JP4012554B2 - 植物生育情報処理システム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば作物、農作物等の植物の生育に関する処理を行う植物生育情報処理システムに関するものである。
例えば営農者等のユーザは、作物等の植物の生育状況を診断することによって、灌水や追肥、防除など栽培管理を適宜行っている。この際、生育ムラは収穫物の品質ムラに直接影響を及ぼす場合が多く、それを抑制する栽培管理技術の開発が望まれている。一般的に被計測対象の植物の生育診断として、例えば目視により被計測対象の植物の長さや栽培面積などを直接または非破壊で個体調査する方法が行われている。しかし、調査に手間がかかり計測誤差も大きい場合がある。このため、一般農家でも簡便に定量的に隔測で調査できる生育診断技術の開発が望まれている。また、食の安全性の観点から、トレーサビリティとして栽培履歴や精度の高い生育情報の開示が求められた場合、その情報を簡単に取得できる生育測定技術の開発も望まれている。
ところで生育状況を定量的に非破壊計測する技術として、例えば上空から圃場を撮影した画像から反射率を特定し、その反射率にて作物の生育量を測定する作物生育量測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、地上から作物耕作地に植えた作物の生育状況を所望時に見ることができるモニターシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−9664号公報(図8) 実用新案登録第3081654号公報(図1)
しかし、上記特許文献1に記載された装置では、上空から圃場を撮影した画像から反射率にて作物の生育量を測定するが、詳細な生育情報等を把握することができない。また上記特許文献2に記載されたモニターシステムでは、遠隔地にて作物の生育状況を所望時に見ることができるが、詳細な生育情報等を把握することができない。また、上記装置やシステムでは、比較的サイズの大きい画像データの記憶や画像処理等や通信を行う専用の装置を設ける必要があり、コストが高く、また煩雑な操作を行う必要がある。また、例えば営農者が圃場で上記装置を設置するのは困難であり、その場で詳細な情報を把握することが困難である。このため、例えば営農者が圃場でリアルタイムに被計測対象の植物に関する詳細な生育情報や生育判断等を把握できるシステムが望まれている。
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、煩雑な操作を行うことなく被計測対象の植物に関する生育情報や生育診断等の詳細な情報を取得することができる植物生育情報処理システムを提供すること等が本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明は、以下の各独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
請求項1に係る発明は、被計測対象の植物の撮影画像から推定できる生育情報に関する処理を行うコンピュータ、および携帯型通信端末装置を有する植物生育情報処理システムであって、前記携帯型通信端末装置は、表示手段と、前記コンピュータとデータ通信を行う第1の通信手段と、前記被計測対象の植物の反射光のうち特定波長を規定する規定手段と、前記被計測対象の植物の反射光を前記規定手段を介して撮影して画像を取得する撮影手段と、前記撮影手段が取得した画像、および当該装置に関する識別情報を関連付けて前記第1の通信手段を介して前記コンピュータに送信し、前記第1の通信手段を介して前記コンピュータから前記生育情報を受信した場合に、当該生育情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を含み、前記コンピュータは、前記携帯型通信端末装置とデータ通信を行う第2の通信手段と、前記第2の通信手段を介して受信した前記画像、および前記識別情報を関連付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された画像に基づいて前記生育情報を生成し、当該生育情報と前記識別情報を関連付けて前記記憶手段に記憶する生育情報生成手段と、前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置から前記識別情報を含む指示を受信した場合に、前記記憶手段から当該識別情報に関連付けられた前記被計測対象の植物の前記生育情報を読み出し、当該読み出した生育情報を前記識別情報と関連付けて前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置に提供する提供手段と、を含み、前記生育情報は、単位面積当り被計測対象の植物の被覆している割合を示す植被率情報と、被計測対象の植物の葉の色の度合いを示す葉色値情報とを含み、前記生育情報生成手段は、前記記憶手段に記憶された画像の全画素数のうち、被計測対象の植物に特定する画素の数に基づいて前記植被率情報を演算により生成し、前記記憶手段に記憶された画像の2つの分光画像の輝度値の比に基づいて被計測対象の植物の前記葉色値情報を演算により生成することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、被計測対象の植物の撮影画像から推定できる生育情報に関する処理を行うコンピュータ、および携帯型通信端末装置を有する植物生育情報処理システムであって、前記携帯型通信端末装置は、表示手段と、前記コンピュータとデータ通信を行う第1の通信手段と、前記被計測対象の植物の反射光のうち特定波長を規定する規定手段と、前記被計測対象の植物の反射光を前記規定手段を介して撮影して画像を取得する撮影手段と、前記撮影手段が取得した画像、前記撮影手段に固有の補正処理を当該画像に施すための補正基準情報、および当該装置に関する識別情報を関連付けて前記第1の通信手段を介して前記コンピュータに送信し、前記第1の通信手段を介して前記コンピュータから前記生育情報を受信した場合に、当該生育情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を含み、前記コンピュータは、前記携帯型通信端末装置とデータ通信を行う第2の通信手段と、前記第2の通信手段を介して受信した前記画像、前記補正基準情報、および前記識別情報を関連付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記補正基準情報に基づいて前記画像に補正処理を施す画像補正処理手段と、前記画像補正手段が補正処理を施した画像に基づいて前記生育情報を生成し、当該生育情報と前記識別情報を関連付けて前記記憶手段に記憶する生育情報生成手段と、前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置から前記識別情報を含む指示を受信した場合に、前記記憶手段から当該識別情報に関連付けられた前記被計測対象の植物の前記生育情報を読み出し、当該読み出した生育情報を前記識別情報と関連付けて前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置に提供する提供手段と、を含み、前記補正基準情報は、前記撮影手段の撮影特性に起因する画像の歪みを補正するために、予め規定された所定形状のパターンが形成された反射基準板を前記撮影手段が撮影して取得した補正基準画像に基づいて生成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、被計測対象の植物の撮影画像から推定できる生育情報に関する処理を行うコンピュータ、および携帯型通信端末装置を有する植物生育情報処理システムであって、前記携帯型通信端末装置は、表示手段と、前記コンピュータとデータ通信を行う第1の通信手段と、前記被計測対象の植物の反射光のうち特定波長を規定する規定手段と、前記被計測対象の植物の反射光を前記規定手段を介して撮影して画像を取得する撮影手段と、前記被計測対象の植物の撮影位置に関する位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記撮影手段が取得した画像、当該画像に関連付けられて前記位置情報取得手段が取得した位置情報および当該装置に関する識別情報を関連付けて前記第1の通信手段を介して前記コンピュータに送信し、前記第1の通信手段を介して前記コンピュータから生育診断情報を受信した場合に、当該生育診断情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を含み、前記コンピュータは、前記携帯型通信端末装置とデータ通信を行う第2の通信手段と、前記第2の通信手段を介して受信した前記画像、当該画像に関連付けられた前記位置情報および前記識別情報を関連付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記位置情報に関連付けられた前記画像に基づいて前記位置情報に対応する前記生育情報を生成し、当該生育情報と前記識別情報を関連付けるとともに、前記位置情報毎および時系列的に前記記憶手段に記憶する生育情報生成手段と、少なくとも前記記憶手段が記憶する前記画像、前記生育情報に基づいて、前記位置情報毎に、予め規定された生育モデル式に基づいて被計測対象の植物に関する生育診断処理を行って前記生育診断情報を得る生育診断処理手段と、前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置から前記識別情報を含む指示を受信した場合に、前記識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する前記携帯型通信端末装置に、前記生育診断処理手段が生成した前記生育診断情報を前記第2の通信手段を介して提供する提供手段と、を含むことを特徴とする。
