JP4010388B2 - 高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版(以下、高強度RC・PCa版という)に関するものであり、特に、空港のエプロン、誘導路等の広範囲な場所でのコンクリート舗装の急速施工を可能にする高強度RC・PCa版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の空港舗装に於ては、主にポストテンションプレストレストコンクリート舗装が行われている。
【0003】
この施工手順を図10により説明する。
【0004】
1:舗装領域内の掘削等の路盤工を行う(ステップS1 )
2:舗装領域内へのコンクリート打設のために周辺に型枠を設置する(ステップS2 )
3:路盤内にグラウト材の漏出を防止するために路盤工の上にポリエチレンシート等を敷設する(ステップS3 )
4:舗装領域内にプレストレス導入のためのシース管及び鉄筋を配設し、該シース管内にPC鋼より線を挿入する(ステップS4 )
5:舗装領域内にコンクリートを敷き均す(ステップS5 )
6:コンクリートの締固め、粗仕上げをする(ステップS6 )
7:コンクリートの養生を行う(ステップS7 )
8:コンクリートにプレストレスを導入する(ステップS8 )
9:コンクリートと路盤との間にグラウト材を充填する(ステップS9 )
10:コンクリート舗装完成(ステップS10)
又、このコンクリート舗装については以下の特徴を有している。
【0005】
1:曲げ作用に対する抵抗性が極めて大きいため、ひび割れが発生しにくい。
【0006】
2:コンクリート厚が薄い。(180mm位)
3:変形能力が大きい。
【0007】
4:目地が少ない。略100m間隔に伸縮目地を設置する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例のコンクリート舗装は、プレストレス導入のためのシース管の配設、PC鋼より線の挿入等の準備工が必要になると共に、コンクリート強度の発生を待つ養生並びに暑中及び寒中に打設する場合の養生を経てプレストレスを導入するので工期が長くなり、且つ、施工コストが嵩む。更に、現場でのコンクリート打設のためコンクリートの品質管理が極めて困難であった。又、伸縮目地の設置も非常にコストが掛っていた。
【0009】
そこで、ポストテンションプレストレストコンクリート舗装と同等以上の強度を持ち、且つ、プレストレス導入設備等の大規模設備が不用で、コンクリート舗装の急速施工が可能となって大幅な工期の短縮による工事費のコストダウンに寄与する高強度RC・PCa版を得るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、造成した敷設用路盤の上面に舗装のために敷設される矩形板状のプレキャスト版であり、鉄筋を配置した型枠内へ高強度コンクリートを打設して形成する高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版であって、前記プレキャスト版の周囲には所定間隔で、該プレキャスト版同士を結合する断面H形のコッターを取り付けるためのコッター受金具を鉛直に配設した高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版に於いて、
該プレキャスト版の幅方向に所定間隔で長手方向に配設する上面側の2本の主鉄筋と下面側1本の主鉄筋との間に長手方向に連続して斜筋を固着して、横断面視V字型となるようにトラス鉄筋を構成し、上記横断面視V字型となるトラス鉄筋の上面側の主鉄筋同士を水平筋で固着し、該水平筋を固着したトラス鉄筋を該プレキャスト版の幅方向に所定間隔で配設し、
且つ、上記プレキャスト版の幅方向の中央部であって、長手方向両端部夫々から長手方向の長さの4分の1の長さ分中心寄り位置にして、隣り合う上記水平筋固着トラス鉄筋の中間である上記水平筋固着トラス鉄筋の近傍箇所に路盤の不同沈下時該プレキャスト版をリフトアップするためのリフトアップジャッキ取付治具の取付けのみならず該プレキャスト版搬送用クレーンの吊り金具の取付けに利用するパイプを鉛直に埋設し、該パイプは前記プレキャスト版の上面側の内径に該リフトアップジャッキ取付治具の軸部及び上記吊り金具の軸部に刻設されている台形螺子に螺合する雌螺子を刻設してなり、
