JP7210016B2 - 圃場管理システム - Google Patents
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このような要求への対応として、水栓装置ごとに例えばGPS等に対応して測位が可能な測位デバイスを実装する。そのうえで、水栓装置が取得した自己の位置を、圃場管理システムにおけるサーバに送信させるように構成することができる。
そこで、圃場管理システムとしては、水栓装置自体の位置を測位しなくとも、圃場に設置された水栓装置の位置を示す位置情報を取得できるようにすることが求められる。
<第1実施形態>
[圃場管理システムの全体構成例]
図1は、本実施形態における圃場管理システムの全体的な構成例を示している。本実施形態の圃場管理システムは、複数の圃場における給排水を管理する。
以降の説明にあたり、給水栓100-1~100-3について特に区別しない場合には、給水栓100と記載し、排水栓200-1~200-3について特に区別しない場合には、排水栓200と記載する。また、給水栓100と排水栓200とで特に区別しない場合には、水栓装置(100、200)と記載する。
また、圃場FMに対応する所定の位置にはゲートウェイGWが設置されている。ゲートウェイGWは、水栓装置(100、200)が対応する近距離無線通信とネットワークNTに対応する通信とを接続する機能を有する。ネットワークNTには、ゲートウェイGW、圃場管理サーバ500、及び圃場管理端末600が接続されている。
このように水栓装置(100、200)が設置されることで、まず、ゲートウェイGWと近距離無線通信により直接接続可能な位置に設置される水栓装置(100、200)は、ゲートウェイGWからネットワークNTを経由して圃場管理サーバ500や圃場管理端末600と通信可能に接続される。
また、ゲートウェイGWと近距離無線通信により直接接続が不可な位置に設置される水栓装置(100、200)は、他の1以上の水栓装置(100、200)の中継を介してゲートウェイGWと接続する。このような近距離無線通信の中継により、ゲートウェイGWと近距離無線通信により直接接続が不可な程度に離れた位置に設置される水栓装置(100、200)も、ネットワークNTを経由して圃場管理サーバ500や圃場管理端末600と通信可能に接続される。
なお、ゲートウェイGWは、例えば測位衛星から送信された信号を受信して自己の位置を測定し、測定した自己の位置を示す位置情報を記憶可能であってもよいし、後述する携帯端末700が備えた位置情報取得部703が取得した位置情報に基づき、自己の位置を示す位置情報を記憶してもよい。
また、排水栓200-2は、近距離無線通信による排水栓200-1の中継を経てゲートウェイGWと接続される。排水栓200-3は、近距離無線通信による排水栓200-1、200-2の順での中継を経てゲートウェイGWと接続される。
以降の説明において、上記のように1の水栓装置(100、200)が、近距離無線通信により他の水栓装置(100、200)の中継を経てゲートウェイGWと接続する通信をホップ伝送ともいう。
ファームポンドFPに貯留された用水は、ポンプ(図示せず)によって汲み上げられ、圧力が加えられることによりパイプラインPLに供給される。同図の場合、パイプラインPLは3つの経路に分岐され、それぞれ、給水栓100-1、100-2、100-3と接続されている。これにより、ファームポンドFPからパイプラインPLを経由して送られた用水は、給水栓100-1、100-2、100-3にまで到達する。この際、給水栓100-1、100-2、100-3の栓部が開状態であれば、給水栓100-1、100-2、100-3から圃場に対して用水が供給され、灌漑が行われる。
以降の説明にあたり、水位センサ300-1~300-6について特に区別しない場合には、水位センサ300と記載する。
水位センサ300の設置数が水栓装置(100、200)の設置数より少ない場合には、水位センサ300と通信しない水栓装置(100、200)があってもよい。また、水位センサ300の設置数が水栓装置(100、200)の設置数より多い場合には、複数の水位センサ300と通信する水栓装置(100、200)があってもよい。
圃場面積に対して水位センサ300の数が所定以下の場合には、例えば、圃場管理サーバ500が、水位センサ300により検出された水位の情報を用いて演算を行うことにより、圃場FM全体の水位を推定してよい。
本実施形態の農機400は、近距離無線通信による通信が可能とされている。これにより、農機400は、例えば圃場FMにおいて通信距離の範囲内に位置するゲートウェイGW、水栓装置(100、200)、携帯端末700等と通信可能に接続される。
なお、農機400は、携帯端末700やゲートウェイGWと直接通信が可能とされていてもよい。
