さらに「中間放熱層の樹脂製薄膜の耐久性」について、JIS L1096「1999年;一般織物試験方法」の8.17.2記載のB法(スコット形法)に基づいて、幅3cm×長さ12cmの試験片に対し25℃、50%RHでの「もみ耐久性」を測定した。
【0164】
また「中間放熱層の繊維組織層の耐ヘタリ性」について、JIS K6401「1997年;クッション用軟質ウレタンフォーム」に基づいて、幅100mm×長さ100mm×高さ50mmの試験片に対し70℃での圧縮残留ひずみ率を測定した。
【0165】
以上の評価結果を表1〜表4に示した。なお表1〜4中でカーボンファイバーをCFと略記する。
【0166】
【表1】
【0167】
【表2】
【0168】
【表3】
【0169】
【表4】
【0170】
表1〜4の結果から明らかなように、比較例の内装用表皮材に比べて、実施例の内装用表皮材が優れていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の表皮材の1実施形態を示す断面図である。
【図2】 発明の表皮材のその他の実施形態を示す断面図である。
【図3】 発明の表皮材の車両用座席への適用例を示す説明図である。
【図4】 発明の表皮材の車両内装品への適用例を示す説明図である。
【図5】 従来の表皮材の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
11,21…表皮材
12,22…意匠層
13,23…バッキング層
14,24…中間放熱層
15,25…冷熱蓄熱層
26…蓄熱層表層
31…座席
Claims (20)
- 上から順に意匠層、バッキング層、中間放熱層が積層された構成からなる表皮材であって、該中間放熱層は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する樹脂材料から成ることを特徴とする表皮材。
- 前記中間放熱層は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を1〜50質量%含有することを特徴とする請求項1記載の表皮材。
- 上から順に意匠層、バッキング層、中間放熱層が積層された構成からなる表皮材であって、該中間放熱層は常温遠赤外線放射性充填材及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維を含む不織布及び/又は織布からなる繊維組織であることを特徴とする表皮材。
- 前記中間放熱層に常温遠赤外線放射性充填材及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材を含有する繊維を5〜100%含ませたことを特徴とする請求項3記載の表皮材。
- 前記高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材としてカーボンブラック又はカーボンファイバーを含有することを特徴とする請求項3又は4に記載の表皮材。
- 前記カーボンブラック又はカーボンファイバーを前記繊維中に1〜50質量%含有させたことを特徴とする請求項5に記載の表皮材。
- 中間放熱層に用いる繊維組織の面密度が4〜500g/m2であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の表皮材。
- 中間放熱層に用いる繊維組織の層厚が0.15〜50mmであることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の表皮材。
- 前記バッキング層が常温遠赤外線放射性充填材10〜50質量%を含有する樹脂材料であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表皮材。
- 前記バッキング層に用いる樹脂材料に、常温遠赤外線放射性充填材として、無機粉粒体の、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材として、カーボンブラック又はカーボンファイバーを混練したことを特徴とする請求項9記載の表皮材。
- 前記中間放熱層の下に蓄熱層表層を設け、該蓄熱層表層は樹脂材料から成り、該蓄熱層表層に用いる樹脂材料中に、常温遠赤外線放射性充填材として、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種の無機粉粒体及び/又は高熱伝導性の常温遠赤外線放射性充填材として、カーボンブラック又はカーボンファイバー5〜70質量%を混練したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の表皮材。
- 前記バッキング層及び蓄熱層表層に熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の表皮材。
- 前記意匠層が常温遠赤外線放射性充填材として、無機粉粒体の、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種を含有する樹脂材料であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の表皮材。
- 前記意匠層が熱可塑性樹脂の繊維組織であることを特徴とする請求項13記載の表皮材。
- 前記熱可塑性樹脂の繊維組織が、TiO2、Al2O3、MgO、SiO2、2MgO2・2Al2O3・5SiO2のうちから選ばれる少なくとも1種の常温遠赤外線放射性充填材1〜40質量%を混練及び/又はコーティングした繊維から構成されるものであることを特徴とする請求項14記載の表皮材。
- 前記意匠層が、起毛タイプの布地、非起毛タイプの布地、不織布タイプの布地であることを特徴とする請求項14又は15に記載の表皮材。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の表皮材と、冷熱蓄熱層から成り、該冷熱蓄熱層は該表皮材の裏面に配置されていることを特徴とする車両用内装材。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の表皮材において、冷熱蓄熱材が蓄熱層表層または中間放熱層と接触する構成であることを特徴とする車両用内装材。
- 請求項17又は18に記載の車両用内装材を座席用表皮材として、座席用の全面又は一部に用いることを特徴とする車両用内装材。
- 請求項17又は18に記載の車両用内装材をフロアカーペット、天井用表皮材、ドアトリム用表皮材、インストルメントパネル用表皮材、リアパーセル用表皮材、ピラー用表皮材として、各部位の全面又は一部に用いることを特徴とする車両用内装材。
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