更に、上記プレキャスト版の下面に、グラウト材の付着を防止するためのアクリル系、ポリウレタン系又はフッソ系の樹脂を塗布して表面処理を施してなる高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図9に従って詳述する。図1は高強度RC・PCa版1の配筋状態を示す平面図である。図1の中心線より上部は該高強度RC・PCa版1の長手方向長さの半分を下面から視たものであり、図1の中心線より下部は該高強度RC・PCa版1の長手方向長さの半分を上面から視たものである。又、図2は図1の長手方向の側面図を示し、図3は図1の幅方向の断面図を示す。該高強度RC・PCa版1の大きさは、例えば施工現場への搬送等を考慮して長手方向の長さを7.5m、幅3.5mの矩形板状に形成し、厚さは0.2mとする。
【0012】
該高強度RC・PCa版1の幅方向の所定間隔には、該高強度RC・PCa版1の変形性能を高めるためにトラス鉄筋5,5…を配設する。該トラス鉄筋5,5…は、図3に示すように上面側に70mmの間隔を取って直径10mmの2本の主鉄筋2,2と下面側に直径16mmの1本の主鉄筋3とを厚さ方向に125.5mmの間隔を取って配設し、上面側の主鉄筋2,2と下面側の主鉄筋3の左右夫々に直径7mmの斜筋4,4…を固着して断面V字型となるようにし、且つ、該斜筋4,4…は図2に示すように長手方向にトラス状に配設して形成する。該上面側の主鉄筋2,2は圧縮側に、該下面側の主鉄筋3は引張側の鉄筋として作用する。該トラス鉄筋5,5…は鉄筋加工手間を削減するために該高強度RC・PCa版1内に組み込む前に、予め該上面側の主鉄筋2,2と該下面側の主鉄筋3と該斜筋4,4とで長手方向に一体化して形成しておく。
【0013】
又、該上面側の主鉄筋2,2と長手方向に平行な位置には所定間隔で直径13mmの上縦筋6,6…を配設し、該上縦筋6,6…と格子状に直径13mmの上横筋7,7を配設し、該上縦筋6,6…と該上横筋7,7…とを互に結束線(図示せず)等で結束する。更に、該下面側の主鉄筋3,3…と長手方向に平行な位置には、所定間隔で直径16mmの下縦筋8,8…を配設し、該下縦筋8,8…と格子状に直径16mmの下横筋9,9…を配設し、該下縦筋8,8…と該下横筋9,9…とを互に結束線(図示せず)等で結束する。
【0014】
図4は該トラス鉄筋5を更に補強したものである。図4(a)に示すように、V字型の該トラス鉄筋5を構成する該上面側の主鉄筋2,2間の上面に長手方向にN字状の連続した水平筋40を固着して形成する。尚、N字状の該水平筋40は、S字状の波型に形成してもよい。
【0015】
次に、該高強度RC・PCa版1の周囲の4辺には、個々の該高強度RC・PCa版1,1…同士を結合して一体性を高め連続板としての設計を可能とするために、後述するように断面H形のコッター16,16…を取り付けるコッター受金具11,11…を設置する。該コッター受金具11,11…の設置位置は、該高強度RC・PCa版1の長手方向には750mm間隔で幅方向には700mm間隔を可とする。又、該高強度RC・PCa版1の幅方向の中央部であり、且つ、該トラス鉄筋5の近傍であって、該高強度RC・PCa版1の長手方向の両端部から夫々該高強度RC・PCa版1の長手方向の長さの4分の1の長さの位置に後述するように該高強度RC・PCa版1を敷設した後、路盤Gが沈下したときに対応するためのリフトアップジャッキ取付治具50を取り付けるためのパイプ10,10を設置する。尚、該パイプ10,10は該高強度RC・PCa版1を搬送する際に、吊り金具としても使用でき、使用しないときにはキャップ(図示せず)を螺着しておく。更に、該パイプ10,10…は該路盤Gとの間にグラウト材を注入するときの注入孔及びエアー抜き用の孔にも利用する。
【0016】
前記配筋及び各金具等の設置を完了した後、型枠(図示せず)を用いて高強度コンクリートRを打設して該高強度RC・PCa版1を完成させる。その際、該型枠の底板には該高強度RC・PCa版1の上面となる該主鉄筋2側を設置する。
【0017】
従って、該高強度RC・PCa版1を製作するときには、現場での使用時に該高強度RC・PCa版1の上面側となる面を下に向けて行う。