給排水管理にあたり、圃場管理サーバ500は、ネットワークNTからゲートウェイGWを経由して圃場FMにおける水栓装置(100、200)と通信を行うことにより、各水栓装置(100、200)における栓部の開閉を制御する。これにより、圃場管理サーバ500は、圃場FMごとに個別に給排水に関する制御を行うことができる。
圃場管理端末600は、圃場管理サーバ500が提供する圃場管理サービスのウェブサイト(圃場管理サイト)に、圃場管理者のユーザアカウントによりログインする。圃場管理端末600は、ログインによりアクセス可能となった圃場管理サイトに対する操作を行って、圃場管理サービスを利用することができる。
携帯端末700は、例えばスマートフォン、タブレット端末などであってよい。携帯端末700には、圃場管理に対応するアプリケーション(圃場管理アプリケーション)がインストールされている。
圃場管理アプリケーションが動作する携帯端末700は、近距離無線通信により、圃場FMにおいて通信距離の範囲内に位置するゲートウェイGW、水栓装置(100、200)、農機400等と通信を行うことができる。携帯端末700は、ゲートウェイGWとの直接接続、あるいは水栓装置(100、200)の中継を介するゲートウェイGWとの接続を経由して圃場管理サーバ500と通信を行うことができる。
図2は、給水栓100の機能構成例を示している。同図の給水栓100は、近距離無線通信部101(第2通信部の一例)、制御部102、記憶部103、給水機構部104、駆動部105、栓操作部106、及び電源部107を備える。
近距離無線通信部101は、近距離無線通信を行う。
水栓装置情報管理部121は、近距離無線通信部101が通信する携帯端末700から送信された位置情報を、位置情報記憶部132に記憶させる。
駆動制御部122は、駆動部105による給水機構部104の駆動を制御する。
計時部123は、現在時刻(日時を含む)を計時する。
なお、携帯端末700は、位置情報に加え、自己が取得した時刻も送信可能とされてよい。携帯端末700は、自己が備える計時部によって計時された時刻を取得してもよいし、ネットワークNT経由での通信により時刻を取得してもよいし、位置情報取得部703が測位衛星から時刻を取得してもよい。そして、携帯端末700は、取得した時刻を送信により出力することが可能とされてよい。携帯端末700は、時刻を位置情報とともに送信してもよいし、位置情報の送信とは異なるタイミングで送信してもよい。そのうえで、制御部102の計時部123は、携帯端末700から送信された時刻を受信し、受信された時刻に基づいて計時部123の現在時刻の設定や補正を行ってもよい。
水栓装置識別子記憶部131は、自己としての水栓装置(給水栓100)を一意に示す識別子である水栓装置識別子を記憶する。
位置情報記憶部132は、近距離無線通信部101が携帯端末700から受信した位置情報を記憶する。位置情報記憶部132が記憶する位置情報は、後述するように圃場FMにおいて給水栓100の設置位置を示すものとして扱われる。
圃場識別子記憶部133は、圃場FMを一意に示す圃場識別子を記憶する。
また、給水機構部104における栓部は、手動による開閉(開度調整)も可能とされている。栓操作部106は、手動により給水機構部104における栓部を開閉する操作が行われる部位である。
あるいは、電源部107は、2次電池または1次電池などの所定の規格の電池により電源を供給するようにされたうえで、電池の残量が少なくなった場合には電池を交換するようにして使用されるものであってもよい。
図3は、排水栓200の機能構成例を示している。同図の排水栓200は、近距離無線通信部201(第2通信部の一例)、制御部202、記憶部203、給水機構部204、駆動部205、栓操作部206、及び電源部207を備える。
近距離無線通信部201は、近距離無線通信を行う。
水栓装置情報管理部221は、近距離無線通信部201が通信する携帯端末700から送信された位置情報を、位置情報記憶部232に記憶させる。
駆動制御部222は、駆動部205による給水機構部204の駆動を制御する。
計時部223は、現在時刻を計時する。
水栓装置識別子記憶部231は、自己としての水栓装置(排水栓200)を一意に示す識別子である水栓装置識別子を記憶する。
位置情報記憶部232は、近距離無線通信部201が携帯端末700から受信した位置情報を記憶する。位置情報記憶部232が記憶する位置情報は、後述するように圃場FMにおいて排水栓200の設置位置を示すものとして扱われる。
圃場識別子記憶部233は、圃場FMを一意に示す圃場識別子を記憶する。
また、給水機構部204における栓部は、手動による開閉(開度調整)も可能とされている。栓操作部206は、手動により給水機構部204における栓部を開閉する操作が行われる部位である。
図4は、圃場管理サーバ500の機能構成例を示している。同図の圃場管理サーバ500は、通信部501、制御部502、及び記憶部503を備える。
通信部501は、ネットワークNT経由で通信を行う。
