JP4012615B2 - 内燃機関用点火装置および内燃機関 - Google Patents

内燃機関用点火装置および内燃機関 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、点火プラグに火花放電をさせるための内燃機関用点火装置およびこれを用いた内燃機関に関し、特に、コンデンサにエネルギーを蓄積し、これを昇圧して放電させる容量放電方式の内燃機関用点火装置およびこれを用いた内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コイルを用いた誘導放電式による内燃機関用点火装置が知られており、点火時期制御のため、内燃機関制御ユニット(ECU)でゲート(点火)信号を発生させ、このゲート信号の立ち下がりを利用して点火時期を制御している。 一方、コンデンサを用いた容量放電方式による内燃機関用点火装置も知られている。例えば、図5に回路図を示す点火装置100では、直流電源Dの電圧(12V)を、DC−DCコンバータCnvを用いて300〜400Vに昇圧してコンデンサ101に充電しておく。適当なタイミングで、ECU120からの点火信号がトリガ回路Tgに入力されると、サイリスタ(SCR)105が点弧して、コンデンサ101と点火トランス103の1次コイル103aとで閉回路が構成される。これにより、1次コイル103aの両端に瞬間的にかかった電圧を、2次コイル(イグニッションコイル)103bによって30〜40kVに昇圧し、点火プラグPを通じて火花放電させて内燃機関に点火する。
なお、コンデンサを用いた容量放電式での放電では、誘導放電式に比較して、短時間に一気に放電電圧を立ち上げられるので、点火プラグにおいて、高電圧の強い火花を発生させることができ、くすぶりやすい条件において、点火プラグの汚損に強く、確実に着火させることができる。
【0003】
その他、特開平3−15659号公報では、例えば、第1実施例(図示しない)において、一旦、エネルギー蓄積コイル3およびコンデンサ13にエネルギーを蓄積し、その後、MOS−FET11aを導通させて、1次コイル10aにかかる電圧を2次コイル10bで昇圧し、点火プラグ15で放電させるものが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図5に示すような方式では、直流電源電圧を昇圧し、数100V(例えば、300〜400V)の電圧を発生させるDC−DCコンバータを用いるため、部品点数が増え、コストアップとなる。
また、図5に示す回路や特開平3−15659号公報に記載の回路等では、点火コイルの1次コイルは、コンデンサの充電のためのエネルギー蓄積には使用されず、放電時の昇圧用にのみ使用されていた。
【0005】
また、この特開平3−15659号公報に記載の回路においては、多重放電をさせるのに当たり、電子制御ユニット(ECU)からの制御信号として2つの信号、即ち、点火信号IGtおよび放電区間信号IGwを用いて回路を制御する必要がある。
従って、多重放電をさせるために、点火信号IGtと放電区間信号IGwを生成して制御できるようにするには、ECU自身の回路およびソフトの変更を要し、ECU自身の開発や設計変更が必要となるため、従前のECUを流用することは困難であった。
【0006】
また、点火装置で発生した高電圧は、内燃機関の気筒内にその先端が露出するように取り付けられた点火プラグまで導かれるのであるが、高価な高耐電圧の配線を用いる必要があり、感電や漏電の危険性や、また電磁ノイズの発生問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、少ない部品点数でコンデンサに充電でき、また、点火トランスの1次コイルをさらに有効利用できる内燃機関用点火装置を提供することを目的とする。
また、内燃機関制御ユニットからの1つの点火信号に基づいて、点火プラグの放電を、さらには多重放電をさせうる内燃機関用点火装置を提供することを目的とする。
さらに、容量放電方式による多重放電が可能な内燃機関用点火装置を提供することを目的とする。
そのほか、低電圧の配線のみが接続される内燃機関用点火装置およびこれを用いた内燃機関を提供するのが好ましい
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
しかして、請求項1に記載の解決手段は、エネルギー蓄積コイルと、上記エネルギー蓄積コイルに直列接続された1次コイル、および、点火プラグに接続される2次コイルを有する点火トランスと、第1のスイッチング回路と、上記第1のスイッチング回路と並列回路をなすコンデンサと、第2のスイッチング回路と、上記エネルギー蓄積コイルと、上記1次コイルと、上記第1のスイッチング回路とコンデンサとの並列回路と、をこの順に含む直列回路であって、接続される直流電源を介して閉回路を構成する第1直列回路と、上記コンデンサと、上記1次コイルと、上記第2のスイッチング回路と、をこの順に含む直列回路であって、閉回路を構成する第2直列回路と、を備える内燃機関用点火装置である。
【0009】
上記構成を有する本発明の内燃機関用点火装置では、点火トランスのうち1次コイルが、第1直列回路および第2直列回路のいずれにも含まれている。
本発明の点火装置では、まず、第1のスイッチング回路を閉にすると、第1直列回路において、直流電源を通じて、エネルギー蓄積コイルと1次コイルとに電流が流れ、このエネルギー蓄積コイルおよび1次コイルにエネルギーが蓄積される。このときコンデンサは、第1のスイッチング回路により両端が短絡された状態となる。
ついで、第1のスイッチング回路を開にすると、エネルギー蓄積コイルおよび1次コイルとコンデンサとは直列共振回路を構成し、共振周波数で振動を始め、エネルギー蓄積コイルおよび1次コイルに蓄積されたエネルギーは、コンデンサに移動して充電され、コンデンサの両端には、電圧が発生する。
