JP4011005B2 - 使い捨てマスク - Google Patents

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Description

本発明は、着用感に優れた使い捨てマスクに関するものである。
最近、洗濯して繰り返し使用する布製のマスクに代わり、不織布シートや紙からなる使い捨てタイプのマスクが多く用いられている。
このような使い捨てタイプのマスクとしては、例えば通気性ある不織布シートを所定形状に裁断して、鼻から口にかかる部分を覆うマスク部と、左右の耳と係合する係合部とを一体的に形成したものがあげられる(例えば特許文献1を参照)。また、フィルタ素材をカップ状に成形し、このカップに、左右の耳にかけるための紐を取り付けたものもある(例えば特許文献2を参照)。
さらに、鼻から口にかかる部分を低伸縮性シート材料で形成し、その左右両側に、比較的高伸縮性のシート状繊維材料で形成した耳掛け用の環状部を取り付けたものもある(例えば特許文献3を参照)。
特開平11−114080号公報 特開2000−217940号公報 特開平7−275384号公報
しかしながら、1枚の不織布シートで平面的に形成した特許文献1のマスクは、平面のものを顔面に沿わせて着用するため、耳への負担が大きいとともに、口に不織布シートがぴったり当たってしゃべりにくかったり息苦しかったりするという問題がある。
また、カップ状に成形した特許文献2のマスクは、口元は比較的自由であるが、カップの輪郭がぴったり顔に沿いにくいため、フィルタ機能を高めるには、きつく顔面に押しつけた状態で固定しなければならず、着用感が悪いという問題がある。
一方、特許文献3のマスクは、口元の自由感、耳への着用感ともある程度改善されているが、鼻から口にかかる部分が、低伸縮性シートで形成されているため、がばがばした感じで、口や顔のうごきに伴ってずれやすく、顔面にぴったり沿うという着用感と充分なフィルタ機能は得られない。また、鼻から口にかかる正面部と、左右の耳掛け部とを接合する接合部が、そこだけ厚肉になるため着用時に気になるという問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、顔面に密着して沿うためフィルタ機能が高く、しかも着用感に優れ、口を動かしても違和感のない使い捨てマスクの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、2枚の左右対称な略扇状の、下記の弾性繊維シート(A)からなる左右のマスク材が、互いの輪郭が重なるように重ねられ、その円弧状縁部が所定幅で溶着されており、左右のマスク材のそれぞれに、略扇状の略中央部から要方向に向かって細長く延びる切欠き穴が形成されている使い捨てマスクであって、上記マスク材を左右に開いて顔に当て、上記溶着部を鼻先の上からあごの下まで当て、上記切欠き穴を左右の耳に係合させて着用するようになっており、上記左右のマスク材を重ねた状態において、円弧状溶着部のうち上端から所定長の部分が、上記溶着部を斜めに横切る直線で溶断除去されており、溶着部上端部の鼻への追従性が高められている使い捨てマスクを第1の要旨とする。
(A)ポリウレタン弾性繊維からなる不織布シートであって、目付50〜150g/m 2 、横方向の引張強度600〜3500cN/2.54cm、横方向の引張伸度300〜500%、横方向の100%伸長回復率80%以上に設定されている弾性繊維シート。
また、本発明は、上記使い捨てマスクのなかでも、特に、上記溶着部の幅が、2〜7mmに設定されている使い捨てマスクを第2の要旨とし、そのなかでも、特に、上記弾性繊維シート抗菌剤、殺菌剤、導電剤および帯電防止剤の少なくとも一つが含有されている使い捨てマスクを第3の要旨とする。
さらに、本発明は、それらの使い捨てマスクのなかでも、特に、上記溶着部が、2枚のマスク材の重なり部に、さらに少なくとも一枚の弾性繊維シートをさらに重ねた状態で形成されている使い捨てマスクを第の要旨とし、上記溶着部が、2枚のマスク材の重なり部に、樹脂パイプを挟み込んだ状態で形成されている使い捨てマスクを第の要旨とする。