図1は、本発明の一実施形態に係る植物生育情報処理システムを説明するための図である。本実施形態に係る植物生育情報処理システム1は、例えば図1に示すように、携帯型通信端末装置2、およびコンピュータ(植物生育情報処理装置ともいう)3を有する。携帯型通信端末装置2は、例えば通信路4や基地局5を介してコンピュータ3と接続されている。携帯型通信端末装置2は例えば営農者や作物生産者等のユーザh2により操作され、コンピュータ3は例えば研究機関や行政機関、民間会社、各種団体等により管理や運営がなされ、それら機関や団体等のオペレータh3や管理者等により操作される。
携帯型通信端末装置2は、例えばカメラ機能(撮影部)や表示機能(表示部)を備えており、被計測対象の植物P1を撮影して取得した画像を通信路4を介してコンピュータ3に出力する。本実施形態に係る被計測対象は、例えば稲、麦、大豆、野菜等の農作物の他、芝生や雑草等の植物全般である。例えば通信路4としていわゆるインターネット等の通信路を採用した場合に、携帯型通信端末装置2とコンピュータ3間で所定のプロトコルによりデータ通信を行う。所定のプロトコルは、例えばIP(Internet protocol)、TCP(Transmission control protocol),UDP(User datagram protocol)、電子メール伝送技術に用いられるSMTP(Simple mail transfer protocol)やPOP(Post office protocol)、FTP(File transfer protocol)、HTTP(Hypertext transfer protocol)等を含む。
コンピュータ3は、携帯型通信端末装置2から受信した画像に規定された画像処理を施し、その結果得られた画像や記憶装置(データベース)332等に記憶されている各種データに基づいて、被計測対象の植物P1に関する照合処理、解析処理、生育情報生成処理、生育診断処理等を行い、その結果を示す生育情報や生育診断情報等のデータを要求に応じて携帯型通信端末装置2や端末装置6に配信したり情報共有を行う。そして携帯型通信端末装置2は、コンピュータ3から受信したその生育情報や生育診断情報を表示部に表示する。
以上説明したように、カメラ機能を備えた携帯型通信端末装置2が、被計測対象の植物P1を撮像して得られた画像を通信路4を介してコンピュータ3に送信し、コンピュータ3が、その画像に基づいて被計測対象の植物P1の生育情報に関する処理を行い生育情報や生育診断情報等のデータを生成し、それらのデータを要求に応じて携帯型通信端末装置2や端末装置6に配信したり情報共有を行うので、例えば携帯型通信端末装置2は、コンピュータ3から受信したその生育情報や生育診断情報等のデータを表示部に表示することで、ユーザh2に被計測対象の植物P1に関する生育情報や生育診断結果等のデータを報知することができる。
この際、携帯型通信端末装置2が、携帯型通信端末装置2に関する識別情報と画像とを関連付けてコンピュータ3に送信し、コンピュータ3がその識別情報および画像とを関連付けて記憶装置332に記憶し、その画像に基づいて生育情報や生育診断情報を生成して、その識別情報に対応する携帯型通信端末装置2にデータを送信し、携帯型通信端末装置2が表示部に生育情報や生育診断情報を表示することで、簡単な処理により、携帯型通信端末装置2を操作するユーザh2に被計測対象の植物P1に関する生育情報や生育診断結果等のデータを報知することができる。
また、携帯型通信端末装置2は、ユーザh2が煩雑な操作を行うことなく簡単な操作により、被計測対象の植物P1に関する生育情報や生育判断情報を、例えば植物P1を撮影した位置近傍や植物P1が生育している圃場等にて取得して表示部に表示させることにより、ユーザh2に報知することができる。また、コンピュータ3にて画像処理や生育情報や生育診断に係る処理を行いその結果を携帯型通信端末装置2に送信して、携帯型通信端末装置2がそれらのデータを受信して表示するので、携帯型通信端末装置2の処理負荷を低減することができる。この際、コンピュータ3は圃場近傍や遠隔地に設置されていてもよく設置場所は問わない。また、携帯型通信端末装置2を情報入出力端末としたユビキタスネットワーク型の植物生育情報処理システム1を提供することができる。
また、本実施形態に係る携帯型通信端末装置2は、例えば図1に示すように、被計測対象の植物P1の位置や携帯型通信端末装置2の撮影位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を備える。位置情報取得部は例えばGPS(グローバルポジショニングシステム)衛星7から受信したGPS信号に基づいて位置情報を取得する。位置情報は例えば緯度情報、経度情報、高度情報等のデータを含む。携帯型通信端末装置2は、この位置情報取得部が取得した位置情報を、被計測対象の植物P1を撮影して得られた画像と関連付けてコンピュータ3に送信する。コンピュータ3は、画像と関連付けられた位置情報を受信すると、その位置情報に基づいて例えば植物P1の位置や植物P1が生育している圃場f1の位置、撮影位置等を特定し、その位置情報に関連付けてデータベース332に記憶されている気象情報や過去の生育情報等のデータに基づいて分析処理や解析処理を行い、得られた画像、生育情報、生育診断結果等を位置情報に関連付けて管理や情報共有を行う。
以上説明したように、携帯型通信端末装置2が位置情報取得部を備え、コンピュータ3が位置情報取得部が取得した位置情報、画像、生育情報、生育診断結果等を関連付けて処理および管理を行うので、例えばコンピュータ3は取得した位置情報に基づいて、より高精度に画像処理や生育情報処理や生育診断処理を行うことができる。また、ユーザh2は煩雑な操作を行うことなく、簡単な操作により携帯型通信端末装置2にて、位置情報に応じて生成された高精度な生育情報や生育診断情報を取得することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る植物生育情報処理システム1を詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る植物生育情報処理システムの携帯型通信端末装置2を説明するための機能ブロック図である。
本実施形態に係る携帯型通信端末装置2は、例えば図2に示すように、通信部20、撮影部21、フィルタ22、発光部23、位置情報取得部24、表示部25、音声処理部26、操作入力部27、メモリ28、および制御回路(CPU:Central processing unit)29を有する。通信部20は本発明に係る通信手段の一実施形態に相当し、撮影部21は本発明に係る撮影手段の一実施形態に相当する。フィルタ22は本発明に係る規定手段の一実施形態に相当し、位置情報取得部24は本発明に係る位置情報取得手段の一実施形態に相当する。表示部25は本発明に係る表示手段の一実施形態に相当し、制御回路(CPU)29は本発明に係る制御手段の一実施形態に相当する。
通信部20は、例えば制御回路29の制御により、通信路4を介してコンピュータ3とデータ通信を行う。本実施形態に係る通信部20は、例えば図1に示すように、無線通信方式により基地局5とデータ通信を行い、その基地局5および通信路4を介してコンピュータ3とデータ通信を行う。通信部20は、詳細には所定のプロトコルにてデータ通信を行う通信インタフェース等により構成されている。
撮影部21は、被計測対象の植物からの反射光を撮影して画像を取得する。詳細には、撮影部21はフィルタ22を介して被計測対象の植物P1からの反射光を撮影して画像を取得し、その画像を信号S21として制御回路29に出力する。また撮影部21は制御回路29からの制御信号CTL21に基づいて各種処理や各種動作を行う。撮影部21は、例えば図2に示すように、光学レンズ系211、撮像素子212、アナログ/デジタル変換回路(A/D)213を有する。
光学レンズ系211は、例えば被計測対象の植物P1からの反射光を撮像素子212の撮影面上に結像する機能を有する。撮像素子212は、光学レンズ系211により結像された光を電気信号S212に変換して出力する。撮像素子212は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)撮影素子やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮影素子により構成される。アナログ/デジタル変換回路213は、撮像素子212から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、信号S21として制御回路29に出力する。
フィルタ22は、被計測対象の植物P1の反射光のうち特定波長を規定する。例えば被計測対象の植物P1が圃場f1などに生育している場合に、例えば太陽や電灯等の光源から、植物P1や土壌等を含む圃場f1に光が出射されている。撮影部21は、植物P1や土壌からの反射光を撮影する際に、フィルタ22を介して植物P1からの特定波長の画像を取得する。こうすることにより画像内の画素それぞれの輝度レベルに基づいて、植物P1とそれ以外例えば土壌や水等を判別することができる。フィルタ22は、例えば光学レンズ系211と被計測対象の植物P1との間に設けられてもよいし、光学レンズ系211と撮像素子212間に設けられてもよい。本実施形態に係るフィルタ22は、例えば複数種類のフィルタを備える。
図3は、図2に示した携帯型通信端末装置2のフィルタ22を説明するための図である。図3(a)は、図2に示した携帯型通信端末装置2のフィルタ22の第1具体例を説明するための図である。図3(b)は図3(a)に示したフィルタ22を装着した携帯型通信端末装置2を説明するための図である。例えば一般的なカメラ機能付携帯電話に本発明に係る携帯型通信端末装置2の機能を備える場合には、携帯型通信端末装置2の撮影部21にフィルタ22を着脱可能に設置することが好ましい。例えば図3(a)に示すようなフィルタ22を、図3(b)に示すように撮影部21の前面部に着脱可能に設置する。例えばフィルタ22と携帯型通信端末装置2の筐体部200の接部に磁性体等により形成された着脱部を設ける。こうすることにより簡単に本発明に係るフィルタ22を着脱可能に設けることができる。