その後、コンデンサに十分充電できた時点(コンデンサ電圧が十分高くなった時点)で、第2のスイッチング回路を閉にすると、第2直列回路において、1次コイルを通じてコンデンサに充電された電荷が放電され、このとき、1次コイルにかかる電圧により、2次コイルには、1次コイルと2次コイルとの巻き数比に従った高電圧が発生するため、点火プラグにおいて火花放電をさせることができるようになる。
【0010】
このように、本発明では、一旦、エネルギー蓄積コイルおよび点火トランスの1次コイルに蓄えたエネルギーをコンデンサに移すので、DC−DCコンバータ等の多数の部品を用いないでコンデンサに充電できる。
また、点火トランスの1次コイルを用いて昇圧を行うばかりでなく、エネルギー蓄積コイルと共に、この1次コイルをエネルギー蓄積に用い、コンデンサを充電するために用いている。従って、一次コイルをさらに有効利用することができる。
ここで、第1および第2のスイッチング回路は、回路を開閉できるものであればよく、具体的には、トランジスタ、MOS−FET、サイリスタ、GTO等のスイッチング素子が挙げられる。また、スイッチング回路中には、逆電圧からこれらの素子を保護するためのダイオード等から構成される保護回路をも含むことができる。
【0011】
さらに、請求項2に記載の解決手段は、請求項1に記載の内燃機関用点火装置であって、前記エネルギー蓄積コイルが、前記点火トランスと一体に形成され、前記1次コイルの巻き数をN1、2次コイルの巻き数をN2、エネルギー蓄積コイルの巻き数をNEとしたときに、N2>NE>N1とされていることを特徴とする内燃機関用点火装置である。
【0012】
上記構成を有する本発明の内燃機関用点火装置は、エネルギー蓄積コイルと点火コイルが一体に形成されているので、部品点数を減らすことができ、安価で、組立容易となる。
また、各コイルの巻き数の関係を、N2>NE>N1としたのは、以下の理由による。即ち、一般にコイルに蓄積されるエネルギーEは、コイルのインダクタンスをL、コイルを流れる電流をIとすると、E=LI2 /2で表される。また、コイルは、その巻き数Nが多いほど、インダクタンスLも大きくなる。したがって、蓄積できるエネルギーも大きくなる。
ところで、1次コイルは、2次コイルに高電圧を発生させるため、両者の巻き数比(例えば、N1:N2=1:100程度)を保つ必要がある。ここで、1次コイルの巻き数N1を多くすると、それに伴い、2次コイルの巻き数N2は非常に大きくすることが必要となるため、2次コイルの製造が困難、高価となる。
そこで、点火トランスの巻き数比に関係しないエネルギー蓄積コイルの巻き数NEを大きくすることで、エネルギー蓄積コイルに多くのエネルギーを蓄積させるとよい。
【0013】
また、エネルギー蓄積コイルを点火トランスと一体としたので、このエネルギー蓄積コイルがあたかも1次コイルのように働き、エネルギー蓄積コイルと2次コイルの巻き数比NE:N2に従って、エネルギー蓄積コイルにかかる電圧により2次コイルに電圧が発生することがある。この場合に、エネルギー蓄積コイルの巻き数NEを、1次コイルの巻き数N1と同程度とした場合には、第1のスイッチング回路を閉としたときに、エネルギー蓄積コイルに電圧がかかり、2次コイルに高電圧が発生して点火プラグが放電することも考えられる。そこで、エネルギー蓄積コイルと2次コイルとの巻き数比NE:N2を小さくするため、エネルギー蓄積コイルの巻き数NEを、1次コイルの巻き数N1よりも大きくするとよい。
【0014】
ただし、エネルギー蓄積コイルの巻き数NEを多くしすぎると、第1のスイッチング回路を閉とした後に、エネルギー蓄積コイルおよび1次コイルに流れる電流(1次コイル電流)の立ち上がりが遅くなり、第1のスイッチングを閉としてから第2のスイッチング回路を閉とする時間、即ち、放電させるまでの時間が遅くなるので、あまり巻き数NEを多くすることは好ましくない。
従って、結局N2>NE>N1とするのが好ましい。
さらに具体的には、N1:N2:NE=1:100:10程度の巻き数比にするのが好ましい。エネルギー蓄積コイルに放電に十分なエネルギーを蓄積でき、エネルギー蓄積コイルに電圧がかかっても、2次コイルにはさほど高電圧が発生せず、しかも、1次コイル電流の立ち上がりも極端に遅くならないからである。
【0015】
さらに、請求項3に記載の解決手段は、請求項1または請求項2に記載の内燃機関用点火装置であって、内燃機関制御ユニットからの点火信号に基づき、前記第1のスイッチング回路を閉とした後に開とし、ついで、所定時間後に前記第2のスイッチング回路を閉とするタイマー回路を備えることを特徴とする内燃機関用点火回路である。
【0016】
上記構成を有する本発明の内燃機関用点火装置は、タイマー回路を備えたことにより、内燃機関制御ユニットは点火信号を発するだけで足り、制御が容易になる。
また、内燃機関制御ユニット自身を内燃機関用点火装置に適合するように開発や設計変更する必要が無く、点火信号送出のタイミング等を調整するだけで、容易に従前の内燃機関制御ユニットを流用することも可能となる。
【0017】
さらに、請求項4に記載の解決手段は、請求項3に記載の内燃機関用点火装置であって、前記1次コイルを流れる1次コイル電流を検知する1次コイル電流検知手段を備え、前記タイマー回路は、前記第1のスイッチング回路を閉とした後、検知された上記1次コイル電流が所定値以上となったときに、前記第1のスイッチング回路を開とするように構成されていることを特徴とする内燃機関用点火装置である。
【0018】
上記したように、コイルに蓄えられたエネルギーEは、一般にE=LI2 /2で表される。
上記構成を有する本発明の内燃機関用点火装置は、1次コイル電流検知手段を備え、1次コイル電流が所定値以上となったときに、前記第1のスイッチング回路を開とするので、エネルギー蓄積コイルおよび1次コイルに、点火プラグにおける火花放電に必要なエネルギーが蓄えられた時点で、第1のスイッチング回路を開とすることができ、確実に火花放電をさせることができる。