情報処理部521は、圃場管理サーバ500における各種の情報処理を実行する。例えば、情報処理部521は、水栓装置(100、200)を示す水栓装置識別子を含む水栓装置情報を、携帯端末700またはゲートウェイGWによるネットワークNTとの接続を経由して水栓装置(100、200)から取得する。情報処理部521は、取得された水栓装置情報を水栓装置情報記憶部531に記憶させることができる。
水栓装置情報記憶部531は、水栓装置情報を記憶する。作業履歴情報記憶部532は、作業履歴情報を記憶する。農機関連情報記憶部533は、農機に対応する情報として、位置対応農機情報を記憶する。農機関連情報は、圃場FMにおける或る位置に対応する場所における農機400の稼働結果に関連する情報である。
図5は、携帯端末700の機能構成例を示している。同図の携帯端末700は、近距離無線通信部701(第1通信部の一例)、ネットワーク対応通信部702、位置情報取得部703、制御部704、記憶部705、操作部706、及び表示部707を備える。
ネットワーク対応通信部702は、ネットワークNTに対応する通信を行う。
位置情報取得部703は、自己の位置を測定(測位)することで、自己の位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部703は、例えば、測位衛星から送信された信号を受信し、受信した測位情報(衛星位置、時刻)に基づいて自己位置を検出するGPS(Global Positioning System)に対応して測位を行うようにされてよい。
また、位置情報取得部703が測位する位置精度を向上させるため、予め位置の確定している基準局が発信する補正測位情報と測位衛星の測位情報とを合わせて自己位置を検出するDGPS(ディファレンシャルGPS)やRTK-GPS(リアルタイムキネティックGPS)に対応した測位を行ってもよい。この場合、補正測位情報を発信する基準局を圃場管理システムの構成に新たに加えてもよいが、ゲートウェイGWや水栓装置(100、200)に付与してもよく、ゲートウェイGW及び水栓装置(100、200)の設置時に位置情報を設定しておくことで、これらについて補正測位情報を発信する基準局として用いることができる。
例えば作業者WKは、圃場FMにて作業した際に、行った作業に関する情報を携帯端末700に入力する操作を行う。圃場管理処理部742は、入力された作業情報と、近距離無線通信部701と通信している水栓装置100から取得した水栓装置情報とを対応付けた作業履歴情報を生成(取得)し、取得された作業履歴情報を圃場管理サーバ500に送信する。
圃場管理処理部742は、受信された指示書データに基づく作業指示を作業者WKに向けて出力することができる。作業指示の出力は、例えば、表示部707に対する表示により行われてよい。作業指示の出力は、例えばプッシュ通知により行われてもよい。
農機400から送信された農機情報は、例えば農機400に搭乗して運転する作業者WKが所持する携帯端末700の近距離無線通信部701が受信する。
圃場管理処理部742は、近距離無線通信部701により受信された農機情報を取得する。
圃場管理処理部742は、取得された農機情報と、近距離無線通信部701により通信を行っている水栓装置(100、200)とを対応付けた水栓装置対応農機情報を、圃場管理サーバ500に送信する。農機情報を水栓装置(100、200)と対応付けるにあたっては、農機情報を、水栓装置(100、200)の位置情報、水栓装置識別子、または、水栓装置(100、200)の位置情報と水栓装置識別子との少なくとも一方と対応付けられた圃場識別子のいずれかに対応付けてよい。水栓装置(100、200)の位置情報または水栓装置識別子と農機情報を対応付けた場合には、水栓装置(100、200)ごとに対応して、その周辺で行った農機400の作業や収穫物に関する農機情報を、水栓装置対応農機情報を得ることができる。
操作部706は、携帯端末700が備える操作デバイスを一括して示す。操作部706が備える操作デバイスには、例えば所定操作に対応するボタンのほか、タッチパネルも含まれてよい。
表示部707は、制御部704の表示制御に応じて画像を表示する。
本実施形態における圃場管理システムにおいては、例えば圃場管理端末600や携帯端末700にて、地図画像上で、圃場FMに設置された水栓装置(100、200)に対応するアイコン(水栓装置アイコン)を、設置された位置に配置させて表示することができる(地図対応水栓装置表示)。このような地図対応水栓装置表示の画像は、圃場管理サーバ500から、圃場管理端末600や携帯端末700に送信される。
上記の地図対応水栓装置表示にあたっては、圃場FMに設置された水栓装置(100、200)の位置情報に基づき、地図画像上に水栓装置アイコンを配置させることが行われる。従って、地図対応水栓装置表示を実現するには、圃場管理サーバ500が圃場FMに設置された水栓装置(100、200)ごとの位置情報を取得可能なようにすることが必要になる。