【0018】
更に、該型枠の底部には縞鋼板等を配設することにより、該高強度RC・PCa版1のコンクリートの上面の滑り抵抗を増すためのグルービング(図示せず)を設けることができる。該グルービングは、該高強度コンクリートRの養生後、該型枠を解体するだけで容易に形成でき、従来のように、コンクリート面をダイヤモンドカッタ等で溝切りする必要もなく、又、該型枠の底部に配設する板の形状を変えることにより、どんな形状のグルービングでも形成することができる。更に、該型枠の側板は、該高強度RC・PCa版1の側部1a,1a,1b,1bの垂直方向にテーパーを付けるようにしておく。このテーパーは、後述するように該高強度RC・PCa版1の使用中に迅速に部分的に交換が可能とするため隣り合う該高強度RC・PCa版1同士の迫りによる抵抗力を小さくするようにするためと該高強度RC・PCa版1の敷設後の雨水の流れをスムーズに行うために設けられる。
【0019】
打設コンクリートは、耐久性、耐摩耗性に優れ、曲げ強度の高い(60N/mm2)の高強度コンクリートRを使用する。該高強度コンクリートRを使用することにより、従来のポストテンションプレストレストコンクリート舗装による舗装厚さ180mmを200mmにすることにより対処することができると共に、従来のコンクリート舗装より安価に製作することができる。又、高強度コンクリートRを打設した該下面側の主鉄筋3側の下面には、該高強度RC・PCa版1を敷設した後、該路盤Gとの間にグラウト材(図示せず)を充填する際に該グラウト材が該高強度RC・PCa版1の下面に付着しないように付着防止材となるアクリル系又はウレタン系又はフッソ系の樹脂(図示せず)を塗付する等の表面処理を行う。この表面処理の効果は、該高強度RC・PCa版1を設置後、該路盤Gが不同沈下した際、充填した該グラウト材は該路盤Gと共に沈下するが、該高強度RC・PCa版1は沈下せず元の位置に残るようにして、該高強度RC・PCa版1の下面と沈下した元のグラウト材との間に新たにグラウト材を注入することで対処しようとするものである。更に、該高強度RC・PCa版1の該側部1a,1a,1b,1bの全周には、後述するように該高強度RC・PCa版1の敷設重量による該路盤G側のポンピング現象を防止するためにシール材37を貼着する。次に、図5(a)(b)により該路盤Gに敷設した該高強度RC・PCa版1同士を結合する該コッター受金具11及び該コッター16を説明する。該コッター受金具11は断面C型の溝穴12を有するように形成し、該コッター受金具11,11を対峙させて相互にH形状に合体した該溝穴12,12に断面H形のコッター16を垂直に挿入して、該高強度RC・PCa版1,1同士を結合する。該コッター受金具11のカムリップ14,14にはその内面15,15に該コッター16の挿入方向の該高強度RC・PCa版1の上面から下面に向けて、該コッター受金具11,11同士が対峙する該カムリップ14,14の外面13,13から離れる方向に傾斜したテーパー面を形成する。又、該コッター受金具11の該溝穴12の底部12aには該コッター16を固定するボルト21のための螺子部23を刻設する。
【0020】
該コッター16は前記したように、該コッター受金具11,11同士を対峙させた状態で、その対峙する該溝穴12,12の内部に挿入可能な断面H形に形成し、そのウエブ20の左右の結合フランジ19,19の内面18,18,18,18にコッター受金具11,11の該カムリップ14,14の内面15,15のテーパー面と同じテーパー角度で、且つ、挿入方向の該高強度RC・PCa版1の上面から下面に向けての該結合フランジ19,19の外面17,17に近づく方向に傾斜したテーパー面を形成する。又、該コッター16の該結合フランジ19の中央部近傍には該コッター16を該コッター受金具11に固定するボルト21を挿入するためのボルト孔22を開穿する。
【0021】
以上の構成に於て、該高強度RC・PCa版1,1同士を対峙させたとき、該コッター受金具11,11同士も対峙することになり、該コッター受金具11,11の該溝穴12,12に該コッター16を挿入し、該コッター受金具11,11の該カムリップ14,14を該コッター16の該結合フランジ19,19で締付けると共に、該コッター16の上面より該ボルト21,21を挿入して該コッター受金具11,11の該底部12aの該螺子部23に螺合させて、該コッター16を介して該高強度RC・PCa版1,1同士を結合する。