すなわち、本発明の使い捨てマスクは、全体が、特殊な構成の弾性繊維シート(A)で立体的に構成されており、鼻から口にかけての中心部に、左右のマスク材を溶着する溶着部が縦に延びてリブ的な働きをするため、左右のマスク材が顔面に沿って柔軟に追従しても、鼻から口にかけてはマスク材が貼りつかず、口の動きや呼吸が非常にしやすい、という利点を有する。しかも、上記溶着部の上部が、所定範囲だけ切欠き除去されているため、その除去縁部が、鼻先に柔軟に沿って密着し、どんな鼻形状の人にとっても、マスク上縁部と下縁部の密着性が高く、高いフィルタ機能を得ることができる。そして、全体がしっくり顔面に沿うため、耳との係合部が無理に引っ張られることもない。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の使い捨てマスクの一実施の形態を示している。この使い捨てマスク(以下、単に「マスク」という)は、2枚の左右対称な略扇状の弾性繊維シートからなる左右のマスク材1,2が、互いの輪郭が重なるように重ねられ(図ではわざとずらしてそれぞれの輪郭を見せている)、その円弧状縁部が、5mm間隔で平行に伸びる2本の溶着ライン3,4で溶着されている(図3参照)。
そして、上記2本の溶着ライン3,4で挟まれる溶着部Pのうち、上端からの距離L=30mmの部分が、溶着部Pを斜めに横切る直線で溶断除去されており、その除去縁部5も、互いに溶着されている。なお、上記除去縁部5の下端点Xにおける溶着部Pの接線Qと、除去縁部5の斜め線Rとがなす角度θは、30°に設定されている。
また、各マスク材1,2を互いに重ねた形状において、その上縁部は、上記除去縁部5の上端点Yから扇の要方向(図1において左方向)に向かって、その略中央まで下り傾斜で下降し、その後、殆ど水平に近いゆるやかな上り傾斜で延びている。一方、各マスク材1,2の下縁部は、溶着部Pの下端点Zから扇の要方向に向かって、ゆるやかな上向き円弧状(曲率半径115mm)に形成されている。
そして、上記左右のマスク材1,2には、略扇状の略中央部から要方向に向かって、図示のように細長く延びる切欠き穴6,7が形成されている。これらの穴6,7は、このマスクを顔に着用する場合に、左右の耳に係合させるためのもので、やや下向き円弧状の形状になっている。なお、切欠き穴6,7は、左右両端にいくほど幅が狭くなるよう設定されているが、その左右の切欠き端8,9は、鋭角的に切り欠かれているのではなく、直径6mmの円形の切欠きになっている。これは、鋭角的な切欠きでは、この部分を繰り返し耳に着脱すると、その部分から破れてくるおそれがあるため、破れにくくしたものである。
上記マスクは、互いに重なる左右のマスク材を、図2に示すように、左右に開いて顔に当てると同時に、その中心線となる溶着部Pを鼻先の上からあごの下まで当て、上記切欠き穴6,7を左右の耳に係合させることにより着用することができる。
上記マスクによれば、全体が、弾性繊維シートで立体的に構成されており、鼻から口にかけての中心部に、左右のマスク材を溶着する溶着部Pが縦に延びてリブ的な働きをするため、左右のマスク材が顔面に沿って柔軟に追従しても、鼻から口にかけてはマスク材が貼りつかず、口の動きや呼吸が非常にしやすい、という利点を有する。しかも、上記溶着部Pの上部が、所定範囲だけ切欠き除去されているため、その除去縁部5が、鼻先に柔軟に沿って密着し、どんな鼻形状の人にとっても、マスク上縁部と下縁部の密着性が高く、高いフィルタ機能を得ることができる。そして、全体がしっくり顔面に沿うため、耳との係合部が無理に引っ張られることもない。
なお、本発明において、上記左右のマスク材に用いられる弾性繊維シートを構成するための繊維素材としては、ポリウレタン弾性繊維からなる不織布であることが、柔軟性、顔面への追従性、加工性等の点で、必要である。なお、場合によっては、上記弾性繊維の一部を、非弾性繊維に置き換えることもできる、伸縮性、柔軟性の点から、非弾性繊維を用いる場合は、その割合を、繊維全体に対し10重量%以下に設定することが望ましい。
そして、本発明に用いられる弾性繊維シートとしては、その目付が、50〜150g/m2 に設定されていなければならず特に、75〜100g/m2 に設定されているものが好適である。そして、その横方向の引張強度は、600〜3500cN/2.54cmに設定されていなければならず特に、1000〜2000cN/2.54cmに設定されているものが好適である。さらに、その横方向の引張伸度は、300〜500%に設定されていなければならず特に、400〜500%に設定されているものが好適である。そして、その横方向の100%伸度回復率は、80%以上でなければならず特に、88%以上に設定されているものが好適である。
すなわち、目付が50g/m2 未満では、繊維密度が低く、フィルター機能の性能が劣るものとなり、目付が150g/m2 を超えると、通気性が乏しくなって着用時に呼吸がしにくくなる傾向がみられるからである。また、横方向の引張強度、横方向の引張伸度、横方向の100%伸長回復率が上記の範囲以外の場合には、顔への着用感が悪くなり、また強度、繰り返し使用時の保形性の点においても問題が生じるおそれがあるからである。