そこで、本実施形態においては、以下の構成により、水栓装置(100、200)自体の位置情報がなくとも、圃場管理システムにおいて、圃場FMに設置された水栓装置(100、200)の位置を示す位置情報が取得可能なようにする。なお、以下の構成は、水栓装置(100、200)が測位デバイスを備える場合にも適用できる。この場合には、例えば測位デバイスが故障していても水栓装置(100、200)の位置情報を取得できる。また、水栓装置(100、200)における電力の節約等のために測位デバイスの動作を停止させるモードとしているような状態のもとでも、水栓装置(100、200)の位置情報を取得できる。
ステップS101:作業者WKは、設定対象の水栓装置(100、200)のすぐ近くに位置する。設定対象の水栓装置(100、200)のすぐ近くに作業者WKが位置する状態では、設定対象の水栓装置(100、200)と携帯端末700とは、互いに近距離無線通信の通信範囲内にあることから、相互に近距離無線通信による接続を確立させる。
携帯端末700において水栓装置情報送信部741は、設定指示操作が行われるのを待機する。
なお、ステップS104の処理は、水栓装置(100、200)が、初期状態として水栓装置識別子を記憶していない場合に対応する。水栓装置(100、200)が、水栓装置(100、200)ごとに一意となる水栓装置識別子として利用される識別子を予め記憶している場合には、同図の処理は省略されてよい。
ステップS203:水栓装置情報が受信されると、水栓装置情報管理部(121、221)は、受信された水栓装置情報に含まれている水栓装置識別子を、水栓装置識別子記憶部(131、231)に記憶させる。
ステップS204:また、水栓装置情報管理部(121、221)は、受信された水栓装置情報に含まれている位置情報を、位置情報記憶部(132、232)に記憶させる。このように記憶された位置情報は、設定対象の水栓装置(100、200)の位置を示す位置情報として扱われる。
ステップS205:また、水栓装置情報管理部(121、221)は、受信された水栓装置情報に含まれている圃場識別子を、圃場識別子記憶部(133、233)に記憶させる。
ステップS207:計時部(123、223)は、時刻情報が受信されると、自己が管理する時刻を、受信された時刻情報が示す時刻に設定(修正)する。携帯端末700において、制御部704は、測位衛星から送信された時刻に基づき時刻修正を行ったり、ネットワークNTと接続された際に時刻同期を行うようにされている。このため、定常的に、制御部704が管理する現在時刻の誤差はわずかである。これに対して、水栓装置(100、200)における計時部(123、223)は、内部クロックを利用して時刻を管理していることから、初期状態では、正しい時刻が設定されていない可能性がある。ステップS107、S206、S207の処理が行われることで、水栓装置(100、200)にて高い精度の時刻が設定される。
即ち、本実施形態においては、水栓装置(100、200)が測位デバイスを実装していなくとも、圃場管理システムにおいて水栓装置(100、200)ごとの位置情報を取得することが可能とされている。
上記のようにして、圃場管理サーバ500が水栓装置(100、200)の位置情報を含む水栓装置情報を記憶することにより、圃場管理システムにおいては、例えば以下のように水栓装置(100、200)の開閉制御を行うことが可能となる。以下の開閉制御の説明にあたり、圃場管理者が圃場管理端末600を操作する場合を例に挙げるが、作業者WKが携帯端末700を操作することによっても、同様に開閉制御を行える。
例えば、圃場管理者が、1つの水栓装置(100、200)を指定して、栓部を閉状態から100%の開状態とする開度指定操作を圃場管理端末600に行った。圃場管理端末600は、開度指定操作により指定された水栓装置(100、200)に対応する水栓装置アイコンが配置された地図画像上の位置情報と、開度指定操作により指定された栓部の開度の情報とを含む開度指示情報を圃場管理サーバ500に送信する。
制御対象の水栓装置(100、200)における駆動制御部(122、222)は、受信された開度制御情報が示す開度となるように給水機構部204における栓部を駆動する。
また、圃場管理サーバ500が水栓装置(100、200)の位置情報を含む水栓装置情報を記憶することにより、圃場管理システムにおいて、作業者WKが圃場FMにて行った農作業の履歴を、例えば以下のように管理することができる。