しかも、内燃機関制御ユニットから第1のスイッチング回路を開閉させるための信号を送るようにする必要はなく、1次コイル電流値にしたがって、自律的にタイマー回路が第1のスイッチング回路の開・閉を制御するので、点火信号を発する内燃機関制御ユニットで回路を制御することができる。
なお、1次コイル電流検知手段としては、例えば、第1のスイッチング回路と直列に1次コイル電流検出用抵抗を接続し、この抵抗に発生する逆起電力の値により、電流値を検出するものが挙げられる。
【0019】
さらに、請求項5に記載の解決手段は、請求項3または請求項4に記載の内燃機関用点火装置であって、前記タイマー回路において、前記第1のスイッチング回路を開とした後に、第2のスイッチング回路を閉とするまでの所定時間が、概略、前記第1のスイッチング回路を開としてから前記コンデンサの端子間電圧が最大となるまでの時間に設定されていることを特徴とする内燃機関用点火装置である。
【0020】
上記構成を有する本発明の内燃機関用点火装置では、第1のスイッチング回路を開とすると、エネルギー蓄積コイルおよび1次コイルとコンデンサとは、直列共振回路を構成するようになる。しかも、コイルにエネルギーが蓄積された状態から出発するので、インダクタンスと静電容量によって決まる共振周波数に基づいて、まず、コンデンサの端子間電圧が上昇してゆく。ここで、コンデンサの両端の電圧(端子間電圧)が最大となるときに第2のスイッチング回路を閉とすると、最も高い2次電圧を得ることができる。
ところで、この第1のスイッチング回路と閉としてからコンデンサの端子間電圧が最大になるまでの時間は、エネルギー蓄積コイルや1次コイル、コンデンサのインダクタンスや静電容量などの回路条件が決まると、温度特性その他の要因による若干の変動を除けば、常に一定となる。
【0021】
従って、タイマー回路において、第1のスイッチング回路を開とした後に、第2のスイッチング回路を閉とするまでの時間を、予め、概略、第1のスイッチング回路を開としてからコンデンサの端子間電圧が最大となるまでの時間に設定しておけば、第2のスイッチング回路を閉とするときには、常に、コンデンサは、十分充電され、高い端子間電圧を有していることになる。従って、常に、2次コイルを通じて、点火プラグにおいて十分なエネルギーを持った火花放電をさせることができる。
【0022】
なお、具体的には、請求項3または請求項4に記載の内燃機関用点火装置であって、前記タイマー回路において、前記第1のスイッチング回路を開とした後に、第2のスイッチング回路を閉とするまでの所定時間が、概略、前記エネルギー蓄積コイルおよび1次コイルと前記コンデンサとの直列共振周期の1/4に設定されていることを特徴とする内燃機関用点火装置とするとよい。
コンデンサの端子間電圧は、直列共振周期のうち、最初の1/4周期の時に最大となるからである。
【0023】
さらに具体的には、請求項3または請求項4に記載の内燃機関用点火装置であって、前記エネルギー蓄積コイルのインダクタンスをLE、前記第1次コイルのインダクタンスをL1、前記コンデンサの静電容量をCとしたときに、前記タイマー回路において、前記第1のスイッチング回路を開とした後に、第2のスイッチング回路を閉とするまでの所定時間tが、略t=π√((LE+L1)・C)/2に設定されていることを特徴とする内燃機関用点火装置とするとよい。
エネルギー蓄積コイルおよび1次コイルとコンデンサとの直列共振周期Tは、T=2π√((LE+L1)・C)であるので、所定時間tをその1/4Tとすると、コンデンサの端子間電圧は、最大となるからである。
【0024】
さらに、請求項6に記載の解決手段は、請求項3〜請求項5に記載の内燃機関用点火装置であって、前記タイマー回路は、前記第2のスイッチング回路を閉とした後に、第1のスイッチング回路を閉とし、これと同時またはこれよりも遅れて第2のスイッチング回路を開とし、かつ、前記内燃機関制御ユニットからの点火信号が継続している期間中、前記第1及び第2のスイッチング回路の開・閉を繰り返すようにされていることを特徴とする内燃機関用点火装置である。
【0025】
上記構成を有する本発明の内燃機関用点火装置は、第1及び第2のスイッチング回路の閉・開を繰り返すようにすることで、点火信号が継続している期間中、点火プラグを多重放電させることができ、点火信号がオフとなると放電は終了する。即ち、内燃機関制御ユニットからの点火信号によって、多重放電の継続期間も制御することができる。
さらに、第2のスイッチング回路が閉とされている間は、直流電源を通じてエネルギー蓄積コイルにも電流が流れている。即ち、エネルギー蓄積コイルは、第2のスイッチング回路が閉とされている期間中にもエネルギーを蓄え続けている。従って、第1のスイッチング回路を閉とし、これと同時またはこれよりも遅れて第2のスイッチング回路の開とすると、エネルギー蓄積コイルに蓄えられた上記エネルギーを利用することができるため、その分エネルギー蓄積コイルおよび1次コイルに早くエネルギーを蓄えることができ、2回目以降の放電について、放電の間隔を短くすることができる。
【0026】
さらに、請求項7に記載の解決手段は、請求項6に記載の内燃機関用点火装置であって、前記タイマー回路において、前記第1のスイッチング回路を閉とするタイミングが、前記エネルギー蓄積コイルと1次コイルの接続部に生じる振動電位により、前記エネルギー蓄積コイルの両端間にかかる電圧が略最大となるタイミングに設定されていることを特徴とする内燃機関用点火装置である。
【0027】
点火プラグでの火花放電の直後には、プラズマの存在によって比較的低い電圧での放電が生じ、その後、放電で消費されなかったエネルギーにより、コンデンサと1次コイルとの間で、若干の振動電圧が発生する。上記したように、エネルギー蓄積コイルには直流電源を通じて電流が流れ、エネルギーが次第に蓄えられるが、エネルギー蓄積コイルに流れる電流も、この振動電圧の影響を受けて変動する。