図4は、図2に示した携帯型通信端末装置のフィルタ22の第2具体例を説明するための図である。携帯型通信端末装置2は、例えば図4に示すように、撮影部21近傍に複数種類のフィルタ22a〜22c、およびフィルタ22a〜22cを回動可能に支持する可動部22dを備える。可動部22dは、例えば制御回路29の制御により、回転中心軸22tを中心に回転することにより複数種類のフィルタ22a〜22cを撮影部21の前面部に選択的に配置する。本実施形態に係るフィルタ22a〜22cは図4に示すように扇形状に形成されており、例えば円形状のフィルタと比べて小型化することができる。
図5は、図2に示した携帯型通信端末装置のフィルタ22の第3具体例を説明するための図である。携帯型通信端末装置2は、例えば図5に示すように、撮影部21近傍に、複数種類のフィルタ22e〜22g、およびフィルタ22e〜22gを平行移動可能に支持する可動部22hを備える。可動部22hは、例えば制御回路29の制御により、規定方向(移動方向)dx1に沿って形成された複数種類のフィルタ22e〜22gを、移動方向dx1に沿って移動駆動する複数種類のフィルタ22e〜22gを撮影部21の前面部に選択的に配置することができる。上述したように制御回路29は、可動部22d(22h)を駆動制御することにより、複数種類のフィルタを選択的に撮影部21の前面部に設置することができる。
図6(a)〜(c)は、図2に示した携帯型通信端末装置2のフィルタ22の第4具体例を説明するための図である。フィルタ22は、例えば図6(a)〜(c)に示すように、複数種類のフィルタ22それぞれを識別するための識別情報(マーク)220が形成されている。マーク220(220a,220b)の種類は、例えば図6(a)〜(c)に示すように、記号、マーク、文字、画像等である。マーク220は、例えば図6(a)〜(c)に示すように被計測対象のフィルタ22の周辺部に形成されていることが好ましい。このマーク220は例えば撮影部21により被計測対象の植物P1の反射光と共に撮影されて分光画像中に画像として付加され、コンピュータ3は、この分光画像中からマーク220を抽出し、抽出したマーク220に基づいてフィルタ22の種類を特定する。こうすることでコンピュータ3は簡単な画像処理により画像からフィルタの種類を特定することができる。
また、フィルタ22の特定方法として、例えば制御回路29が、可動部22d(22h)による各種フィルタの回転量(移動量)に基づいてフィルタの種類を特定し、その特定したフィルタ情報を分光画像と関連付けて通信部20を介して送信し、コンピュータ3が受信した分光画像と関連付けられたフィルタ情報により、その分光画像と対応するフィルタ情報を特定してもよい。
本実施形態に係るフィルタ22は、例えば図2に示すように、バンドパスフィルタ221、および減光フィルタ222を有する。バンドパスフィルタ221は、例えばコンピュータ3が被計測対象の植物P1の生育状況を解析する際に参照する分光画像を、携帯型通信端末装置2が生成する際に用いられる。このバンドパスフィルタ221は、例えば複数種類の分光画像を撮影するために複数種類のバンドパスフィルタを有する。本実施形態では第1〜第3のバンドパスフィルタ2211〜2213を有する。
第1のバンドパスフィルタ2211は、例えば被計測対象の植物P1の植被率を測定する際に参照される近赤外分光画像を生成する際に、撮影部21と被計測対象の植物P1との間に設けられる。この第1のバンドパスフィルタ2211は、例えば植物P1と地表などの差を検知するために特定波長帯域を透過させるフィルタである。詳細には第1のバンドパスフィルタ2211は、波長が830nm近傍で透過率が略82±5%、波長が700nm以下で透過率が略5%以下に規定されている。第1のバンドパスフィルタ2211は、いわゆるIR(赤外:Infrared)フィルタにより構成される。
第2および第3のバンドパスフィルタ2212,2212は、例えば被計測対象の植物P1の葉色値や窒素吸収濃度を推測する情報を推定する場合に、撮影部21と被計測対象の植物P1との間に設けられる。第2のバンドパスフィルタ2212は、例えば約550nmで透過率が最大ピークとなるように透過特性が規定されている。第3のバンドパスフィルタ2213は、例えば約800nmで透過率が最大ピークとなるように透過特性が規定されている。携帯型通信端末装置2は、この第2のバンドパスフィルタ2212を介して撮影された分光画像と、第3のバンドパスフィルタ2213を介して撮影された分光画像をコンピュータ3に送信し、コンピュータ3は、後述するように2つの分光画像の輝度値の比に基づいて葉色値を演算により算出し、その葉色値に基づいて窒素吸収濃度を特定する。
減光フィルタ222は、撮影部21に入射する光量を設定した光量となるように減光率が規定されている。例えば複数個の携帯型通信端末装置2の撮影部21それぞれの感度特性にばらつきがあるために、例えば同一の植物P1の反射光を撮影した場合であっても、携帯型通信端末装置2それぞれが生成する分光画像の輝度値のばらつきが生じる。減光フィルタ222は、携帯型通信端末装置2の撮影部21の感度特性のばらつきを低減するために、後述するように予め規定された輝度値となるように減光率が規定される。
発光部23は、制御回路29の制御により発光して被計測対象の植物P1に光を照射する。詳細には制御回路29は、例えば撮影部21により被計測対象の植物P1からの反射光の入射光量が基準値よりも小さい場合に光量が足りないと判断し、発光を指示する制御信号CTL23を発光部23に出力する。発光部23は制御回路29からその制御信号CTL23を受けた場合に発光する。発光部23は、例えばLED(Light emitting diode)等の発光素子により構成される。
位置情報取得部24は、例えば被計測対象の植物P1を撮影する場合に、その植物P1の位置や撮影位置を示す位置情報を取得する。本実施形態では位置情報取得部24は、携帯型通信端末装置2の現在位置を検出することで、被計測対象の植物P1の撮影位置を示す位置情報を取得し、信号S24として制御回路29に出力する。位置情報取得部24は、例えばGPS信号受信回路、地磁気センサ、および加速度センサ等を有する。GPS信号受信回路は、例えば複数個のGPS衛星から受信したGPS信号に基づいて、携帯型通信端末装置2の位置情報を取得する。地磁気センサは、磁場の向きや強さを検出するセンサである。制御回路29は、地磁気センサによる検出結果に基づいて撮影時の撮影方向を特定する。加速度センサは、携帯型通信端末装置2の装置に加わる加速度を検出するセンサである。制御回路29は、加速度センサにより検出された加速度に基づいて、例えば撮影時に撮影部21による撮影方向と重力加速度方向との角度差を検出し、検出結果に応じた処理を行う。例えば制御回路29は、規定値以上角度差を検出した場合には例えば表示部やスピーカ等から、その旨を示す報知を行うことで、ユーザh2に撮影方向が重力加速度方向と略一致させるように促す。また、例えば制御回路29がその検出した角度差を示す信号をコンピュータ3に出力して、コンピュータ3がその角度差を受信し、角度差に基づいてその角度差に起因する分光画像の歪みを画像補正処理することが好ましい。こうすることでコンピュータ3はより高精度に生育情報の生成や生育診断を行うことができる。
表示部25は、制御回路29の制御により、例えば本発明に係る被計測対象の植物P1に関する画像や、コンピュータ3から受信した被計測対象の植物P1に関する生育情報や生育診断情報等を表示する。表示部25は、例えばLCD(Liquid crystal display)表示パネルや有機EL(Electroluminescence display)発光パネル等の表示装置により構成される。
音声処理部26は、制御回路29の制御により、例えばスピーカ261に音声信号に応じた発音を行わせ、マイクロフォン262が音声信号に応じて生成した電気信号に音声処理を施して制御回路29に出力する。
操作入力部27は、例えばキーボード、各種ボタン、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入力装置により構成され、ユーザによる操作に応じた信号S27を制御回路29に出力する。制御回路29は、その信号S27に基づいて本発明に係る処理を行う。
メモリ28は、例えば制御回路29による処理のワークスペースとして用いられる。メモリ28は、例えばRAM(Random access memory)やROM(Read only memory)、ハードディスクドライブ等の記憶装置により構成される。また、メモリ28は、例えばプログラムPRG2、識別情報281、および各種データ282を記憶する。プログラムPRG2は本発明に係る機能を有する。識別情報281は、例えば携帯型通信端末装置2を識別するための情報、詳細には携帯型通信端末装置2それぞれ固有の情報である製造シリアル番号や、メールアドレス情報、電話番号情報、予め設定したID情報やパスワード等のデータである。各種データ282は、例えば本発明に係る各種処理により生成されるデータや初期変数データ等のデータである。
制御回路29は、各構成要素を統括的に制御する。また、制御回路29は、例えばプログラムPRG2を実行することにより本発明に係る機能を実現する。制御回路29の詳細な動作については後述する。
図7は、図1に示した植物生育情報処理システムのコンピュータを説明するための機能ブロック図である。本実施形態に係るコンピュータ3は、例えば図7に示すように、通信部30、表示部31、操作入力部32、記憶部33、および制御回路(CPU)34を有する。各構成要素は、例えばバス(データ通信線)35により接続されている。通信部30は本発明に係る通信手段の一実施形態に相当し、記憶部33は本発明に係る記憶手段の一実施形態に相当する。制御回路34は、本発明に係る機能を実行する。
通信部30は、例えば制御回路34の制御により、通信路4(基地局5)を介してコンピュータ3や端末装置6とデータ通信を行う。通信部30は、詳細には所定のプロトコルにてデータ通信を行う通信インタフェース等により構成されている。
表示部31は、制御回路29の制御により、例えば本発明に係る画像やデータを表示する。表示部31は、例えばLCD表示パネルや有機EL発光パネル、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置により構成されている。