なお、完了作業入力操作は、複数の作業を完了させた後に一括して行ってもよい。この場合において、複数の作業を完了させた後、作業を完了させた圃場FM外の場所で完了作業入力操作を行ってもよい。また、完了作業入力操作は、携帯端末700からだけでなく、圃場管理端末600から行えるようにされてもよい。この場合、作業された位置を地図上で指定する操作が行われたことに応じて、指定された位置の付近にある水栓装置(100、200)と自動で対応付けされるようにしてもよい。さらに、指定された位置の付近に存在する複数の水栓装置(100、200)を圃場管理端末600や携帯端末700の操作画面に表示し、作業者WKの判断で作業場所に対応する水栓装置(100、200)を選択する操作が行えるようにされてもよい。さらに、圃場管理端末600や携帯端末700の操作画面において、携帯端末700の測位情報から作業者WKの移動軌跡を表示し、移動軌跡として示される位置のうちから、作業が行われた位置を作業者WKが選択する操作が行えるようにしてもよい。
なお、完了作業入力操作が行われた際に、携帯端末700は、位置情報取得部703により測位して得られた位置情報と、圃場管理サーバ500に記憶された水栓装置(100、200)の位置情報とを照合し、作業者WKが所持する携帯端末700に最も近い水栓装置(100、200)を、自動で作業履歴情報に含めるようにしてもよい。また、作業者WKが所持する携帯端末700の周辺に存在する複数の水栓装置(100、200)を携帯端末700の操作画面に表示し、作業者WKの判断で水栓装置(100、200)を選択する操作が行えるようにされてもよい。
圃場管理サーバ500における情報処理部521は、受信された作業履歴情報を、作業履歴情報記憶部532に記憶させる。このようにして作業履歴情報記憶部532には、圃場FMにて行われた作業についての履歴が蓄積される。
このように、本実施形態においては、作業者WKが行った作業の履歴を示す作業履歴情報として、作業が行われた位置を含めて管理できる。
作業履歴情報記憶部532に記憶された作業履歴情報は、例えば次期作付の際に、圃場FMにおける場所ごとの作業スケジュールの策定、修正等に利用できる。
あるいは、作業履歴情報に含まれる水栓装置情報としては、例えば水栓装置識別子を含み、圃場識別子や位置情報は含まれていなくともよい。この場合、圃場管理サーバ500における情報処理部521は、作業履歴情報に含まれる水栓装置識別子に対応する圃場識別子や位置情報を、水栓装置情報記憶部531から取得できる。
また、本実施形態の圃場管理システムにおいては、以下のように作業者WKに対して圃場FMでの作業指示を行うことができる。
まず、圃場管理者は、作業日より前の段階で、圃場管理サーバ500にアクセスさせた圃場管理端末600を操作して、作業日当日において作業者WKが行う作業を指示する指示書データを作成する。指示書データの作成にあたり、圃場管理者は、例えば作業者WKが行う作業スケジュールを指定する。つまり、圃場管理者は、例えば作業スケジュールの作成にあたり、作業日における時刻に対して、作業者WKが行うべき作業種別と当該作業種別の作業を行う圃場FM内の場所(作業場所)を指定する操作を行う。作業場所を指定する操作は、例えば圃場管理サーバ500に表示させた地図画像上における圃場FMにおいて作業場所となる範囲において代表となる地点を指定する操作であればよい。
水栓装置(100、200)は、圃場FMの端側の場所に設置されることが一般的である。このような場所に設置されることで、水栓装置(100、200)は、圃場FMの中に立ち入らなくとも、水栓装置(100、200)を見回ったり、メンテナンスしたりすることができる。このような場所に設置される水栓装置(100、200)は、作業のために作業者WKが作業を行う際に、例えば苗、肥料、農薬、資材等の作業に用いる物を集めて置いておくなどの起点となる場所としての目安となる。このため、水栓装置(100、200)の位置を作業場所における主要地点として設定することは、実際の作業に適合している。
なお、前述の作業場所を指定する操作として、例えば圃場管理サーバ500に表示させた地図画像上における圃場FMにおいて作業場所に最も近い水栓装置を指定する操作が行われるようにした場合には、操作により指定された水栓装置(100、200)の位置をそのまま作業場所における主要地点として設定できる。
携帯端末700に表示される作業スケジュールの画面においては、例えば圃場FMを含む地図画像が表示され、地図画像上には、作業の起点として、主要地点として設定された水栓装置(100、200)の位置が示される。
作業者WKは、このように表示される作業スケジュールの画面をみて、自分が行うべき作業を確認しながら確実に作業を進めていくことができる。
このように記憶された作業履歴情報は、例えば次期における指示書データの作成にあたって作業スケジュールを修正する際に利用することができる。
また、本実施形態の圃場管理システムにおいては、圃場FMにて稼働する農機400の稼働結果に基づく農機情報を、以下のようにして管理することができる。以降の説明にあたり、農機400は、農作物の収穫に対応して稼働されるものである場合を例に挙げる。