【0022】
尚、該コッター受金具11の上面取付位置は、該高強度RC・PCa版1の上面位置よりコンクリートを面取り1cする分(25mm)下げた位置とし、該コッター受金具11の該外面13も該高強度RC・PCa版1の該側部1a,1a,1b,1bより0.5mmから1mm控えた位置としてアンカー鉄筋に固着して設置する。又、前記したように、該高強度RC・PCa版1の該側部1a,1a,1b,1bにテーパーを付ける場合には、該コッター受金具11の取付けは該側部1a,1a,1b,1bのテーパー面に垂直に設置する。
【0023】
次に、図6及び図7により該高強度RC・PCa版1を敷設後、該路盤Gが不同沈下等を起したときに対応するための該高強度RC・PCa版1のリフトアップ方法を説明する。前記したように該高強度RC・PCa版1の幅方向の中心部であって、長手方向に4.5mの間隔を取った位置にリフトアップジャッキ取付治具50を取り付けるためのパイプ10,10をコンクリート内に鉛直に埋設する。該パイプ10は12mmの肉厚を有し、図6に示すように該高強度RC・PCa版1の上面側の内径には該リフトアップジャッキ取付治具50の軸部54に刻設されている螺子に螺合する台形螺子54aを刻設する。尚、該パイプ10の上面は該高強度RC・PCa版1のコンクリート面より面取り1cした分下げた位置とする。
【0024】
図7は該リフトアップジャッキ取付治具50を示し、上部は上面板50aと下面板50cを正方形状にし、左右の側面板50b,50bを矩形状に構成したリフトアップジャッキ51取付部とし、下部は該下面板50cの下部に鉛直に固着された軸部54からなる。該軸部54の下部外径には該高強度RC・PCa版1に設置されている該パイプ10と螺合する台形螺子54aを刻設する。又、該下面板50cと該軸部54の中央部には、該リフトアップジャッキ51の伸張力を該路盤Gに伝達するロッド53を貫通させるロッド孔55を開穿する。該ロッド53の上部には、該リフトアップジャッキ51を設置するためのジャッキ受52を設ける。
【0025】
該高強度RC・PCa版1の該パイプ10に該リフトアップジャッキ取付治具50を取り付けた後、該リフトアップジャッキ取付治具50と該路盤Gとの間に設置された該ロッド53の該ジャッキ受52と該上面板50aとの間に該リフトアップジャッキ51をセットし、該リフトアップジャッキ51を伸張すると、該ロッド53を介して該路盤Gに反力を取って該リフトアップジャッキ取付治具50が上昇すると共に該高強度RC・PCa版1が上昇する。その後、該高強度RC・PCa版1の下面と該路盤Gとの間にグラウト材(図示せず)を充填して該路盤Gの沈下に対応する。
【0026】
尚、該高強度RC・PCa版1の敷設のための路盤工事を行う際、予め、該路盤G内に該高強度RC・PCa版1の敷設方向に沿い、且つ、該高強度RC・PCa版1の該パイプ10と対応する位置に鋼板からなるリフトアップ用支持板31をレール状に連続して水平に埋設する。該リフトアップ用支持板31は該高強度RC・PCa版1の長手方向に所定の幅を有し、その上面は該路盤Gの上面と一致させ、下部には幅方向に所定の間隔で該路盤G内での移動を防止するためのアンカー32,32を設ける。
【0027】
次に、該路盤G内にグラウト材の漏出を防止するために路盤工の上にポリエチレンシート30を敷設する。該ポリエチレンシート30の重ね代は所定の長さを確保すると共に、その接合はポリエチレンフィルムを使用する。又、該リフトアップ用支持板31の上部となる部分には、該リフトアップジャッキ取付治具50の該ロッド53の先端によって該ポリエチレンシート30が破損する虞があるため、該リフトアップ用支持板31の長手方向に沿って不織布シートからなるクッション材33を貼着する。
【0028】