上記構成を有する本発明の内燃機関用点火装置では、エネルギー蓄積コイルの両端間に略最大の電圧がかかるタイミングで、第1のスイッチング回路を閉とするようにタイマー回路が設定されている。このため、より多くの電流がエネルギー蓄積コイルに流れ、エネルギー蓄積コイルにより多くのエネルギーが蓄積された状態で、再通電を開始すること、即ち、エネルギー蓄積コイルおよび1次コイルへのエネルギー蓄積を開始することができる。従って、再通電開始後、比較的短時間で1次コイル電流が十分大きくなり、十分なエネルギーをエネルギー蓄積コイルおよび1時コイルに蓄積できるので、再放電までの時間を短くすることができる。
【0028】
エネルギー蓄積コイルの両端間にかかるできるだけ大きな電圧がかかるタイミングとは、例えば、直流電源の負極が接地され、エネルギー蓄積コイルの一端に直流電源の正極が接続されている回路構成を有する点火装置の場合に即していうと、エネルギー蓄積コイルと1次コイルとの接続部の電位が、負の最大値となった状態をさす。さらにいえば、1次コイルとコンデンサと接続部の電位が、負の最大値となった状態をさす。このときには、エネルギー蓄積コイルと1次コイルとの接続部が正または零電位となった場合に比較して、より多くの電流がエネルギー蓄積コイルに流れる。即ち、エネルギー蓄積コイルにより多くのエネルギーが蓄積された状態となる。
【0029】
さらに、請求項8に記載の解決手段は、請求項1〜請求項7に記載の内燃機関用点火装置であって、少なくとも、前記エネルギー蓄積コイルと、点火トランスと、第1スイッチング回路と、コンデンサと、第2スイッチング回路と、これらを接続する前記第1直列回路および第2直列回路をなす配線とが、前記点火プラグと直接結合可能な、一体のユニット内に収納されていることを特徴とする内燃機関用点火装置である。
【0030】
上記構成を有する本発明の内燃機関用点火装置は、エネルギー蓄積コイル、点火トランス、第1スイッチング回路、コンデンサ、第2スイッチング回路、さらに、第1直列回路および第2直列回路をなす配線が、一体のユニット内に収納されている。このため、外部からは、電圧の低い配線(例えば、12V〜24V程度)、即ち、直流電源の配線、および、第1、第2のスイッチング回路の開閉のための信号配線、あるいは、内燃機関制御ユニットから点火信号を伝える信号配線等を接続するだけで駆動でき、ユニット内で高電圧を発生し、直接結合される点火プラグにおいて火花放電をさせることができる。従って、数10kVの電圧がかかる点火プラグまでのコードはもちろん、数100Vの電圧がかかるコンデンサから1次コイルまでの配線も、外部に露出しないため、感電や漏電の危険性を防止でき、耐電圧の低い安価なケーブル等で配線することができ、さらに、電磁ノイズの発生も抑制することができる。
【0031】
さらに、請求項9に記載の解決手段は、点火プラグと、点火プラグに結合された請求項8に記載の内燃機関用点火装置と、を備えることを特徴とする内燃機関である。
【0032】
上記構成を有する本発明の内燃機関は、点火プラグ、エネルギー蓄積コイル等が点火プラグと結合可能な一体のユニット内に収納された内燃機関用点火装置を備えているので、直流電源の配線や内燃機関制御ユニット等からの信号配線等を接続するだけで駆動できる。このため、高電圧のケーブルや配線が内燃機関上に露出することが無く、感電や漏電の危険性を防止でき、耐電圧の低い安価なケーブル等で配線することができ、さらに、電磁ノイズの発生も抑制することができる。
【0033】
なお、特に、内燃機関に複数の気筒がある場合に、各気筒毎に一体ユニット内に収納した内燃機関用点火装置を装着すると良い。即ち、請求項9に記載の内燃機関であって、複数の気筒を備え、前記点火プラグおよび内燃機関用点火装置を、各気筒毎に備えることを特徴とする内燃機関とすると良い。従来では、各気筒の点火プラグを放電させる(点火する)のに、ディストリビュータなどにより高電圧(数100V〜数10kV)を分配する必要があり、高電圧のケーブルをいくつも配線する必要があったが、低電圧の配線で足りるため、内燃機関の点火関連の配線が容易かつ安価にできるからである。
【0034】
さらに、点火プラグを備える内燃機関に用いる内燃機関用点火装置であって、ユニット化され、上記点火プラグと直接結合するようにされており、上記点火プラグに容量放電式の放電を生じさせるためのコンデンサと1次コイルおよび2次コイルを備える点火トランスとを含む回路を内蔵し、直流電源からの低電圧の配線および低電圧の信号配線のみ接続されることを特徴とする内燃機関用点火装置とするのが好ましい
【0035】
上記構成を有する内燃機関用点火装置は、ユニット化されて点火プラグと直接結合するようにされ、直流電源からの低電圧の配線およびECU等からの低電圧の信号配線のみ接続されるので、点火プラグとこの内燃機関用点火装置とを結ぶ高圧ケーブルをはじめ、コンデンサと点火トランスとを結ぶ配線など、数100Vないし数10kVの電圧がかかる配線が露出しない。従って、感電や漏電の危険性を防止でき、耐電圧の低い安価なケーブル等で配線することができ、さらに、電磁ノイズの発生も抑制することができる。
【0036】
さらに、点火プラグと、点火プラグに結合された上述の内燃機関用点火装置と、を備えることを特徴とする内燃機関とするのが好ましい
【0037】
記構成を有する内燃機関は、点火プラグ、エネルギー蓄積コイル等が点火プラグと結合可能な一体のユニット内に収納された内燃機関用点火装置を備えているので、直流電源の低電圧配線やECU等からの低電圧の信号配線が接続されるだけで駆動される。このため、高電圧のケーブルや配線が内燃機関上に露出することが無く、感電や漏電の危険性を防止でき、耐電圧の低い安価なケーブル等で配線することができ、さらに、電磁ノイズの発生も抑制することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる実施の形態を、図1〜4と共に説明する。