また、本実施形態の農機400がコンバイン(収穫機)である場合には、稼働中において、収穫された農作物(収穫物)を分析して、収穫物のタンパク質や水分量等の収穫物分析情報を取得することができる。農機400は、収穫物分析情報を農機情報に含めたうえで、農機情報を携帯端末700に送信することができる。
また、農機400が無人航空機である場合には、無人航空機が、上空から圃場FMの水分量(作物の水分量でも土壌水分量でもよい)を測定し、測定された水分量の情報を含む農機情報と自己の位置を測位して得られた位置情報とを対応付けた位置対応農機情報を圃場管理サーバ500に送信するようにしてよい。この場合、例えば無人航空機と通信可能な場所に位置する携帯端末700や、水栓装置(100、200)、ゲートウェイGW等による中継を介した経路で圃場管理サーバ500に位置対応農機情報が伝送されるようにしてよい。あるいは、携帯端末700や水栓装置(100、200)を中継することなく、無人航空機が直接的にネットワークNTを接続して圃場管理サーバ500に位置対応農機情報が伝送されるようにしてもよい。
また、無人航空機は、圃場FMの移動中において通信距離の範囲内となって通信可能となった水栓装置(100、200)に関する情報(例えば、水栓装置(100、200)から取得される水栓装置の状態を示す情報等が含まれてよい)も位置対応農機情報に対応付けて送信するようにしてよい。
圃場管理サーバ500は、上記のようにして蓄積される位置対応農機情報に基づいて、圃場FM全体の水分量の分布を導出することができる。この場合において、圃場管理サーバ500が複数の圃場FMに対応する位置対応農機情報を蓄積している場合には、複数の圃場FMを包括した範囲の水分量の分布を導出してもよい。
例えば圃場FMに設けられた水位センサによって水位を測定することはできるが、この場合には、水位センサ周囲の水位に限定され、圃場FM全体の水位を把握することが難しい。これに対して、上記のように水分量の情報を含む位置対応農機情報を利用すれば、圃場FM全体を対象に水分量の分布を把握できる。
なお、圃場管理処理部742は、受信された農機情報に、農機情報が受信されたタイミングで携帯端末700が近距離無線通信により接続されている水栓装置(100、200)の水栓装置情報(位置情報と水栓装置識別子との少なくともいずれか1つが含まれていればよい)と対応付けた位置対応農機情報を生成してもよい。
圃場管理処理部742は、上記のように生成した位置対応農機情報を圃場管理サーバ500に送信する。
なお、例えば農機400に、上記の圃場管理処理部742と同様の処理を実行させてもよい。この場合、農機400は、携帯端末700を経由することなく、近距離無線通信により水栓装置(100、200)から水栓装置情報を取得できる。
例えば、圃場管理サーバ500は、農機関連情報記憶部533に記憶された位置対応農機情報ごとについて、水栓装置(100、200)の位置に基づいて、作業履歴情報記憶部532に記憶される作業履歴情報を対応付ける。
このように対応付けられた作業履歴情報と位置対応農機情報とによっては、水栓装置(100、200)の位置を基準とする場所ごとにおける、農作業(水位、給排水履歴、肥料、農薬散布時期等)の履歴と、収穫物情報により示される収穫物の品質とを対応付けることができる。
例えば、圃場管理サーバ500の情報処理部521は、このような農作業の履歴と収穫物の品質との対応関係を、水栓装置(100、200)に対応する位置ごとに解析することで、収穫物の品質が圃場FMにおけるどの場所においても良好に保てるような農作業の内容、スケジュールを策定できる。
また、作物の成長速度によっても必要とされる水分量が変化する。そこで、無人航空機により測定した作物の高さ、大きさなどの作物の成長に関する情報も位置対応農機情報に含めて管理することで、例えば圃場管理サーバ500が、作物の成長度合い(成長率)を導出するようにされてよい。このような作物の成長度合いも、例えば圃場FMにおける分布が把握されるようにして導出されてよい。作業者は、導出された作物の成長度合いを参考に、必要とされる水分量を判断し、水栓装置(100、200)をどのように稼働させるべきかを決定できる。また、圃場管理サーバ500が、導出された作物の成長度合いの情報に基づき、水栓装置の稼働計画を策定し、圃場管理端末600や携帯端末700にて稼働計画が提示されるようにしたり、水栓装置(100、200)を制御したりしてよい。
また、無人航空機は、圃場FMの上空から水温を測定し、測定された水温の情報を含む位置対応農機情報を生成するようにされてもよい。圃場管理サーバ500は、位置対応農機情報が示す水温に基づいて、圃場FMにおける水温の分布状況を圃場管理端末600や携帯端末700にて提示させてよい。また、圃場管理サーバ500が、導出された水分量の分布の情報に基づき、水栓装置(100、200)を制御したりしてよい。
そこで、無人航空機やトラクタ等の農機400により、圃場FM全体の高低差を測定し、測定された高低差の情報が位置対応農機情報に含まれるようにしてよい。