このような物性を備えた弾性繊維シートとして、本発明では、特に、ポリウレタン弾性繊維からなる不織布を用いるがなかでも、メルトブロー法によって得られるものが最適である。この方法をより詳しく説明すると、例えば特公昭41−7883号公報に記載された紡糸装置を用い、その紡糸口金から、熱可塑性ポリウレタン弾性体を溶融吐出し、そのノズル両側から加速気体流を噴射させてフィラメントを細化させる。そして、細化されたフィラメントを、例えば移動するコンベアネット等の補集装置上で、気体流と分離して積層し、互いの接触点同士で接合しながら冷却固化することにより得る方法である。もちろん、上記補集装置上での積層冷却固化前、もしくは冷却固化後に、ローラー等を用いて加熱加圧もしくは冷却固化後に、ローラー等を用いて加熱加圧して接合させたものであってもよい。このようにして得られるポリウレタン弾性繊維不織布は、ポリウレタン弾性繊維の細い連続フィラメントがランダムに積層した構造をしているため、優れた通気性と緻密なフィルター機能、高い伸縮性、柔軟性を備えている。
上記ポリウレタン弾性繊維等で不織布を構成する場合、その平均繊維径は、特に限定するものではないが、大気中の微細な塵や花粉の粒径が20〜30μmであることから、これらを捕捉するには、平均繊維径を5〜25μmに設定することが好適である。
また、本発明の弾性繊維シートには、抗菌性あるいは殺菌性を付与したものを用いることができる。抗菌性を付与したものは、雑菌の繁殖が抑制され、衛生的である。また、殺菌性を付与したものは、外部からの菌の侵入を阻止することができるため、特殊な用途に用いることができる。なお、ウレタン弾性繊維は、それ自体、一定の抗菌性があるため、抗菌剤を含有しないものであっても、ある程度、抗菌作用を奏する。
なお、弾性繊維シートへの抗菌性、殺菌性の付与は、弾性繊維シートを構成する繊維素材を作製する際、その繊維素材自体に抗菌剤、殺菌剤を練り込むようにしてもよいし、抗菌剤、殺菌剤を、弾性繊維シート等の表面に、コーティング等により付与するようにしてもよい。
上記抗菌剤、殺菌剤としては、従来公知のどのようなものであってもよく、例えば、珪酸塩金属化合物,燐酸系ガラス,燐酸ジルコニウム化合物等や、銀,銅,亜鉛,ニッケル等の金属イオンをゼオライト等の固体粒子に担持させたもの等があげられる。
さらに、本発明の弾性繊維シートには、導電性を付与したものを用いることができる。導電性を付与すると、マスクに静電気が溜まらなくなるため、埃や塵を寄せ付けず、より衛生的なものとなる。
弾性繊維シートへの導電性の付与も、上記抗菌性、殺菌性の付与と同様、弾性繊維シートを構成する繊維素材を作製する際、その繊維素材自体に導電剤や帯電防止剤を練り込むようにしてもよいし、導電剤や帯電防止剤を、弾性繊維シート等の表面に、コーティング等により付与するようにしてもよい。
上記導電剤としては、従来公知のどのようなものであってもよく、例えば、Ag、Cu、Sn、Pb、Ni、Li、Bi、In、それらの合金等の金属微粉末、ZnO、SnO2 、In2 3 、CuI、TiO2 /SnO2 ・Sbドープ等の金属酸化物微粉末、Al等の金属フレーク、Al、Ni、ステンレス等の金属繊維、金属表面コーティングガラスビーズ、金属メッキカーボン等があげられる。
上記使い捨てマスクは、このような弾性繊維シートを用い、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、2枚の弾性繊維シートを中表にして重ねるか、1枚のシートを中表にして2つ折りして、左右のマスク材となる輪郭形状のうち、溶着部P(図1参照)となる部分を残して、他の輪郭形状を、2枚重ねの状態で溶断する。溶断には、高周波ウェルダーを用いることが好適である。このとき、切欠き穴6,7も同時に溶断する。つぎに、溶着部Pとなる円弧状縁部の溶断と溶着を同時に行う。最後に、溶着部Pの上部を、斜め線Rで溶断除去して同時に溶着し、図1に示す形状の使い捨てマスクを得ることができる。また、マスク全体の輪郭形状および切欠き穴6,7の溶断と、溶着部Pとなる円弧状縁部および除去縁部の溶着とを、同時に行うようにしてもよい。
なお、マスク材1,2の輪郭形状は、上記の例に限らず、顔面に沿い、耳に係合することができ、かつ鼻先の上からあごの下まで覆うことのできるものであればどのようなものであってもよいが、溶着部Pと、その上部の切欠きは必ず必要である。これらの構成によって、口元の自由度が確保されるからである。