図1は、本実施形態にかかる点火装置および関連部分の回路図である。本実施形態は、内燃機関として複数の気筒を有する公知のガソリンエンジン30に適用した状態を示し、そのうちの1つの気筒EgAについての点火装置10Aについて代表させて回路を記載し、その他の気筒については、簡略化して記載している。即ち、点火装置10Aには、バッテリー等の直流電源Dの正極からの配線(以下、正配線ともいう)D+およびエンジンの電子制御ユニット(ECU)20からの点火信号配線21Aが接続され、気筒EgAに装着された点火プラグPAに高電圧が印加されるようになっている。この電圧により、点火プラグPAで火花放電が生じることにより、気筒EgA内に導入された混合気に着火させることで、内燃機関30が駆動される。また、直流電源Dの正配線D+およびECU20の点火信号配線21B,21Cは、他の気筒に装着される点火プラグPB,PCを放電させるための点火装置10B、10Cにもそれぞれ接続されている。なお、直流電源Dの負極は、接地されている。
【0039】
ついで、点火装置10Aの内容を説明する。直流電源Dの正配線D+は、エネルギー蓄積コイル1Eに接続される。このエネルギー蓄積コイル1Eは、1次コイル11および2次コイル12を有する点火トランス1と一体に形成され、1次コイル11に直列接続されている。これらのコイルの巻き数比は、1次コイル11の巻き数をN1、2次コイル12の巻き数をN2、エネルギー蓄積コイルの巻き数をNEとすると、N1:N2:NE=1:100:10の関係となっている。
このエネルギー蓄積コイル1Eの一端(図中上端)は直流電源Dの正極に接続され、また、1次コイル11の一端(図中下端)は、第1スイッチング回路3に接続され、さらに1次コイル11を流れる電流Iを検出するための1次コイル電流検出抵抗4(以下、単に抵抗4ともいう)を通じて接地されている。また、第1スイッチング回路3および1次コイル電流検出抵抗4と並列にコンデンサ2が接続されている。これにより、エネルギー蓄積コイル1Eと、1次コイル11と、第1スイッチング回路3および抵抗4とコンデンサ2との並列回路とをこの順に含む第1直列回路が形成され、直流電源Dを介して閉回路を構成する。
なお、第1スイッチング回路3は、トランジスタ3bと、このトランジスタ3bの逆電圧保護用のダイオード3aとからなる。
【0040】
また、コンデンサ2、1次コイル11および第2スイッチング回路5からなる第2直列回路においても、閉回路が構成されている。なお、第2スイッチング回路5も、トランジスタ5bと、このトランジスタ5bの逆電圧保護用のダイオード5aとからなる。
さらに、2つのトランジスタ3b,5bのベースは、それぞれタイマー回路7に接続されており、タイマー回路7からの開閉信号により、トランジスタ3,5がそれぞれ開(オフ)閉(オン)する。また、トランジスタ3のエミッタと1次コイル電流検出抵抗4の接続部からタイマー回路7に、抵抗4を流れる電流による逆起電力V4が入力される。さらに、上記したように、ECU20からの点火信号配線21Aも、タイマー回路7に接続され、ECU20から点火信号が入力される。
【0041】
このタイマー回路7は、内部の詳細な回路構成は図示等しないが、以下のような動作をするように構成されている。即ち、ECU20から点火信号配線21Aを通じて点火信号が入力されると、具体的には、点火信号配線21Aがハイレベルにされると、まず、トランジスタ3bをオンさせる。その後、抵抗4の逆起電力V4が所定値、即ち、1次コイル11を流れる電流Iが所定値となった時点で、トランジスタ3bをオフさせる。さらに、所定時間経過後に、トランジスタ5bをオンさせ、その後、トランジスタ3bをオンさせると同時に、トランジスタ5bをオフさせる。以降、ECU20からの点火信号が継続している期間中、即ち、点火信号配線21Aがローレベルになるまで、同様の手順でトランジスタ3b、および5bを順次オン、オフさせる。
【0042】
ついで、この点火装置10Aの動作を、図2に示すタイムチャートと共に説明する。
まず、ECU20から点火信号配線21Aを通じて点火信号が入力、即ち、時間aで点火信号配線21A((I)点)がハイレベルにされると、タイマー回路7が、トランジスタ3bのベース電位をハイレベル((II)点)として、トランジスタ3bをオンさせる。これにより、直流電源Dからエネルギー蓄積コイル1E、1次コイル11、ダイオード3a、トランジスタ3b、および抵抗4を通って電流が流れ、電流の増加と共に、エネルギー蓄積コイル1Eおよび1次コイル11の2つのコイルにエネルギーが蓄積される。このとき、コンデンサ2は、両端を短絡された状態となる。
【0043】
なお、エネルギー蓄積コイル1Eは、1次コイル11よりも巻き数を多くされているため、インダクタンスも大きくなる。そのため、エネルギー蓄積コイル1Eには、1次コイル11よりも多くのエネルギーを蓄えることができる。
また、トランジスタ3bをオンさせると、エネルギー蓄積コイル1Eおよび1次コイル11の両端に電圧がかかり、2次コイル12に電圧が誘起される。しかし、1次コイル11に比して、エネルギー蓄積コイル1Eの巻き数が多く(本例では10倍)されているので、エネルギー蓄積コイル1Eおよび1次コイル11の合計の巻き数と2次コイル12の巻き数の巻き数比は、相対的に低く、(N1+NE):N2=11:100になる。このため、2次コイル12に誘起される電圧は、エネルギー蓄積コイル1Eにかかる電圧の9倍程度に過ぎず点火プラグPAで放電することはない。
【0044】
つまり、エネルギー蓄積コイル1Eの巻き数NEを大きくすると、そのインダクタンスが増加して蓄えうるエネルギーが大きくなり、2次コイル12に誘起される電圧も低くなる。