操作入力部32は、例えばキーボード、各種ボタン、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入力装置により構成され、ユーザによる操作に応じた信号S32を制御回路34に出力する。制御回路34は、その信号S32に基づいて本発明に係る処理を行う。
記憶部33は、例えば制御回路34による処理のワークスペースとして用いられる。記憶部33は、例えばメモリ331、および記憶装置(データベース)332を有する。メモリ331は、例えばRAMやROM等の記憶装置により構成されている。メモリ331は、例えば本発明に係る機能を有するプログラムPRG3を記憶する。記憶装置332は、例えば本発明に係る各種処理により生成されるデータや初期変数データ、過去のデータ等のデータD3を記憶する。記憶装置332は、例えばハードディスクドライブや光ディスク記憶装置等の記憶装置により構成されている。
制御回路34は、例えば装置全体を統括的に制御する。制御回路34は、例えばプログラムPRG3を実行することにより本発明に係る機能を実現する。制御回路34の動作については後述する。
図8は、図7に示したコンピュータ3の動作を説明するための機能ブロック図である。記憶部33は、例えば図8に示すように、ユーザ情報301、識別情報302、画像(分光画像)303、フィルタ情報304、位置情報305、補正基準情報306、補正画像307、時間情報308、地図情報309、気象情報310、水量情報311、肥料情報312、植被率情報313、葉色値情報314、生育情報315、生育診断情報316等の各種データD3を関連付けて記憶する。
ユーザ情報301は、例えば被計測対象の植物P1の営農者や作物生産者等のユーザh2を示すデータであり、詳細には氏名情報、住所情報等のデータである。識別情報302は、上述した識別情報281に対応し、例えば携帯型通信端末装置2を識別するためのデータである。画像(分光画像)303は、携帯型通信端末装置2から受信した画像(分光画像)を示すデータである。フィルタ情報304は、例えば携帯型通信端末装置2のフィルタ22の種類を識別するためのデータであり、分光画像303と関連付けて記憶される。このフィルタ情報304は、本発明に係る規定情報の一実施形態に相当する。位置情報305は、携帯型通信端末装置2により撮影された画像303に関連付けられた、被計測対象の植物P1の位置や撮像位置を示すデータである。
補正基準情報306は、分光画像303に画像補正処理を施す際に参照されるデータであり、携帯型通信端末装置2の撮影部21に固有の撮像特性のばらつきや画像のゆがみを補正するためのデータである。携帯型通信端末装置2は、予め補正基準情報306をコンピュータ3に送信してもよいし、撮影時毎や画像送信時毎に送信してもよい。補正画像307は、補正基準情報306に基づいて分光画像303に画像補正処理が施された結果を示す画像データである。時間情報308は、分光画像303の撮影時間や生育情報315等の各種データと関連付けられている時間データである。地図情報309は、いわゆる地図を示すデータであり、例えば被計測対象の植物P1の位置や分光画像の撮影位置、植物P1が生育している圃場の位置を特定する際に参照される。気象情報310は、例えば過去、現在、今後の天候情報、気温情報、降水量情報、水温情報、湿度情報等のデータである。水量情報311は、例えば被計測対象の植物P1に与えられた水量等を示すデータであり、例えば降水量等から算出される。肥料情報312は、例えば被計測対象の植物植物P1に与えられた肥料の種類や肥料量を示すデータである。植被率情報313は、例えば単位面積当り植物の被覆している割合を示すデータであり、植物の乾物量を推定する際に参照される。植被率情報313は、後述するように画像(分光画像)303に画像処理を施して画素毎に輝度レベルを2値化した画素比(面積比)により算出される。
葉色値情報314は、例えば被計測対象の植物P1の葉の色の度合いを示すデータであり、例えば透過波長領域が異なる2つの波長フィルタそれぞれを介して得られた第1および第2の分光画像の輝度値の比により、光源光量による反射率の変化を除去することで算出される。この際、第1および第2の分光画像のうち比較対象の輝度値は、ヒストグラムによる被計測対象の植物P1の葉からの反射光に対応する領域の中央値や、葉に対応する領域における度数の平均値に対応する輝度値等に設定する。コンピュータ3は、この葉色値情報314から植物P1の窒素吸収濃度を規定された演算により算出し、例えば植被率から算出された乾物量および窒素吸収濃度から窒素吸収量を算出する。詳細には乾物量と窒素吸収濃度を乗算した値に基づいて窒素吸収量を産出する。生育情報315は、被計測対象の植物P1の生育に関するデータであり、例えば植被率情報313、葉色値情報314、種蒔時間、生育経過時間等を示すデータである。生育診断情報316は、被計測対象の植物P1の生育診断の結果を示すデータである。
図8に示すように、制御回路34は、例えばプログラムPRG3を実行することにより画像補正処理部341、植被率演算部342、葉色値演算部343、生育情報生成部344、生育診断処理部345、および情報提供部346等の各機能を実現する。
画像補正処理部341は本発明に係る画像補正処理手段の一実施形態に相当し、生育情報生成部344は本発明に係る生育情報生成手段の一実施形態に相当し、情報提供部346は本発明に係る情報提供手段の一実施形態に相当する。
画像補正処理部341は、例えば、携帯型通信端末装置2から受信した、撮影部21により取得された被計測対象の植物P1の反射光のうち特定波長領域の画像に、撮影部21に対応する補正基準情報に基づいて、撮影部21に固有の画像補正処理を施して補正画像を生成する。詳細には、画像補正処理部341は、例えば携帯型通信端末装置2の撮影部21の感度特性のばらつきを補正するために、補正基準情報306に基づいて、撮影部21により取得された分光画像に画像補正処理を施して補正画像307を生成する。この補正基準情報306は、上述したように反射率が既知の基準反射板(部材)を撮影部21が撮影して取得した補正基準画像に基づいて生成される。
また、補正基準情報306は、撮影部21の撮影特性に起因する画像の歪みを補正するために、予め規定されたパターン、例えば格子形状のパターンが形成された反射基準板を撮影部21が撮影して取得した補正基準画像に基づいて生成される。画像補正処理部341は、携帯型通信端末装置2により撮影された画像(分光画像)303に、その分光画像303に関連付けられた補正基準情報306に基づいて、撮影部21に固有の画像の歪みを補正する処理を施して補正画像307を取得する。
上述したように分光画像に画像補正処理を施すことにより、携帯型通信端末装置2の撮影部21それぞれ固有の感度特性のばらつきや画像の歪みを低減することができる。この補正画像307に基づいて植物P1の生育に関する画像処理や生育判断処理を行うことで、後述する植被率演算部342、葉色値演算部343、生育情報生成部344、生育診断処理部345等の各処理により高精度に生育情報や生育判断を行うことができる。また、複数の携帯型通信端末装置2それぞれが取得した画像を規格化することで、統一した画像処理を施すことができる。
また、画像補正処理部341は、画像に、フィルタ情報304および補正基準情報306に基づいて、撮影部21に固有の画像補正処理を施す。こうすることでフィルタに起因する補正処理を行うことができる。
また、制御回路34は、画像303に関連付けられたフィルタ情報304を特定し、そのフィルタ情報304に基づいて後述するよう植被率情報313や葉色値情報314等の生育情報を生成する。
植被率演算部342は、例えば携帯型通信端末装置2から受信した画像(分光画像)303に画像処理を施し、全画素数のうち、被計測対象の植物P1に特定する画素の数に基づいて、面積当り植物P1の被覆している割合を示す植被率情報313を演算により生成する。詳細には植被率演算部342は、画像(分光画像)303の画素毎に画素値を閾値を基に2値化し、画素値が閾値以上の画素の個数に基づいて植被率情報313を演算により生成する。例えば植被率演算部342は、分光画像の全画素の個数と、全画素のうち画素値が閾値以上の画素の個数に基づいて、面積当り植物の被覆している割合を示す植被率情報313を演算により生成する。
葉色値演算部343は、第2のバンドパスフィルタ2212を介して撮影された分光画像303と、第3のバンドパスフィルタ2213を介して撮影された分光画像303の輝度値の比に基づいて、被計測対象の植物P1の葉色値情報314を演算により生成する。詳細には葉色値演算部343は、その輝度比により葉色値情報314を生成することで、光源光量の変化による反射率の変化を除去することができる。例えば葉色値演算部343は、第1および第2の分光画像のうち比較対象の輝度値として、例えば輝度値の度数分布において、被計測対象の植物P1の葉からの反射光に対応する度数分布の中央値や、葉からの反射光に対応する度数分布における平均値をその輝度値として設定する。また、葉色値演算部343は、葉色値情報314から植物P1の窒素吸収濃度を規定された演算により算出する。例えば葉色値演算部343は、植被率から算出された乾物量および窒素吸収濃度から窒素吸収量を算出する。詳細には葉色値演算部343は、乾物量と窒素吸収濃度を乗算した値に基づいて窒素吸収量を算出する。
生育情報生成部344は、例えば、記憶部33に記憶された画像に基づいて被計測対象の植物P1の生育情報を生成し、当該生育情報と識別情報302を関連付けて記憶部33に記憶する。また、生育情報生成部344は、上述したように植被率演算部342や葉色値演算部343により生成された植被率情報313や葉色値情報314に基づいて、例えば位置情報305や時間情報308等と関連付けて記憶部33に記憶する。また、生育情報生成部344は、例えば生育情報の管理として、図8に示すように、位置情報305、植物P1の位置や植物P1が生育する圃場f1、識別情報302、時間情報308等と関連付けて記憶部(データベース)33に記憶して管理する。つまり、生育情報生成部344は、GPSによる測位情報(緯度、経度等)にて圃場f1毎、携帯型通信端末装置2の識別情報302によって撮影部21毎、撮影時刻にて時系列毎にユニークな指標データを割り当てることにより、記憶部(データベース)33に記憶して管理する。このユニークな指標データは、記憶部33が記憶するデータを能動的選択的に行う際に参照される。また各データに指標データを関連付けることにより秘匿性を確保する。