上記溶着部Pは、上記の例のように、平行な2本の溶着ライン3,4によって所定幅に形成することもできるが、幅広の溶着用のバーを用いて、1本の溶着部Pを帯状に形成することもできる。そして、溶着部Pの幅は、特に限定するものではないが、通常、2〜7mmに設定することが好適である。すなわち、2mmより狭いと、口元の自由を確保するためのリブとしての補強機能が弱く、逆に7mmを超えると見栄えが悪く、それ以上の効果を得ることはできないからである。
なお、溶着部Pを形成する場合に、例えば図4に示すように、溶着予定部に、マスク材1,2と同様の材質の弾性繊維シート10を重ねて溶着、溶断を行うことにより、3重構造の溶着部P′を得ることができる。また、例えば図5に示すように、溶着予定部に、マスク材1,2と同様の材質の弾性繊維シート10,11を重ねて溶着、溶断を行うことにより、4重構造の溶着部P″を得ることができる。これらの構成によれば、より溶着部Pによる補強機能を高めることができる。
また、例えば図6に示すように、溶着予定部の上下のマスク材1,2の間に、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂材からなる樹脂パイプもしくは樹脂棒20を挟み込んだ状態で溶着を行うことにより、芯入りの溶着部Paを得ることができる。上記樹脂パイプもしくは樹脂棒20としては、ショア硬度80A〜90A程度の、比較的柔軟なものが好適である。
さらに、図7に示すように、溶着部Pを形成する際にローレットバー等を用いて、溶着部Pに筋目Sがつくようにしてもよい。この筋目Sによっても、溶着部Pによる補強機能を高めることができる。
上記溶着部Pの上部を斜めに切欠き除去する場合の切断距離L(図1参照)は、特に限定するものではないが、通常、10〜30mmに設定することが好適である。上記の範囲外では、切欠き除去によって得られる除去縁部5が、鼻先と係合しにくい形となるからである。そして、同様の理由から、その除去縁部5の下端点Xにおける溶着部Pの接線Qと、除去縁部5の斜め線Rとがなす角度θは、通常、20〜45°程度に設定することが好適である。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕
ジフェニルメタンジイソシアナートと、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)と、1,4−ブタンジオールからなるポリウレタン弾性体を、前述のメルトブロー法によって、不織布とした。このものの物性は下記の表1に示すとおりである。
また、上記ポリウレタン弾性繊維不織布のフィルタ機能を、下記の方法に従って測定したところ、後記の表2に示すとおり、粒径0.3μm以上の塵を90%以上捕集しているから、優れた性能を備えていることがわかる。
[フィルタ機能]
透過装置の開口に、試料として上記ポリウレタン弾性繊維不織布(面積729cm2 )を貼付し、その試料の片隅を少しめくり、試料面に、クリーンエアを流し、装置内の塵がゼロ(0)になるのを確認する。つぎに、クリーンエアを止めて大気を吸引し、透過塵の測定を行う。また、大気塵を測定し、下記の式(1)によって、捕集効率(%)を算出する。この値が、粒径の小さい塵に対しても大きければ大きいほど、フィルタ機能が高いといえる。なお、塵の測定は、ダストカウンター(ダン科学社製、型番:82−3200N)を用いて行った。そして、パーティクルカウンター流量は500cc/min、試料通過風速は0.011431cm/sec、試料はクリーン洗濯1回とした。
つぎに、上記ポリウレタン弾性繊維不織布を、2枚重ね合わせ、高周波ウェルダーを用いて溶断・溶着を行い、図1に示すマスクを作製した。
〔実施例2〕
実施例1と同様のマスクであって、溶着部Pが、図5に示すように、4重になったものを作製した。
〔実施例3〕
実施例1と同様のマスクであって、図6に示すように、溶着部Paに樹脂製芯(ポリプロピレン製、直径1.6mm、ショア硬度A90)20が挟持されたものを作製した。
〔実施例4〕
実施例1と同様のマスクであって、図7に示すように、溶着部Pに筋目S(5本/cm)のついたものを作製した。
〔比較例1〕
実施例1と同様のマスクであって、溶着部Pの上部が斜めに切り欠かれていないものを作製した。
上記実施例1〜4品と比較例1品を、それぞれ、モニター10名に着用させ、顔面へのフィット性、耳にかける部分の着用感、口開閉時の口元の違和感の有無について、◎…非常に良好、○…良好、△…ふつう、×…不良、の4段階で評価させた。これらの結果を下記の表3に併せて示す。