但し、巻き数NEを多くすると、トランジスタ3bをオンしても、電流波形の時定数が大きくなって、2つのコイル1E、11を流れる電流が所定値になるまでの時間が遅くなり、必要なエネルギーが蓄積されるまでの時間が長くなる。従って、あまり巻き数NEを多くすると、エンジン30の単位時間あたりの回転数が高くなると、放電に必要なエネルギーを蓄えることができなくなる危険性があるので、エンジン30で許容される回転数等を勘案して、適当な巻き数NEとする。具体的には、エネルギー蓄積コイル1Eの巻き数NEは、N2>NE>N1の関係となる範囲とすると良く、さらには、本実施形態の如く、N1:N2:NE=1:100:10程度とするのが好ましい。
【0045】
その後、2つのコイル1E、11を流れる電流が増加すると共に、1次コイル電流検出抵抗4の逆起電力V4((III)点)が増加し、後述する放電に十分なエネルギーが2つのコイルに蓄積されたことを示す所定値以上になると、即ち、1次コイル電流Iが所定値Ion以上になると、この時点(時間b)で、タイマー回路7は、トランジスタ3bをオフにする。
すると、エネルギー蓄積コイル1Eおよび1次コイル11と、コンデンサ2との直列共振回路となる。このため、エネルギー蓄積コイル1EのインダクタンスをLE、1次コイル11のインダクタンスをL1、コンデンサ2の静電容量をCとすると、周期T=2π√((L1+LE)・C)の振動を開始する。ここで当初、コイル11,1Eにエネルギーが蓄えられているので、まず、コンデンサ2が充電され、コンデンサ2の端子電圧が略サインカーブを描きながら上昇する((V)点)。
なお、上記1次コイルの電流値Iの所定値Ionは、コンデンサ2に充電されたときの最大の端子間電圧Vmaxが所望の値となるような電流値に設定しておく。具体的には、概略、I=√(C/(LE+L1))・1/Vmaxとなるので、所望の電圧Vmaxが得られる電流値I以上の値を所定値Ionに設定すると良い。
【0046】
ついで、コンデンサの端子電圧が略最大(例えば、300〜400V程度)となる時点(時間c)で、タイマー回路7が、トランジスタ5bのベース電位をハイレベルとして、トランジスタ5bをオンさせる。つまり、トランジスタ3bをオフしてからトランジスタ5bをオンさせるまでの所定時間(b−c間時間)として、トランジスタ3bをオフしてから、コンデンサ2の端子間電圧が最大となるまでの時間を予め設定しておく。
具体的には、トランジスタ3bをオフしてから、概略、エネルギー蓄積コイル1Eおよび1次コイル11とコンデンサ2との直列共振周期の1/4の時間経過後、つまり、t=π√((LE+L1)・C)/2の時間経過後に、トランジスタ5bをオンさせるように、タイマー回路7を設定しておく。
【0047】
すると、エネルギー蓄積コイル1Eと1次コイル11との接続点((VI)点)の電圧が急下降し、コンデンサ2の両端の電圧が、瞬間的に1次コイル11の両端にかかり、1次コイル11と2次コイル12の巻き数比N1:N2=1:100に従って、2次コイル12に高電圧(30〜40kV)が誘起される((VII)点)。2次コイル12は、気筒EgA内にその先端が露出する点火プラグPAに接続されているため、2次コイル12に発生する高電圧が、ピークに達する前に、エンジン条件(回転数、負荷、水温等)に応じた電圧でブレークダウンすることにより、火花放電が生じて、気筒EgA内の混合気に点火される。
これにより、点火装置によって、エンジンの気筒EgAに1回分火花放電を起こさせることができる。
なお、以上で説明したように、容量放電方式により、コンデンサ2に蓄積されたエネルギーを用いて、短時間で、かつ高い電圧の強い火花放電をさせたので、着火性が良く、点火プラグPAの汚損にも強く、くすぶり易い条件でも確実に着火できる。
【0048】
またさらに、確実に着火するために、多重放電をさせることもできる。即ち、トランジスタ5bをオンさせて点火プラグPAで放電を生じさせてた後も、さらに継続してECU20からの点火信号が入力されている場合、即ち、時間c後も、(I)点がハイレベルに維持されている場合には、時間dにおいて、タイマー回路7は、再度トランジスタ3bをオンさせる((II)点)と同時に、トランジスタ5bをオフさせる((IV)点)。これにより、エネルギー蓄積コイル1Eおよび1次コイル11へのエネルギー蓄積を開始させる。
以降は、上記と同様に、逆起電力V4が所定値になったら(時間e)、トランジスタ3bをオフしてコンデンサ2に充電させ、さらに、コンデンサ2の端子電圧((V)点)が略最大となる所定時間後(時間f)に、トランジスタ5bをオンさせる((IV)点)ことにより、2次コイル12に高電圧を発生させて((VII)点)、点火プラグPAで再び火花放電を生じさせる。
このようにして多重放電をさせた場合、2回目以降の放電においても、容量放電方式で放電させるので、短時間に一気に電圧が立ち上がり、高電圧で強い火花放電がされるため、着火性が高く、そもそも多重放電が要求されるような、くすぶり条件などの着火しにくい条件における着火方式として好適となる。
【0049】
なお、タイマー回路7によって、トランジスタ3bをオンさせたのと同時にトランジスタ5bをオフさせるのは、以下の理由による。即ち、トランジスタ5bがオンしているときには、エネルギー蓄積コイル1Eに、直流電源Dを通じて電流が流れている。つまり、エネルギー蓄積コイル1Eは、エネルギーを徐々に蓄え続けているため、トランジスタ5bをオフすると同時にトランジスタ3bをオンさせると、エネルギー蓄積コイル1Eにある程度のエネルギーが蓄積された状態から出発して、エネルギー蓄積コイル1Eおよび1次コイル11に、エネルギーを蓄積させることができる。従って、2つのコイル1E、11に、早く必要量のエネルギーを蓄えさせることができ、その分、第2回目以降の放電の間隔を短くできるからである。また、同じ期間内であれば、放電の回数を増すことができるからである。
なお、トランジスタ3bをオンさせた後、若干遅れてトランジスタ5bをオフさせても良い。
【0050】
さらに、トランジスタ3bをオンさせ、同時にトランジスタ5bをオフさせる再通電のタイミングとしては、以下のようにすると良い。