生育診断処理部345は、画像(分光画像)303、生育情報315等のデータに基づいて植物P1に関する生育診断処理を行い、処理結果を示す生育診断情報316を得る。詳細には、生育診断処理部345は、画像(分光画像)303、位置情報305、補正画像307、時間情報308、地図情報309、気象情報310、水量情報311、肥料情報312、植被率情報313、葉色値情報314、生育情報315等の各種データ等に基づいて、予め規定された生育モデル式に基づいて生育診断処理を行う。具体的には、生育診断処理部345は、生育診断処理として、気温情報等を変数とする第1の生育モデル式で予測した植物の標準的な生長値と、実測した植物P1の植被率や葉色値を比較することにより、被計測対象の植物P1の現在の生育の良否を診断する。また、植被率、葉色値、および日平均気温情報等のデータを変数とした第2の生育モデル式により、被計測対象の植物P1の今後の生育を予測する。この第2の生育モデルは、例えば日平均気温情報を変数とする日生長速度の関数である。
情報提供部346は、例えば通信部30を介して要求を受信すると、その要求に応じて記憶部33に記憶している生育情報315や生育診断情報316等のデータを、通信部30を介して要求元の装置に提供する。詳細には、情報提供部346は、通信部30にて識別情報302を含む指示を受信した場合に、記憶部33から識別情報302に関連付けられた被計測対象の植物P1の生育情報315や生育診断情報316を読み出し、読み出した生育情報315や生育診断情報316を識別情報302と関連付けて、通信部30を介してその識別情報302に対応する要求元の携帯型通信端末装置2に出力する。
上述した構成の植物生育情報処理システム1の動作の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図9は、図1に示した植物生育情報処理システムの補正基準情報を生成する動作の一具体例を説明するためのフローチャートである。
ステップST1において、携帯型通信端末装置2の制御回路29は、例えば操作入力部27から補正基準情報作成モードに設定させる指示信号を受けると、露光時間を通常撮影時よりも長く設定する。詳細には、制御回路29は、例えば夜間撮影モード等の露光時間が約0.15秒以上となるように設定することが好ましい。こうすることにより、バンドパスフィルタを介して撮影した場合と撮影条件を同一とする。
ステップST2において、撮影部21が基準反射板の反射光を撮影する。
ステップST3において、制御回路29は、撮影部21が基準反射板の反射光を撮影して得られた画像を、識別情報281と関連付けて通信部20を介してコンピュータ3に送信する。コンピュータ3の制御回路34は、通信部30を介してコンピュータ3から受信した画像および識別情報281を記憶部33に記憶する。制御回路34は、その画像に基づいて、携帯型通信端末装置2の撮影部21に装着する減光フィルタの減光率を演算により算出する。
図10は、図1に示したコンピュータ3が減光率を演算により算出する動作を説明するための図である。図10(a)は携帯型通信端末装置2の撮影部21の感度曲線を説明するための図である。横軸は入力光量、縦軸は出力画像の輝度値をそれぞれ示す。図10(b)は撮影部21が減光フィルタなしで撮影した場合の入力光量の度数分布を説明するための図である。横軸は入力光量、縦軸は度数をそれぞれ示す。図10(c)は撮影部21が減光フィルタを介して撮影した場合の入力光量の度数分布を説明するための図である。縦軸は入力光量、縦軸は度数をそれぞれ示す。携帯型通信端末装置2の撮影部21の感度特性は、例えば図10(a)に示すように略S字カーブ形状であり、入射光量LIが増加して第1光量LI1までは、画像の出力輝度値BIの変化量が小さく、入射光量LIが第1光量LI1と第2光量LI2の間では、出力輝度値BIが略光量に比例した値となり、入射光量LIが第2光量L2よりも大きい場合に出力輝度値BIの変化量が小さい。
出力画像の度数分布は、例えば減光フィルタなしで撮影した場合には、図10(b)に実線にて示すように、植物P1からの反射光に対応するピークPP1と、それ以外の土等からの反射光のピークPP2と、そのピーク間の極小部PP3とを有する。また、例えば減光フィルタを介して撮影した場合には、図10(c)に実線にて示すように、入射光量が相対的に減少した度数分布を示す。この度数分布は、植物P1からの反射光に対応するピークPP1’と、それ以外の土等からの反射光のピークPP2’と、そのピーク間の極小部PP3’と、例えば乾いた土等からの反射光に対応するピークPP4’と、ピークPP1’,PP4’間の極小部PP5’とを有する。
このピークPP3が、入力光量LI1とLI2の略中央部となるように減光率を設定することが好ましい。本実施形態では携帯型通信端末装置2の撮影部21それぞれの感度特性のばらつきを低減するために、基準反射板からの反射光の入射光量に基づいて減光率を設定する。減光フィルタなしで基準反射板を撮影した場合、例えば図10(b)に2点鎖線にて示すように、入射光量LIBを最大値とする基準反射板に対応するピークBPPが得られる。制御回路34は、例えば携帯型通信端末装置2から受信した、基準反射板が撮影された画像に基づいて、例えば図10(b)に1点鎖線にて示すように、入射光量LIBを最大値とする基準反射板に対応するピークBPPを画像処理により取得し、そのピークBPPの入力光量LIBが、図10(c)に示すように、予め規定された値LIB’となるように減光率を設定する。こうすることで、図10(c)に示すように、植物P1からの反射光に対応するピークPP1’が入力光量LI1とLI2間の略中央部付近となり、撮影部21の感度特性の良好な領域(入射光量LI1〜LI2)にピークPP1’となるように設定される。この際、極小値PP3’が入力光量LI1に、極小値PP5’が入力光量LI2にそれぞれ対応するように減光率を設定することで、より高精度に植物P1の反射光を検出することができる。この際、減光フィルタ装着時のピークPP1’位置は、基準反射板のピークBPP’から推測する。
ステップST4において、制御回路34は、上述した減光率を示す減光率情報を通信部30を介して携帯型通信端末装置2に送信する。この際、制御回路34は、携帯型通信端末装置2から受信した識別情報に基づいて、その識別情報に対応する携帯型通信端末装置2を特定し、その特定した携帯型通信端末装置2に減光率情報を送信する。携帯型通信端末装置2の制御回路29は、通信部20にて減光率情報を受信すると、その減光率情報に基づいて減光フィルタ222の減光率を設定する。
ステップST5において、携帯型通信端末装置2の撮影部21は、設定された減光フィルタを介して、例えば格子形状のマークが形成された基準反射板の反射光を撮影する。
ステップST6において、携帯型通信端末装置2の制御回路29は、撮影部21が基準反射板の反射光を撮影して得られた結果に基づいて基準画像を生成し、その基準画像を通信部20を介してコンピュータ3に送信する。
またステップST7において、制御回路29は、例えば撮影時間等の撮影条件を示すデータを、その基準画像と関連付けて通信部20を介してコンピュータ3に送信する。コンピュータ3の制御回路34は、通信部30を介して受信した基準画像および撮影条件を示すデータを記憶部33に関連付けえて記憶する。この基準画像は、補正基準情報306に対応し、携帯型通信端末装置2から受信する分光画像に対して撮影部21に起因する画像の歪みを補正する際に参照される。
図11は、図1に示した植物生育情報処理システム1の全体の動作を説明するためのフローチャートである。図11を参照しながら、植物生育情報処理システム1の全体の動作を各装置の動作を説明する。
ステップST11において、携帯型通信端末装置2の制御回路29は、初期設定処理を行う。初期設定処理は、例えば図9に示すような減光率設定処理や、撮影部21が取得した基準画像を識別情報281と関連付けてコンピュータ3に送信し、コンピュータ3が基準画像を補正基準情報306として識別情報を関連付けて登録する処理等である。
ステップST12において、撮影部21は、被計測対象の植物P1からの反射光を、バンドパスフィルタ221および減光フィルタ222を介して撮影し、制御回路29は、撮影部21から出力された信号に基づいて分光画像を生成する。
ステップST13において、制御回路29は、分光画像に画像補正処理、例えば規定サイズとなるように画像サイズ変更処理等を施す。
ステップST14において、制御回路29は、例えば撮影時間情報、位置情報、フィルタ情報等の各種データを生成する。
ステップST15において、制御回路29は、分光画像、各種データ、および識別情報281を関連付けて通信部20を介してコンピュータ3に送信する。
ステップST16において、コンピュータ3の制御回路34は、通信部30を介して携帯型通信端末装置2から分光画像、各種データ、および識別情報281を受信する。
ステップST17において、制御回路34は、その分光画像303、各種データ、および識別情報302を記憶部33に関連付けて記憶する。
ステップST18において、制御回路34は、分光画像303に、その識別情報302と関連付けられた補正基準情報306に応じた補正画像処理を施して、補正画像307を取得し、補正画像307と識別情報302を関連付けて記憶部33に記憶する。
ステップST19において、制御回路34は、例えば分光画像303(補正画像307)に基づいて、植被率情報313や葉色値情報314等の生育情報315を生成し、識別情報302と関連付けて記憶する。詳細には植被率演算部34が植被率情報313を生成し、葉色値演算部343が葉色値情報314を生成する。