上記の結果から、実施例1〜4品はいずれも、比較例1品に比べて、優れたフィット性、着用感、口元の自由性を備えていることがわかる。
〔実施例5〕
抗菌剤(イオンピュア、石塚ガラス社製)を練り込んだマスターチップと、ベースチップとを混合した。それ以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン弾性繊維不織布を作製した。このものと、標準品であるナイロン布について、JIS L 1902、1996 統一試験法に基づき、肺炎桿菌(K.pneumoniae ATCC4352)と、黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus ATCC6538P)に対する抗菌性を調べた。その結果を、下記の表4に併せて示す。
上記の結果から、抗菌性を付与したポリウレタン弾性繊維不織布を用いた実施例5品は、優れた抗菌性を示すことがわかった。
上記抗菌性を付与したポリウレタン弾性繊維不織布を用いて、図1に示すマスクを作製し、モニター10名に3日間(1日5時間)着用させた。また、対照例として、実施例1のマスクを、同様にモニター10名に3日間着用させた。そして、3日間着用後の不快臭の有無について評価させた。これらの結果を、下記の表5に示す。
上記の結果から、抗菌性を付与したマスクは、長期にわたって快適に使用できることがわかる。
〔実施例6〕
BASF社製の帯電防止剤マスターチップ(SBマスター)と、ベースチップとを混合した。それ以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン弾性繊維不織布を作製した。このものと、実施例1で用いたポリウレタン弾性繊維不織布とを用いて、すぎ花粉の付着性を評価した。すなわち、試験片にすぎ花粉を付着させたのち、所定の振動(手で軽く払う程度)を加えて花粉を除去した。同一区画における上記の動作前後の状態を、マイクロスコープにより撮影し、それぞれの花粉の個数をカウントした。そして、下記の式(2)により、花粉の減少率(%)算出した。その結果を後記の表6に併せて示す。
したがって、上記帯電防止剤により導電性を付与したポリウレタン弾性繊維不織布を用いたマスクは、すぎ花粉が付着しにくく、花粉症やアレルギー症状の人に、より有効であることがわかる。
本発明の一実施例を示す平面図である。 上記実施例の使用態様の説明図である。 上記実施例の要部の説明図である。 上記要部の第1変形例の説明図である。 上記要部の第2変形例の説明図である。 上記要部の第3変形例の説明図である。 上記要部の第4変形例の説明図である。
符号の説明
1,2 マスク材
3,4 溶着ライン
5 除去縁部
6,7 切欠き穴
P 溶着部

Claims (5)

  1. 2枚の左右対称な略扇状の、下記の弾性繊維シート(A)からなる左右のマスク材が、互いの輪郭が重なるように重ねられ、その円弧状縁部が所定幅で溶着されており、左右のマスク材のそれぞれに、略扇状の略中央部から要方向に向かって細長く延びる切欠き穴が形成されている使い捨てマスクであって、上記マスク材を左右に開いて顔に当て、上記溶着部を鼻先の上からあごの下まで当て、上記切欠き穴を左右の耳に係合させて着用するようになっており、上記左右のマスク材を重ねた状態において、円弧状溶着部のうち上端から所定長の部分が、上記溶着部を斜めに横切る直線で溶断除去されており、溶着部上端部の鼻への追従性が高められていることを特徴とする使い捨てマスク。
    (A)ポリウレタン弾性繊維からなる不織布シートであって、目付50〜150g/m 2 、横方向の引張強度600〜3500cN/2.54cm、横方向の引張伸度300〜500%、横方向の100%伸長回復率80%以上に設定されている弾性繊維シート。
  2. 上記溶着部の幅が、2〜7mmに設定されている請求項1記載の使い捨てマスク。
  3. 上記弾性繊維シートに、抗菌剤、殺菌剤、導電剤および帯電防止剤の少なくとも一つが含有されている請求項1または2記載の使い捨てマスク。
  4. 上記溶着部が、2枚のマスク材の重なり部に、少なくとも一枚の弾性繊維シートをさらに重ねた状態で形成されている請求項1〜のいずれか一項に記載の使い捨てマスク。
  5. 上記溶着部が、2枚のマスク材の重なり部に、樹脂パイプを挟み込んだ状態で形成されている請求項1〜のいずれか一項に記載の使い捨てマスク。
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