点火プラグPAでの火花放電の直後には、プラズマの存在によって比較的低い電圧での放電が続いて生じる(図2、(VII)点のc−d間波形参照)。その後、図2の各波形のうち、(VII)点における波形および(V)(VI)点における破線で示した波形を見ると理解できるように、c−e間において、徐々に減衰する振動電圧が発生する。これは、放電によって消費されなかったエネルギーによるものと推測される。 上記したように、エネルギー蓄積コイル1Eには直流電源Dを通じて電流が流れ、エネルギーが次第に蓄えられるが、エネルギー蓄積コイル1Eに流れる電流も、この振動電圧の影響を受けて変動する。
この場合に、(VI)点が、正電位または零電位となっている時に比較して、負電位、特に、負の最大値の電位となっている時には、エネルギー蓄積コイル1Eにより多くの電流が流れている状態、即ち、エネルギーがより多く蓄えられた状態となる。従って、(VI)点が負の最大値の電位となり、エネルギー蓄積コイル1Eの両端間にかかる電圧が最大となるタイミング(時間d)で、再通電するようにタイマー回路7を設定しておくと良い。
【0051】
その後は、上記したのと同様にして、トランジスタ3bおよび5bを開閉する。即ち、2つのコイル1E,11に十分エネルギーが蓄積され、1次コイル電流が増加して1次コイル電流検出抵抗4に生じる逆起電力V4が所定値になった時点(時間e)で、タイマー回路7がトランジスタ3bをオフさせ、コンデンサ2に充電させる。さらに、コンデンサ2の端子電圧((V)点)が略最大となるタイミング(時間f)で、タイマー回路7が、トランジスタ5bをオンさせ、2次コイル12に高電圧を発生させて、点火プラグPAにおいて、2回目以降の放電を起こさせる。
このようにして、ECU20の点火信号が継続している間(時間a−k間)、即ち、点火信号配線21A((I)点)がハイレベルに維持されている間、この点火信号に基づいて、自律的に繰り返し放電を起こさせることにより、ガソリンエンジン30の気筒EgAにおいて、確実に着火させる。このため、ECU20からは、点火信号を送ると、その長さ(継続時間)に応じて単発放電、あるいは、多重放電をさせることができる。つまり、従来のECUと同様に、点火信号を送出するだけで足りるので、点火信号送出のタイミング等をソフトウェア上で修正する等の簡易な改良により、従来のECUを流用することができ、新たなECUの改良、開発が不要である。
【0052】
以上では、回路図に基づいて点火装置10A等の構成や動作等を説明したが、実際にガソリンエンジン30に適用するには、例えば、図3に示すように、各回路部品を一体のユニット15内に収納するとよい。
この点火装置ユニット15は、外形略L字形状であり、破線で示すように、その内部に、図1において破線で囲む点火装置10Aの各部品および配線が収納され、さらに、図中上部において、横方向(図中左方向)に向けて、ECU20の点火信号配線21Aおよび直流電源Dの正配線D+と接続するためのコネクタ16aが形成され、その内部には、各配線と接続するための端子16bを備える。また、図中下端部には、点火プラグPAと接続するためのスプリング端子17、および点火プラグPAとユニット15(スプリング端子17)とが容易に離れないように点火プラグPAを保持するゴムホルダー18を備える。さらに、折れ曲がり部近傍には、後述するようにプラグホール内にこのユニット15の図中下部を挿入した後に、プラグホール内への水滴や異物の侵入を防止するための蓋の役割を果たすシールゴム19をも備えている。
【0053】
この点火装置ユニット15は、図4に示すようにして、ガソリンエンジン30に取り付ける。即ち、点火プラグPAを、エンジン30のプラグホール31Aから挿入し、気筒EgA内にその先端が露出するように点火プラグPAをねじ込む。ついで、点火装置ユニット15をプラグホール31Aに挿入し、点火プラグPAの上端の端子PAtとスプリング端子17とが十分接触するまで、ユニット15をプラグホール31A内に押し込む。これにより、端子PAtとスプリング端子17とが接触する上、ゴムホルダー18が点火プラグPAの絶縁碍子PAiを抱え込むようにして保持し、さらに、ゴムホルダー18がプラグホール31Aとも接触することにより、ユニット15がプラグホール31Aから容易には抜けないように固定される。
その後、コネクタ16aに、点火信号配線21Aおよび直流電源Dの正配線D+が接続される。なお、ユニット15にこれらの配線を予め接続しておいてから、プラグホール31A内にユニット15を挿入しても良い。
【0054】
なお、図1に示したように、複数の気筒を有するガソリンエンジン30において、略記して示す他の気筒に装着された点火プラグPB,PCについても、点火装置10Aと同様な回路構成を有する点火装置10B,10Cによって、それぞれ火花放電をさせる。そのため、他の気筒についてもユニット15を用いて、点火プラグPB,PCと結合させる。
【0055】
従来は、ディストリビュータ等を用いて、数10kVの高電圧に耐える配線によって各プラグに高電圧を分配していた。
また、従来の容量放電式においても、上記実施形態における1次コイル11および2次コイル12に相当するイグニッションコイルのみを、各気筒のプラグホール内やその近傍に装着していたので、数100Vの電圧に耐える配線をコンデンサから各気筒のイグニッションコイルまで引き回す必要があった。
同様に、特開平3−15659号公報に開示されている回路においても、各気筒毎に、点火コイル10、MOS−FET11a、および駆動回路60は用意されているが、全体で1つのエネルギー蓄積コイル3やコンデンサ13を共用しており、ユニット内にコンデンサが内蔵されていないため、やはり、各気筒まで、数100Vの電圧に耐える配線を引き回す必要がある。
【0056】
しかし、上記実施形態の点火装置ユニット15では、コンデンサ2をも内蔵しているので、図1からも判るように、各点火装置10A,10B,10Cは、いずれも直流電源Dの正配線D+、およびECUからの点火信号配線21A,21B,21Cのみが外部に露出することとなる。従って、高々12〜24V程度の低電圧の配線のみが引き回されるため、感電や漏電の危険性がなく、低い安価なケーブル等で配線でき、電磁ノイズの発生も抑制される。