このように位置対応農機情報に含められた圃場FMにおける高低差の情報は、例えば、以下のように利用することができる。つまり、作業者WKは、高低差の情報や水分量の情報等に基づいて、給水、排水を適切に行える給水栓100、排水栓200の設置位置や、液肥の導入位置を的確に判断することができる。また、このような判断を、圃場管理サーバ500等が実行可能なようにされてよい。この場合、判断結果に基づいて、例えば圃場FMの地図画像上で、給水栓100、排水栓200の設置位置、高低差、水分量とを重ねたり対比させたりした表示が、圃場管理端末600や携帯端末700にて行われるようにしてよい。また、圃場管理サーバ500は、圃場FMにおける平均高度を算出し、算出された平均高度を圃場FMの地図画像上に表示させてもよい。
このような給水栓100、排水栓200の設置位置や、液肥の導入位置の判定内容に従って、例えば作業者WKが、給水栓100、排水栓200の設置を行ったり、液肥の導入位置を設定したりすることで、圃場FMにおける水位や液体肥料の分布を均一化し、収穫物の品質ばらつきを低減することが可能になる。
このための構成として、例えば農機400に搭乗して作業者WKが運転する場合には、携帯端末700が水栓装置(100、200)と自己の位置とを比較し、一定以内の距離となった場合に、携帯端末700が音、表示等により警告を出力するようにされてよい。あるいは、携帯端末700は、農機400と近距離無線通信を行うことで、農機400から警告が出力されるようにしてよい。
あるいは、農機400が圃場管理サーバ500あるいは携帯端末700から水栓装置(100、200)の位置情報を取得したうえで、農機400が自己について測位した位置と、水栓装置(100、200)の位置とを比較し、一定以内の距離となった場合に警告を出力したり、停止や回避に応じた所定の動作を行うようにされてよい。このような構成であれば、農機400が自動運転により稼働される場合にも警告の出力や、自動での農機400の走行停止や回避のための移動等が可能となる。
さらに、農機400を自動運転させる場合や、農機400に作業者の運転補助をさせる場合には、位置情報の精度を高める必要がある。そこで、水栓装置(100、200)や水栓装置(100、200)と接続されるゲートウェイGWを農機400の位置を補正するための補正測位情報を配信する基準局としてもよい。これにより、測位デバイスを備えた農機400と、補正測位情報を配信する水栓装置(100、200)やゲートウェイGWとが常に近距離無線通信を行うことにより、農機400の位置精度を高め、農機400を自動運転させたり、農機400に運転者の運転補助を行わせたりすることができる。
続いて、本実施形態の第2実施形態について説明する。
図7は、本実施形態の番水管理に対応する圃場管理システムの全体的な構成例を示している。同図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
同図においては、ファームポンドFPの下流のパイプラインPLは、2つのパイプラインPLB-1、PLB-2に分岐されている。
同図では、パイプラインPLB-1の系統に対応して6つの圃場FM-11~FM-16が存在し、パイプラインPLB-2の系統に対応して6つの圃場FM-21~FM-26が存在している例が示されている。
同図の説明にあたり、圃場FM-11~FM-16、FM-11~FM-26について特に区別しない場合には、圃場FMと記載する。また、パイプラインPLB-1、PLB-2について特に区別しない場合には、パイプラインPLBと記載する。
同図のように、2系統のパイプラインPLB-1、PLB-2に対応して圃場FMが配置されている場合、圃場管理サーバ500は、例えばパイプラインPLB-1、PLB-2に対応する系統ごとに並行して番水制御を行うことができる。一具体例として、圃場管理サーバ500は、パイプラインPLB-1の系統に対応しては、圃場FM-11~FM-16の順で一定時間ごとに給水が行われるように、圃場FM-11~FM-16の給水栓100の開閉を制御する。これと並行して、圃場管理サーバ500は、パイプラインPLB-2の系統についても、パイプラインPLB-2の系統と同様に、圃場FM-21~FM-26の順で一定時間ごとに給水が行われるように、圃場FM-21~FM-26の給水栓100の開閉を制御する。
用水路管理サーバ800は、このようにパイプラインPLB-1、PLB-2に用水が流れないように制御した場合、圃場管理サーバ500に対して、パイプラインへの用水供給を停止したことの通知(用水停止通知)を送信する。
圃場管理サーバ500は、これまで番水計画に従って番水制御を行っていたのであるが、用水停止通知を受信した場合には、全ての圃場FMにおける給水栓100の栓部を閉状態とするように制御する。これに伴い、圃場管理サーバ500は、番水計画に従った番水制御を停止する。なお、この際に、圃場管理サーバ500は、例えば状況に応じて、全ての圃場FMのうちから一部の圃場FMを選択し、選択した圃場FMにおける給水栓100の栓部を閉状態とするように制御してもよい。