ステップST20において、制御回路34は、例えば他の情報提供装置から通信部30を介して受信した情報に基づいて、気象情報310や水量情報311、肥料情報312等のデータを更新する。
ステップST21において、制御回路34は、上述したように、画像(分光画像)303、生育情報315等のデータに基づいて植物P1に関する生育診断処理を行い、処理結果を示す生育診断情報316を得る。詳細には、生育診断処理部345は、画像(分光画像)303、補正画像307、植被率情報313、葉色値情報314、生育情報315、その他気象情報310、水量情報311、肥料情報312等の各種データ等に基づいて、予め規定された生育モデル式に基づいて生育診断処理を行う。
ステップST22において、携帯型通信端末装置2の制御回路29は、例えば操作入力部27から識別情報281を含む指示信号を受けて、通信部20を介してコンピュータ3に、植物P1の生育情報や生育診断情報の要求指示を識別情報281と関連付けて送信する。
ステップST23において、制御回路34は、通信部30にて要求指示が入力されたか否かを判別し、要求指示が入力されたと判別した場合にステップST24の処理に進み、それ以外の場合にステップST20の処理に戻る。例えば制御回路34は、分光画像入力時には、要求指示が入力されていない場合でもステップST24に進む。
ステップST24において、制御回路34は、要求指示に関連付けられた識別情報302により要求元の携帯型通信端末装置2を特定し、生育情報315や生育診断情報316を識別情報302と関連付けて、通信部30を介して携帯型通信端末装置2に送信する。
ステップST25において、携帯型通信端末装置2の制御回路29は、生育情報315や生育診断情報316を通信部20を介して受信する。
ステップST26において、制御回路29は、生育情報315や生育診断情報316を表示部25に表示させる。
以下、本実施形態に係る植物生育情報処理システム1の各処理について図面を参照しながら詳細に説明する。
図12は、図1に示した植物生育情報処理システム1の植被率算出時の携帯型通信端末装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
ステップST101において、携帯型通信端末装置2の制御回路29は、初期設定を行う。
ステップST102において、制御回路29は、上述したように長時間撮影モード(夜間撮影モード)に設定する。
ステップST103において、制御回路29は、撮影部21と被計測対象の植物P1との間に、植被率用バンドパスフィルタ(第1のバンドパスフィルタ2211)および規定された減光率の減光フィルタ222を設定する。
ステップST104において、制御回路29は、被計測対象の植物P1からの反射光をフィルタ22を介して撮影部21により、例えば植物P1の直上方向から撮影して分光画像を取得する。
ステップST105において、制御回路29は、例えば撮影時間やフィルタ情報等の撮影条件を示す各種データを生成する。
ステップST106において、制御回路29は、分光画像に画像補正処理、例えば規定サイズとなるように画像サイズ変更処理等を施す。
ステップST107において,制御回路29は、分光画像、各種データ、および識別情報281を関連付けて通信部20を介してコンピュータ3に送信する。
図13は、図1に示した植物生育情報処理システム1の植被率算出時のコンピュータ3の動作を説明するためのフローチャートである。
ステップST201において、コンピュータ3の制御回路34は、通信部30を介して携帯型通信端末装置2から、分光画像303、各種データ、および識別情報281を受信すると、それらを関連付けて記憶部33に記憶する。この際、制御回路34は、分光画像303に関連付けられたフィルタ情報によりバンドパスフィルタの種類を特定し、特定された結果に基づいて植被率演算部342により植被率を算出する。以下その処理を述べる。
ステップST202において、制御回路34は、例えば分光画像303がRGB(レッド・グリーン・ブルー)形式の画像の場合には、その分光画像にグレー化処理を施す。この際、制御回路34は、グレー化処理として分光画像303のRGBのいずれか一つの輝度値、例えばR(レッド)の輝度値をグレー値とする処理を行ってもよい。
ステップST203において、制御回路34は、記憶部33が記憶する補正基準情報306に基づいて、グレー化処理された分光画像に画像補正処理を施す。詳細には、制御回路34は、分光画像の輝度値の補正処理や分光画像の歪み補正処理等を行う。
ステップST204において、制御回路34は、被計測対象の植物に対応する画素を特定するための閾値を設定する。
ステップST205において、制御回路34は、詳細には例えば図10(c)に示すように、極小値PP3’の入力光量LIP3を下限値、極小値PP5’の入力光量LIP5を上限値と設定し、上限値および下限値の画素を抽出することで、分光画像を2値化する。
ステップST206において、制御回路34は、2値化した分光画像の全画素の個数と、全画素のうち画素値が植物P1に対応する画素の個数に基づいて、面積当り植物の被覆している割合を示す植被率情報313を演算により生成する。
ステップST207において、制御回路34は、植被率情報313を、識別情報302と関連付けて記憶部33に記憶する。この際、制御回路34は、植被率情報313を、携帯型通信端末装置2のユニークなデータである識別情報302、位置情報305、および時間情報308等と関連付けて記憶部33に記憶してもよい。
以上説明したように、コンピュータ3は、携帯型通信端末装置2にて撮影された分光画像に基づいて、簡単な処理により植被率情報313を演算により算出することができる。
図14は、図1に示した植物生育情報処理システム1の葉色値算出時の携帯型通信端末装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
ステップST301において、携帯型通信端末装置2の制御回路29は、初期設定を行う。
ステップST302において、制御回路29は、上述したように長時間撮影モード(夜間撮影モード)に設定する。
ステップST303において、制御回路29は、撮影部21と被計測対象の植物P1との間に、葉色値用バンドパスフィルタ(第2のバンドパスフィルタ2212)および規定された減光率の減光フィルタ222を設定する。
ステップST304において、制御回路29は、被計測対象の植物P1からの反射光をフィルタ22を介して撮影部21により撮影して分光画像を取得する。
ステップST305において、制御回路29は、例えば撮影時間やフィルタ情報等の撮影条件を示す各種データを生成する。
ステップST306において、制御回路29は、撮影部21と被計測対象の植物P1との間に、葉色値用バンドパスフィルタ(第3のバンドパスフィルタ2213)および規定された減光率の減光フィルタ222を設定する。
ステップST307において、制御回路29は、被計測対象の植物P1からの反射光をフィルタ22を介して撮影部21により撮影して分光画像を取得する。
ステップST308において、制御回路29は、例えば撮影時間やフィルタ情報等の撮影条件を示す各種データを生成する。
ステップST309において、制御回路29は、分光画像に画像補正処理、例えば規定サイズとなるように画像サイズ変更処理等を施す。
ステップST310において、制御回路29は、2種類の第1および第2の分光画像、各種データ、および識別情報281を関連付けて通信部20を介してコンピュータ3に送信する。
図15は、図1に示した植物生育情報処理システム1の葉色値算出時のコンピュータ3の動作を説明するためのフローチャートである。
ステップST401において、コンピュータ3の制御回路34は、通信部30を介して携帯型通信端末装置2から、2種類の第1および第2の分光画像303、各種データ、および識別情報を受信すると、それらを関連付けて記憶部33に記憶する。
ステップST402において、制御回路34は、第1および第2の分光画像303に関連付けられたフィルタ情報によりバンドパスフィルタの種類を特定し、特定された結果に基づいて葉色値演算部343により植被率を算出する。以下その処理を述べる。
ステップST403において、制御回路34は、第1および第2の分光画像303に、その識別情報302と関連付けられた補正基準情報306に応じた補正画像処理を施して、補正画像307を取得し、補正画像307と識別情報302を関連付けて記憶部33に記憶する。
ステップST404において、制御回路34は、第2のバンドパスフィルタ2212を介して撮影された分光画像303と、第3のバンドパスフィルタ2213を介して撮影された分光画像303の輝度値の比を算出する。
ステップST405において、制御回路34は、その輝度値の比に基づいて、光源光量による反射率の変化を除去することで葉色値情報314を演算により生成する。この際、制御回路34は、第1および第2の分光画像のうち比較対象の輝度値として、ヒストグラムによる被計測対象の植物P1の葉からの反射光に対応する領域の中央値や、葉に対応する領域における度数の平均値に対応する輝度値等に設定する。
ステップST406において、制御回路34は、葉色値情報314から植物P1の窒素吸収濃度を規定された演算により算出する。また、制御回路34は、例えば植被率から算出された乾物量および窒素吸収濃度から窒素吸収量を算出する。詳細には制御回路34は、乾物量と窒素吸収濃度を乗算した値に基づいて窒素吸収量を産出する。
ステップST407において、制御回路34は、葉色値情報314を識別情報302と関連付けて記憶部33に記憶する。この際、制御回路34は、葉色値情報314を、携帯型通信端末装置2のユニークなデータである識別情報302、位置情報305、および時間情報308等と関連付けて記憶部33に記憶してもよい。
以上説明したように、コンピュータ3は、携帯型通信端末装置2にて撮影された2種類の第1および第2の分光画像に基づいて、簡単な処理により葉色値情報314を演算により算出することできる。
図16は、図1に示した植物生育情報処理システム1のコンピュータ3の動作の一具体例を説明するためのフローチャートである。