次に、図8により該高強度RC・PCa版1の側部1a,1a,1b,1bに設けるテーパーについて説明する。該テーパーは図8(a)に示すように、該高強度RC・PCa版1を連続して敷設した後、クラウン部34から両側へ夫々勾配α,α(1%)を付けて雨水をスムーズに排水するために設ける。該クラウン部34に於ける該高強度RC・PCa版1の長手方向の該側部1a及び幅方向の該側部1bの接合面の該テーパー角度βは、図8(b)に示すように該高強度RC・PCa版1の下面よりの直角度に該勾配αを加えた角度とする。
【0029】
又、敷設した該高強度RC・PCa版1の部分的交換を容易にするために、図8(c)に示すように該高強度RC・PCa版1の幅方向の該側部1b,1b同士の接合面35に抜き勾配γを付ける。該抜き勾配γは該クラウン部34からの勾配αに沿った該高強度RC・PCa版1の下面よりの垂直線に付して該勾配αより大きな角度を取るものとし、1.4°〜2.8°を可とする。一方、該高強度RC・PCa版1の長手方向の該側部1aのテーパーは、前記したように該クラウン部34側のみに設け、反対側の該側部1aは該勾配αに対し垂直面に形成する。尚、該テーパーの取付位置及び勾配等は該高強度RC・PCa版1,1…によるコンクリート舗装の設計により適宜決定される。
【0030】
次に、図9により該高強度RC・PCa版1の該側部1a,1bの止水方法について説明する。該高強度RC・PCa版1,1…を敷設したとき、該高強度RC・PCa版1の重量により該路盤G側に発生するポンピング現象によって、該高強度RC・PCa版1,1間に侵入する水を止水するため、該高強度RC・PCa版1の下面近傍であって、該高強度RC・PCa版1の該側部1a,1bの接合面間に断面が六角形状のシール溝36を形成する。該シール溝36は、該高強度RC・PCa版1の該側部1a,1bの全周に渡って設けると共に、該シール溝36内に変成シリコーン系のシール材37を貼着してポンピング現象による下面からの止水及び上面からの雨水等の止水を行う。
【0031】
尚、前記一実施の形態で示した高強度RC・PCa版の大きさ、鉄筋の大きさ、コッター受金具の取付間隔等はこれに限定されるべきものではなく、該高強度RC・PCa版の設計により適宜変更される。
【0032】
而して、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の、高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版は、該プレキャスト版の幅方向に所定間隔で長手方向に配設する上面側の2本の主鉄筋と下面側1本の主鉄筋との間に長手方向に連続して斜筋を固着して、横断面視V字型となるようにトラス鉄筋を構成し、上記横断面視V字型となるトラス鉄筋の上面側の主鉄筋同士を水平筋で固着し、該水平筋固着トラス鉄筋を該プレキャスト版の幅方向に所定間隔で配設したから、上面側の2本の主鉄筋は圧縮側鉄筋として、下面側の1本の主鉄筋は引張側鉄筋として夫々作用すると共に、上面側の主鉄筋同士を上記水平筋で固着したので、該プレキャスト版の上面側の剛性を高め、ポストテンションプレキャストコンクリート舗装版と同等以上の耐久性、耐摩耗性、曲げ強度や捻れ応力の高いプレキャスト版を提供することができる。而して、現場打ちによることなくコンクリート舗装版を提供することが可能となり、準備工や養生に随伴する設備コストや施工時間を削減することができる。
そして、上記プレキャスト版の幅方向の中央部であって、長手方向両端部夫々から長手方向の長さの略4分の1の長さ分中心寄り位置にして、隣り合う上記水平筋固着トラス鉄筋の中間である上記水平筋固着トラス鉄筋の近傍箇所に路盤の不同沈下時該プレキャスト版をリフトアップするためのリフトアップジャッキ取付治具の取付けのみならず該プレキャスト版搬送用クレーンの吊り金具の取付けに利用するパイプを鉛直に埋設し、該パイプは前記プレキャスト版の上面側の内径に該リフトアップジャッキ取付治具の軸部及び上記吊り金具の軸部に刻設されている台形螺子に螺合する雌螺子を刻設してなるので、該プレキャスト版を敷設した後、路盤が不同沈下等を起したときのリフトアップジャッキ取付治具の取付けにあたり、前記リフトアップジャッキ取付治具の軸部及び吊り金具の軸部の螺子を前記パイプの内径に刻設された台形螺子に螺合させることにより簡易迅速にリフトアップジャキやクレーンを取付けることができ、該パイプを、グラウト材の注入孔及びエアー抜き孔等にも利用できる。また、上記螺子付のパイプは、上記プレキャスト版の幅方向の中央部であって、長手方向両端部夫々から長手方向の長さの4分の1の長さ分中心寄り位置に設けているので、クレーンによる吊り上げ時やリフトアップジャッキによる揚重時の重量バランスが良好となる。