例えば、番水制御によって1つの圃場FMに供給可能な用水が、例えば水量あるいは供給時間により規定以下に制限される状況のもとで、規定以上の水量を供給してもらいたい圃場管理者は、用水増加受給を申請する。用水増加受給の申請は、例えば圃場管理者が、圃場管理サーバ500にアクセスさせた圃場管理端末600を操作して行えるようにされてよい。
用水増加受給の申請を受けた圃場管理サーバ500は、用水増加受給の申請を行った圃場管理者の圃場FMに、規定以上の用水が供給されるように番水計画を変更し、変更された番水計画に従って番水制御を行う。
そのうえで、圃場管理サーバ500は、用水増加受給の申請を行った圃場管理者に対して、供給した用水の増加分に応じた料金を算出し、算出した料金を課金する処理を実行する。
なお、本実施形態の圃場管理システムの変形例として、ゲートウェイGWを備えない構成とされてもよい。
ゲートウェイGWを備える場合、圃場FMに設置された水栓装置(100、200)は、他の水栓装置(100、200)とのホップ伝送を経由してゲートウェイGWと接続することで、ネットワークNTとの接続が可能とされていた。しかしながら、ゲートウェイGWを備える場合には、水栓装置(100、200)は、ゲートウェイGWを介してネットワークNTと接続できないことになる。
このようにゲートウェイGWを備えない場合、水栓装置(100、200)は、それぞれ、通信距離の範囲内に到達した携帯端末700と接続された際に、携帯端末700を経由してネットワークNTと接続すればよい。
例えば、本変形例の場合には、図6の処理によって水栓装置(100、200)にて水栓装置情報(水栓装置識別子、位置情報、圃場識別子)が設定(記憶)されたことに応じて、水栓装置(100、200)は、以下の処理を実行すればよい。つまり、水栓装置(100、200)の水栓装置情報管理部(121、221)は、携帯端末700を経由して、設定された水栓装置情報を、圃場管理サーバ500に送信するように処理を実行する。
Claims (6)
- 携帯端末と水栓装置とを備え、
前記携帯端末は、
自己の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
通信距離の範囲内に位置する他の装置と通信する第1通信部と、
前記位置情報取得部により取得された位置情報を、前記第1通信部が通信する前記水栓装置に送信する水栓装置情報送信部とを備え、
前記水栓装置は、
通信距離の範囲内に位置する他の装置と通信する第2通信部と、
前記第2通信部が通信する携帯端末から送信された位置情報を、位置情報記憶部に記憶させる水栓装置情報管理部とを備える
圃場管理システム。 - 圃場管理サーバをさらに備え、
前記圃場管理サーバは、水栓装置を示す水栓装置識別子を含む水栓装置情報を、前記携帯端末またはゲートウェイによるネットワークとの接続を経由して前記水栓装置から取得し、取得された水栓装置情報を水栓装置情報記憶部に記憶させる情報処理部を備える
請求項1に記載の圃場管理システム。 - 前記携帯端末は、
圃場で行われた作業に関する作業情報を入力し、入力された作業情報と、前記第1通信部と通信している前記水栓装置から取得した水栓装置情報とを対応付けた作業履歴情報を取得し、取得された作業履歴情報を圃場管理サーバに送信する圃場管理処理部を備え、
前記圃場管理サーバは、
受信された作業履歴情報を作業履歴情報記憶部に記憶させる情報処理部を備える
請求項2に記載の圃場管理システム。 - 前記圃場管理サーバは、
圃場管理端末から送信される農作業の指示内容を所定の位置の水栓装置に対応させた作業指示情報を取得し、取得された作業指示情報のうちで、前記携帯端末が前記第1通信部により通信を行っている水栓装置に対応する作業指示情報を、前記携帯端末に送信する情報処理部を備え、
前記携帯端末は、
受信された作業指示情報に基づく作業指示を作業者に向けて出力する圃場管理処理部を備える
請求項2または3に記載の圃場管理システム。 - 前記携帯端末は、
圃場にて稼働する農機から、稼働結果に基づく農機情報を取得し、取得された農機情報を、前記位置情報取得部により取得された位置情報または前記第1通信部により通信を行っている水栓装置と対応付けた位置対応農機情報を、前記圃場管理サーバに送信する圃場管理処理部を備え、
前記圃場管理サーバは、
受信された位置対応農機情報を農機関連情報記憶部に記憶させる情報処理部を備える
請求項2から4のいずれか一項に記載の圃場管理システム。 - 前記位置対応農機情報は、
収穫された農作物を前記農機が分析して得られた収穫物分析情報を含む
請求項5に記載の圃場管理システム。
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