ステップST501において、コンピュータ3の制御回路34は、上述したように植被率や葉色値を演算により算出して生成情報を生成する。
ステップST502において、制御回路34は、画像(分光画像)303、生育情報315等のデータに基づいて植物P1に関する生育診断処理を行い、処理結果を示す生育診断情報316を得る。詳細には、生育診断処理部345は、画像(分光画像)303、補正画像307、植被率情報313、葉色値情報314、生育情報315、その他気象情報310、水量情報311、肥料情報312等の各種データ等に基づいて、予め規定された生育モデル式に基づいて生育診断処理を行う。また、植被率、葉色値、および日平均気温情報等のデータを変数とした第2の生育モデル式により、被計測対象の植物P1の今後の生育を予測する。この第2の生育モデルは、例えば日平均気温情報を変数とする日生長速度の関数である。
ステップST503において、制御回路34は、被計測対象の植物P1の生育診断の結果が良好であるか否かを判断し、良好であると判断した場合にステップST504の処理に進み、良好でないと判断した場合にステップST505の処理に進む。
ステップST504において、制御回路34は、被計測対象の植物P1の生育診断の結果が良好であると判断した場合に、その生育状況は良好である旨を示す信号を通信部30を介して携帯型通信端末装置2に送信する。
ステップST505において、制御回路34は、被計測対象の植物P1の生育診断の結果が良好でないと判断した場合に、その生育状況は良好でない旨を示す信号を通信部30を介して携帯型通信端末装置2に送信する。
携帯型通信端末装置2の制御回路29は、撮影部21を介してその信号を受信すると、例えば表示部25にその旨を表示する。こうすることで携帯型通信端末装置2は、ユーザh2に被計測対象の植物P1の生育状況に関する診断結果を報知することができる。
以上説明したように、コンピュータ3は、撮影部21および表示部25を備えた携帯型通信端末装置2とデータ通信を行う通信部30と、通信部30を介して携帯型通信端末装置2から受信した、撮影部21により取得された被計測対象の植物P1の反射光のうち特定波長領域の画像に基づいて、被計測対象の植物に関する生育情報を生成する生育情報生成部344と、通信部30を介して携帯型通信端末装置2から受信した、画像に関連付けられた携帯型通信端末装置に関する識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する携帯型通信端末装置に、生育情報生成部344が生成した生育情報を通信部30を介して送信して、携帯型通信端末装置2の表示部25に生育情報を表示させる情報提供部346とを設けたので、簡単な処理により被計測対象の植物に関する生育情報や生育診断等の詳細な情報を提供することができる。
また、通信部30を介して携帯型通信端末装置2から受信した、撮影部21により取得された被計測対象の植物P1の反射光のうち特定波長領域の分光画像に、撮影部21に対応する補正基準情報306に基づいて、撮影部21に固有の画像補正処理を施す画像補正処理部341とを備え、生育情報生成部344は、画像補正処理部341により画像補正処理が施された特定波長領域の画像に基づいて、被計測対象の植物P1に関する生育情報を生成するので、より高精度に被計測対象の植物P1に関する生成情報を生成することができる。
また、携帯型通信端末装置2の撮影部21が基準反射部材を撮影して取得した画像を、補正基準情報306として記憶する記憶部33を有し、画像補正処理部341は、撮影部21による分光画像に、記憶部33が記憶する補正基準情報306に基づいて撮影部21に固有の画像補正処理を施すので、例えば、複数の異なる携帯型通信端末装置2から受信した分光画像に基づいて、被計測対象の植物P1に関する生成情報を生成する場合であっても、高精度に生成情報を生成することができる。
また、通信部30は携帯型通信端末装置2から、フィルタ22を介して撮影部21が撮影した画像、および当該画像と関連付けられたフィルタ22による特定波長に関するフィルタ情報304を受信し、画像補正処理部341は、通信部30が受信した分光画像に、規定情報および補正基準情報306に基づいて、撮影部21に固有の画像補正処理を施し、生育情報生成部344が、画像補正処理部341により画像補正処理が施された分光画像およびフィルタ情報304(規定情報)に基づいて、被計測対象の植物P1に関する生育情報を生成するので、フィルタ情報および補正基準情報306に基づいて高精度に生育情報を生成することができる。
また、携帯型通信端末装置2が被計測対象の植物P1の撮影位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部24を備えており、通信部30が携帯型通信端末装置2から分光画像および分光画像に関連付けられた位置情報取得部24が取得した位置情報を取得した位置情報305を受信し、生育情報生成部344が位置情報305に関連付けられた分光画像に基づいて、位置情報305に対応する被計測対象の植物P1に関する生育情報315を生成するので、例えば被計測対象の植物P1の位置や圃場f1の位置毎に、植物P1に関する生育情報315を生成することができる。
また、コンピュータ3は、位置情報305および被計測対象の植物P1の生育情報315を、位置情報毎および時系列的に記憶する記憶部33と、分光画像303および生育情報に基づいて、位置情報毎に被計測対象の植物P1に関する生育診断処理を行う生育診断処理部345を有し、情報提供部346が、通信部30介して携帯型通信端末装置2から受信した、分光画像に関連付けられた携帯型通信端末装置2に関する識別情報302に基づいて、当該識別情報に対応する携帯型通信端末装置2に、生育診断処理部345が生成した生育診断情報316を通信部30を介して送信して、携帯型通信端末装置2の表示部25に生育診断情報を表示させるので、コンピュータ3は、位置毎に高精度な生育診断情報を、携帯型通信端末装置2に提供することができる。
コンピュータ3は、携帯型通信端末装置2とデータ通信を行う通信部30と、通信部30を介して受信した画像、補正基準情報、および識別情報を関連付けて記憶する記憶部33と、記憶部33に記憶された補正基準情報に基づいて画像に補正処理を施す画像補正処理部341と、画像補正処理部341が補正処理を施した画像に基づいて被計測対象の植物P1の生育情報や生育診断情報を生成し、当該生育情報と識別情報を関連付けて記憶部33に記憶する生育情報生成部344および生育診断処理部345と、通信部30を介して携帯型通信端末装置2から識別情報を含む指示を受信した場合に、記憶部33から当該識別情報に関連付けられた被計測対象の植物P1の生育情報や生育診断情報を読み出して、識別情報と関連付けて通信部30を介して携帯型通信端末装置2に提供する情報提供部346とを有するので、簡単な処理により被計測対象の植物に関する生育情報や生育診断等の詳細な情報を提供することができる。
また、携帯型通信端末装置2は、表示部25と、コンピュータ3とデータ通信を行う通信部20と、被計測対象の植物P1の反射光のうち特定波長を規定するフィルタ22と、被計測対象の植物の反射光をフィルタ22を介して撮影して画像を取得する撮影部21と、撮影部21が取得した画像、撮影部21に固有の補正処理を当該画像に施すための補正基準情報、および携帯型通信端末装置2に関する識別情報281を関連付けて通信部20を介してコンピュータ3に送信し、通信部20を介してコンピュータ3から被計測対象の植物P1の生育情報315や生育診断情報316を受信した場合に表示部25に表示させる制御回路29と有するので、煩雑な操作を行うことなく被計測対象の植物に関する生育情報や生育診断等の詳細な情報を取得することができる。
また、例えばユーザh2は、本発明に係る携帯型通信端末装置2を用いて圃場f1の作物を撮影してコンピュータ3に送信してコンピュータ3にて随時データベースに生育情報を蓄積させ、その作物の生育状況の診断結果を、携帯型通信端末装置2を用いてその場にいながらリアルタイムに取得することができる。また、栽培履歴や精度の高い生育情報の開示が求められた場合、その情報を簡単に取得することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。上述した実施形態それぞれを組み合わせてもよい。
また、上述した実施形態では、コンピュータ3が画像補正処理や減光率を算出する処理などを行ったが、この形態に限られるものではない。例えば、携帯型通信端末装置2が画像補正処理や減光率を算出する処理等、本発明に係る機能を実現するように処理を行ってもよい。
また、上述した実施形態では減光フィルタを用いたがこの形態に限られるものではない。例えば減光率を電気制御可能な液晶フィルタや絞り機構などを設けてもよい。また、上述した実施形態では減光フィルタとバンドパスフィルタを重ねて使用したが、この形態に限られるものではない。また、上述した実施形態に係る処理の順番は、この形態に限られるものではない。