更に、上記プレキャスト版の下面に、グラウト材の付着を防止するためのアクリル系、ポリウレタン系又はフッソ系の樹脂を塗布して表面処理を施してなるので、高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版を設置後路盤が不同沈下した際、充填したグラウト材は該路盤と共に沈下するが、該高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版は沈下することなく元の位置に残るようにして、該高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版と沈下した元のグラウト材との間に新たにグラウト材を注入することで不同沈下に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示し、高強度RC・PCa版の配筋平面図であって、中心線より上部が下面から視た配筋図を示し、中心線より下部が上面から視た配筋図。
【図2】 図1のロ−矢視図。
【図3】 図1のイ−イ断面図。
【図4】 (a)他のトラス鉄筋を示す平面図。
(b)図4(a)のハ−ハ断面図。
【図5】 (a)コッターでの結合状態を示す平面図。
(b)図5(a)のニ−ニ矢視図。
【図6】 高強度RC・PCa版のリフトアップ状態を示す側面図。
【図7】 (a)リフトアップジャッキ取付治具を示す側面図。
(b)図7(a)のホ−ホ矢視図。
(c)図7(a)のヘ−ヘ矢視図。
【図8】 (a)高強度RC・PCa版の敷設状態を示す側面図。
(b)図8(a)のクラウン部の詳細図。
(c)図8(a)の他の接合面の詳細図。
【図9】 シール材の設置状態を示す側断面図。
【図10】 従来例のコンクリート舗装のフローチャート図。
【符号の説明】
1 高強度RC・PCa版
1a,1b 側部
2 上面側の主鉄筋
3 下面側の主鉄筋
4 斜筋
5 トラス鉄筋
10 パイプ
11 コッター受金具
16 コッター
37 シール材
40 水平筋
G 路盤
R 高強度コンクリート
Claims (1)
- 造成した敷設用路盤の上面に舗装のために敷設される矩形板状のプレキャスト版であり、鉄筋を配置した型枠内へ高強度コンクリートを打設して形成する高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版であって、前記プレキャスト版の周囲には所定間隔で、該プレキャスト版同士を結合する断面H形のコッターを取り付けるためのコッター受金具を鉛直に配設した高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版に於いて、
該プレキャスト版の幅方向に所定間隔で長手方向に配設する上面側の2本の主鉄筋と下面側1本の主鉄筋との間に長手方向に連続して斜筋を固着して、横断面視V字型となるようにトラス鉄筋を構成し、上記横断面視V字型となるトラス鉄筋の上面側の主鉄筋同士を水平筋で固着し、該水平筋を固着したトラス鉄筋を該プレキャスト版の幅方向に所定間隔で配設し、
且つ、上記プレキャスト版の幅方向の中央部であって、長手方向両端部夫々から長手方向の長さの4分の1の長さ分中心寄り位置にして、隣り合う上記水平筋を固着したトラス鉄筋の中間である上記水平筋を固着したトラス鉄筋の近傍箇所に路盤の不同沈下時該プレキャスト版をリフトアップするためのリフトアップジャッキ取付治具の取付けのみならず該プレキャスト版搬送用クレーンの吊り金具の取付けに利用するパイプを鉛直に埋設し、該パイプは前記プレキャスト版の上面側の内径に刻設されている台形螺子に螺合する雌螺子を刻設してなり、
更に、上記プレキャスト版の下面に、グラウト材の付着を防止するためのアクリル系、ポリウレタン系又はフッソ系の樹脂を塗布して表面処理を施してなることを特徴とする高強度鉄筋コンクリートプレキャスト版。
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