【0057】
以上においては、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなはなく、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、点火装置ユニット15において、スプリング端子17を用いて点火プラグPAの端子PAtを接続したが、ユニット15と点火プラグPAとが直接結合できるようにされていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態にかかる点火装置および関連部分を示す回路図である。
【図2】 図1に記載の点火装置の各部分における電圧変化を示す波形図である。
【図3】 図1に記載の点火装置を一体のユニットとした状態を示す部分破断断面図である。
【図4】 図3に記載の点火装置ユニットをエンジンに取り付けた状態を示す部分破断断面図である。
【図5】 従来の点火装置の回路図である。
【符号の説明】
10A,10B,10C 点火装置
1 点火トランス
11 1次コイル
12 2次コイル
1E エネルギー蓄積コイル
2 コンデンサ
3 第1スイッチング回路
5 第2スイッチング回路
3b,5b トランジスタ(スイッチング素子)
4 1次コイル電流検出抵抗
7 タイマー回路
20 電子制御ユニット(ECU)
21A,21B,21C 点火信号配線
30 ガソリンエンジン(内燃機関)
D 直流電源
PA,PB,PC 点火プラグ
EgA 気筒
15 点火装置ユニット
16a コネクタ
16b コネクタ端子
17 スプリング端子
18 ゴムホルダー
31A プラグホール

Claims (9)

  1. エネルギー蓄積コイルと、
    上記エネルギー蓄積コイルに直列接続された1次コイル、および、点火プラグに接続される2次コイルを有する点火トランスと、
    第1のスイッチング回路と、
    上記第1のスイッチング回路と並列回路をなすコンデンサと、
    第2のスイッチング回路と、
    上記エネルギー蓄積コイルと、上記1次コイルと、上記第1のスイッチング回路とコンデンサとの並列回路と、をこの順に含む直列回路であって、接続される直流電源を介して閉回路を構成する第1直列回路と、
    上記コンデンサと、上記1次コイルと、上記第2のスイッチング回路と、をこの順に含む直列回路であって、閉回路を構成する第2直列回路と、
    を備える内燃機関用点火装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関用点火装置であって、
    前記エネルギー蓄積コイルが、前記点火トランスと一体に形成され、
    前記1次コイルの巻き数をN1、2次コイルの巻き数をN2、エネルギー蓄積コイルの巻き数をNEとしたときに、N2>NE>N1とされていること
    を特徴とする内燃機関用点火装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用点火装置であって、
    内燃機関制御ユニットからの点火信号に基づき、前記第1のスイッチング回路を閉とした後に開とし、ついで、所定時間後に前記第2のスイッチング回路を閉とするタイマー回路を備えること
    を特徴とする内燃機関用点火回路。
  4. 請求項3に記載の内燃機関用点火装置であって、
    前記1次コイルを流れる1次コイル電流を検知する1次コイル電流検知手段を備え、
    前記タイマー回路は、前記第1のスイッチング回路を閉とした後、検知された上記1次コイル電流が所定値以上となったときに、前記第1のスイッチング回路を開とするように構成されていること
    を特徴とする内燃機関用点火装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の内燃機関用点火装置であって、
    前記タイマー回路において、前記第1のスイッチング回路を開とした後に、第2のスイッチング回路を閉とするまでの所定時間が、概略、前記第1のスイッチング回路を開としてから前記コンデンサの端子間電圧が最大となるまでの時間に設定されていること
    を特徴とする内燃機関用点火装置。
  6. 請求項3〜請求項5に記載の内燃機関用点火装置であって、
    前記タイマー回路は、前記第2のスイッチング回路を閉とした後に、第1のスイッチング回路を閉とし、これと同時またはこれよりも遅れて第2のスイッチング回路を開とし、かつ、前記内燃機関制御ユニットからの点火信号が継続している期間中、前記第1及び第2のスイッチング回路の開・閉を繰り返すようにされていること
    を特徴とする内燃機関用点火装置。
  7. 請求項6に記載の内燃機関用点火装置であって、
    前記タイマー回路において、前記第1のスイッチング回路を閉とするタイミングが、前記エネルギー蓄積コイルと1次コイルの接続部に生じる振動電位により、前記エネルギー蓄積コイルの両端間にかかる電圧が略最大となるタイミングに設定されていること
    を特徴とする内燃機関用点火装置。
  8. 請求項1〜請求項7に記載の内燃機関用点火装置であって、
    少なくとも、前記エネルギー蓄積コイルと、点火トランスと、第1スイッチング回路と、コンデンサと、第2スイッチング回路と、これらを接続する前記第1直列回路および第2直列回路をなす配線とが、前記点火プラグと直接結合可能な、一体のユニット内に収納されていること
    を特徴とする内燃機関用点火装置。
  9. 点火プラグと、
    点火プラグに結合された請求項8に記載の内燃機関用点火装置と、を備えること
    を特徴とする内燃機関。
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