本発明の一実施形態に係る植物生育情報処理システムを説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る植物生育情報処理システムの携帯型通信端末装置2を説明するための機能ブロック図である。 図2に示した携帯型通信端末装置2のフィルタ22を説明するための図である。(a)は図2に示した携帯型通信端末装置2のフィルタ22の第1具体例を説明するための図である。(b)は(a)に示したフィルタ22を装着した携帯型通信端末装置2を説明するための図である。 図2に示した携帯型通信端末装置のフィルタ22の第2具体例を説明するための図である。 図2に示した携帯型通信端末装置のフィルタ22の第3具体例を説明するための図である。 (a)〜(c)は図2に示した携帯型通信端末装置2のフィルタ22の第4具体例を説明するための図である。 図1に示した植物生育情報処理システムのコンピュータを説明するための機能ブロック図である。 図7に示したコンピュータ3の動作を説明するための機能ブロック図である。 図1に示した植物生育情報処理システムの補正基準情報を生成する動作の一具体例を説明するためのフローチャートである。 図1に示したコンピュータ3が減光率を演算により算出する動作を説明するための図である。(a)は携帯型通信端末装置2の撮影部21の感度曲線を説明するための図である。(b)は撮影部21が減光フィルタなしで撮影した場合の入力光量の度数分布を説明するための図である。(c)は撮影部21が減光フィルタを介して撮影した場合の入力光量の度数分布を説明するための図である。 図1に示した植物生育情報処理システム1の全体の動作を説明するためのフローチャートである。 図1に示した植物生育情報処理システム1の植被率算出時の携帯型通信端末装置2の動作を説明するためのフローチャートである。 図1に示した植物生育情報処理システム1の植被率算出時のコンピュータ3の動作を説明するためのフローチャートである。 図1に示した植物生育情報処理システム1の葉色値算出時の携帯型通信端末装置2の動作を説明するためのフローチャートである。 図1に示した植物生育情報処理システム1の葉色値算出時のコンピュータ3の動作を説明するためのフローチャートである。 図1に示した植物生育情報処理システム1のコンピュータ3の動作の一具体例を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 植物生育情報処理システム
2 携帯型通信端末装置
3 コンピュータ
4 通信路
5 基地局
7 GPS衛星
20 通信部
21 撮影部
22 フィルタ
23 発光部
24 位置情報取得部
25 表示部
26 音声処理部
27 操作入力部
28 メモリ
29 制御回路(CPU)
30 通信部
31 表示部
32 操作入力部
33 記憶部
34 制御回路(CPU)
35 バス(データ通信線)
341 画像補正処理部
342 植被率演算部
343 葉色値演算部
344 生育情報生成部
345 生育診断処理部
346 情報提供部

Claims (5)

  1. 被計測対象の植物の撮影画像から推定できる生育情報に関する処理を行うコンピュータ、および携帯型通信端末装置を有する植物生育情報処理システムであって、
    前記携帯型通信端末装置は、
    表示手段と、
    前記コンピュータとデータ通信を行う第1の通信手段と、
    前記被計測対象の植物の反射光のうち特定波長を規定する規定手段と、
    前記被計測対象の植物の反射光を前記規定手段を介して撮影して画像を取得する撮影手段と、
    前記撮影手段が取得した画像、および当該装置に関する識別情報を関連付けて前記第1の通信手段を介して前記コンピュータに送信し、前記第1の通信手段を介して前記コンピュータから前記生育情報を受信した場合に、当該生育情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を含み、
    前記コンピュータは、
    前記携帯型通信端末装置とデータ通信を行う第2の通信手段と、
    前記第2の通信手段を介して受信した前記画像、および前記識別情報を関連付けて記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された画像に基づいて前記生育情報を生成し、当該生育情報と前記識別情報を関連付けて前記記憶手段に記憶する生育情報生成手段と、
    前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置から前記識別情報を含む指示を受信した場合に、前記記憶手段から当該識別情報に関連付けられた前記被計測対象の植物の前記生育情報を読み出し、当該読み出した生育情報を前記識別情報と関連付けて前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置に提供する提供手段と、を含み、
    前記生育情報は、単位面積当り被計測対象の植物の被覆している割合を示す植被率情報と、被計測対象の植物の葉の色の度合いを示す葉色値情報とを含み、
    前記生育情報生成手段は、前記記憶手段に記憶された画像の全画素数のうち、被計測対象の植物に特定する画素の数に基づいて前記植被率情報を演算により生成し、前記記憶手段に記憶された画像の2つの分光画像の輝度値の比に基づいて被計測対象の植物の前記葉色値情報を演算により生成する
    ことを特徴とする植物生育情報処理システム。
  2. 被計測対象の植物の撮影画像から推定できる生育情報に関する処理を行うコンピュータ、および携帯型通信端末装置を有する植物生育情報処理システムであって、
    前記携帯型通信端末装置は、
    表示手段と、
    前記コンピュータとデータ通信を行う第1の通信手段と、
    前記被計測対象の植物の反射光のうち特定波長を規定する規定手段と、
    前記被計測対象の植物の反射光を前記規定手段を介して撮影して画像を取得する撮影手段と、
    前記撮影手段が取得した画像、前記撮影手段に固有の補正処理を当該画像に施すための補正基準情報、および当該装置に関する識別情報を関連付けて前記第1の通信手段を介して前記コンピュータに送信し、前記第1の通信手段を介して前記コンピュータから前記生育情報を受信した場合に、当該生育情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を含み、
    前記コンピュータは、
    前記携帯型通信端末装置とデータ通信を行う第2の通信手段と、
    前記第2の通信手段を介して受信した前記画像、前記補正基準情報、および前記識別情報を関連付けて記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記補正基準情報に基づいて前記画像に補正処理を施す画像補正処理手段と、
    前記画像補正手段が補正処理を施した画像に基づいて前記生育情報を生成し、当該生育情報と前記識別情報を関連付けて前記記憶手段に記憶する生育情報生成手段と、
    前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置から前記識別情報を含む指示を受信した場合に、前記記憶手段から当該識別情報に関連付けられた前記被計測対象の植物の前記生育情報を読み出し、当該読み出した生育情報を前記識別情報と関連付けて前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置に提供する提供手段と、を含み、
    前記補正基準情報は、前記撮影手段の撮影特性に起因する画像の歪みを補正するために、予め規定された所定形状のパターンが形成された反射基準板を前記撮影手段が撮影して取得した補正基準画像に基づいて生成されている
    ことを特徴とする植物生育情報処理システム。
  3. 被計測対象の植物の撮影画像から推定できる生育情報に関する処理を行うコンピュータ、および携帯型通信端末装置を有する植物生育情報処理システムであって、
    前記携帯型通信端末装置は、
    表示手段と、
    前記コンピュータとデータ通信を行う第1の通信手段と、
    前記被計測対象の植物の反射光のうち特定波長を規定する規定手段と、
    前記被計測対象の植物の反射光を前記規定手段を介して撮影して画像を取得する撮影手段と、
    前記被計測対象の植物の撮影位置に関する位置情報を取得する位置情報取得手段と、
    前記撮影手段が取得した画像、当該画像に関連付けられて前記位置情報取得手段が取得した位置情報および当該装置に関する識別情報を関連付けて前記第1の通信手段を介して前記コンピュータに送信し、前記第1の通信手段を介して前記コンピュータから生育診断情報を受信した場合に、当該生育診断情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を含み、
    前記コンピュータは、
    前記携帯型通信端末装置とデータ通信を行う第2の通信手段と、
    前記第2の通信手段を介して受信した前記画像、当該画像に関連付けられた前記位置情報および前記識別情報を関連付けて記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記位置情報に関連付けられた前記画像に基づいて前記位置情報に対応する前記生育情報を生成し、当該生育情報と前記識別情報を関連付けるとともに、前記位置情報毎および時系列的に前記記憶手段に記憶する生育情報生成手段と、
    少なくとも前記記憶手段が記憶する前記画像、前記生育情報に基づいて、前記位置情報毎に、予め規定された生育モデル式に基づいて被計測対象の植物に関する生育診断処理を行って前記生育診断情報を得る生育診断処理手段と、
    前記第2の通信手段を介して前記携帯型通信端末装置から前記識別情報を含む指示を受信した場合に、前記識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する前記携帯型通信端末装置に、前記生育診断処理手段が生成した前記生育診断情報を前記第2の通信手段を介して提供する提供手段と、を含む
    ことを特徴とする植物生育情報処理システム。
  4. 前記生育情報は、単位面積当り被計測対象の植物の被覆している割合を示す植被率情報と、被計測対象の植物の葉の色の度合いを示す葉色値情報とを含み、
    前記生育診断処理手段は、少なくとも気温情報を変数とする前記生育モデル式で予測した植物の標準的な生長値と、前記被計測対象の植物の前記植被率情報又は前記葉色値情報とを比較することにより、被計測対象の植物の現在の生育の良否を診断する
    ことを特徴とする請求項3に記載の植物生育情報処理システム。
  5. 前記生育情報は、単位面積当り被計測対象の植物の被覆している割合を示す植被率情報と、被計測対象の植物の葉の色の度合いを示す葉色値情報とを含み、
    前記生育診断処理手段は、少なくとも前記植被率情報、前記葉色値情報、および日平均気温情報を変数とした前記生育モデル式により、被計測対象の植物の今後の生育を予測する
    ことを特徴とする請求項3に記載の植物生育情報処理システム。
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